MOP123  加速器応用・産業利用  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
炭素線治療のためのエネルギースキャニング照射のコミッショニング
Commissioning of the full energy scanning for carbon-ion therapy at NIRS-HIMAC
 
○原 洋介,古川 卓司,水島 康太,稲庭 拓,早乙女 直也,丹正 亮平,皿谷 有一,白井 敏之,野田 耕司(放医研)
○Yousuke Hara, Takuji Furukawa, Kota Mizushima, Taku Inaniwa, Naoya Saotome, Ryohei Tansho, Yuichi Saraya, Toshiyuki Shirai, Koji Noda (NIRS)
 
放医研では2011年より、加速器から取り出された細いペンシルビームを電磁石により側方方向に走査し、病巣形状に合わせて照射を行うスキャニング照射法を用いた治療を行っている。ビーム飛程の変更に関しては、病巣をビーム進行方向の各層に区分し、レンジシフタ挿入と加速器の可変エネルギー運転を組み合わせたハイブリッドスキャニング(HS)方式が適用され、これにより三次元形状の病巣への正確な照射が可能となっている。一方、HSの場合、レンジシフタによるビームの拡がりの影響があり、より高度な治療のためには可変エネルギー運転のみのエネルギースキャニング(ES)照射による治療が求められている。ES照射のためには、膨大な量のビームデータや測定、検証が必要となる。そこで、測定及び、治療に必要なビームデータ作成の簡便な方法を提案し、実際にデータ取得を行った。作成したビームデータを用いて、三次元線量分布検証を実施し、高精度で計算、測定が合うことを実証した。結果、2015年秋より、ESにより治療が開始された。本発表では、初期のビームデータ取得方法と測定装置の改良から三次元線量分布検証、治療運用に至るまでの報告を行う。