MOOLP04  合同セッション  8月8日 国際会議室 11:30 - 12:00
ニュートリノの加速器実験 T2K J-PARC
Accelerator Based Neutrino Experiments T2K J-PARC
 
○五十嵐 進(高エネルギー研)
○Susumu Igarashi (KEK)
 
1998年にスーパーカミオカンデの大気ニュートリノ測定からニュートリノ振動の観測が発表された。これはニュートリノに質量があることを示し、素粒子の標準模型の枠を超える重要な発見となった。この現象を人工的に発生させたニュートリノで精密測定するため、大強度陽子加速器研究施設(J-PARC)でミューニュートリノを発生させ、295 km離れたスーパーカミオカンデでニュートリノを測定する長基線ニュートリノ振動実験T2K (Tokai to Kamioka)が行われている。主リング(MR)から大強度の陽子を供給することが求められ、エネルギー30 GeV、パルスあたりの陽子数2×10^14個を2.48秒周期でニュートリノターゲットへ取り出し、390 kWのビームパワーを達成している。そのためのビーム調整として、基本波に2倍高調波を重畳したrf電圧を使い空間電荷効果を低減し、ベータトロン振動の線形結合共鳴および3次共鳴を補正すること等でビームロスを低減した。MRの設計ビームパワーは750 kWであり、その達成のために繰り返し周期を1.3秒に速める計画で、電磁石電源の製作、rfの増強、コリメータの増強、および入射機器および速い取り出し機器の改造が行われている。更に反ニュートリノの振動確率の違いを測定することでCP対称性の破れを検証するため、設計性能を大きく上回る大強度ビームの実現を目指している。