TUP104  真空  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
ビームラインにおけるキッカー電磁石エリアの真空性能向上
Vacuum improvement for kicker magnet area in accelerator beam line
 
○神谷 潤一郎,柳橋 亨,荻原 徳男,金正 倫計(日本原子力研究開発機構)
○Junichiro Kamiya, Toru Yanagibashi, Norio Ogiwara, Michikazu Kinsho (Japan Atomic Energy Agency)
 
真空容器内の構造物を脱ガスする一般的手法は、真空容器の大気側に設置したヒーターで真空容器を加熱し、容器からのふく射や伝導で構造物を昇温することである。しかし加速器のビームラインでは、真空容器の熱膨張が周辺機器へ負荷を及ぼすこと等の理由で、この手法がとれない場合がある。真空容器を加熱することなく、内部構造物のみを昇温することができればそのような問題は解決できる。そのために,ヒーターを真空容器内部へ導入し,熱源と真空容器の間を熱遮蔽し、熱流量を構造物へ向ければよい。J-PARC 3GeVシンクロトロンのビーム出射用キッカー電磁石は、そのような手法を用いて脱ガスを行いたい真空内装置の一つである。我々は、キッカー電磁石をビームラインに設置した状態で脱ガスするために、熱源を真空容器内に導入する手法の試験を行った。結果、複数枚の熱遮蔽板を用いることで、真空容器の温度上昇を抑えた上で、キッカー電磁石を昇温・脱ガスできることを実証した。現在実機へのインストールの準備中である。発表では実証試験の結果、実機に適用するヒーター及び反射板の設計について述べる。さらにビームラインのキッカー電磁石エリアの排気速度増加と合わせて、同エリアの真空向上についての報告を行う。