WEOL10  加速器土木・放射線防護2/粒子源2  8月10日 国際会議室 14:10 - 14:30
3次元PIC解析による重粒子線治療ISOLシステム用1価イオン源の最適化
Optimization of singly charged ion source with 3-D PIC simulation
 
○片桐 健,野田 章,永津 弘太郎,涌井 崇志,野田 耕司(放医研)
○Ken Katagiri, Akira Noda, Kotaro Nagatsu, Takashi Wakui, Koji Noda (QST/NIRS)
 
重粒子線治療において,PET装置で照射野をリアルタイムに検証する技術を実現するために,Isotope Separation On-Line (ISOL)法により11CビームをHIMACシンクロトロンから供給することを計画している.この方法では,小型サイクロトロンによるプロトン照射で生成された11C分子をイオン化して加速する.このイオン化のプロセスでは,まず1価イオンを生成し不要な同位体を分離した後に,目的の11C+イオンをEBISイオン源に入射して荷電増幅を行う.このISOLシステムに用いる低エネルギー電子ビーム1価イオン源の開発を現在進めている.限られた生成量の11C分子から,治療に要求される量の11Cイオンを生成するためには,1価イオン源は少なくとも~0.1%のC+イオンの生成効率を達成しなければならない.このイオン化効率を得るためには,イオン源内ドリフトチューブにおける電子ビーム実効電流量が100 mA以上必要であると見積もられている.この実効電流量を達成するために,イオン源内電極構造の最適化を行った.この最適化は,新たに開発したPIC (Particle in Cell) 法を用いた3次元粒子計算コードにより,電子ビームの軌道を解析することで行った.本発表では,これらの計算結果と実験結果の比較を示すと共に,最適化されたイオン源の性能を議論する.