TUP124  加速器応用・産業利用  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
パルスラジオリシスシステム高度化のためのファイバーレーザーの開発
Development of a Fiber Laser for Improving the Pulse Radiolysis System
 
○齊藤 悠太郎,添田 雄史,鷲尾 方一(早稲田大学),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),保坂 勇志(早稲田大学)
○Yutaro Saito, Yushi Soeta, Masakazu Washio, Kazuyuki Sakaue, Yuji Hosaka (Waseda uni)
 
物質に放射線を照射するとラジカル、イオン、励起状態など中間活性種と呼ばれる短寿命で反応性が高い物質が生成される。中間活性種はその後周囲の物質などと反応する。このときの主な化学反応は初期過程における中間活性種によって決定する。つまり、反応初期過程における中間活性種の挙動を知ることはその後の放射線化学反応の理解・制御において重要である。パルスラジオリシスとは電子線パルスを用いることにより中間活性種の挙動を測定する方法であり、早稲田大学ではこのパルスラジオリシス法を採用している。放射線源には早稲田大学で所有しているフォトカソード高周波電子銃を用いている。現在はパルスラジオリシス高度化に向けた分析光の開発としてSC(Super Continuum)光の開発を目的とし研究を行っている。 早稲田大学ではYbファイバーレーザーとPCF(Photonic Crystal Fiber)を用いたSC光の開発を行ってきた。しかし、可視光領域における安定な分析光の実現には至っていない。そこで昨年度、分析光源として新たにErファイバーレーザー発振器を作成した。現状では発振の確認、非線形結晶を用いた二次高調波の発生、それを用いたns領域での水和電子の測定に成功している。本発表では可視光領域におけるSC光生成及びps領域における測定に向けた発振器の改良、測定高度化のためのパルスラジオリシスシステムの改良、水和電子の線量率効果の影響の分析等の研究状況に関して報告する。