MOP033  高周波源  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
SACLA-BL1用高精度PFN充電器の開発
Development of High Precision PFN Charger for SACLA-BL1
 
○近藤 力(高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏(理研 放射光科学研究センター),櫻井 辰幸(高輝度光科学研究センター),大竹 雄次(理研 放射光科学研究センター)
○Chikara Kondo (JASRI), Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Tatsuyuki Sakurai (JASRI), Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザー(FEL)施設SACLAでは、極紫外線〜軟X線領域のFELの供用を目的として、BL1に専用の線形電子加速器を建設した。この加速器のクライストロン電源ではFEL強度を安定化させるため、PFNコンデンサの充電電圧を最大50kVで100ppm以下(pk-pk)の精度で制御する必要がある。SACLAのPFN充電器は、精度は要求を満たすものの、定格60pps運転においては絶縁油中に配置された高電圧整流ダイオードに温度余裕が少なく、長期信頼性に問題があることが分かった。そこで、使用する各素子に十分な温度余裕を持たせるため、2倍の定格出力を持つ高精度充電器を新たに開発した。本電源の開発では熱対策を特に重視した。構造設計において熱流体シミュレーションを用いて絶縁油の自然対流の最適化を行ない、更に試作機モデルを用いた温度測定や絶縁油の対流観察にて、各素子が十分な温度余裕を持つことを確認した。電圧安定化に関しては、新たにデジタル・フィードバック制御を導入することで、負荷コンデンサの容量や充電電圧などの条件の違いに対しても幅広く対応できるようになった。電圧精度は50kVにおいて15ppm(pk-pk)以下を実現している。このようにして開発したPFN充電器をBL1専用加速器に5台設置した。そして、2014年から2000時間以上のコンディショニング運転(60pps)を実施し、さらに2015年秋から約3000時間のビーム運転(10pps)に使用し、いずれもトラブル無く運転できている。