TUP051  レーザー  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
レーザー荷電変換入射実現に向けた高出力レーザー蓄積リング
Laser storage ring with high power for realization of laser stripping injection
 
○原田 寛之,サハ プラナブ クマル,加藤 新一,金正 倫計(J-PARC, 原子力機構),山根 功,入江 吉郎(高エネ研)
○Hiroyuki Harada, Pranab Kumar Saha, Shinichi Kato, Michikazu Kinsho (J-PARC, JAEA), Isao Yamane, Yoshiro Irie (KEK)
 
大強度陽子加速器では、線形加速器で加速された負水素イオンの2つの電子を円形加速器の入射点に設置された荷電変換用炭素膜にて剥ぎ取り、陽子へと変換しながら多周回にわたり入射することで、大強度陽子ビームを形成している。この入射手法は、大強度の陽子ビームを生成できる反面、周回する陽子ビームが膜への衝突を繰り返すことで、ビーム自身が散乱され制御不能なビーム損失が原理的に発生する。加えて、大強度出力ではビームの衝突時の熱や衝撃による膜の破壊が生じる。大強度陽子ビームの出力や運転効率は、空間電荷効果やビーム不安定性による主要なビーム損失以外にもこのビーム損失による残留線量や膜の寿命によっても制限される。そのため、さらなる大強度出力には炭素膜を用いた荷電変換入射に代わる新たな入射手法が必須となる。J-PARC 3GeVシンクロトロンでの設計出力を超える大強度化に向けて、レーザーにて電子剥離を行う「レーザー荷電変換入射」を新たに考案し研究開発を進めている。入射パルス長0.5msに324MHzで入射されるビームへのレーザー照射には既存のレーザーの2桁以上の出力が必要となる。この大きな課題を克服すべく、レーザーを再利用する形で連続的にビームへの照射を可能とする「高出力レーザー蓄積リング」の開発を目指している。本発表では、レーザー荷電変換入射の概要を紹介し、開発を行う高出力レーザー蓄積リングを説明する。