TUP117  加速器応用・産業利用  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
中性子反射率法を用いた金属磁性体コア防水膜の性能評価
Study of waterproof thin-layers for the magnetic alloy core by neutron reflectivity
 
新関 智丈,永山 紗智子,長谷川 良雄(アート科学),吉井 正人(KEK),下村 昭夫(下村漆器店),佐原 雅恵,宮田 登,○阿久津 和宏(CROSS)
Tomotake Niizeki, Sachiko Nagayama, Yoshio Hasegawa (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Akio Shimomura (Shimomurashikkiten Co., Ltd.), Masae Sahara, Noboru Miyata, ○Kazuhiro Akutsu (CROSS)
 
J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。PHPSは簡易かつ効率的にコーティング膜を形成できる優れた材料であるが、そのコーティング膜の構造と防水性能に関する詳細は明らかとなっていない。本研究では、シリコン基板上にPHPS及び疎水性Me-PHPSのコーティング膜を作成し、そのコーティング膜に対する水の浸透状態を中性子反射率法により調べることで、その防水メカニズムを考察した。 中性子反射率の測定は、J-PARC/MLF BL17に設置された偏極中性子反射率計「写楽」で行った。中性子反射率データ解析の結果、PHPS膜の場合は表面から40nmの深さまで水が浸透するが、Me-PHPS膜の場合は表面から15 nm程度の深さまでしか水が浸透していないことが明らかとなった。どちらも表面で水の浸入を防いでいるが、疎水性メチル基を有するMe-PHPSはより防水効果が高いことが示された。発表では、中性子反射率解析結果の詳細について示しながら、その防水性能と構造の関係について詳しく議論する。