TUP047  粒子源  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
NEA-GaN系スピン偏極電子源の実現可能性の追求
Search for feasibility of the NEA-GaN type spin polarized electron source
 
○宮内 智寛(名大院工),山本 尚人,金 秀光(KEK),真野 篤志,保坂 将人,持箸 晃,高嶋 圭史(名大SRセンター),加藤 政博(UVSOR)
○Tomohiro Miyauchi (Graduate School of Engineering, Nagoya University), Naoto Yamamoto, Xiuguang Jin (High Energy Accelerator Research Organization, KEK), Atsushi Mano, Masahito Hosaka, Akira Mochihashi, Yoshifumi Takashima (Synchrotron Radiation Research Center, Nagoya University), Masahiro Katoh (UVSOR Facility, Institute for Molecular Science)
 
我々は、次世代加速器への応用を目指して、フォトカソードを用いたスピン偏極電子源の開発を行っている。スピン偏極電子源の開発では、90%以上の高い偏極度を維持しつつ量子効率を向上させることが目標の一つである。 スピン偏極度と量子効率の両立には、超格子層の膜厚を増加させる手段は非常に有用である。近年、歪み補償型超格子構造を持ったGaAs系半導体を用いることで従来の数倍の厚さの活性層を持つ電子源の作製が可能となり、スピン偏極度92%・量子効率1.6%を同一のサンプルで達成している。 しかし同時に、我々の行った実験データの解析では、GaAs系歪み補償超格子構造の電子源における、スピン偏極度と量子効率のこれ以上の向上は理論的に困難であることが示唆されている。 そこで我々はGaN系半導体を用いた電子源の開発に着手した。立方晶系GaNは、GaAsの物性値と比較して、従来よりも高い値でスピン偏極度と量子効率を両立できることが見込まれる。GaN系フォトカソードに関する研究は前例が乏しいため、本研究では物性値や過去の解析結果などを参考にその実現可能性について考察している。また、立方晶系GaNは入手が困難である為、本研究では入手が容易な六方晶系GaNの電子源サンプルを用いて実験的にもその実現可能性を追求している。 本発表ではGaN系スピン偏極電子源の実現可能性について述べると同時に、六方晶系GaNの電子源サンプルの実験データについても報告する。