MOP007  ハドロン加速器  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
J-PARC 3 GeVシンクロトロンビームコリメータの故障事象
A malfunction of the beam collimator system in J-PARC 3 GeV Rapid Cycling Synchrotoron
 
○山本 風海(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター)
○Kazami Yamamoto (J-PARC Center, JAEA)
 
J-PARC 3 GeVシンクロトロン(RCS)では、最大1 MWの大強度陽子ビームを加速し、後続の物質生命科学実験施設と主リングシンクロトロンに供給している。このような大強度陽子加速器では、ビーム損失による機器の放射化により保守作業時の被ばくが増加し、ビーム出力が制限される恐れがある。それを避けるために、RCSには加速中に発生するビーム損失の原因となるハローを局所化するためのビームコリメータが設置されている。このコリメータは、他の加速器真空容器と比べて力学口径を狭められるようにしてあり、加速中に広がったハローは他の真空容器に当たる前にすべてコリメータに衝突し、回収される。2007年のRCSの運転開始以後、ビームコリメータではこれまで不具合は起きていなかったが、2016年4月の保守作業時に真空漏れが発生した。ビームコリメータはその機能の上から、非常に放射化する事が予想されていたため、真空フランジを遠隔から着脱するためのリモートクランプシステムを始めとして、作業中の被ばく量を低減するための準備がなされていた。そのため、今回故障が発生してから代わりのダクトへの入れ替えを行うに際して、ビームが直接当たるコリメータ本体では40 mSv/hという非常に高い表面線量が測定されたにも関わらず、作業者の被ばく線量は最大でも60 マイクロSvに抑える事に成功した。本発表では、コリメータの故障から復旧までの状況について報告する。