TUP105  真空  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
SuperKEKB真空システムのコミッショニング
Commissioning of the SuperKEKB Vacuum System
 
○末次 祐介,柴田 恭,石橋 拓弥,白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(KEK)
○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi, Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK)
 
SuperKEKBは、5年以上にわたる建設を終え、2016年2月からコミッショニングを開始した。真空システムは4 GeV陽電子リングの約90%、7GeV電子リングの約20%のビームパイプや真空コンポーネントが新規のものに置き換えられた。2月のビーム運転開始以来、蓄積ビーム電流は徐々に増え、5月中旬までに陽電子リング、電子リングには、それぞれ、745 mA、685 mAが蓄積された。積分ビーム電流(ビームドーズ)は、それぞれ、約350 Ah、約300Ahである。真空システムではこれまで大きな問題を生じず、順調に稼働している。新たに導入された制御システムも問題なく働いている。KEKB時に開発された新しい構造や機能を持つベローズチェンバー、フランジ、コリメータ等の温度も問題ない。今回のビーム運転の大きな目的の一つは、ビームパイプの真空焼き(放射光によるビームパイプ表面からの脱ガス)であるが、単位電流あたりの圧力上昇はビームドーズ増加とともに順調に下がっている。ビーム運転時の残留ガスはNEGを主ポンプとるす排気系では典型的な分圧となっている。陽電子リングではビームパイプ内の電子密度も測定しており、新規ビームパイプのアンテチェンバー構造やTiNコーティングの電子密度低減効果も見え始めている。ここでは、コミッショニング中に得られた成果や発生した問題などを報告する。