MOP009  ハドロン加速器  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
超冷中性子リバンチャーの現状
Present status of Ultracold Neutron Rebuncher
 
○今城 想平(京大理),岩下 芳久(京大化研),三島 賢二(高エ研),北口 雅暁,清水 裕彦(名大理),猪野 隆(高エ研),山下 了(東大ICEPP)
○Sohei Imajo (Dep. of Phys., Kyoto Univ.), Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Kenji Mishima (KEK), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko M. Shimizu (Dep. pf Phys., Nagoya Univ.), Takashi Ino (KEK), Satoru Yamashita (ICEPP, Univ. of Tokyo)
 
我々はJ-PARCにおいて中性子の電気双極子能率(EDM)を探索する実験を計画している。中性子EDMの探索は運動エネルギーを200neV以下に減速させた超冷中性子(UCN)をUCN源から約10m離れた地点にある実験容器まで導き、系統誤差の低減と誤差原因の把握が容易な小容器に貯蔵して行う。従って統計誤差の低減のためには体積密度の高いUCNの封入が必要となる。しかしJ-PARCの陽子ビームによる核破砕中性子源はパルス間隔が長いためパルスで生成されたUCNが輸送中に自身の速度拡がりに従って拡散し、実験容器地点では密度が大きく落ちてしまう。その解決策として我々は中性子の運動エネルギーを輸送中に100neV程度制御し、実験容器地点にUCNを時間的に集束させる中性子加速器「超冷中性子リバンチャー」を開発した。中性子は磁気モーメントを持つため磁場中でポテンシャルエネルギーを持つ。本装置は静磁場勾配中のUCNに高周波磁場を印加し、AFP-NMR法によってそのスピンを反転させ静磁場通過前後の中性子の運動エネルギーに収支差を生じさせることで中性子を加速する。印加した高周波磁場の周波数に応じて磁場勾配中でのスピン反転位置が変化することを利用し、周波数を約0.1秒の間に適切にスイープさせ中性子の運動エネルギーを制御する。原理実証機を完成させた我々は完成機の前段階となる2号機を開発し、動作の調整と性能試験を行っている。本発表では2号機の動作試験結果について報告する。