TUP001  ハドロン加速器  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
J-PARC MR における大強度ビーム取り出し時の空胴電圧変動
Cavity voltage variation at beam extraction in the J-PARC MR
 
○田村 文彦,吉井 正人,大森 千広,山本 昌亘,野村 昌弘,島田 太平,長谷川 豪志,原 圭吾(J-PARCセンター)
○Fumihiko Tamura, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Masahobu Yamamoto, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara (J-PARC center)
 
J-PARC MR は現在、ニュートリノ実験に約390kW の大強度陽子ビームを 供給している。ビームはキッカー電磁石を用いた速い取り出しにより取り出されるが、 ビームの取り出し直後に20マイクロ秒程度の短時間空胴電圧が跳ね上がることがわかった。 これは、RFフィードフォワード法によるビームローディング補償信号が、ビーム取り出し後も 系の遅延時間だけ出続けることが原因である。MR では高い加速電圧を発生させるために、 金属磁性体空胴を採用しているが、Q 値が 22 と低いために、ビーム負荷の急激な変動に 対して 10マイクロ秒程度の応答時間で反応してしまう。ビーム強度の増加につれ、 電圧の跳ね上がりが増加傾向にあり、この電圧の跳ね上がりは共振用の真空コンデンサの寿命に 関連があると考えられるため、対策が必要である。 MR の LLRF システムにおいては、サムアンプによりドライブ信号と フィードフォワード信号を合成しており、サムアンプには出力インヒビットのための 高速半導体スイッチが内蔵されている。インヒビット入力にビーム取り出しに合わせたタイミングで ゲートを入力することで、ドライブ信号およびフィードフォワード信号を抑止し、真空管の 出力を急に減少させることで、空胴電圧の跳ね上がりを減らすことができた。 本発表では、跳ね上がりの抑止の結果およびビームローディングの解析について示す。