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将来計画(2)   モニタ   9:00-10:00 TA-1 がん治療用小型FFAG加速器の開発研究I 三須敏幸 放射線医学総合研究所 加速器物理工学部 放射線医学総合研究所では、平成13年度から文部科学省の委託を受け、FFAGと呼ばれる固定磁場型加速器を使った普及型の炭素線がん治療装置の開発研究を開始した。治療装置の普及には、加速器を含めた治療施設全体の小型化、最適化を図る必要がある。現在検討中のFFAG加速器は水中飛程25cm以上の実現を視野に、炭素イオンを400MeV/uまで加速することを想定している。FFAGの光学的特長と加速器全体及び各機器の小型化に向けた概念設計の現状を紹介する。
TA-2 がん治療用小型FFAG加速器の開発研究II 岩田 佳之 放射線医学総合研究所 加速器物理工学部 がん治療用小型加速器の普及に向け、固定磁場型であるFFAGの開発研究を平成13年度より行ってきた。これまで常伝導電磁石の使用を前提に概念設計を行ってきたが、がん治療加速器の普及のためには更なる小型化が望まれる。そのため我々は超伝導電磁石も視野に入れた概念設計を本年度より始めた。このほか、新たなビーム光学系を用いての小型化についても検討を進めている。これら医療用加速器としてFFAGの小型化に関して、主にビーム光学特性を中心に現状報告を行う。
TA-3 コア片面の間接冷構造を有する無同調キャビティ 北條悟 放射線医学総合研究所 加速器物理工学部 放射線医学総合研究所で現在検討中のFFAG加速器の概念設計では、高加速勾配を有し、かつ加速周波数帯域の広い空胴が必要となる。そのため、Q値が低く高透磁率を有するファインメットコアを空胴内に装荷することで空胴のコンパクト化及び無同調化を図ることにした。ファインメットコアでは、パワーロスによる発熱が生じる為、冷却が必要となる。しかし、ファインメットコアの直接水冷及びコア両面からの間接冷却では空胴のインピーダンス特性の低下を招くため、コア片面からの間接冷却を採用することでこれらの問題を解決した。本研究会では、このコア片面の間接冷構造を有する無同調キャビティについて報告する。
TA-4 ストリップライン多電極を用いたビームサイズ計測への応用 諏訪田 剛 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 加速器第三研究系 KEKB入射器では、90台のストリップライン型ビーム位置モニターを用いて入射ビームの軌道安定化を行っている。今ではビーム軌道安定化は、KEKB運転には欠くことのできないもので、計算機制御下のフィードバックを通して安定に動作している。一方、この位置モニターを用いて、ビームサイズ、エネルギー拡がりと言った物理量もさらに非破壊で計測できれば、これらも同様にフィードバックを通して安定化を行うことができると考えている。このように筆者等は、ビーム位置モニターをビームサイズ及びエネルギー拡がりと言った物理量の計測に応用し、精度良く計測できることをビーム実験により実証した。本報告では、その原理及び実験結果について詳しく報告する。
休憩    10:00-10:15 休憩
J-PARC   10:15-11:30 TB-1 J-PARC線型加速器の現状 長谷川和男 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 原研とKEKで建設を進めている、大強度陽子加速器施設(J-PARC)プロジェクトの線形加速器の現状を報告する。
TB-2 J-PARC用30mA-RFQのビーム実験結果とシミュレーションの比較 近藤恭弘 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター加速器グループ J-PARCのリニアックでは、運転開始当初、JHF用に製作された設計ピーク・ビーム電流30mAのRFQを使用する。このRFQの立ち上げ、および、ビーム実験をKEKにおいて行った。同時に開発されているセシウム不使用負水素イオン源の開発進展にともない、RFQ加速ピーク・ビーム電流も増加し、ほぼ設計値に到達した。第一期RFQ運転(RFQ出口直後にビーム診系を設置したビーム実験)時、10mA第二期RFQ運転(後続のビーム輸送系MEBTの立ち上げ実験)時、25mA第三期RFQ運転(MEBT内ビーム・モニタ整備後のビーム実験)時、29mA 本発表では、これらの入射条件の異なる各段階での透過率、エミッタンス測定などの実験データを示し、ビームシミュレーションとの比較、検討を行う。
TB-3 J-PARC用第1DTLの軸上加速電場測定 田中宏和 高エネルギー加速器研究機構 加速器第一 日本原子力研究所東海研究所内に建設が進んでいる大強度陽子加速器施設(J-PARC)の線形加速器で3〜50MeVの加速に用いるドリフトチューブ線形加速器(DTL)の第1タンク(DTL1)の軸上加速電場を測定し調整した。DTLは3台作製される予定であるが、現在、第1タンク(DTL1)のみが組み付けまで完了している。加速セルは大部分が第1タンクに入っており、第1タンクの加速電場分布の調整は安定したビーム加速のためには重要である。今回の測定および調整により、第1タンクの各セルの平均加速電場のばらつきが±2%以内という良好な結果を得た。その測定および調整結果を報告する。
TB-4 J-PARC用ACS加速管の開発 林崎規託 東京工業大学 原子炉工学研究所 J-PARC用大強度陽子リニアックの高エネルギー部用空洞(200〜400MeV)として,環状結合構造(ACS)型加速空洞の開発研究と製作をおこなっている。これは常伝導の結合型空洞であり,2台の加速空洞が橋絡空洞で接続された構成を基本モジュールとして,42台が配置される。また,加速空洞は加速セルと結合セルが結合スロットを介して接続された構造をもち,972MHzの高周波で運転される。その開発および製作状況について報告する。
TB-5 J-PARC リニアック立体回路システムの設計と調整 菅沼和明 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 立体回路システムの設計に、汎用電磁場解析ソフトを使って計算をおこない製作に反映している。計算機出力と実際に製作し測定した値を報告する。つぎに、加速管の加速電場の安定のため要求されている、振幅±1%以内、位相±1°以内を満たすための調整をおこなっている。測定方法、測定値を報告する。
昼食    11:30-13:00 昼食   世話人会
ポスター  13:00-15:00 ポスターセッション
企画セッション 「リニアックと社会の接点」15:00-16:30 TS-1 放射線治療用リニアックの将来 田中良明 日本大学 医学部放射線科 最近の医療用リニアックは、性能的には従来に比べて安定してきているものの、デジタル技術の導入により、リニアック本体ならびに周辺機器類を制御するシステム機構の信頼性が求められるようになってきた。病巣部に的確に照射する方法として、原体照射、三次元治療計画、定位的放射線治療、強度変調放射線治療(IMRT)、サイバーナイフなどの照射技術、治療機器が開発され臨床応用されるようになってきたが、これらを日常ルチーンに適用するには、治療計画装置を含めた治療機器全体のシステムとしての品質保証と、高い精度管理が求められている。
 対象となる癌病巣は、さまざまな進展様式を呈しており、それぞれの患者さんに適した方法で放射線治療を行うには、ハード的にもソフト的にも使い勝手のやさしい、小回りが利く、柔軟性のある装置が望ましい。治療を受ける患者さんが装置に合わせるというのではなく、患者さん側に装置を適合させるという理念を有する治療機器が求められている。
TS-2 微細加工用ビーム技術の現在と将来展望 石川順三 京都大学大学院 工学研究科電子工学専攻 著者は、京都大学においてイオン源開発とイオンビームの材料プロセス応用、微小電子源の開発などの研究を行ってきた。集積回路の微細加工の最小線幅は現在0.13μm程度であるが、この数年で0.05μmまで狭くなると言われている。このような微細加工を三次元的に実現するためには、深さ方向には極浅pn接合の形成や極薄ゲート絶縁膜形成技術が、横方向には0.05μm解像の微細パターン露光技術が必要になってくる。極浅pn接合形成にはデカボロンのような多原子分子イオンを用いた等価的超低エネルギーイオン注入法が、極薄ゲート絶縁膜実現には無帯電負イオン注入法が期待されている。一方、微細パターン形成のためには従来用いられてきた光露光技術ではもはや対応できないため、マルチ電子ビームを用いた直接描画技術が利用されると考えられている。
TS-3 電子線滅菌 永倉邦男 イービーム技研   高エネルギー電子線の照射による医療用具等の滅菌は、迅速な滅菌処理と合わせてドシメトリックリリース(微生物培養による無菌試験に代えて線量測定によって無菌確認とする)が認められ、徐々に拡大している。しかし、高エネルギー電子照射施設は遮蔽のために大型設備とならざるを得ない為、初期投資が大きく経済的なバランスを得るまでに長期間を要する。更なる電子滅菌の普及には、対象物、用途に応じた小型、低価格な装置の開発が望まれる。
休憩    16:30-1645 休憩
制御    16:45-17:30 TC-1 商用電源変動とビーム不安定性 II 早川 建 日本大学 量子科学研究所 LEBRA電子リニアックでは、にこの数年来パルスモジュレータに関わる全ての電源を安定化したにもかかわらず、クライストロン出力が商用電源と同じパターンで変動し、従って、電子ビームが不安定になる現象に悩まされてきた。昨年の秋、ようやく変動の進入経路が、PFNに充電中の高圧直流電源の挙動にあることを突きとめ、ことしの春に至って解決を見た。
TC-2 制御システムと加速器運転 古川 和朗 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 次世代の高エネルギー実験や放射光実験においては、超高輝度、高安定の粒子ビームの加速が重要になり、特にリニアコライダや大強度陽子加速器、高輝度 X 線 SASE FEL 装置などでは、線形加速器の重要性が高まってくる。線形加速器においては、円形加速器のように自己安定化の機構が存在しないために、加速器の構成要素の性能がそのままビームの質、ひいては実験結果の精度に影響するようになる。そのような中で、KEKB 入射器の制御運転システムを例にしながら、ビーム光学制御や履歴相関表示などを中心にして加速器の制御システムが果たす役割を考える。
TC-3 プレレコーディング機能つきパルス波形監視装置の開発 榊 泰直 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 大強度陽子加速器のような、シビアな運転が求められる加速器では、定常運転時の1発のビームトラブルでも、放射化の問題が生じることとなる。そこで、イベント監視用にプレレコーディング機能つきパルス波形監視装置を開発したので報告する。
全体討論 17:30-18:00 全体討論(リニアック技術研究会の将来)
   
懇親会   19:00-21:00 懇親会 (水戸 三の丸ホテル)