WEOM13  光源加速器  8月10日 会議室201 15:20 - 15:40
SACLAマルチビームライン運転に向けての取り組み
Toward the multi-beamline operation of SACLA
 
○原 徹,稲垣 隆宏(理化学研究所),近藤 力(高輝度光科学研究センター),渡川 和晃(理化学研究所),深見 健司(高輝度光科学研究センター),中澤 伸侯(スプリングエイトサービス(株)),大竹 雄次,田中 均(理化学研究所)
○Toru Hara, Takahiro Inagaki (RIKEN), Chikara Kondo (JASRI), Kazuaki Togawa (RIKEN), Kenji Fukami (JASRI), Shingo Nakazawa (SPring-8 Service), Yuji Otake, Hitoshi Tanaka (RIKEN)
 
高輝度電子ビームを必要とするXFELは線型加速器を用いることから、通常1本のビームラインにしか電子ビームを送ることができない。これは蓄積リングベースの放射光施設と比較して、利用効率が劣る要因となっている。XFEL利用実験枠への要望が増加している今日、施設利用効率の改善に向け、電子ビームをバンチ毎に複数ビームラインへ振り分けるマルチビームライン運転の実現が重要な課題となっている。 SACLAでは2015年1月に線型加速器出口にキッカーとセプタム電磁石を設置し、マルチビームライン運転試験を行ってきた。これまでに30 Hzの電子ビームをBL2とBL3へ振り分け、2本のビームラインで同時レーザー発振を達成している。しかしながら、BL2へのドッグレッグビーム輸送路におけるCSR効果の影響で、ピーク電流を上げた時に電子ビーム軌道や電子バンチ形状が不安定になり、現状安定したレーザー発振を得るにはピーク電流やレーザーパルス出力を通常の約半分に制限しなければならない。そこでCSR効果を抑制するため、ドッグレッグ部の偏向電磁石を4台に増やした新しいビーム光学系を2016年1月に導入する予定である。新光学系では、偏向電磁石間のベータトロン振動の位相差を制御することで、CSRが電子ビームに与える横方向の影響をキャンセルする。本発表では、新しく導入するビーム光学系および現在製作を進めているキッカー電磁石などについて報告する。