MOP122  加速器応用・産業利用  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
炭素線高速三次元スキャニング照射のための可変エネルギー運転の開発
Development of multiple-energy operation for scanned carbon-ion therapy with fast 3D irradiation
 
○水島 康太,古川 卓司,岩田 佳之,原 洋介,早乙女 直也,皿谷 有一,丹正 亮平,白井 敏之,野田 耕司(量子機構)
○Kota Mizushima, Takuji Furukawa, Yoshiyuki Iwata, Yousuke Hara, Naoya Saotome, Yuichi Saraya, Ryohei Tansho, Toshiyuki Shirai, Koji Noda (QST)
 
放射線医学総合研究所では、スキャニング照射法を用いた炭素線治療を2011年より行っている。放医研の現在の治療では、シンクロトロンによるエネルギー変更のみで飛程を制御し、三次元の線量分布を形成するエネルギースキャン方式を使用している。エネルギースキャン方式で治療を行う場合、1回の照射あたり平均的に40〜50回ほどのビーム飛程変更を必要とするため、加速器でのエネルギー変更にかかる時間が治療照射時間に大きく影響する。そのため、シンクロトロンの新たな可変エネルギー運転方式を採用し、高速な三次元スキャニング照射の実現を目指してきた。この運転方式では、1回あたりのエネルギー変更を300 ms程度で実行でき、最大430 MeV/uから最小50 MeV/uまでの200種類以上のエネルギーを供給可能であるため、従来よりも短時間で三次元線量分布を形成することができる。本発表では、高速スキャニング照射に向けた可変エネルギー運転の導入のための試験で得られた結果を紹介するとともに、従来照射との比較について報告する。