MOP104  ビームダイナミクス・加速器理論  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
シンクロトロンからの遅いビーム取出し法(QAR法)のスピルフィードバック制御に関する研究
Study on spill feedback control in slow beam extraction (QAR) from a synchrotron
 
○中西 哲也(日本大学生産工学)
○Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University)
 
粒子線がん治療用シンクロトロンからの遅いビーム取出しにおいて、スポットスキャニング照射法への適用を目的に高周波ノックアウト装置(RFKO)と高速四極電磁石(FQ)を用いた方法を開発している。この方法は、FQでセパラトリクスを20%程度収縮させながらビームを取出し、必要量取り出した後にFQをOFFすることでセパラトリクスを元の大きさに戻し、RFKOで周回ビームを拡散し元のエミッタンスに増大し、次の必要なタイミングでFQをONとして取り出すことを繰り返す。3次共鳴を使う場合、RFKOの周波数帯を、n+1/3とn+2/3付近の狭周波数帯を10ほど含んだマルチバンドスペクトルを使うことで比較的一様な拡散ができ、更に各バンドの周波数帯の選び方で一回の取出しを全粒子数の1%以上取り出すことも可能である。しかし、周回ビームの強度分布はガウス分布であるため、一定のスピルを得るためには、FQ電源のスピルフィードバック制御が必要である。本発表では、ビームシミュレーションによるフィードバック制御の検討結果について報告する。また、取出し初期においてビーム強度を増加させるために、加速後にRFKOによりセパラトリクス中心部付近のビームを拡散させる方法の結果についても述べる。