TUP130  加速器応用・産業利用  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
ガフクロミックフィルムの低エネルギーイオンビーム強度分布計測への適用
Application of a Gafchromic film to the intensity distribution measurement of low-energy ion beams
 
○百合 庸介,鳴海 一雅,湯山 貴裕(量研機構高崎研)
○Yosuke Yuri, Kazumasa Narumi, Takahiro Yuyama (QST/Takasaki)
 
フィルム線量計の一種である、ガフクロミックフィルム(Ashland Inc.)は、元来X線やγ線による放射線治療の品質保証に用いられるとともに、数100MeV/uの高エネルギーイオンビームによる粒子線治療における線量分布計測にも利用されている。一方で、高い空間分解能で簡便な計測が行えるという利点から、1〜10MeV/uオーダーのイオンビームの2次元強度分布計測等にも用いられており、加速器技術として利用が拡大している。本研究では、表面保護膜がなく感受層が剥き出しのガフクロミックフィルムHD-V2に着目し、より低いエネルギーのイオンビームへの適用可能性を検討した。そこで、量研機構高崎研のイオン照射研究施設TIARAのサイクロトロン、タンデム加速器、イオン注入装置において、27MeV/uから1.5keV/uの広いエネルギー範囲のイオンビームをHD-V2フィルムへ照射し、その着色応答特性を調べた。その結果、10keV/uオーダーまでのイオン照射によって実用上有意な吸光度変化が生じることが分かった。さらに、HD-V2フィルムが、そのような低エネルギーイオンビームの2次元照射野分布計測に利用できることを実証した。