TUOLA01 学会賞受賞講演 8月9日 国際会議室 17:20 - 17:35 |
加速を伴う遅い取り出しビームのエネルギー変動補正 |
ENERGY COMPENSATION OF SLOW EXTRACTED BEAMS WITH RF ACCELERATION |
○藤本 哲也(加速器エンジニアリング株式会社) |
○Tetsuya Fujimoto (Accelerator Engineering Corporation) |
重粒子線治療施設では炭素イオンを治療に適したエネルギーまでシンクロトロンにより加速し、遅い取り出し法により約1秒かけてビームを取り出し患者に照射する。群馬大学重粒子線施設ではビームを少し加速することで3次共鳴による遅い取り出しを実現している。電場を利用した取り出しのため素早いビームの遮断が可能であるが、加速のプロセスにより取り出されたビームは体内飛程に時間変化をもたらす。従来の拡大ビーム照射法においては複数回の照射によりこの変化量は平均化される。しかし、現在治療利用に向けてR&Dが進められているペンシルビームによる3次元スキャニング照射ではこのような平均化が期待できないことから、この飛程変化を抑制する研究に取り組んだ。エネルギー変動を抑制するために、高エネルギーイオンが物質中を通過した時に生じるエネルギーロスを利用した回転エネルギーアブソーバーシステムを考案した。装置を新たに開発、製作し検証実験を行った所、1スピル中でのBragg-peakの位置変動を0.2mm以下に抑えられることを確認した。一方、アブソーバー厚を変化させるため横方向のビーム広がりは時間とともに変化する。散乱角が変化してもアイソセンターで時間変化のない小さいスポットを実現するため、アブソーバーの最適な配置およびビーム輸送ラインの光学設計の検討を行った。その結果アイソセンタースポットサイズを小さく一定に保てる解を見つけることができた。 |