合同セッション (8月29日 13号館1325/1326教室) | |
9:40-10:10 | |
TUOP01 p.1 | 日大LEBRAにおける加速器光源の開発とその現状 The development and the current status of the accelerator-based light sources at LEBRA, Nihon University ○早川 恭史,早川 建(日大LEBRA),長瀬 敦(日大理工),境 武志,宍倉 文夫(日大LEBRA),住友 洋介(日大理工),高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA) ○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa (LEBRA, NU), Atsushi Nagase (CST, NU), Takeshi Sakai, Fumio Shishikura (LEBRA, NU), Yoske Sumitomo (CST, NU), Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, NU) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA: Laboratory for Electron Beam Research and Application)は125MeV電子リニアックによる加速器光源施設である。光源開発は自由電子レーザー(FEL: free electron laser)計から始まり、2001年に近赤外領域でのファーストレージングを達成した。2003年から近赤外FELの利用研究への提供を開始している。FELに加え、単結晶に電子ビームを照射することで発生する、パラメトリックX線放射(PXR: parametric X-ray radiation)を原理とするエネルギー可変単色X線源の開発に着手し、2004年にX線ビームの観測に成功した。PXR線源の利用研究も2005年から始まり、主に先端的なX線イメージングで成果が得られている。2012年からは産総研との共同研究としてTHz領域のコヒーレント放射光源の開発を開始した。放射源としては偏向電磁石でのシンクロトロン放射およびエッジ放射、薄膜ターゲットを用いた遷移放射を用いているが、リニアックの短い電子バンチに起因して、数サイクルの短パルスでバンド幅の広いTHz光が得られている。THz光についても、2017年から利用研究への提供を行っている。3種類の光源により広い波長範囲をカバーする加速器光源施設は世界的にも他に例がない。大学附置の中規模加速器で実現したことも特色である。また、加速器施設側の機器開発で終わらず、各光源が実際に利用研究に用いられてきたことも大きな特徴といえる。日大LEBRAにおける光源開発の歴史を振り返るとともに、施設が現状抱える問題や将来的な展望について報告する。 |
10:10-10:40 | |
TUOP02 p.6 | NanoTerasu加速器コミッショニング Commissioning of NanoTerasu accelerator system ○西森 信行,安積 隆夫,上島 考太,小原 脩平,菅 晃一,保坂 勇志(量子科学技術研究開発機構),青木 駿尭,浅野 博之,伊藤 優仁,伊原 彰,岩下 大器,及川 治彦,門脇 聖弥,小林 創,小林 秀樹,齋田 涼太,櫻庭 慶佑,杉本 兼人,高橋 隼也,土山 翼,西川 雅章,芳賀 浩一(量子科学技術研究開発機構, NAT),渡部 貴宏,石井 美保,糸賀 俊郎,岩井 瑛人,大石 真也,大島 隆,近藤 力,櫻井 辰幸,小路 正純,杉本 崇,高野 史郎,田村 和宏,深見 健司,細田 直康,馬込 保(高輝度光科学研究センター, 理研 放射光科学研究センター, QST),青木 毅,上田 庸資,岡田 謙介,川瀬 守弘,清道 明男,佐治 超爾,谷内 努,谷内 友希子,出羽 英紀,濱野 崇,藤田 貴弘,正木 満博,増田 剛正,松原 伸一,柳田 謙一,山口 博史(高輝度光科学研究センター, QST),安積 則義,斗米 貴人(高輝度光科学研究センター, 理研 放射光科学研究センター),稲垣 隆宏,早乙女 光一,高橋 直,田中 隆次,前坂 比呂和(理研 放射光科学研究センター, 高輝度光科学研究センター),田中 均,原 徹,平岩 聡彦,福井 達,松井 佐久夫(理研 放射光科学研究センター),井上 忍,熊澤 寛介,酒井 康平,住友 博史,勢納 敏雄,竹迫 涼一,田中 信一郎,森谷 佳津貴,山本 龍,横町 和俊,吉岡 正倫(スプリングエイトサービス),惠郷 博文(高エネルギー加速器研究機構) ○Nobuyuki Nishimori, Takao Asaka, Kota Ueshima, Shuhei Obara, Koichi Kan, Yuji Hosaka (QST), Toshitaka Aoki, Hiroyuki Asano, Katsumasa Ito, Akira Ihara, Taiki Iwashita, Haruhiko Oikawa, Masaya Kadowaki, Hajime Kobayashi, Hideki Kobayashi, Ryota Saida, Keisuke Sakuraba, Kento Sugimoto, Shunya Takahashi, Tsubasa Tsuchiyama, Masaaki Nishikawa, Koichi Haga (QST, NAT), Takahiro Watanabe, Miho Ishii, Toshiro Itoga, Eito Iwai, Masaya Oishi, Takashi Oshima, Chikara Kondo, Tatsuyuki Sakurai, Masazumi Shoji, Takashi Sugimoto, Shiro Takano, Kazuhiro Tamura, Kenji Fukami, Naoyasu Hosoda, Tamotsu Magome (JASRI, RIKEN SPring-8 Center, QST), Tsuyoshi Aoki, Yosuke Ueda, Kensuke Okada, Morihiro Kawase, Akio Kiyomichi, Choji Saji, Tsutomu Taniuchi, Yukiko Taniuchi, Hideki Dewa, Takashi Hamano, Takahiro Fujita, Mitsuhiro Masaki, Takemasa Masuda, Shinichi Matsubara, Kenichi Yanagida, Hiroshi Yamaguchi (JASRI, QST), Noriyoshi Adumi, Takato Tomai (JASRI, RIKEN SPring-8 Center), Takahiro Inagaki, Koichi Soutome, Sunao Takahashi, Takashi Tanaka, Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center, JASRI), Hitoshi Tanaka, Toru Hara, Toshihiko Hiraiwa, Toru Fukui, Sakuo Matsui (RIKEN SPring-8 Center), Shinobu Inoue, Hirosuke Kumazawa, Kohei Sakai, Hiroshi Sumitomo, Toshio Seno, Ryoichi Takesako, Shinichiro Tanaka, Katsuki Moriya, Ryu Yamamoto, Kazutoshi Yokomachi, Masamichi Yoshioka (SES), Hiroyasu Ego (KEK) 3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuを2024年度運用開始に向けて整備中である。蓄積リングは4BA(4-Bend Achromat)ラティスで低エミッタンス化し、入射3GeV線型加速器はC-band加速システムを採用して全長を110mとコンパクト化した。最先端技術導入に加えビーム安定性や機器保守性を意識して建屋も含めて整備した。2021年12月から開始した建屋への加速器据付作業は無災害で順調に進捗し、2023年5月末に完了予定である。線型加速器と蓄積リング加速器システムは、遮蔽壁で放射線管理区域としてお互いに分離されている。線型加速器は2023年2月に管理区域に設定され、Cバンド加速管コンディショニングを開始した。4月17日に電子銃運転を開始し、4月27日にはCバンド加速管下流偏向磁石によるエネルギー分析で3GeV加速を確認した。現在は詳細な調整運転を継続している。蓄積リングトンネルは蓄積リング加速空胴の配線配管作業、電磁石の通電試験、アンジュレータやフロントエンドの調整作業を進めている。2023年5月29日に予定している管理区域設定後に、リング加速空胴のコンディショニング、線型加速器からのビーム輸送、リングへのビーム入射、蓄積の順にコミッショニングを続ける予定である。本講演ではNanoTerasu加速器の据付、コミッショニング状況を報告する。また、他の次世代放射光施設の動向についても簡単に触れる予定である。 |
10:40-11:10 | |
TUOP03 | CERN AD/ELENA における反物質研究 Antimatter research at CERN AD/ELENA ○黒田 直史(東京大学 ) ○Naofumi Kuroda (University of Tokyo) 2000 年から稼動した CERN の反陽子減速器(Antiproton Decelerator, AD)は, 5.3MeV (100 MeV/c) の反陽子ビームを供給する施設で、そこでは 2002 年に陽電子プラズマに反陽子を混合することで初めて冷たい反水素原子が合成され、以後トラップを始めとする実験手法の開発にともなって CPT 対称性のテストを目的とした反水素原子の精密分光が行われるまでになった。2018 年からは AD に追加する形で反陽子の新たな減速リング(Extra Low ENergy Antiproton ring, ELENA)が稼動を始め、100 keV の反陽子ビームが提供されるようになり、より多くの反陽子が原子物理的実験に利用できるようになった。現在、AD/ELENA では、トラップ中での非中性プラズマの制御や、反陽子や陽電子の低エネルギービーム生成などの様々な手法によって反水素原子を合成し、分光による CPT 対称性のみならず、反水素原子を使った弱い等価原理の検証実験も進められている他、反陽子の磁気モーメントや質量、荷電半径の測定実験が進められている。また、ELENA からの他にない低速反陽子ビームを使って、反陽子原子の生成と分光や、反陽子と原子衝突過程の研究、原子核との散乱・消滅実験など種々の研究も提案され行われている。それらの実験の現状と成果を紹介する。 |
11:10-11:40 | |
TUOP04 | FRIBにおけるユーザー実験のためのビームコミッショニングと同位体精製 Beam commissioning and isotope purification for FRIB user experiments ○福島 慧,Hausmann Marc,Hwang Kyung,丸田 朋史,Ostroumov Peter,Plastun Alexander,Portillo Mauricio,Sherrill Bradley,Steiner Mathias,Tarasov Oleg,Zhang Tong,Zhao Qiang(FRIB, MSU) ○Kei Fukushima, Marc Hausmann, Kyung Hwang, Tomofumi Maruta, Peter Ostroumov, Alexander Plastun, Mauricio Portillo, Bradley Sherrill, Mathias Steiner, Oleg Tarasov, Tong Zhang, Qiang Zhao (FRIB, MSU) The Facility for Rare Isotope Beams (FRIB) consists of a superconducting driver linac and a secondary beam separator for user experiments in nuclear physics, nuclear astrophysics, fundamental symmetries, etc. The FRIB linac is designed to accelerate all stable ions for up to 400kW at energies of 200MeV/u or above, and the Advanced Rare Isotope Separator (ARIS) collects and purifies the rare isotope fragments of interest. ARIS comprises a vertical pre-separator and a horizontal separator section and supports various operational modes, including momentum compression using a wedge shape degrader. After the completion of the linac commissioning in January 2022, the commissioning of ARIS was conducted. The first user experiments started in May 2022, and the Program Advisory Committee phase 1 (PAC1) experiments continue to operate with power ramp-up in between. We performed the beam tuning with on-the-fly numerical simulations and demonstrated particle identification of fragments for users. Results and findings obtained from commissioning and early operation will be reported. |
企画セッション① (8月29日 13号館1325/1326教室) | |
15:40-16:40 | |
TUSP01 p.12 | 加速器施設における安全性向上への取り組み Various efforts to improve safety at accelerator facilities ○別所 光太郎(J-PARCセンター (KEK)) ○Kotaro Bessho (J-PARC Center (KEK)) 加速器施設においては、放射線の遮蔽や作業者の被ばく管理、インターロック等の放射線安全管理の観点のみならず、大電力機器やクレーン等の大型設備、高圧ガスや冷媒、絶縁油等の危険物、酸欠リスクへの対処、高所における作業など、様々なリスクに対する安全確保も重要な課題となる。また、加速器施設内での火災や放射線事故等の災害発生時における緊急時対応のための備えも重要な課題である。加速器施設のコミュニティー全体で連携して多方面から安全性を向上させることを目指して行われている「加速器施設安全シンポジウム」1) では、毎回設定する異なるテーマを中心に、加速器施設における安全に関わる課題と解決のための様々な取り組みが紹介され、有益な情報共有と施設間での交流がはかられている。本報告では、同シンポジウムや加速器学会を含む様々な学会等でこれまでに紹介されてきた加速器施設における安全上の課題への対処や技術面からの取り組み、海外の加速器施設における特徴的な取り組みなどに加え、J-PARCにおいて放射性物質漏えい事故(2013年)を教訓に取り組み続けてきた、安全に関わる活動等を紹介する。 1) 加速器施設安全シンポジウムHP: http://j-parc.jp/safety/safe-sympo/index.html |
学会賞受賞講演 (8月29日 13号館1325/1326教室) | |
18:00-18:20 | |
TUPP01 | 大電流パルスビーム陽子線形加速器のビーム負荷補償システムの研究開発 Development of a beam loading compensation system for a high current pulsed beam proton linear accelerator ○二ツ川 健太,Ersin Cicek,方 志高,福井 佑治,溝端 仁志(高エネルギー加速器研究機構),佐藤 福克(NAT),篠崎 信一(日本原子力研究開発機構) ○Kenta Futatsukawa, Cicek Ersin, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Satoshi Mizobata (KEK), Yoshikatsu Sato (NAT), Shinichi Shinozaki (JAEA) J-PARCリニアックなどの大電流のパルスビームを持つ加速器において、低電力高周波制御システム内のビーム負荷補償の機能は、ビーム負荷が存在する場合でも空洞内の加速電界の高い均一性を確保して、出射ビームの運動量をパルス内で単色化するために重要な役割を果たす。一方で、実際には大電力高周波機器やビームの状態の変動があり、ビーム負荷補償のための最適パラメータは常時に変動している。そこで、空洞を含む高周波系を実測した応答関数を基にしたモデル化を行い、周波数領域で最適パラメータを計算する適応型のビーム負荷補償システムを開発した。2~3回程度の計算で空洞電界は最適値に収束し、反復試行による誤差の蓄積はなく計算の試行回数を増やしても発散することはない。しかし、J-PARCリニアックのパルスビームは中間パルスと呼ばれる櫛型の構造を持っているが、上記の適応型のビーム負荷補償システムではFPGA内の設定配列の要素数の制約により対応することができない。そこで、外部から中間パルスと同じ構造の信号に基づいた制御を導入することで、中間パルス構造にも対応する方法を開発した。この手法では、中間パルスの一部を間引くビーム試験時のビーム負荷にも適応することができることを実証した。 本講演では、これらの開発したビーム負荷補償システムの紹介をする予定である。 |
18:20-18:40 | |
TUPP02 | J-PARC ミュオンg−2/EDM精密測定実験に向けたミュオン線形加速器の開発 Development of a muon linac for the J-PARC muon g−2/EDM experiment ○中沢 雄河(理研仁科センター) ○Yuga Nakazawa (RIKEN Nishina Center) ミュオン異常磁気能率(g-2)は、標準理論による予測値と実測値に4.2標準偏差の乖離があり、未知の粒子などの新物理の兆候である可能性を示唆している。一方で、実測値は米国ブルックヘブン国立研究所及びフェルミ国立加速器研究所による同一の測定手法によるものしかなく、従来とは異なる測定手法で検証する意義は大きい。大強度陽子加速器施設J-PARCでは,ミュオンの冷却及び加速技術によって前例のない低エミッタンスミュオンビームを実現し,従来の手法では避けられないミュオンビーム由来の不定性を排除した新しいミュオンg-2測定実験を計画している。本発表では、実験の中核技術の一つであるミュオン高周波線形加速器の開発として、(1) RFQ (radio frequency quadropole) linacによるミュオン加速実証試験及びビーム診断系のコミッショニング、(2) RFQ下流に接続されるIH-DTL (interdigital H-mode drift tube linac)の設計・製作、低出力・高出力試験の結果について述べる。 |
光源加速器 (8月30日 13号館1325教室) | |
9:00-9:20 | |
WEOA1 | ゲルマニウム厚板における中赤外自由電子レーザの自己圧縮 Self compression of mid-infrared free electron laser in thick Germanium plate ○全 炳俊,大垣 英明(京大エネ研),羽島 良一(量研) ○Heishun Zen, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.), Ryoichi Hajima (QST) 京都大学中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)では希ガス中での高次高調波発生によるアト秒X線発生を目指して、共振器型自由電子レーザを用いた極短パルス大強度中赤外レーザの実現に挑戦している。これまでにパルス幅5サイクルを下回るdown chirpした超短パルス発生に成功しており、これをパルス圧縮により更に圧縮すべく、正の群速度分散を有するゲルマニウム製厚板(厚さ5, 30, 60mm)を挿入した。その結果、厚さ30mmのゲルマニウム厚板を挿入した際にFELのビーム半径が8.6mmと大きいにも関わらず、チャープ補償のみならず、非線形効果によるスペクトルの広帯域化が生じ、チャープ補償のみの場合に比べて短いパルス長が得られている事が判明した。スペクトルの広帯域化とパルス圧縮が同時に生じる現象は自己圧縮(self-compression)と呼ばれている。本研究は文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP、JPMXS0118070271)によるものである。 |
9:20-9:40 | |
WEOA2 p.17 | 単一サイクル自由電子レーザー発振を可能とする基本原理の実証 Experimental demonstration of the fundamental principle for single-cycle free electron lasers ○田中 隆次(理研放射光センター),貴田 祐一郎(高輝度光科学研究センター),橋本 智(兵庫県立大高度研),宮本 修治(兵庫県立大高度研/阪大レーザー研),富樫 格,冨澤 宏光(高輝度光科学研究センター/理研放射光センター),後長 葵,金島 圭佑,田中 義人(兵庫県立大理学) ○Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Yuichiro Kida (JASRI), Satoshi Hashimoto (University of Hyogo, LASTI), Shuji Miyamoto (University of Hyogo, LASTI/Osaka Univ. ILE), Tadashi Togashi, Hiromitsu Tomizawa (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Aoi Gocho, Keisuke Kaneshima, Yoshihito Tanaka (University of Hyogo, Science) 一般的な条件における自由電子レーザー(FEL)の光パルス長は、電子ビームに誘起される密度変調(=マイクロバンチ)の長さとほぼ等しいため、電子バンチを圧縮するか、シード光のパルス長を短くすることで短パルス化が可能である。しかしながら、マイクロバンチ長を発振波長よりも短くした極限の条件においても、理論下限である単一サイクルパルスの生成は不可能である。これは、電子がアンジュレータを通過する際に自身が放出した光から取り残される、いわゆる光スリッページと呼ばれる現象のためであり、単一サイクルFELを実現するためには、この効果を抑制する必要がある。我々はこれまでに、スリッページによるパルス伸長を抑制し、単一サイクルFELを実現するための新たな概念[1,2]を提唱するとともに、その基本原理を実証するための研究開発をニュースバル放射光施設の蓄積リングで進めてきた。2020年度までに必要な機器の整備が完了し、2021年度に本格的な実証実験を開始した。この結果、2022年2月に短パルスシード光を利用したコヒーレント光の発生に初めて成功し、約1年後の2023年2月に、基本原理である「チャープマイクロバンチによるコヒーレント光の短パルス化」を確認した。学会では、実証実験の概要と結果、及び理論計算との比較について報告する。 [1] T. Tanaka, Phys. Rev. Lett. 114, 044801 (2015) [2] Y. Kida et al., Appl. Phys. Lett. 109, 151107 (2016) |
9:40-10:00 | |
WEOA3 p.23 | 狭帯域チェレンコフ回折放射の研究 Study of narrow-band Cherenkov diffraction radiation ○熊谷 航平,南部 健一,武藤 俊哉,柏木 茂,鹿又 健,Kavar Anjali,工藤 滉大,柴田 晃太朗,高橋 健,長澤 育郎,日出 富士雄,山田 悠樹,濱 広幸(東北大電子光) ○Kohei Kumagai, Kenichi Nanbu, Toshiya Muto, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Anjali Kavar, Kodai Kudo, Kotaro Shibata, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Fujio Hinode, Hiroki Yamada, Hiroyuki Hama (ELPH,Tohoku Univ) 当研究グループでは、東北大学電子光理学研究センターの試験加速器(t-ACTS)において狭帯域チェレンコフ回折放射の研究を進めている。電子ビームが周期構造を持つラジエーター近傍を通過することで放射されるチェレンコフ回折放射は、干渉効果により狭帯域化することが期待され、テラヘルツ光源等に応用が可能であると考えられる。周期長0.8mm,周期数40の高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene ;HDPE)製のラジエーターを使用したテスト実験を計画している。本発表では、テスト実験の実験結果および今後の展望について発表する。 |
10:00-10:20 | |
WEOA4 p.27 | 3次元数値計算を用いたスミス=パーセル放射における表面電流モデルの評価 Evaluation of surface current model in Smith-Purcell radiation using 3-D numerical calculation ○山田 悠樹,武藤 俊哉,日出 富士雄,柏木 茂,南部 健一,カヴァール アンジャリ,熊谷 航平,長澤 育郎,鹿又 健,高橋 健,柴田 晃太朗,濱 広幸(東北大電子光) ○Hiroki Yamada, Toshiya Muto, Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Kennichi Nanbu, Anjali Kavar, Kouhei Kumagai, Ikuro Nagasawa, Ken Kanomata, Ken Takahashi, Koutaro Shibata, Hiroyuki Hama (ELPH) コヒーレントなスミス=パーセル放射は、ビーム非破壊のバンチ長モニターとしての利用が期待されている。 その際、バンチ形状因子の導出には、測定の条件に対応した既知の放射スペクトルが必要である。 従来、SCモデルを用いたSPRの評価では、表面電流は、真空中の電子バンチが発生する電場を用いて導出されていて、回折格子の前の周期の陰になる部分についてのshading効果は無視していた。 このことはしかし、加工が容易なblaze 角が浅いechelle型の回折格子を仮定した場合、陰に対応する格子面(facet#2)では、表面電流を過大に評価していることになる。 測定の条件に対応したより信頼性の高いSPRの評価のため、shading効果を考慮した3次元数値計算により表面電流を評価した。 このときfacet#2の寄与は表側に対応するfacet#1に比べ、かなり小さくなる。 t-ACTSの100fs秒ビームを用いて、コヒーレントSPRの観測を行った結果、Φ分布や偏光測定の実験との比較は良い一致を見せた。 バンチ長モニターへの応用に向け、他の要素を含めた3次元数値計算の向上について検討を行う。 |
ハドロン加速器 (8月30日 13号館1326教室) | |
9:00-9:20 | |
WEOB1 p.31 | RCNP AVFサイクロトロンのコミッショニングの進展 Progress of the commissioning of the RCNP AVF cyclotron ○神田 浩樹,福田 光宏,依田 哲彦,安田 裕介(阪大RCNP),中尾 政夫(群大GHMC),畑中 吉治,齋藤 高嶺,田村 仁志,森信 俊平,永山 啓一,吉田 英智,阿野 真治,友野 大,鎌野 寛之,青井 考,嶋 達志,井手口 栄治,大田 晋輔,小林 信之,古野 達也,今城 想平,村田 求基,山本 康崇,鈴木 智和,今 教禎,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文,荘 浚謙,Zhao Hang,橘高 正樹,松井 昇大朗,井村 友紀,渡辺 薫(阪大RCNP) ○Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Yuusuke Yasuda (RCNP), Masao Nakao (GHMC), Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Hitoshi Tamura, Shunpei Morinobu, Keiichi Nagayama, Hidetomo Yoshida, Shinji Ano, Dai Tomono, Hiroyuki Kamano, Nori Aoi, Tatsushi Shima, Eiji Ideguchi, Shinsuke Ota, Nobuyuki Kobayashi, Tatsuya Furuno, Sohei Imajo, Motoki Murata, Yasutaka Yamamoto, Tomokazu Suzuki, Yukiyoshi Kon, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Tsun Him Chong, Hang Zhao, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Kaoru Watanabe (RCNP) 大阪大学核物理研究センターにおいては2019年よりビーム強度の増大を目的とした施設改修および加速器のアップグレード工事を実施してきた。工事完了後の2021年よりビームを使用しない機器類のコミッショニングを行い、放射線許可利用に係る変更申請の許認可が下りた2022年からは実際にビームを通したコミッショニングを実施してきた。これらのコミッショニングを通して、新たに導入した機器類の初期トラブルの洗い出し、さらに性能の改善を進めてきた結果、陽子ビーム、ヘリウムビームともにアップグレード前と同程度からさらに高いビーム電流が発揮できる状態となり、アップグレードの方向性の確かさを確認することができた。2022年度までのコミッショニングとビーム利用においては限られた種類のイオン、エネルギーのビームのみ供給を行ってきた。2023年度からは長期的な計画に基づいたビーム利用を再開しており、アップグレード前に供給していたイオン種、エネルギーのビームを再び供給できるようにさらなる調整や改善を行うとともに、共同利用実験者の求める新しい種類のビーム供給も行うべくコミッショニングを進めている。 |
9:20-9:40 | |
WEOB2 p.34 | High power continuous wave test of RF couplers for the RFQ of the Linear IFMIF Prototype Accelerator High power continuous wave test of RF couplers for the RFQ of the Linear IFMIF Prototype Accelerator ○De Franco Andrea(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST)),Caballero Cesar(University of Granada),Garcia Juan Manuel(CIEMAT),Gex Dominique(Fusion for Energy (F4E)),Gonzalez-Gallego Luis(University of Granada),廣澤 航輝,石村 光広,金子 尚美,近藤 恵太郎,久保 直也(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST)),Maindive Lucas(University of Granada),増田 開(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST)),Morales Juan Carlos(University of Granada),Moya Ivan(Fusion for Energy (F4E)),中山 尚英,成田 隆宏(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST)),Scantamburlo Francesco(Fusion for Energy (F4E)),杉本 昌義,柳町 太亮(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST)) ○Andrea De Franco (National Institutes for Quantum Science and Technology (QST)), Cesar Caballero (University of Granada), Juan Manuel Garcia (CIEMAT), Dominique Gex (Fusion for Energy (F4E)), Luis Gonzalez-gallego (University of Granada), Kouki Hirosawa, Kouhiro Ishimura, Naomi Kaneko, Keitaro Kondo, Naoya Kubo (National Institutes for Quantum Science and Technology (QST)), Lucas Maindive (Maindive), Kai Masuda (National Institutes for Quantum Science and Technology (QST)), Juan Carlos Morales (University of Granada), Ivan Moya (Fusion for Energy (F4E)), Takahide Nakayama, Takahiro Narita (National Institutes for Quantum Science and Technology (QST)), Francesco Scantamburlo (Fusion for Energy (F4E)), Masayoshi Sugimoto, Taisuke Yanagimachi (National Institutes for Quantum Science and Technology (QST)) The International Fusion Materials Irradiation Facility (IFMIF) is an accelerator-based high flux neutron source designed to test future fusion reactors materials. The Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) is designed to validate key components for IFMIF-like accelerators. LIPAc is designed to accelerate 125 mA D+ beams to 9 MeV in Continuous Wave (CW) with an Electron Cyclotron Resonance ion source (100 keV) and RFQ (5 MeV), a yet-to-be-installed SRF Linac, matching sections, and a beam dump. The RFQ requires 175 MHz RF input of up to 160 kW in CW from each of its 8 ports. During the RF conditioning of the cavity at high duty cycle, the RF coupler’s elastomers and alumina vacuum windows experienced damages. A second set of RF couplers has been designed and tested at low power with a high Q load circuit in 2016. In this work, we report the recent high-power tests (200 kW CW) of two couplers with a bridge cavity. We describe the setup, report results and the challenges encountered including severe multipacting in the bridge cavity. To conclude, we present an outlook of future tests. |
9:40-10:00 | |
WEOB3 p.40 | ISIS-II update ○David William Posthuma De Boer (ISIS, RAL, STFC, UKRI) ISIS, the spallation Neutron and Muon source at the Rutherford Appleton Laboratory in the UK, uses a 50 Hz, 800 MeV proton rapid cycling synchrotron (RCS) to provide an average beam power of 0.2 MW to its two fixed targets. Whilst demand to answer fundamental questions in materials science is growing, access to neutron research methods is expected to become more limited in Europe as reactor-based sources close. In answer to this, detailed studies for a new major pulsed neutron facility, ISIS-II, are now under way. Fixed-Field Alternating gradient accelerators (FFAs), accumulator rings and rapid cycling synchrotrons are being considered to provide the required MW beam power for this new facility. Progress on all three accelerator options will be summarized, and relevant experimental results demonstrating beam stacking at the KURNS FFA will be presented. |
10:00-10:20 | |
WEOB4 | J-PARC主リングの高繰り返し化改造後のビーム運転 The beam operation of J-PARC main ring after the first step of the high repetition upgrade ○佐藤 洋一(KEK/J-PARC) ○Yoichi Sato (KEK/J-PARC) 大強度陽子シンクロトロンであるJ-PARC主リング(MR)では、2028年度1.3 MW達成を目指した大強度増強計画の一環として、2021年夏から加速器周期の短縮化に向けた改造を進めている。2023年4月には、速い取り出し運転において760 kW相当のビーム加速に成功し、2021年度までの最大強度515 kWを大幅に超えたMR所期性能を示した。今後も更なる改造とビームロス低減調整を重ねながら高繰り返し化と陽子数増によるビーム強度増強を図っている。本発表では、ビーム強度増強調整の状況および今後の方針を報告する。 |
光源加速器/電子加速器/加速器技術(加速構造) (8月30日 13号館1325教室) | |
10:30-10:50 | |
WEOA5 | 高温超伝導テープのアンジュレータへの応用 HTS tapes for undulators ○金城 良太(阪工大),Calvi Marco(PSI) ○Ryota Kinjo (OIT), Marco Calvi (PSI) レアアース系高温超伝導テープは、液体ヘリウム温度までの冷却が不要で、強磁場下でも非常に高い臨界電流密度を維持し、加速器用磁石の有望な材料である。一方、その形状、臨界電流密度の磁場角度依存性と応力依存性、最小巻き半径の異方性などのため、金属系低温超伝導線材とは異なる設計が必要となる。例として、強磁場・短周期アンジュレータへの適用を考えた場合、非構造性の材料的な周期長と磁場強度のトレードオフが存在する。我々はスイスPaul Scherrer Instituteの挿入光源グループ、磁石グループと共同で高温超伝導テープを強磁場・短周期アンジュレータに適用する新手法の原理実証研究を開始した。本会議では本計画の核となるアイデアや研究計画について紹介する。本研究は、令和5年1月よりJSPSの国際共同研究事業『スイスとの国際共同研究プログラム(JRPs)』に採択され支援を受けている。 |
10:50-11:10 | |
WEOA6 p.45 | PF-AR 5 GeV運転時におけるPFとの同時トップアップ入射のコミッショニング及びユーザー運転への適用 Commissioning and application to user-run of simultaneous top-up operation of PF and PF-AR in 5 GeV ○東 直,満田 史織,長橋 進也,原田 健太郎,下崎 義人,野上 隆史,内山 隆司,中村 典雄,本田 融,佐藤 政則,岡安 雄一,榎本 嘉範,飯田 直子(KEK) ○Nao Higashi, Chikaori Mitsuda, Shinya Nagahashi, Kentaro Harada, Yoshito Shimosaki, Takashi Nogami, Takashi Uchiyama, Norio Nakamura, Tohru Honda, Masanori Satoh, Yuichi Okayasu, Yoshinori Enomoto, Naoko Iida (KEK) 高エネルギー加速器研究機構 (KEK)にあるPhoton Factory Advanced Ring (PF-AR)は6.5 GeVの放射光加速器である. 入射器 (Linac)からPF-ARへ直接電子を供給する新しい輸送路 (BT: beam transport line)が2017年に運用開始され、以後KEKにあるもう一つの光源加速器, Photon Factory (PF: 2.5 GeV)と合わせて同時にtop-up運転を行うことが可能となった. 運転時間を確保するため, PF-ARの周回エネルギーを本来の6.5 GeVから5 GeVへ下げた運転が2019年から開始された. しかしPFとPF-ARのBTが交差する点には, どちらの電子ビームにも作用する共通DC偏向電磁石が存在しており, PF-ARのエネルギーがBT設計の6.5 GeVから下がることによって, PF及びPF-ARの同時top-up運転は不可能となった. 2020年度の年会では, この問題を解決するための案をいくつか提示し, 2021年度に提案の1つが予算化, 昨年度 (2022年度)の夏にphase1の改造工事が実施された. 本発表では昨年度に実施したコミッショニングとユーザー運転への適用について報告する. |
11:10-11:30 | |
WEOA7 p.49 | 次世代放射光施設NanoTerasuの3 GeV線型加速器ビームコミッショニング状況 Installation and beam commissioning of 3 GeV linear accelerator in NanoTerasu ○安積 隆夫,上島 考太,小原 脩平,菅 晃一,保坂 勇志,西森 信行(QST),岩井 瑛人,糸賀 俊朗,大島 隆,岡田 謙介,清道 明男,近藤 力,櫻井 辰幸,杉本 崇,谷内 努,出羽 英紀,細田 直康,馬込 保,柳田 謙一(JASRI),安積 則義,稲垣 隆宏,田中 均,原 徹,前坂 比呂和,松井 佐久夫(RIKEN),青木 駿尭,伊藤 優仁,伊原 彰,岩下 大器,及川 治彦,門脇 聖弥,小林 創,小林 秀樹,齋田 涼太,櫻庭 慶佑,杉本 兼人,高橋 隼也,芳賀 浩一,土山 翼(NAT),井上 忍,熊澤 寛介,酒井 康平,住友 博史,勢納 敏雄,竹迫 涼一,田中 信一郎,森谷 佳津貴,山本 龍,横町 和俊,吉岡 正倫(SES) ○Takao Asaka, Kota Ueshima, Shuhei Obara, Koichi Kan, Yuji Hosaka, Nobuyuki Nishimori (QST), Eito Iwai, Toshiro Itoga, Takashi Oshima, Kensuke Okada, Akio Kiyomichi, Chikara Kondo, Tatsuyuki Sakurai, Takashi Sugimoto, Tsutomu Taniuchi, Hideki Dewa, Naoyasu Hoshoda, Tamotsu Magome, Kenichi Yanagida (JASRI), Noriyoshi Adumi, Takahiro Inagaki, Hitoshi Tanaka, Toru Hara, Hirokazu Maesaka, Sakuo Matsui (RIKEN), Toshitaka Aoki, Katsumasa Ito, Akira Ihara, Taiki Iwashita, Haruhiko Oikawa, Masaya Kadowaki, Hajime Kobayashi, Hideki Kobayashi, Ryota Saida, Keisuke Sakuraba, Kento Sugimoto, Syunya Takahashi, Koichi Haga, Tsubasa Tsuchiyama (NAT), Shinobu Inoue, Hiroyuki Kumazawa, Kohei Sakai, Hiroshi Sumitomo, Toshio Seno, Ryoichi Takesako, Shinichiro Tanaka, Kazuki Moriya, Ryo Yamamoto, Kazutoshi Yokomachi, Masamichi Yoshioka (SES) 次世代放射光施設NanoTerasuの3 GeV線型加速器は、2022年1月から加速器コンポーネントの設置作業が開始され、2023年1月に完了、そして、2月中旬よりRFシステム、電磁石、インターロックシステムなど全機器の動作試験、調整が予定通りに行われた。加速管やRFパルス圧縮空胴(SLED)などの大電力RFシステムは、約1ヶ月間のRFコンディショニングを実施した後、ビームコミッショニングが開始された。電子銃から生成される低エミッタンスビームは、あらかじめ計画された調整手順にしたがって機器パラメータが順次最適化され、ビームコミッショニング開始から2週間後には、目標ビーム性能である3 GeVのビームエネルギー、0.3 nCのビーム電荷量が確認され、規格化エミッタンスについても10 mm mrad以下(38 MeV入射部)の高品質ビームが生成されていることを確認した。本発表では、3 GeV線型加速器の設置作業状況、RFコンディショニング、そしてビームコミッショニングにおけるビーム調整について説明し、最終的に得られたビーム性能について述べる。 |
11:30-11:50 | |
WEOA8 p.54 | ILCに向けたSTF-2クライオモジュールによるILCスペックと同等の電流、パルス長を持った電子ビームの加速運転達成 Report of same pulse length and current electron beam acceleration as ILC specification with STF-2 cryomodules ○倉田 正和,山本 康史,加古 永治,梅森 健成,阪井 寛志,佐伯 学行,道前 武,マシュー オメット,片山 領,井藤 隼人,荒木 隼人,松本 利広,道園 真一郎,江木 昌史,明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,中島 啓光,早野 仁司,福田 将史,本田 洋介,島田 美帆,アレキサンダー アリシェフ(KEK),栗木 雅夫,伊達 圭祐,ザカリージョン リプタック(広島大学),坂上 和之(東京大学),仲井 浩孝,小島 裕二,原 和文,本間 輝也,中西 功太,清水 洋孝,近藤 良也,山本 明,木村 誠宏,荒木 栄,森川 祐,大山 隆弘,高原 伸一,増澤 美佳,植木 竜一(KEK),岩下 芳久,栗山 靖敏(京都大学) ○Masakazu Kurata, Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Takayuki Saeki, Takeshi Dohmae, Omet Mathieu, Ryo Katayama, Hayato Ito, Hayato Araki, Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Masato Egi, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Hitoshi Hayano, Masafumi Fukuda, Yosuke Honda, Miho Shimada, Aryshev Alexander (KEK), Masao Kuriki, Keisuke Date, Liptak Zachary (Hiroshima University), Kazuyuki Sakaue (The University of Tokyo), Hirotaka Nakai, Yuuji Kojima, Kazufumi Hara, Teruya Honma, Kouta Nakanishi, Hirotaka Shimizu, Yoshinari Kondou, Akira Yamamoto, Nobuhiro Kimura, Sakae Araki, Yu Morikawa, Takahiro Oyama, Shin-ichi Takahara, Mika Masuzawa, Ryuichi Ueki (KEK), Yoshihisa Iwashita, Yasutoshi Kuriyama (Kyoto University) KEKの超伝導リニアック試験施設(STF-2)において、2022年末までにSTF-2クライオモジュールの冷却試験が計8回実施され、2019年からはビーム運転も行われている。 STF-2では国際リニアコライダー(ILC)のスペックを満たす平均加速勾配(31.5MV/m)による、ILCスペックと同等のパルス長726μsec, バンチ電流5.8mA, ビーム強度21.7μAの 電子ビーム加速を目指して技術開発が行われてきた。これまでの加速空洞の運転結果として、9空洞平均で33MV/mの加速勾配が得られており、これはILCの要求スペックに対して5%の マージンでの運転を実現したことになる。また、2021年11-12月の運転におけるパルス長100μsecのビーム運転で得られた経験を活かして、 2022年11-12月のビーム運転において、ILCスペックと同等のパルス長726μsec, バンチ電流5.8mA, ビーム強度21.7μAでの電子ビームの安定運転を達成した。 本講演では、これまでのSTF-2でのビーム運転の成果について報告する。 |
11:50-12:10 | |
WEOA9 | 円型リングに於ける実効的DC加速とその応用 Effective dc acceleration in a curcular ring and its applications ○髙山 健(高エネルギー加速器研究機構) ○Ken Takayama (KEK) KEKでは2003年より遅い繰り返し、速い繰り返し誘導加速シンクロトロンの実証と共に、クラスターイオン用の誘導加速サイクロトロンや誘導加速マイクロトロンの研究開発が進められて来た[1]。誘導加速電圧は加速セル内磁性体の飽和を防止するために、必ずセット電圧(正)とリセット電圧(負)をペアで発生させねばならない。幸い後者(減速電圧になる)を周回ビームから隠す事は原理的に可能である[2]。加速セル2台を同時に180度位相をずらして動作させれば、円型リングで実効的なDC加速が可能になる。この特徴を利用し、シンクロトロン輻射パワーをDC加速で補えば、コースティング電子ビームを蓄積できる。等時性を有した蓄積リングで、シンクロトロン輻射パワーに加えFEL増幅パワーをこのDC加速で補償するならば、基本波のFEL周波数のみのバンチ構造を有する完全なCW FELのシナリオが成立する[3]。発表では実効的DC加速を可能とする誘導加速システムについて紹介する。又、等時性蓄積リング駆動のCW FELとしてTHz-FEL並びにEUV-FELについて言及する。後者はEUVリソグラフィー光源としての可能性を強調したい。 1] K.Takayama, "Evolution of Induction Synchrotrons", Reviews of Physics 10,100083 (2023). [2] 特許出願中 [3] K.Takayama, Scientific Reportsに投稿中 |
ハドロン加速器/加速器技術(真空) (8月30日 13号館1326教室) | |
10:30-10:50 | |
WEOB5 p.59 | J-PARC 3GeVにおける負水素イオンのレーザー荷電変換の状況 Status of the laser stripping of H- beam at J-PARC RCS ○サハ プラナブ,原田 寛之,金正 倫計(原子力機構, J-PARC センター),米田 仁紀,道根 百合奈(電通大, レーザー研),佐藤 篤(NAT),柴田 崇統(KEK/J-PARC) ○Pranab Saha, Hiroyuki Harada, Michikazu Kinsho (JAEA, J-PARC), Hitoki Yoneda, Yurina Michine (UEC, ILS), Atsushi Sato (NAT), Takanori Shibata (KEK/J-PARC) To overcome the issues and limitation of the stripper foil used for H- charge-exchange injection, we proposed an alternative way of H- stripping by using lasers. To establish the method, a POP (proof-of-principle) demonstration for 400 MeV H- stripping by using only lasers is under preparation. The R&D of a YAG laser system including a cavity to significantly reduce the seed laser power have been developed and tested for 3 MeV H- beam neutralization. The R&D of highly efficient material coating is underway to minimize the light losses at the vacuum windows during multi-pass. As a result, nearly 30 times light intensity gain can be achieved to scale down the seeder pulse energy to around 0.015 mJ/pulse to accumulate more than 4 mJ energy in the cavity by 32 passes and to realize more than 90% stripping efficiency. The R$D of the UV laser as well as installation of the YAG laser system for the POP study at 400 MeV are also under progress to start the 1st experiment in 2023. |
10:50-11:10 | |
WEOB6 p.64 | J-PARC RCS における大強度 1バンチ加速の検討 Consideration of high intensity single bunch acceleration in J-PARC RCS ○田村 文彦,沖田 英史,發知 英明,サハ プラナブ,明午 伸一郎,吉井 正人,大森 千広,山本 昌亘,清矢 紀世美,杉山 泰之,野村 昌弘,島田 太平,長谷川 豪志,原 圭吾,宮越 亮輔(J-PARC センター) ○Fumihiko Tamura, Hidefumi Okita, Hideaki Hotchi, Pranab Saha, Shinichiro Meigo, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Masanobu Yamamoto, Kiyomi Seiya, Yasuyuki Sugiyama, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Ryosuke Miyakoshi (J-PARC Center) J-PARC 3GeV シンクロトロン (RCS) は物質・生命科学実験施設 (MLF) およびメインリング (MR) に 最大ビーム強度 8e13 ppp での陽子ビーム供給を行っている。RCS のハーモニック数 h は 2 で、 通常は 2つのバンチを加速している。MLF のいくつかの実験では 1バンチでのビーム供給が好ましいが、 この場合 1つの RF バケツを空きバケツとして加速を行うため、ビーム強度は半分となってしまう。 RCS のハーモニック数を 1 として加速できれば、1バンチあたりの強度は 2倍となり、 最大強度での 1バンチビーム供が可能となる。 一方 MR は、バンチあたりの粒子数を設計より上げることができるならば、1バンチずつ 8回の入射を行うことで現在の設計ビームパワー 1.3MW を超える運転ができる可能性がある。 本発表では、主に RCS での縦方向シミュレーションによる h=1 加速の検討について報告する。 |
11:10-11:30 | |
WEOB7 p.69 | J-PARC 3GeVシンクロトロンRCSの真空システムの現状 Recent status of J-PARC RCS vacuum system ○山田 逸平,神谷 潤一郎,仲野谷 孝充(原子力機構/J-PARC),黒澤 俊太(マイスティアヒューマンリレーションズ株式会社/原子力機構),柳橋 亨(株式会社NAT/原子力機構),志賀 隆史(東京電子株式会社/原子力機構),和田 薫(東京電子株式会社),割貝 敬一(アルバックテクノ株式会社/原子力機構) ○Ippei Yamada, Junichiro Kamiya, Takamitsu Nakanoya (JAEA/J-PARC), Syunta Kurosawa (mhr/JAEA), Toru Yanagibashi (NAT/JAEA), Takashi Shiga (TOEL/JAEA), Kaoru Wada (TOEL), Keiichi Warigai (ULVAC TECHNO/JAEA) 大強度陽子加速器施設J-PARCの3GeVシンクロトロンRCSは1MWのビームを出力する加速器である。このような強度の加速器では,わずかな割合のビーム損失でも機器の重大な放射化を引き起こすため,安定なビーム輸送が必須である.リング型加速器における安定なビーム輸送の実現には,ビームライン圧力を超高真空に維持することが極めて重要である.J-PARC RCSのビームライン排気には,大容積及び放出ガスが多い領域で有利なターボ分子ポンプの利用に加え,NEGポンプを追加して軽元素の排気速度の増強を進めることで,超高真空を実現している.ターボ分子ポンプのフォアラインの排気には長らくドライスクロールポンプを使用してきたが,最近,メンテナンス回数削減の観点からルーツポンプへの置き換えを進めている.しかし,いくつかの不具合事象が発生している.また,ビーム収束,偏向,入射のための強磁場の速い変動による大きな渦電流の誘導を避けるため,電磁石中のビームパイプはアルミナセラミックで製作している.しかし,加速器建設から20年程度経過した現在は世代交代等により製作技術の継承に問題が生じている.また建設時のマスプロダクションとは異なり,施設の維持管理は少量の製作となるため,その最適な製作手法は異なる.そのため現在新たにセラミックスダクト製作手法の開発を進めている.本発表ではこれらのJ-PARC RCSの真空システム全体の現在の状況を報告する. |
11:30-11:50 | |
WEOB8 p.74 | ターミナル真空計の開発 Development of the terminal vacuum gauge system ○大和 良広,吉田 哲郎,石井 聡(筑波大学 CRiES 応用加速器部門) ○Yoshihiro Yamato, Tatsuro Yoshida, Satoshi Ishii (UTTAC) 筑波大学 放射線・アイソトープ地球システム研究センター(CRiES) 応用加速器部門で運用している米国NEC社製の6MVタンデム加速器では、中心部の荷電変換高電圧ターミナルの圧力計測がサーモカップルによる低真空計測にしか対応していなかった。 これは偏極ビームのための高真空計測、ガスストリッパーのニードルバルブ全閉ターン位置の確認や少量ガス導入時の圧力監視に不都合であった。 そのため、市販のコールドカソードゲージをオフラインで真空・加圧テストを行い加速器に取り付けても破壊等が無いことを確認したのち、加速器本体のターミナルシールドボックス内に取り付けた。 結果は良好で、大量な荷電変換ガス(Ar)の導入が必要な時以外は中心部の正確な真空度の監視が出来る様になった。 このシステムの概要とリモート監視に Experimental Physics and Industrial Control System(EPICS) とControl System Studio(CSS) を用いてリアルタイム表示とトレンドグラフを実現した事について報告する。 |
11:50-12:10 | |
WEOB9 p.78 | SuperKEKB加速器真空システムにおける機械学習を応用した圧力異常検知手法の検討 Investigation of a pressure anomaly detection method applying machine learning in the SuperKEKB accelerator vacuum system ○末次 祐介(高エネ研) ○Yusuke Suetsugu (KEK) SuperKEKB加速器の真空システムは2016年の運転開始以来概ね順調に稼働しているが、ビーム電流が大きいこと、ビームロス・再入射の頻度が高いこと等から、強い放射光等による熱サイクルに起因するリークや、放電等による変則的な圧力上昇が度々発生している。通常のアラームが発報する前に圧力異常の兆候が検知できれば、大きなトラブルとなる前に迅速な対処が可能となる。そこで、機械学習を応用して圧力の異常な兆候をつかみ、注意喚起する異常検知手法を提案、検討している。まず、ビーム(再)入射から蓄積、ビームアボート直後までを1フィルとし、主リングのすべての真空計約600個について、調べたいフィルの8日前から3日間の圧力測定値を「標準データ」とみなし、圧力のビーム電流あるいは時間に対する変化をモデル化して基準となる回帰曲線を求める。次に、調べたいフィルの測定値(測定データ)と基準の回帰曲線から標準誤差を求め、それと標準データでの標準誤差との比などを特徴量として「正常」と「異常」をフィル毎に判断する(2クラス分け)。クラス分けの基準は、2層のニューラルネットワークを構築して2016年以降の真空トラブル発生時の圧力の振る舞いから学習した。2022年運転時の実際のフィルを使った模擬試験では、圧力異常の兆候を検知できることが示された。ここではこの圧力異常検知手法の検討状況等を報告する。 |
加速器技術(加速構造) (8月30日 13号館1325教室) | |
15:40-16:00 | |
WEOA10 | RANSⅢ用500 MHzRFQ線形加速器のビーム加速試験 Preliminary beam acceleration test of 500 MHz-RFQ linac for compact neutron source RANSⅢ ○池田 翔太,大竹 淑恵,小林 知洋(理研 中性子チーム),林崎 規託(東工大 ) ○Shota Ikeda, Yoshie Otake, Tomohiro Kobayashi (RIKEN NBTT), Noriyusu Hayashizaki (Titech) 理化学研究所では、中性子計測技術を用いた大型構造物のインフラ予防保全手法の導入に向け、可搬型小型中性子源システムRANS-Ⅲの開発をおこなっている。RANS-Ⅲは線形加速器で2.49 MeVまで加速した陽子ビームをリチウムターゲットに照射することで発生した中性子ビームによりインフラ構造物の非破壊検査をおこなう。また、RANS-Ⅲでは車載による橋梁等での現場利用を想定していることから、小型・軽量化を目指した3体構造500MHzRFQ線形加速器を東京工業大学と共同で開発した。RFQ線形加速器は共振周波数が高くなるほど加速空洞の内径が小さくなる関係から、3体構造500MHzRFQ線形加速器はRANS-Ⅱ用RFQ(200MHzRFQ)に比べて加速空洞の内径を約1/2、重量を約1/3(0.7 t)まで軽量化に成功している。現在は、開発した500 MHz RFQ線形加速器に4系統高周波システム、永久磁石型2.45GHzECRイオン源、低エネルギービーム輸送ライン(LEBT:ダブルアインツェルレンズ)、高エネルギービーム輸送ライン(HEBT:ダブレット四重極電磁石+90度偏向電磁石)を接続し、ビーム加速試験を開始、LEBTのビーム集束条件や高周波電力に対するRFQ線形加速器から出射する陽子ビームのビーム電流量を測定することで、RFQ線形加速器のビーム加速特性を評価した。 本発表では、ビーム加速試験に向けて構築した加速器システムと、ビーム加速試験の結果、今後の開発目標について報告する。 |
16:00-16:20 | |
WEOA11 p.83 | 空洞摂動法と電磁場シミュレーションによる高周波吸収体の特性評価手法 Measurement method of RF absorbing characteristics using a cavity-perturbation method and an electromagnetic simulation ○山口 孝明,山本 尚人,内藤 大地,高橋 毅,坂中 章悟(KEK) ○Takaaki Yamaguchi, Naoto Yamamoto, Daichi Naito, Takeshi Takahashi, Shogo Sakanaka (KEK) 現代の加速器では、結合バンチ型ビーム不安定性を防ぐ目的で、高周波加速空洞や真空チェンバーに高周波吸収体が多く使われている。吸収体を選定する際、その材料の複素誘電率と複素透磁率を測定し、高周波吸収特性を評価することが不可欠である。高周波での周波数特性の評価手法として、同軸線路や導波管を用いたNicolson-Ross-Weir (NRW)法がよく使われる。この方法では、測定試料を極めて高い精度(~10 μm)で製作する必要があるが、実際の製作精度には限界がある。NRW法での測定結果を補う別の測定方法として空洞摂動法が考えられる。この方法は高周波空洞内に測定試料を挿入し、電磁場共振モードの共振周波数とQ値の変化から試料の周波数特性を評価する方法である。この方法では、空洞の共振周波数に測定点が限られるが、測定試料の寸法精度にこだわる必要がない点で優れている。本研究では、今までの空洞摂動法に電磁場シミュレーションを組み合わせることで、電波吸収が大きい場合においても特性評価を可能にする手法を考案した。その後、実際にアルミ合金製の矩形型の試料測定用空洞を製作し、開発中の高調波空洞で使用する予定のフェライトHF70(TDK社製)の高周波特性を1.5 – 3 GHzの帯域で測定した。また、この測定結果をNRW法での測定結果と比較した。 |
16:20-16:40 | |
WEOA12 | 異方性の小さい超伝導加速空洞セル用ニオブ板の開発 Development of small anisotropy Nb sheets for SRF cavities ○梅澤 裕明(総研大),山中 将(高エネ研),西田 尚志(東京電解) ○Hiroaki Umezawa (SOKEN), Masashi Yamanaka (KEK), Naoshi Nishida (Tokyo Denkai) 超伝導加速空洞のセル部分は、ニオブ板をプレス成形し旋盤で端面をトリム加工したハーフセルを電子ビームで溶接して組み立てられる。ハーフセルを精度よくプレス成形するために、ニオブ板には均一な伸びが必要である。これを実現するため、これまで圧延条件や熱処理条件を工夫し、ロール方向とクロス方向の伸びが均一な、いわゆる異方性の小さい板の開発が進められてきた。ここでは、3種類の条件でニオブ板を製造し、各条件における引張試験、組織観察、さらに実際にハーフセルを作り形状測定を行った。本報告では、これらの結果を示し、ニオブ板の製造方法の検証を行う。 |
16:40-17:00 | |
WEOA13 p.88 | ILC電子ドライブ陽電子源設計における機械学習を用いた全体最適化 Overall optimization using machine learning in the design of ILC electron-driven positron source ○黒口 俊平,栗木 雅夫,高橋 徹,田地野 浩希,リプタック ザカリー(広島大先進理工),浦川 順治,榎本 嘉範,大森 恒彦,福田 将史,森川 祐,横谷 馨(高エネ研) ○Shunpei Kuroguchi, Masao Kuriki, Tohru Takahashi, Hiroki Tajino, Zachary Liptak (Hiroshima Univ. ADSE), Junji Urakawa, Yoshinori Enomoto, Tunehiko Oomori, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Kaoru Yokoya (KEK) 本研究では、ILC(国際リニアコライダー)の電子ドライブ陽電子源の設計において、機械学習を用いてその効率化を図るとともに、より高い陽電子捕獲率の実現を行う。ILCは、重心系エネルギーが250 GeVから1 TeVまでの線形加速器を使用した電子・陽電子コライダーである。ILCでは、リニアコライダーの特性上、ビームの再利用ができず、必要な粒子の時間あたりの生成数がリング型のコライダーに比べて桁違いに大きい。そのため、標的を破壊せずに必要な陽電子を生成するために、陽電子捕獲率の向上が本質的に重要である。現在、本設計にはGEANT4、GPT、SADを用いて粒子の生成やトラッキングを行っているが、本研究では、これらの物理シミュレーションの結果をサンプリングし、機械学習を用いてサロゲートモデルを作成することで設計の効率化を図る。サロゲートモデルを利用することで、計算コストを削減しながら詳細な粒子加速器のシミュレーションが可能となり、より効率的に精度の高い最適化が可能となる。本発表では、この取り組みの現状報告を行う。 |
加速器技術(レーザー) (8月30日 13号館1326教室) | |
15:40-16:00 | |
WEOB10 p.92 | 量子メスに向けたレーザー駆動イオン型ビームインジェクターの開発 Development of laser-driven ion injector for the quantum scalpel ○榊 泰直,小島 完興,畑 昌育,ヂン タンフン(量研関西研),宮武 立彦,松本 悠椰(九州大学大学院),野田 悦夫(量研放医研),大友 清隆,筒井 裕士,野村 真史(住友重機),黒木 宏芳,清水 祐輔,原田 寿典,井上 典弘(日立造船),白井 敏之(量研放医研),近藤 公伯(量研関西研) ○Hironao Sakaki, Sadaoki Kojima, Masayasu Hata, Thanhhung Dinh (QST), Tatsuhiko Miyatake, Yuya Matumoto (Kyushu-Univ.), Etsuo Noda (QST), Kiyotaka Ohtomo, Hiroshi Tsutsui, Shinji Nomura (SHI), Hiroyoshi Kuroki, Yusuke Shimizu, Hisanori Harada, Norihiro Inoue (Hitz), Toshiyuki Shirai, Kiminori Kondo (QST) 量研関西研では,JST 未来社会創造事業の委託を受け,住友重機械工業,日立造船と 3 社にてレーザー駆動イオン加速手法を用いた第 5 世代重粒子線治療装置 (量子メス) 用入射器の開発を進めている.今年 7 月から,その統合試験運転が開始されるため,本報告では,その現状について報告する. |
16:00-16:20 | |
WEOB11 | レーザー駆動重イオン加速のための誘導加熱による表面汚染の高速除去 Induction heating for desorption of surface contamination for high-repetition laser-driven heavy-ion acceleration ○小島 完興,榊 泰直(量研関西研),宮武 立彦(九州大学大学院),ヂン タンフン,長谷川 登,石野 雅彦(量研関西研),黒木 宏芳,清水 祐輔,原田 寿典,井上 典弘(日立造船株式会社),錦野 将元,神門 正城(量研関西研),白井 敏之(量研放医研),近藤 公伯(量研関西研) ○Sadaoki Kojima, Hironao Sakaki (KPSI, QST), Tatsuhiko Miyatake (Kyushu Univ.), Thanh Hung Dinh, Noboru Hasegawa, Masahiko Ishino (KPSI, QST), Hiroyoshi Kuroki, Yusuke Shimizu, Hisanori Harada, Norihiro Inoue (Hitz), Masaharu Nishikino, Masaki Kando (KPSI, QST), Toshiyuki Shirai (NIRS, QST), Kiminori Kondo (KPSI, QST) レーザー駆動イオン加速では,高強度レーザーパルスを薄膜ターゲットに照射することにより,ターゲットの裏面に局所的なシース電場を発生させ,イオンを加速する.この際,電荷質量比が大きいイオン種が優先的に加速されるが,通常の薄膜ターゲット表面には汚染層があるため,そこに含まれる水素に由来する陽子が加速され,加速場のエネルギーを炭素イオンの加速に効率的に利用できない.この状況を解決するためには,質量電荷比が大きい陽子が加速されないよう,ターゲット中から水素を除去する必要がある.ターゲットはニッケルとダイヤモンド様炭素 (DLC) の 2 層から構成され,製造時には水素が内在しないように注意深く作られるが,大気中に露出されることで表面にわずかな水蒸気や炭化水素などを吸着し,表面汚染層が形成される.この層は,CH2 や H2O などの分子が表面に化学吸着されることで構成されており,これらを除去するには約 100kJ/mol のエネルギーが必要である.本研究では,日立造船株式会社との共同研究において,誘導加熱を利用した表面汚染層の新しい除去装置を開発した.本発表では装置の設計および,装置を用いたレーザー駆動イオン加速実験の結果について報告する. |
16:20-16:40 | |
WEOB12 p.95 | ニュースバルにおける時間同期系開発とフェムト秒パルスレーザーシーディング Development of synchronization system and femtosecond pulsed laser seeding in NewSUBARU ○後長 葵,金島 圭佑,田中 義人(兵庫県立大学理学),貴田 祐一郎(高輝度光科学研究センター),橋本 智(兵庫県立大高度研),田中 隆次(理研放射光センター) ○Aoi Gocho, Keisuke Kaneshima, Yoshihito Tanaka (University of Hyogo, Science), Yuichiro Kida (JASRI), Satoshi Hashimoto (University of Hyogo,LASTI), Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 我々は,放射光施設ニュースバルにおいて加速器ベース光源とフェムト秒パルスレーザーを組み合わせたコヒーレント光源開発を進めている.目的は,レーザーシーディング法を用いた単一サイクル自由電子レーザー発振を可能とする基本原理の実証である.この実証実験では,磁場強度分布可変型アンジュレータ [1] を 2 台設置し,上流側のアンジュレータ内でフェムト秒パルスレーザーと電子バンチを同軸方向に相互作用させた後,シケインを通過させることで不等間隔のマイクロバンチを形成させる.これを下流側のアンジュレータに導入して,コヒーレント光の時間構造制御を試みる.このようにレーザーシーディングを実現させるには,電子バンチとフェムト秒パルスレーザーの時間同期が欠かせない.パルス時間幅約 13 フェムト秒のチタンサファイアレーザーを実験ホールに導入し,その出力光を蓄積リング内の特定の電子バンチに同期できるシステムを開発した.また,その同期特性を,ストリークカメラや高速オシロスコープで評価し,蓄積リングのバンチ幅より十分高い精度で制御が達成されていることを確認した.以上により,レーザーシーディングによるコヒーレントパルス光の観測に成功した.発表では,電子バンチ-チタンサファイアレーザー間の時間同期方法と評価,および得られたコヒーレントパルス光の特性について報告する.[1] T. Tanaka et al., J. Synchrotron Rad., 28, 404-409 (2021) |
16:40-17:00 | |
WEOB13 p.99 | レーザーコンプトン散乱光源のための自発共鳴型パルスレーザー増強共振器の開発 Development of a self-resonating pulsed laser enhancement cavity for laser-Compton scattering light sources ○渡邊 一生,高橋 徹(広島大),福島 千夏良,小柴 裕也,西村 拓南,山下 洸輝,鷲尾 方一(早稲田大),荒木 栄,アリシェフ アレキサンダー,福田 将史,本田 洋介,照沼 信浩,大森 恒彦,ポポフ コンスタンティン,浦川 順治(高エネ研),上杉 祐貴(東北大),坂上 和之(東大),保坂 勇志(量研) ○Issei Watanabe, Tohru Takahashi (Hiroshima Univ.), Chikara Fukushima, Yuya Koshiba, Takumi Nishimura, Koki Yamashita, Masakazu Washio (Waseda Univ.), Sakae Araki, Alexander Aryshev, Masafumi Fukuda, Yosuke Honda, Nobuhiro Terunuma, Tsunehiko Omori, Konstantin Popov, Junji Urakawa (KEK), Yuuki Uesugi (Tohoku Univ.), Kazuyuki Sakaue (UTokyo), Yuji Hosaka (QST) レーザーコンプトン散乱 (Laser-Compton Scattering: LCS) 光源は,相対論的領域まで加速した電子とレーザー光の衝突により,X 線や γ 線を生成する装置である.LCS 光源は,放射光に比べて低エネルギーの電子で X/γ 線の生成が可能である一方で,十分な強度を得ることが難しい.本研究グループでは,光蓄積共振器に超短パルスのレーザー光を蓄積して,高ピークパワーの光場を形成することで,LCS で生成する X/γ 線の強度向上を目指している.光蓄積共振器にレーザーパルスを蓄積するためには,共振器と光場の共鳴を高精度に維持する必要がある.我々はこれまでに,PID 制御回路を駆使したフィードバック制御により,共振器長に換算して 10 pm の制御精度を達成している.しかし,機械的・電気的な雑音が多い環境である加速器施設では,長時間の安定動作や再現性に課題があった.本研究では,超短パルスレーザー発振器と光蓄積共振器を一体化することで,共鳴条件を満たす波長の光のみが選択的に発振し共振器内で増強される,自発的なフィードバック機構を備えた光学装置を開発している.特に,発振/蓄積の安定化を目指して光学系の温度安定化に取り組んでいる.本講演では,開発中の光学装置の動作原理と現状について報告するとともに,LCS 実験を目指した今後の展望について紹介する. |
加速器土木・放射線防護 (8月30日 13号館1325教室) | |
17:10-17:30 | |
WEOA14 p.104 | ILCにおける持続可能なエネルギーマネジメントに関する研究 Study on sustainable energy management system for the ILC, PART-III ○吉岡 正和(岩手大学),狩野 徹(岩手県立大学),成田 晋也(岩手大学),大平 尚(岩手県庁),平井 貞義,上田 理絵(NTTファシリティーズ株式会社),川端 康夫(飛島建設株式会社土木部),澤井 淳司(三井住友建設株式会社土木本部) ○Masakazu Yoshioka (Iwate University), Tohrru Kano (Iwate Prefectural University), Shinya Narita (Iwate University), Hisashi Odaira (Iwate Prefectural Office), Sadayoshi Hirai, Rie Ueda (NTT FACILITIES, INC., Solution Business Department, Tohoku Branch), Yasuo Kawabata (TOBISHIMA CORPORATION, Civil Engineering Division), Junji Sawai (Sumitomo Mitsu Construction Co., Ltd. Civil Engineering Divisiong Division) Accelerators are large electric power-loading facilities, and consideration of sustainability during their life cycle, from construction to operation and even decommissioning, is a prerequisite for a research facility to be accepted by society. This is an international consensus and is especially important when trying to attract international projects such as the ILC to Japan. Japan's factor of greenhouse gas emissions per kWh is high compared to Europe and the United States. The Japanese government, however, is in line with other countries in setting a goal of achieving carbon neutrality by 2050, and a scenario for the ILC should be drawn up in line with this goal. The government's policy is to offset emissions and absorption by increasing green carbon and blue carbon absorption, in addition to reducing CO2 emissions through energy saving efforts and increasing sustainable energy sources. However, it is essential to obtain the cooperation of the communities where the ILC will be located, in order to attempt to increase CO2 absorption. The authors report on the scenario in the role of the region that hosts the ILC candidate site. |
17:30-17:50 | |
WEOA15 p.108 | 加速器トンネルでの活用を目指す安全装備輸送ロボットの開発 Development of safety-equipped transport robot aiming for utilization in accelerator tunnel ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),冨井 洋平(綜合警備保障株式会社),石井 恒次,山本 昇,別所 光太郎(KEK),吉岡 正和((一社)国際経済政策調査会) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (TOBISHIMA CORP.), Shigeaki Tagashira (Kansai Univ.), Yohei Tomii (ALSOK), Koji Ishii, Noboru Yamamoto, Kotaro Bessyo (KEK), Masakazu Yoshioka (PSG) J-PARC MR 加速器トンネルにおいて、作業者のリアルタイム位置情報及び双方向情報伝達等を実現した防災システムを2019年より運用している。これまでに様々な機能等を付加し、作業者にとって日常的に使いやすい環境を実現、発災時に直ちに活用できるシステムとすべく開発に取り組んできた。さらに作業者負担の軽減を図るべく、ロボットやドローンの活用の検討を始めた。停電時対策の取られた防災システムのネットワークを用い、防災に必要な安全グッズ等をロボットやドローンでトンネル内の作業者まで自動で運搬することを念頭に開発を進めている。またビーム停止後の放射線の監視や各種計器の計測など、現状では人による測定に頼っている部分についても、これらロボット・ドローンの活用を視野に入れている。2022年度には市販の台車ロボットを用い、人検知追随・指定位置自動移動・遠隔操作・安全停止等の機能を持たせて試験を実施した。本文では開発した台車ロボットの試験結果を中心に、加速器トンネル内でのロボット・ドローンの活用について言及する。 |
17:50-18:10 | |
WEOA16 p.112 | CERN/CHARMにおける24GeV/c陽子を用いた遮蔽・迷路実験 Shielding and maze experiments using 24GeV/c protons at CERN/CHARM ○中尾 徳晶(清水建設(株)),佐波 俊哉(高エネルギー加速器研究機構),梶本 剛(広島大学),フロッシュル ロバート,ボザット ダビデ,イリオポウロウ エルピーダ,インファンティーノ アンジェロ(欧州原子核研究機構),八島 浩(京都大学複合原子力科学研究所),李 恩智(九州大学),大山 隆弘,萩原 雅之,長畔 誠司(高エネルギー加速器研究機構),松本 哲郎,増田 明彦(産業技術総合研究所),上蓑 義朋(清水建設(株)),デビエンヌ アーノ,ポッツィ ファビオ,ティズィ マルコ,ローレンツォン トマーゾ,メナ ナビル,ビンケ ハインツ,ロスラー シュテファン,ブルガー マルクス(欧州原子核研究機構) ○Noriaki Nakao (Shimizu Corporation), Toshiya Sanami (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)), Tsuyoshi Kajimoto (Hiroshima University), Robert Froeschl, Davide Bozzato, Elpida Iliopoulou, Angelo Infantino (CERN), Hiroshi Yashima (Kyoto University (KURNS)), Eunji Lee (Kyushu University), Takahiro Oyama, Masayuki Hagiwara, Seiji Nagaguro (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)), Tetsuro Matsumoto, Akihiko Masuda (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)), Yoshitomo Uwamino (Shimizu Corporation), Arnaud Devienne, Fabio Pozzi, Marco Tisi, Tommaso Lorenzon, Nabil Mena, Heinz Vincke, Stefan Roesler, Markus Brugger (CERN) CERNのCHARM実験施設において、遮蔽および迷路実験を行なった。24GeV/c陽子ビームを50㎝厚の銅標的に照射し、生成した二次中性子の遮蔽透過と迷路漏洩を放射化検出器により測定した。放射化検出器は、実験施設の遮蔽内部および迷路の様々な場所に設置し、遮蔽厚や迷路の距離による減衰を測定した。放射化検出器の反応として、209Bi(n,xn)210-xBi(x = 4–9), 27Al(n,α)24Na, 115In(n,n')115mIn, and 12C(n,2n)11Cを用いた。モンテカルロコードPHITS, FLUKAおよびGEANTによるシミュレーションを行ない、実験値と2倍程度以内での一致を得た。 |
ビームダイナミクス・加速器理論 (8月30日 13号館1326教室) | |
17:10-17:30 | |
WEOB14 p.117 | 電子蓄積リングにおけるポテンシャル井戸効果によるバンチ長の増大 Potential-Well bunch lengthening in electron storage rings ○周 徳民,三塚 岳,石橋 拓弥(高エネ研),Bane Karl(SLAC) ○Demin Zhou, Gaku Mitsuka, Takuya Ishibashi (KEK), Karl Bane (SLAC) The cubic equation derived by B. Zotter has been popularly used for electron storage rings to describe the scaling law of potential-well bunch lengthening. This equation has also often been used to calculate the effective impedance when the bunch lengthening is measured or simulated. This paper discusses the validity of Zotter’s equation and presents an alternative but self-consistent equation for potential-well bunch lengthening. Its applications to predicting bunch lengthening and extracting effective impedance from bunch length measurements are also addressed. |
17:30-17:50 | |
WEOB15 p.122 | KEK-ATFにおけるナノメートル極小ビームのビーム強度依存性の評価 Evaluation of intensity dependence for nanometer small beam at KEK-ATF ○阿部 優樹(総研大),奥木 敏行,久保 淨,照沼 信浩(高エネ研、総研大) ○Yuki Abe (SOKENDAI), Toshiyuki Ougi, Kiyoshi Kubo, Nobuhiro Terunuma (KEK, SOKENDAI) ATFでは国際リニアコライダー(ILC)に求められる極小ビームを実現する最終収束技術の研究開発を進めている。目標鉛直ビームサイズ37nmに対して、2016年には鉛直ビームサイズ41nmまで達成していることを確認した。ATFの極小ビームはウェイク場を主たる原因とするビーム強度依存性を持つ。2016年にはウェイク場の影響を低減するためのビームラインの改造が行われ、先行研究にてビーム強度依存性が緩和されたことを確認した。ただし、ウェイク場の影響評価を行った解析結果と実験結果が定量的に一致しなかった。原因の一つとして、考慮できていないウェイク源がビームライン上にあると考えられている。安定な極小ビームの生成、ATFビームラインの更なる高度化を検討する上で各ウェイク源に対する更なる理解が重要とされている。報告者らは十分考慮されていなかった加速器コンポーネント(真空部品、可撓部品など)の電磁場解析を実施し、実際のビームラインをより正確に再現する計算モデルの構築を行った。また、ウェイク場の影響評価試験のためにATFビームラインへの真空容器のインストールを検討している。本報告ではこれらに向けた作業の進捗と現状について述べる。 |
17:50-18:10 | |
WEOB16 p.127 | J-PARC RCSにおけるさらなる大強度化に向けたビーム損失起源の同定と抑制 Identification and compensation of beam loss sources for further beam power ramp-up in J-PARC RCS ○小島 邦洸,原田 寛之,サハ プラナブ(原子力機構, J-PARC センター) ○Kunihiro Kojima, Hiroyuki Harada, Pranab Saha (JAEA/J-PARC) 大強度陽子加速器において出力を制限する最大の要因はビーム損失に起因する装置の放射化である。そのため、ビーム損失の低減は大強度化を目指す上で重要度の高い課題である。現在、J-PARC加速器の心臓部である3 GeVシンクロトロン (Rapid cycling synchrotron : RCS) では、設計出力1MWの大強度ビームにおいてビーム損失を0.1%程度にまで低減することに成功している。このビーム損失に寄与するのは、主に空間電荷力の影響を受けにくい位相空間内の振幅の大きな粒子である。つまり、動作点近傍のビーム損失起源となる共鳴の同定と補正は安定領域の拡大とビーム損失の低減をもたらし、より一層の大強度化に貢献する。 RCSにおけるビーム損失起源の同定に向け、ビーム重心が水平・進行方向の位相空間内を大振幅で振動するような特殊な入射ビームを用いた実験を実施した。その結果、クロマティシティとシンクロトロン振動で生じるチューンシフトによるビームの2次非構造共鳴(2νx=13)への抵触が大きなビーム損失に繋がることを明らかにした。さらに、既設の補正四極電磁石6台をそれぞれ励磁し、当該共鳴が補正可能であることを実証した。一方、この補正状況において大強度運転時のビーム損失がむしろ増加したことから他の非構造共鳴の励起が示唆されており、関係する共鳴の同時補正を検討している。本発表では、これらの実験結果を報告し、ビーム損失起源とその補正手法について議論する。 |
加速器技術(ビーム診断・ビーム制御) (8月31日 13号館1325教室) | |
9:00-9:20 | |
THOA1 p.132 | 電気光学サンプリングによる電子ビーム周りの電場のシングルショット計測 Single-shot measurement of electric field around electron beam by electro-optic sampling ○菅 晃一(量研),太田 雅人(核融合研),王 有為,Agulto Verdad C.,Mag-usara Valynn Katrine,有川 安信(阪大レーザー研),松井 龍之介(三重大電気電子工),坂和 洋一,中嶋 誠(阪大レーザー研) ○Koichi Kan (QST), Masato Ota (NIFS), Youwei Wang, Verdad C. Agulto, Valynn Katrine Mag-usara, Yasunobu Arikawa (ILE, Osaka Univ.), Tatsunosuke Matsui (Department of Electrical and Electronic Engineering, Mie University), Youichi Sakawa, Makoto Nakajima (ILE, Osaka Univ.) 阪大産研では、レーザーフォトカソードRF電子銃ライナックを利用し、高時間分解パルスラジオリシスによる反応解析および電子ビーム発生・計測の研究を行っている。このようなピコ秒・フェムト秒における電子の時間プロファイルの計測手法は、電子ビームを利用した時間分解計測のみならず、慣性核融合分野においても超高速プラズマダイナミクスの温度・密度情報を理解する観点から、必要となっている。 本発表では、電気光学サンプリングを用いた35 MeVの電子ビームのシングルショット時空間分布計測について報告する。エシェロンミラーもしくは回折格子によりフェムト秒レーザーの時空間分布を調整し、電子ビームが電気光学結晶へ作用したポッケルス効果(レーザーの偏光の変化)をCCDカメラで測定することによりシングルショット計測が可能となった。レーザーの時空間分布の制御では、半透鏡を用いた折り返しの光学系により光パルスへ位置に応じた光学遅延を与えた。このような光パルスと位相オフセット法(phase-offset method、下流の1/4波長板の位相オフセットの調整)を組み合わせることにより、サブピコ秒の時間分解かつサブミリメートルの空間分解能力を有するシングルショット電場分布計測を実施した。本報告では、このようなビーム診断で二次元に時間と空間軸を展開して計測した相対論的な現象(ローレンツ収縮)、および、計測・光学系について報告する。 |
9:20-9:40 | |
THOA2 p.136 | J-PARC muon g-2/EDM実験における精密な三次元ビーム入射のための蓄積ビームモニター Storage beam monitor for presice three-dimensional beam injection at J-PARC muon g-2/EDM experiment ○小川 真治(九州大学),阿部 充志(高エネ研),飯沼 裕美(茨城大学),大谷 将士,佐々木 憲一(高エネ研),佐藤 優太郎(新潟大学),中山 久義(高エネ研),松下 凌大(東京大学),三部 勉(高エネ研),山中 隆志(九州大学) ○Shinji Ogawa (Kyushu-Univ.), Mitsushi Abe (KEK), Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Masashi Otani, Ken'ichi Sasaki (KEK), Yutaro Sato (Niigata-Univ. ), Hisayoshi Nakayama (KEK-ACC), Ryota Matsushita (U-Tokyo), Tsutomu Mibe (KEK), Takashi Yamanaka (Kyushu-Univ.) J-PARC muon g-2/EDM実験では、低エミッタンスのミュー粒子ビームをコンパクトで一様性の良い磁石に入射し弱収束磁場により蓄積することで、先行実験とは異なる系統誤差でミュー粒子の異常磁気能率(g-2)を測定する。コンパクトな蓄積軌道に効率よく入射するためには、実測によるビーム運動の正確な理解の基づいた精密なビーム制御が求められる。本研究では入射後のビーム運動を測定するために、シンチレーションファイバー技術に基づいたビームプロファイルモニターを検討している。直径0.2mmの細線シンチレーションファイバーをまばらに配置するという物質量を可能な限り抑えたデザインにすることで、蓄積軌道を約7ns周期で周回し何度もモニターを通過するミュー粒子ビームとの散乱を抑える。実機製作前の原理検証としてビーム入射実証実験に向けた試作機の製作や、ビーム軌道分布シミュレーションに基づいた実機の詳細設計が進行中であり、その進捗状況について報告する。また本モニターを活用して蓄積されたビームの縦方向ベータトロン振幅を十分小さくできれば、ミュー粒子ビーム軌道と崩壊陽電子の軌跡との交点からミュー粒子崩壊点を一意に特定できるようになる。これにより陽電子放出方向の完全な再構成に基づいた新しい解析手法を採用することで、ミュー粒子g-2/EDMの統計誤差・系統誤差を改善できる可能性がある。本講演ではこちらの可能性についても議論する。 |
9:40-10:00 | |
THOA3 p.141 | 非破壊型大電流ビームモニタの開発及び性能評価 Development and performance evaluation of non-destructive high-current beam monitor ○足利 沙希子,永嶋 和也,青木 孝道,関 孝義((株)日立製作所) ○Sakiko Ashikaga, Kazuya Nagashima, Takamichi Aoki, Takayoshi Seki (Hitachi, Ltd.) 産業・医療用の加速器駆動型中性子源では、数十mA以上の大電流イオンビームが要求される。大電流ビームの安定供給にはイオン源で生成したビームを低エネルギービーム輸送系(LEBT)において輸送する過程で成形し、下流の加速器のアクセプタンスに高効率で整合させることが重要である。本研究では、大電流加速器のLEBTにおけるビーム分布及びビームパラメタの測定を目的とし、イオンビームと残留ガスの相互作用により生じる蛍光からビームの空間分布を取得する非破壊型モニタの開発及び性能評価を行った。ビーム軌道上に発生する蛍光の検出にCMOSカメラを採用し、ビームダクト側面に設置したビューポート越しに測定する。30 keVのH+ビームに対するモニタ信号強度及び測定精度のビーム電流・真空度依存性を測定し、モニタを適用可能な加速器条件を評価した。また、検出器で取得した画像の処理アルゴリズムを開発し、モニタデータよりビームのエンベロープ検出及びビームエミッタンス及びTwissパラメタの算出を可能とした。以上により、大電流測定時に問題となる測定器の発熱の問題を回避すると同時に、加速器調整時に重要となるビームパラメタを即時取得可能なモニタを実現した。本発表では、モニタ信号強度のビーム電流・真空度依存性の評価結果を示し、モニタを利用したビームエミッタンス及びTwissパラメタの非破壊測定についても報告する。 |
10:00-10:20 | |
THOA4 p.146 | 重イオンビーム用ビーム位置モニターの設計検討 Design study of beam position monitor for heavy-ion beam ○足立 泰平,渡邉 環,西 隆博,上垣外 修一(理研仁科センター) ○Taihei Adachi, Tamaki Watanabe, Takahiro Nishi, Osamu Kamigaito (RNC) 理化学研究所仁科加速器科学研究センターの重イオンビームのさらなる大強度化へ向けた開発の一環として、ビーム位置モニターの設計検討を進めている。対象としているビームは、β=0.15と非相対論的速度であり、また、ダクト径60mmに対して、場所によってはビームが20mm程度のサイズを持つ可能性がある。この為、一般的なビーム位置モニターの計算に用いられる種々の近似が成り立たない。このようなビームに適したビーム位置モニターとして、新しい電極構造を設計し、CST Studioを用いて応答を計算したところ、良好な結果を得た。本講演ではその詳細について報告する。 |
加速器技術(粒子源) (8月31日 13号館1326教室) | |
9:00-9:20 | |
THOB1 | Laser beam irregularities effect on Laser plasma acceleration electron beam generation stability ○Driss Oumbarek-espinos (Institute of Scientific and Industrial Research (SANKEN), Osaka University, Japan) Since its inception Laser plasma acceleration (LPA) has gained traction as an alternative to classic RF accelerators. LPA offers high acceleration gradients (up to 10s of GeV/m) making possible the generation of GeV electrons in tens of cm. Multiple uses for LPA systems are already being seriously considered including their use as electron beam sources for Free Electron Laser. The generation of LPA based FEL has been recently demonstrated. However, achieving proper electron beam parameters for such use in a consistent manner and a reliable coupling with the undulator is non-trivial and still under research. Being able to provide a reliable and clean laser source for LPA is a key part to go towards industrial applications. One important issue lies with instabilities induced by imperfect laser beams with aberrations. It has already been shown that real laser beams, with poor focus quality, can be detrimental for electron generations. In this work the LPA based FEL LAPLACIAN facility is quickly introduced and then recent results on the research of the effects of aberrated laser on electron beam generation stability and parameters are presented. |
9:20-9:40 | |
THOB2 p.150 | FFAG加速器を用いた陽子入射反応に関する核データの測定 Measurements of nuclear data on proton-induced reactions using FFAG accelerator 明午 伸一郎,岩元 大樹(J-PARC/JAEA),西尾 勝久,佐藤 大樹,岩元 洋介,廣瀬 健太郎,牧井 宏之(JAEA),岡部 昇大(J-PARC/JAEA),Orlandi Riccardo,大泉 昭人,洲崎 ふみ,塚田 和明,James Smallcombe(JAEA),前川 藤夫(J-PARC/JAEA),石 禎浩,○上杉 智教,栗山 靖敏,八島 浩,森 義治(京大),杉原 健太(KEK) Shin-ichiro Meigo, Shiroki Iwamoto (J-PARC/JAEA), Katsuhisa Nishio, Hiroki Sato, Yosuke Iwamoto, Kentaro Hirose, Hiroyuki Makii (JAEA), Kota Okabe (J-PARC/JAEA), Riccardo Orlandi, Akito Oizumi, Fumi Suzaki, Kazuaki Tsukada, Smallcombe James (JAEA), Fujio Maekawa (J-PARC/JAEA), Yoshihiro Ishi, ○Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama, Hiroshi Yashima, Yoshiharu Mori (Kyoto Univ.), Kenta Sugihara (KEK) 京都大学複合原子力科学研究所において、令和元年度から令和4年度にかけて、加速器駆動核変換システム(ADS)研究に関する核データの測定実験を行った。実験では京大FFAG加速器の107MeVに加速された陽子ビーム(繰り返し30 Hz)を用いた。最終年度となる令和4年度では、ADSの核破砕標的材である鉛およびビスマスに対する陽子入射中性子生成二重微分断面積(DDX)の詳細解析を行い、陽子入射による核分裂で生成される核分裂片の質量数分布と核分裂中性子を飛行時間法により測定した。さらに、ネプツニウム237(Np-237)核分裂計数管を用いて、核破砕中性子場におけるNp-237の核分裂率を測定した。測定結果を核反応モデルによる解析結果と比較し、100 MeV陽子入射領域における核反応モデルの高度化に向けた知見を得た。本発表では、実験の概要に加えて、測定結果と核反応モデルとの比較により得られた知見について報告する。 |
9:40-10:00 | |
THOB3 p.155 | ビーム発熱を冷却水循環動力とした自然循環型標的冷却システムの開発(1)水・空気系自然循環試験 Development for natural water circulation system to cool a beam target utilizing the heat by the beam loss (1) Natural circulation test with water and air ○亀井 直矢,秋山 裕信,牧村 俊助,金山 高大,鈴木 純一(高エネ研),師岡 愼一,古谷 正裕(早大) ○Naoya Kamei, Hironobu Akiyama, Shunsuke Makimura, Takahiro Kanayama, Junichi Suzuki (KEK), Shinichi Morooka, Masahiro Furuya (Waseda Univ.) 本研究の目的は、ビーム標的にて発生する発熱自体を冷却水の循環駆動力として積極的に活用することにより、冷却水を循環させるための電力やポンプなどの冷却水循環システムが不要となる自然循環型ビーム標的冷却システムの開発である。本研究では、冷却水の自然循環を生じさせる手法として、相変化を伴う沸騰冷却により標的を冷却することで、水と蒸気との大きな密度差を循環駆動力として活用する手法を採用している。これにより、一次冷却系に動的な循環システムが不要となり、グリーン加速器への貢献が期待できることに加えて、一般的な強制対流の水冷に比べて熱伝達率が一桁高い沸騰伝熱を利用できる。さらに、停電等のアクシデント時にも無電源で作動可能であるため、レジリエンス性の高い冷却システムとして期待される。本発表では、冷却システムの概要を紹介するとともに、ビーム標的を模擬した円柱型水平ヒータを導入した小型試験装置による基礎試験の様子と、ビーム標的で想定される発生蒸気を模擬するための空気をコンプレッサにより試験部に供給する水・空気系の自然循環試験の現状を報告する。 |
10:00-10:20 | |
THOB4 p.160 | J-PARCにおけるRaDIATE国際協力 Past activities and prospects of RaDIATE collaboration at J-PARC ○牧村 俊助(KEK, J-PARC),中平 武(J-PARC, KEK),明午 伸一郎,直江 崇(J-PARC, JAEA),石田 卓,的場 史朗,佐藤 洋一,高橋 仁,渡邉 瑛介,吉田 誠(J-PARC, KEK),涌井 隆,斎藤 滋,森下 卓俊,仲野谷 孝充,増山 康一(J-PARC, JAEA),RaDIATE collaboration(RaDIATE) ○Shunsuke Makimura (KEK, J-PARC), Takeshi Nakadaira (J-PARC, KEK), Shin-ichiro Meigo, Takashi Naoe (J-PARC, JAEA), Taku Ishida, Shiro Matoba, Yoichi Sato, Hitoshi Takahashi, Eisuke Watanabe, Makoto Yoshida (J-PARC, KEK), Takashi Wakui, Shigeru Saito, Takatoshi Morishita, Takamitsu Nakanoya, Koichi Masuyama (J-PARC, JAEA), Collaboration Radiate (RaDIATE) In proton accelerator facilities, targets are irradiated by proton beams, and experiments in particle nuclear physics and material life science are being conducted using the secondary particles. However, irradiation damage and thermal shock in the target, beam window, and other beam-intercepting components limit the beam intensity and the operation time in future facility. Research of material resistance to irradiation damage and thermal shock is an important issue common to all advanced accelerator facilities in the world. So, the international cross-disciplinary collaboration, RaDIATE, Radiation Damage In Accelerator Target Environments, was established in Japan, the North America., and Europe. J-PARC officially participated in the project in December 2017. So far, J-PARC has conducted the research mainly under collaboration with Fermi National Accelerator Laboratory by performing high-energy proton irradiation at Brookhaven National Laboratory, Post Irradiation Examination at Pacific Northwest National Laboratory, and thermal shock experiments at CERN-HiRadMat. In this presentation, the past activities and the prospects of RaDIATE collaboration will be presented. |
加速器技術(ビーム診断・ビーム制御)/加速器技術(加速器制御) (8月31日 13号館1325教室) | |
10:30-10:50 | |
THOA5 p.163 | ナノテラスにおける3極ウィグラーを用いた電子ビーム診断システム Electron beam diagnostics system using 3-pole wiggler in NanoTerasu ○上島 考太(量研),高野 史郎(高輝度光科学研究センター、量研、理研),前坂 比呂和(理研、高輝度光科学研究センター),正木 満博,藤田 貴弘,出羽 英紀(高輝度光科学研究センター、量研),渡部 貴宏,深見 健司(高輝度光科学研究センター、量研、理研),谷内 努,清道 明男(高輝度光科学研究センター、量研),土山 翼,及川 治彦,伊原 彰,齋田 涼太(量研、NAT),西森 信行(量研) ○Kota Ueshima (QST), Shiro Takano (JASRI,QST,RIKEN), Hirokazu Maesaka (RIKEN,JASRI), Mitsuhiro Masaki, Takahiro Fujita, Hideki Dewa (JASRI,QST), Takahiro Watanabe, Kenji Fukami (JASRI,QST,RIKEN), Tsutomu Taniuchi, Akio Kiyomichi (JASRI,QST), Tsubasa Tsuchiyama, Haruhiko Oikawa, Akira Ihara, Ryota Saida (QST,NAT), Nobuyuki Nishimori (QST) ナノテラス蓄積リングの短直線部1本に蓄積ビーム電流モニター(DCCT)と電子ビーム診断の放射光源として3極ウィグラーを設置した。本3極ウィグラーによる広帯域の波長スペクトルを持つ放射光を利用して、トンネル内に設置された硬X線ピンホールカメラによる電子ビームプロファイル測定に加え、実験ホールに可視光線を取り出し、ストリークカメラを用いた電子バンチ長測定を行う計画である。3極ウィグラーは放射線による減磁の影響が少ないSm2Co17永久磁石と電磁軟鉄を組合わせた設計とし、完成した3極ウィグラーのピーク磁場は1.27 T、積分磁場は0.1T mm以下で、要求性能を上回ったものとなっている。3GeV電子蓄積リングの水平エミッタンスは1.14nm rad、カップリング比は1%で、短直線部のビームサイズは80μm(水平方向)、6μm(鉛直方向) std.となる。X線ピンホールカメラは、回折の影響を避けて必要な分解能を得るために50keVの硬X線で測定を行う。ナノテラスでは2023年4月から線型加速器のコミッショニングを開始し、所定のエネルギー3GeVまで電子ビームを加速する事に成功した。6月下旬から蓄積リングのコミッショニングを開始する予定で、本講演では、3極ウィグラーを用いた電子ビーム診断システムについて試験結果も含めて報告する。電子ビーム蓄積後の最初の放射光観測にも本システムを利用する。 |
10:50-11:10 | |
THOA6 p.167 | ナノテラス蓄積リング用ビーム位置モニタシステムの構築と立ち上げ Construction and commissioning of the beam position monitor system for the NanoTerasu storage ring ○前坂 比呂和(理研・高輝度光科学研究センター),上島 考太,小原 脩平(量研),土山 翼,及川 治彦,伊原 彰,齋田 涼太(量研・NAT),西森 信行(量研),福井 達(理研),正木 満博,藤田 貴弘,出羽 英紀(高輝度光科学研究センター・量研),細田 直康,高野 史郎(高輝度光科学研究センター・量研・理研) ○Hirokazu Maesaka (RIKEN/JASRI), Kota Ueshima, Shuhei Obara (QST), Tsubasa Tsuchiyama, Haruhiko Oikawa, Akira Ihara, Ryota Saida (QST/NAT), Nobuyuki Nishimori (QST), Toru Fukui (RIKEN), Mitsuhiro Masaki, Takahiro Fujita, Hideki Dewa (JASRI/QST), Naoyasu Hosoda, Shiro Takano (JASRI/QST/RIKEN) ナノテラス 3 GeV 蓄積リングでは、ビーム軌道制御のためボタン電極型ビーム位置モニタ (BPM) が 112 台使用される。本 BPM は、ビームコミッショニング時の入射調整及び初期の軌道補正に用いるシングルパス測定にて入射された 100 pC シングルバンチに対して 100 μm std. の位置分解能や ±100 μm の絶対位置精度が要求され、また、実運転時の Closed Orbit Distortion (COD) 測定の長期安定性として 1 か月にわたり 5 μm peak-to-peak 以内である必要がある。実運転中には、挿入光源の高出力光ビームから真空チェンバ等を保護する光軸変動インターロックにも使用される。これらを満足するため、ボタン電極、耐放射線高周波信号ケーブル及び MicroTCA.4 による読み出し回路など SPring-8-II 向けに開発された機器で構成される BPM システムが設計・製作され、今年春に予定通り設置が完了した。各構成機器単体試験の結果はすべて合格となり、数値データはすべて所定の許容差の範囲に収まっていた。6月からは蓄積リングのビームコミッショニングが予定されているため、その最初にビームを用いた BPM システムの立ち上げ調整を行う予定である。本発表では、BPM システム製作・設置の状況とその試験結果、および、立ち上げ調整時のビームを用いた評価結果などについて報告する。 |
11:10-11:30 | |
THOA7 p.172 | J-PARC MR制御システムの15年間の運用と今後の展望 15 years of the J-PARC Main Ring control system operation and its future prospects ○山田 秀衛(KEK/J-PARC) ○Shuei Yamada (KEK/J-PARC) J-PARC MRの加速器制御システムは、2008年に運用を開始した。建設期に導入された、サーバ・ディスク・運転用端末・フロントエンド計算機・ソフトウェアといった制御計算機の構成要素のほとんどは、この15年で1~2回の世代交代を経ている。それに伴い、これらの運用方針も変化した。本稿では、各コンポーネントの機種更新を振り返り、構成や運用方針の背景にある思想を検討する。また、建設期には無かった、仮想化・サイバーセキュリティといった考え方への対応についても議論する。 |
11:30-11:50 | |
THOA8 p.178 | RCNPにおける制御のEPICS移行と機械学習の導入 Updating control system with EPICS and machine learning method at RCNP ○依田 哲彦,神田 浩樹,福田 光宏(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では 2019年から AVF サイクロトロンの改造を中心としたサイクロトロン施設の更新が実施されてきた。更新の機会に、制御系もリレー制御を廃止するなどの制御系の更新作業が実施された。この制御の更新では、旧来のSCADA(Wonderware InTouch)による制御をEPICSへの移行することも進めてきた。現状ではEPICSが制御全体の10%を占めている、SCADAとの混在状態となっている。このEPICSの割合を早急に100%にすべく、レガシーシステムなどのEPICS化作業に向けた基礎的な開発を重ねて、あとはマンパワーをかけるだけという状況に到達した。また、これと並行して、現状のEPICS、SCADA混在状態に置いても機械学習を導入できる仕組みの構築も実施した。講演では、これらの開発状況の詳細について発表する。 |
11:50-12:10 | |
THOA9 p.181 | ベイズ最適化を用いたKEK Linacビーム調整とSuperKEKBへの展望 Bayesian optimization assisted beam tuning at the KEK Linac and prospects for SuperKEKB ○三塚 岳,飯田 直子(高エネ研),加藤 臣之輔(東京大学),夏井 拓也,佐藤 政則(高エネ研) ○Gaku Mitsuka, Naoko Iida (KEK), Shinnosuke Kato (University of Tokyo), Takuya Natsui, Masanori Satoh (KEK) 加速器から最高のパフォーマンスを得るには、数百から数千に及ぶ調整パラメータを運転状況に合わせ最適化しなければならない。従来はエキスパートが貢献度が高い調整パラメータを時によっては経験に基づき判断し、逐次調整していた。一方、飛躍的に扱いやすくなった機械学習を用いた加速器調整アプローチが、近年精力的に研究されている。我々はSuperKEKB加速器高度化を目指し、ベイズ最適化に基づくビーム調整ツールの開発を進めている。本学会では、開発第一段階としてKEK入射器で行っている陽電子ビーム収量最大化やディスパージョン調整等のビーム試験の最新状況を報告し、併せてベイズ最適化アルゴリズムの解説も行う。 |
加速器技術(粒子源)/加速器技術(高周波源・LLRF) (8月31日 13号館1326教室) | |
10:30-10:50 | |
THOB5 p.185 | SACLA電子源ビームの高輝度化に向けて Toward higher brightness beam of the SACLA electron source ○渡川 和晃(理研) ○Kazuaki Togawa (RIKEN) X線自由電子レーザー(XFEL)のために開発された低エミッタンスCeB6熱電子銃は、SCSS試験加速器とSACLAで20年近く実用運転に使用されてきた。SACLA特有のカソード短寿命問題が未解決問題として残されているものの、昨年度にトラブル時に電子銃を迅速に交換できるようシステムの大幅な改造を行い、電子源としてほぼ完成形を迎えるに至った。現在は、XFELの更なる高出力化を目指して電子源ビームの高輝度化に取り組んでいる。本研究会では、熱電子源の基礎原理に基づいたSACLA電子源ビームの高輝度化の方策について報告する。 |
10:50-11:10 | |
THOB6 p.190 | KEK-PFリング用ローレベルRF系更新の進捗 Progress report on the update of the low-level RF system at KEK-PF ring ○内藤 大地,山本 尚人,高橋 毅,本村 新,坂中 章悟(高エ研) ○Daichi Naito, Naoto Yamamoto, Tsuyoshi Takahashi, Arata Motomura, Shogo Sakanaka (KEK) KEK PF 2.5 GeVリングでは、2023年度中にローレベルRF(LLRF)系を更新する予定である。新しいLLRF系はμTCA.4規格に基づくeRTM、AMC、μRTM等のデジタル制御ボード群で構成される。このシステムでは、RF信号の取得にSPring-8で実績のあるダイレクトサンプリング法[1]を採用した。次世代の光源では、バンチギャップが高調波空洞と主空洞内に誘起する過渡的電圧変動が問題となる可能性がある。これらの過渡的電圧変動を補償するためには、リング周回周波数と同期してRF信号を取得するのが好都合である。このため、ダイレクトサンプリング周波数はRF周波数の8/13倍に設定した。また、フィードフォワード制御によりリング周回周波数と同期して空洞RF電圧を変調する機能も組み込んだ。この新LLRFシステムは既に納品され、6月中旬までテストベンチでの性能評価を行った後に、7月から10月にかけて大電力RF系に接続して各種の調整を行う予定である。本発表では新LLRFシステム開発の進捗状況を報告する。 [1]T. Ohshima et al., Proc of PASJ2018. |
11:10-11:30 | |
THOB7 | KEK LUCX 施設の新しい FPGA ベースの LLRF 位相および振幅フィードバック パフォーマンス レポート KEK LUCX facility new FPGA based LLRF phase and amplitude feedback performance report ○ポポフ コンスタンティン(SOKENDAI, School of High Energy Accelerator Science),アリシェフ アレクサンダー,照沼 信浩(High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) ○Konstantin Popov (SOKENDAI, School of High Energy Accelerator Science), Alexander Aryshev, Nobuhiro Terunuma (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) KEK LUCX facility is a compact linear accelerator used for advanced accelerator technology and electron beam instrumentation R&Ds. New LLRF (Low-Level RF) phase and amplitude feedback based on FPGA (Field-Programmable Gate Array) board was developed and tested during the LUCX facility routine operation. The RedPitaya 125-14 (also known as STEMLab 125-14) FPGA board was chosen due to its well-balanced specifications and the board-to-board synchronization ability. The LLRF feedback loop includes digitization of In-phase and In-Quadrature DC signals, PI controller for I and Q terms correction calculations, I/Q modulation and RF signal regeneration. This report presents the LLRF feedback development and implementation status, as well as performance test results acquired during several LUCX machine runs. Also, the technical issues of the feedback implementation into the LLRF system of the KEK LUCX accelerator are discussed. |
11:30-11:50 | |
THOB8 p.195 | J-PARCリニアックLLRFシステムの高度化 Advancements in LLRF system at J-PARC LINAC ○二ツ川 健太,Ersin Cicek,方 志高,福井 佑治,溝端 仁志(高エネルギー加速器研究機構),佐藤 福克(NAT),篠崎 信一(日本原子力研究開発機構) ○Kenta Futatsukawa, Cicek Ersin, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Satoshi Mizobata (KEK), Yoshikatsu Sato (NAT), Shinichi Shinozaki (JAEA) J-PARCリニアックの低電力高周波制御(LLRF)システム内のデジタルフィードバック・フィードフォワード(DFB・DFF)システムは, 高精度の空洞電界を実現して, 出射運動量を安定化させる重要な役割を果たす。2020年から2021年にかけて, 老朽化した24式の324 MHzのDFB・DFFシステムの更新を行った。システム内の自由度が増えたことにより, 高精度の適応型ビーム負荷補償システムを実装することが可能になった。 システム全体の改造の際に, 上位から監視を強化して, 定期的に自動で設定値の確認や波形の保存を実施している。また, 各種パラメータの調整の自動化の開発を行い, 容易に調整が実施できる体制となった。最近は, DFB・DFFシステムだけでなく, インターロック事象を自動で波形取得と解析を行い, 系統的・統計的に処理をして, MySQLサーバに保存するインターロック統括システムを開発してデータを蓄積している。また, Mattermostサーバを用意して, 高周波の状態異常やパラメータの変更記録, プログラムのエラーなどを書き込むように組み上げた。 本講演では, 高度化された現在のJ-PARCリニアックのLLRFシステムの紹介をする予定である。 |
11:50-12:10 | |
THOB9 p.200 | NanoTerasu蓄積リング用大電力高周波加速システムの現状 Status of RF acceleration system for NanoTerasu storage ring ○高橋 隼也(量研, NAT),安積 隆夫,上島 考太,小原 脩平,西森 信行,保坂 勇志(量研),青木 駿尭,岩下 大器(量研, NAT),稲垣 隆宏,前坂 比呂和(理研, 高輝度光科学研究センター),岩井 瑛人,大島 隆,近藤 力,細田 直康(高輝度光科学研究センター, 理研, 量研),山口 博史(高輝度光科学研究センター, 量研),斗米 貴人(高輝度光科学研究センター),早賀 紀久男,吉岡 正倫(スプリングエイトサービス) ○Shunya Takahashi (QST, NAT), Takao Asaka, Kota Ueshima, Shuhei Obara, Nobuyuki Nishimori, Yuji Hosaka (QST), Toshitaka Aoki, Taiki Iwashita (QST, NAT), Takahiro Inagaki, Hirokazu Maesaka (RIKEN, JASRI), Eito Iwai, Takashi Ohshima, Chikara Kondo, Naoyasu Hosoda (JASRI, RIKEN, QST), Hiroshi Yamaguchi (JASRI, QST), Takato Tomai (JASRI), Kikuo Hayaga, Masamichi Yoshioka (SES) 次世代放射光施設NanoTerasuでは2024年4月からのユーザー運転に向けた加速器の設置、調整を進めている。400mAの蓄積ビーム電流に対する放射損失の補填と5時間以上のビーム寿命を確保するため、高周波加速システムでは最大3.3MVの加速電圧を安定生成する必要がある。高次共振モードによるビーム不安定性の抑制と小スペースで必要な加速電圧を実現するため、SPring-8で開発された高次共振モード減衰型加速空胴を採用した。高周波システム制御については、SPring-8蓄積リングで運転実績があるMicro TCA.4規格のデジタル制御システムを採用した。2022年4月から508MHz、1.2MW出力のCWクライストロン本体、電源システムの設置作業を開始し、導波管立体回路の構築、空胴設置作業を順次進めてきた。本発表では、NanoTerasuの高周波システムの構成と設置状況、試験運転で得られた機器性能、6月より実施予定のRFコンディショニング状況について報告する。 |
加速器技術(加速器制御)/加速器応用・産業利用 (8月31日 13号館1325教室) | |
15:40-16:00 | |
THOA10 p.205 | 音響センサーデータ収集システムの開発 Development of data acquisition system for acoustic sensors ○牛本 信二(三菱電機システムサービス(株)),惠郷 博文,肥後 壽泰,由元 崇(高エネルギー加速器研究機構) ○Shinji Ushimoto (MITSUBISHI ELECTRIC SYSTEM & SERVICE CO.,LTD.), Hiroyasu Ego, Toshiyasu Higo, Takashi Yoshimoto (KEK) KEK電子陽電子入射器ではビーム加速を効率的に制御するため、クライストロン1台で4本の加速管にRFを供給するユニット構造を採用している。 現在設置されているS-band加速管は200本以上で、中には長期にわたる運転の影響で放電頻度が増加しているものが散見される。このような加速管が含まれる加速ユニットでは、本来必要とされるパワーでの安定運転が困難となっており、本来の性能を維持するためには、加速ユニット内における放電加速管の特定をおこない、交換する必要がある。 加速管内の放電を非破壊で検出する手段として、圧電素子を用いた音響センサーを加速管に取り付けて、放電時の衝撃で生じた微小な超音波を観測する手法がある。今回、PXI ベースのオシロスコープと多チャンネル高分解能 ADC モジュールを組み合わせて、最大50Hzで音響センサーのデータを収集するシステムを開発した。このシステムでは、オシロスコープで RF 波形(4μs)、ADCモジュールで音響センサー信号(数ms)を収集する。各モジュールのデータは制御用PCのDAQプログラム内に10パルス分リングバッファで保持する。加速ユニットで大きな放電が発生すると、クライストロン電源のインターロックが作動し、RFの供給が止まる。この時、バッファしていたデータを外部ファイルに書き出し記録をおこなう。 本報告ではシステムの開発状況と実際の加速ユニットにおける放電加速管の特定事例について紹介する。 |
16:00-16:20 | |
THOA11 p.209 | レーザープラズマ航跡場入射用極短パルス線型加速器トリガーシステムの開発 Development of a trigger system for a linac to inject ultrashort pulsed electron beams into laser plasma wakefields ○増田 剛正,益田 伸一,熊谷 教孝,大竹 雄次(高輝度光科学研究センター) ○Takemasa Masuda, Shinichi Masuda, Noritaka Kumagai, Yuji Otake (JASRI) 我々は、10fs(rms)以下の極短パルス電子ビームを生成し、後段のレーザープラズマ航跡場に追加速入射するための線型加速器の開発を進めている。加速高周波やレーザー、ビームモニター等の機器の繰り返し周期と起動タイミングを決めるトリガーシステムは、キャピラリーに入射する電子ビームの安定度やモニターの精度を決める重要な要素となる。上記10fsは加速高周波が決めるためその安定度が要求されるが、多くの加速器機器は数十psの起動タイミングの安定度があれば十分である。マスタートリガーユニット(MTU)は、既に開発済みのマスターオシレータ(MOSC)から供給されるレーザーモードロック用79.3MHz信号と商用電源60Hzに2重同期した、0.1Hz〜60Hz周期、2〜10µs幅のトリガーパルスを出力する独立したユニットとして新規に開発を行なった。MTUで生成した低ジッター(~3ps (rms))のトリガーパルスは、RF over White Rabbit(RFoWR)技術によりWR ネットワーク経由で伝送する予定である。MOSCからの79.3MHz信号とMTUからのトリガーパルスの入力信号をもとに、伝送先において79.3MHz信号と適切な遅延量を加えたトリガーパルスを再生成する。Preliminaryな結果として10ps(rms)程度のジッター性能を有するトリガーパルスの出力を確認しており、これは加速高周波機器用のトリガー信号として十分な性能である。本発表では本プロジェクトにおけるトリガーシステム開発の現状について報告する。 |
16:20-16:40 | |
THOA12 | アルファ線核医学治療用アスタチン-211の大規模製造装置の開発 Development of a large-scale production system of astatine-211 for targeted alpha-particle therapy ○安良田 寛,栗原 嵩司,中村 伸悟(金属技研、理研),佐藤 望,殷 小杰,南部 明弘,重河 優大(理研),荒井 秀幸(金属技研、理研),長澤 豊(金属技研),羽場 宏光(理研) ○Hiroshi Arata, Takashi Kurihara, Shingo Nakamura (MTC,RIKEN), Nozomi Sato, Xiaojie Yin, Akihiro Nambu, Yudai Shigekawa (RIKEN), Hideyuki Arai (MTC,RIKEN), Yutaka Nagasawa (MTC), Hiromitsu Haba (RIKEN) 近年、アルファ(α)線核医学治療に期待されるα線放出核種、アスタチン-211(At-211)の需要が急速に高まっている。At-211は、加速器を用いて約28 MeVに加速したα(ヘリウム-4)粒子をビスマス(Bi-209)標的に照射して製造される。照射後、Bi標的を標的チャンバーから取り出し、乾式または湿式の化学分離法を用いてAt-211の精製が行われる。理研RIビームファクトリーでは、最近50 μAを超える大強度のαビームをAt-211の製造に利用できるようになってきたが、Biの融点と熱伝導率が非常に低いため、従来の固体Biを用いた照射装置では標的が損傷し、At-211を定量的に製造できない問題が生じていた。そこで、我々の研究グループでは、回転式標的容器を用いた画期的な標的システムを考案した。本システムを用いれば、大強度のαビーム照射によってBi標的が融けても遠心力で標的の形状を維持させ、定量的にAt-211を製造できる。さらに、標的チャンバー内に設置した標的加熱機構を用いてBi標的を昇温し、At-211のみを気化させてBi標的から分離、化学実験室まで引き出して回収することができる。本発表では、我々が開発したAt-211製造装置の概要と性能試験の結果を報告する。 |
加速器技術(高周波源・LLRF)/加速器技術(電磁石と電源) (8月31日 13号館1326教室) | |
15:40-16:00 | |
THOB10 p.214 | 352 MHz 1.2 MW パルスクライストロンの開発 Development of 352MHz 1.2MW pulse klystron ○松田 拳汰,坂本 光徳,手塚 勝彦,大久保 良久(キヤノン電子管デバイス株式会社) ○Kenta Matsuda, Mitsunori Sakamoto, Katsuhiko Tetsuka, Yoshihisa Okubo (Canon Electron Tubes & Devices) キヤノン電子管デバイスはBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)用途のRF源として、動作周波数352 MHzのピーク出力1.2 MW、平均出力375kWのパルスクライストロンの開発を行っている。本クライストロンの開発ではJ-PARC向け324 MHz-3 MWクライストロンE3740Aの派生管である350 MHz-1.6 MWパルスクライストロンE37621および325 MHz-600 kWCWクライストロンE37705の構造を基本とし、本クライストロンの動作点に合わせ、電子銃部、相互作用部、高周波出力部、コレクタ部、集束電磁石の各部を基本管構造の小変更や両基本管の構造の融合等により実績のある設計とした。電子銃はビームパービアンス1.1μPの3極管とし、相互作用部は定格効率59%の設計としており、ビーム電圧81 kV-ビーム電流25 Aで1.2 Mの高周波出力を見込んだ。本クライストロンのRFデューティはE3740Aクライストロンの約4倍、コレクタ損失はRF励振無しでのダイオード運転が動作可能な800kWクラスであるが、E37705と同様の減容設計によりE3740Aとほぼ同じ全長、重量の設計とした。 本発表では、本クライストロンの設計の詳細と2023年5月から開始する初号管の初期評価試験結果について報告する。 |
16:00-16:20 | |
THOB11 p.218 | 3GeV次世代放射光施設ナノテラスの蓄積リング電磁石及び入射部電磁石の設置と試運転状況 Construction status of the storage ring and injection magnets at the 3GeV next-generation synchrotron radiation facility NanoTerasu ○小原 脩平,西森 信行,安積 隆夫,上島 考太,保坂 勇志(量研),青木 駿尭,伊原 彰,岩下 大器,小林 創,小林 秀樹(量研、NAT),渡部 貴宏,近藤 力,高野 史郎,深見 健司,田村 和宏,大石 真也,小路 正純(JASRI、理研、量研),青木 毅,松原 伸一,柳田 謙一,川瀬 守弘,谷内 努,山口 博史,増田 剛正,上田 庸資(JASRI、量研),稲垣 隆宏(理研、JASRI),安積 則義(JASRI、RIKEN),松井 佐久夫,平岩 聡彦(理研),井上 忍,住友 博史,森谷 佳津貴,横町 和俊,山本 龍,酒井 康平,吉岡 正倫(SPring-8 Service) ○Shuhei Obara, Nobuyuki Nishimori, Takao Asaka, Kota Ueshima, Yuji Hosaka (QST), Toshitaka Aoki, Akira Ihara, Taiki Iwashita, Hajime Kobayashi, Hideki Kobayashi (QST, NAT), Takahiro Watanabe, Chikara Kondo, Shiro Takano, Kenji Fukami, Kazuhiro Tamura, Masaya Oishi, Masazumi Shoji (JASRI, RIKEN, QST), Tsuyoshi Aoki, Shinichi Matsubara, Kenichi Yamagida, Morihiro Kawase, Tsutomu Taniuchi, Hiroshi Yamaguchi, Takemasa Masuda, Yosuke Ueda (JASRI, QST), Takahiro Inagaki (RIKEN, JASRI), Noriyoshi Adumi (JASRI, RIKEN), Sakuo Matsui, Toshihiko Hiraiwa (RIKEN), Shinobu Inoue, Hiroshi Sumitomo, Kazuki Moriya, Kazutoshi Yokomachi, Ryo Yamamoto, Kohei Sakai, Masamichi Yoshioka (SPring-8 Service) NanoTerasuの蓄積リングは4ベンドアクロマートのラティスであり、4台の偏向電磁石と10台ずつの四極電磁石と六極電磁石で構成されたセルが全体で16セルある。蓄積リングへの入射部は4台のキッカー電磁石、2台のDCセプタム電磁石及び1台のパルスセプタム電磁石にて構成される。 多極電磁石はワイヤ振動を用いた測定によって磁場中心がビーム軸になるよう架台上に並べられ、蓄積リングトンネル内にはレーザートラッカーによる測量を用いて精度50 umにて磁石架台が設置された。 電磁石電源はそれぞれ単体の動作でリップルが50 ppm以下であることが確認できており、複数台同時に動作させた際の調整を行っているところである。 入射部はバンプ軌道が蓄積ビームに対して十分透明になるようにするため、4つの電磁石のパルス励磁を0.1%精度で合わせる。現在までに1%程度までパルス出力電流波形を合わせこむことができており、今後さらなる調整を行う。 本発表ではこれら電磁石と電源について紹介するとともに、設置作業および通電試験の状況を報告する。 |
16:20-16:40 | |
THOB12 p.222 | Kicker電磁石によるLER入射バンプ軌道の蹴り残し Residue orbit for LER injection bump caused by magnetic field difference between kickers ○小玉 恒太,三増 俊広(高エネ研) ○Kota Kodama, Toshihiro Mimashi (KEK) 電子・陽電子非対称衝突型円形加速器であるSuperKEKBは7 GeVの電子リング(HER)と4 GeVの陽電子リング(LER)から構成される.SuperKEKBではKicker電磁石3台を1組として両リングにそれぞれ2組が存在し,入射のために閉じた,つまり水平位相が180度の入射バンプ軌道を形成するように設計されている.しかしSuperKEKB運転時のBunch Oscillation Recorderによる軌道測定から,LERでは入射軌道の蹴り残しがあることがわかっている.LER Kicker電磁石では2組間で異なる形状のセラミックダクトが使われており,その形状差によってセラミックダクト内部の磁場波形が異なることが原因であると考えている. 本発表ではセラミックダクト内部の磁場波形を計算した結果から,LER入射時におけるバンプ軌道の蹴り残しの原因について議論をする.また実際に測定されたセラミックダクト中の磁場波形も報告する. |
加速器応用・産業利用 (8月31日 13号館1325教室) | |
16:50-17:10 | |
THOA13 | 超伝導RF電子銃を用いた超高速電子顕微鏡の概念設計 Design of ultrafast electron microscopy with superconducting RF gun ○楊 金峰(阪大産研),許斐 太郎(Michigan State University/FRIB),井藤 隼人,山田 智宏,梅森 健成,阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構) ○Jinfeng Yang (Sanken, Osaka U.), Taro Konomi (Michigan State University/FRIB), Hayato Ito, Tomohiro Yamada, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai (KEK) 超高速の構造ダイナミクスの観察は、機能の解明や新物質の創製に非常に重要である。我々は、高周波(RF)加速器技術を利用して相対論的フェムト秒電子線パルスを発生し、超高速電子顕微鏡装置の研究開発を推進している。今までは、常伝導SバンドRF電子銃を用いた超高速電子顕微鏡を世界に先駆けて製作し、実証実験では実現の可能性を示した。しかし、常伝導RF電子銃では大電力のRFパルスを利用するため、ビームの低繰返しとパルスごとのエネルギー安定性の制限を生じる。本研究では、これらの制限を突破したLバンドNb3Sn超伝導RF電子銃を考案し、これを用いた超高速電子顕微鏡の開発を目指している。本年会では、Nb3Sn超伝導RF電子銃の設計、ビームシミュレーションの結果およびこれを用いた超高速電子顕微鏡の概念設計について報告する。 |
17:10-17:30 | |
THOA14 p.225 | 将来リソグラフィー用EUV-FEL光源 EUV-FEL light source for future lithography ○中村 典雄,加藤 龍好,阪井 寛志,土屋 公央,谷本 育律,本田 洋介,宮島 司,島田 美帆,山本 将博,谷川 貴紀,田中 織雅,帯名 崇,河田 洋(高エネ研) ○Norio Nakamura, Ryukou Kato, Hiroshi Sakai, Kimichika Tsuchiya, Yoshinori Tanimoto, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada, Masahiro Yamamoto, Takanori Tanikawa, Olga Tanaka, Takashi Obina, Hiroshi Kawata (KEK) EUVリソグラフィ(波長13.5 nm)では、先端半導体の量産が近年開始され、日本でも将来の先端半導体の量産を目指す会社Rapidus(株)と先端半導体量産技術の研究開発拠点であるLSTC(Leading-edge Semiconductor Technology Center)が昨年設立された。現在のEUV露光装置では250Wのレーザー生成プラズマ(LPP)光源が使用されているが、将来より高いスループットと高い分解能を実現するためにはより強力なEUV光源が必要とされる。我々は、将来のリソグラフィのためにERLを用いた高出力EUV-FEL光源を設計・研究してきた[1,2]。この光源は、高いEUV出力(> 10 kW)を有すること、プラズマによるミラーの汚染がないこと、Beyond EUV光源(波長6.7 nm)へ拡張できること、高NAリソグラフィのための偏光制御が可能なこと、露光装置1台あたりの電力消費とコストが低いことなど、LPP光源と比べて多くの利点を有する。また、KEKのコンパクトERL(cERL)に設置したIR-FELを用いたEUV-FEL光源の概念実証(PoC: Proof of Concept)実験も進んでいる。本発表では、将来リソグラフィー用EUV-FEL光源について紹介する。 [1] H. Kawata et al., J. Micro/Nanopattern Mater. Metrol. 21(2), 021210 (2022). [2] N. Nakamura et al., Jpn. J. Appl. Phys. 62, SG0809 (2023). |
17:30-17:50 | |
THOA15 p.230 | ビーム窓の散乱を利用した数GeV二次陽子利用法の高度化 Advanced secondary GeV protons utilization using scattering at beam window ○明午 伸一郎,山口 雄司,岩元 大樹(J-PARC/JAEA) ○Shinichiro Meigo, Yuji Yamaguchi, Hiroki Iwamoto (J-PARC/JAEA) 宇宙開発事業において、衛星搭載用の宇宙線センサーの応答測定のため数百MeVからGeV領域の陽子の利用が必要となるが、400 MeV以上のエネルギー領域で供給が可能な加速器施設は世界的に少なく、国内にはJ-PARCが唯一となる。J-PARC加速器施設ではユーザー運転を安定に継続するために、利用者の実験装置を陽子ビームダクト内への設置は困難となる。このため、我々はビームダンプ入口のビーム窓(Al)における散乱陽子を利用した手法を開発した。既にまた、加速器駆動核変換システム等の大強度陽子加速器施設では核内カスケードモデル(INCL)の高度化が重要となる。INCLの改良のためには、最前方方向の放出粒子の二重微分断面積が重要となるが、実験値が殆どないため新たなデータの取得が望まれる。宇宙開発利用の推進およびINCLの高精度化のため、J-PARC 3NBTにおいて400 MeV陽子を用いた二重微分断面積を行った。この結果、陽子スペクトルには弾性散乱の鋭いピークを有する構造となることが明らかになった。 PHITSの計算は、このピークをよく再現するものの、準弾性散乱の寄与を3倍程度過大評価することが明らかになった。この不一致はINCLによるものと考えられ、計算モデルに量子論的分子動力学モデル(QMD)を適用したところ、実験をよく再現することが明らかになった。以上より確信をもって宇宙開発に向けた数GeV領域の陽子利用が可能になり、昨年度末から宇宙線センサーの試験を開始した。 |
加速器技術(電磁石と電源) (8月31日 13号館1326教室) | |
16:50-17:10 | |
THOB13 p.235 | キッカー電磁石用SiC半導体スイッチ電源 SiC-based semiconductor switch power supply for kicker magnets ○高柳 智弘,小野 礼人(JAEA),堀野 光喜,植野 智晶(NAT),杉田 萌,金正 倫計(JAEA),徳地 明,生駒 直弥,中田 恭輔,亀崎 広明,隅田 博之(PPJ) ○Tomohiro Takayanagi, Ayato Ono (JAEA), Koki Horino, Tomoaki Ueno (NAT), Moe Sugita, Michikazu Kinsho (JAEA), Akira Tokuchi, Naoya Ikoma, Kyosuke Nakata, Hiroaki Kamezaki, Hiroyuki Sumida (PPJ) 加速ビームの入射や取り出しに、高速のパルス磁場でビーム軌道を偏向する(蹴り出す)キッカーシステムが用いられている。キッカーシステムには、指定したビームのバンチのみに作用する短パルスの高速性と高繰り返し性に優れたパルス電源が必要である。J-PARC/JAEAでは、次世代パワー半導体の一つであるSiC-MOSFETを用いて、サイラトロンスイッチ電源に代わるサステナブルな半導体スイッチ電源の開発に取り組んできた。2017年に3.8kV/2kA出力の試験機からスタートし、2021年に40kV/2kAの定格出力にて8時間の連続運転を実現した。続いて2022年には、実機と同型のキッカー電磁石と電力輸送用の130mの同軸ケーブルを用いた通電試験を開始した。試験では、開発した半導体スイッチ電源を20kV/2kA出力の2台に組み替え、実機同様の双子型電源に再構成し、パルス励磁したキッカー電磁石の磁場波形をサーチコイルで測定した。そして、本電源の特徴であるパルス波形のフラットトップ部の垂れを補正する機能を用いて、波形に生じるリンギングを半分以下に抑制できることを磁場波形で実証した。この成果により、蹴り出したビームのバンチ間に発生するリンギングに起因した蹴り角差を低減できる。発表では、開発したSiC半導体スイッチ電源の仕様、試験装置、及び、評価結果について報告する。 |
17:10-17:30 | |
THOB14 p.240 | デジタル制御による電磁石電源の開発および次世代放射光施設への展開 Development of magnet power supply using digital controller and its application to next generation synchrotron radiation facility ○近藤 力(JASRI/RIKEN/QST),谷内 努,山口 博史,青木 毅(JASRI/QST),深見 健司,渡部 貴宏(JASRI/RIKEN/QST),小原 脩平,西森 信行(QST),中澤 伸侯(SES),福井 達,田中 均(RIKEN) ○Chikara Kondo (JASRI/RIKEN/QST), Tsutomu Taniuchi, Hiroshi Yamaguchi, Tsuyoshi Aoki (JASRI/QST), Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI/RIKEN/QST), Shuhei Obara, Nobuyuki Nishimori (QST), Nobuyuki Nakazawa (SES), Toru Fukui, Hitoshi Tanaka (RIKEN) 次世代放射光源SPring-8-IIに向け、各種磁石に対するフィードバック制御の最適化が迅速、可逆的なデジタル制御を用いたPWMスイッチング型の電磁石電源を各種開発してきた。まず、蓄積リングにおける各セルの同種電磁石を直列に励磁する1~250kWの大電流Family電磁石電源では、出力電力の大電力化をユニット数で対応できるものとし、デジタルフィードバック制御の最適化により短期的なリップルおよび長期的なドリフトを20ppm以内に抑えることができた。また、六極電磁石に付加した3対の補助コイルによるステアリング磁場発生を想定した数十W級のDC-link型電源も開発した。この電源では、磁場調整の際にコイル間の電流バランスを保持すべく、3出力の電流を同期して変更可能となるよう設計した。更に、実運転で想定されるバイポーラ、且つ0Aを中心とした低電流励磁においても安定に電流制御できるよう両極スイッチング動作を提案し、電流リップルを50 ppm以下に抑えることに成功した。これらのデジタル制御電磁石電源は3GeV放射光施設NanoTerasuに採用され、当光源用に最適化した電源を製作、設置した。本発表では、NanoTerasuにおける電磁石電源システムの設計製作、性能評価結果に加え、SPring-8-IIに向けた電磁石電源システムの設計概要を発表する。 |
17:30-17:50 | |
THOB15 p.245 | g-2/EDM 精密計測用ミューオン蓄積磁石内配置の弱収束磁場コイルの設計 Design of weak focus field coil to stabilize muon orbits and for precision measurements of g-2/EDM in the superconducting muon storage magnet ○阿部 充志,佐々木 憲一,三部 勉,中山 久義(髙エネルギー加速器研究機構),飯沼 裕美(茨城大学),山中 隆志(九州大学) ○Mitsushi Abe, Ken-ichi Sasaki, Tsutomu Mibe, Hisayoshi Nakayama (KEK), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Takashi Yamanaka (Kyushu Univ.) ミューオンの磁気・電気モーメント(g-2/EDM)高精度測定に用いる磁石は、ミューオンを周回・蓄積するシリンダー状の領域(断面3cm幅、10cm高で直径66.6cm)に、高磁場(3.0T)で超高均一磁場(磁場振幅±0.1ppm、均一度0.2ppm)を持つ。上部より螺旋入射したmuonは、キッカーの半径方向磁場により、赤道面付近で軸方向移動を止められる。そして、弱収束磁場(WFF: Weak Focus Field)により周回軌道を安定に保つ。WFFにおいても、各位置で±0.1ppm以内の精度が必要なため、MRI磁石設計用に開発し、本実験のmuon蓄積磁石の設計にも応用した特異値分解利用のコイル設計手法を適用した。精度良いWFFに必要なコイル数の検討は既に報告した(2022年秋・物理学会@岡山理大)が、今回は超伝導線の巻き数を具体化して、配置位置を最適化した。位置精度を高めるために主コイルの支持構造を利用するが、磁気結合が無視できないため、WFF調整時には主コイルの電流も調整し、BZ-typeシムコイルも用いて磁場強度の微調整を行う。実機磁場では組み立て誤差などによる誤差磁場も予想されるので、WFF調整後にはシミングも行うことになる。以上のようなWFFコイルを設計した。 |
企画セッション② (9月1日 13号館1325/1326教室) | |
9:00-10:00 | |
FRSP01 | サイクロトロンによる医療用RIの製造 ~アルファ線放出核種(At-211、Ac-225)を中心に~ Cyclotron production for medically important alpha emitters - 211At and 225Ac ○永津 弘太郎(量研・量医研・先進核医学基盤研究部) ○Kotaro Nagatsu (Advanced Nuclear Medicine Sciences, QST) PET・SPECT診断はもとより,放射線治療薬の有効性が数多く報告される昨今,加速器を利用した放射性核種の製造・供給需要が著しく高まっている。α線放出核種は従来,内部被ばく時の危険性にのみ強い関心が集まっていたが,放射線による細胞障害性や影響を医学的に制御・活用する手法が定まった結果,文字通り,毒を以て毒を制するがん治療薬の原料として利用されはじめた。周知のとおり,核医学で利用される放射性核種には高い品質が求められる。製品品質に影響を及ぼす照射条件の最適化と共に,容易かつ高効率な分離精製や短時間での処理,可能な限りの省廃棄物プロセス等の実現を考慮しつつ,我々は211At(EC+α,T1/2=7.2 h)及び225Ac(α,T1/2=10 d)の製造法を確立した。前者はHeイオンをBiに,後者は陽子を226Ra(α,T1/2=1600 y)にそれぞれ照射し,以降,化学的な分離精製を経て治療薬剤の標識に利用される。特に後者で用いる226Raは,入手性に大きな制限がある貴重な試料であり,長寿命の放射性廃棄物にもなることから,繰り返し226Raを利用する再生方法も確立させた。本講演では,PETに代表される診断用の放射性核種の製造・利用が主体であったホットラボに上述する2種類の治療用α線源の利用環境を整え,照射や分離精製といった具体的な製造法開発に関する我々の取組みと結果について報告を行う。 |
ポスター① (8月29日 14号館1421教室) | |
13:30-15:30 | |
TUP01 p.250 | SuperKEKB加速器における突発ビームロスの引き金に関するファイヤーボール仮説 Fireball Hypothesis for the Trigger of Sudden Beam Losses at SuperKEKB ○阿部 哲郎(高エネルギー加速器研究機構(KEK)) ○Tetsuo Abe (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) SuperKEKB加速器のビーム運転では、突発ビームロス(Sudden Beam Loss、以下、SBLと言う)が深刻な未解決問題となっており、蓄積ビーム電流を上げることにおいて大きな障壁となっている。通常のビームロスでは、数十ターン以上にわたってビーム不安定性が見られるが、SBLではビーム不安定性は見られず、短いものでは1ターン内に特定の連続したバンチにのみ大きなビームロスが発生する。その結果、加速器コンポーネントやBelle-II測定器に大きなダメージを与えてしまう。このような超高速ビームロスは、従来のビームロスやビーム不安定性の原因とは明らかに違い、世界の他のどの加速器でも観測されていない特異な現象である。SuperKEKB加速器のコリメータでは、タングステンやタンタルのような高融点物質をヘッドとして使用しており、その周辺には低融点物質である銅から作られた真空容器がある。また、コリメータヘッド間のアパーチャーが数ミリと非常に狭い。さらに、バンチ電荷は大きく、バンチ間隔が狭い。これらは、世界の他の加速器と比べて、SuperKEKB加速器特有の条件と考えられ、これら条件は、UHF帯連続波の高周波加速空洞で観測されているファイヤーボール(1000℃以上の高温微粒子)起因の真空放電現象の発生条件に適合する。本発表にて、SBLの引き金の候補としてのファイヤーボール仮説を提案し、それを支持する理論的考察や、シミュレーション等の結果について報告する。 |
13:30-15:30 | |
TUP02 p.255 | バッファガス冷却器を備えたビーム物理研究用イオントラップシステムの開発 II Development of an ion trap system with a buffer-gas cooler for beam dynamics studies II ○伊藤 清一(広大院先進) ○Kiyokazu Ito (AdSE, Hiroshima Univ.) イオントラップに捕捉したイオンプラズマの運動は空間電荷効果を考慮しても加速器ビームと等価である.広島大学ではビーム物理研究に最適化したイオントラップシステムS-PODを用い,主に空間電荷効果がビームの挙動に与える影響について実験的研究を進めている.S-PODに捕捉したイオンプラズマのrmsチューンデプレッションは最も小さい時でおよそ0.85である.より位相空間密度の高いビームの挙動を調べるためにはイオンプラズマもより高密度化する必要がある.S-PODのイオンプラズマの温度は約0.3eVと比較的高いので冷却による高密度化が期待できる.バッファガス冷却は低温の軽いガスとの衝突でイオンを冷却する方法であり,ハドロンビームで用いられる電子冷却と同様の手法である.当然より低温のガスを用いる方がイオンプラズマの到達温度は低くなる.そこで,クライオスタットにより冷却した低温のヘリウムガスをバッファガスとして導入するシステムの開発を進めている.進捗状況について報告する.本研究はJSPS科研費JP21H03737の助成を受けたものです. |
13:30-15:30 | |
TUP03 p.260 | J-PARC MR のための横方向不安定性の記述に向けたシミュレーションの構築 Study on simulation code for transverse instabilities for the J-PARC MR ○吉村 宣倖(京大理),外山 毅(KEK),菖蒲田 義博(JAEA),中村 剛,大見 和史,小林 愛音,岡田 雅之,佐藤 洋一(KEK),中家 剛(京大理) ○Nobuyuki Yoshimura (Kyoto University), Takeshi Toyama (KEK), Yoshihiro Shobuda (JAEA), Takeshi Nakamura, Kazuhito Ohmi, Aine Kobayashi, Masashi Okada, Yoichi Sato (KEK), Tsuyoshi Nakaya (Kyoto University) 現在、T2K実験ではCP対称性の破れを探索するためニュートリノ振動の精密測定を行っており、さらなる測定精度向上を目指している。 このためにニュートリノのビームパワーを増強する必要があり、J-PARC Main Ring のビームパワーのアップグレードが進行中である。 大強度陽子ビームでは、ビーム強度によってウェイク場や電子雲などの集団効果によるビームの不安定振動が発生し、ビーム損失が起こる。 これを抑制するため、ビーム位置モニター、FPGA、ストリップラインキッカーを使用した intra-bunch feedback system が設置されている。 ビーム強度の増加により、横方向のビーム不安定性が増大し、制限要因となることが予想される。 これを解決するために、システムの対応周波数を200MHzに増やすアップグレードが進行中である。しかし、大強度化後の不安定性を十分に抑制できるかどうかを定量的に評価する必要がある。現在は Head-tail 運動によりクロマティシティに対応した横方向のバンチ内振動が発生する状況から、フィードバックが抑えるべき横方向不安定性を考察することを目標としている。このために粒子トラッキングシミュレーションを開発しており、横方向不安定性を引き起こすウェイク特性や空間電荷効果の検討結果を報告する。 |
13:30-15:30 | |
TUP04 p.265 | SuperKEKB陽電子源における電子•陽電子バンチ特性の直接計測 Direct measurement of electron and positron bunch characteristics at the SuperKEKB positron source ○諏訪田 剛(KEK加速器) ○Tsuyoshi Suwada (KEK Acc. Lab.) KEK電子(e¬-)陽電子(e+)入射器では、SuperKEKBリングへのe+入射増強を目指し、2020年夏期保守にe+捕獲部の改造を行なった. 本改造では、広帯域モニター(WBM)が新たに設置された.WBMの目的は、e+捕獲部におけるe-e+バンチ特性を同時分離計測することにより、両バンチの動力学に対する実験的検証とe+捕獲効率の最大化にある. 捕獲部は、上流のe+生成標的により放射線環境が悪いこと、ソレノイド電磁石列により設置空間の余裕が厳しいこと、さらに標的内ではほぼ等量のe-e+が生成され捕獲部ではほぼ並走するため分離検出が極めて難しいという問題があった. WBMの計測システムとその校正手法については第19回日本加速器学会で発表しているのでそちらを参照してほしい. WBMの検出信号は、広帯域オシロスコープにより短パルス波形として計測され、e-e+パルスの時間差から走行時間差、さらにパルス面積から電荷量、パルス幅からバンチ長、4電極信号からバンチ位置など、縦横方向のビーム特性を同時分離計測ができる.今回は捕獲部におけるe-e+バンチ特性を詳細に解析した.この結果、e+電荷量はバンチ特性と強く相関し、従来のように捕獲部後の電荷量計測だけではe+捕獲効率を最適化できないことがわかった.本報告では、捕獲部におけるe-e+バンチ特性の解析結果とWBM導入に至った経緯について触れておきたい. |
13:30-15:30 | |
TUP05 p.270 | Aravis及びmacOSを使用したGigEカメラによるスクリーンモニタ画像データ取得解析システムの開発 Development of GigE camera image data acquisition and analyzing system for screen monitor using Aravis and macOS ○柳田 謙一,清道 明男(高輝度光科学研究センター/量研機構) ○Kenichi Yanagida, Akio Kiyomichi (JASRI / QST) 一時的独立した実験環境に於いて、GigEカメラをPCに直接繋ぎ画像データの取得解析を行うシステムをAravis及びmacOSを使用して構築した。CMOSカメラ等をPCに直接繋いで画像取得を行う場合、カメラベンダーが配布するソフトウェアを使用するのが一般的で、ビューアとして画像確認のみ行うか、APIを使用してデータ転送後にPCで画像データ解析を行う事となる。ベンダーから配布されるソフトウェアを使用する問題点は、使用可能なカメラが限定されたり、PCのOS(バージョンを含む)が限定されたりする為、画像システム構築の負担が大きな割りに他への移植性が悪い事等である。SPring-8では2018年頃よりLinux上のオープンソースライブラリであるAravisを使用して、様々なベンダーに対応したGigEカメラ制御システムを構築している。しかし当該制御システムはSPring-8のDBをベースとしたデータ収集系と密に連携しているため、一時的独立した実験環境で使用する場合はハードウェアの準備やセッティングの為のリソースが過大になり現実的では無い。一方でmacOSはUNIX系のOSでありAravisも簡易に導入出来る為、一時的独立した実験環境用として本システムを開発した。使用用途はスクリーンモニタのビームプロファイル表示及びそのプロジェクションビームサイズのオンライン解析である。現状の本システムはAravis0.8をIntel or ARM CPU上のmacOS13(Ventura)で動作させている。画像表示はgnuplotを用いた。 |
13:30-15:30 | |
TUP06 p.275 | PFの超伝導ウィグラー下流における線量分布測定 Dose distribution measurement downstream of superconducting wiggler in PF ○塩澤 真未,帯名 崇(高エネ研) ○Mami Shiozawa, Takashi Obina (KEK) 加速器を運転するにあたってはビームロスにより発生する放射線を計測するため、目的に応じて様々な放射線計測ツールを使い分けることが必要である。放射線感受性モノマーの破断・重合作用で変色するガフクロミックフィルムは、従来利用されてきた医療分野のみならず、簡便に放射線を計測するツールとして近年加速器分野でも利用されている。運転時のリアルタイム調整には適していないものの、配線が不要で設置箇所の自由度が高いフィルムは、一度に複数箇所のDose量測定をするのに非常に適している。この利点を活かし、我々はKEK内の様々な大型加速器の加速器室内やトンネルなどの広範囲にわたって加速器運転時のビームロス分布の測定を行ってきた。これまでの放射光源加速器Photon Factory(PF)のビームロス分布評価により、超伝導ウィグラー下流における放射線量がPFリング内で一番多いということが明らかになったため、その周辺の詳細なビームロス分布の計測を行った。また、超伝導ウィグラーを励磁した場合と消磁した場合のビームロスを比較する測定も行った。本発表ではこの結果について報告する。 |
ポスター① (8月29日 14号館1422教室) | |
13:30-15:30 | |
TUP07 p.280 | J-PARCリニアックRFチョッパーの過渡応答に関する検討 Studies of transient response for RF chopper in the J-PARC linac ○北村 遼,不破 康裕(JAEA/J-PARC),伊藤 大登(長岡技術科学大学) ○Ryo Kitamura, Yasuhiro Fuwa (JAEA/J-PARC), Hiroto Ito (Nagaoka University of Technology) 大強度陽子加速器施設J-PARCリニアックでは、3 GeVシンクロトロンへ適切にビームを入射できるようなビームバンチの時間構造を作るためにRFチョッパーを使用している。 チョッパーの立ち上がり・立ち下がりでは過渡応答のために不完全にチョップされたビームが発生する。ビームロスの原因となる不完全チョップビームを効果的に除去するため、Particle-In-Cellコードを用いた軌道計算による検討と、ビームロス低減に向けた対策方針について紹介する。 |
13:30-15:30 | |
TUP08 p.282 | J-PARC Main Ring の入射ビームのための OTR と蛍光を用いたワイドダイナミックレンジプロファイルモニターの開発(4) Development of a wide dynamic-range beam profile monitor using OTR and fluorescence for injected beams in J-PARC Main Ring (4) ○佐々木 知依,橋本 義徳,佐藤 洋一,外山 毅,三橋 利行,手島 昌己,照井 真司,中村 剛,魚田 雅彦(KEK),酒井 浩志(三菱電機システムサービス) ○Tomoi Sasaki, Yoshinori Hashimoto, Yoichi Sato, Takeshi Toyama, Toshiyuki Mitsuhashi, Masaki Tejima, Shinji Terui, Takeshi Nakamura, Masahiko Uota (KEK), Hiroshi Sakai (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) J-PARCメインリング(MR)の入射ビーム輸送ライン(3-50BT)で、OTRおよび蛍光スクリーンを使用した6桁程度の広いダイナミックレンジを持つ2次元ビームプロファイルモニターが運用されており、さらに同様の2号機をMR本体へ、MR入射直後のビームプロファイル測定用として導入を進めている。2号機では、スクリーンや光学系を収納する真空槽での高周波共振に起因する縦方向カップリングインピーダンスがビーム不安定性への影響から問題になっている。製作当初の測定では、問題となる1 GHzまでの領域での|Z/n| の値において最大3.7 Ωをはじめとする1 Ωクラスのピークが複数あった。その対策として電磁波吸収体(SiCまたはフェライト)を真空槽に挿入し、高周波共振を吸収することでインピーダンスを低減する試験を行ない、0.8 Ωまで低減できる結果を得た。現在は、目標の0.5 Ω程度以下に低減できる条件を探索している。また吸収体の固定治具の設計・製作を進めており、吸収体での発熱を容器外への放熱するための伝熱とその構造をスタディーしている。吸収体のガス放出なども評価した上で、今年度の夏の長期メンテナンス期間にMRにインストールする予定である。本報告ではこれらの開発の現状について紹介する。 |
13:30-15:30 | |
TUP09 p.287 | KEK-PFにおけるPLCを使用したRF低速インターロックシステムの開発 Implementation of RF slow-speed interlock system using PLC at KEK-PF ○高橋 毅(高エネルギー加速器研究機構),路川 徹也(東日技研),内藤 大地,坂中 章悟,山本 尚人(高エネルギー加速器研究機構) ○Takeshi Takahashi (KEK), Tetsuya Michikawa (e-JAPAN IT Co.Ltd), Daichi Naito, Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto (KEK) KEKのPF 2.5 GeVリングに設置されているRFシステムにおいては、RFローレベルコントロールシステムを新型のデジタルRFローレベルコントロールシステムに更新する計画が進んでいる。この際、これまで使用してきたRFインターロックシステムやクライストロン用高圧電源インターロックシステムも40年以上使用して老朽化していたため、これらを新型のシステムに更新した。新型のインターロックシステムにおいては、最新のPLCモジュールを使用してPLC制御ソフトによる安定したインターロック動作機能を実現するとともに、EPICS制御ソフトを併用してインターロック動作の状況確認とインターロックしきい値の変更が容易に行えるシステムを構築した。これにより信頼性の高いインターロック動作と操作の簡便性を両立したシステムを実現した。現在、この新型インターロックシステムは旧型のアナログ式RFローレベルコントロールシステムに接続して安定に動作し、PF 2.5 GeVリング運転にて使用している。本発表では、横河電機製PLCを用いたこのRFインターロック系の実装について報告する。 |
13:30-15:30 | |
TUP10 p.290 | 機械学習によるサイクロトロン調整手法の検討 Research of machine learning-based tuning methods for cyclotrons ○井村 友紀,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,齋藤 高嶺,田村 仁志,安田 裕介,原 隆文,荘 浚謙,ZHAO HANG,橘高 正樹,松井 昇大朗,渡辺 薰(阪大RCNP),石山 敦士(早稲田大学) ○Tomoki Imura, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Takane Saito, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda, Takafumi Hara, Tsun Him Chong, Zhao Hang, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui, Kaoru Watanabe (RCNP, Osaka Univ.), Atsushi Ishiyama (Waseda Univ.) 加速器は原子核・素粒子分野の発展を支えており、新たな物理現象の探索実験には必要不可欠である。また、近年ではがん治療やがん検査用ラジオアイソトープの生成といった医療分野への応用、使用済核燃料廃棄物を減容するADS核変換技術など産業分野への加速器の応用が期待されている。加速器が特に応用分野で広く普及するためには、迅速で且つ性能を最大限発揮させる加速器の調整手法の確立が不可欠である。そこで、サイクロトロンに機械学習を適用し、サイクロトロンの運転において、制御技術の高度化と効率化を図る取り組みを行う。この技術を既存のAVFサイクロトロンとリングサイクロトロン、次世代の高温超伝導スケルトンサイクロトロンに適用することで、調整時間の短縮や潜在能力を最大限に引き出すことを実現し、普及機器としての完成度を高めることを目指す。具体的には、既存のビーム輸送システムの制御に機械学習を組み込むためのインターフェースや制御プログラムを開発し、ビーム診断機器の情報を活用して、複数のパラメータを同時に最適化する手法の開発を行う。この最適化の過程で、危険運転の回避方法も探求する。講演ではサイクロトロンのシミュレーションに対して機械学習を適用する手法の検討状況について発表する。 |
13:30-15:30 | |
TUP11 p.293 | SPring-8次期計画における加速器時系列データ保存基盤の設計 A plan of time-series data archiving infrastructure at the SPring-8 upgrade ○岡田 謙介(JASRI),丸山 俊之,福井 達(理研) ○Kensuke Okada (JASRI), Toshiyuki Maruyama, Toru Fukui (RIKEN) SPring-8/SACLA、NewSUBARU、NanoTerasu他において、測定データ、状態値を機器横断的に保存し、加速器調整に用いている。現状把握に利用し、過去データの読み返しで長期的ドリフトの確認の他、温度変化などとの相関解析も容易となる。またLinacの繰り返しに同期した番号の付与により、振り分け軌道毎の解析を可能にする。個々のデータにIDを割り当てRDBで管理し、需要の多い直近の時系列データをApache Cassandra(=カラムベースNoSQL DB)に書き込む全体の枠組みは、次期計画でも採用する予定である。しかし、長期維持のためにDBエンジンのバージョンアップに対応する必要がある。現在のCassandra上の保存スキームはVer.2をベースに設計し、そのままVer.3へ置き換えて運用しているが、数年後にはVer.4が主流となり、実装の変更が必要になる。本発表では、まずVer.3からの構造変更により、保存スキームの簡素化が図れることを示し、Ver.4でサポート外となるApache Thriftによる読み出しに代わって、DataStax版libraryを使う利点、欠点とその回避策を紹介する。続いてSPring-8/SACLAの今後の入れ替え計画について論ずる。次期計画に向け先行して導入する機器への対応と、SR建設中もSACLAの利用運転継続が求められる点に留意する。 |
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TUP12 p.298 | Archiver ApplianceデータのGrafanaでの可視化機能の改善とアラート機能の導入 Improvement of visualization and introduction of alerts for Archiver Appliance data on Grafana ○佐々木 信哉(KEK) ○Shinya Sasaki (KEK) Archiver ApplianceのデータをGrafana上で可視化するために開発したArchiver Appliance Datasourceプラグインに対して可視化機能の改善とアラート機能の導入を行った。可視化機能においてはArrayデータのサポートとStream機能の追加を行った。Arrayデータのデータ形式は3つの中から選択することが出来るようになっており、横軸を時間にした表示や要素番号にした表示が可能である。Stream機能は一定時間ごとに表示データを更新する機能である。Grafana自身にも自動更新機能が備えられており、定期的に表示データを更新することが可能であるが、更新のたびに表示範囲内の全てのデータを取得し直してしまう。Stream機能を利用した場合は、前回更新した日時以降のデータのみを取得するため、より効率的にデータ更新を行うことが出来る。アラート機能はデータソースの値を定期的に取得して、予め定めた条件や閾値に応じて警告の通知を行うGrafanaの機能である。Go言語で実装されたバックエンドプラグインのみがアラートのデータソースとして利用可能であるため、TypeScriptで実装していた本プラグインをGo言語で実装し直した。アラートの設定はWebブラウザから簡単に行うことができるため、SLACでは特定の管理者ではなく利用するユーザー自身が設定を行うアラートシステムとしての運用が提案されている。本稿ではプラグインの可視化機能の改善点およびアラート機能の詳細に関して報告する。 |
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TUP13 p.303 | EPICSを用いたビームロスモニターとsX-mapのためのデータ収集システムの開発 Development of EPICS-based data acquisition system for beam loss monitor and sX-map ○栗山 靖敏,岩下 芳久(京大複合研),不破 康裕(原子力機構),早野 仁司(高エネ研) ○Yasutoshi Kuriyama, Yoshihisa Iwashita (KURNS), Yasuhiro Fuwa (JAEA), Hitoshi Hayano (KEK) KEKの超伝導RF実験施設(STF)では、ビームの試運転が行われている。安定した運転を実現するために、ビーム診断の一つとしてビームロスモニターを開発した。このモニターは、PINフォトダイオードを用い、パルスビームのビームロスにより発生するX線を観測している。ビームロスモニタのデータの読み出しには、EPICSを用いたデータ収集システムで行っている。 また、超伝導空洞の検査方法(sX-map)についても、EPICSベースのデータ収集システムを開発し、超伝導空洞の縦測定を行っている。sX-mapは、超伝導空洞のアイリス部にあるスティフナーリング内に挿入され、電界放出によって発生するX線をPINフォトダイオードで検出する。 本発表では、これらのEPICSを用いたデータ収集システムの概要について紹介する。 |
ポスター① (8月29日 14号館1431教室) | |
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TUP14 p.307 | 高温超電導マグネットを用いた重粒子線がん治療用照射システムの検討 Study of heavy-particle irradiation system using high temperature superconducting magnet for cancer therapy ○渡辺 薫,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,斎藤 高嶺,田村 仁志,安田 祐介,原 隆文,荘 浚謙,ZHAO HANG,松井 昇大朗,橘高 正樹,井村 友紀(阪大 RCNP) ○Kaoru Watanabe, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Takane Saitou, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda, Takafumi Hara, Him Chong Tsum, Zhao Hang, Syotaro Matsui, Masaki Kittaka, Tomoki Imura (RCNP Osaka Univ.) 重粒子線治療は,炭素線を用いて体内にあるがん細胞を死滅させる非常に効果的ながん治療法の一種で、重粒子線のブラッグピークを腫瘍患部位置に合わせることで治療を行う。重粒子線は,X線や陽子線に比べて線量集中性が高く生物学的な効果が高い。粒子線治療では,粒子が通過する領域にある健康な細胞へのダメージを最小限にするために,複数の異なる角度からの照射で治療が行われる。そこで,照射する方向を変えるために従来は、回転型ガントリーが使われてきたが、特に重粒子線の場合、磁気剛性が最大6.6Tmにも及ぶため大型化が避けられなかった。今回の検討する照射システムでは,同心円状の複数のコイルからなる高温超電導マグネットで磁場分布を調節し,照射システム自体を回転させることなくコイル電流値を調整しビームを最適な治療角度に誘導する。そのため従来の回転ガントリーよりも小型化が期待される。今回は、この高温超電導マグネットを用いた照射システムの概念検討状況について発表する。 |
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TUP15 p.310 | PF-ARにおける5GeVトップアップ運転実現のための輸送路の改造 Improvement of the beam transport line for realizing the top-up injection with 5 GeV beam energy in KEK PF-AR ○満田 史織,東 直,野上 隆史,長橋 進也,内山 隆司,原田 健太郎,中村 典雄,本田 融,佐藤 政則,岡安 雄一,榎本 嘉範(高エネルギー加速器研究機構) ○Chikaori Mitsuda, Nao Higashi, Takashi Nogami, Shinya Nagahashi, Takashi Uchiyama, Kentaro Harada, Norio Nakamura, Tohru Honda, Masanori Satoh, Yuichi Okayasu, Yoshinori Enomoto (KEK) KEK放射光源リングPF-ARでは、通常6.5GeVの運用エネルギーを5.0GeVにエネルギーを低下させ省エネルギーを実現した運転が2019年より導入された。しかしながら、単一エネルギービームを通過させるよう設計された輸送路のためにLinacからのオンデマンド入射が実現できていなかった。そこで2019年より輸送路のエネルギー可変輸送路への改造計画の検討を開始し、2022年度夏に改造工事が完了している。これまで長らく5.0GeVビームエネルギーの運用期間はPFリングへのトップアップ入射との共存が不可能であったが、ビームコミッショニングを経て2023年度より本格運用が開始されている。PF-ARでの運用エネルギーの変更によりPFトップアップ入射運転が阻害されることがなくなりPFリングとの完全なトップアップ運転の共存が実現している。改造に導入された余剰角補正電磁石システムを中心に、全体システムの概要と改造工事の完成について報告する。 |
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TUP16 p.316 | HiSOR-IIに向けた機能結合型電磁石の設計 Design of a combined-function quadrupole-sextupole magnet for HiSOR-II ○LU YAO,加藤 政博(広島大),島田 美帆,宮内 洋司(高エネ研) ○Yao Lu, Masahiro Katoh (HiSOR), Miho Shimada, Hiroshi Miyauchi (KEK) HiSOR-II is a low-energy storage ring and is under designing for the future plan at Hiroshima Synchrotron Radiation Center. A compact lattice is desired to reduce the cost and space, which requires combined-function magnet components. In this paper, a combined-function quadrupole-sextupole magnet for the beam focusing and chromaticity correction is introduced. We proposed two different designs using auxiliary coil and pole profile adjustment, respectively. The magnet field is calculated using Poisson and Radia. Both designs have been optimized to meet the magnetic field requirement. |
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TUP17 p.319 | 積層パーメンジュール鋼板を用いた高磁場勾配四極電磁石の試作 Prototype of high gradient quadrupole magnet using laminated permendur sheets ○谷内 努,松原 伸一,山口 博史(高輝度光科学研究センター),深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理研),北平 宗一郎,岩田 仁志(守谷刃物研究所) ○Tsutomu Taniuchi, Shinichi Matsubara, Hiroshi Yamaguchi (JASRI), Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Soichiro Kitahira, Hitoshi Iwata (MCL, Ltd.) 次世代放射光源加速器では〜100T/mの高磁場勾配四極電磁石が必要となる一方で、省電力化も考慮する必要がある。SPring-8-IIの四極電磁石を純鉄で製作した場合は60 T/m を超える辺りから磁気飽和により励磁特性が線形から外れてきて消費電力が急激に増加するが、飽和磁束密度の高いパーメンジュールを採用することで消費電力を抑えることができる。今回、磁極に積層パーメンジュール鋼板、リターンヨークにブロック純鉄を用いた四極電磁石を製作し、評価した。パーメンジュール鋼板は一定量流通しているためブロック材に比べ入手しやすく、少量や短期間での試作に適している一方、ブロック材に比べ高価であるが、プレス加工により量産コストを低減できる可能性もある。磁極とリターンヨークを分離する場合、磁極形状を精密加工した後に組み立てる従来の方法では組立精度が問題となるため、鉄芯全体を一体化した後に先端形状をワイヤー放電加工により精密加工した。完成した四極電磁石の励磁特性は、より高い磁場勾配まで直線性が伸びている一方、シミュレーション結果よりもやや低い磁場勾配で飽和の影響が現れた。この結果を受け、製作条件の異なる積層体試験片を製作してBH特性を測定した結果、積層接着や加工による残留応力が影響していることが判明した。本発表では本電磁石の詳細および今後の開発方針等について報告する。 |
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TUP18 p.324 | J-PARC MR速い取り出し用セプタム電磁石の漏れ磁場測定 The leakage field of the new septum magnets for fast extraction of J-PARC MR ○芝田 達伸,石井 恒次,岩田 宗磨,松本 教之,松本 浩(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata, Koji Ishii, Soma Iwata, Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK) J-PARCのMRでは2021年7月から2022年5月までの長期停止期間中に大規模なアップグレードが行われた。ニュートリノ実験施設へ取り出す速い取り出し用セプタム電磁石は新しいセプタム電磁石に交換された。新セプタム電磁石の周回ビームライン上に発生する漏れ磁場は交換前のセプタム電磁石よりも小さくする必要がある。その理由は大強度化する陽子ビームに対してより精密なビーム調整が必要なるため、漏れ磁場によって曲げられるビームがより問題視されるためである。これまでの各セプタム電磁石の通電試験を通して漏れ磁場軽減対策を施してきた。2021年度には周回ビームに最も影響を与える2台の高磁場セプタム電磁石に対して更なる漏れ磁場の軽減を目的として内部シールドと呼ぶダクト型の純鉄シールドを導入した。2022年10月に内部シールドを導入した2台の高磁場セプタム電磁石の漏れ磁場測定を実施した。その結果、漏れ磁場の4極成分については旧高磁場セプタム電磁石の漏れ磁場に対して1/100程度に軽減した事を確認した。本講演では主に高磁場セプタム電磁石の漏れ磁場測定結果と取り出しセプタム電磁石全体の漏れ磁場について報告する。今年夏に完全復旧が完了する1台の高磁場セプタム電磁石の漏れ磁場についてはシミュレーションのみで評価する。 |
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TUP19 p.330 | 自己遮蔽型高温超伝導スケルトン・サイクロトロンの設計と軌道計算 Design and orbit calculation of the high-temperature superconducting self-shielding type skeleton cyclotron ○松井 昇大朗,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,齋藤 高嶺,田村 仁志,安田 裕介,長屋 重夫,原 隆文,荘 浚謙,ZHAO HANG,橘高 正樹,井村 友紀,渡辺 薫(阪大RCNP),石山 敦士(早稲田大学),野口 聡(北海道大学),植田 浩史(岡山大学),福井 聡(新潟大学),松原 雄二,三上 行雄,吉田 潤,平山 貴士(住友重機械),渡部 智則(中部電力) ○Shotaro Matsui, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Takane Saito, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda, Shigeo Nagaya, Takafumi Hara, Him Chong Tsun, Hang Zhao, Masaki Kittaka, Tomoki Imura, Kaoru Watanabe (RCNP, Osaka Univ.), Atsushi Ishiyama (Waseda Univ.), So Noguchi (Hokkaido Univ.), Hiroshi Ueda (Okayama Univ.), Satoshi Fukui (Niigata Univ.), Yuji Matsubara, Yukio Mikami, Jun Yoshida, Takashi Hirayama (SHI), Tomonori Watanabe (Chubu Electric Power) 我々は新たながん治療であるアルファ線核医学治療(TAT)に必要なAt-211 を始めとした様々な診断・治療用RIの生成や、ホウ素中性子捕獲療法(BNCT)に必要な多種多様のビームを引出し半径50cmで最大加速エネルギーK80まで加速することができる高温超伝導スケルトンサイクロトロン(HTS-SC)の実現に向けて研究開発を進めている。そこで病院内に設置可能な放射線と磁気シールドを備えた自己遮蔽型HTS-SCの設計に着手した。本発表ではHTS-SC-K80-R50-SSをOPERA3D-TOSCAで設計し、スイスPSIで開発されたObject Oriented Parallel Accelerator Libraryを用いて軌道計算を行った結果を報告する。 |
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TUP20 p.334 | シンクロトロンからの遅い取出しビームの一様化に関する研究 Study on uniformization of a beam extracted from a synchrotron ○中西 哲也(日本大学生産工学部) ○Tetsuya Nakanishi (Nihon University CIT) 粒子線がん治療用シンクロトロンからのビーム取出し法に関して、チューンの高調波を複数含んだマルチバンドスペクトルを信号源としたRFKO取出し法の開発を行っている。バンド数を増やすことによりスピル強度の変動が改善することは既にビーム実験で確認した。更なる改善を目的に、信号源を局所的に変更する方式を提案する。高周波信号の発生は、DAコンバータに信号のデジタルデータを書き込み、外部クロックによりデータを出力している。DAコンバータのメモリーは有限なため、適当なビームの回転数分のデータを作成し、繰返し出力する方法を取っているが、スピル構造を詳細に調査した結果、データの繰返しによりスピル構造も繰り返すことが分かった。スピルは局所的に強くなったり弱くなったりするが、このデータとスピルの関連性はデータを部分的に変更することによりスピル強度の変動をより低減できることを示唆する。発表ではこの検討結果について報告する。 |
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TUP21 p.339 | J-PARC MR 1.3MW化計画のための光学測定によるリング全周の誤差四極磁場評価 Evaluation of quadrupole error fields around the ring by optics measurement for J-PARC MR 1.3 MW upgrade plan ○浅見 高史(東大、KEK),五十嵐 進,佐藤 洋一,發知 英明,安居 孝晃(KEK),小関 忠(東大、KEK) ○Takashi Asami (The University of Tokyo, KEK), Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Hideaki Hotchi, Takaaki Yasui (KEK), Tadashi Koseki (The University of Tokyo, KEK) 大強度陽子シンクロトロンJ-PARC主リング(MR)では、運転サイクルの高繰り返し化と陽子数の増加によりビーム強度を従来の515kWから1.3 MWへアップグレードする計画が進行中である。MRでは2022年7月までに大規模なハードウェアアップグレードが行われ、繰り返し周期が従来の2.48秒から1.36秒へ短縮された。2023年4月には760 kW運転のデモンストレーションに成功している。1.3 MW化に向けたビーム調整では誤差四極磁場の影響を正しく評価する事が一層重要になる。特に考慮すべき誤差要因として高繰り返し化により増加する真空ダクト壁上渦電流の影響が挙げられる。実際、1.36秒繰り返し下ではダクトの形状や材質に応じ、主四極成分に対して最大1.5%程度の誤差四極磁場を与える事が3次元磁場解析により示されている。渦電流影響は繰り返し周期の短縮に伴い増加し、MRの将来的なビーム強度を制限する要因になりうる。また、ハードウェアアップグレードでは一部の主四極電磁石電源ファミリーが分割された。その結果強化されたベータトロン共鳴は入射待受け・加速中のビームロスに多大な影響を与え、これまでのビーム調整ではその補正により大幅なロス抑制に成功している。本研究では、中心軌道応答を用いた光学測定を行うことで、MRの216台の四極電磁石それぞれに対する誤差四極磁場の強さと時間依存性を正確に評価する手法の確立を目指した。本稿ではビームを用いた検証について述べる。 |
ポスター① (8月29日 14号館1432教室) | |
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TUP22 p.344 | iBNCT加速器における324 MHz高周波漏洩対策 Countermeasures against leakage of 324 MHz RF in the iBNCT accelerator ○佐藤 将春,栗原 俊一,小林 仁,杉村 高志,方 志高(KEK),熊田 博明,田中 進(筑波大学),大場 俊幸,名倉 信明(NAT) ○Masaharu Sato, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Takashi Sugimura, Zhigao Fang (KEK), Hiroaki Kumada, Susumu Tanaka (Univ. of Tsukuba), Toshiyuki Ohba, Nobuaki Nagura (NAT) iBNCTプロジェクトではRFQ及びDTLで構成される8 MeV陽子線形加速器を用いた加速器BNCTの実現を目指している。1台の最大出力1.2 MWの324 MHzクライストロンによりRFQ及びDTLの各空洞を励振する。一方、加速器室内のロスモニターやイオン源のプラズマ発光観察用の光電子増倍管の出力信号に324 MHzのRFノイズが観測され、RFが漏洩している可能性が示唆されていた。医療用加速器の場合、通常の高周波設備の規制に加え、医療装置としての規制がある為、漏洩の可能性のある箇所の調査及びその対策は極めて重要である。そこで、ループアンテナを用いてiBNCT加速器における高周波システムでの漏洩箇所の調査を行った。その第一段階として加速器室での漏洩箇所を特定し対策を講じる事により加速器室内の漏洩電波を大幅に減少させる事が出来た。引き続きクライストロン及び立体回路が設置されているクライストロン電源室でも漏洩箇所の調査を行い、漏洩箇所の特定・対策を行う事により結果的にiBNCT加速器設備における324 MHz漏洩電波を大幅に減少する事が出来た。本講演では、これまでiBNCT加速器高周波システムにおいて行ってきた対策とその効果に関して報告する。 |
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TUP23 p.349 | 出力可変スケルトンサイクロトロンの磁場設計 Magnetic field design of variable-beam-type skeleton cyclotron ○荘 浚謙,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,斎藤 高嶺,安田 裕介,原 隆文,Zhao Hang,橘高 正樹,松井 昇大朗,渡辺 薫,井村 友紀(阪大RCNP),石山 敦士(早大),野口 聡(北大),植田 浩士(岡山大),吉田 潤(住友重機),長屋 重夫,渡部 智則(中部電力) ○Tsun--him Chong, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Takane Saitou, Yusuke Yasuda, Takafumi Hara, Hang Zhao, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui, Kaoru Watanabe, Tomoki Imura (RCNP), Atsushi Ishiyama (Waseda Univ.), So Noguchi (Hokkaido Univ.), Hiroshi Ueda (Okayama Univ.), Jun Yoshida (SHI Ltd), Shigeo Nagaya, Tomonori Watanabe (Chubu Electric Power Co.,Inc) In recent years, due to the rapid development of beam application technologies, the demands for ion beam has been growing. However, conventional cyclotron uses electromagnet with iron-core for magnetic field induction, where the field linear adjustability is limited by the iron-core’s hysteresis. As a result, it requires a long time and skilled operators to adjust the field and produce different types of beam from one cyclotron. As to medical cyclotron, the beam type it can produce is usually limited to one. In order to accomplish variable beam type production from one cyclotron, an air-core cyclotron is under development in Research Center for Nuclear Physics, Osaka University. Without any iron-core, this skeleton cyclotron induces magnetic field with only superconducting electromagnet, where the field can be adjusted easily without nonlinearity. This cyclotron, with extraction radius of 50 cm, is designed to produce H+, D+ and He2+ beam up to 70 MeV, 40 MeV and 80 MeV respectively. The maximum average magnetic field varies from 1.715 T to 2.534 T. In this work, the magnetic field design for the skeleton cyclotron will be presented, and the beam quality will be discussed. |
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TUP24 p.353 | 中間エネルギー領域におけるFFA-ERIT方式を用いた二次粒子生成シミュレーションに関する研究 Simulation of secondary particle production in medium-energy region with FFA-ERIT scheme ○髙松 恒輝,有馬 秀彦,米村 祐次郎,足立 恭介,石橋 一心,堂本 剛秀,池田 伸夫(九州大学),森 義治(京都大学) ○Koki Takamatsu, Hidehiko Arima, Yujiro Yonemura, Kyosuke Adachi, Isshin Ishibashi, Takahide Domoto, Nobuo Ikeda (Kyushu Univ.), Yoshiharu Mori (Kyoto Univ.) 加速器を用いて効率良く二次粒子を生成する手法として、標的衝突時に失ったビームエネルギーを高周波加速によって回復し、標的にビームを繰り返し衝突させるエミッタンス回復内部標的(ERIT)方式が提唱され、FFA-ERIT方式によって中性子生成の原理検証がなされた。さらに高いエネルギーの陽子ビームを用いることにより、中性子生成量の増加、生成中性子のエネルギー幅の拡張が見込まれ、放射化断面積の核データの評価等、中性子利用研究への本方式の応用範囲の拡大が期待される。FFA-ERIT方式における中性子生成量とエネルギースペクトルの評価には、ビームと内部標的の相互作用を考慮に入れたシミュレーションが必要である。特に中高エネルギー領域では相互作用の種類が増えるため、核データと輸送計算による評価が重要となる。さらに、FFA-ERIT方式では様々な条件の多数の粒子の軌道計算を行う必要があるため、計算精度と計算速度の両立の観点から、シンプレクティック数値積分法が有用である。本研究では、放射線挙動を模擬するモンテカルロ計算コードPHITSとリープ・フロッグ法を用いた軌道計算コードを接続した新たなシミュレーション手法の開発を行っている。本発表では、開発中のシミュレーション手法の詳細について報告する。 |
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TUP25 p.356 | FELのブロッホ・ベクトル・モデル A bloch-vector model on FEL ○尾崎 俊幸(高エネ研 加速器) ○Toshiyuki Ozaki (KEK) 量子コンピューターに代表されるような量子機器の動作を説明するのに、ブロッホ球のベクトルによる表現がある。これは、ファインマンが提案した方法である(文献1)。 しかし、これは2準位の個体原子レーザーにだけ有効である。したがって、FELのような相対論電子ビームを使う三準位レーザーには使えない。 そこで、まず、文献(2)のように、電子に乗った系でのシュレディンガー方程式を議論する。さらに3準位レーザーを議論した文献(3)を応用する。 本論文で、FEL動作をブロッホ球ベクトルで示せる事を発表する。 参考文献 (1) R. P. Feynman, F. L. Vernon, R. W. Hellwarth, “Geometrical Representation of the Schrodinger Equation for solving Maser Problems”, J.A.P 286(1957)49-52. (2) A. Bambini, A. Renieri, S. Stemholm, “Classical theory of the free electron laser in a moving frame”, Phys. Rev. A19(1979)3013-2025. (3) R. G. Brewer, E. L. Hahn, “Coherent two-photon processes: Transient and Steady-state cases”, Phys. Rev. A11(1975)1641-1649. |
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TUP26 | 小型X線源のためのレーザー加速電子を入射器に用いる電子蓄積リングの設計開発 Development of an electron storage ring with LPA injector for a compact X-ray source ○設楽 弘之(金属技研(株)),神門 正城,中新 信彦(量研 関西研) ○Hiroyuki Shidara (Metal Technology Co., Ltd.), Masaki Kando, Nobuhiko Nakanii (QST (KPSI)) レーザープラズマ加速機構(Laser Plasma Acceleration, LPA)を入射器とする小型電子蓄積リング、そして出射電子ビームを逆コンプトン散乱によりX線を生じさせる構成とすることで、既存のX線源に比べ格段に小型化できる装置の開発を進めている。昨年度末より開発に着手しており、実現化に向け概念設計、基本設計、部分的性能試験、詳細設計を行う。目標とするX線エネルギーは100 keV、1 MeV、10 MeVの3種類とし各エネルギーに合わせた装置の開発を行うが、まずは100 keVの装置の設計を進めている。本開発の特徴は、LPAと電子蓄積リングを組み合わせた構成により、LPAによる小型化と蓄積リングでの安定化にある。最初の段階として、現状認識を行い、差別化、独自性を明らかにするため、設計思想は異なるものの開発先行するKIT(カールスルーエ工科大学/ ドイツ)の電子蓄積リング(VLA-cSR)の構成について検討を行った。本開発においては、例えば、バンチ長 > 10 mm(x 10^2:KIT比)、運動量アクセプタンス >±15 %(x 2:KIT比)、電流値 > 15 mA(x 10:KIT比)を目指している。発表においては、進捗として幾つかの具体的な構造案、シミュレーションにより得られたパラメータ群、今後の計画などについて報告する。 |
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TUP27 p.361 | 光伝搬に外部境界条件を組込んだ自由電子レーザのシミュレーション Numerical simulation of free-electron laser with boundary condition of radiation field ○坂本 文人(秋田高専),加藤 龍好,本田 洋介,島田 美帆,阪井 寛志,中村 典雄,谷川 貴紀(KEK),羽島 良一(QST) ○Fumito Sakamoto (NIT, Akita college), Ryukou Kato, Yosuke Honda, Miho Shimada, Hiroshi Sakai, Norio Nakamura, Takanori Tanikawa (KEK), Ryoichi Hajima (QST) KEKにおける小型エネルギー回収型リニアック(cERL)では,赤外自由電子レーザ(FEL)の発振試験が行われているが,電子ビームの空間分布が非常に小さいため,電子から放射される光は回折効果によって大きく発散することがシミュレーションと実験の両面から示されている。発散する光はビームラインの真空ダクト壁面と干渉を繰り返し伝搬することになるが,既存のシミュレーションコードでは外部境界と光の相互作用は考慮されていないため,解析結果の信頼性を損なう可能性が考えられる。我々は広くFELシミュレーションに用いられている3次元時間領域FEL解析コードGENESIS 1.3に,独自に境界条件を設定する機能を追加することで,外部境界との相互作用を考慮した光伝搬のシミュレーションを可能にした。本報告においてはシミュレーション結果の他,境界条件や組込み手法の詳細について述べる。 |
ポスター① (8月29日 14号館1441教室) | |
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TUP29 | 改良型スロー排気システムの開発 Development of modified slow pumping system ○阪井 寛志,梅森 健成,加古 永治,片山 領(KEK),山田 浩気((株)NAT),岡田 昭和((株)ケーバック) ○Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Eiji Kako, Ryo Katayama (KEK), Hiroki Yamada (NAT), Terukazu Okada (K-VAC) 超伝導空洞を用いた加速器組み立てにおいて、近年ゴミ混入によるfield emission抑制のために、スロー排気システムを開発した。KEKでは、これを用い、STF用の9セル空洞のクライオモジュール組立作業に用い、真空排気のスピードを遅くすることで、排気中のゴミの舞い上げを抑制し、ゴミ混入を防ぐことで、field emissionを抑制した高勾配加速を実現した。一方、作成したスロー排気システムは、従来の空洞測定を行う縦測定にまだ用いてはいない。縦測定前のクリーンルームでの組立作業では、超純水による高圧洗浄を行うのが一般的であり、この時、空洞内には多くの水が溜まる。水乾燥のために、クリーンルーム内で一晩空洞を乾燥させるものの、それでも空洞内にある程度水分が残る。そのため、クリーンルーム中の空洞組み立て時には、スロー排気を制御するマスフローメータに、氷結した水が詰まり、排気が停止する可能性がある。そこで、空洞内に水が存在する場合でも、スロー排気が行えるように、本スロー排気システムを改良した。本発表では、KEKに設置された改良型スロー排気システムの概要と、それを用いた高圧洗浄後の1.3 GHzのTESLA型9セル超伝導空洞のスローポンプによる真空排気の様子及び、真空パーティクルモニターによるスロー排気中の、高圧洗浄後の微粒子の動きの測定結果を紹介する。 |
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TUP30 | 超低光刺激脱離、低い抵抗率かつ高い耐久性のPd膜の開発 Durable Pd films with ultra-low photon stimulated desorption and low resistivity ○金 秀光,谷本 育律,内山 隆司,本田 融(高エネルギー加速器研究機構) ○Xiuguang Jin, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Tohru Honda (High Energy Accelerator Research Organization) Surface coatings on the vacuum chambers are used for various purposes. For example, in low emittance electron rings used in synchrotron light sources, the coatings with low photon-stimulated desorption (PSD) and low resistivity are required. The vacuum chambers are exposed the synchrotron radiation (SR), so reducing PSD shortens the commissioning time and contributes to safe operation. In addition, the low resistivity decreases the beam instability and heat generation. For these purposes, the dense Pd film was introduced. The 1.6 μm-thick Pd film was coated on the inner wall of Cu duct using magnetron sputtering, and the PSD analysis was carried out at BL21 of the Photon Factory. In comparison with low PSD materials of TiZrV coatings, the Pd coatings exhibited ultra-low PSD yields. Especially, the initial H2 PSD yield was lower over one order. These ultra-low PSD yields could be maintained after several cycles of air exposure and followed heating. In addition, the dense Pd films showed significantly lower resistivities compared to the TiZrV films. Our results support that the dense Pd coatings could potentially have applications in the low emittance electron rings. |
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TUP31 p.365 | J-PARC S-DTL空洞におけるNEGポンプを用いた真空改善の検討 Study of vacuum improvement using the NEG pump at J-PARC S-DTL cavity ○小林 史憲,平野 耕一郎(日本原子力研究開発機構) ○Fuminori Kobayashi, Koichiro Hirano (J-PARC/JAEA) 大強度陽子加速器施設 (J-PARC) のリニアックでは、Separate-type Drift Tube Linac(S-DTL)空洞内の圧力を改善することを検討している。S-DTL空洞には大排気量のイオンポンプはスペース的に設置できない。そこで、省スペースで設置可能な大排気量のNEGポンプを使用することを検討した。NEGポンプは活性化後、徐々に排気能力が劣化する特性があるため、長期間の連続排気に適さないが、SAES Getters社製CapaciTorr® HV 1600は200℃で活性化させながら使用することによって、長期間連続排気が可能となる。今回、NEGポンプを用いた空洞内の圧力改善方法について検討するとともに、NEGポンプを低温度で活性化させながら長期運用した試験およびNEGポンプによる空洞内残留ガスの排気試験について報告する。 |
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TUP32 p.370 | 加速空洞立ち上げ時の周波数変調システム Frequency modulation system used for starting up duration of the accelerating cavities ○大島 隆,細田 直康,岩井 瑛人(高輝度光科学研究センター),上島 考太(量子科学研究機構),高橋 隼也,青木 駿尭(量子科学研究機構, NAT),吉岡 正倫(スプリングエイトサービス) ○Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda, Eito Iwai (JASRI), Kota Ueshima (QST), Shunya Takahashi, Toshitaka Aoki (QST, NAT), Masamichi Yoshioka (SES) 次世代放射光施設nanoterasuの蓄積リングでは電子ビームの加速に4台の高次共振モード減衰型加速空洞が使用される。今回使用する4台の空洞のうち1台はRF基準信号の周波数から約80kHz高い共振周波数を持つことがわかった。この周波数ズレは共振周波数チューナの引き抜きでは対処できない範囲であったため、空洞立ち上げ時に使用する周波数オフセット変調システムを新規に開発した。低電力高周波システムの基準となる信号の上流にIQ変調器を挿入し、その制御信号として与えるsine波、cosine波の周波数を調整することで立ち上げにおける空洞からの反射の大きさを低減した。一度高周波電力が空洞に投入されると空洞温度が上昇し共振周波数が低下する。この低下量を参照しながらIQ変調器に与える変調の周波数を減らすという手順をシステムに組み込んだ。このシステムをSPring-8のテストスタンドに導入し、加速空洞のコンディショニングにおいて想定通りの動きをすることが確認された。本発表ではシステムの詳細、動作試験の結果について報告する。 |
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TUP33 p.375 | MPSoCを用いたMTCA規格の上位互換LLRFデジタル制御カードの開発 Development of MTCA standard upward compatible LLRF digital control card using MPSoC ○漁師 雅次,岩城 孝志,北川 隆太,津本 敦,濱洲 竜斗,林 和孝,張替 豊旗,山浦 正義,山崎 伸一(三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ株式会社) ○Masatsugu Ryoshi, Takashi Iwaki, Ryuta Kitagawa, Atsushi Tsumoto, Ryuto Hamasu, Kazutaka Hayashi, Toyoki Harigae, Masayoshi Yamaura, Shinnichi Yamazaki (MITSUBISHI ELECTRIC DEFENSE AND SPACE TECHNOLOGIES CORPORATION) 2010年にMTCA(Micro Telecommunications Computing Architecture)規格のデジタル制御カードのハードウェアを開発して、その後ファームウェアを継続して改良してきた。この制御カードは、cERLやSTFをはじめSuperKEKBのデジタル低電力高周波(Low Level RF: LLRF)制御システムや高周波信号モニタシステムに使用されてきた。この制御カードには、2007年にリリースされたXilinx製FPGA(Field Programmable Gate Array)のVirtex5-FXTが実装されている。Virtex5-FXTは、ファームウェアに機能追加するための開発環境の保守期間が切れているため、能力向上するためには、新しい開発環境が利用できる上位互換の制御カードを開発が必要となった。そのため、新しいFPGAにはZynq UltraScale+ MPSoC (Multi-Processor System on a Chip)を採用した。新しい制御カードへファームウェアを移植する際に、FPGAデバイス固有の回路に関する箇所など必要最小限の変更にとどめて、加速器制御などのファームウェア固有の機能のソースファイルはそのまま流用できるようにした。 |
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TUP34 p.379 | KEK電子陽電子入射器における大電力高周波源の運転保守(2022年度) Maintenance activity of RF system in KEK electron-positron linac(FY2022) ○馬場 昌夫,東福 知之,今井 康雄,久積 啓一(三菱電機システムサービス(株)),明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,片桐 広明,川村 真人,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,夏井 拓也,本間 博幸,松本 利広,松下 英樹,三浦 孝子,矢野 喜治,王 盛昌,松本 修二(高エネルギー加速器研究機構) ○Masao Baba, Tomoyuki Toufuku, Yasuo Imai, Keiichi Hisazumi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Yoshiharu Yano, Sheng Chang Wang, Shuji Matsumoto (KEK) KEK電子陽電子入射器は、最大で7GeVの電子および4GeVの陽電子を生成・加速する能力を持つ線形加速器である。高周波源として大電力Sバンドクライストロンが使用され、高電圧スイッチとしてサイラトロンが使用されている。2022年度は長期保守期間中に行われた4-4加速ユニットの改造に伴い、高周波源が1台追加され、総数は61台となった。2022年度中は約5,700時間運転された。 現在設置されているクライストロンの平均運転時間は約77,000時間である。2022年度はクライストロン集束電磁石の水抜き孔からの漏水による交換や、集束電磁石の絶縁抵抗低下による交換など計7台の交換が行われた。 現在設置されているサイラトロンの平均運転時間は約40,000時間である。2022年度はリザーバー電圧の最適値無しによる交換やキープアライブ電流低下による交換など計5台の交換が行われた。 クライストロンから加速管へ至るマイクロ波搬送路の途中に設置されている導波管高周波窓の平均運転時間は約106,000時間である。2013年長期メンテナンス後から2022年度までの期間でユニット追加や復元により新たに設置する事はあったが、真空漏れ等のトラブルによる交換は無かった。 本稿ではクライストロン,サイラトロン,導波管高周波窓に関する統計及び高周波源に関する不具合事例と運転保守について報告する。 |
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TUP35 p.384 | Development of a folded magic tee for the ILC power distribution system ○Prakash Joshi (SOKENDAI), Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono (KEK, SOKENDAI) A folded magic tee (FMT) of WR650 waveguide is designed and manufactured. The simulated and measured S parameters of the FMT are compared. These two FMT are tested in an L-band 1.3 GHz resonant ring driven by 800 kW klystron at the repetition rate of 5 Hz where maximum 5 MW transmission is possible. The FMT is pressurized to 0.2 MPa by nitrogen gas. The test is conducted using various pulse widths, namely 50 micro-seconds, 200 micro-seconds, 500 micro-seconds, 1.00 ms, and 1.65 ms. For each pulse width, the power is incrementally increased and maintained within the resonant ring for one hour. The FMT is the component of the 5 MW variable power divider (VPD). The unique feature of this VPD is it can address the phase shifted while adjusting the coupling ratio. The fixed phase shifter (FPS) and U bend with actuator are two other components of VPD. Assembling two FMT, four FPS, and two U bend completes the VPD. This VPD is useful for high-power RF distribution in the ILC. |
ポスター① (8月29日 14号館1442教室) | |
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TUP37 p.388 | 高デューティLaB6フィラメントイオン源の暴走と対策 High-duty factor operation of the LaB6 filament ion source ○柴田 崇統,杉村 高志,高木 昭,池上 清,栗原 俊一,發知 英明,内藤 富士雄(KEK) ○Takanori Shibata, Takashi Sugimura, Akira Takagi, Kiyoshi Ikegami, Toshikazu Kurihara, Hideaki Hotchi, Fujio Naito (KEK) 六ホウ化ランタン(LaB6)フィラメントによるアーク放電を利用し、5%のデューティ(繰返し周波数100 Hz/パルス幅500μs)で、60 mAの陽子ビームを出力可能なイオン源システムを開発状況を報告する。フィラメントアーク型のイオン源は、フィラメント寿命による制限があるものの、他のイオン源放電形式と比較して、プラズマ点灯が容易かつ出力ビーム電流波形が安定している。そのため、加速器装置の急停止や出力ビーム変動のリスクがある医療機器や照射施設等では、上記の放電形式に利点がある。一方、LaB6を使用したフィラメント寿命については、KEK-PSやJ-PARC用イオン源で数1,000時間の連続運転実績がある。最近では、安定長寿命に加え、高い陽子ビーム電流出力が可能なイオン源の需要が増えている。ビーム出力向上には、イオン源が取り付けられる加速器装置全体の要求を満たすような対応を取る。例えば、リニアック加速空洞におけるピーク電流の制限がある場合、デューティ(繰返し周波数またはパルス幅)を増加させることで、平均ビーム電流を増加させることが可能である。この場合、アーク放電電流・電圧のflat-topを安定に維持するための電源回路設計も重要である。本報告では、LaB6フィラメントの熱暴走制御を意図したアーク電源およびイオン源本体の開発状況と主要な運転パラメータを示す。 |
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TUP38 p.392 | 324 MHz高周波駆動の大強度負水素イオン源のマッチング回路の設計 Design of a matching circuit for a high-intensity negative hydrogen ion source driving with 324 MHz rf power source ○神藤 勝啓(J-PARC/原子力機構),柴田 崇統(J-PARC/高エネ研),和田 元(同志社大院理工) ○Katsuhiro Shinto (J-PARC/JAEA), Takanori Shibata (J-PARC/KEK), Motoi Wada (Doshisha Univ.) J-PARCなどの大強度陽子加速器施設やITERなどの中性粒子入射加熱施設で用いられている高周波負水素イオン源では、駆動周波数が1~2 MHzの高周波源を用いてイオン源内プラズマを生成している。我々はこれまでにこのような数MHz帯域の高周波源を用いたイオン源より引き出された負水素イオンビームが、駆動周波数またはその2倍高調波成分をもって揺動していることを示してきた。これは、イオン源内のプラズマ密度が高く、イオンプラズマ周波数よりも低い周波数の駆動周波数でプラズマを生成していることが原因である。そこで、我々はイオンプラズマ周波数よりも高い周波数、例えばJ-PARCリニアックの高周波源(クライストロン)の周波数(324 MHz)でイオン源プラズマを生成した場合に、引き出された負水素イオンビームの揺動が抑えられると考えた。そのために、先ずは高周波源からの入力電力を損失無く、イオン源内プラズマに投入するための整合回路の設計を行った。本発表では、新たな高周波源を用いることを検討した経緯と整合回路の設計結果について報告する。 |
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TUP39 | RCNP白色中性子源の改修 Renovation of the white neutron source at RCNP ○神田 浩樹,小林 信之,嶋 達志,民井 淳,永山 啓一,福田 光宏,依田 哲彦,甲田 旭,Zhao Hang,橘高 正樹,松井 昇大朗(阪大RCNP),安部 晋一郎,岩元 洋介,佐藤 大樹(原研) ○Hiroki Kanda, Nobuyuki Kobayashi, Tatsushi Shima, Atsushi Tamii, Keiichi Nagayama, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Asahi Kohda, Hang Zhao, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui (RCNP), Shin-ichiro Abe, Yosuke Iwamoto, Daiki Sato (JAEA) 大阪大学核物理研究センターにおいて2004年より運用してきた白色中性子源は、宇宙線中性子の地表付近におけるエネルギースペクトルに近いエネルギースペクトルを示すことから、長年にわたり半導体のソフトエラーの試験に供され、半導体デバイスの放射線耐性に関する研究開発に貢献してきた。2019年度より、大阪大学核物理研究センタービームの大強度化を図るため、施設および加速器の改修工事が実施されてきた。白色中性子源については、一次ビームである陽子ビームの大強度化に対応した標的及びビームダンプの冷却対策と放射線対策を実施した。さらに、利用者のニーズによる直径 300 mm の照射野を供給できるよう中性子ビームコースの見直しを行い、中性子ビーム断面整形用のコリメーターを新たに用意した。さらに既存の直径100 mm と新しい直径 300 mm の中性子ビームを切り替えて利用するため、移動式のコリメーター架台を設置した。機器類の製作はほぼ完了し、2023年10月からの利用に向けて、ビームコース上への機器類の配置や電気配線、冷却水配管などの準備を進めている。 この発表では機器類の設計と準備の現況について報告する。 |
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TUP40 p.396 | Development of a high current injector with thermionic cathode electron gun for a superconducting RF linac ○Anjali Bhagwan Kavar, Fujio Hinode, Ikuro Nagasava, Kenichi Nambu, Ken Kanomata, Kotaro Shibata, Ken Takahashi, Kohei Kumagai, Kodai Kudo (ELPH, Tohoku University ), Kai Masuda (QST-Rokkasho), Shigeru Kashiwagi, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku University ) We are conducting research on a thermionic electron gun with high average current for a superconducting electron linac which will be used for wastewater purification and RI production. The electron gun will generate the pulsed beam by using a DC high voltage and driving the grid at high speed. The current dependence of emittance is investigated numerically based on the existing electron gun setup. We will now proceed to optimize and improve the geometry and configuration of the injector components such as focusing magnets and bunching cavities to inject a high current beam into the superconducting RF cavities. In order to evaluate the actual beam produced by the electron gun, a test stand for the electron gun is currently being constructed. In this presentation, we will present the results of the measurement experiments. |
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TUP41 p.401 | 北上エリアの花崗岩体における振動調査 Investigation of vibration inside granitic rocks in the Kitakami area ○小林 真人,兼松 亮,川端 康夫(飛島建設),佐貫 智行,京谷 孝史(東北大学),吉岡 正和(岩手大学) ○Masahito Kobayashi, Akira Kanematsu, Yasuo Kawabata (Tobishima Corp.), Tomoyuki Sanuki, Takashi Kyoya (Tohoku University), Masakazu Yoshioka (Iwate University) ILC施設への河川による振動影響を確認することを目的として,ILC計画候補地の北上エリアにある砂鉄川に近い河床岩盤内(G.L-4m,G.L-21m)で約2年にわたり振動速度を計測した。その結果から,岩盤内では常時0.2Hzから0.3Hzをピークとする周波数成分が確認でき,これは過去の報告を参照すれば波浪による影響であることが示唆された。そこで,計測期間中の岩盤内変位の積分スペクトルと砂鉄川流量,同じく太平洋岸の波高との相関を検討したところ,岩盤内で発生している変位と太平洋岸の波高との相関が確認できた。また,波高が低く砂鉄川の流量が著しく増大した状態であっても,パワースペクトル密度や積分スペクトルで有意な変化は確認できなかった。さらに,道路交通による影響を確認するため,岩盤内の振動調査と併せスポット的に地盤上で振動速度の計測を行った。近接する県道を大型車が走行した際のパワースペクトル密度や地盤と岩盤内のコヒーレンスの分析結果から,地盤上やG.L-4mで道路交通振動による影響が確認されたがG.L-21mにおいては影響が小さいことを確認した。以上により,ILC施設の建設が想定される岩盤内では波浪による影響が確認できるものの,河川や道路交通による影響は小さいことを明らかにした。本報ではこれらの概要について示す。 |
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TUP42 p.406 | 加速器冷却系における冷却水及び腐食生成物の継続的調査 Continuous investigation of cooling water and corrosion products in accelerator cooling system ○石田 正紀,武智 英明(高エネ研) ○Masaki Ishida, Hideaki Takechi (KEK) KEK加速器施設の冷却水系において異物の発生及び堆積が確認されてきた。私の所属するグループでは、異物の化学分析を長年実施している。異物の大部分は酸化銅であり、系内で使用されている銅材料(ホローコンダクター等)の腐食生成物である。昨年の当年会において、腐食生成物によって外観が異なること及びその定量的評価について報告している。本発表では、KEKフォトンファクトリーM7-B冷却水系統における過去数年間の冷却水及び腐食生成物の継続的調査結果を報告する。主な調査内容は、冷却水中溶解性元素の定量結果、腐食生成物の定性・定量結果である。また、2022年8月にM7-B冷却水系統では冷却水の入れ替えが実施されており、その前後における調査結果の比較検討についても報告する。 |
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TUP43 | PF-ARにおける5GeVトップアップ運転実現のための電磁石設置 Installation of magnets for realizing the top-up injection with 5 GeV at the PF-AR. ○長橋 進也,内山 隆司,榎本 嘉範,岡安 雄一,佐藤 政則,中村 典雄,野上 隆史,原田 健太郎,東 直,本田 融,満田 史織(高エネ研),川野 壽美,藤川 雄次(三菱SC) ○Shinya Nagahashi, Takashi Uchiyama, Yoshinori Enomoto, Yuichi Okayasu, Masanori Satoh, Norio Nakamura, Takashi Nogami, Kentaro Harada, Nao Higashi, Tohru Honda, Chikaori Mitsuda (KEK), Toshimi Kawano, Yuji Fujikawa (MSC) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)のX線領域の単パルス専用放射光源であるPhoton Factory Advanced Ring(PF-AR)は、2017年に直接入射路が完成したことにより、6.5GeVまでの任意のエネルギーの電子ビームを入射することが可能となった。 |
ポスター① (8月29日 14号館1443教室) | |
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TUP44 p.410 | 粒子線治療用⾼温超伝導スペクトロスコピータイプガントリーシステムの概念設計 Conceptual design of a high temperature superconducting spectroscopy-type gantry system for particle therapy ○趙 航,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,畑中 吉治,斎藤 高嶺,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文,荘 浚謙,橘高 正樹,松井 昇太郎,渡辺 薫,井村 友紀(阪大RCNP) ○Hang Zhao, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yusuke Yasuda, Kichiji Hatanaka, Takane Saitou, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Tsun Him Chong, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui, Kaoru Watanabe, Tomoki Imura (RCNP, Osaka Univ.) Radiation therapy is a kind of extremely efficient cancer treatment that uses high doses of radiation to kill cancer cells. In radiation therapy with high energy particles, the dose is usually applied to the tumor with irradiation from several directions, to limit the dose in healthy tissue in vicinity of the tumor. In order to realize a continuous angular range of irradiation, a spectroscopy-type beam delivery device (i.e. the gantry) is proposed. In the conception of spectroscopy-type gantry, beam is guided to the appropriate azimuthal angle with cylindrical magnetic field surrounding the patient, and treatment angles are set by adjusting magnetic strength, instead of rotating a gantry with magnets of the beam transport around the patient. With this conception as well as high temperature superconducting materials, continuous angular range of irradiation could be realized by a super compact spectroscopy-type gantry. In this work, a conceptual design of a high temperature superconducting spectroscopy-type gantry system with a scanning system will be presented. |
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TUP45 p.415 | J-PARC 3MeV LINAC用ビームターゲット材料の検討 Study of beam target materials for a 3-MeV linac at J-PARC ○平野 耕一郎(原子力機構),福田 誠,江里 幸一郎(量研機構),徳永 和俊(九州大学) ○Koichiro Hirano (JAEA), Makoto Fukuda, Koichiro Ezato (QST), Kazutoshi Tokunaga (Kyushu Univ.) ビームターゲットや核融合実験炉(ITER)のダイバータには、低放射化、高熱伝導率および高強度の特性を有する材料として、タングステンが使用されている。負水素イオンビームエネルギー3 MeVの加速器を使用し、ITERの要求仕様を満たすタングステン材料に対して、加熱(3200 ℃)及び冷却(160 ℃)の温度変化を5 Hz周期で繰り返し与える多重照射試験を実施した。その結果、温度変化を繰り返すことによる膨張収縮により発生し、進展したと思われる突起や亀裂が試験片表面に観測された。本件では、加熱および冷却の温度変化を繰り返すような多重照射によるタングステンの熱疲労による損傷ついて調べたので、報告する。 |
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TUP46 p.420 | 重粒子線治療用小型回転ガントリーの多角度ビーム調整 Multiple gantry angle beam parameter optimization of a compact rotating gantry for carbon ion radiotherapy ○想田 光(山形大),金井 貴幸(東京女子医大),イ ソンヒョン,宮坂 友侑也,柴 宏博,石澤 美優,小野 拓也,岩井 岳夫(山形大),李 潤起,澤村 駿,永井 恭平,菅藤 洋平,盛 道太郎,佐藤 亜都紗,田口 貴之,大内 章央,勝間田 匡(AEC),佐藤 啓,土屋 順彦,上野 義之,根本 建二(山形大) ○Hikaru Souda (Yamagata Univ.), Takayuki Kanai (Tokyo Women's Univ.), Sung Hyun Lee, Yuya Miyasaka, Hongbo Chai, Miyu Ishizawa, Takuya Ono, Takeo Iwai (Yamagata Univ.), Junki Lee, Shun Sawamura, Kyohei Nagai, Yohei Kanto, Michitaro Sei, Azusa Sato, Takayuki Taguchi, Fumihisa Ouchi, Masashi Katsumata (AEC), Hiraku Sato, Norihiko Tsuchiya, Yoshiyuki Ueno, Kenji Nemoto (Yamagata Univ.) 山形大学医学部東日本重粒子センターの小型回転ガントリーにおいて、24角度600エネルギーのビーム調整を行った。回転ガントリーは360度自由な方向から照射できる有用な装置であるが、重量のあるガントリーの機械的な変形等に対応するため角度ごとに全600段のエネルギーについてビーム形状、ビーム軌道の微調整および検証測定を行う必要がある。様々な部位の治療を安全に行うために、左右2方向のみ、上方30度刻み7角度、全周30度刻み12角度、全周15度刻み24角度の順に段階的に調整および検証を行った。ビーム形状の調整には回転ガントリー内の機能結合型超伝導磁石の集束要素を用い、メーカーで実施した初期調整に対して一部の角度およびエネルギーで微調整を行った。ビーム軌道調整には回転ガントリー内のステアリング電磁石および機能結合型超伝導磁石の偏向要素を用い、3次元的な照射中心位置(アイソセンター)でビーム重心位置が±1mm以内となるように、補正要素に対するビーム位置の実測応答係数を用いて補正計算を行った。600エネルギーの測定は30分近い時間を要するため、全周調整の段階からは143エネルギーで実測を行い、間のエネルギーは補間した測定値を元に補正計算を行うことにより、1回の測定を6分に短縮し、高速に調整を行う方法を確立した。以上の手法を用いて、2022年3月に左右2角度で治療を開始し、2023年3月に全周15度刻み24角度の調整を完了し治療照射での運用を開始した。 |
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TUP47 p.424 | KEK PF-BTに関するシミュレーションモデルの改修と加速器調整への適用 Modification of simulation model for machine tuning at KEK PF-BT ○下崎 義人,帯名 崇,長橋 進也,東 直(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshito Shimosaki, Takashi Obina, Shinya Nagahashi, Nao Higashi (KEK) 計算機の中で現実の加速器を再現できるようになれば、シミュレーションで得られたパラメータを実機に導入することでビーム性能の改善が見込める。このためにはまず設計磁場でラティスを設計し、次にビームを使った測定で磁場誤差等を推定し、そして磁場誤差等をシミュレーションコードに入力することで加速器モデルを現実に寄せていく作業が必要となる。1982年から稼働中のKEK放射光実験施設(PF)の入射路(PF-BT)について、2021年11月の時点でKEKで開発されたシミュレーションコード(SAD)の結果が測定結果を再現しない状況だった。稼働開始から40年を経てブラックボックスと化したPF-BTについて、PF-BTを通過する入射ビームの素性を明らかにして系統的な調整を行うために、 2021年11月にビームを使った調査を開始した。 調査の結果、(1)モニター位置がSADと実機で最大6 m程ずれていて、(2) 四極磁石の電流値から磁場係数へ変換する換算係数が公称値から最大2倍程度ずれていて、(3) y方向エミッタンスが公称値より概ね2倍大きいということがわかり、SADを改修することで計算結果が実験結果を概ね再現するようになった。これにより定期的なビームパラメータ取得、新規運転パラメータの作成などが可能となった。PF-BTの現況について報告する。 |
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TUP48 p.429 | 核医学用RI製造に用いる大強度4Kニオブスズ超伝導電子線形加速器の検討 Investigation of high-power 4K Nb3Sn superconducting RF electron linac for production of medical radioisotopes ○柏木 茂(東北大電子光),梅森 健成(高エネ研),菊池 章弘(物材研) ○Shigeru Kashiwagi (ELPH, Tohoku U.), Kensei Umemori (KEK), Akihiro Kikuchi (NIMS) 現在、核医学において放射性同位元素(RI)は、PETやSPECTなど核医学検査で幅広く利用されている。近年、RIを用いた内用療法(核医学療法)の進行がんへの有効性が確認されるなど、医療用RIの利用は「検査から治療へ」と新たな展開をみせている。医療用RI製造の方法の1つに加速器の大強度ビームを用いる方法がある。電子加速器の場合は、RI生成過程で光核反応を用いるため制動放射を発生させる電子ビームの電流量によって製造量を増やすことができ、不純物(不必要な同位体)が少ないといった特長をもつ。我々は、大規模な冷却システムを必要としない、簡易な伝導冷却システムで運転可能な4Kニオブスズ超伝導電子加速器をRI製造に導入するための研究開発をスタートさせた。その最初のステップとして、1セルのニオブスズ超伝導空洞およびそれを冷却するクライオモジュールを製作し、ビーム加速実験によりその性能を実証することを計画している。本発表では、RI製造に用いる40MeV超伝導リニアックの基本設計やR&Dスケジュールについて報告する。 |
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TUP49 p.433 | 教育加速器(KETA)の現状と課題 Current status and challenges in the KEK Education and Training Accelerator(KETA) ○福田 将史,森川 祐,濁川 和幸,竹内 保直,肥後 壽泰,福田 茂樹(高エネ研) ○Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Kazuyuki Nigorikawa, Yasunao Takeuchi, Toshiyasu Higo, Shigeki Fukuda (KEK) 教育加速器(KETA: KEK Education and Training Accelerator)は、KEKのERL開発棟内にある教育目的や照射試験に使用する加速器であり、大学院生、若手研究者、技官、企業の人などを対象に、加速器科学に貢献できる人材を育成することを目的としている。教育加速器は、熱電子銃、Sバンド定在波バンチャー、Sバンド2m進行波加速管で構成された線形電子加速器である。最大25MeV、100nAの電子ビームを生成でき、また、最大11MeVのビームを用いた照射試験を行うための照射部も設けている。2022年9月に施設検査に合格し、実習などでの利用が開始されており、総研大の授業やセミナーにおけるビーム実習に使用している。しかし、チャージアップによる軌道の変化や電子銃パルストランス内の抵抗の減少など、いくつかの問題やモニタの不足などの課題があり、これらの問題の解決やモニタの追加を行っている。また、電子照射のテストとしてリヒテンベルク像の製作も行った。本稿では、これらについて報告する。 |
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TUP50 p.438 | Linear optics correction of storage ring with closed orbit data based on machine learning ○Elham Salehi (UVSOR), Masahiro Katoh (UVSOR and HiSOR) The LOCO algorithm based on orbit response matrix (ORM), which is the change in orbit at beam position monitors (BPMs) with changes in steering magnets, has been widely used for linear optics correction in storage rings. It computes the orbit response matrix and fits it to the experiment data linearly as making quadrupole strengths and others as free parameters. In order to solve the difficulty on convergence of ORM method when the change of focusing optics or the effect of nonlinear optics on the closed orbit is large, we propose a method based on machine learning. The closed orbit of the design lattice produced by each steering magnet at BPMs is calculated using ELEGANT simulation code which fully includes non-linear components and is fitted to the measured closed orbit data in the experiment. This method can nonlinearly compute the correction parameters of the lattice by minimizing the discrepancies between measured and predicted closed orbits. We have applied this method to the lattice of UVSOR_III. The latest results will be presented at the meeting. |
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TUP51 p.441 | コールドスプレーによる新しいニオブ超伝導空洞の製造方法の提案 A novel manufacture of niobium SRF cavities by cold spray ○山中 将(高エネ研),嶋田 慶太(日大工) ○Masashi Yamanaka (KEK), Keita Shimada (Nihon univ.) コールドスプレーとは材料を溶融またはガス化させること無く不活性ガスと共に超音速流で固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成する技術である。 超音速で衝突した材料は、臨界速度に達すると粒子自体が塑性変形して皮膜を形成する。超伝導空洞の材料は非常に高価なレアメタルのニオブである。ニオブの使用量を減らしコスト低減を図るために、ニオブ粉末を用いたコールドスプレーによりマンドレルの表面にニオブ厚膜を形成し、マンドレルを除去することにより空洞形状を製造する方法を提案する。3.9 GHz1セル空洞を模したモデルを使って、提案する手法の実現性について確認した。またCSにより製作したニオブ試験片のRRR測定を行い11という測定値を得た。これらの結果について報告する。 |
ポスター① (8月29日 14号館1444教室) | |
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TUP52 p.445 | KEK 電子陽電子入射器におけるレーザーから新 RF 参照位相の導入 New RF reference signal generation by RF gun laser source at KEK electron/positron injector linac ○周 翔宇(高エネ研/総研大),熊野 宏樹,豊富 直之(三菱電機システムサービス),吉田 光宏(高エネ研/総研大) ○Xiangyu Zhou (KEK/SOKENDAI), Hiroki Kumano, Naoyuki Toyotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.), Mitsuhiro Yoshida (KEK/SOKENDAI) The stability of the RF phase in the LINAC of SuperKEKB is affected by the high voltage of the klystron and the temperature of the cooling water in the accelerating structure. To improve the stability of the RF phase, a new RF signal is generated by the RF gun's laser source, which is synchronized with a 2856 MHz signal. The laser output is transmitted through a free space area to sector B and detected by a photodetector, which is not impacted by temperature fluctuations or klystron interference. |
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TUP53 p.449 | レーザー駆動イオン加速機構における高品質イオンビーム生成 High quality ion beam generation in laser-driven ion acceleration mechanism ○宮武 立彦(九大院 総理工),小島 完興,榊 泰直,ヂン タンフン,畑 昌育,錦野 将元,西内 満美子(量研 関西研),渡辺 幸信(九大院 総理工),岩田 佳之,白井 敏之(量研 放医研),神門 正城,近藤 公伯(量研 関西研) ○Tatsuhiko Miyatake (Kyushu Univ. ), Sadaoki Kojima, Hironao Sakaki, Thanh-hung Dinh, Masayasu Hata, Masaharu Nishikino, Mamiko Nishiuchi (QST KPSI ), Yukinobu Watanabe (Kyushu Univ. ), Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai (QST NIRS), Masaki Kando, Kiminori Kondo (QST KPSI ) レーザープラズマによるイオン加速機構として最もよく知られているTNSA(Target Normal Sheath Acceleration)機構では、超高強度レーザーを薄膜ターゲットに集光し、電子を相対論レベルまで加速させることで、ターゲット裏面に〜TV/mの電荷分離場勾配を発生させる。この電界によって、ターゲット裏面のイオンは,数µmという非常に短い距離で数MeVの運動エネルギーにまで加速される。TNSA機構で生成されるイオンビームは、既存の加速器によって生成されるイオンビームと比較して,エミッタンス、バンチ幅などの特性が極めて優れていると言われている。10MeVの陽子ビーム加速において,横方向のエミッタンスが0.004mm-mradという計測結果も得られており,これは既存のRF加速器よりも2桁ほど優れた値である。これらの特徴から、本加速機構は粒子加速器の小型化だけでなく,これまでの加速器では達成できないような超高品質なビーム供給を行うことで,FLASH治療、PIXEを含む物性実験などへの応用も期待される。 上記のようなレーザー加速器の開発では、高品質なビーム生成が重要な研究要素の一つであるが、高品質なイオンビームを生成するためのレーザー照射条件の最適化は,十分に行われていない。そこで本研究では、より高品質なイオンビームを供給するためのレーザー加速器開発に向け、レーザー駆動イオン加速機構におけるレーザー照射条件と,発生するイオンビーム品質の相関を観測する。 |
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TUP54 p.451 | フッ酸を用いないニオブ電解研磨法の探索(3)正弦波電圧を用いた電解研磨 Search of niobium electro-polishing method without hydrofluoric acid (3) electro-polishing with sinusoidal wave voltage ○仁井 啓介(マルイ鍍金工業株式会社),文珠四郎 秀昭(KEK),八代 仁(岩手大学) ○Keisuke Nii (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hideaki Monjushiro (KEK), Hitoshi Yashiro (Iwate University) マルイ鍍金、KEK、岩手大学では従来の濃硫酸とフッ酸に代わる、安全性の高いニオブ電解研磨(EP)液、EP手法の研究開発を行っている。これまでにメタンスルホン酸、グリコール酸とフッ化アンモニウムを用いた直流EP、パルス反転電圧を用いたEPの結果について報告してきた。今回、EP電圧として正弦波(交流)電圧を用いたニオブEPを行った。対向電極、正弦波波形、電解液等のパラメータを変えてEPを行い、研磨速度、研磨後表面を確認した結果、パルス反転電圧を用いた場合と同等の研磨速度、研磨表面が得られることがわかった。 |
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TUP55 | 超伝導加速空洞用RRR300ニオブの統計的な強度評価 Statistical evaluation of mechanical properties of RRR300 niobium ○梅澤 裕明(総研大),山中 将(高エネ研),西田 尚志(東京電解) ○Hiroaki Umezawa (SOKEN), Masashi Yamanaka (KEK), Naoshi Nishida (Tokyo Denkai) 東京電解では、TRISTAN空洞向けを契機として1985年頃から超伝導加速空洞向け高純度ニオブの製造を行なっている。また、L-Band空洞用ニオブもその開発当初から製造しており、特にXFEL-007仕様に基づくニオブ板は、European XFEL、LCLS-II、LCLS-II HE向けに10,000枚以上の製造実績がある。本報告では、同仕様に基づくニオブ板の機械的性質の実測値を示し、統計的な評価を行う。 |
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TUP56 p.455 | J-PARC DTL用高周波窓の調査 Investigation of an RF window for the J-PARC DTL ○新井 宇宙,伊藤 崇,平野 耕一郎(日本原子力研究開発機構) ○Sora Arai, Takashi Ito, Koichiro Hirano (JAEA) J-PARCリニアックではDrift Tube Linac(DTL)を運用している。DTLで、アークセンサーモジュールが空洞内の発光を検知したことによるインターロック発報が頻発した。運転中のDTL内部をのぞき窓から小型CCDカメラで撮影した結果、アークセンサーが発光を感知した際に、高周波窓の真空側表面で発光していることを観測した。高周波窓を取り外し、変色箇所をレーザ顕微鏡で観察したところ、高周波窓に使用しているセラミック材と真空シール材の間で放電が発生していたことが分かった。本報告書では、放電が発生した高周波窓の表面観察及びセラミック材の特性測定の結果について報告する。 |
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TUP57 p.459 | 単胞型空胴による10A級大電流ビームの加速の検討 Acceleration of 10-ampere-class high current beam by single cell cavity ○佐古 貴行(東芝エネルギーシステムズ),石 禎浩,上杉 智教,栗山 靖敏,森 義治(京大),津守 克嘉(核融合研),安藤 晃(東北大) ○Takayuki Sako (Toshiba Energy Systems), Yoshihiro Ishi, Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama, Yoshiharu Mori (Kyoto Univ.), Katsuyoshi Tsumori (NIFS), Akira Ando (Tohoku Univ.) ITERの核融合プラズマの加熱と電流駆動にはNBI(中性粒子ビーム入射加熱: Neutral Beam Injection heating)が用いられている。NBIでは、10A級の大電流イオンビームを静電加速により1MeVまで加速し、中性粒子ビームに変換してプラズマに入射する。ITERの次の段階となる発電実証を目的とするDEMO炉ではプラズマが大型化するため、ビームのさらなる高エネルギー化が必要となる。しかし、現行の静電加速方式では加速部内でのビーム減衰、絶縁耐圧、加速部電極の荷重等の制約により高エネルギー化に上限がある。そこで静電加速に代わる新たな大電流ビームの加速方式として単胞型空胴を検討している。単胞型空胴は原子力発電により生じる長寿命放射性廃棄物の核変換処理のために考案された新たな高周波加速方式である。大口径ビームダクトと単一の加速ギャップを備えた高周波空胴を複数台並べ、空胴毎に独立に高周波を投入することでイオンビームを加速する。大口径のビームダクト内でビームサイズを広げて空間電荷効果を抑制し、超電導電磁石によりビームを収束することで大電流ビームの加速を目指している。本発表において単胞型空胴による大電流ビーム加速の可能性について報告する。 |
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TUP58 | アルコール-硫酸電解液を用いたNb材の電解研磨法の開発 Development of Electropolishing Method for Nb Material Using Alcohol-Sulfuric Acid Electrolyte ○後藤 剛喜(KEK) ○Takeyoshi Goto (KEK) 現在,超伝導加速器に用いられるNb空洞の表面処理には,フッ酸-硫酸の混酸を電解液として用いる電解研磨工程が必須である。この混酸は取扱が非常に危険であり環境負荷も高いため,化学安全や外部への漏洩を防ぐために複雑な設備や安全システムが必要となる。本研究ではアルコール-硫酸電解液を用いたNb材の電解研磨法の開発に関して報告する。本法は従来法に比べフッ酸を用いない点に加え、電解研磨時にNb内に取り込まれる水素の量が低くなると言う利点がある。 |
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TUP59 | フェムト秒光加工によるレーザー誘電体加速構造の製作 Fabrication of dielectric laser acceleration by femtosecond laser processing ○澁谷 達則(産総研) ○Tatsunori Shibuya (AIST) レーザー誘電体加速は小型かつマイクロサイズのビームを生成できる加速技術として注目されている。しかし、加速構造を製造する方法が未熟であり、構造の自由度や製造の簡便さなどに課題がある。本研究では、これまで独自に開発を進めてきたフェムト秒光加工を用いてレーザー誘電体加速の構造材料を加工し、その加工特性について報告する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1421教室) | |
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WEP01 p.462 | SuperKEKB 用 nonlinear collimator の設計 Nonlinear collimator design for SuperKEKB ○照井 真司,船越 義裕,中山 浩幸,石橋 拓弥,生出 勝宣,小磯 晴代,大西 幸喜,森田 昭夫(高エネ研),ナトチー アンドリー(ハワイ大学),森川 祐,大見 和史,周 徳民,末次 祐介,柴田 恭,白井 満,飛山 真理,植木 竜一,中村 衆,増澤 美佳(高エネ研) ○Shinji Terui, Yoshihiro Funakoshi, Hiroyuki Nakayama, Takuya Ishibashi, Katsunobu Oide, Haruyo Koiso, Yukiyoshi Ohnishi, Akio Morita (KEK), Andrii Natochii (Univerity of Hawaii), Yu Morikawa, Kazuhito Ohmi, Demin Zhou, Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Mitsuru Shirai, Makoto Tobiyama, Ryuichi Ueki, Shu Nakamura, Mika Masuzawa (KEK) SuperKEKBのcollimatorのimpedanceが影響したビームサイズ増大現象対策と、予兆現象がほとんどなく、突然起きるビームロス(sudden beam loss:SBL)が原因で損傷したcollimatorが及ぼす影響低減のために、nonlinear collimator (NLC)のインストールが決定した。NLCは、1990年頃からnext linear collider用や大型ハドロンコライダー(LHC)用に提案されてきたが、SuperKEKBはNLCをインストールされた初の実機となる。SuperKEKBのNLCは、垂直方向collimatorの上下流に、同じ強さのスキュー六極磁石(-I’になる場所)を1ペア設置することで、幾何学的な光学収差を打ち消し、かつ、collimatorヘッドをビームに近づけなくても垂直面のビームハローのコリメーションを可能にした。本学会では、NLCの概要とラティス、NLCを用いたSBL対策のコンセプト、NLCインストールすることを想定した様々なシミュレーション結果(ダイナミックアパーチャー、ビームバックグラウンドノイズ低減、beam impedance低減等)について報告する。 |
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WEP02 p.467 | レーザー加速ビームラインによる大電流ビーム輸送PICコードの検証 Verification of high-current beam transport PIC Code using laser acceleration beamline ○松本 悠椰,榊 泰直(量研 関西研, 九大),永島 圭介,畑 昌育,遠藤 友随(量研 関西研),渡辺 幸信(九大) ○Haruya Matsumoto, Hironao Sakaki (QST KPSI, Kyushu Univ.), Keisuke Nagashima, Masayasu Hata, Tomoyuki Endo (QST KPSI), Yukinobu Watanabe (Kyushu Univ.) 我々は大電流ビーム輸送における荷電粒子間相互作用を考慮したシミュレーションを行うPICコードを開発している。大電流ビームではビーム内粒子間の空間電荷効果によるビーム発散・ビーム損失が問題となっている。その解決のために中性ガスを注入し、電離させた電子を付帯させることによって空間電荷効果を緩和する手法等が考えられている。本研究では、既存の加速器設計コードでは困難な多粒子種ビームの輸送計算をParticle-In-Cell法というプラズマ挙動シミュレーション法を用いて実現することを目標としている。一方、量子科学技術研究開発機構 関西光量子科学研究所にてレーザー駆動イオン加速技術を用いたビームラインが建設されている。レーザー加速によって得られたビームは短バンチ性ゆえに高電流ビームであるが、空間電荷効果によるエミッタンスの増加が緩やかであることが知られている。これは、ビーム発生時点においてビームに電子が付帯しているからであると考えられている。本研究では、このような挙動を示すレーザー加速ビームに対し、開発したPICコードを適用することによって実験との整合を試みる。 |
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WEP03 p.470 | 超精密単一イオン注入装置におけるイオンダイナミクス研究 Ion dynamics study in an ultrahigh-precision single-ion implanter ○百合 庸介,宮脇 信正,穂坂 綱一,細谷 青児,石井 保行,柏木 啓次,島田 紘行,山縣 諒平,佐藤 隆博,齋藤 勇一,小野田 忍,鳴海 一雅(量研高崎研),室尾 健人,伊藤 清一,岡本 宏己(広島大院先進理工) ○Yosuke Yuri, Nobumasa Miyawaki, Koichi Hosaka, Seiji Hosoya, Yasuyuki Ishii, Hirotsugu Kashiwagi, Hiroyuki Shimada, Ryohei Yamagata, Takahiro Sato, Yuichi Saito, Shinobu Onoda, Kazumasa Narumi (QST Takasaki), Kento Muroo, Kiyokazu Ito, Hiromi Okamoto (Hiroshima Univ.) QST高崎研では、超精密な単一イオン注入のため、レーザー冷却に基づく超低エミッタンスイオン源と高い縮小率を有する静電加速レンズを組み合わせたユニークなイオン注入装置の開発を進めている。具体的には、量子センシング等に有用な高品位なダイヤモンドNVセンター(窒素と空孔から成る複合欠陥)の精密な形成のため、数十nmの極めて高い精度での窒素イオンの注入を目指す。このため、窒素イオンは、イオン源となる線形RF四重極トラップにおいて、直接レーザー冷却が可能なカルシウムイオンを通じて共同冷却しクーロン結晶化することで超低エミッタンス化する。系統的な分子動力学シミュレーションにより、トラップ内のカルシウムと窒素の混合クーロン結晶から窒素イオンのみを超低エミッタンスのまま分離して取り出し、10keV・10nmオーダーへ加速・集束するスキームを詳しく検討した。本装置のビーム集束特性を明らかにするとともに、適切な運転条件を探索した。本発表では、これらのシミュレーション研究の結果に加えて、装置開発の現状についても述べる。 |
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WEP04 p.475 | J-PARCリニアックビームモニタと現状の取り組み Beam monitors in the J-PARC linac and its current activities ○守屋 克洋(JAEA/J-PARC),宮尾 智章(KEK/J-PARC),岡部 晃大,割貝 敬一,三浦 昭彦,林 直樹,神谷 潤一郎(JAEA/J-PARC) ○Katsuhiro Moriya (JAEA/J-PARC), Tomoaki Miyao (KEK/J-PARC), Kota Okabe, Keiichi Warigai, Akihiko Miura, Naoki Hayashi, Junichiro Kamiya (JAEA/J-PARC) 大強度陽子加速器施設J-PARCでは、ビーム出力1MW利用運転に向けてビーム調整を進めている。J-PARCリニアックでは324MHzと972MHzで加速されたピーク電流値50mAのビームを計測し、ビーム調整に活用している。本発表では、J-PARCリニアックビームモニタの紹介と最近の取り組みについて報告する。また、機器の整備状況だけでなく、ビーム調整時に経験したビーム異常診断についても報告する。 |
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WEP05 | J-PARC Muon g-2/EDM実験に向けた四極磁石によるビームX-Y結合調整と入射ビーム品質の定量評価 Controlling x-y coupling of the beam by quadrupole magnets and quantitative evaluation of injected beam quality for the J-PARC Muon g-2/EDM experiment ○松下 凌大(東大理),飯沼 裕美(茨大理工),大澤 哲,中山 久義(高エネ研),小川 真治(九州大),齊藤 直人,三部 勉,古川 和朗,Rehman Muhammad Abdul(高エネ研) ○Ryota Matsushita (Univ. of Tokyo), Hiromi Iinuma (Ibaraki univ.), Satoshi Ohsawa, Hisayoshi Nakayama (KEK), Shinji Ogawa (Kyushu univ.), Naohito Saito, Tsutomu Mibe, Kazuro Furukawa, Muhammad Abdul Rehman (KEK) J-PARCにおいて、ミュー粒子の異常磁気能率(g-2)、電気双極子能率(EDM)を同時に精密測定する実験の準備が進行している。測定のため3Tのソレノイド磁場中直径66cmの領域に300MeV/cのミュー粒子ビームを蓄積する必要があり、このために新規入射手法、3次元らせん入射を採用する。本手法では、ソレノイド磁場中へビームを入射した後、キッカーで生成したパルス磁場によってビームの鉛直方向運動量を制御し、弱収束磁場でビームの蓄積を行う。キッカー磁場は空間分布を持ち、一様にキックを与えるためにはソレノイド入射後のビーム広がりを抑える必要がある。そのため、入射前に複数の四極磁石を使うことでビーム位相空間を制御し、入射に適したビームX-Y結合(ビームの水平・垂直方向の相関)を付与することでビーム広がりを抑える。現在、KEKつくばキャンパスにて電子ビームを用いた3次元らせん入射実証実験を行なっており、ビームラインにはX-Y結合の調整用に3台の回転四極磁石が設置されている。本講演では、これらの回転四極磁石を用いて電子ビームにXY結合を付与し、ソレノイド磁場中へ入射したビーム分布の広がり具合について、測定結果とシミュレーションを比較して定量的に議論する。 |
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WEP06 p.480 | SPring-8における光位置モニタのフィリング・パターン変更による影響評価 Evaluation of influence on X-ray beam position monitors by changing filling pattern at SPring-8 ○青柳 秀樹,高橋 直(高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoyagi, Sunao Takahashi (JASRI) SPring-8の放射光ビームラインでは、光電子放出型の光位置モニタ(X-ray Beam Position Monitor, XBPM)を運用している。しかし、蓄積リングのフィリング・パターンを変更した時に、挿入光源ビームライン用XBPMでは出力値に影響が生じていた。そこで、原因となっていた放出光電子の空間電荷効果の影響を低減させるために、4枚の検出素子の配置を修正した傾斜配置型を新しく導入した。これにより、運用上問題の無いレベルにまで解消することに成功した。XBPMの検出素子からの出力信号を、光電子収集電極のバイアス電圧を変化させて測定することにより、フィリング・パターン変更の影響を評価することができる。本報告では、バイアス電圧依存性のデータを定量的かつ系統的に取得した結果について議論する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1422教室) | |
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WEP07 p.484 | 理研AVFサイクロトロンで加速される大強度イオンビーム用ペッパーポット型エミッタンス測定器開発の現状 Current status of developing pepper-pot emittance monitor for high-intensity ion beams accelerated by RIKEN AVF Cyclotron ○小高 康照,酒見 泰寛,鎌倉 恵太,山口 英斉,今井 伸明(原子核科学研究センター),大西 純一(仁科加速器科学研究センター),畑中 吉治(大阪大学核物理研究センター) ○Yasuteru Kotaka, Yasuhiro Sakemi, Keita Kamakura, Hidetoshi Yamaguchi, Nobuaki Imai (CNS), Jun-ichi Ohnishi (RIKEN Nishina center), Kichiji Hatanaka (RCNP) 東京大学原子核科学研究センターでは、フランシウム(Fr)の電気双極子モーメントを世界最高精度で測定する研究が進んでいる。Frは理研AVFサイクロトロンで加速された酸素イオン(18O6+)ビームを金に照射し、核融合反応により生成される。このために要求されるビーム強度は18eμA以上であるが、この実験装置に繋がるビームラインにこのような大強度ビームを輸送するとビーム輸送効率が約60%に低下する。この問題を解決するために大強度イオンビーム用のペッパーポット型エミッタンス測定器(PEM)開発を進めている。AVFサイクロトロン入射ビームに使用しているPEMを参考にして、さらに必要な3項目を追加開発した。1つ目はカメラへの放射線ダメージを低減するために、カメラをビームラインから離れた場所に設置することである。撮影視野を確保しながら、カメラとPEM間の距離を2.2m、画像位置精度を0.15mmと実現した。2つ目は理研AVFサイクロトロンで加速されたイオンビームに適した角度精度である。必要な角度精度は0.3 mrad以下と推定し、これに対応するPEMを設計した。1、2番目の項目の評価のためビームテストを東京大学タンデム加速器施設において計画している。3つ目はイオンビームによるPEMの加熱を抑えるためビーム照射時間1秒以下を目指したビームチョッパーシステムである。これらの進捗状況を報告する。 |
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WEP08 p.489 | SuperKEKBにおける高速光ファイバービームロスモニターシステムの開発 Development of high-speed beam loss monitor system with optical fiber in SuperKEKB ○小笠原 舜斗,池田 仁美,小林 鉄也,西脇 みちる(KEK) ○Shunto Ogasawara, Hitomi Ikeda, Tetsuya Kobayashi, Michiru Nishiwaki (KEK) SuperKEKBは、前身のKEKBの数十倍という高いピークルミノシティを目指す周長3kmの電子陽電子衝突型加速器である。高ルミノシティ達成のため、蓄積ビーム電流は設計値で最大3.6A(LER)という大電流になっている。大電流ビームに由来する大きなビームロスは、BelleⅡ測定器をはじめとした各種機器に深刻なダメージを与える恐れがある。対策として、機器損傷のリスクがある危険なビームロスを1μsでも早く検知し、素早くビームを破棄(アボート)したいという要請がある。これまでの運転で、一部のRFステーションに装備されている光ファイバを用いた放電センサ(アークセンサ)が、意図せずビームロスに反応する事象が確認されていた。この事象は本来のアークセンサの用途とは異なるものの、アークセンサ自体の応答の速さおよび設置場所の関係から、高速ロスモニターとしてみると有効に機能していることが分かった。そこで、SuperKEKBにおいて新規にロスモニターとして使うための光ファイバーを敷設し、新規製作の高速信号処理装置を含む高速ビームロスモニターシステムを整備した。本発表ではこのシステムについて、高速信号処理装置および周辺システムを中心に紹介する。 |
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WEP09 p.494 | GigEカメラ制御システムの改良とSACLAおよびナノテラスのスクリーンモニタへの適用 Upgrade of GigE Vision camera control system and applied to screen monitors of SACLA and NanoTerasu ○清道 明男,松原 伸一,柳田 謙一(高輝度光科学研究センター, 量研機構),岩井 瑛人(高輝度光科学研究センター, 理研, 量研機構),福井 達(理研),石井 健一,住友 博史,山本 龍(スプリングエイトサービス),上島 考太(量研機構),及川 治彦,土山 翼(量研機構, NAT) ○Akio Kiyomichi, Shinichi Matsubara, Kenichi Yanagida (JASRI, QST), Eito Iwai (JASRI, RIKEN, QST), Toru Fukui (RIKEN), Kenichi Ishii, Hiroshi Sumitomo, Ryo Yamamoto (SES), Kota Ueshima (QST), Haruhiko Oikawa, Tsubasa Tsuchiyama (QST, NAT) SPring-8ではオープンソースライブラリAravisを使用したGigEカメラ制御システムを開発し、サイト内のXSBT, SCSS+, NewSUBARU新入射器におけるスクリーンモニタへGigE Vision規格のカメラを導入してきた[1]。そして2022年度はSACLAにおいてスクリーンモニタ23台のCamera LinkからGigEカメラへの移行へ適用した。さらに仙台の3GeV高輝度放射光施設ナノテラスにおいてスクリーンモニタ15台へ適用し線型加速器のビームコミッショニングに寄与した。それぞれの加速器で運用を重ねてきたところ課題が現れた。SPring-8制御フレームワークの仕様によりカメラ制御と画像データ収集が別プロセスであることから、稀にカメラ制御権の取り合いで不具合が生じカメラ切り替え頻度が高いと不安定になることが分かってきた。SACLAでは機械学習手法を用いた自動調整で空間プロファイル最適化を図るといった研究で複数のスクリーンモニタ切り替えを高頻度に行いたい要望もあり、問題を克服するためにカメラにアクセスするプロセスを一元化するといったソフトウェアの大幅な改修を行った。本発表ではGigEカメラ制御システムの安定化のために行った改良と、SACLAおよびナノテラスに導入したGigEカメラとスクリーンモニタ制御について報告する。 [1] PASJ2022 WEP012 |
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WEP10 p.498 | 加速器分野への機械学習・仮想現実の応用を通じた人材育成の試み Human resource development through applications of machine learning and virtual reality to particle accelerators 大山 博史,池上 壮,長谷 望叶(広島商船高専),笠井 聖二,澤田 康輔(呉工業高専),○加藤 政博,神尾 彬,浅井 佑哉,西原 佑,LU Yao(広島大),島田 美帆,宮内 洋司(KEK、広島大),広田 克也,帯名 崇,本田 融(KEK) Hiroshi Ohyama, So Ikegami, Haruto Nagatani (Hiroshima-cmt), Seiji Kasai, Kousuke Sawada (Kure-nct), ○Masahiro Katoh, Akira Kano, Yuya Asai, Yu Nishihara, Yao Lu (Hiroshima U.), Miho Shimada, Hiroshi Miyauchi (KEK, Hiroshima U.), Katsuya Hirota, Takashi Obina, Tohru Honda (KEK) 広島大学、呉工業高専、広島商船高専では、KEK加速器総合育成事業の支援を得て、最新デジタル技術の加速器分野への応用とそれを通じた人材育成に取り組んできた。近年、社会の様々な領域で利用が急速に拡大しているAI・機械学習や仮想現実技術に関心を持つ学生は多いことから、それらの加速器分野への応用を通じて関連する知識を身に着ける機会を創出し、合わせて加速器分野への興味を高めることを目指している。KEK Photon Factoryのビーム位置検出器のデータを用いたビームの異常や検出系の故障の検出を目指す研究、試験加速器cERLのビーム調整の省力化・自動化を目指した研究、仮想現実による加速器教育用コンテンツの作成などを通じた学生教育・人材育成の最新の状況を報告する。 |
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WEP11 p.501 | ベイズ最適化とオートエンコーダを用いた最適化手法の開発 Development of optimization methods using Bayesian optimization and autoencoders ○森田 泰之(理研仁科加速器科学研究センター),福田 光宏,依田 哲彦(阪大RCNP),中島 悠太(阪大IDS),鷲尾 隆(阪大産研) ○Yasuyuki Morita (RNC), Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita (RCNP), Yuta Nakashima (IDS), Takashi Washio (Sanken Osaka Univercity) 加速器運転の大きな課題の一つとして、制御の困難さがあげられる。 その日の加速器の状態に応じて最適化する必要があり、熟練のオペレーターが経験則に基づいて調整を行っている。 ビームの質や強度はオペレーターの技術によって変動し得るため、再現性の高い運転制御手法の開発が必須である。 近年は機械学習を用いた自動制御手法の開発が進められており、ガウス過程回帰モデルを使用した自動制御ではすでに成果を上げている。 しかし、ガウス過程回帰モデルでは15-20パラメーター程度の最適化が限界であり、加速器全体を包括的に調整することは不可能である。 その問題を解決すべく、我々はオートエンコーダーによる次元削減手法を併用する手法を開発した。 次元削減後の潜在変数空間でガウス過程回帰モデルを活用し、調整するパラメーター数を実際のパラメーター数よりも少なくすることでより多くのパラメーター数の調整が期待される。 本発表ではその前段階として少数のパラメーターへオートエンコーダを適用し、次元削減を行った結果について報告を行う。 |
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WEP12 p.505 | NanoTerasu加速器安全インターロックシステムの構築 Construction of NanoTerasu radiation safety interlock system ○前川 和久(日立造船),安積 隆夫,杉山 翔一,萩原 雅之,保坂 勇志,西森 信行,松田 洋樹(量研),櫻井 辰幸,佐治 超爾,糸賀 俊朗(高輝度光科学研究センター),仲谷 光司(日立造船) ○Kazuhisa Maekawa (Hitachizosen), Takao Asaka, Shoichi Sugiyama, Masayuki Hagiwara, Yuji Hosaka, Nobuyuki Nishimori, Hiroki Matsuda (QST), Tatsuyuki Sakurai, Choji Saji, Toshiro Itoga (JASRI), Koji Nakatani (Hitachizosen) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構にて推進する次世代放射光施設NanoTerasuの放射線安全設備の監視・制御を行うための加速器安全インターロックシステムについて示す。 本システムは、線型加速器エリアと蓄積リングエリアに設置した扉リミットスイッチ、非常停止ボタン、退避確認ボタン、自動表示装置、運転表示灯、などの安全設備から構成されており、これらを統合的に監視・制御可能なシステムとなっている。各加速器エリアから人が退出し、エリアを閉鎖した場合に、各エリアに属するRF電源に運転許可を与える。退出確認は、放射線管理区域への入退出を管理する入退管理システムのパーソナルキー盤と連携して行う。2つの加速器エリアの閉鎖が完了、または蓄積リングエリアと切り離された状態の線型加速器エリアの閉鎖が完了した場合、電子銃に対して運転許可を与える。本システムが監視している安全設備の状態に異常が発生した場合、直ちに運転許可を停止する。 本報告では、本施設の安全システムの概要を示すとともに、システム構成、ならびに動作シーケンスについて報告する。 |
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WEP13 | KEK LUCX施設タイミングシステム更新 KEK LUCX facility timing system upgrade ○ポポフ コンスタンティン(SOKENDAI, School of High Energy Accelerator Science),アリシェフ アレクサンダー,照沼 信浩(High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) ○Konstantin Popov (SOKENDAI, School of High Energy Accelerator Science), Alexander Aryshev, Nobuhiro Terunuma (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) KEK LUCX facility timing system supplies trigger and gate signals for DAQ, klystrons, laser systems, interlocks etc. The accelerator had CAMAC TD-4S digital delay modules based timing system. Trigger signal pulse width was realized at NIM Gate&Delay generators. The width adjustment was operated at manual mode. The system was highly inflexible. Moreover, CAMAC TD-4S modules production and maintenance at KEK is over. According to the written above reasons, the facility timing system migrated from CAMAC TD-4S to standalone SINAP Event Generator and Event Receiver modules. This report presents KEK LUCX facility timing system upgrade results. |
ポスター② (8月30日 14号館1431教室) | |
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WEP14 p.509 | 既存DC電磁石用電源をベースにした高精度パルス駆動電磁石電源の開発 Development of high-precision pulse-driven electromagnet power supply based on existing DC electromagnet power supplies ○中澤 伸侯(スプリングエイトサービス(株)),近藤 力(JASRI),原 徹(RIKEN) ○Shingo Nakazawa (SPring-8 Service), Chikara Kondo (JASRI), Toru Hara (RIKEN) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、線型加速器をXFEL利用実験に加えSPring-8蓄積リングの入射器としても活用している。線型加速器で加速された60 Hz電子ビームは、要求に応じてパルスごとに、2本のXFELビームライン(BL2, BL3)と SPring-8入射ラインへ振り分けられる。この時、各ラインへの出射ビームエネルギーが異なるため、ビームオプティックスの最適化がビーム調整の制限となっていた。そこで、各ラインに最適なオプティックスを実現できるよう、SACLA加速部の四極電磁石の励磁量をパルス毎に変更できるパターン電源を導入することとした。今回、我々は開発期間を抑えるため、SACLAで利用してきたドロッパー型のDC電磁石電源(20A, 10V)を改造し、50ppm以下の繰り返し電流安定度をもつ高精度パターン電源の開発を行った。この改造は、主な電源構成を保ったまま、制御パラメーターの最適化や吸収回路の強化などにより実現した。本発表では、開発の概要やパラメーターの最適化の手法などについて報告する。 |
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WEP15 p.513 | SPring-8-II に向けた永久磁石型四極磁石の設計 Design of permanent quadrupole magnet for SPring-8-II ○松原 伸一,谷内 努,山口 博史(高輝度光科学研究センター),深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター, 理研) ○Shinichi Matsubra, Tsutomu Taniuchi, Hiroshi Yamaguchi (JASRI), Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI, RIKEN) SPring-8の次期計画である低エミッタンス高輝度放射光源SPring-8-IIが検討されている。このSPring-8-IIにおいては、電磁石に替わり永久磁石の採用を積極的に目指している。永久磁石は、電源や冷却系設備が不要であり建設コストが抑制できるうえ、運用でも故障がなく、省エネルギー、ビーム安定化など多くのメリットがある。SPring-8-IIに向けては、二極形状の永久磁石型偏向磁石の開発を行ってきた。新しく検討されている SPring-8-IIのラティスでは、四極磁場勾配 -22.8 T/m と二極磁場 0.259 Tの機能複合型偏向磁石が含まれている。この機能複合型偏向磁石は、四極磁場勾配の割合が大きいため、永久磁石型四極磁石を新たに検討した。四極磁石を水平方向にオフセットさせ設置することにより、二極磁場を作る。そして、蓄積リングへの設置、運用には、この四極磁石は半割可能な必要がある。通常の電磁石は励磁しないことにより、磁束が発生しないため吸引がなく磁石を半割することができる。しかしながら、永久磁石は常に磁束が存在し、吸引により半割は困難である。今までSPring-8-IIに向けて開発を行ってきた永久磁石型偏向磁石は、二極C型形状であり半割を必要としなかった。今回、半割可能な永久磁石型四極磁石の磁気回路を設計したので、詳細を報告する。 |
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WEP16 p.516 | 半導体を使用したMARX方式クライストロン電源の開発 Development of MARX-type klystron power source using semiconductors ○中山 響介,徳地 明((株)パルスパワー技術研究所) ○Kyosuke Nakayama, Akira Tokuchi (PPJ) クライストロンは荷電粒子を加速させるための大電力のマイクロ波発生源として現代の加速器に広く用いられている。クライストロンの主エネルギ源となる高電圧パルスの発生回路は、充電器,Pulse-Forming Network(PFN),サイラトロン,トランスで構成されることが多い。一般的にはサイラトロンで数十kVのパルスを切り出し、トランスで数百kVオーダに昇圧してから印加する。本電源は、PFNおよびサイラトロンを必要とせず、代わりに半導体MARX回路を使用する。これにより、従来と比較して省スペース化や大電力スイッチの高効率化,高繰り返し化,長寿命化,維持コスト低下が期待できる。さらに、スイッチに半導体を使用するため制御性が高く、パルスの平坦性の改善やショット毎の電圧可変などの波形制御も容易となる。 |
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WEP17 p.519 | 機械学習を用いたJ-PARC RCS用ペイントバンプ電源の波形パターン制御 Waveform pattern control of paint bump power supply for J-PARC RCS using machine learning ○杉田 萌,高柳 智弘(JAEA),植野 智明(NAT),小野 礼人(JAEA),堀野 光喜(NAT),金正 倫計,小栗 英知,山本 風海(JAEA) ○Moe Sugita, Tomohiro Takayanagi (JAEA), Tomoaki Ueno (NAT), Ayato Ono (JAEA), Koki Horino (NAT), Michikazu Kinsho, Hidetomo Oguri, Kazami Yamamoto (JAEA) J-PARC RCSでは、ペイント入射のビーム軌道偏向にペイントバンプ電磁石を用いている。ペイントバンプ電磁石用の電源は、IGBT制御のチョッパ回路で構成され、指令電流と指令電圧のパターンにより、ビーム軌道を時間変化させる出力電流波形(ペイントパターン)を作成することができる。ビーム軌道の制御精度は、指令電流と出力電流の波形の形状差(出力電流偏差)で決まる。現在のペイントパターン調整では、電源制御の応答関数に応じてパターンを調整するソフトを用いたうえで手動調整を行い、要求精度を達成している。しかし、この調整に1時間程度を要しており、更なる調整時間の短縮を行いたい。また、より最適な調整方法によりビームロスの低減を実現するために、従来の要求より10倍精密な出力電流偏差を実現したい。高精度なペイントパターンの作成には、負荷側のインピーダンスの解析モデルが必要になるが、時間変化する非線形のペイントパターンにおいてはインピーダンスが変化するため、解析モデルの構築は非常に困難である。機械学習では、負荷の解析モデルを構築せずとも学習によって非線形な応答を高速かつ高精度で得ることが可能である。機械学習を用いて台形波の出力パターン調整を行ったところ、学習を重ねることで立ち上り直後のリンギングを抑制した出力パターンの作成に成功した。本発表ではシステムの現状と今後の展望について報告する。 |
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WEP18 p.523 | 空洞共振器型CARA加速器のテストベンチ開発 Development of testbench of RF cavity CARA system ○原 隆文,福田 光宏,神田 浩樹,依田 哲彦,荘 浚謙(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊(東北大CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正(量研高崎研),涌井 崇(量研量医研),中尾 政夫(群大重医セ),松田 洋平(甲南大) ○Takafumi Hara, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita, Tsun Him Chong (RCNP, Osaka Univ.), Tsutomu Shinozuka, Masatoshi Ito (CYRIC, Tohoku Univ.), Satoshi Kurashima, Nobusaki Miyawaki (QST-Takasaki), Takashi Wakui (QST-NIRS), Masao Nakao (GHMC), Yohei Matsuda (Konan Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、自動サイクロトロン共鳴加速法を用いた陽子加速器の実現を目指している。自動サイクロトロン共鳴加速法は実例が少なく、また回転する特殊な電場が必要であること、陽子を加速するためには10 T級の磁場が必要になる。そのため、スケールダウンした電子のテストベンチの開発を行い、回転させる電場の機構の開発や、ビームの引き出し、高周波パワーの伝達効率などのデータの収集を行い、開発予定の陽子加速器の性能評価を行う。テストベンチは、RCNPのイオン源室に設置し、電子を発生させるための電子銃と、加速に必要な電磁場を発生させる真空チェンバーとソレノイドコイル、導波管などから構成される。電子銃は新たに開発を行い、磁場は現在RCNPで開発中の10 GHzECRイオン源のミラーコイルを流用し、電流値調整して電子の加速に最適な磁場分布を形成する。高周波電源にはイオン源に使用している2.45GHzマイクロ波電源を転用する。真空チェンバーの下流に蛍石製の真空窓を設置し、真空窓に電子が照射したときに発する、蛍光をカメラで観測してビーム軌道半径を測定するとともに、その地点の磁場強度から加速電子のエネルギーを解析する。本発表では、テストベンチ開発の、進捗や検討について報告する。 |
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WEP19 p.526 | 非破壊型静電セプタム試験機によるビーム分離実験 と装置改良の検討 Beam separation experiment with prototype non-destructive electrostatic septum and study for device improvement ○永山 晶大(東北大学),原田 寛之(原子力機構),下川 哲司(高エネ研),山田 逸平,地村 幹,小島 邦洸(原子力機構),佐藤 篤(NAT),山本 風海,金正 倫計(原子力機構) ○Shota Nagayama (Tohoku university), Hiroyuki Harada (JAEA), Tetsushi Shimogawa (KEK), Ippei Yamada, Motoki Chimura, Kunihiro Kojima (JAEA), Atsushi Sato (NAT), Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (JAEA) シンクロトロンではリング内にビームを溜め込み、加速したビームを徐々に供給する「遅い取り出し」技術で最先端の物理実験や放射線がん治療を実現している。同手法は、静電セプタム装置で電場が0の領域と電場が一様の領域をつくり、広げた周回ビームを領域の境界に近づける。境界を超えた粒子に対して一定の電場キックを与え、周回ビームから分離し、徐々に取り出しを行う。理想とする取り出し側と周回側の完全な分離には、境界で不連続な蹴り角を与える階段関数状の電場分布が必要となる。従来の静電セプタムはビーム軌道上に挿入した電極の内と外の境界において不連続な電場分布を形成している。そのため、原理的に避けられないビームと電極の衝突による機器の損傷・放射化が発生し、ビーム出力の大強度化やビームの安定供給の妨げとなっている。本研究は、上記課題の原因である電極を廃した非破壊型静電セプタムの研究開発を進めている。本装置は、ビーム軌道周辺に多数の電極・電線を配置し、印加電圧・電流最適化することで形成した電場・磁場の重ね合わせにより階段関数状の電磁場分布を実現する。本発表では、非破壊型静電セプタム試験機の機器構成とビーム分離実験の結果、同装置の改良案の設計検討について報告する。 |
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WEP20 p.531 | J-PARCリニアックの大強度化に向けたMEBT1用磁石の設計検討 Design study of MEBT1 magnets for J-PARC LINAC power upgrade ○不破 康裕,北村 遼(原子力機構) ○Yasuhiro Fuwa, Ryo Kitamura (JAEA) J-PARCリニアックでは、次世代に向けたビーム出力の大強度化をめざしビーム電流及びビームパルス幅の増強が検討されている。MEBT1 (Medium Energy Beam Transport 1)はRFQとDTLの間に位置し、ビームの横方向と縦方向のマッチング、及び後段の高繰り返しシンクロトロンへの入射のための中間バンチ構造を形成するための区間である。この区間でのビームエネルギーは3MeVと低く、空間電荷効果の影響も大きくビームの大強度化に伴いその影響も大きくなると予測される。そこで本研究ではJ-PARCリニアックの大強度化に向けて、空間電荷効果に起因するビームロス等を抑制するための新しい磁石を設計製作している。当該磁石は集束機能と空間電荷効果補正機能を省スペースで両立のために多重極成分を重畳して発生可能な機能結合型とし、消費電力の低減及び機器の小型化のために永久磁石を用いている。本発表では、当該磁石の設計およびビーム力学的な効果を議論する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1432教室) | |
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WEP21 p.535 | J-PARC MR SXに於ける短パルスビーム抑制のための装置間連動停止システム Fast sequential interlock between the main magnet power supplies to prevent a short pulse beam during slow beam extraction at J-PARC MR ○吉井 正人,森田 裕一,冨澤 正人,三浦 一喜,武藤 亮太郎,木村 琢郎,佐川 隆,吉成 柾(KEK/J-PARC) ○Masahito Yoshii, Yuichi Morita, Masahito Tomizawa, Kazuki Miura, Ryotaro Muto, Takuro Kimura, Takashi Sagawa, Masaki Yoshinari (KEK/J-PARC) J-PARC メインリング(MR)シンクロトロンは、30 GeV に加速した陽子ビームを3 次共鳴を利用した遅い取り出し (SX)によって、ビーム時間構造が一様な大強度陽子ビームを素粒子・原子核実験施設へ供給している。このSXビーム取り出しは、30GeVフラットTOPエネルギーでアーク部にある 48 台の四極電磁石(QFN) によりビームのチューンを直線的に共鳴線 Qx=67/3 に近づけ、静電セプタム、セプタム磁石、バンプ磁石、共鳴励起するための 6 極磁石などで構成される遅い取り出し装置で実現している。加えて、取り出しビームの時間構造(スピル)を改善するため高速に応答する 四極電磁石群によるフィードバック制御が行われている。しかしながら、主電磁石電源の突発的な異常に対しては、ビームスピル長の短パルス化を制御することはできない。実験施設のターゲットの急激な温度上昇を避けるため、ビームを収束/発散させる対となる四極電磁石群の装置間連動停止システムを2014年度から導入した。MRシンクロトロンでは、2021年から長期シャットダウンし、高繰り返し化によるビームパワー増強のための電磁石電源の入れ替え、置き換えを行った。本稿は、2022年から運用を開始したMRシンクロトロン主電磁石電源の構成編成後の装置間連動停止システムについて報告する。 |
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WEP22 p.539 | J-PARC主リング速い取り出し用新セプタム電磁石コイルの製作不備への対応 Solutions for manufacturing defects of the new septum magnets using for fast extraction in J-PARC main ring ○岩田 宗磨,石井 恒次,芝田 達伸,五十嵐 進,發知 英明,大森 千広,佐藤 洋一(高エネルギー加速器研究機構),高柳 智弘(日本原子力研究開発機構),松本 教之,松本 浩(高エネルギー加速器研究機構) ○Soma Iwata, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Susumu Igarashi, Hideaki Hotchi, Chihiro Ohmori, Yoichi Sato (KEK), Tomohiro Takayanagi (JAEA), Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK) J-PARC主リング(MR)ではビームパワーの高出力化が進められている。ニュートリノビーム(NU)ラインまたはAbortラインへの速い取り出し(FX)機器についても、2022年5月までに2台の低磁場セプタム電磁石(SM)と3台の高磁場SMの交換を実施した。しかし2022年12月のビームコミッショニングにて、新高磁場SMの全てのコイルのターン形成部がロウ付けではなく、はんだ付けで施工されていることが発覚した。ターン形成部で接合される2本のホローコンダクターの電流は互いに逆向きであることから斥力が生じる。パターン通電の度に強度不足のはんだ接合部に負荷がかかり、実際に剥離する箇所が発生した。コイルの再製作には時間を要するため、全てのコイルの交換が完了するのは2025年の予定である。それまでの期間ははんだ付けで製作されたコイルを使用してビーム供給を行う。対策として、はんだ付け部分に銅板を追加ではんだ付けし、接合面積を増やすことで剥離への耐性を向上させた。また接合部をボルトで締め付けて固定した。軌道計算より不備のあるコイルへの通電電流を下げてビームを取り出すようにした。はんだ付け部の剥離が始まると、抵抗が増え、電源の出力電圧も上昇することが予想されるため、電源出力電圧の監視機能を追加した。また、剥離部分で放電も生じることから、監視カメラも導入した。以上の対策により、2023年1月23日以降のビーム試験においてコイルを破損させずに運用できている。 |
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WEP23 p.545 | JAEA-ADS線形加速器用低エネルギービーム輸送ラインの設計 Design of the Low energy beam transport line for the JAEA-ADS linac ○イーレンドン ブルース,近藤 恭弘,田村 潤,明午 伸一郎,前川 藤夫(JAEA) ○Bruce Yee-rendon, Yasuhiro Kondo, Jun Tamura, Shin-inchiro Meigo, Fujio Maekawa (JAEA) The Japan Atomic Energy Agency (JAEA) is proposing a 30-MW proton linear accelerator (linac) for the application of accelerator-driven subcritical system (ADS) technology to achieve nuclear waste transmutation. A major challenge for the JAEA-ADS linac is the efficient transport of a 35 keV proton beam from the ion source to the radio-frequency quadrupole. In order to achieve this goal, we have optimized a magnetostatic low energy beam transport (LEBT) consisting of two solenoids to reduce the transmission of high-charge ions generated by the source and minimize the growth of proton emittance, while taking into account various space-charge compensation scenarios. In this report, we present the optical design and discuss the multiparticle tracking results of the JAEA-ADS LEBT. |
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WEP24 p.550 | 極短周期アンジュレータ磁石技術に基づく、小型・軽量アンジュレータ光源の開発 Undulator light source with a compact, slender and lightweight frame based on a magnet technology developed for very-short-period undulators ○山本 樹(高エネ機構・物質構造科学研究所) ○Shigeru Yamamoto (KEK-IMSS) 近年我々は通常数10mmであったアンジュレータの周期長を約1/10に“極短周期化”することを目標にした,板状磁石に極短周期アンジュレータ磁場を書き込む多極着磁方式の研究開発を行って来た。これまで2.5GeV加速器において基本波で12keV放射を生成できる周期長4mmの板状磁石の着磁技術,長尺化のための連結方式を確立した。次のステップとして,アンジュレータ主列磁石間に働く磁場吸引力を,反発磁石を用いて相殺する方式を開発している。磁場吸引力はアンジュレータ主列磁石の周囲に反発磁石を配置することで効果的に相殺することが出来る。主列及び反発磁石に板状磁石を用いた,我々のアンジュレータ開発では,反発磁石の最適化を容易に行うことが出来る。この方式を応用すると,アンジュレータ磁場吸引力を抑制して,通常は巨大になるアンジュレータ本体を小型で華奢かつ軽量の精密機械装置として実現することが可能になる。ここでは,JST-MIRAIプロジェクトにおいて現在SP-8レーザー加速プラットフォームで開発中のXUV-FELの光源として設計した,小型・軽量アンジュレータについて報告する。主なパラメータは:周期長25mm,K値1.4(gap=5mm以上で),周期数80(磁石長2mの磁石列は1m列に2分割され各部のギャップは独立に制御可能)である。 |
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WEP25 | KU-FELにおける新1.6空胴光陰極高周波電子銃の導入とPhase I コミッショニング Installation and phase I commissioning of new 1.6-cell photocathode RF gun at KU-FEL ○全 炳俊,田中 虎太郎,趙 宇皓,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Kotaro Tanaka, Yuhao Zhao, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)では共振器型自由電子レーザで駆動する高次高調波発生(HHG)ベースのアト秒X線源の実現を目指して研究開発を進めている。これまでに既設4.5空胴熱陰極高周波電子銃に外部からUVパルス列を照射することでバンチ当たり電荷量200pCの電子バンチ列を発生させ、KU-FELを発振させることでミクロパルスエネルギー100μJ、パルス幅4.2サイクル、波長10.7μmのFELパルスの発生に成功している。HHG発生実験に向けて更に1桁程度、FELパルスエネルギーを向上させるべく、バンチ当たり電荷量1nCの電子バンチ列生成が可能な1.6空胴光陰極高周波電子銃を製作し、KU-FELに設置した。まず、Phase Iコミッショニングとして、低量子効率ながら耐久性の高い銅陰極を用い、KU-FEL発振に求められる8μsの間、電子銃に高加速電界を誘起可能であることを確認した。また、マクロパルス長4μs、バンチ当たり電荷量60pCの電子ビームをこの電子銃から発生させ、FEL発振を達成した。発表では1nC運転に向けた展望・今後のスケジュールについても報告する。本研究は文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP、JPMXS0118070271)によるものである。 |
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WEP26 p.555 | UVSORにおける単一電子蓄積実験の現状 Present status of single electron storage at UVSOR ○浅井 佑哉(広島大),島田 美帆,宮内 洋司(KEK, HiSOR),加藤 政博(HiSOR, UVSOR) ○Yuya Asai (Hiroshima U.), Miho Shimada, Hiroshi Miyauchi (KEK, HiSOR), Masahiro Katoh (HiSOR, UVSOR) 我々は、電磁放射に関する基礎研究を目的として、2021年度よりUVSORにおいて単一電子蓄積実験を開始した。ビームラインBL1Uにおいて紫外線領域でのアンジュレータ光を取り出し、適切なバンドパスフィルターを用いて背景光を低減し、ビームスクレーパを用いてビーム強度を減少させたところ、少数電子蓄積下での階段関数的な強度変化を良好なSN比で観測することに成功し、単一電子蓄積を確認することに成功した。2022年度は、応用研究へ向けて単一電子蓄積状態の観測手法を改良するとともに、単一電子からのアンジュレータ放射の観測を試みた。年会では実験の最新の結果を報告する。 |
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WEP27 p.558 | GeV領域エネルギー電子を使った測定器開発用テストビームラインのワイヤーターゲットがPF-ARの蓄積ビームおよび入射ビームに与える影響(2) Effect of the GeV-range test beamline wire target on the stored and injected beams at KEK PF-AR (2) ○高木 宏之,満田 史織,本田 融,内山 隆司,坂中 章悟,佐々木 洋征,谷本 育律,内藤 大地,中村 典雄,長橋 進也,野上 隆史,山本 尚人,池上 陽一,宇野 彰二,佐藤 康太郎,外川 学,中村 勇,花垣 和則,幅 淳二,森 隆志(KEK),安部 草太,寺村 七都,前田 順平(神戸大理),小田川 高大(京大理),鷲見 一路,前田 朱音(名大理) ○Hiroyuki Takaki, Chikaori Mitsuda, Tohru Honda, Takashi Uchiyama, Shogo Sakanaka, Hiroyuki Sasaki, Yasunori Tanimoto, Daichi Naito, Norio Nakamura, Shinya Nagahashi, Takashi Nogami, Naoto Yamamoto, Yoichi Ikegami, Shoji Uno, Kotaro Satoh, Manabu Togawa, Isamu Nakamura, Kazunori Hanagaki, Junji Haba, Takashi Mori (KEK), Sota Abe, Natsu Teramura, Jumpei Maeda (Kobe Univ.), Takahiro Odagawa (Kyoto Univ.), Kazumichi Sumi, Akane Maeda (Nagoya Univ.) 蓄積リング内に設置したインターナルターゲットによる制動放射を利用してGeV領域エネルギー電子を生成し、素粒子原子核実験用測定器開発に利用するためのテストビームラインがKEK PF-ARに建設された。現在、PF-ARでは放射光利用とテストビームライン利用が同時に運用されている。今回の発表では、テストビームライン用のターゲットワイヤーが蓄積ビームおよび入射ビームに与える影響を粒子トラッキングを用いて評価したので報告する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1441教室) | |
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WEP28 p.562 | KEK-PFにおける非円筒ダクト内へのNEGコーティング試験 NEG coating test inside non-cylindrical beam ducts at KEK-PF ○山本 将博,本田 融,谷本 育律,内山 隆司(高エネ研),渡辺 瑠合(総研大) ○Masahiro Yamamoto, Tohru Honda, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama (KEK), Ruau Watanabe (SOKENDAI) 200℃程度のベーキング温度で活性化・排気作用を有するNEGコーティングは、特に近年はビームダクトが細く排気が容易ではない高輝度放射光蓄積リングのビームダクトに採用されている。その中でも挿入光源部などではビームダクトは非円筒で扁平な形状となるため、その内壁に一様にNEG膜を形成するためには工夫が必要になる。複数のスパッタリングターゲットとなるワイヤーを配置、各ワイヤーの電流・電圧値の制御で対応する。本発表では、非円筒ダクトに対するスパッタリング成膜実験のセットアップ、実験結果について報告する。 |
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WEP29 p.567 | EPICS制御イオンポンプ電源の開発 Development of EPICS control ion pump power supply ○路川 徹也(株式会社 東日本技術研究所),山本 将博,内山 隆司(高エネルギー加速器研究機構) ○Tetsuya Michikawa (East Japan Institute of Technology Co., Ltd.), Masahiro Yamamoto, Takashi Uchiyama (KEK) 蓄積リングなど大型で超高真空が必要とされる加速器ではイオンポンプが多数使用されており、常時高電圧を出力し続けるその電源は基板への吸湿や粉塵等が原因となり度々故障が発生する。また、電源本体やその修理にはコストと時間を要し、予備電源を十分な台数を常時保持するのは金額的な負担が大きい問題がある。 そして市販されているこれらの電源は、制御するためのインターフェイスはシリアル制御が多いため、ネットワーク経由でのリモート制御は可能だが、別途制御システムが必要な事が少なくない。これらの問題を緩和するため、Webインターフェイスを備え、EPICS制御可能な、壊れても交換が容易で修理しやすいイオンポンプ電源を試作した。 |
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WEP30 p.572 | Multi-cavity field emission at STF-2 accelerator in KEK ○Prakash Joshi (SOKENDAI), Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Yasuchika Yamamoto, Takahiro Oyama (KEK, SOKENDAI) At the superconducting RF test facility (STF) in KEK, 10 MW multi-beam klystron pulsed by a modulator of repetition rate 5 Hz drives RF power of 1.3 GHz into the superconducting (SC) cavities. The average accelerating gradient of 9 SRF cavities is 33.0 MV/m and the maximum allowable beam energy of the facility is 500 MeV. In December 2022, an experiment was conducted where neutron and gamma radiation levels are measured both upstream and downstream by tuning eight cavities. The measured data were compared to field emissions from each cavity. A model assuming that electrons generated by field emission are accelerated through multiple cavities was applied and discussed. The key finding emphasizes the significant influence of multi-cavity FE over a single cavity, with the help of FE losses occurring within the cavity itself, in the neighboring cavity, upstream and downstream according to tuning & detuning of a cavity, and finally accumulating at the closed gate valves. |
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WEP31 p.577 | J-PARCリニアック用972MHz半導体増幅器の特性評価 Performance test of J-PARC Linac 972MHz semiconductor amplifier ○中野 秀仁,不破 康裕,篠崎 信一(原子力機構),溝端 仁志(高エネ研) ○Hideto Nakano, Yasuhiro Fuwa, Shinichi Shinozaki (JAEA), Satoshi Mizobata (KEK) J-PARCリニアックでは、高周波源としてクライストロンが用いられている。近年、電力効率を向上させる目的のため、クライストロンから半導体増幅器への置き換えが検討されている。半導体増幅器は出力できる電力が比較的小さいため、大電力が必要な区間はクライストロンが用いられてきた。半導体製造技術の進歩により実利用が期待できる半導体増幅器が製造可能になった。J-PARCリニアックでは出力電力の比較的小さなデバンチャー2空洞用のクライストロンを半導体増幅器に置き換えることを計画している。本格的な導入に当たって、プロトタイプの半導体増幅器の入出力特性の測定を実施した。また、現在ビームラインで稼働しているクライストロンと電力効率についての比較も行った。これらの結果について報告する。 |
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WEP32 p.579 | ナノテラス向けCバンド高周波パルス圧縮器の高周波性能 high-frequency performance of C-band high-frequency pulse compressor for NanoTerasu ○奥山 恒幸,相澤 修一(日本高周波(株)),安積 隆夫,西森 信行(量研),稲垣 隆宏(理研播磨) ○Tsuneyuki Okuyama, Shuichi Aizawa (Nihon Koshuha Co., Ltd.), Takao Asaka, Nobuyuki Nishimori (QST), Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center) 次世代放射光施設ナノテラスの入射線形加速器では、Cバンドのディスクロード型加速器を40本使用し、電子ビームを3GeVまで加速する。加速管へ供給される大電力高周波は、出力50MWのパルスクライストロンにて生成され、高周波パルス圧縮器を使用して時間幅を圧縮しピーク強度を高めた後、2本の加速管に供給している。高周波パルス圧縮器は、2台の低損失空洞と3 dBハイブリッド結合器で構成される。必要なパルス幅(300 ns)と増倍率(4倍)、および設置スペースや製造コストを考慮し、空洞はTE0,1,20モードの円筒空洞とし、矩形導波管のH面と2つの結合穴で結合する方式とした。空洞の端面には周波数チューナーを設け、2台の空洞の共振周波数を精度よく合わせることでRFの反射を抑えることとした。このタイプの高周波パルス圧縮器は、最初に理研播磨のSACLAにて開発され、SACLAおよびNewSUBARU新入射器にて使用されている。ナノテラスでも、同様の高周波パルス圧縮器を20台製作した。2022年3月に高周波パルス圧縮器20台の製作が完了したので、高周波特性の測定結果を報告する。 |
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WEP33 p.583 | RCNP AVFサイクロトロン新RF共振器運転の現状 Status of the new RF cavity for the AVF cyclotron in RCNP ○安田 裕介,福田 光宏,齋藤 高嶺,依田 哲彦,神田 浩樹,友野 大,田村 仁志,永山 啓一,原 隆文,荘 浚謙,Zhao Hang,橘高 正樹,松井 昇大朗,井村 友紀,渡辺 薫(阪大RCNP) ○Yusuke Yasuda, Mitsuhiro Fukuda, Takane Saito, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Dai Tomono, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Takafumi Hara, Tsunhim Chong, Hang Zhao, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Kaoru Watanabe (RCNP, Osaka University) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)のAVFサイクロトロンでは、2019年からの高機能化工事にて、共振器をこれまでの180度Dee共振器1台から90度Dee共振器2台に変更した。2022年3月からビーム加速を再開し、ビームコミッショニングを行いながら、これまでのところ、AVF単独でproton 65 MeV、4He 28.5MeVのビームを、リングサイクロトロンとあわせてproton 230 MeV、392 MeVのビームを実験に供給している。 新しく置き換えた共振器では、当初、周波数によってパワーが入らなかったり、アンプ内部での放電や出力同調コンデンサ、電力伝送同軸管の焼損トラブルが発生したが、同軸管長さの変更とアンプ内へのフェライト板の設置で運転状況を改善し、2022年秋ごろにDee電圧は40kVまで到達した。その後、入力パワーを増やしていったところで、共振器ショート板のコンタクト接点が焼損する事故も経験した。 現状で、AVF新共振器のDee電圧は、これまで加速に使用している周波数35.2MHz、33.7MHz、28.2MHzにおいて45kVまで上がってきているものの、目標としている50kVでの安定した励振には至っていない。また、同軸管内やRFアンプ内に放電痕が見られることや、Dee電極まわりでの放電の兆候があることから、電極回りでのマルチパクタリング防止のためのシールド設置などの試行錯誤を続けている。 本発表では、2022年秋以降のRF運転での問題と対策の状況について報告する。 |
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WEP34 p.586 | SKEKB加速器LS1中における大電力高周波源の状況 Current status of the high power rf system for SKEKB MR in LS1 ○渡邉 謙,吉田 正人,吉本 伸一,丸塚 勝美,池野 孝(高エネルギー加速器研究機構) ○Ken Watanabe, Masato Yoshida, Shin-ichi Yoshimoto, Katsumi Marutsuka, Takashi Ikeno (KEK) SuperKEKB加速器地上部大電源棟に設置されている大電力高周波源は、地下トンネルに設置されたARES空洞および超伝導加速空洞へRFを供給する役割を持つ。本報告では2022年7月から続くLS1期間における保守、老朽設備の更新状況などについて報告する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1442教室) | |
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WEP35 p.591 | 短パルスレーザーイオン源の開発 Development of short pulse laser of ion source at RCNP ○橘髙 正樹,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,齋藤 高嶺,田村 仁志,安田 裕介,原 隆文,荘 浚謙,ZHAO HANG,松井 昇大朗,井村 友紀,渡辺 薫(阪大RCNP),岩下 芳久(京大複合研),山﨑 淳(名大),不破 康裕(J-PARC/JAEA) ○Masaki Kittaka, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Takane Saitou, Hitoshi Tamura, Yusuke Yasuda, Takafumi Hara, Him Chong, Hang Zhao, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Kaoru Watanabe (RCNP), Yoshihisa Iwashita (KURRI,Univ.of Kyoto), Atsushi Yamazaki (Nagoya University), Yasuhiro Fuwa (J-PARC/JAEA) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、短パルスレーザーイオン源の開発及びレーザーイオン源による短パルス低エミッタンスビームの生成に取り組んでいる。近年、加速器は素粒子・核物理学実験といった物理学研究だけでなく、癌に対する粒子線治療や中性子ビームを用いた半導体のソフトエラーの検出など医療・産業分野にも広く利用されている。この加速器の医療・産業利用が普及するためには小型化および安全性・安定性の向上が求められている。この加速器運用の安全性向上にあたり、低エミッタンスビームの実現は加速器構成機器の放射化及び熱破損リスクの低減につながる。RCNPでは短パルスレーザーイオン源の開発に着手した。短パルスイオン源は、近年粒子線治療で注目されているFLASH照射にも有効である。この開発にはAVFサイクロトロンのRFと同期するレーザーおよびレーザー照射時の最適ガス密度など、様々な開発要素がある。本発表では、短パルスレーザー生成実験の状況について報告する。 |
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WEP36 p.595 | SACLA 電子銃システムの交換作業効率化のための機器整備 Preparation for efficient exchange of the SACLA electron gun ○前平 晃太郎,竹村 育浩,林田 寿和(スプリングエイトサービス株式会社),渡川 和晃(理研) ○Koutarou Maehira, Yasuhiro Takemura, Toshikazu Hayashida (SES), Kazuaki Togawa (RIKEN) SPring-8キャンパスでは、電力効率化のために2021年よりX線自由電子レーザー施設SACLAの線形加速器をSPring-8蓄積リングの入射器として併用し、両施設への電子ビームの同時供給を行っている。SACLA電子銃は2つの加速器を担うことになり、利用運転中に故障等のトラブルが発生した場合に素早く復旧することがこれまでより強く求められるようになった。迅速に加速器運転を再開するために、真空を保ったまま電子銃チャンバーの交換が出来るよう電子銃タンクと周辺機器の改造を行った。電子銃タンクは、カソード交換や高電圧プロセッシング等全ての準備を電子銃テストスタンドで事前に終了させる。加速器トンネル入口のすぐ外に待機させ、トラブル発生時やカソードの定期交換の際には電子銃タンク全体を交換する。本年会では、SACLA電子銃の交換作業効率化のために実施した機器整備の詳細について報告する。 |
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WEP37 p.599 | 電子サイクロトロン共鳴多価イオン源におけるDual-ECR加熱時の各種パラメータ測定 Various parameter measurements in Dual-ECR heating on electron cyclotron resonance ion source ○岩原 亘輝,藤村 優志,加藤 裕史(大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報通信工学専攻) ○Koki Iwahara, Yushi Fujimura, Yushi Kato (Division of Electrical, Electronic and Inforcommunication Engineering, Graduate School of Engineering, Osaka University) 我々は電子サイクロトロン共鳴イオン源(ECRIS)において, 多価イオンの効率的な生成について研究している. 加速器等に用いられている従来のECRISでは,イオンビーム引き出し孔に対向するミラー磁場上流側に位置する導波管アンテナからマイクロ波導入を行っている. 一方で, 本装置では真空容器に多数の観測用ポートを有する. そのため, 引き出し孔下流側のロッドアンテナからマイクロ波を導入できる点を活かしたAr多価イオン生成に成功した. また, ロッドアンテナとミラー磁場上流の同軸アンテナの双方からマイクロ波を導入するDual-ECR加熱によるArの多価イオン生成にも成功し, ミラー磁場に対して垂直方向のイオン飽和電流分布を測定した. 我々のこれまでのDual-ECR加熱に関するパラメータは, ビーム電流量とイオン飽和電流値のみであった. 今回は, マイクロ波の正味電力とAr多価イオン生成量の関係を取得し, イオン飽和電流の増加を確認した. その後, ビーム電流量の測定とラングミュアプローブ法による電子密度, 電子温度等のプラズマパラメータの測定を行い, その空間分布を得た. その結果, 各アンテナ単体, およびDual-ECR加熱時のマイクロ波導入における多価イオン生成量とプラズマパラメータの関係が初めて明らかになった. 本報告では各アンテナ単体, およびDual-ECR加熱時のマイクロ波導入におけるビーム電流量の測定, 同条件におけるプラズマパラメータの測定結果について述べる. |
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WEP38 | At-211製造加速器用10GHz ECR He二価 イオン源の設計 Design of 10GHz ECR He2+ ion source for At-211 generation accelerator ○菊地 漱祐(東京工業大学) ○Sosuke Kikuchi (Tokyo Institute of Technology) アルファ線内用療法のための放射性同位体At-211製造用大強度リニアックを検討している。At-211は、Bi-209ターゲットに約29MeVのHeイオンビームを照射して生成される。十分なAt-211の生成と装置の小型化には、大強度のHe二価イオンビームを生成可能なイオン源が必要とされ、ECR(電子サイクロトロン共鳴)イオン源が適している。マイクロ波周波数には10 GHzを採用し、15mAのHe二価イオンビームの取り出しを目標とした。提案するECRイオン源のデザインや磁場分布について報告する。 |
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WEP39 | HIPISの高度化〜RCNP AVFサイクロトロンの高性能化への対応〜 Upgrade of HIPIS ~ for higher performance of RCNP AVF cyclotron~ ○山﨑 敦博,松田 洋平,梅本 学嗣,齋藤 風太,中野 健人,森下 鉄将,土田 安那,安村 昂紀(甲南大),福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,畑中 吉治,田村 仁志,齋藤 高嶺(阪大RCNP),根引 拓也,米田 達則(住重加速器サービス) ○Nobuhiro Yamasaki, Yohei Matsuda, Satoshi Umemoto, Futa Saito, Kento Nakano, Tesshou Morishita, Anna Tsuchida, Kouki Yasumura (Konan Univ.), Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yuusuke Yasuda, Kichiji Hatanaka, Hitoshi Tamura, Takane Saito (RCNP, Osaka Univ.), Takuya Nebiki, Tatsunori Yoneda (SHI Accelerator Service Ltd.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)ではAVFサイクロトロン加速器の高性能化を目指したアップグレードが行われた。その中で、加速器の建設時にはその上部に設置されていたイオン源群は撤去された。建設後に他のイオン源と同様に大強度偏極イオン源(high-intensity polarized ion source, HIPIS)もイオン源上部に戻し、低エネルギービーム輸送系との接続並びにアライメントを行った。アップグレード計画では、ビーム強度の増強を目的としてイオン源の加速電圧を15 kVから50 kVに上がる。それに伴いHIPISの引き出し電圧も50 kVにする取り組みが必要となっていた。本研究では、三次元電場計算ソフトを用いて加速電極周辺の電場計算を行い、電極周辺の放電対策の検討を行った。その結果をもとに放電箇所に対して対策を行い、高圧印加試験を行ったところ50 kVまで印加することに成功した。また、引き出し電圧を50 kVにした場合の軌道計算を行い、輸送効率が最適となる引き出し方法の検討を行った。さらに引き出した後の低エネルギービーム輸送系での軌道計算を行い、サイクロトロンへの入射効率についても検討した。本講演ではこれらの結果並び現状について報告する。 |
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WEP40 p.604 | 測量シミュレーションとデータの比較 A comparison between the simulation and data in the accelerator control survey ○岡安 雄一(高エネ研) ○Yuichi Okayasu (KEK) 2020 年より KEK つくばキャンパスの電子陽電子入射器において,レーザートラッカーとデジタルレベルによる全系測量を行っている. 一般的に,線型加速器はリング加速器と異なり,加速器構成機器は周期的に配置されておらず,網測量解析で得られる測量誤差も周期的な振る舞いはせず,特徴的な分布を表す. この特徴的な測量誤差分布は,入射器での測量を開始した当初は空調に起因するものと想定していたが,実際の測量条件を可能な限り (例えば測地線沿った器械点の水準変位は含んでいない) 反映させたシミュレーションを行ったところ,誤差分布はほぼ完全にデータを再現した. ここで議論する測量誤差は,局所的な据付作業には大きな影響は及ぼさないが,据付後の機器の座標変動評価には値によっては支障をきたすため,シミュレーションによる器械点や基準点の配置を予め最適化しておくことで,現実的な範囲で抑制することが期待される. 本発表では測量データとシミュレーションの比較,器械点・基準点の調整により,どの程度測量誤差が抑えられるかを紹介する. |
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WEP41 p.609 | KEK電子陽電子入射器におけるマイコン接続型リアルタイム残留放射線量測定システムの構築 Construction of a microcomputer-connected real-time residual radiation dose measurement system at the KEK electron/positron injector linac 佐武 いつか,岩瀬 広,○諏訪田 剛(高エネルギー加速器研究機構),草野 史郎(三菱電機システムサービス) Itsuka Satake, Hiroshi Iwase, ○Tsuyoshi Suwada (KEK), Shiro Kusano (MSC) KEK電子陽電子入射器における残留放射線量測定は、加速器トンネルでは運転停止中に測定が行われ、クライストロンギャラリーでは運転中に測定が実施されてきた。残留放射線のリアルタイムモニタリングを実現するため、汎用マイコンと接続可能である、簡易放射線カウンター(Radiation-Watch社、商標PocketGeiger/PINフォトダイオード線量計)を用いたシステム構築を行った。このシステムは放射線カウンターとマイコン(Raspberry Pi財団、商標Raspberry Pi)を用いて、安価かつ小型で、可搬性を備えたシステムという特徴を持つ。入射器停止中の残留放射線の減衰を測定することで、作業者が安全に作業できる放射線環境の目安を決定づけるのに役立つ。線源を用いた校正、運転中及び運転停止直後のトンネル内での測定試験、クライストロンギャラリーでの測定試験を行った。本稿では、本システムを用いた測定試験について詳細を報告する。 |
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WEP42 p.614 | 非線形コリメータ導入のための大穂直線部ビームラインの改造 The beamline modification of Oho straight section for installation of non-linear collimator ○植木 竜一,大澤 康伸,中村 衆,古澤 将司,増澤 美佳(KEK) ○Ryuichi Ueki, Yasunobu Ohsawa, Shu Nakamura, Masashi Furusawa, Mika Masuzawa (KEK) SuperKEKBでは、2022年6月までのビーム運転において原因不明で突然発生するビームロスによるコリメータヘッドの損傷が複数回発生した。また、蓄積電流の増加に伴ってコリメータのインピーダンスによるビームサイズ増大が発生することも分かってきた。これらがBelle測定器のバックグランド増加やルミノシティの低減を引き起こしている。これに対処するために、大穂直線部への非線形コリメータの導入が決定し、2022年7月から始まったロングシャットダウン1(LS1)中に大穂直線部のビームラインの改造が行われている。この改造では、大穂直線部のウィグラー電磁石50台を撤去し、新規に製作した歪六極電磁石2台と四極電磁石の再配置が必要となる。さらに、これまでQFとQDでそれぞれシリーズに接続して運転していた四極電磁石は、個別電源での励磁と変更となる。そのため、歪六極電磁石および四極電磁石用の電源を新規に用意し、それぞれの電磁石までのケーブルの敷設、およびウィグラー電磁石撤去にともなう中継ケーブルの敷設などの改造が必要となった。本発表では、LS1中に行われている大穂直線部の改造のうち電磁石に関連する一連の作業の詳細を報告する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1443教室) | |
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WEP43 | GM-JT冷凍機を用いたNb3Sn超伝導空洞の伝導冷却 Conduction cooling of the Nb3Sn SRF cavity with a GM-JT cryocooler ○山田 智宏,井藤 隼人,梅森 健成,阪井 寛志(高エネ研) ○Tomohiro Yamada, Hayato Ito, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai (KEK) 従来のニオブ製の超伝導加速空洞は液体ヘリウムを用いて冷却していたが、現在KEKをはじめ世界の研究所で研究が進んでいるNb3Sn超伝導空洞は4KでもQ値が高く低熱負荷で運用できるため、液体ヘリウムを用いずに機械式冷凍機を用いた伝導冷却により運転が可能になる。これにより、高圧ガス保安法や複雑なモジュール構造といった現在のニオブ空洞に付随する様々な困難を一掃することができる。 一方で、液体ヘリウムの場合は空洞全体が均一に浸漬冷却されていたのに対し、伝導冷却の場合は曲面形状の空洞のどこをどのように冷却するかが大きな課題であった。KEKでは様々な実証試験を繰り返し、銅製クランプにより空洞赤道部を掴むことで空洞を4K付近まで冷却できることを確認した。本実験では、住友重機械工業株式会社の協力により、4Kで9Wの冷凍能力をもつ新規開発品のGM-JT冷凍機を用いた。その後、RF試験も実施し加速勾配測定に成功している。 本発表では、上記の内容を含め、KEKにおけるNb3Sn超伝導空洞伝導冷却研究の現状を報告する。 |
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WEP44 p.617 | タンデム静電加速器に関するVR教材の開発 Development of VR-teaching materials for electrostatic tandem accelerator ○吉田 哲郎,大和 良広,笹 公和(筑波大学応用加速器部門),広田 克也,古坂 道弘(高エネルギー加速器研究機構) ○Tetsuro Yoshida, Yoshihiro Yamato, Kimikazu Sasa (UTTAC), Katsuya Hirota, Michihiro Furusaka (KEK) 筑波大学放射線・アイソトープ地球システム研究センター応用加速器部門では、6MVタンデム加速器および1MVタンデトロン加速器の2台の静電加速器を有し、加速器や放射線を利用した様々な計測実験と研究および教育活動を行なっている。これらの加速器をバーチャルリアリティー(VR)技術を用いて表現することを目指し、KEKと連携してVR加速器ツールの作成を進めた。作成したVRは、実験実習や施設見学での使用、人材育成に関する教育用教材としての使用を目的としている。実習や見学の際に、6MVタンデム加速器はタンク内を5気圧のSF6ガスで絶縁しているため、直接加速器の内部を見ることはできない。しかし、VRゴーグルを用いて加速器タンク内の360度写真を見ることで、実際にタンク内にいるような経験をすることができる。VRの開発環境として、UNITYを使用し、作成したVRをAndroid向けにビルドし、VRゴーグルのOculus quest 2に取り込むことで使用した。VRは6MVタンデム加速器と1MVタンデトロン加速器の2つのパートに分けて作成した。それぞれの加速器においてタンク内や加速器室の360度写真とCADのデータを読み込んだCGを作成し、コントローラーのボタンを押すことで切り替わるように設定した。加速器のCGでは加速管の中にビームが通っている様子も見ることができる。本発表では作成したVRの詳細について報告する。 |
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WEP45 p.620 | 高エネ機構におけるUNITY上でのVR加速器開発-II VR-accelerator developments on Unity-framework at KEK II ○古坂 道弘,広田 克也,池松 克昌,山口 誠哉,肥後 寿泰,池田 進,平野 美穂子(高エネ機構),矢野 博明(筑波大),岩下 芳久(京大),山本 昌志((株)オメガソリューションズ),城野 哲((株)AET) ○Michihiro Furusaka, Katsuya Hirota, Katsumasa Ikematsu, Seiya Yamaguchi, Toshiyasu Higo, Susumu Ikeda, Mihoko Hirano (KEK), Hiroaki Yano (Univ. Tsukuba), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Masashi Yamamoto (Omega Solutions, Inc.), Tetsu Jono (AET Inc.) KEK VR開発チームは、加速器科学を目指す高専生、大学生、大学院生などを対象とした人材の教育、一般の方々への広報、最終的には研究者にも役に立つVRを目指して開発を進めている。2022年までに「KEK教育加速器(KETA)」をUNITYという3D/2Dゲーム開発環境を用いてVRとして作成した。加速器の基本的な各部の説明も読むことができるようになっている。最終的にはKEKや各大学にある本物の加速器もVR化し、加速器の博物館を作るのも一つの目標である。さらにGPTなどのシミュレーションコードの計算結果を用いて、一部を透明にした加速器の中でバンチャーの中の粒子がバンチングされ、加速される様子を見られるようにした。これまでにKEKでの一般公開、高専で加速器に興味を持つ学生に対するデモンストレーション、幾つかの大学で開催されたKEK-dayなどでの紹介などを行ってきている。最終的には各大学での加速器関連の授業の一コマで導入として使えることを目指している。ゴーグルでの体験はインパクトが強く、体験した人たちの評判も良いが、一方で一度に体験できる人数が限られるなど問題もある。そのため、大きな会場などで説明する場合などは、ゴーグルの向きや位置、あるいはコントローラで変化する画像をPC経由でプロジェクタや遠隔会議システムに映している。 |
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WEP46 p.623 | レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射の検討Ⅵ Direct injection of laser-accelerated ions into a superconducting synchrotron VI ○野田 悦夫,白井 敏之,岩田 佳之,水島 康太,近藤 公伯(量研機構),藤本 哲也(加速器エンジニアリング) ○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Kiminori Kondo (QST), Tetsuya Fujimoto (AEC) 量研機構では、重粒子線がん治療装置の小型化を目指す量子メスプロジェクトを推進しており、最終的には超伝導シンクロトロンとレーザー加速イオン源を組み合わせた第5世代装置へと進めていく。その一環として、レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディを行っている。これまで、シンクロトロンの内側に設置可能なビーム輸送ラインを設計し、シンクロトロンでの最終的な補足粒子数を軌道計算により調べてきた。レーザー加速イオンはシンクロトン入射後、シンクロトロン周回中に失われていき、1回の入射で最終的に捕捉される粒子数は入射時の50~70%程度であり、この損失の主な原因は自身の空間電荷効果であることが分かっている。今回、ビーム輸送ライン中に薄膜を挿入して、ビームエミッタンスを大きくし空間電荷効果を抑えることで周回中のビーム損失を抑制できるか調べた。薄膜の挿入位置と散乱角を変えて捕捉粒子数の変化を調べた結果、薄膜挿入により捕捉粒子数が増加することが確かめられた。また、薄膜挿入による捉粒子数増加の割合は、薄膜挿入位置や散乱角にかかわらず、薄膜通過後のビームの垂直方向エミッタンスで整理できることが分かった。さらに、イオン発生部の真空度はシンクロトロン内の真空度に比べ何桁か悪くなっていると考えられるが、ビーム輸送ライン中に薄膜を挿入することでこの差圧を維持できる可能性がある。 |
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WEP47 | 液圧成形による銅1セルフルシームレス空洞の開発 One-cell full seamless copper cavity manufactured by hydroforming ○山中 将(高エネ研),西 勇也,西森 一喜(日本ニューロン) ○Masashi Yamanaka (KEK), Yuya Nishi, Kazuki Nishimori (NEU) 1本のシームレス(継ぎ目無し)銅管から、液圧成形を用いて1セル空洞を製造する新しい方法を提案する。用途はニオブコーティング用の銅基板空洞である。ニオブをうまく銅空洞にコーティングするためには滑らかな内面が望ましく、溶接継目の無い一体型のフルシームレス空洞が理想的であるTESLA型1.3 GHz空洞の場合、ビームパイプ(アイリス)内径は78 mm、赤道部内径は206.6 mmである。1回の液圧成形で膨らめるのは困難なため、最初に内径120 mmの中間形状を成形し、次に最終のセル形状に成形する。すなわち液圧成形は、2組の金型を用いて行われる。最初にシミュレーションにて提案する方法が実現可能かを検討した。シミュレーション結果から金型を製作し、実際に銅パイプを使って液圧成形実験を行った。1.3 GHz 1セル空洞の試作結果について報告する。 |
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WEP48 p.628 | KEK-STFにおけるエミッタンス再分配実験のための電子バンチのエンベロープマッチングに関する考察 A Study for envelope matching of electron bunch for emittance repartitioning experiment in KEK-STF ○ムカルジ サヤンタン,栗木 雅夫,伊達 圭祐,リプタク ザカリー ジョン(広島大学),早野 仁司,山本 カーク,山本 尚人,福田 将史,金 秀光,倉田 正和(高エネルギー加速器研究機構),坂上 和之(東京大学) ○Sayantan Mukherjee, Masao Kuriki, Keisuke Date, Zachary J. Liptak (Hiroshima University), Hitoshi Hayano (KEK ), Kirk Yamamoto, Naoto Yamamoto, Masafumi Fukuda, Xiuguang Jin, Masakazu Kurata (KEK), Kazuyuki Sakaue (University of Tokyo) The International Linear collider (ILC) is a e+ e- linear collider at center of mass energy up to 1 TeV. At the interaction point, the beam shape has to be flat in the transverse space to maximize the luminosity compensating the energy spread by Beamstrahlung. The flat beam is obtained by asymmetric emittance in x and y made up by radiation damping with a 3 km damping ring. We propose a new method to make the asymmetric emittance based on emittance exchange techniques using the two beamlines such as Round to Flat beam transformation (RFBT) and Transverse to Longitudinal Emittance exchange (TLEX). In KEK STF facility the RFBT experiment has been performed but the results are not as expected due to a significant emittance growth by space charge effect. We studied the emittance growth compensation by space charge effect by the envelope matching in the STF injector. The results will be reported. |
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WEP49 p.632 | レーザープラズマ航跡場入射用極短パルス線形加速器の大電力高周波試験 High power rf test of a linac to inject ultlashort pulsed electron beams into laser plasma wakefields ○益田 伸一,増田 剛正(高輝度光科学研究センター),田中 俊成,境 武志(日大LEBRA),長瀬 敦(日大理工),熊谷 教孝,大竹 雄次(高輝度光科学研究センター) ○Shinichi Masuda, Takemasa Masuda (JASRI), Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai (LEBRA, NU), Atsushi Nagase (CST, NU), Noritaka Kumagai, Yuji Otake (JASRI) 高強度極短パルスレーザー励起プラズマ波により電子を捕捉し加速するレーザー航跡場加速に基づく超小型電子加速器の実用化のための研究が進められている。我々は、プラズマ波に極短電子ビームを入射し、プラズマ波の加速特性を診断するための極短パルス線形加速器の開発を行っている。本稿は、これに使用するRF電子銃空洞やバンチャー加速管、導波管要素の大電力高周波試験について報告する。 大電力高周波試験は、SACLAの付帯設備である大電力高周波テストベンチを借用して行われた。空洞や導波管等の構成部品は、開発中の加速器の設計に基づき、50MWのクライストロン出力を方向性結合器によって分配し2MWを電子銃、18MWをバンチャー管に入力する様に配置した。高周波空洞のフィリングタイムなどから要求される高周波パルスの仕様は、幅が1µsで繰り返しが10ppsである。我々は、導波管方向性結合器で空洞の入射波と反射波をモニタし、空洞の温度-高周波特性を測定した。電子銃に関してはおよそ1ヶ月のRFコンディショニングの結果、入力2MW、幅2µs、10ppsの運転条件が達成された。バンチャー管はおよそ2ヶ月で、入力18MW、幅1µs、10ppsまでコンディショニングが進んだ。それぞれ最終的に8時間程度、高周波電力の入力が維持でき、要求される空洞の加速電場とその安定性が得られた。これによりレーザー航跡場追加速実験で要求される大電力運転条件が、十分に達成できることが実証された。 |
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WEP50 p.636 | 臨界磁場測定用半球形状空洞のアルミ製モデルでのTE013モード励振試験 TE013 mode excitation test on aluminum model of hemispherical cavity for critical magnetic field measurement ○服部 綾佳,相田 大翔,石井 朝陽(茨城高専),早野 仁司(KEK) ○Ayaka Hattori, Haruto Aida, Asahi Ishii (NIT (KOSEN), Ibaraki College), Hitoshi Hayano (KEK) 超伝導薄膜のRF下での臨界磁場測定のため、半球形状空洞のアンテナ設計を行った。その性能を評価するため、アルミ製のモデル機を製造し、ターゲットであるTE013モードを励振でき、かつ、TE013モードを共振周波数が近接する他の共振モードから明らかに分離でき、特定しやすいかを試験した。本発表ではその結果について報告する。 |
ポスター② (8月30日 14号館1444教室) | |
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WEP51 p.640 | 1 TW レーザー駆動自己変調航跡場加速による MeV 級電子源の開発 Development of MeV electron source by 1 TW laser driven self-modulated laser wake field acceleration ○大塚 崇光,西田 大紀,ペレラ ドゥティカ,片谷 光祐,鈴木 優太,湯上 登(宇都宮大学) ○Takamitsu Otsuka, Daiki Nishida, Perera Duthika, Kouki Kataya, Yuta Suzuki, Noboru Yugami (Utsunomiya Univ.) レーザー生成プラズマ中に生じる電場 (航跡場) を用いる電子加速の研究を行っている.一般にレーザー航跡場研究ではプラズマ長程度のレーザーパルス長を用いる.この条件を満たすためには,複雑なレーザーシステムが必要となり,大学等の小規模実験室で運用することは難しい.本研究室ではパルス幅が 120 fs の比較的パルス長が長く,取り扱いが容易な 1 TW レーザーを運用している.このような長いレーザーパルス長では,レーザー航跡場で用いる高密度プラズマと共鳴しない.本研究ではレーザーパルスの包絡線が,プラズマ波との相互作用によって変調される自己変調レーザー航跡場について調査し,MeV 級の小型電子源を開発することを目標としている.二次元粒子シミュレーションコードを用いて電子密度が 10^20 cm^-3 のプラズマ中を伝搬するレーザー (エネルギー 120 mJ,パルス幅 120 fs,規格化ベクトルポテンシャル a_0 = 1) を計算した.レーザーパルスの包絡線がプラズマ波との相互作用によって変調され,自己変調レーザー航跡場によって数百 GV/m に達する大電場が励起されることを確認した.被加速電子は 130 マイクロメートル 程度で加速位相を脱してしまうため,厚みの薄いガスターゲットが必要となる.加速された電子の最大エネルギーは約 15 MeV 程度であり,エネルギー拡がりが大きい熱的なスペクトルである. |
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WEP52 p.642 | 高繰り返し中赤外光周波数コム開発に向けた試験位相相関実験 An experiment of independent light pulse interactions for a high repetition mid-IR frequency comb ○久保田 月野,住友 洋介,野津 凱,濱野 央芽(日大理工),境 武志,早川 建,早川 恭史,長瀬 敦(日大LEBRA) ○Tsukino Kubota, Yoske Sumitomo, Gai Notsu, Ohga Hamano (CST, Nihon Univ.), Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Atsushi Nagase (LEBRA Nihon Univ.) 日本大学の自由電子レーザー装置では,高輝度な中赤外の短時間幅のパルス光を放出できる.この中赤外の放射光を高輝度で放出できる施設は珍しく,水素などの気体分子に当てると固有振動数に一致するエネルギーを集中照射することにより非線形な反応を引き起こせる可能性がある.特にその性能を高めるため,約 3 GHz で生成されるパルス列間の位相を同期させることで高繰り返しの光周波数コムとして,特定の周波数成分に強度を集中させる装置としての開発を計画している.現在その準備段階として,装置の性能を高めるための位相相関のテストシステムの開発に着手している.約 3 GHz でやってくる別のパルス同士の干渉のためには,遅延経路を設けた上で 100 fs 以下のパルス幅に対する干渉を見る必要があり,このための試験装置の開発状況について報告を行う. |
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WEP53 p.646 | スポーク空洞におけるHOM減衰の研究 Study of HOM attenuation in spoke cavities ○沢村 勝(量研機構) ○Masaru Sawamura (QST) スポーク空洞を光源用加速器として用いるため研究を進めているが、大電流加速を行う場合は超伝導加速器で問題となる高調波モードの減衰が重要になってくる。スポーク空洞は楕円空洞に比べて、同じ周波数ならば空洞サイズが小さく、さらにボア径も小さいため、これまでHOM減衰器として用いられてきた導波管型やビームライン型は実用的でない。スポーク空洞に適したHOM減衰について報告する。 |
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WEP54 | ラージグレインニオブの強度評価 Evaluation of strength of large grain Nb for SRF cavities ○梅澤 裕明(総研大),山中 将(高エネ研),西田 尚志(東京電解) ○Hiroaki Umezawa (SOKEN), Masashi Yamanaka (KEK), Naoshi Nishida (Tokyo Denkai) 国際リニアコライダー(ILC)のような超伝導加速空洞の量産を考える上で、コスト削減は欠かせない。近年、レアメタルであるニオブ板の製造コストを下げるために、ラージグレイン(LG)ニオブの研究が進められている。LGニオブとは、鍛造、圧延、熱処理によって作られるニオブ板(結晶粒が細かいためファイングレインニオブ(FG)と呼ばれる)に対して、インゴットをそのままスライスして板材とする方法である。インゴットをそのままスライスするだけなので、製造コストを低減できる。一方、結晶粒が大きいため結晶ごとに伸びや強度が異なる。一般的にLGニオブ材の強度はFGニオブ材に比べて低い。本報告ではLGニオブ材を用いた、いくつかの引張試験結果を示す。 |
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WEP55 p.649 | 次世代光源における過渡的電圧補償のための広帯域空洞低電力モデルHOM減衰性能の評価 The HOM attenuation tests of broadband-cavity low-power model to compensate the transient beam loading in the next generation light sources ○内藤 大地,山本 尚人,高橋 毅,山口 孝明,坂中 章悟(高エ研) ○Daichi Naito, Naoto Yamamoto, Tsuyoshi Takahashi, Takaaki Yamaguchi, Shogo Sakanaka (KEK) 第四世代リング型光源では、バンチ内電子散乱がビームエミッタンスに与える影響が大きいため、基本波の加速空洞と高調波空洞を組み合わせてバンチ伸長を行い、バンチ内電子散乱を抑制することが多い。しかしバンチギャップが誘起する過渡的ビーム負荷によって空洞内電圧の変動が生じると、バンチ伸長性能が不十分になる。そこで我々のグループでは、広帯域のキッカー空洞を用いて過渡的電圧変動を補償する手法を提案し[1]、そのために用いる広帯域キッカー空洞の具体的デザインも提唱した[2]。この補償空洞は、加速用TM010モード(周波数1.5 GHz)を2本のRF入力用導波管と大きな結合度で結合させることにより、約5 MHzの広帯域を実現する。加速以外の高次モードは、大口径のビームダクトに逃がし、RF吸収体で減衰させる設計である。2022年度にはアルミ製低電力モデルを製造し、補償用電圧を発生する為に用いるTM010モードの性能評価を行った。本発表では補償空洞に取り付けたRF吸収体による高次モードの減衰性能評価について報告する。 |
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WEP56 p.653 | 高次共振モード減衰型空洞の高次モードの測定とシミュレーションとの比較 The measurement and simulation of high-order modes in the HOM-dumped cavity ○斗米 貴人(JASRI),安積 隆夫(量研機構),稲垣 隆宏(理研),大島 隆(JASRI),西森 信行,保坂 勇志(量研機構),山口 博史(JASRI) ○Takato Tomai (JASRI), Takao Asaka (QST), Takahiro Inagaki (RIKEN), Takashi Ohshima (JASRI), Nobuyuki Nishimori, Yuji Hosaka (QST), Hiroshi Yamaguchi (JASRI) 次世代放射光施設NanoTerasuの蓄積リングでは、電子ビームの加速に4台の高次共振モード(HOM)減衰型加速空洞が使用される。加速モードとして509MHzのTM020モードを使用するが、運転時には電子ビームと空洞の相互作用により様々な共振モードが励起される。特に、TE111, TM011モードといったビーム軸上で電場強度を持つ高次共振モードは電子ビームの不安定性につながるため、本空洞ではこのような高次共振モードを減衰させる目的でHOM吸収体が配置されている。高次共振モードとHOM吸収体の減衰効果にを確認するため、空洞の設置前に共振周波数およびQ値の測定を行った。またAnsys HFSSを用いて加速空洞の電磁場シミュレーションを行って測定との比較を行った。本発表ではこれらの空洞の高周波測定とシミュレーションの結果について報告する。 |
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WEP57 p.657 | 超伝導空洞の組み立てに使用するボルトの調査 Study of bolts used to assemble superconducting cavity ○山田 浩気((株)NAT),阪井 寛志,山本 将博,荒木 隼人(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroki Yamada (NAT), Hiroshi Sakai, Masahiro Yamamoto, Hayato Araki (KEK) 加速器の組み立ての工程で超伝導空洞を組み立てる際に注意しなければならない事の一つに、field emissionを引き起こす原因となるゴミの混入がある。KEKでは、超伝導空洞・真空部品はクリーンルーム(ISO class4)で組み立て、ビームラインとの接続箇所に簡易クリーンブースを設置、スロー排気システムによるゴミの舞い上げを抑制しながらの排気、などの対策を実行した結果、field emissionを抑制し尚且つ高い加速勾配の運転が実現できた。一方で改善する余地はまだ残っており、今回はその一つのボルトについて取り上げる。今までステンレスボルトに焼き付きカジリ防止のため銀メッキ処理を施した物を使用していたが、メッキの剥がれによるゴミの混入の可能性も懸念されていた。今回はクリーンルームで使え尚且つ焼き付きカジリ防止に対応したボルトについて調べた事を発表する。 |
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WEP58 | 超伝導空洞のクリーンルーム作業のためのロボットアームを用いた自動クリーニング・組立システムの開発 Development of automatic cleaning/assembly systems with robot arm in clean room work for superconducting cavity ○山本 康史(高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設),平木 雅彦(高エネルギー加速器研究機構・機械工学センター),梅森 健成,阪井 寛志,道前 武,山田 智弘(高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設) ○Yasuchika Yamamoto, Masahiko Hiraki, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Takeshi Dohmae, Tomohiro Yamada (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、2020年度より日仏協力の下で、クリーンルームで行われる超伝導空洞の組み立て作業のために自動クリーニング・組立システムの開発が行われてきた。昨年度は、ロボットアームにイオンガンを持たせてフランジのボルト穴をクリーニングし、また真空部品を持たせてフランジに取り付ける自動組立のデモ試験が行われ、無事、成功した。その際、一昨年度に導入されたブランク・ベローズ交換補助システムが用いられた。本講演では、ロボットアームを用いた自動クリーニング・組立システムの開発状況について報告する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1421教室) | |
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THP01 p.661 | 超伝導空洞を用いた高出力電子線照射加速器のビームダイナミクス研究 Beam dynamics study of the high-power electron beam irradiator using superconducting cavity ○田中 織雅,本田 洋介,山本 将博,山田 智宏,阪井 寛志(高エネルギー加速器研究機構) ○Olga Tanaka, Yosuke Honda, Masahiro Yamamoto, Tomohiro Yamada, Hiroshi Sakai (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) KEK では、照射目的のためのコンパクトな 10 MeV、50 mA 加速器の設計が提案された。 現在の設計には、RF グリッドを備えた 100 kV DC 熱電子銃、1 セル常伝導バンチャー 空洞、およびビームを最終エネルギー 10 MeV まで加速する Nb3Sn 超伝導空洞が含まれている。 本ビームダイナミクス研究の目標は、ビームが空洞に当たることによる熱負荷を削減するために、ビーム損失を (ppm レベルまで) 抑制することである。特に初期電子エネルギー (100 keV) が低く、空間電荷効果も大きい。主な課題は、ビーム損失がないようにビーム形状を最適化し、上記加速器コンポーネントの複数のパラメータを同時に制御し輸送することである。ここでは、ビーム輸送の最適化の手法を示すとともに、本加速器の設計を用いたビーム輸送の最適化の結果について報告する。 |
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THP02 p.665 | ミュオンペニングトラップ実験開始に向けた箱型電極の詳細検討 Study of box-shaped electrodes for Muon Penning Trap experiment at MLF/J-PARC ○小久保 拓登,飯沼 裕美,平石 雅俊(茨大理工),足立 泰平,仁尾 真紀子(理研),岩井 遼斗,下村 浩一郎,永谷 幸則,西村 昇一郎,Amba Dat Pant(高エネ研),岡部 博孝(東北大金研),樋口 嵩(阪大RCNP) ○Hiroto Kokubo, Hiromi Iinuma, Masatoshi Hiraishi (Ibaraki University), Taihei Adachi, Makiko Nio (RIKEN), Ryoto Iwai, Koichiro Shimomura, Yukinori Nagatani, Shoichiro Nishimura, Pant Amba Dat (KEK), Hirotaka Okabe (Tohoku University), Takashi Higuchi (Osaka University) J-PARC-MLF ミュオンH-Line において、ミュオンと電子の束縛状態であるミュオニウム 超微細構造定数からミュオンの磁気能率を決めるMuSEUM 実験が進行中である。さらに、 超低速ミュオンを一様磁場・4重極静電ポテンシャル内に捕獲しスピン周波数を精密測定 することで磁気能率を決定するミュオンペンニングトラップ実験が新たに計画されている。 本実験ではJ-PARC-MLF ミュオンビームラインH1 エリアで得られる表面ミュオンビー ムを実験装置へ入射し超低速ミュオニウムを生成後、レーザー乖離をして超低速ミュオン を電極中心へ捕獲する事で実験を行う。実験開始のため表面ミュオンビームの入射からミ ュオンから崩壊した陽電子の検出までのシミュレーションの開発、ミュオンのペニングト ラップを可能にする 4 重極静電ポテンシャルを高精度で生成する箱型形状の電極の設計・ 開発を行っている。 昨年度に一度箱型電極の設計検討を行い、ポテンシャル再現精度が20%程度であることを 確認し、本学会にて報告した。現在、さらなる精度向上のため電圧配置を最適化するツール を作成し、そこから電極間のスペースをOPERA-3D を用いて電極のつくるポテンシャル精 度の検討を行っている。本発表では検討し、最終化した電極モデルの詳細について報告する。 |
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THP03 p.669 | J-PARCメインリングにおけるRF加速空胴のインピーダンスのモデル化 Modeling of the impedance of RF cavities in the J-PARC main ring ○小林 愛音(KEK),田村 文彦(JAEA),吉井 正人,外山 毅,長谷川 豪志(KEK) ○Aine Kobayashi (KEK), Fumihiko Tamura (JAEA), Masahito Yoshii, Takeshi Toyama, Katsushi Hasegawa (KEK) J-PARCメインリングではビーム強度増強を進めている。 遅い取り出しのデバンチ過程(コースティングビームを作る過程)において、マイクロバンチング構造が発生し、電子雲とさらに横方向ビーム不安定性が誘発されていることが問題になっている。ビームロスは装置の故障や放射化を引き起こすためビーム強度増強の妨げとなり、原因解明と対策が必須である。原因となるインピーダンス源の特定と対策の検討が進められてきた。RF加速空胴の持つ大きなインピーダンスについて、調査を行った。シミュレーションによるインピーダンスの主要なレゾナンスの由来の理解と測定との比較、および評価を報告する。 |
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THP04 p.674 | J-PARC Muon g-2/EDM実験用 ビーム蓄積磁石内部の強いX-Y結合をもつビーム位相空間調整装置の仕様と設計検討 Specification and design study of beam phase space with strong X-Y coupled beam in the storage magnet for J-PARC Muon g-2/EDM experiment ○飯沼 裕美(茨大理工),小川 真治(九州大学),阿部 充志,大谷 将士,佐々木 憲一,中山 久義,三部 勉(高エネルギー加速器研究機構),山中 隆志(九州大学),佐藤 優太郎(新潟大学) ○Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Shinji Ogawa (Kyushu-Univ.), Mitsushi Abe, Masashi Otani, Ken'ichi Sasaki, Hisayoshi Nakayama, Tsutomu Mibe (KEK), Takashi Yamanaka (Kyushu-Univ.), Yutaro Sato (Niigata-Univ.) J-PARC Muon g-2/EDM実験は、医療用MRI超伝導磁石サイズの蓄積磁石内に運動量300MeV/cのMuonビームを直径66cmの軌道で蓄積し、異常磁気能率(g-2)の超精密測定とEDM探索を行う。蓄積磁石内部の精密調整された蓄積領域へのビーム入射は3次元螺旋軌道入射を取り、入射ビームはパルス磁場キッカーにより鉛直方向の運動を止め、蓄積領域内の弱収束磁場に従ってビームは垂直ベータトロン振動をしながら安定軌道を取る設計である。 この垂直ベータトロン振動の振幅の極力小さく抑える事g物理感度と直結するため、重要な制御項目の一つである。 本講演では、キック後の垂直ベータトロン振幅と強いX-Y結合を含むビーム位相空間の相関関係を説明する。 また、蓄積磁石鉄ヨークを通過する際のビームチャンネル内の非線形磁場分布がビーム入射のアクセプタンスを制限するため、その対策として(1)ビームチャンネル内にシールドを配置検討、(2)チャンネル出口(蓄積磁石内部)での補正磁場の要求値の算出、(3)チャンネル入口・出口に配置する補正磁場発生装置の仕様検討、を行う。更に、キック後の蓄積領域内のビームの位相空間の評価を行う。本スタディを踏まえ、蓄積磁石内部に配置するモニター装置への要求も議論する。 |
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THP05 p.680 | At-211 製造のためのビームエネルギー制御におけるサイクロトロンのパラメータの影響 Effect of cyclotron parameters on beam energy control for At-211 production ○宮脇 信正,渡辺 茂樹,柏木 啓次,石岡 典子,倉島 俊(量研高崎研),福田 光宏(阪大RCNP) ○Nobumasa Miyawaki, Shigeki Watanabe, Hirotsugu Kashiwagi, Noriko Ishioka, Satoshi Kurashima (QST Takasaki), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.) アルファ線核医学治療で用いるAt-211の製造では、Bi-209にHeビームを照射することで生じる(α, 2n) 反応が利用される。この核反応でのAt-211の生成率は、加速したHeビームのエネルギー増加に伴い上昇するが、約29MeV以上では、(α, 3n) 反応により高毒性のPo-210へと壊変するAt-210が生成し、これがAt-211と化学分離不可であることから、At-210の生成を避けるエネルギーでの照射が不可欠である。そこで、QST高崎AVFサイクロトロンでは、RI製造ビームラインおけるAt211の高率生成とAt-210の不生成を両立するため、ビームエネルギーの高精度制御技術を開発してきた。この結果、サイクロトロンの加速電圧や磁場を用いて約1%の範囲で任意に制御する技術を開発し、At-211の生成率を向上させることに成功している。しかし、ビームエネルギー変化に伴ってサイクロトロンからの出射ビーム軌道が変化することが確認され、軌道調整が必要となった。このエネルギー制御時の軌道補正を簡便に行うためには、軌道調整パラメータとビーム軌道変化の相関を明らかすることが必要である。そこで今回、サイクロトロンのパラメータの変更によるビーム挙動を解析し、取出されたビームエネルギーとの関係について調べた。発表では、ビームエネルギー制御に最適なパラメータの選択やそのパラメータで生じるビームの挙動とビームエネルギーの関係について報告する。 |
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THP06 | ビームリサイクル技術における蓄積粒子のダイナミクス解析 Beam dynamics in a heavy ion storage ring with beam recycling techniques ○小川原 亮(京都大学 化学研究所),阿部 康志,大西 哲哉(理研 仁科センター),塚田 暁,頓宮 拓(京都大学 化学研究所),山口 由高(理研 仁科センター),若杉 昌徳(京都大学 化学研究所) ○Ryo Ogawara (Institute for Chemical Research, Kyoto University), Yasushi Abe, Tetsuya Ohnishi (RIKEN Nishina Center), Kyo Tsukada, Hiromu Tongu (Institute for Chemical Research, Kyoto University), Yoshitaka Yamaguchi (RIKEN Nishina Center), Masanori Wakasugi (Institute for Chemical Research, Kyoto University) 不安定核ビームと固定標的を用いた核反応実験では核反応を起こさなかった 99.9%以上のビームは廃棄されてしまう。そのため稀少不安定核を用いた実験ではその不安定核の活用効率の低さや、そもそもの不安定核の生成数の少なさから精密測定が極めて困難である。ビームリサイクルは不安定核ビームを重イオン蓄積リングで蓄積し、核反応するまで標的に衝突させ続けることでその活用効率を飛躍的に向上させ、稀少不安定の精密測定を実現するための技術である。 ビームリサイクルでは周回周波数1 MHz で約1秒間蓄積した場合、たった1個の蓄積粒子で計算上~10^24 /cm2/s(内部標的厚10^18個/cm2)のルミノシティーが期待できる。しかし、蓄積粒子は内部標的を通過するたびにエネルギーを失い、同時にstragglingによってエネルギー分散と角度分散が増大する。したがって、ビームリサイクル用の蓄積リングでは標的の影響を補正するための補正器が必要不可欠であり、装置設計のためにはそれらの補正器が実装された状態における蓄積粒子のビームダイナミクスを理解する必要がある。そこで、本研究では確率密度関数の時間発展を記述するFokker-Plank方程式に着目し、標的や補正器の影響をパラメータとした位相空間上における蓄積粒子の確率密度分布の時間微分方程式を開発した。本演題では開発した微分方程式の詳細、方程式の解とモンテカルロシミュレーションを比較した結果を報告する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1422教室) | |
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THP07 p.683 | J-PARC MR の全周ビーム位置モニター信号処理回路のリレースイッチの健全性の回復とチェック Recovery and check of the relay switch integrity in the BPM signal processing circuits in the J-PARC MR ○外山 毅,佐藤 健一郎(高エネ研),畠山 衆一郎(三菱電機システムサービス),手島 昌己,岡田 雅之(高エネ研) ○Takeshi Toyama, Kenichirou Satou (KEK), Shuichirou Hatakeyama (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Masaki Tejima, Masashi Okada (KEK) J-PARC MR の全周BPM信号処理回路では機械式リレーを使用している。信号周波数帯域は10MHz以下としている。 アイソレーションを大きく取ること、および入力電圧が大きいことが理由である。 短所として、長期停止後のリレー接点の接触不良が問題となっている。 リレー接点の接触の回復とビーム運転中のチェック方法を報告する。 回復はダミーパルスを入力することにより行なった。 接点の健全性は、ビームによるゲイン校正による方法を検討中である。 加速器ラティスのモデルとCODとの比較による確認方法との比較も行う。また、不良接点の調査結果も報告予定である。 |
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THP08 p.687 | PF-BTにおけるスクリーンモニターの高度化と常時OTRモニターの画像歪み改善 Upgrade of screen monitors and image distortion improvement of constant OTR monitor at the PF-BT ○高井 良太,谷本 育律,野上 隆史,多田野 幹人,帯名 崇(高エネ研) ○Ryota Takai, Yasunori Tanimoto, Takashi Nogami, Mikito Tadano, Takashi Obina (KEK) PFリングのビーム入射路(PF-BT)には、入射ビーム観測用のスクリーンモニターが計12台設置されている。これらのうち、入射路入口からの10台はアルミナ蛍光板とアナログのCCDカメラで構成されており、画素の飽和や像の滲みにより正確なビームプロファイルの測定が困難であった。このような状況を改善するため、2021年度から2022年度にかけて、カメラとシンチレータをそれぞれGigEカメラとCe:YAGシンチレータに更新する作業が段階的に行われた。一方、入射路出口に位置する残りの2台は2020年度に行われたセプタムダクト更新に合わせて設置されたもので、特に最下流の1台はリングの蓄積ビームダクトとの間に設けられたエアギャップ用金属窓を利用した常時OTRモニターというユニークな仕様となっている。しかしながら、ダクト加工時に生じた窓表面のうねりにより画像が大きく歪んでしまうことが判明したため、2022年度に窓周辺の加工方法を工夫して再製作したダクトとの入替作業が行われた。本発表では、上記のスクリーン高度化の詳細とセプタムダクト入替によるOTR画像の歪み改善結果について報告する。 |
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THP09 p.692 | KEK LINACにおけるPXIeデバイスを使用してLinuxベースのパルスマグネット制御システムの開発 The development of Linux-based pulsed magnet control system using PXIe devices at KEK LINAC ○王 迪,佐藤 政則(高エネ研),牛本 信二(三菱電機システムサービス(株)) ○Di Wang, Masanori Satoh (KEK), Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd) The pulsed magnet control system at KEK electron positron injector LINAC operates at every 20 ms to achieve the simultaneous injection for four rings, 2.5 GeV PF, 6.5 GeV PF-AR, 4 GeV SuperKEKB LER and 7 GeV SuperKEKB HER. The system consists of a control PC which operates on the Windows 8.1 platform, in conjunction with a PXIe chassis equipped with a DAC, an ADC and an event timing module. The PXIe DAC board responds to the trigger signal which is generated from the event receiver and sets the current of the pulsed magnet. The current readback value of magent is retrieved from the ADC module. However, the discontinued support of Windows 8.1 and high failure rate require an upgrade of the current system. To reuse current hardware, the upgraded system uses Linux to communicate with PXIe modules and the EPICS driver for PXIe devices is thus required. The development of the new Linux-based pulsed magnet control system is introduced in this work. |
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THP10 p.695 | NanoTerasu真空制御システムの構築 Construction of NanoTerasu vacuum control system ○黒木 教平(日立造船),安積 隆夫,保坂 勇志,西森 信行(量研),大石 真也(JASRI/理研/量研),小路 正純,高野 史郎,田村 和宏,櫻井 辰幸(高輝度光科学研究センター/理研/量研),上田 庸資,谷内 友希子,正木 満博,増田 剛正(高輝度光科学研究センター/量研),福井 達(理研),仲谷 光司,北村 全伸,小玉 康太(日立造船) ○Kazutoshi Kurogi (Hitachizosen), Takao Asaka, Yuji Hosaka, Nobuyuki Nishimori (QST), Masaya Oishi, Masazumi Shoji, Shiro Takano, Kazuhiro Tamura, Tatsuyuki Sakurai (JASRI/RIKEN/QST), Yosuke Ueda, Yukiko Taniuchi, Mitsuhiro Masaki, Takemasa Masuda (JASRI/QST), Toru Fukui (RIKEN), Koji Nakatani, Masanobu Kitamura, Kota Kodama (Hitachizosen) 本発表では、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構にて推進する次世代放射光施設NanoTerasuのライナックおよび蓄積リング内に構築した真空制御システムについて示す。本システムの概要は以下のとおりである。(1)システムの中核として、PLCおよびタッチパネルを組込んだ制御装置を製作し、真空計等の各機器から取込んだアラーム信号の状態表示や、信号状態から複合的に判断してゲートバルブ閉鎖および電子ビーム出射停止指令を自動的に行う。 (2)ライナック真空制御は、各セクションの機器と信号取合をする真空制御装置と、CC-Link経由で複数の真空制御装置の信号の集約監視および電子ビーム停止指令を担う真空インターロック装置にて行う。 (3)蓄積リング真空制御は、各セルおよびRF部の機器と信号取合をする真空制御装置にて主に行い、各装置はCC-Link IE Control経由で信号状態を共有監視する。同リンクは真空インターロック装置を含み、蓄積リング内の信号状態に応じて電子ビーム停止指令を行う。 (4)VNC(Virtual Network Computing)サーバ機能により、真空制御装置のタッチパネル表示をトンネル内に持ち込んだタブレット端末上にも表示可能とし、メンテナンス性の高いシステムとした。 以上の真空制御システム構築後、NanoTerasu運用開始に向けて安定的に制御が行われている。 |
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THP11 p.699 | LAN-DIO (Digital-IO to LAN) コンバータの評価 Evaluation of a LAN-DIO (Digital-IO to LAN) Converter ○楊 敏,上窪田 紀彦(KEK),都丸 隆行(NAOJ) ○Min Yang, Norihiko Kamikubota (KEK), Takayuki Tomaru (NAOJ) In J-PARC, digital-IO signals are often handled by PLC D-IO modules. Even when number of signals is less than 8, a PLC-CPU module is necessary. This fact results in slightly high cost. A commercial LAN-DIO converter, FutureNet XIO-100, has been tested as an alternate low-cost solution. The converter has 8 digital inputs and 8 digital outputs, which can be monitored/controlled through Ethernet or a serial line (RS-485/232). The remote communication is based on Modbus protocol. An EPICS support for the converter was developed using StreamDevice. Then, a converter was tested at KAGRA. In the spring of 2023, remote monitoring of vacuum devices (two gate valves, a roots pump and an ion pump) is realized successfully. The details of the converter, development of EPICS support, and the evaluation at KAGRA will be described. |
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THP12 p.703 | 機械学習を用いた加速器運転調整システムの開発:GANを用いた加速器シミュレータの開発 Development of an accelerator control system using machine learning: Development of an accelerator simulator using GAN ○度会 龍(阪公大),岩崎 昌子(阪公大、阪公大NITEP、阪大RCNP),中島 悠太(阪大IDS),武村 紀子(九工大、阪大IDS),長原 一(阪大IDS),中野 貴志(阪大RCNP、阪大IDS),佐藤 政則,佐武 いつか(KEK加速器) ○Ryu Watarai (Osaka Metropolitan U.), Masako Iwasaki (Osaka Metropolitan U. , OM Univ. NITEP, Osaka Univ. RCNP), Yuta Nakashima (Osaka Univ. IDS), Noriko Takemura (Kyutech, Osaka Univ. IDS), Hajime Nagahara (Osaka Univ. IDS), Takashi Nakano (Osaka Univ. RCNP, Osaka Univ. IDS), Masanori Satoh, Itsuka Satake (KEK Acc.) 我々は、深層学習を適応したKEK Linac加速器の運転調整システムの開発を行っている。加速器運転においては、環境温度のドリフトなどに起因してビーム状態が変化する。このため、安定した加速器運転のためには、多数のビーム運転パラメータを常時最適値に調整する必要がある。深層学習を使用した運転調整システムを開発することで、高速化および高精度化を目指している。そのためには環境適応型機械学習(強化学習)が有効であると考えられるが、強化学習を行うためにはリアルなシミュレータが必要である。そこで本研究では、生成モデルの一種である敵対的生成ネットワーク(GAN)を利用した加速器シミュレータの開発を行っている。GANは、2つのニューラルネットワークを組み合わせることで、実データの特徴を模倣した疑似データを生成することを可能にしている。先行研究により、加速器データをGANに適応するとモード崩壊という現象が発生することが示された。モード崩壊とは、生成される疑似データの分布が実データと比較して一部に偏る現象であり、この現象が発生するとGANをシミュレータとして使用することは困難である。本研究ではモード崩壊を解決する手段として、機械学習による変分オートエンコーダを応用した次元削減手法を開発した。本発表では、このモード崩壊の回避手段に加え、生成した疑似データによる加速器パラメータ最適化の評価および加速器制御性能の評価について報告する。 |
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THP13 p.708 | KAGRA真空監視系へのKEK加速器技術の導入 II Introduction of accelerator know-hows to KAGRA's vacuum system II ○上窪田 紀彦,楊 敏(J-PARC Center, KEK and JAEA),都丸 隆行(国立天文台),木村 誠宏,中垣 浩司,内山 隆(東大宇宙線研) ○Norihiko Kamikubota, Min Yang (J-PARC Center, KEK and JAEA), Takayuki Tomaru (NAOJ), Nobuhiro Kimura, Kouji Nakagaki, Takashi Uchiyama (ICRR) KAGRAは東大宇宙線研の重力波観測施設で、3kmx3kmのレーザ干渉計が岐阜県神岡の地下に建設されている。現状のKAGRA真空系の遠隔監視の整備は十分ではない。2021年度からKEK加速器標準のEPICS技術の導入を始めた。真空監視用のPrototype interface (PLC based)を開発し、2022年春にKAGRAの真空実機で評価した(Pasj2022発表)。その後、量産向けのInterfaceを再検討し、PLCの替わりにLAN-DIO(Digital-IO to LAN)を採用したPrototype2の開発・評価が行われた。今後、Prototype2を順次導入していく予定である。本稿では、現時点でのKAGRA真空監視系の整備状況を報告し、真空整備をめぐる問題点や今後の見通しについて議論する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1431教室) | |
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THP14 p.712 | J-PARC MR 8GeV運転時における主電磁石への磁場ヒステリシス影響 Effect of magnetic hysteresis on the main magnet when operated at 8 GeV in J-PARC MR ○三浦 一喜,下川 哲司,森田 裕一,吉井 正人(高エネ研),吉成 柾(株式会社NAT),冨澤 正人,武藤 亮太郎(高エネ研) ○Kazuki Miura, Tetsushi Shimogawa, Yuichi Morita, Masahito Yoshii (KEK), Masaki Yoshinari (NAT), Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto (KEK) J-PARC主リング(MR)は、速い取り出し(FX)運転および遅い取り出し(SX)運転の2種類の運転モードを切り替えてビームの取り出しを行う円形加速器であり、FX運転、SX運転いずれも加速エネルギー30 GeVでの取り出しを通常行っているが、現在進行中のCOMET計画ではSX運転で8 GeVでのビーム取り出しが求められている。2023年1月~2月に行われた8 GeVビーム試験では、無事に8 GeVのビームがハドロン実験施設に取り出されたが、そのビーム試験中に行われた半日程度の機器停止を伴うメンテナンスの前後でビームの状態が再現しない事象が確認された。この事象に対して各機器のパラメータ等の設定確認が行われたものの、メンテナンス前の状態と同設定であることが確認されたことから、主電磁石の磁場ヒステリシスの影響が指摘され、メンテナンス前と同じく主電磁石で30 GeVパターン通電後に8 GeVパターン通電を行ったところ、メンテナンス前のビーム状態を再現し、8 GeVビーム試験は継続された。 このことから、主電磁石に残っている前回通電時のヒステリシス影響によって磁場が変わることが想定されたため、ビーム試験終了後に主電磁石の磁場測定を行い、運転パターンによる磁場へのヒステリシス影響を確認した。本報告ではその確認結果および次回の8 GeVビーム試験に向けた検討結果を紹介する。 |
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THP15 | SuperKEKB ダンピングリング用キッカー電源のピーク電流安定度の改善 Improvement stability of the peak current kicker power supply for the SuperKEKB damping rings ○亀崎 広明,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),多和田 正文(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroaki Kamezaki, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.(PPJ)), Masafumi Tawada (High Energy Accelerator Research Organization(KEK)) 高エネルギー加速器研究機構のSuperKEKBに導入されたDRキッカー電源は,96nsの間に2回1700Apk±0.1%,立ち上がり100nsの正弦半波を最大50Hz出力が可能である.一方で,繰り返し運転に伴いDRキッカー電源の電流ピーク値の安定度が低下することが分かった.これは,主に磁気パルス圧縮回路のコンデンサと磁気スイッチのコアの温度特性が影響していた.本報告では,磁気パルス圧縮回路のコンデンサを変更し,磁気パルス圧縮回路に用いたコアを冷却することで安定度の改善と評価を行った. |
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THP16 p.716 | アバランシェサイリスタスイッチを用いたキッカー電源の動作試験 Operation test of kicker power supply using avalanche thyristor switch ○内藤 孝,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Naito, Mitsuo Akemoto (KEK) KEK SupserKEKB加速器では、MR入射のために複数のキッカー電源が用いられている。ビーム入射のために安定な動作が必要あり、サイラトロンスイッチの評価や回路定数の最適化のためにキッカー電源のテストベンチを用意している。今回、サイラトロンスイッチの半導体化の可能性を評価する目的でサイラトロンスイッチをアバランシェサイリスタスイッチに置き換え動作試験を行った。 そのキッカー電源テストベンチでの試験結果について報告する。 |
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THP17 p.720 | KEK電子陽電子入射器におけるパルス電磁石の磁場測定 Magnetic field measurement of pulsed magnets at KEK electron/positron injector linac ○横山 和枝,染谷 宏彦(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazue Yokoyama, Hirohiko Someya (KEK) KEK電子陽電子入射器(Linac)は、下流の独立した4つのリングへ異なる仕様のビームを同時入射するために、ビーム輸送系にパルス電磁石を導入している。パルス電磁石の励磁電流は、各ビームモードのオプティクス仕様に合わせた磁場強度にする必要があるため、パルス電源の生成するパルス波形も特殊である。ここでは、KEK電子陽電子入射器のパルス電磁石系の磁場測定について報告する。 |
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THP18 p.724 | J-PARC主リングにおける加速途中のビーム取出し軌道の最適化 Optimization of extracted beam orbit during acceleration at J-PARC main ring ○岩田 宗磨,石井 恒次,芝田 達伸,佐藤 洋一,安居 孝晃(高エネルギー加速器研究機構),吉村 宣倖(京都大学),木村 琢郎,上窪田 紀彦,松本 教之,松本 浩(高エネルギー加速器研究機構) ○Soma Iwata, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Yoichi Sato, Takaaki Yasui (KEK), Nobuyuki Yoshimura (Kyoto University), Takuro Kimura, Norihiko Kamikubota, Noriyuki Matsumoto, Hiroshi Matsumoto (KEK) J-PARC主リング(MR)でのビーム運転において、機器の異常などを検知した場合、速い取り出し(FX)でアボートダンプへビームを捨て、ビーム運転を停止する。これは加速途中であっても動作時間1ms以内で実行される。FXセクションを構成するキッカー電磁石(KM)およびセプタム電磁石(SM)のうち、パルス励磁されるKMと低磁場SMの充電パターンは増加するビームエネルギーと同期させることが難しい。従って、加速途中に取り出されたビームのアボートダンプまでの軌道は、30 GeVのフラットトップや3 GeVのフラットボトムで取り出される調整されたビーム軌道とは一致しない。一方で、ビームダンプ以外の場所にビームが照射されるのは避けなければならない。ビームダンプまでの真空ダクトのベローズ部分や溶接部分などに高強度ビームが照射されると破損の可能性がある。ビーム軌道の変化はアボートダンプの直径700 mmの範囲内であればよい。KMや低磁場SMの充電パターンや、パターン励磁される高磁場SMの通電パターンを調整し、加速途中のいずれのタイミングで取り出されてもアボートダンプに到達する解を求めた。2023年4月のビーム試験において、ニュートリノ実験施設へのビーム供給を想定した運転条件で加速途中の5, 8, 15, 20, 25 GeVで取り出しを行い、全てアボートダンプまで到達することを確認した。それぞれの軌道は計算と概ね一致しており、期待通りの成果が得られた。 |
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THP19 p.730 | ハーモニートロン実現を目指す垂直FFA加速器原理実証モデルの磁石設計 Magnet design of vertical FFA PoP model for Harmonytron ○足立 恭介,有馬 秀彦,米村 祐次郎,髙松 恒輝,堂本 剛秀,石橋 一心,宇山 真一朗,池田 伸夫(九州大学),森 義治(京都大学) ○Kyosuke Adachi, Hidehiko Arima, Yujiro Yonemura, Koki Takamatsu, Takahide Domoto, Isshin Ishibashi, Shinichiro Uyama, Nobuo Ikeda (Kyushu Univ.), Yoshiharu Mori (Kyoto Univ.) 大強度ハドロンならびに短寿命ミューオンを効率良く加速する新しい加速方式:ハーモニートロン(Harmonytron)が提案されている。ハーモニートロンは、曲率半径を一定に保ったまま加速と共に軌道が垂直方向に変化する垂直FFA(Fixed Field Alternating gradient)加速器を採用する。垂直FFA加速器の磁場は通常の加速器と異なり、スキュー磁場成分を含む。そのため、水平方向と垂直方向の粒子の運動が結合(カップリング)し、その運動の複雑化は磁石設計を困難にしてきた。なお、現在まで実機の開発と原理検証は行われていない。九州大学では、垂直FFA加速器の原理実証を目指して垂直FFA加速器原理実証モデルの設計・開発を進めている。垂直FFA加速器原理実証モデルの設計を進めるにあたり、カップリングを含む粒子の複雑な運動を考慮できる手法が重要となる。本研究では、垂直FFA加速器原理実証モデルの磁石設計を目的とし、3次元磁場解析コードを用いた光学系設計における新しい評価手法を提案した。本発表では、垂直FFA加速器原理実証モデルの開発の現状と磁場測定結果について報告する。 |
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THP20 | 東北大CYRICでの負イオン加速における多層グラフェンのストリッパーフォイルの評価と軌道計算 Evaluation of multilayer graphene for stripper foil and orbital calculations in CYRIC negative ion acceleration ○米倉 章平,伊藤 正俊,足立 智,細谷 弦生,山崎 峻平,斉藤 僚太(東北大学 CYRIC),松田 洋平(甲南大学),高橋 研,高橋 直人,本間 隆之,児玉 頌平(住重加速器サービス) ○Shohei Yonekura, Masatoshi Itoh, Satoshi Adachi, Genki Hosoya, Syunpei Yamazaki, Ryota Saito (CYRIC Tohoku Univ.), Yohei Matsuda (Konan Univ.), Ken Takahashi, Naoto Takahashi, Takayuki Honma, Shohei Kodama (SHI Accelerator Service Ltd) 現在東北大学CYRICでは大強度中性子ビーム生成に向けて負重水素イオンの加速を試みている。加速された負重水素イオンはストリッパーフォイルによって荷電変換され、重陽子ビームとして引き出される。サイクロトロン加速器に用いられるストリッパーフォイルはカーボンフォイルが代表的であり、長寿命であるほどフォイル交換の頻度を減らすことができるため、運転効率の向上が見込める。CYRICでは2022年よりストリッパーフォイルの素材としてカネカ製の多層グラフェンを用いていて、このフォイルは銅の4倍ほどの熱伝導性や高い熱安定性や強度が報告されている。本研究では、多層グラフェンフォイルと蒸着生成されたカーボンフォイルをそれぞれ使用し、負イオンの引き出し前後での厚さを測定した。厚さの変化を比較し、多層グラフェンのストリッパーフォイルとしての適正について報告する。 また、PSIで開発された空間電荷効果やビームエミッタンスを考慮した軌道計算が行えるOPALを用いて負イオン加速のシミュレーションを行なっている。負重水素イオン加速時のストリッパーフォイルを通過後のビームについて、ビームストッパーとスリットを用いて分布を測定した。ストリッパーフォイルの位置と通過後の分布とシミュレーションの結果との比較も報告する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1432教室) | |
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THP21 | 我が国におけるRFQ線形加速器の40年の歩み 40-year history of RFQ linacs development in Japan ○林崎 規託(東工大) ○Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) 我が国におけるRFQ線形加速器の歴史が40年を超えた。これまで発表されてきた論文や資料などをもとに,その歩みを振り返り,今後の展開について考える。 |
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THP22 p.735 | QST量医研静電加速器施設(PASTA&SPICE)の現状報告 Progress report of QST-Chiba electrostatic accelerator facility (PASTA & SPICE) ○石川 剛弘,須田 充,及川 将一(量研機構 量医研 ) ○Takahiro Ishikawa, Mitsuru Suda, Masakazu Oikawa (Institute for Quantum Medical Science, QST) 量子科学技術研究開発機構量子医科学研究所(QST量医研)の静電加速器棟では、1999年に最大ターミナル電圧は1.7 MVのタンデム加速器(High Voltage Engineering Europe社製Tandetron Model 4117MC)へ更新した。2000年からマシンタイムの提供を開始し、陽子線を試料に照射し元素の分析を行うPIXE(Particle Induced X-ray Emission)分析を行っている。PASTA(PIXE Analysis System and Tandem Accelerator)の愛称で様々な分野の研究者に利用されてきた。 PIXE分析においては、マイクロビームを用いたマイクロPIXE分析の利用がほとんどである。マイクロPIXEは、陽子線を電磁場で集束してマイクロビームを形成し、そのマイクロビームを走査することにより、1μm以下の高分解能で二次元元素マップを取得可能である。極小な試料や少ない試料も高感度で測定できる利点を持っている。 また、2003年3月にマイクロPIXE分析装置のビーム集束技術を応用した、SPICE(Single Particle Irradiation system to Cells)の増設を行い、細胞を陽子1個から狙い撃ちできるため、低線量放射線生物影響研究に使用されている。 2004年3月には、PASTA & SPICEの産学への利用促進のため、「共用施設・設備」に指定された。更に幅広い分野からの分析依頼が予測され、常に各装置の高度化や技術開発を行っている。 本発表では、QST量医研静電加速器棟のPIXE/PIGE分析装置の概要及び現状について報告する。 |
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THP23 p.738 | J-PARC MR静電セプタムリボンのアライメント測定 Measurement of electrostatic septum ribbons alignment at J-PARC MR ○沼井 一憲,武藤 亮太郎,冨澤 正人,村杉 茂,柳岡 栄一,岡村 勝也,木村 琢郎,白壁 義久(KEK),松村 秋彦(NAT) ○Kazunori Numai, Ryotaro Muto, Masahito Tomizawa, Shigeru Murasugi, Eiichi Yanaoka, Katsuya Okamura, Takuro Kimura, Yoshihisa Shirakabe (KEK), Akihiko Matsumura (NAT) J-PARC MRにおいてハドロン実験施設への大強度陽子ビームは遅い取り出し方式によって供給される。この遅い取り出しを実現するための機器のうちの一つに静電セプタムがある。静電セプタムの大まかな構成としてチェンバーの中に電極とヨークがあり、ヨークにはレニウムタングステンのリボンが張られている。このリボンのアライメント精度はビームロスに影響するため、測定を行いアライメントの悪いリボンは張り替えを行う。 2022年に行った1回目のリボンアライメント測定の結果、測定値に2つのピークが見えた。今回使用したリボンは酸化皮膜を除去したリボンを使用したということもあり、原因確認の目的も含め張り替えを決定した。 リボン張り替えにあたり、今まで行っていなかったリボンの表面状態とアライメント精度の相関関係についての調査、1軸ステージによるリボンの測定、リボンのかしめ金具の変更を行った。その結果良好な結果が得られたため、これまで行ってきたリボンアライメント測定について報告をする。 |
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THP24 p.741 | 中赤外自由電子レーザーによる気体のトンネルイオン化電子のエネルギー計測 Energy mesurement of electrons generated from tunneling ionization of gas molecules driven by a mid-infrared free electron laser ○川瀬 啓悟,羽島 良一(QST),全 炳俊,大垣 英明(京大) ○Keigo Kawase, Ryoichi Hajima (QST), Heishun Zen, Hideaki Ohgaki (Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所の赤外自由電子レーザー(KU-FEL)はこれまで高品質化、高強度化開発が続けられ、光陰極による高電荷運転により、集光強度10 TW/cm^2を十分に超える高強度パルスを得ることができる。中赤外によるこのような高強度場では気体分子のトンネルイオン化が容易に起こりうる領域となり、KU-FELを用いた高強度場原子、分子科学の研究が実施できる。そこで本研究では、FELを低密度気体内に集光し、そこで発生する電子のエネルギー分析をすることで、FELの集光強度の評価を試みる。本発表ではこれまでの実験結果とそれに対する考察を紹介する。 |
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THP25 | Compact ERLにおけるFEL強度増強に向けた光共振器型FELのシミュレーション Numerical simulation on cavity-based FEL to increase FEL pulse intensity at the compact ERL ○谷川 貴紀,本田 洋介,加藤 龍好,島田 美帆,中村 典雄,阪井 寛志(高エネ研) ○Takanori Tanikawa, Yosuke Honda, Ryukou Kato, Miho Shimada, Norio Nakamura, Hiroshi Sakai (KEK) ERL原理の実証機として2013年にKEKに建設されたcompact ERLはその後2台のアンジュレータが設置され、2021年に中赤外FEL光の光増幅が観測された。しかしながら光強度は飽和に至っておらず、今後の産業利用展開を鑑みると更なる光強度増強が必要となる。光強度増強には様々な手法が考えられるが、その一つとしてアンジュレータを光共振器で挟む光共振器型FELを検討している。本発表では光共振器の光学系や輸送系の影響も考慮した光共振器FELのシミュレーション結果について報告する。 |
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THP26 p.744 | 日大LEBRA-FELマクロパルス波形の共振器長デチューニング依存性 Dependence of FEL macropulse-waveform on optical-resonator detuning in LEBRA-FEL, Nihon University ○長瀬 敦(日大理工),早川 恭史,境 武志,早川 建,田中 俊成,高橋 由美子(日大量科研),住友 洋介(日大理工) ○Atsushi Nagase (CST, Nihon Univ.), Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yumiko Takahashi (LEBRA, Nihon Univ.), Yoske Sumitomo (CST, Nihon Univ.) 日本大学LEBRAではクライストロンのパルス幅最大20μs、繰り返し2pps、加速周波数2856MHzにより、最大ビームエネルギー100MeVの常伝導電子線形加速器を用いて共振器型の自由電子レーザー(FEL)を波長900-6700nmの範囲で発振を達成している。共振器型FELでは、FEL利得と飽和レベルが光共振器の共振器長に強く依存する。また、常伝導加速器の場合はクライストロンのパルス幅によって決まるマクロパルス幅が有限であるため、結果的に得られるFEL強度はマクロパルス幅にも依存する。LEBRAでは加速周波数と同期する共振器長6718mmであり、ピエゾ素子を用いることで数μm-数十μmの範囲で共振器長を制御している。いくつかの波長において共振器長の変化に対するFELマクロパルス強度の変化をデチューニング曲線として測定し、各デチューニング長におけるFELマクロパルス波形を取得した。さらに、3D-FELコードであるGENESISを共振器FELに適用し、LEBRA-FELの条件におけるデチューニングによるマクロパルス波形の変化をシミュレーションで再現することを試みた。各デチューニング長におけるFELマクロパルス波形の定性的な変化、およびLEBRAでの測定結果とGENESISのシミュレーションで再現した両者の比較・分析について報告する。 |
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THP27 | EUV-FELへの超伝導アンジュレータの導入可能性の検討 Investigation of the possibility of introducing superconducting undulators to EUV-FEL ○加藤 龍好,土屋 公央,本田 洋介,谷川 貴紀(高エネ研) ○Ryukou Kato, Kimichika Tsuchiya, Yosuke Honda, Takanori Tanikawa (KEK) KEKでは近い将来に先端半導体露光で必要とされる強力なEUV光源としてERL技術を用いた高平均出力のFEL(EUV-FEL)を提案している。EUV-FELのプロトタイプ機は波長13.5nmで10kW以上の出力を有し、EUV-FEL一台で10台の各露光機に1kWのEUV光を供給することを想定している。このEUV-FELは偏光制御や露光機1台当たりの光源の建設維持コスト・消費電力だけでなく、次世代半導体露光として検討されている波長6.7nmのBeyond EUVへの拡張性など多くの利点を有している。他方、全長200mにおよぶ装置サイズが装置導入の足かせになると懸念されており、EUV-FELの実機ではよりコンパクトなサイズに収まることが求められている。コンパクト化を図る手法の一つとして、EUV-FELへの超伝導アンジュレータ(SCU)の導入が考えられる。日本国内ではこれまでSCU開発の実績がないが、海外ではすでにいくつかの研究機関で開発が進められている。特に米国APSでは2015年にAPSリングにNbTi線材を用いたSCU1号機をインストールしたのをはじめとして、すでに3台のSCUが設置・運用されている。ここでは、現在EUV-FELプロトタイプで想定している可変偏光アンジュレータの代わりとしてSCUを導入した場合の電子ビームエネルギー、FEL出力や飽和に必要とされるアンジュレータ長について報告する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1441教室) | |
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THP28 | 表面部分窒化無酸素無炭素Ti蒸着膜の排気速度測定と 放射光ビームラインへの応用 Pumping speed measurement of surface partially nitrided oxygen-free carbon-free Ti deposited films and application to synchrotron radiation beamlines ○菊地 貴司,片岡 竜馬,田中 宏和(高エネ研),若林 大佑,大東 琢治,仁谷 浩明(高エネ研、総研大),上園 波輝,櫻井 岳暁(筑波大),間瀬 一彦(高エネ研、総研大) ○Takashi Kikuchi, Ryouma Kataoka, Hirokazu Takana (KEK), Daisuke Wakabayashi, Takuji Ohigashi, Hiroaki Nitani (KEK,SOUKENNDAI), Namiki Uezono, Takeaki Sakurai (Univ. of Tsukuba), Kazuhiko Mase (KEK,SOUKENNDAI) 高真空中で加熱すると反応性の高い表面が生成し、残留ガスを排気する材料を非蒸発型ゲッター(NEG)と呼ぶ。NEGは無電源で超高真空を維持できることから、ビームラインに応用すれば、放射光実験施設のCO2排出削減に貢献する。本研究では炭素と酸素が極めて少なく、表面を部分的に窒化したTiをICF203ブランクフランジに蒸着して、排気速度測定装置に設置し100℃、150℃、200℃、250℃で24時間ベーキングした時の全圧の変化とH2に対する排気速度を測定した。その結果、150℃ベーキングで残留ガスを排気し、250℃までベーキングすると有意にH2を排気することを見出した。そこで、PF2.5GeVリングのBL-12Cの新上流部の配管内面に表面部分窒化無酸素無炭素Ti蒸着し、250℃ベーキングしたところ、真空封じ切り状態で、2.2×10–8 Paの超高真空を維持できることを確認した。 |
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THP29 p.748 | SuperKEKBの入射キッカー暴発対策用コリメータの開発 Development of a collimator to counteract accidental fire of the injection kicker for SuperKEKB ○照井 真司,菊池 光男,三増 俊広,石橋 拓弥(高エネ研),ナトチー アンドリー(ハワイ大学),渡邊 謙,末次 祐介,柴田 恭,白井 満,飯島 和彦(高エネ研) ○Shinji Terui, Mitsuo Kikuchi, Toshihiro Mimashi, Takuya Ishibashi (KEK), Andrii Natochii (University of Hawaii), Ken Watanabe, Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Mitsuru Shirai, Kazuhiko Iijima (KEK) SuperKEKBの入射キッカーは、サイラトロンを用いたシステム構成となっている。サイラトロンは、大電力スイッチング用ガス封入型の熱陰極管であり、原理的に自爆を0にすることはできない。SuperKEKBのメインリングは、非常に高いビーム電流であるため、入射点前後のどちらのキッカーが自爆すると、ビームパイプを損傷させてしまう。対策としては、入射点前後のキッカーの電源を同一のものにして、暴発しても軌道が閉じるようにするという方法が考えられる。しかし、SuperKEKBのLERでは、入射点近くにビームダンプが近くにあるという制約がある。この制約があるため、キッカーの同一電源システムとアボートシステムが共存するオプティクスを設計できない。よって、我々は上述の対策ではなく、暴発したビームを受け止めるコリメータを開発することになった。本学会では、入射キッカー暴発時の被害の影響と、カーボンコンポジットを用いた暴発対策用コリメータの開発とシミュレーション結果について報告する。 |
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THP30 | 無酸素Pd/Ti非蒸発型ゲッター(NEG)を蒸着した溝加工付きICFフランジの排気性能評価と生産安定性評価 Evaluation exhaust performance and production stability of ICF flange with groove machining by deposited with oxygen-free Pd/Ti non-evaporative getter (NEG) ○狩野 悠,濱中 健一,矢部 学,加藤 良浩(入江工研(株)),菊地 貴司(KEK物構研),間瀬 一彦(KEK物構研 総研大) ○Yu Kano, Kenichi Hamanaka, Manabu Yabe, Yoshihiro Kato (IKC), Takashi Kikuchi (KEK/PF), Kazuhiko Mase (KEK/PF SOKENDAI) 加速器では、完全オイルフリー、無騒音、無振動、省スペース、省エネルギー、低コストでありながら、10-7 Pa以下の超高真空下において高い排気速度を持つ真空ポンプが求められている。KEKの間瀬らはこうした要求に応えるために新しい非蒸発型ゲッター(NEG)である無酸素Pd/Tiを開発した[1]。無酸素Pd/Tiは133℃、12時間のベーキング後に室温に戻すとH2とCOを排気し、真空排気とベーキング、大気導入のサイクルを繰り返しても排気速度が低下しない[2]。最近の研究では、125℃、6時間のベーキングでも活性化することが報告されている[3]。本研究では、無酸素Pd/Ti非蒸発型ゲッター(NEG)技術の製品化にむけ、24本の溝を切削加工したICF203ブランクフランジに無酸素Pd/Ti薄膜を蒸着し、オリフィス法での排気速度測定を複数回実施した。また蒸着を複数回行い生産安定性の確認を行ったので併せて報告する。 [1] T. Miyazawa et al., J. Vac. Sci. Technol. A 36, 051601 (2018). [2] T. Kikuchi et al., AIP Conf. Proc. 2054, 060046 (2019). [3] Y. Sato et al., Vacuum 212, 112004 (2023) |
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THP31 p.753 | ILC導波管コンポーネントの大電力試験のためのLバンド-レゾナントリングの運転 Operation of L-band resonant ring for high power test of ILC waveguide components ○塙 泰河,石本 和也,沼田 直人(NAT),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,中島 啓光,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(KEK) ○Taiga Hanawa, Kazuya Ishimoto, Naoto Numata (NAT), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Hiromitsu Nakajima, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) 国際リニアコライダー(ILC)での超伝導空洞への高周波源として10 MWマルチビームクライストロン(MBK)の使用を予定しており、その仕様は運転周波数1300 MHz, パルス幅1.65 ms, 繰り返し5 Hz, 最大出力10 MW(5 MW×2ポート)である。超伝導空洞に付帯した入力カプラーまでL-band方形導波管(WR650)を用いて立体回路を構成、RFを供給する。このため、導波管は最大で5 MWのRF出力に耐えることが要求される。しかし、STF加速器の運転時、通過RFが数MWに満たないところで導波管コンポーネントのフランジ部を主に管内放電が頻発している。現在、L-band レゾナントリングを用いた大電力試験により、前述の条件に耐え得る導波管製造方法の確立を進めている。本発表では、従来とは異なる製造方法で製作した導波管の大電力試験結果、レゾナントリングの改良及び不具合について報告を行う。 |
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THP32 p.757 | S-band 80 MW マルチビームパルスクライストロンの開発 Development of S-band 80 MW multi-beam pulsed klystron ○夏井 拓也,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,Wang Shengchang,福田 茂樹(KEK) ○Takuya Natsui, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Shengchang Wang, Shigeki Fukuda (KEK) KEK電子陽電子入射器では,S-band 50 MWのパルスクライストロンが約60台稼働している.このクライストロンは30年ほど前に開発されたもので,その効率は45%程度と現在ではとても高効率とは言えない.昨今の電力価格の高騰からもクライストロンの高効率化が望まれている.そこで,我々は現在のクライストロンの置き換えを狙って新しく高効率クライストロンの開発を始めている.目標効率を73%に設定してマルチビームクライストロンの設計を行なっている.大電力パルスS-band帯域でのマルチビームクライストロンの開発は世界的にも珍しく今後のクライストロン開発にも貢献できると考えている.我々が進めている基本デザインや設計進捗などを報告したい. |
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THP33 | KEK LUCX 施設でのデジタル LLRF フィードバックの開発、実装、テスト Digital LLRF feedbacks development, implementation and test at KEK LUCX facility ○ポポフ コンスタンティン(SOKENDAI, School of High Energy Accelerator Science),アリシェフ アレクサンダー,照沼 伸宏(High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) ○Konstantin Popov (SOKENDAI, School of High Energy Accelerator Science), Alexander Aryshev, Nobuhiro Terunuma (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) High Demand for stability, accuracy, reproducibility and monitoring capability were placed on accelerators LLRF systems, because of fundamental and applied experimental requirements. Meanwhile, availability of FPGA boards became better during last two decades. Nowadays, it is possible to implement FPGA based LLRF feedback using boards with low-bandwidth ADC&DAC. There are two options to implement feedback into the LLRF system. The first option employs external I/Q demodulator, I/Q signals digitization, phase and amplitude calculation, buffering into DDR memory, PI feedback, I/Q modulation and RF signal regeneration. This approach does not require an expensive, highly stable slave oscillator or slave signal generator to down-convert picked-up signals from RF cavity. The second option is almost the same, but I/Q demodulator is implemented into the FPGA logic. Both approaches were implemented and tested at KEK LUCX facility. This report presents feedbacks’ performance results. Also, technical details of the feedback implementation into the KEK LUCX facility LLRF system are discussed. |
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THP34 p.760 | KEK電子陽電子入射器高周波源のPCB含有機器交換(II) - モジュレータ用平滑コンデンサ交換の状況報告 - Exchange of pcb containing equipments for rf sources in kek electron/positron linac (II) - Status report on exchange of smoothing capacitors for modulators - ○川村 真人,中島 啓光,松本 修二,本間 博幸(高エネ研),馬場 昌夫,東福 知之,今井 康雄,久積 啓一(三菱電機システムサービス(株)),深作 重光((有)双葉工業) ○Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Shuji Matsumoto, Hiroyuki Honma (KEK), Masao Baba, Tomoyuki Toufuku, Yasuo Imai, Keiichi Hisazumi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Shigemitsu Fukasaku (Futaba Kougyou Co., Ltd.) 一昨年、KEK電子陽電子入射器高周波源のPCB含有機器の交換について、概要、当時の状況、作業方針などを報告した。本報告では第2報として、それら機器のうち、特にモジュレータ用平滑コンデンサについて、交換作業の進捗状況、今年度の作業、今後の予定などを報告する。 |
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THP35 p.763 | 1.7kV SiC MOSFETを用いた半導体MARX型マグネトロンモジュレータ A solid-state MARX-type magnetron modulator with 1.7kV SiC MOSFET ○生駒 直弥,徳地 明(パルスパワー技術研究所) ○Naoya Ikoma, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory) 医療用,産業用の小型電子加速器が普及する中で,その高周波源であるマグネトロンを駆動するためのモジュレータ電源にも小型化,高効率化が求められている.一方で,半導体デバイスの中でも高耐圧,低損失という優れた特徴を有するシリコンカーバイド(SiC)を用いたパワーMOSFETも普及が進み,現在では1.7kV品が入手可能となっている.この度,我々は,1.7kV SiC MOSFETを用いた半導体MARX型のマグネトロンモジュレータを製作したので報告する. |
ポスター③ (8月31日 14号館1442教室) | |
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THP36 p.766 | KEK iCASAにおけるILCに向けた陽電子源開発の現状と計画 Present status and plan on development of positron source for ILC in KEK iCASA ○榎本 嘉範,福田 将史,森川 祐,早野 仁司(高エネ研) ○Yoshinori Enomoto, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa, Hitoshi Hayano (KEK) KEK iCASAではILCで必要となる大強度陽電子源を開発することを目的として、2022年より陽電子ビームダンプグループを立ち上げた。KEKではTRISTAN以来、KEKB、SuperKEKBで継続的に陽電子源の開発運用を行ってきた実績がある。加えて、物性利用を中心とした低速陽電子施設の運用も行っている。現在運転中の陽電子源としては、効率、ビームパワーともにSuperKEKBが世界最高であるが、ILCではSuperKEKBに対して効率で2倍以上ビームパワーで20倍以上の非常に厳しい要求がだされている。これらの要求仕様を満たすために、これまでのプロジェクトで蓄積した経験を活かしつつ、主に以下の4点を中心に、技術開発を進めている。 (1)大強度ビームに耐えうる超高真空対応水冷回転標的の開発 (2)高繰り返し、大電流対応のフラックスコンセントレータの開発 (3)10kWを超える2次粒子からの熱負荷を受ける環境化でマルチバンチ運転を考慮したビームローディング補償可能な加速管の開発 (4)放射化環境下での円滑な交換機構 本発表ではこれらについて現状と今後の計画を紹介する。 |
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THP37 p.769 | 機械学習を用いたHyperECRイオン源制御の準備状況 Preparation for machine learning-aided control of HyperECR ion source ○鎌倉 恵太(東大CNS),森田 泰之(理研仁科センター),笠置 歩(立教大人工知能),西 隆博(理研仁科センター),岡 直哉(情報通信研究機構),中川 真菜美(理研開拓研究本部),小高 康照(東大CNS),中川 孝秀(理研仁科センター),酒見 泰寛(東大CNS) ○Keita Kamakura (CNS, UTokyo), Yasuyuki Morita (Nishina Center, RIKEN), Ayumi Kasagi (AI, Rikkyo), Takahiro Nishi (Nishina Center, RIKEN), Naoya Oka (NICT), Manami Nakagawa (CPR, RIKEN), Yasuteru Kotaka (CNS, UTokyo), Takahide Nakagawa (Nishina Center, RIKEN), Yasuhiro Sakemi (CNS, UTokyo) 東京大学CNSでは14GHz HyperECRイオン源を用いて理研AVFサイクロトロンに様々なイオンを供給している。本イオン源では設置から30年以上にわたり改良が続けられており、その多価重イオンビームの大強度供給技術は成熟してきた。一方で特に金属ビーム供給時のビーム安定度に課題が残っている。イオン源調整時に十分なビーム量が安定に出ていても、長期間の供給中にビーム量の低下やビーム生成の不安定化が起こる。現状ではビームの変動にあわせて加速器オペレータが細かくパラメータを調整することで安定化を図っているが、これには限界があり、実験を中断してビーム調整が必要になることも多い。この問題を解決するため、現在、機械学習を用いてイオン源の安定制御を補助するシステムの開発が進められている。今回の発表では、その準備状況に関して報告する。 |
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THP38 | ナノ秒パルスレーザを利用した光電子収量分光法によるSACLA熱カソードCeB6の仕事関数の測定 Work function measurement by means of photoelectron yield spectroscopy using a tunable pulsed laser to investigate short lifetime of the CeB6 thermionic cathode at SACLA ○馬込 保(高輝度光科学研究センター),渡川 和晃,田中 均(理研 放射光科学研究センター) ○Tamotsu Magome (JASRI), Kazuaki Togawa, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザ施設SACLAでは、電子源として単結晶CeB6の熱カソードを使用している。SACLAはX線自由電子レーザ施設であるだけでなく、SPring-8放射光蓄積リングへの入射器でもあるため、長期安定な連続運転が求められる。しかしながら、カソードからのエミッション電流は運転に伴って徐々に減少し、現状では1年未満の短期でのカソード交換を余儀なくされている。仕事関数がエミッション電流を決める主要因であるという立場から、我々は、カソードの仕事関数をin-situに測定し、この短寿命の原因を調査することを計画している。仕事関数の測定方法は多数存在するが、カソードがパルス状高電場・高温・超高真空の共存環境下で動作することから、ナノ秒パルスレーザを励起光とした光電子収量分光法を採用する。この計画の第一ステップとして、実機を模擬したオフラインの実証試験機を製作し、これを利用して新品CeB6カソードの仕事関数が836 ℃で2.44 ± 0.02 eVであると計測できた。本稿では、得られた結果とその考察、および、将来の実機への適用可能性について報告する。 |
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THP39 | レーザープラズマ航跡場入射用Cバンド高周波電子銃の開発 Development of C-band RF electron gun for injecting electron beam into laser plasma wakefields ○境 武志,田中 俊成(日大量科研),長瀬 敦(日大院理工),益田 伸,増田 剛正,熊谷 教孝,大竹 雄次(高輝度光科学研究センター) ○Takeshi Sakai, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon Univ.), Atushi Nagase (CST, Nihon Univ.), Shinichi Masuda, Takemasa Masuda, Noritaka Kumagai, Yuji Otake (JASRI) 日本大学とJASRI、早稲田大学との共同でレーザー航跡場加速に基づく超小型電子加速器の実用化のための研究が進められている。我々はバンチャー加速管、導波管を作製し、電子銃部分に関しては過去に日大で設計していたC バンドのクライオ光陰極高周波電子銃の2.6セル高周波電子銃高周波空洞を基に再設計を行い、新しく常温動作用に入力2MW、幅1µs、10pps 仕様の2.6セル高周波電子銃を製作した。大電力高周波試験、高周波測定は、SACLAの大電力高周波テストベンチを借用し行った。RFコンディショニング時に共振周波数が予定よりも高くずれている事が判明したが、テストベンチでの冷却水の温度を変化させ温度依存性を確認し、温度で共振周波数をほぼ合わせ空洞自体は問題無いことが確認できた。この電子銃では、電子銃カソード部分の単板は取り外せ、交換可能な構造を採用しているため、製作直後の周波数調整後に単板を外し、ガスケットとRFシールを新品に交換し、規定トルクで締め付けた状態で納品していたため、このことが周波数のずれの原因であったことがわかった。電子銃部分は1ヶ月のRFコンディショニングを実施して、入力2MW、幅2µs、10ppsまで達成し要求値を満たすことができた。本発表では、高周波電子銃部分に関する各試験結果に関して報告する。 |
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THP40 p.771 | J-PARC MLF ミュオン生成標的の回転振動成分解析 Analysis of rotational and vibrational components of muon production target at J-PARC MLF ○砂川 光,的場 史郎,河村 成肇(KEK物構研) ○Hikaru Sunagawa, Shiro Matoba, Naritoshi Kawamura (KEK IMSS MSL) J-PARC MLFのミュオン生成標的は、陽子ビーム入射による放射線損傷及び熱負荷の分散のために回転方式の標的を用いている。生成標的は真空のビームダクト内に設置されており、真空内へのモーター回転駆動は回転導入器を用いた回転駆動伝達システムを利用している。ミュオン生成標的の回転トルク及び回転速度のデータはモニタリングされ、異常時の場合は回転及びビームを停止するようにインターロックが組み込まれているが、異常を発見しても高放射線環境下においては交換及び修理を即座に行うことは厳しく、作業時間の制限もかかる。そのため、異常の早期発見及び異常個所の特定がより重要である。我々は回転トルク及び回転速度の波形データから、FFT解析により回転導入器のベアリング由来の振動成分が含まれていることを確認した。回転導入器には複数のベアリングが使用されており、ベアリング周波数成分の違いからベアリングの異常箇所の特定が可能であることも確認された。また、これらの振動はベアリングの劣化だけでなく作業時のミスアライメント等によっても生じる。現在、機械学習を導入した波形データの振動パターンから原因推定を可能にするシステムの設計を行っており、将来的にはリアルタイムの危険予知システムを構築・運用する予定である。 |
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THP41 p.775 | SuperKEKB トンネルのレベル変化に関する続報告 Recent report on tunnel level measurement in SuperKEKB ○古澤 将司,増澤 美佳,植木 竜一,大澤 康伸(KEK) ○Masashi Furusawa, Mika Masuzawa, Ryuichi Ueki, Yasunobu Ohsawa (High Energy Accelerator Research Organization) SuperKEKB電磁石グループでは、全周3kmのトンネルの壁面に等間隔に設置されたレベル基準点を用いて、トンネル全周の高さレベル測量を実施している。この測量で得られるデータは、トンネルレベル変動の加速器への影響を見るために重要な資料となる。2015年の加速器学会年会では、SuperKEKB建設に伴う機械棟増設、PF-AR直接入射路増設に伴うトンネルレベルへの影響の調査、およびトンネル全周レベルの長期的な変動について報告した。以降も毎年、トンネル全周のレベル測量を継続している。以前報告した事象と同じく、現在も筑波実験室から見た大穂、富士実験室の相対的下降傾向が見られる。また近年、施設内での各種建屋等の増設が実施されているため、それらによる影響の有無を調査することも重要である。本発表は近年のトンネル高さレベルの変化について報告する。 |
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THP42 | STFビームダンプの運用状況 Operational status of STF beam dump ○森川 祐(KEK) ○Yu Morikawa (KEK) KEK-STF(超伝導リニアック試験施設)では超伝導加速空洞の性能実証としてパルス電子ビームの加速試験を進めている。特にILC(国際リニアコライダー)同等のビーム時間構造と電流での加速性能の実証が主目的であり、最大平均電流は42μAを想定している。この電流量でのビーム運転に向けて、想定ビーム強度37.8kW(900MeV×42μA)のアルミ合金製ビームダンプを設計製作し、2019年より運用している。2022年度のビーム運転ではビーム強度6kW(300MeV×20μA)でのビームダンプ運用を経験した。本報告では6kWビームの運転におけるビームダンプ運用状況、放射線対策等について紹介する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1443教室) | |
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THP43 | 産業用超大型X線CT装置に用いられるX線発生システムの検討 Examination of X-ray generation system for industrial ultra-large X-ray CT system ○山下 誠太(東京工業大学 原子核工学コース) ○Seita Yamashita (Tokyo Institute of Technology, Graduate Major in Nuclear Engineering) サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムの普及のために、超大型X線CT装置の開発を進めている。この大型X線CT装置はガントリータイプであり、自動車などの大型の装置を丸ごとCTスキャンすることが可能である。大型装置をCTスキャンするには、9MeV程度のX線が必要であり、医療用・産業用のX線CTでX線発生に用いられているX線管では対応できず、電子リニアックを用いたX線発生システムが必要となる。加えて、ガントリーにX線発生システムを実装するには、小型かつ軽量であることが必要となる。 この小型軽量なX線発生システムとして、Xバンド電子リニアックを用いたシステムを提案しており、この電子リニアックを動作させるXバンドマグネトロン・Xバンド電子リニアックの開発を進めている。 本公演ではX線発生システムの概要と、マグネトロン・電子リニアックの開発状況を報告する。 |
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THP44 p.778 | 加速器運転中の定点線量評価に向けた電離箱と自作シンチレータの比較 Assessment of a hand-made scintillator radiation monitor by an ion chamber toward a point dose evaluation in accelerator operations ○大和 紗也香,住友 洋介,倉田 瑞希,木場 広翔(日大理工),境 武志(日大LEBRA ),早川 建,早川 恭史(日大LEBRA) ○Sayaka Yamato, Yoske Sumitomo, Mizuki Kurata, Hiroto Kiba (CST, Nihon Univ.), Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa (LEBRA Nihon Univ.) 加速器においてアンジュレーター磁石が放射線によって減磁していくことや、企業における材料開発においても放射線に対する特性を知っておきたいという要望が近年増加していることを踏まえ、放射線照射線量と材料の性質変化の関係について研究評価できる環境を整えることは重要である。また、加速器による放射線は、市販されている測定機器で想定されているようなエネルギーを大きく超えるものも生成可能であり、高エネルギーの放射線にさらされる将来の宇宙開発においても役立つと考えられる。日本大学理工学部では、自作のCsIシンチレータを加速器本体室内各所に配置し、放射線量の相対評価としてアンジュレーター磁石への線量モニターとして活用している。この自作シンチレータの電気信号を換算することにより加速器室内での定常的な定点線量評価を行うことを検討している。特に、高いエネルギーにおける線量値は市販の線量計では保証外となることが多いため、市販の電離箱やガラス線量計などを活用の上で、シミュレーションによる計算値も踏まえて多角的に評価を行う予定でいる。本研究においては、まずは市販の電離箱と自作シンチレータとの比較に焦点をあて、様々な条件における線量値比較の結果の報告を行う。電離箱とシンチレータでは検出の方法が異なるが、高い線量下で壊れにくい自作シンチレータに対して、高線量に対応する電離箱の計測値との線形性について議論する。 |
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THP45 p.781 | プラズマとの相互作用実験のための真空保護インターロック装置開発 Development of vacuum protection system for a plasma interaction experiment ○伊東 幸輝,住友 洋介,内山 誇心,小野間 綾優,工藤 寛大(日大理工),境 武志,早川 建,早川 恭史(日大LEBRA) ○Koki Ito, Yoske Sumitomo, Kokoro Uchiyama, Ayu Onoma, Kanta Kudou (CST, Nihon Univ.), Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa (LEBRA Nihon Univ.) 宇宙で起こっている未解明の高速電波バースト現象を擬似的に地上で実現するために、加速器が生成する高エネルギー電子ビームとプラズマの相互作用実験が計画されている。ただし実験においてプラズマ側は低真空状態で行うが、加速器側では超高真空状態でなければ電子ビームが加速されない。そのためプラズマ側と加速器側とで切り分ける必要があるのだが、現在厚さ20μmのチタン膜で切り分ける計画となっている。電子ビームは加速器側からプラズマ側にチタン膜を通過するが、その際に電子ビームがチタン膜の一点に集中して照射され続けると、ビームからのエネルギー付与によりチタン膜が溶解し穴が開く可能性がある。穴が開くと真空の切り分けが出来なくなりプラズマ側から真空が流入して、加速器側の真空が悪化する。そうなれば電子ビームが加速されず、加速器側にダメージがいく事が予想される。そこで本研究は、チタン膜が損傷し真空が悪化した時に、悪化を検知してプラズマと加速器を切り分けるためのゲートバルブが作動するようなインターロックシステムの開発を目的とする。真空の悪化に対して、どの段階でゲートバルブを作動させてプラズマ側と加速器側切り分けるか実験を行い、しきい値を定めていく必要がある。また同時に真空の回復具合についてもデータの取得も行なっていく。 |
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THP46 | バンチエネルギーチャープとテーパーアンジュレータによるFEL発振制御の試験にむけて Status for the experimental tests of FEL lasing control using the bunch energy chirp and the undulator tapering ○本田 洋介,内藤 大地,島田 美帆,谷川 貴紀,倉田 正和(高エ研),坂本 文人(秋田高専) ○Yosuke Honda, Daichi Naito, Miho Shimada, Takanori Tanikawa, Masakazu Kurata (KEK), Fumito Sakamoto (Akita College) cERLでは周回部に設置された2台のアンジュレータを用いて赤外SASE-FELの開発を行っている。現状のパラメータは、アンジュレータでのスリッページがバンチ長にたいして大きく、SASE-FELとしては特殊な運転条件になっている。このような条件で効率良くFELを発振させるため、可変テーパー型のアンジュレータが導入された。本研究では電子バンチのエネルギーチャープとアンジュレータのテーパーを調整することで、FELの発振を制御する試験を計画している。この試験においてFEL発振後の位相空間分布を観測するための偏向空洞システムの導入と、シミュレーションによる検討について報告する。 |
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THP47 | 1.3 GHz ILC空洞用の新しいツインドライブチューナー機構の開発 A novel twin drive tuner mechanism for 1.3 GHz ILC cavity ○山中 将(高エネ研) ○Masashi Yamanaka (KEK) チューナーは空洞の共振周波数を調整する装置である。ここでは、1.3 GHz ILC空洞用の新しいチューナー機構を提案する。ヘリウムタンクの長手方向中央部分にベローズと、その両側にフランジをそれぞれ設ける。片側のフランジに直動アクチュエータを固定し、これにより反対側のフランジを押し引きすることにより周波数を変化させる。円周上に2台の直動アクチュエータを配置して、同時に作用させることが特徴である。ツインドライブチューナーと命名した。ILC仕様では、空洞のバネ定数は3 KN/mmであり、600 kHzのレンジを調整するために2 mmのストロークが必要である。推力は6 kN必要である。これを2台の直動アクチュエータで分担する。1台あたり4 kNの推力を有するアクチュエータを試作した。ステッピングモータと滑りネジで構成される。ナットの材料は樹脂である。このアクチュエータとヘリウムタンクが付いた1.3 GHz空洞を用いて実験装置を組立たてて、所望の周波数調整ができるか評価した。フランジ間の変位と周波数は比例し、両者の直線性は良好であり、傾きは296 kHz/mmである。提案した機構がチューナーとして使用できることを確認した。 |
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THP49 p.785 | 次世代放射光施設NanoTerasu線型加速器・電子入射部のビーム性能 Beam performance of injector system in NanoTerasu ○安積 隆夫,上島 考太,菅 晃一,西森 信行(QST),青木 駿尭(NAT) ○Takao Asaka, Kota Ueshima, Koichi Kan, Nobuyuki Nishimori (QST), Toshitaka Aoki (NAT) 次世代放射光施設NanoTerasuの3 GeV線型加速器では、低エミッタンスビームが生成可能な35 MeV入射部を備えている。この入射部は、グリッド付き熱カソードを使用した高周波電子銃システム、その後段のバンチングシステム、初段加速器から構成され、ビーム電荷量が0.3 nC以上で5 mm mrad以下の規格化エミッタンスといった高品質電子ビームを生成する。この入射部は、低エミッタンスビームを安定生成するだけでなく、ビーム電荷量を簡易、かつ精密調整が可能となる連続可変式コリメータが備えられており、蓄積リングへのTopup入射において、精密なビーム電荷量調整を実現する。また、設計段階から早期に高品質ビーム生成の実現を目指したビーム調整手法・手順の検討がなされ、これに基づくビームモニタの種類・配置の最適化をおこなってきた。こうした背景の下、ビーム調整計画に沿った機器パラメータの最適化を実施し、ビームコミッショニング開始からわずか4日間で所定のビーム性能を達成することができた。本報告では入射部の構成、ビーム性能とそれに到達するための調整手法の詳細を示すとともに、シミュレーション結果との比較をおこなう。 |
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THP50 p.790 | 東北大学電子光理学研究センターにおける入退室管理システムと放射線安全インターロックシステムの更新について Upgrade of radiation safety interlock system for accelerator complexes and access control system for controlled areas at research center for electron photon science, Tohoku university ○南部 健一,長澤 育郎,髙橋 健,柴田 晃太朗,菅原 由美,菊永 英寿,日出 富士雄,柏木 茂,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Kotaro Shibata, Yumi Sugawara, Hidetoshi Kikunaga, Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH) 東北大学電子光理学研究センターは、4台の加速器と非密封放射性同位元素381核種と密封同位元素の使用承認を受け、これらを用いて加速器、原子核物理、放射化学の研究を行っている。放射線管理区域の入退室管理システムと加速器に運転許可を与える放射線安全インターロックシステムで使用しているソフトウェアが古くなり、年々保守が困難になりつつあるのと、加速器のビーム出力増強に伴い、より厳格な放射線安全インターロックの構築が求められたため、昨年度に入退域管理システムと放射線安全インターロックシステムを更新したので報告する。 |
ポスター③ (8月31日 14号館1444教室) | |
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THP51 p.793 | STF におけるロングトレイン電子ビーム生成のための RF 電子銃用レーザーの改修 Improvement of the RF-gun laser system for long-train electron beam generation in STF ○福田 将史,早野 仁司(高エネ研),坂上 和之(東大),髙野 幹男(さうび) ○Masafumi Fukuda, Hitoshi Hayano (KEK), Kazuyuki Sakaue (Univ. of Tokyo), Mikio Takano (Saube) KEK の超伝導リニアック試験施設棟 (STF) は,国際リニアコライダー (ILC) のための超伝導加速空洞の開発を行っている.現在の STF Phase-2 (STF-2) では,1.3 GHz 超伝導加速空洞 12 台を設置したビームラインにおいて,電子ビーム加速試験を行っている.2022 年 12 月には,ILC と同じビーム電流である 5.8 mA,726 us の電子ビームを加速する試験を行った.この試験を行うために,730 us のロングパルスを出せるようレーザーシステムを改修する必要があった.この加速器の RF 電子銃用レーザーシステムでは,162.5 MHz のモードロックレーザーで生成した赤外レーザーのパルス列をポッケルスセルで最大 730 us 切り出し,さらにレーザーダイオード励起の増幅器で増幅後,LBO および BBO 結晶にて紫外レーザーに変換し,RF 電子銃へと輸送している.消光比が不十分だったため,ポッケルスセルを 1 台追加し,また,2 台のレーザーアンプで,それぞれの増幅率および増幅タイミングをうまく組み合わせることで,フラットなロングパルス波形を作ることを試みた.また,エミッタンス改善などのため,レーザープロファイルの改善も行った.本稿では,これらの改修や調整の結果,ビーム運転中のレーザーの安定度などについて報告する. |
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THP52 p.797 | 量子メスプロジェクトに向けたレーザーイオン入射器シミュレーションの進展 Progress in simulation of laser ion injector for the quantum scalpel project ○畑 昌育,小島 完興,榊 泰直,近藤 公伯(量研関西研) ○Masayasu Hata, Sadaoki Kojima, Hironao Sakaki, Kiminori Kondo (KPSI QST) 近年,炭素イオンなどを用いた重イオンビームによるがん治療は成功を収めている.一般的に,直線もしくはシンクロトロン型の粒子加速器が高エネルギー重イオンビーム生成のために使用されるが,それらの加速器は広く医療機関に行き渡らせるにはサイズが大きすぎるという問題を持つ.そのためコンパクトな加速器の実現が求められている.レーザー粒子加速器は,未来の加速器の候補の一つである. 量子科学技術研究開発機構では,高い治療効果が明らかになっている重イオンがん治療装置の高性能化・小型化を目指す“量子メス”プロジェクトを進めている.現在提案されている第5世代重イオンがん治療装置 (量子メス) は,イオン入射器・超伝導シンクロトロン・ビーム輸送系・超伝導回転ガントリーから構成されている.装置を小型化するためには,体積の大部分を占める入射器とシンクロトロンの小型化が不可欠である.レーザー駆動イオン加速は非常に大きな加速勾配を持つことからこの小型化の要求に応える技術として期待されている.既存のイオン入射器をレーザー駆動方式で置き換えるためには,小型のレーザーモジュールの開発とそれを用いた数 MeV/u の炭素イオン加速が必要である.そこで,三次元電磁粒子コードを用いて加速炭素イオンの定量評価を行った.また,加速に有利な 6 価の炭素イオンを生成するためのレーザー条件を理論的に求め,シミュレーションによる妥当性評価を行った. |
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THP53 | Snスパッタリングによる超伝導Nb3Sn膜形成の検討 Investigation of superconducting Nb3Sn film formation by Sn sputtering ○井藤 隼人(高エネルギー加速器研究機構) ○Hayato Ito (KEK) Nb3Sn is a promising material for superconducting radio frequency cavities thanks to both high critical temperature and high critical magnetic field. However, Nb3Sn cavities have been limited to CW accelerating gradient < 22.5 MV/m. This report presents a new formation method of Nb3Sn film onto the cavities' inner surface to overcome this limitation. In the conventional process, SnCl2 and Sn are heated and evaporated in a vacuum furnace to perform Nb3Sn nucleation by SnCl2 vapor and Nb3Sn grain growth by Sn vapor. In this method, the nucleation density is limited by the SnCl2 vapor pressure resulting in the formation of the Nb3Sn layer with poor surface smoothness. This study aims to fundamentally solve the limitation caused by SnCl2 vapor pressure by depositing an Sn layer on the Nb substrate before the nucleation process. In this contribution, we present the detail of our Nb3Sn formation method to solve this problem and test results for the samples. |
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THP54 | The performance of large and medium grain niobium cavities with high-Q/G surface treatment ○Hayato Araki, Hayato Ito, Ashish Kumar, Kensei Umemori (KEK) Niobium material with small crystal grains, called "Fine Grain", is generally used for fabricating SRF cavities. Our group have been working on cavity fabrication and performance measurement using new materials called "Large Grain" and "Medium Grain," which omit some of the fabrication processes of FG materials, and are expected to reduce fabrication costs without sacrificing cavity performance. On the other hands, several surface treatments for 1.3 GHz cavities have been reported in recent years that achieve higher performance than the ILC standard treatment. In particular, two surface treatments, "two-step baking" and "furnace baking", are expected to provide both low loss (high-Q) and high gradient (high-G) performance, but these discussions are currently focused on cavities in standard FG materials. In this presentation, we will report on the results of performance measurements performed so far at KEK on LG and MG cavities with two-step baking and furnace baking surface treatments. |
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THP55 p.800 | SuperKEKB 常伝導加速空洞区間で用いるSiC-HOMダクトの性能評価 Performance evaluation of SiC-HOM duct for the section of the ARES cavities in SuperKEKB ○榎本 瞬,竹内 保直,阿部 哲郎,小笠原 舜斗,影山 達也,坂井 浩,吉野 一男(KEK) ○Shun Enomoto, Yasunao Takeuchi, Tetsuo Abe, Shunto Ogasawara, Tatsuya Kageyama, Hiroshi Sakai, Kazuo Yoshino (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器では、高ルミノシティを目指し、ビーム電流を徐々に上げながら運転が行われている。これまでのランではLERで約1.3 A、HERで約1.1 Aのビーム電流まで到達した。 SiC-HOMダクトは、常伝導加速空洞(ARES)からのHigh-order-modes(HOM)をRF区間で閉じる目的で、空洞が設置されている直線区間の上下流に1台ずつ設置されている(SiC-HOMダクトの長さ255 mm、内径150 mm、SiC厚さ10 mm)。 SiC-HOMダクトは現在に至るまで大きなトラブルもなく順調に稼働しているが、ビーム電流の最終設計値はKEKB加速器の2倍にあたるLER 3.6 A、HER 2.6 Aであり、ビーム電流の増加に伴い、耐久性などが今後の懸念事項になる。特に熱吸収量に関しては高電流を想定した精密測定は行われていない。 本発表では、これまでのラン中に行ったSiC-HOMダクトの熱吸収量の測定から、最終設計値で想定される熱吸収量について定量的に示すとともに、見積もったHOMパワーをもとに、L-bandクライストロン(1.249 GHz)を用いて行ったハイパワー試験、HOMダクトの熱吸収量の測定結果について報告を行う。また、ハイパワー試験では、赤外線カメラを用いたSiCの表面温度の測定、音響センサーによる音響信号の測定も行ったので、各々の結果についても報告を行う。 |
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THP57 p.804 | 1.3 GHz cERL入射器空洞用試作カップラーを用いた大電力試験結果の報告 Experimental result of high-power transmission through 1.3 GHz cERL injector prototype coupler ○ナマ プラギャ(総合研究大学院大学),クマール アシーシ,荒川 大,梅森 健成,加古 永治,阪井 寛志,三浦 孝子(高エネルギー加速器研究機構) ○Pragya Nama (SOKENDAI), Ashish Kumar, Dai Arakawa, Kensei Umemori, Eiji Kako, Hiroshi Sakai, Takako Miura (KEK) To get the experience of power transmission through high power coupler, some experiments were conducted at cERL test facility of KEK. The transmission of high power, up to 20 kW in CW mode at the frequency of 1.3GHz, was achieved with the help of cERL injector coupler’s prototype. The RF simulations of the coupler test stand were also performed. The result of the experiments showed that while transferring 20kW power in CW mode, the temperature rise at some parts of the coupler is substantial, and maximum temperature rise of 166 degree Celsius was observed at the inner conductor of the coupler. To realize the transmission of higher power levels in CW mode, the modifications in the existing coupler design and introduction of some cooling mechanism are essential. The details of the experiment and simulation are discussed. |
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THP58 | ILCに向けたSTF-2クライオモジュールの運転報告 Report on the operation of STF-2 cryomodules for ILC ○山本 康史,加古 永治,梅森 健成,阪井 寛志,佐伯 学行,井藤 隼人,荒木 隼人,オメット マチュウ,片山 領,道前 武,松本 利広(高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Takayuki Saeki, Hayato Ito, Hayato Araki, Machieu Omet, Ryo Katayama, Takeshi Dohmae, Toshihiro Matsumoto (KEK) 2014年に完成した12台の9セル空洞が収められたSTF-2クライオモジュールは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)内にある超伝導高周波試験施設(STF)のトンネルに設置され、これまでに8回の冷却試験(ビーム運転含む)が行われた。昨年は、7倍のビームパワー増強が行われ、ILCと同じバンチ電流に到達し、無事、運転を終了した。一部の空洞の性能は、徐々に下がる傾向が見えている。放射線測定について、これまでガンマ線のみであったが、昨年末の試験では中性子も測定された。運転中に、何度か地震も経験したが、空洞およびクライオモジュールに影響は無かった。本講演では、昨年末の運転結果を中心に、これまで実施されたSTF-2クライオモジュールの冷却試験について報告する。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1421教室) | |
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FRP01 p.808 | 偏向電磁石電流リップルによるコヒーレントシンクロトロン振動 Coherent synchrotron oscillation by bending magnet current ripple ○冨澤 正人,武藤 亮太郎,杉山 泰之(KEK/J-PARC),田村 文彦(J-PARC/JAEA) ○Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Yasuyuki Sugiyama (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura (J-PARC/JAEA) J-PARCメインリングは、加速時間を短くし、加速パターンの繰り返しを上げることにより、ビーム出力を増強するための改造を行なってきた。偏向電磁石電源、四極電磁石電源、クロマティシティー補正電源は、新規製作の他に、一部改造前の電源を別のファミリーで再利用している。6台の独立した偏向電磁石電源は新規に製作された。これらの電源に関するリップル低減調整はまだ十分にはなされていない状態にある。特に6台のうち2台の電源の電流リップルは20Hz付近に大きな成分を持つ。2023年4月に行われた速い取り出しビーム調整において、加速後半にビーム運動量の時間変化に顕著な振動パターンが観測された。ビーム運動量は、アーク部の運動量分散が有限な位置に置かれた位置モニターによって求められる。この現象は、偏向電磁石の磁場リップルにより周長が変化し、シンクロトロン振動がコヒーレントに励起されたためと推測している。2023年4月に行われた速い取り出しビーム調整では、加速電圧が510kVでシンクロトロン振動数は加速終了時に41Hz程度である。6月に予定されている遅い取り出し運転では加速電圧は256kVと低く、シンクロトロン振動数が29Hzとなりリップルの大きな周波数20Hzに近づくため、さらに振動が大きくなることが懸念される。測定データに加えて、この運動の定式化による計算結果も示す。 |
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FRP02 p.812 | PF 2.5GeVリングにおけるコヒーレント・シンクロトロン振動数の再測定 Updated measurement of coherent synchrotron frequencies at the Photon Factory 2.5-GeV ring ○坂中 章悟,山口 孝明,山本 尚人(KEK) ○Shogo Sakanaka, Takaaki Yamaguchi, Naoto Yamamoto (KEK) 蓄積リングにおいて、ビームバンチがビーム進行方向に一斉に振動するコヒーレント・シンクロトロン振動数は、加速空洞のビーム負荷の状態に応じて変化する。PF 2.5 GeVリングでは、このコヒーレント振動数をビーム電流を変えて、また空洞電圧を変えて測定することで、興味深い現象が観測されている[1,2]。特に、ビーム電流一定で空洞電圧を下げた場合に、従来の理論では説明ができない振動のピークが出現する事と、beam Robinsonモードの周波数が理論値と大きくずれてくること、が実験的に見いだされている[2]。次は、これらの現象がなぜ起こるのか、またPFリングに特有な現象なのか、に興味が持たれている。ところでPF 2.5 GeVリングでは 、2023年夏の停止期間にローレベルRF系の更新が予定されている。そこで、更新前の2023年5月にコヒーレント振動数の再測定を行い、更新後に別の方法で測定する際に比較するデータを取得した。本発表では、今回測定した最新のデータを、過去に発表済みのデータ(測定日:2019年5月23日、2021年3月11日)と比較し、データの再現性について議論する。また、ビーム電流を変えた場合の測定については、過去の測定に比べて精度の高いデータが取得できたので、応答曲線の細かい構造など従来より詳しいデータ解析と議論を行う。 [1] 山口孝明他、PASJ2019, FRPI010. [2] T. Yamaguchi et al., Phys. Rev. Acc. Beams 26 (2023) 044401. |
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FRP03 p.817 | SuperKEKB のcollimatorに関連する課題 Challenges related to SuperKEKB collimators ○照井 真司,船越 義裕,中山 浩幸,石橋 拓弥,小磯 晴代,大西 幸喜,森田 昭夫(高エネ研),ナトチー アンドリー(ハワイ大学),森川 祐,大見 和史,周 徳民,末次 祐介,柴田 恭,白井 満,飛山 真理,植木 竜一(高エネ研) ○Shinji Terui, Yoshihiro Funakoshi, Hiroyuki Nakayama, Takuya Ishibashi, Haruyo Koiso, Yukiyoshi Ohnishi, Akio Morita (KEK), Andrii Natochii (University of Hawaii), Yu Morikawa, Kazuhito Ohmi, Demin Zhou, Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Mitsuru Shirai, Makoto Tobiyama, Ryuichi Ueki (KEK) SuperKEKBのcollimatorは、素粒子検出器のビームバックグラウンドの低減と、重要機器の保護のために使用されている。現状のSuperKEKBのcollimatorに関連する大きな課題は、2つある。1つ目は、collimatorをビームに近づけているため、impedanceが大きいことである。バンチ電流を増加させた際には、collimator起因のimpedanceとbunch by bunch feedback systemの影響が組み合わさった結果、ビームサイズの増大が起きていることが観測された。ビームサイズが増大した場合、ルミノシティが減少するため、対策を施す必要がある。2つ目は、予兆現象がほとんどなく、突然起きるビームロスである。このビームロスは、sudden beam loss(SBL)と呼ばれ、時にはcollimatorにビームが当たり、collimatorを損傷させてしまうことがある。損傷したcollimatorは、損傷前のcollimatorより、ビームバックグラウンドの低減能力が著しく低下し、影響が大きい場合には、運転を中断してcollimatorヘッドを交換する作業をする必要が出てくる。ビームバックグラウンドの低減能力低下の原因は、損傷したcollimatorのヘッドに凹凸ができたことにより、制御不能なビーム粒子散乱がおきたためだと考えられる。本学会では、SuperKEKBのcollimatorのimpedanceが影響したビームサイズ増大現象と、SBLが原因で損傷したcollimatorが及ぼす影響について報告する。 |
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FRP04 p.822 | J-PARCハドロンビームライン制御用ネットワーク監視システム Network monitoring system for J-PARC hadron beamline control ○豊田 晃久,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,白壁 義久,高橋 俊行,高橋 仁,田中 万博,広瀬 恵理奈,皆川 道文,武藤 史真,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Akihisa Toyoda, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Kato, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Toshiyuki Takahashi, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Fumimasa Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、EPICSを採用した制御システムが運用されており、現在のEPICS channel数は約7000に上るものとなっています。ビームラインの増加に伴い、データ量も増加し続けており、一時的なネットワーク負荷増大によって一部のデータ表示の更新が滞るなどの問題が発生しています。この問題を解決するため、当初は各PCにvnstatやmrtg、muninなどを導入して、問題がないかをチェックしていました。これにより、原因究明できる場合もありましたが、実際にネットワーク障害が発生すると、問題が発生している当該PCからの情報がこなくなり、詳細が分からないことがありました。そこで、より効果的な情報収集を目的として、スマートスイッチを導入し、zabbixで管理することで、障害時の情報収集をより確実に行えるようにしました。この方法により、一部PCが原因で障害が発生しても、情報を収集できるようになりました。本報告では、J-PARCハドロン実験施設における制御ネットワーク監視システムの詳細について報告いたします。 |
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FRP05 p.825 | 重イオンビーム照射によるSiCセンサーワイヤー試験 SiC sensor wire test by heavy ion beam irradiation ○明午 伸一郎,山口 雄司(J-PARC/JAEA) ○Shin-ichiro Meigo, Yuji Yamaguchi (J-PARC/JAEA) 30 MWを超える大強度陽子加速器加速器を用いた、加速器駆動型核変換システム(ADS)が原子力機構(JAEA)で開発が進められている。核破砕中性子源においても、1 MWを超えるマルチMWの施設が提案されていおり、これらの施設において安定に入射するためには、ビームが正しく標的に入射していることを確認するプロファイルモニタが重要となる。J-PARCの核破砕中性子源では炭化ケイ素(SiC)のマルチワイヤからなるプロファイルモニタを用いており、約1 MWの利用運転では問題ないものの、今後の定常的な大強度運転ではワイヤの損傷が著しくなるものと考えられるため、ワイヤの損傷評価を定量的に行う事が重要となる。我々はモニタの開発の一環として、量子機構(QST) TIARAおよびJAEA タンデム加速器において、はじき出し損傷が数GeV陽子に比べ著しく高い重イオンビームを用いたビーム試験を実施した。本発表では、この結果について報告する。 |
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FRP06 p.830 | シンチレータによるコリメータでのビームハローカットの評価 Evaluation of beam halo cutting with collimators by scintillator detectors ○門脇 琴美,佐々木 知依,安居 孝晃,佐藤 洋一,橋本 義徳(高エネルギー加速器研究機構),酒井 浩志(三菱電機システムサービス) ○Kotomi Kadowaki, Tomoi Sasaki, Takaaki Yasui, Yoichi Sato, Yoshinori Hashimoto (KEK), Hiroshi Sakai () J-PARC MRではビームの大強度化を進めており、ビームロスの低減が重要な課題の一つとなっている。MRではコリメータでビームハローを削ってビームロスを局所化することで、コリメータ部以外の場所のビームロスを低いレベルに抑えている。ビームの大強度化に伴いコリメータの増強を進めており、2022年には新たに2台が導入されて6台体制となった。 ビームロス低減のためにはコリメータ部におけるビームハローの分布を把握することが重要である。さらに、周回各ターン(約5.4us)、各バンチ(約0.6us)のロスを測定することで、ビームロス局所化シナリオをより深く追い込むことができる。 現在ビームハローは、MRへの入射ビームラインにおいて、OTRと蛍光を用いた高ダイナミックレンジのプロファイルモニターで測定している。今回MRを周回するビームについてのハロー情報を得るために、MRコリメータ部に設置されているロスモニタを利用し、コリメータジョウの位置スキャンによりカットされたハロー分布を測定した。このロスモニタには速い応答を得るためにプラスチックシンチレータと光電子増倍管を検出器として用いた。今回は新規導入されたコリメータの動作試験を合わせて行うことができるようにするため、再配置や機器の入れ替えをおこなった。当日はビーム試験による検出器の性能評価およびコリメータの動作試験について報告する予定である。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1422教室) | |
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FRP07 p.835 | J-PARC/MUSE透過型ミュオン顕微鏡における超低速ミュオンのビームプロファイル測定 Beam profile measurement of the ultra-slow muon for the transmission muon microscope at J-PARC/MUSE ○中沢 雄河,足立 泰平,大西 純一(理研仁科センター),安達 利一,池戸 豊,大石 裕,下村 浩一郎,Strasser Patrick,神田 聡太郎,後藤 彰,手島 菜月,永谷 幸則,三宅 康博,山崎 高幸,湯浅 貴裕(高エネ研),梅澤 卓矢,梅田 幸佑,中村 真毅(茨大工) ○Yuga Nakazawa, Taihei Adachi, Jun-ichi Ohnishi (RNC), Toshikazu Adachi, Yutaka Ikedo, Yu Oishi, Koichiro Shimomura, Patrick Strasser, Sohtaro Kanda, Akira Goto, Natsuki Teshima, Yukinori Nagatani, Yasuhiro Miyake, Takayuki Yamazaki, Takahiro Yuasa (KEK), Takuya Umezawa, Kosuke Umeda, Shinki Nakamura (Ibaraki Univ.) J-PARCミュオン科学実験施設(MUSE)では、ミュオンサイクロトロン加速による透過型ミュオン顕微鏡を実現するための超低速ミュオンビームラインの開発を推進している。超低速ミュオンは、高温のタングステン標的から放出されたミュオニウムのレーザー共鳴イオン化によって生成され、30 keVまで静電加速されたのちにサイクロトロンを含むビームラインへ輸送される。本発表では、サイクロトロンへの超低速ミュオンの高入射効率を達成するための粒子軌道計算による輸送光学系の最適化に加え、ビームコミッショニング及びプロファイル測定の結果について報告する。 |
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FRP08 p.839 | J-PARC RCSにおけるビームモニタ用新信号処理システムの開発 Development of new data acquisition system for several beam monitors in J-PARC RCS ○吉本 政弘,高橋 博樹,原田 寛之,地村 幹,不破 康裕,林 直樹(原子力機構/J-PARCセンター),栗山 靖敏(京大複合研),澤邊 祐希,畠山 衆一郎(三菱電機システムサービス) ○Masahiro Yoshimoto, Hiroki Takahashi, Hiroyuki Harada, Motoki Chimura, Yasuhiro Fuwa, Naoki Hayashi (JAEA/J-PARC), Yasutoshi Kuriyama (KURNS), Yuki Sawabe, Shuichiro Hatakeyama (Mitsubishi Electric System & Service) -PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)では、加速器の安定性を監視する主要なビームモニタである、ビームロスモニタ、ビーム位置モニタ、ビーム電流モニタについて、既存システムの更新に向けた新しいビームモニタ用信号処理システムの開発を行っている。新システムは、TAGサーバーと3つの主要モニタに共通して使えるADCモジュールを組み合わせた構成になる。開発に際しての主な設計思想は1)J-PARCに特有の様々なビームタグ情報をTAGサーバーで集約し、タグ情報として各ADCモジュールに分配する、2)ADCモジュールでビームモニタからの信号情報をADCでデジタル信号に変換し、FPGAにより各モニタに合わせた解析手法を切り替えながら高速解析処理を実施する、3)ADCモジュールから約10秒程度の全ショット分の信号処理データをパッキングしてタグ情報をヘッダーに付加した解析データを定期的に出力する、また、任意の1ショット分のデータに対してタグ情報を付加したモニタデータをオンデマンドで出力する、ための2種類のフォーマットを準備する、4)また生波形に加えて、FFT関連の解析途中のデータや、周回毎のバンチデータなどについて最新の4ショット分をADCモジュールの内部メモリに保存し、必要に応じてデータを読み出せるようにする、ことを目指した。本発表では、現在開発中の試作機によるタグ情報の読み込みとビームモニタ信号のデータ収集試験についての進捗を報告する。 |
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FRP09 p.844 | J-PARC 加速器PPS 情報収集・表示系の更新 Upgrade of acquisition and monitoring system for J-PARC accelerator PPS ○渡邉 和彦(三菱電機システムサービス株式会社),仁木 和昭(KEK),高橋 博樹(JAEA),山本 昇(KEK),吉本 政弘(JAEA),福田 真平(三菱電機システムサービス株式会社) ○Kazuhiko Watanabe (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Kazuaki Niki (KEK), Hiroki Takahashi (JAEA), Noboru Yamamoto (KEK), Masahiro Yoshimoto (JAEA), Shinpei Fukuta (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) J-PARC 加速器のPersonnel Protection System(PPS)では中央制御棟に設置されたデータ収集用PC群と情報表示PC群で構成されるPPS Data Systemと、3つの加速器施設及び中央制御棟内に分散配置されたPLC群とをPPS用の独立したネットワーク (PPS Network)により接続することでデータ収集・表示を行っている。 PPS Data Systemでは横河電機製SCADAソフトウェア「ASTMAC」を使用してきたが、信号点数の制限があり増加したデータへの対応が難しくなってきている。また、OSへの依存やASTMACの販売終了もあり、別ソフトウェアによるPPS Data Systemの構築が必要となった。そこでJ-PARC PPS Gr.ではJ-PARC制御システムでも長年用いられた実績があるEPICSを採用して新システムを構築することとした。 一方、PPSは加速器の運転時やメンテナンス時を問わず人員の安全を担保するシステムである為、長期間停止することができない。また、最も重要な安全システムであり、高い信頼性及び安定性を保つ必要がある為、システム全体を短期間に更新することは危険である。そこで旧システムを運用しながら、PPSを機能毎に分割し、部分的に新システムに更新する方針とした。これによりPPSとしての機能を損なうことなく、更新した部分の動作検証や不具合修正を実施でき、高い信頼性と安定性を有する新システムの構築が可能となる。 本発表では新システムの概要と更新プロセス及び進捗状況について報告する。 |
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FRP10 p.848 | EtherCATデバイスへのEPICS実装手法の検討 Study on EPICS implementation method for EtherCAT devices ○内山 暁仁,込山 美咲(理研仁科センター) ○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama (RIKEN Nishina Center) 遠隔制御をするための測定器やコントローラの通信において、TCP/IPは便利で広く利用されている。EPICSを用いて構築されたRIBF制御系においてもTCP/IPベースのデバイスは多く利用されている。これらは汎用的な商用デバイスだけでなく、独自仕様のデバイスもあるが、独自デバイスの設計、開発、メンテナンスのコストは大きい。RIBF制御系ではTCP/IPベースのデバイスとEPICS IOCとのやりとりはAsynDriver等を介した非同期なソケット通信で実現される。一方でRIBF制御系において、デバイスやネットワークスイッチの予期せぬ電源断等でソケット通信が切れた後、しばしばEPICS IOCとデバイス間で再接続がなされないケースがある。デバイス開発時に独自設計を避け、汎用性かつ信頼性の高いプロトコルを選定することでこれら問題が解決する可能性がある。具体的には物理層にEthernetを用いたフィールドネットワークである、EtherCATやEtherNet/IPの導入を検討しており、今回EtherCATを用いたプロトタイプシステムを開発した。このシステムの概要は、インターフェース社製の産業用小型PCがEtherCATマスタとなり、EtherCATスレーブと通信している。この産業用小型PC上で走るEPICS IOCは、Pythonプログラムで開発されたデバイスサポートを通じてEtherCATマスタとデータのやり取りを行う。本会議でプロトタイプシステムの詳細と評価を報告する。 |
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FRP11 p.852 | KEK電子陽電子入射器におけるAngularを用いたオペレータインターフェースの開発 Development of operator interface using Angular in KEK e-/e+ Injector Linac ○工藤 拓弥(三菱電機システムサービス(株)),佐藤 政則,佐武 いつか(高エネルギー加速器研究機構),草野 史郎(三菱電機システムサービス(株)) ○Takuya Kudou (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Masanori Satoh, Itsuka Satake (KEK), Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) KEK電子陽電子入射器では、1995年にリレーショナルデータベースを用いた電子運転ログブックシステムの開発および運用を開始し、加速器運転に関する詳細かつ高品質な情報を自動記録することが可能となった。2010年にはデータベースの冗長化、Adobe Flashを用いたフロントエンドの開発、画像添付機能の追加などシステムの品質向上に取り組んできた。データアーカイバシステムにおいては、2011年にCSSアーカイバ、2019年にArchiver Applianceを導入した。これらアーカイバシステムのWeb Viewerとして 独自にAdobe Flashを用いたアプリケーションを開発して運用していた。 このように、Webアプリケーションのフロントエンド開発のフレームワークとして、Adobe Flashを多く使用していた。しかし、2020年のAdobe Flash Playerサポート終了を受けて新たなフレームワークへの移行が急務となった。 そこで入射器では、Adobe Flashに代わるフレームワークとしてGoogle社のAngularを用いたアプリケーションの開発に取り組み、運用に至っている。 本稿では、入射器で運用しているオペレータインターフェースのうち、Angularを用いて開発されたものをいくつか報告する。 |
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FRP12 p.855 | モバイルフレームワークを利用したモバイル端末用加速器運転情報アプリケーションの開発 Development of accelerator operation status application for mobile devices using a mobile framework ○草野 史郎(三菱電機システムサービス(株)),佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構) ○Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Masanori Satoh (KEK) KEK電子陽電子入射器は、4つの異なるエネルギーのリング型加速器(SKEKB LER 4 GeV/HER 7 GeV, PF 2.5 GeV AR 5 GeV)にビームを供給している。 長期間運転する状況において安定したビームを供給するには、加速器運転状況を把握することが非常に重要である。 近年、モバイル端末の進化は著しく、これらの端末を利用することでいつでもどこからでも加速器の状況を把握することが出来る。 以前、iOS、Android OSで動作する加速器運転ログ表示用のアプリケーションを開発をおこなった。しかしながら、iOSおよびAndroid OSで開発言語が異なっていたため、保守および試験時間の増加など保守性に問題があった。今回、モバイルフレームワーク(共通開発環境)であるFlutterを用いて加速器運転ログ表示用のアプリケーションの更新をおこない、開発および保守の効率化を図った。本稿では、本アプリケーションについて、詳細を報告する。 |
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FRP13 p.859 | KEK電子陽電子入射器における安全系システムの情報管理 Information management of the safety system at the KEK e-/e+ injector linac ○佐藤 政則,佐武 いつか,白川 明広(KEK加速器),草野 史郎,工藤 拓弥(三菱電機システムサービス(株)) ○Masanori Satoh, Itsuka Satake, Akihiro Shirakawa (KEK Acc. Lab.), Shiro Kusano, Takuya Kudou (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.) KEK電子陽電子入射器は, SuperKEKB電子,陽電子,陽電子ダンピングリング,PF,およびPF-ARリングという5つの異なるリングへビームを供給している.これらリングでの物理実験効率を最大限高めるため,20ミリ秒ごとに入射先のリングを自由に選択可能な,全リング同時トップアップ運転をおこなっている.このように複雑な加速器ビーム運転を実現するためには,高い信頼性の安全系システムが不可欠である.本入射器の安全系システムは,PLCを基盤に構築されており,現在のステータス情報および過去の履歴などは運転制御システムと密接な連携の下管理されている.本稿では,入射器安全系システムの概要および運転制御システムとのインターフェースにかんする詳細について報告する. |
ポスター④ (9月1日 14号館1431教室) | |
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FRP14 | SuperKEKB電磁石電源における電流検出回路の経年変化 Aging of current detection circuit in SuperKEKB magnet power supplies ○中村 衆(高エネ研),山﨑 正義,峯岸 守,石原 智也(三菱電機システムサービス(株)) ○Shu Nakamura (KEK), Masayoshi Yamazaki, Mamoru Minegishi, Tomoya Ishihara (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) SuperKEKBのメインリングでは、電子リングと陽電子リングの常伝導電磁石用に約2200台の電源が運用されている。メインリングの電磁石電源はすべて、出力電流制御と電流モニターを独立した電流検出器で行っており、それぞれの電流検出値を補正するための係数を持っている。この補正係数は、電源製作時に出力電流および電流モニター値が規定値以下となるように決定されている。メインリングの電磁石電源は、その大半がKEKB建設時に製造されたもので、運用開始から四半世紀が経過した。そのため、見た目上の出力電流のオフセットが大きいものが目立つようになってきた。今回、補正電磁石用電源で補正係数の測定と修正を実施した。本件ではその結果について報告する。 |
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FRP15 p.863 | KEK-PF高速パルスキッカーのためのSiC-MOSFETパルス電源試作機の加速器リング近傍における長期試験 Long-term test of a prototype pulsed power supply using SiC-MOSFETs for a fast kicker system in KEK-PF ○篠原 智史,満田 史織,内藤 大地(KEK),奥田 貴史,中村 孝(ネクスファイテクノロジー) ○Satoshi Shinohara, Chikaori Mitsuda, Daichi Naito (KEK), Takafumi Okuda, Takashi Nakamura (NexFi Technology Inc.) 放射光源加速器KEK-PFでは孤立電子バンチを数周回ごとに制御して特定の孤立バンチ放射光を提供する運転を計画しており、そのためには高速キッカーとそれを駆動するパルス電源が必要である。運転の実現には、500 A 100 ns幅の大電流短パルスを1 MHzで駆動可能な電源の開発が必要であり、要求の高いパルス電源の開発が鍵となっている。そこで我々は高繰り返しで短パルス出力可能なSiC-MOSFETに注目し、パルス電源の開発を行っている。昨年度までにSiC-MOSFET16直列1並列接続のスイッチングモジュールを組み込んだパルス電源の試作を行っており、実験室環境にて要求安定度を満たす出力が可能なことを確かめた [1]。しかし開発するパルス電源は低インピーダンス化のため加速器リング近傍に設置する必要があり、設置場所における放射線やビームノイズ環境は実験室環境と大きく異なる。放射線やビームノイズは機器の劣化や誤点弧を引き起こす要因となるため、加速器リング内に試作パルス電源を設置し模擬負荷を接続して約2ヶ月間の動作試験を行い影響を調査した。本講演では加速器リング内での試験の状況と出力の長期安定性の評価結果について報告する。[1] S. Shinohara et al., Proc of PASJ2022. |
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FRP16 p.868 | LTD用低ジッタートリガパルス発生器の開発 Development low jitter delay trigger pulse generator for LTD ○隅田 博之,徳地 明(PPJ),小田 航大(KEK),小野 礼人,高柳 智弘(J-PARC/JAEA) ○Hiroyuki Sumida, Akira Tokuchi (PPJ), Kodai Oda (KEK), Ayato Ono, Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA) 我々はJ-PARCのRCSキッカーマグネット用にSiC-MOSFET駆動のLinear Transformer Driver(LTD)回路を使用した40kV,2kAの高電圧パルス電源を開発している。LTDは各パルス発生基板(LTD基板)のトリガタイミングを変えることにより、自在に出力電圧波形を調整できるという優れた特徴を有している。ここで、再現性良く安定に電圧波形を出力するには、各LTD基板へのトリガタイミングの遅れ時間のジッターを極力小さくすることが重要である。我々はFPGAのクロック周波数を1GHz以上に上げて、1ns以下のジッター時間を実現するトリガパルス発生器の開発を進めてきた。この開発の進捗状況について報告する。 |
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FRP17 p.871 | J-PARC加速器用大電力クローバー回路用半導体スイッチ Development of semiconductor switches for high-power crowbar circuits for J-PARC accelerator ○小野 礼人,高柳 智弘,不破 康裕,篠崎 信一(J-PARC/JAEA),堀野 光喜,植野 智晶(株式会社NAT),杉田 萌,山本 風海,金正 倫計(J-PARC/JAEA),生駒 直弥,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所) ○Ayato Ono, Tomohiro Takayanagi, Yasuhiro Fuwa, Shinichi Shinozaki (J-PARC/JAEA), Koki Horino, Tomoaki Ueno (NAT Corporation), Moe Sugita, Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (J-PARC/JAEA), Naoya Ikoma, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.) J-PARCでは、直線型加速器の加速用高周波を増幅する真空管型高周波増幅器(クライストロン)電源の短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用の半導体クローバー装置を開発している。基板1枚当たり、3kV,40kA,50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。120kVの高電圧を想定した各基板モジュールへの制御電源供給は、各基板モジュール1枚に分担充電される電圧(3kV)から高圧DCDCコンバータで制御電源を作り出す自己給電方式を採用した。この基板モジュール20枚を20直列で接続し、既設機器(120kV,40kA)の電圧に対して1/2スケール(60kV,40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。また、今後実施予定である3/4スケール(90kV,40kA)での動作性能を確認するにあたり、超高圧試験回路の検討を行った。 |
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FRP18 | SoC FPGAを用いた電磁石電源制御システムの開発 Development of a magnet power supply controller based on SoC FPGA ○渡辺 泰広,柳橋 孝則(原子力機構),小松崎 誠,宮崎 大輔(アイムス) ○Yasuhiro Watanabe, Takanori Yanagibashi (JAEA), Makoto Komatsuzaki, Daisuke Miyazaki (Aimusu) 加速器で使用される大容量電磁石電源は,電流検出器や電圧検出器,IO等を制御するため,多数のプリント基板やPLC モジュールを用いている。 本発表で開発した電源制御システムは, 電磁石電源の制御に関わるすべての演算機能を,FPGAとCPUという2つの機能を1つのチップに収納している SoC FPGA に集約することにより,電源制御システムの大幅な小型化, 簡素化を実現した。 また,全体の制御を担う主基板と,個別の機能を実現する拡張基板を分離し,拡張基板とFPGA のファームウエアを交換すること により,各種電源に対応できる構成としている。 |
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FRP19 p.877 | サイクロトロンによるミュオンの加速 Muon acceleration by cyclotron ○大西 純一(理研仁科センター),永谷 幸則(高エネ研),中沢 雄河(理研仁科センター),後藤 彰,山崎 高幸,三宅 康博(高エネ研),足立 泰平(理研仁科センター),安達 利一,湯浅 貴裕(高エネ研),筒井 裕士,楠岡 新也,恩田 昂(住友重機械) ○Jun-ichi Ohnishi (RNC), Yukinori Nagatani (KEK), Yuga Nakazawa (RNC), Akira Goto, Takayuki Yamazaki, Yasuhiro Miyake (KEK), Taihei Adachi (RNC), Toshikazu Adachi, Takahiro Yuasa (KEK), Hiroshi Tsutsui, Shinya Kusuoka, Takashi Onda (SHI) 透過型ミュオン顕微鏡の実現をめざして、J-PARC MLFの超低速ミュオン(30 keV)を5 MeVまで再加速するためのミュオンサイクロトロンの開発を進めている。これまでサイクロトロンの設計製作、磁場測定、RF電源の開発と試験などを行ってきた。これらについては本年会の発表を参考にされたい。サイクロトロンは昨年J-PARC MLFの超低速ミュオンビームラインに設置した後、ビーム入射、取り出し用高圧電源、RFローレベル回路、制御系、安全のための各種インターロックシステムなどの製作、配線配管などを進めてきた。電気系はほとんど自作であることから時間を要したが現在ほぼすべての機器のテストが終わっている。RF(108 MHz)はCW運転を考えていたが、電源定格の24 kWに近い出力が必要であることから、ミュオンの入射(25 Hz、パルス幅数ナノ秒)に合わせて、RFもパルス運転(数10~100マイクロ秒)することにした。サイクロトロン内のビームはシンチレーター(5 × 5 × 3 mm3)を径方向に動かして検出する。できれば今期のMLFビームタイム(6月)にコミッショニングを行って、本発表会にて報告したいと考えている。 |
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FRP20 p.881 | 遮蔽用鉄材を再利用した四軸コリメータの製作 Fabrication of four-axis collimators reusing shielding iron material ○白形 政司(高エ研/J-PARCセンター) ○Masashi Shirakata (KEK/J-PARC) 茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCでは、取り扱う陽子ビームの品質を上げるためにビームラインおよび各加速器リングにビームコリメータを設置している。遅い繰り返しのシンクロトロンでは、ビームコリメータ群で受けることの出来る合計のビームロス許容量を450 Wから3.5 kWまで増加させるために、ビームコリメータ7台体制の整備をすすめてきた。その途中、2014年に4台が真空トラブルのためリタイアし、MRトンネル内で保管することとなった。通常残留放射線量の多い機器がリタイアした場合再利用されることはほぼ無いが、これらについてはビーム曝露時間が短かったため、6年の間に残留放射線量が十分に低下した。また2015年以降、ビームコリメータは設計を改め四軸化された。二軸コリメータと四軸コリメータではビームダクトの可動範囲が異なるため本来互換性は無いが、ビームダクト周辺部材の形状の工夫で違いを吸収することができたため、リタイアした二軸コリメータの遮蔽体を再利用して三台の四軸コリメータを製作した。これにより、ビームコリメータの製作コストを抑えつつ、放射性廃棄物となる鉄材を大幅に減らすことにも成功した。ここではリタイアした二軸コリメータの残留放射線量の変化と、遮蔽体を再利用した四軸コリメータの設計を紹介する。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1432教室) | |
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FRP21 p.884 | 理研重イオン超伝導線形加速器の超伝導空洞性能の劣化と回復 Degradation and recovery of cavity performance in the SRILAC cryomodules at RIBF ○坂本 成彦,上垣外 修一,大関 和貴,須田 健嗣,山田 一成(理研仁科センター) ○Naruhiko Sakamoto, Osamu Kamigaito, Kazutaka Ozeki, Kenji Suda, Kazunari Yamada (Nishina Center, RIKEN) 理研超伝導重イオン線形加速器(SRILAC)は2020年1月のコミッショニング以来、超重元素合成実験にビーム供給し続けている。超伝導は長期運転の間に内面の状態の変化によりフィールドエミッションによるX線発生の増加が問題となってくる。SRILACの4分の1波長型超伝導空洞(周波数73 MHZ)も例外ではなく、10台ある空洞のうち半数以上にX線の増加が見られその都度加速電圧を調整して運転を続けてきた。空洞のコンディショニングがいくつかの方法で行われているが、その手法が完全には確立されていないのが現状である。そこで理研RIBFでは、この事態を打開するため比較的簡便で空洞への負荷が少ない高電圧パルスパワーによるコンディショニングを実施した。本発表ではその手法と結果について報告する。 |
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FRP22 p.891 | 静電セプタム上流の散乱体による周辺機器の放射化量評価 Estimation of the activation of the equipment around the diffusers installed upstream of the electrostatic septum ○武藤 亮太郎,木村 琢郎,村杉 茂,沼井 一憲,岡村 勝也,冨澤 正人,柳岡 栄一,白壁 義久(高エ研),松村 秋彦(NAT) ○Ryotaro Muto, Takuro Kimura, Shigeru Murasugi, Kazunori Numai, Katsuya Okamura, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka, Yoshihisa Shirakabe (KEK), Akihiko Matsumura (NAT) J-PARCメインリングでは30GeVに加速した陽子ビームを3次共鳴を利用した遅い取り出しによってハドロン実験施設に供給している。 これまでにビーム取り出し効率99.5%、ビームパワー64kWでのビーム供給を達成しているが、さらなるビームパワー増強のために、取り出し過程におけるビームロスを低減する必要がある。 ビームロスは主に、遅い取り出し機器の最上流部に位置する静電セプタムのセプタムリボンによって発生しており、このロスを低減するために、静電セプタムの上流に散乱体を設置し、セプタムリボンに当たる陽子ビームを小角度散乱させることで、セプタムリボンにおけるビームロスを低減することを計画している。 2021年に行われた低強度ビームにおけるビーム試験によって、 ビームロスが約60%低減できることを確認したが、 ビームロスが生じる位置が変化することによる 周辺機器の放射化の変化が懸念されている。 そこで、FLUKAを用いたシミュレーションにより、 散乱体を設置することによる周辺機器の放射化の変化を評価し、 それを低減する方法を検討した。本発表ではその結果について報告する。 |
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FRP23 p.894 | 5MVタンデム加速器加速高電圧の回復 Recovery of acceleration high tension of 5MV tandem accelerator ○羽鳥 聡,清水 雅也,渕上 隆太,菊地 亮平,小田部 圭佑,古川 靖士,羽田 祐基,栗田 哲郎,廣戸 慎,淀瀬 雅夫,北上 悟,山田 裕章(若狭湾エネ研セ) ○Satoshi Hatori, Masaya Shimizu, Ryuta Fuchikami, Ryohei Kikuchi, Keisuke Otabe, Seiji Furukawa, Yuki Haneda, Tetsuro Kurita, Makoto Hiroto, Masao Yodose, Satoru Kitajo, Hiroaki Yamada (WERC) 福井県若狭湾エネルギー研究センターの加速器施設は200kVイオン注入装置、高周波整流型の5MVタンデム加速器とそのビームライン、及びタンデム加速器を入射器とする200MeV陽子シンクロトロンとそのビームラインからなる。タンデム加速器はイオン注入装置利用実験を除けば、全ての加速器利用実験に用いられる加速器で、その加速高電圧の維持には特に注意を払ってきた。今や、加速管、加速管や加速高電圧ターミナルを支える絶縁コラムの耐電圧性能は5MV発生に十分耐えるものとなっているが、加速高電圧発生用の高周波発振器の出力が定格60kVAに達するようになり、発振管グリッドドライブ異常を起こしトリップするようになっていた。発振器はタンデム高電圧発生用の多段倍電圧整流回路(シェンケル回路)も含めた系では、三極管をスイッチング素子とした一種のフォワード型DC-DCコンバーターを形成しているが、DCバイアス分が無駄な電力といえる。高電圧発生用の高周波のみを発生させるようにハーフブリッジ型とし、トランジスターをスイッチング素子とした新たな高周波発振器を導入した。18kW程度の高周波出力で5MVを発生することが可能となった。本稿では加速管や絶縁構造物の耐電圧性能維持の取り組み、導入した加速高電圧発生用高周波発振器の性能、5MV発生の状況について述べる。 |
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FRP24 | 広帯域テラヘルツパルス蓄積のための光学共振器システムの開発 Development of the build-up optical cavity system for a broad-band THz pulse train ○本田 洋介,谷川 貴紀(高エ研),全 炳俊(京都大学) ○Yosuke Honda, Takanori Tanikawa (KEK), Heishun Zen (Kyoto University) 電子線形加速器による短パルス電子ビームを用いて、広帯域のテラヘルツ放射パルスを発生することができる。とくに、間隔が一定の高繰り返しビームからはキャリアエンベロープ位相(CEP)が一定のパルス列が得られる。外部共振器を用いてパルス列をスタックし、ピーク強度とモード純度を向上させる手法を検討した。 広帯域パルスが共振器に蓄積される条件は、空間モードの次数に依存する。コヒーレント回折放射(CDR)を想定し、高次の空間モードで放射する回折放射をスタックする共振器を設計した。 本研究では共振器の設計とビーム試験の準備状況について説明する。 |
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FRP25 p.899 | 自由電子レーザーで駆動する高繰り返しアト秒光源の研究: 2023 Research towards attosecond x-ray pulse generation using free-electron laser oscillators: 2023 ○羽島 良一,川瀬 啓悟(量研),全 炳俊,大垣 英明(京大),早川 恭史,境 武志(日大) ○Ryoichi Hajima, Keigo Kawase (QST), Heishun Zen, Hideaki Ohagaki (Kyoto U.), Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai (Nihon U.) われわれは、文科省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)のファンドを得て、自由電子レーザーで駆動する高繰り返しアト秒光源の研究を行っている。本研究は、共振器型の赤外自由電子レーザーを超放射領域で動作させ、発生した数サイクルの超短パルスをガス中に集光することで、高次高調波としてアト秒X線の生成を目指すものである。これまで、京都大学、日本大学の自由電子レーザー施設にて、パルスエネルギーの増大とパルスの短縮、生成したパルスの評価を進めてきた。また、高次高調波の第一段階であるトンネル電離の観測を行った。高次高調波測定用の分光器の設計、製作が完了しており、まもなく、高次高調波の測定を試みる予定である。さらに、数サイクルパルスの位相安定化に必要な中赤外レーザーの開発、コヒーレント放射を用いた位相安定化の検討も行っている。2018-2027年度の研究期間の半分が経過したところであり、これまでの成果を報告する。 |
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FRP26 | 次世代EUVリソグラフィー用高出力EUV-FELにおける偏光制御シミュレーション Numerical simulation on variable-polarized high-power EUV-FEL for next-generation EUV lithography ○谷川 貴紀,加藤 龍好,本田 洋介,島田 美帆,中村 典雄,土屋 公央,阪井 寛志,河田 洋(高エネ研) ○Takanori Tanikawa, Ryukou Kato, Yosuke Honda, Miho Shimada, Norio Nakamura, Kimichika Tsuchiya, Hiroshi Sakai, Hiroshi Kawata (KEK) 日本において先端半導体の量産体制を整われつつ昨今、将来的にEUVリソグラフィーに必要となる光源及び露光装置の需要が高まってきている。次世代半導体製造には高出力・高分解能のEUV光源が要求されている。我々は10kW級のERLベースの高出力EUV-FELを円偏光光源として提案してきた。高NAリソグラフィーには直線偏光光源の要求もあり、本発表では同EUV-FELにおいて円偏光及び直線偏光の場合にどのような光特性が得られそうであるかのシミュレーション結果について報告する。 |
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FRP27 | EUV-FELの再生増幅化に必要な光フィードバックと光取り出しの検討 Investigation of optical feedback and light extraction required for regenerative amplification of EUV-FEL ○加藤 龍好,本田 洋介,谷川 貴紀(高エネ研) ○Ryukou Kato, Yosuke Honda, Takanori Tanikawa (KEK) KEKでは近い将来に先端半導体露光で必要とされる強力なEUV光源としてERL技術を用いた高平均出力のFEL(EUV-FEL)を提案している。EUV-FELのプロトタイプ機ではその全長が200mにおよぶため、実機ではよりコンパクトなサイズに収まることが求められている。コンパクト化を図る手法の一つとして、マルチターン化(多重回加速)が考えられる。これにより主超伝導LINACの長さを1/2、1/3にすることが可能となるが、今度はアンジュレータセクションの長さがEUV-FEL全体のサイズを決めるようになる。アンジュレータ長を減じる手法の一つとして、FEL出力の一部を入力側にフィードバックし、次のパルスに対する種光とする再生増幅型FEL(RA-FEL)が挙げられる。RA-FELでは光フィードバック光学系が必要となるが、EUV露光装置で使用されているMo/Siの多層膜ミラーでは、直入射に近い場合は偏光によらず70%程度の反射率が確保できるものの、斜入射になると反射率の偏光依存性が大きくなり、可変偏光アンジュレータを使用する意味が失われてしまう。そこで我々は米国 Lawrence Berkeley 研究所のWebサイトで公開されているX線の反射率データベースを使用して、光フィードバック光学系と光取り出し光学系に使用可能なミラー材質とその配置について検討を行った。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1441教室) | |
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FRP28 p.902 | 次世代放射光施設NanoTerasu蓄積リング真空チェンバの製作及び設置 Fabrication and installation of vacuum chamber for NanoTerasu storage ring ○保坂 勇志,西森 信行(量研),大石 真也,小路 正純,高野 史郎,田村 和宏,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター,理研,量研),上田 庸資,谷内 友希子,正木 満博(高輝度光科学研究センター,量研),高橋 直(理研,高輝度光科学研究センター),平岩 聡彦(理研),住友 博史(スプリングエイトサービス),足立 昌啓,奥野 祐介,田中 宏樹,永井 和広,藤本 浩太郎(日立造船) ○Yuji Hosaka, Nobuyuki Nishimori (QST), Masaya Oishi, Masazumi Shoji, Shiro Takano, Kazuhiro Tamura, Takahiro Watanabe (JASRI,RIKEN,QST), Yosuke Ueda, Yukiko Taniuchi, Mitsuhiro Masaki (JASRI,QST), Sunao Takahashi (RIKEN,JASRI), Toshihiko Hiraiwa (RIKEN), Hiroshi Sumitomo (SES), Masahiro Adachi, Yusuke Okuno, Hiroki Tanaka, Kazuhiro Nagai, Kotaro Fujimoto (Hitz) 東北大学青葉山新キャンパスにて次世代放射光施設NanoTerasuの整備が進められている。2024年4月からの運用開始に向け、加速管、電磁石、真空チェンバ、ビームモニタ等の主要コンポーネントの設置を完了し、現在はビームコミッショニングを実施している段階である。 周長約350 mのNanoTerasu蓄積リングは16のセルで構成されており、1セルあたり4台の偏向電磁石をもつラティス設計である。蓄積電流400 mA、水平エミッタンス1.1 nmradの電子ビーム蓄積を実現するため電子ビームに強い磁場勾配を与える必要があり、電磁石はSPring-8と比較して1/3程度の磁極間隔となっている。電磁石の小ボア径化に伴い真空チェンバにも小口径化が求められるが、小口径化は電子ビームとチェンバ壁の接近を意味し、インピーダンスを増大させ電子ビームの不安定性を引き起こす。NanoTerasu蓄積リング真空チェンバは、ステンレス製チェンバ採用による薄肉化、チェンバ内面銅メッキによるインピーダンス改善、ガス源の直近にポンプを配置する局所的な排気システムなど、様々な工夫を施した設計となっている。また、ビーム廃棄時のチェンバ損傷防止のため、チェンバ内周側の内面にグラファイト製の電子ビームアブソーバーを設置していることも特徴の一つである。 本発表ではNanoTerasu蓄積リング真空チェンバの製作時の状況及び発生事象と、現地での据付・真空立ち上げ等について紹介する。 |
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FRP29 p.907 | J-PARC MRに新品の機器を加える場合の焼き出し運転の評価 Evaluation of bake-out operation when new equipment is added to J-PARC MR ○魚田 雅彦(高エネ研/J-PARCセンター) ○Masahiko Uota (KEK/J-PARC) 大強度陽子加速器J-PARCのMRシンクロトロンは、2008年5月の入射試験から数えて15年が経過し、パラメータ調整・変更と機器の改造・更新により所期計画での強度750kWでの速い取り出し運転が恒常的に実現しようとしている。MRでは、陽子ビームバンチの通過によりビームダクト内壁表面からの気体放出現象が観測されている。放出量はバンチの電流密度及び表面に付着している気体分子量と相関しており、ビーム強度が高いほど、また真空の圧力が高いほど放出量は大きい。メンテナンス時に交換した場所は大気からの排気時間が少ないため元々圧力が高い上にビーム運転によりさらに圧力が悪化し、残留気体分子との衝突によるビームロスを引き起こしてしまう。そのためメンテナンス期間明けの調整運転では、強度を落とした周回ビームによる気体放出を促す時間が必要であり、それを我々ローカルに「焼き出し運転」と称している。ユーザー側の立場からは短いことが望ましい焼き出し運転に必要な時間がどの程度必要であるかは、ビーム調整の計画を立てる上で極めて重要な課題となっている。発表では、これまでの実績からビームによる焼き出し効果を検証し、新品の真空ダクトに必要な焼き出し運転時間を評価する。 |
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FRP30 p.912 | J-PARCクライストロン放電現象監視システムの概要 Overview of the J-PARC klystron discharge monitoring system ○溝端 仁志,Cicek Ersin,方 志高,福井 佑治,二ツ川 健太(高エネ研),中野 秀仁,篠崎 信一,不破 康裕(原子力機構),岩間 悠平,佐藤 福克(NAT) ○Satoshi Mizobata, Ersin Cicek, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa (KEK), Hideto Nakano, Shinichi Shinozaki, Yasuhiro Fuwa (JAEA), Yuhei Iwama, Yoshikatsu Sato (NAT) J-PARCリニアックではクライストロン45台を用いて加速器の運転が行われている。新たにクライストロンのカソード電圧やビーム電流などを測定・データ収集できる装置の開発を検討している。この装置にはクライストロンの放電現象を監視する機能も組み込む予定である。FPGAとADCを組合わせることにより従来の放電現象監視装置からの機能向上も計画している。本発表では、新たに構築するクライストロンの放電現象監視システムの概要について報告する予定である。 |
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FRP31 p.914 | 大電流ビーム蓄積におけるARES空洞の最適チューニングに関する再考 Reconsideration on optimum tuning of ARES cavity for high current beam storage ○小林 鉄也,阿部 哲郎,榎本 瞬,小笠原 舜斗,岡田 貴文,西脇 みちる,山口 孝明(高エネ研) ○Tetsuya Kobayashi, Tetsuo Abe, Shun Enomoto, Shunto Ogasawara, Takafumi Okada, Michiru Nishiwaki, Takaaki Yamaguchi (KEK) SuperKEKB加速器では、非常に高いビーム電流の蓄積を目指し、KEKB用に開発されたARES空洞と呼ばれる特殊な常伝導空洞を再利用している(RF周波数は約509MHz)。ARES空洞は、加速空洞(A)に結合空洞(C)を介して貯蔵空洞(S)を連結させた3連空洞で(π/2モードで運転)、S空洞の大きな蓄積エネルギーによりビーム負荷の影響を軽減する。また、C空洞に励起される電磁場は「Cダンパー」により外へ排出され、π/2モード以外は減衰する構造を持つ。ビーム負荷に対する最適チューニングではA空洞だけを離調するが、SuperKEKBのデザイン電流3.6Aでは、このA空洞の離調度が非常に大くなる(約-280kHz)。そのためπ/2モードの節の位置がズレれ、Cダンパーへの負荷が増大することが懸念されている。そこで、最適チューニングにおいてS空洞も考慮し、A空洞の大きな離調を避けることが可能かどうか、基本的な計算モデルを用いて検討した。その結果から、やはりビーム負荷に対してはA空洞の大きな離調が必要(それ以外は比現実的)であることを示す。また、上記とは別件で、A空洞を意図的に大きく離調する(C空洞の負荷を上げる)大電力試験が行われた。その結果を踏まえ、本計算モデルの妥当性や最適チューニングにおける懸念事項などを紹介・検証する。本問題に対しては、更なる検討(電磁場分布や節の位置も考慮できる評価方法)が必要になるであろう。 |
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FRP32 p.919 | STF-2加速器でのビーム誘起波を用いたデジタルLLRF系の信号校正 Signal calibration of digital LLRF system using beam-induced field for the STF-2 accelerator ○松本 利広(高エネ研/総研大),荒川 大,片桐 広明(高エネ研),三浦 孝子,松本 修二(高エネ研/総研大) ○Toshihiro Matsumoto (KEK/SOKENDAI), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri (KEK), Takako Miura, Shuji Matsumoto (KEK/SOKENDAI) 数百マイクロ秒以上の長パルスやCW運転を行う加速器では、1台の大電力高周波源から複数の空洞に電力を供給する構成がある。その場合の高周波系では、各空洞の振幅・位相のベクトル和を一定にするフィードバック制御を採用したLLRF系が重要な役割を担うことになる。更にビームの安定な運転のためには、各空洞からの振幅とビーム位相の校正が重要になってくる。 KEKのSTF-2加速器のビーム運転において、ビーム誘起波による各空洞の振幅とビーム位相の測定を行い、その情報を元に校正を行うことで安定なビーム運転に寄与することができた。ここではビーム誘起波によるLLRF系の信号校正、並びに今後の検討について報告する。 |
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FRP33 p.923 | High-power RF tests of repaired circulator for LIPAc RFQ ○Kouki Hirosawa, Naoya Kubo, Andrea De Franco, Kai Masuda, Keitaro Kondo, Atsushi Kasugai, Masayoshi Sugimoto (QST), Ivan Moya, Francesco Scantamburlo, Yann Carin (F4E), Luis Gonzalez-gallego Sanchez-camacho, Cesar Caballero, Juan Carlos Morales Vega (UGR) The Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) is the accelerator facility to validate the engineering design of the International Fusion Materials Irradiation Facility (IFMIF). The first stage of the IFMIF accelerator up to 9MeV for 125mA deuteron beam in continuous wave (CW) mode is the design configuration of the LIPAc. The 9.8m long RFQ, which is one of the most important accelerating components despite extremely strong space charge force, is fed by 8 RF drive sources. They are synchronized with the White Rabbit based solution and each include 200kW amplifier system including their circulator. During the RFQ CW commissioning campaign in January 2022, one circulator had frequently arc trouble leading to severe damages at the connection of the inner transition from the coaxial line output of the final tetrode to the strip-line central plate of the circulator. The damaged circulator was repaired at the manufacturer’s factory premises and tests of RF characteristics were performed after its reinstallation in LIPAc. An overview of the encountered challenges and the result of RF tests for the repaired circulator will be reported in this meeting. |
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FRP34 | ILCクライストロン用チョッパ型マルクス電源の現状 Present status of chopper-type marx modulator for ILC Klystron ○明本 光生,川村 真人,松本 修二,中島 啓光,夏井 拓也(高エネルギー加速器研究機構),徳地 明,澤村 陽,生駒 直弥(パルスパワー技術研究所) ○Mitsuo Akemoto, Masato Kawamura, Shuji Matsumoto, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui (KEK), Akira Tokuchi, Yo Sawamura, Naoya Ikoma (PPJ) 現在開発中のマルクス電源は80段の降圧チョッパ回路(セル)で構成されている。各セルはPWM制御することによって、ドループを持たない-1.5kVのパルスを作り、さらにリップルについてはセル間の位相を制御することによってリップルの低減を行なう。各セルの出力パルスは直列で合成され、-120 kV (±0.5 %)、140 A、1.7 ms、5 Hzの平坦な長パルス波形を発生する。本発表では、この電源の開発状況について報告する。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1442教室) | |
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FRP35 p.928 | J-PARC大強度高周波駆動負水素イオン源の運転状況 Operation status of the J-PARC high-intensity rf-driven negative hydrogen ion source ○神藤 勝啓,大越 清紀(J-PARC/原子力機構),柴田 崇統,南茂 今朝雄(J-PARC/高エネ研),川井 勲(日本アクシス),池上 清(J-PARC/高エネ研),上野 彰(J-PARC/原子力機構) ○Katsuhiro Shinto, Kiyonori Ohkoshi (J-PARC/JAEA), Takanori Shibata, Kesao Nanmo (J-PARC/KEK), Isao Kawai (Nihon Axis Co.,Ltd.), Kiyoshi Ikegami (J-PARC/KEK), Akira Ueno (J-PARC/JAEA) 2014年秋よりJ-PARCで運用を開始した高周波駆動型大強度負水素イオン源の2022年秋から2023年夏までの運転状況について報告する。J-PARCでは、リニアックで50 mAの負水素イオンビームを引き出すために、イオン源よりビームエネルギー50 keVでビーム電流60 mAのビームを生成・引き出している。これまで、J-PARCでは昨年夏までの運転で4001時間のイオン源連続運転を達成した。また、2022年秋より運転を再開した後、イオン源は年末年始や年度末の運転休止期間を挟んで、2023年5月現在まで途中で交換することなく、1台のイオン源で運転を継続している。本発表では、J-PARC負水素イオン源の運転状況を報告する。また、イオン源グループで試験を進めている高周波プラズマ生成用のJ-PARC製内部アンテナの状況についても併せて報告する。 |
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FRP36 p.932 | 電子サイクロトロン共鳴多価イオン源における軽質量元素ガスミキシング効果による多価イオン生成の高効率化とエミッタンス測定 Enhanced production of multicharged ions by mixing low Z gas and emittance measurement on electron cyclotron resonance ion source ○藤村 優志,岩原 亘輝,加藤 裕史(大阪大学工学研究科電気電子情報通信工学専攻) ○Yushi Fujimura, Koki Iwahara, Yushi Kato (Division of Electrical, Electronic and Infocommunications Engineering, Osaka University) 私たちは電子サイクロトロン共鳴イオン源(ECRIS)において多価イオンの効率的な生成を目的とする研究を行っている. 多価イオン生成高効率化の比較的簡便な手法として軽質量元素ガスをメインガスプラズマに混入するガスミキシング法が知られている. また, イオンサイクロトロン共鳴(ICR)を利用して軽質量元素イオンを選択的に加熱することによる多価イオン生成のさらなる高効率化が期待されている. ガスミキシング法の原理はまだ完全には解明されていないが, イオン同士の衝突によるクーリング効果に起因すると考えられている. イオンクーリング効果を実験的に確認するためにはイオン温度に関係するパラメータを取得する必要がある. そのため私たちはイオンビームに対してワイヤープローブとマルチスリットを用いる方法によってエミッタンス測定を行うことでrmsエミッタンス値を得た. 今回の実験ではメインガスのArプラズマに対して軽質量元素ガスHeを混入し, ガスミキシング効果によって多価イオン生成量が増加することをイオンビームの質量価数分布測定によって確認した. そして, 多価Arイオンビームにおいてエミッタンス測定を行い, He混合時と非混合時におけるrmsエミッタンスを比較した. 今後は低周波数電磁波を導入することによってICRを利用した軽質量元素イオンの選択的加熱を行い多価イオン生成の高効率化を図るとともに, エミッタンス測定によって効率化の原因を検証する予定である. |
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FRP37 | ILC陽電子生成標的の開発 Development of ILC positron production target ○森川 祐,榎本 嘉範,福田 将史,早野 仁司(KEK) ○Yu Morikawa, Yoshinori Enomoto, Masafumi Fukuda, Hitoshi Hayano (KEK) ILC(国際リニアコライダー)の電子駆動陽電子源では3GeV電子ビームをタングステン標的に入射することで陽電子を得る。電子ビーム照射によるタングステン部の平均発熱量は約20kWであり、この熱負荷を分散させる為に回転標的の構造を採用している。本標的では回転構造と真空性能を両立した設計が必要であり、設計の妥当性確認と性能実証の為に模型試験を2023年度より開始する。また冷却のためにタングステンは銅合金との接合を必要とする。タングステンと銅合金の接合方法としてロウ付けや熱間等方圧加圧などがあるが、今回はSpark Plasma Sintering(SPS)による接合を検討している。SPS法ではタングステンと銅合金間に中間層を形成し接合させる。中間層の機械特性を調整することで、タングステン/銅合金接合面での熱応力を低下させることができる。 今回はILC電子駆動陽電子源の設計概要、進行中の模型試験とタングステン/銅合金のSPS接合試験について紹介する。 |
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FRP38 p.937 | J-PARC 3GeVシンクロトロンにおける純炭素フォイルによる荷電変換への挑戦 Challenge to Charge exchange with pure carbon foil in the J-PARC 3GeV synchrotron ○仲野谷 孝充,吉本 政弘,サハ プラナブ(原子力機構 J-PARCセンター),竹田 修,佐伯 理生二,武藤 正義((株)NAT) ○Takamitsu Nakanoya, Masahiro Yoshimoto, Pranab Saha (JAEA/J-PARC), Osamu Takeda, Riuji Saeki, Masayoshi Mutoh (NAT) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS:Rapid Cycling Synchrotron)では、前段加速器であるリニアックから入射した400MeVのH-ビームを荷電変換フォイルによりH+ビームに変換して、3GeVまで加速させている。これまでRCSでは、少量のホウ素を炭素棒に添加し、これを電極としてアーク蒸着法により作製したHBCフォイル(Hybrid Boron mixed Carbon stripper foil)と市販のグラフェン薄膜の2種類を荷電変換フォイルとして使用していた。これらに加えて新たな試みとして、アーク蒸着法で作製した純炭素フォイルを2023年3月からの利用運転で使用した。本発表ではこれら3種類の荷電変換フォイルの使用状況と今後の展望について報告する。 |
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FRP39 p.942 | GHMCのイオン源テストスタンドにおけるペッパーポットエミッタンスモニタの導入 Introduction of a pepper-pot emittance monitor at GHMC ○中尾 政夫(群大重医セ),依田 哲彦,福田 光宏(阪大RCNP),宮脇 信正(量研高崎研),想田 光(山形大),野田 耕司(群大重医セ) ○Masao Nakao (GHMC), Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda (RCNP), Nobumasa Miyawaki (QST), Hikaru Souda (Yamagata Univ.), Koji Noda (GHMC) 群馬大学重粒子線医学センター(GHMC)では、イオン源として10GHzのECRイオン源であるKeiGMを使用し、30kVの引出電圧でC4+を200μA程度取り出して治療のための運転を行っている。一方で、予備機と研究開発を兼ねたKeiGMの同型機であるイオン源テストスタンドも設置されている。テストスタンドにはビーム診断装置としてワイヤスリット型エミッタンスモニタが既に設置されているが、測定に時間が掛かることと、測定可能な位相空間内の範囲が狭い問題があった。それらの問題を解決するためにペッパーポット型エミッタンスモニタを設置した。ペッパーポット型エミッタンスモニタはペッパーポットマスクを通過した粒子がMCPと蛍光板で光に変換されカメラで観測するが、バックグラウンドの除去方法などを従来のエミッタンスモニタと比較して検討した。He, C, Ar等のイオンのエミッタンスをRF周波数、電力、ガス流量を変化させて測定した。 |
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FRP40 p.946 | SuperKEKB QCSクライオスタット位置の変動 SuperKEKB QCS cryostat position variation ○増澤 美佳,植木 竜一,大澤 康伸,川本 宗,中村 衆,古澤 将司,山岡 広(KEK) ○Mika Masuzawa, Ryuich Ueki, Yasunobu Ohsawa, Takashi Kawamoto, Shu Nakamura, Masashi Furusawa, Hiroshi Yamaoka (KEK) SuperKEKBでは衝突点でビームを垂直方向に絞り込むために必要な強力な磁場を作り出す超伝導電磁石システム(QCS)を内蔵したクライオスタットがBelle II測定器の前方、後方からそれぞれ片持ち構造で挿入されている。クライオスタットは移動架台に取り付けられていて移動架台はビームライン床にしっかりと固定されているが、片持ちなので衝突点寄りの部分はフリーの状態になっている。 クライオスタット据え付け後の動きをモニタするためにKEKBの時と同様の静電容量型のギャップセンサーを取り付けてBelle II内側の検出器とクライオスタットの距離をビーム運転中でも常時モニターするようにしている。また、衝突点近傍にはHLSが置かれており床の高さについても常時モニタしている。SuperKEKBは2022年3月から6月まで物理実験を行ない、その後約一年半に及ぶ長期シャットダウン期間に入っている。 HLSから得られた床変動データ、ギャップセンサーで見えるQC Sクライオスタットの動き、QCS垂直ステアリングの強さの変動、そしてBelle IIデータから求められた衝突点の垂直方向のVertex位置に強い相関があることがわかった。またこれらは外気温とも相関している。本発表ではこれらの相関について報告する。 |
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FRP41 p.951 | 環境温度とビーム Ambient temperature and beam ○矢野 喜治,明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,設楽 哲夫,中島 啓光,夏井 拓也,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(KEK) ○Yoshiharu Yano, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) KEKの電子陽電子入射器は1982年にPFリングの電子入射器として稼働をはじめ、様々な増設、改造を重ね現在はPF、PF-AR、SuperKEKBの入射器として運用中である。これまで良質のビームを安定に供給するために様々な改良を実施して来た。電源等が設置されているギャラリーの温度は施設の空調システムによって管理されているが、ビームが安定になって来るとこれまで問題にされなかった温度変動がビームに与える影響を無視出来なくなった。ここではギャラリーの温度変動がビームに与える影響を調査しその対策を検討したので報告する。 |
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FRP42 p.954 | クライオモジュールで発生する気柱振動に伴う熱輸送の防止 Prevention of heat transport associated with air column vibration generated in cryomodule ○清水 洋孝(KEK) ○Hirotaka Shimizu (KEK) SuperKEKB加速器では超伝導加速空洞を使った粒子加速が行なわれており、クライオモジュールと呼ばれる極低温環境を保持出来る容器の中に加速空洞を収めて運転を行う。STF加速器やcERL加速器では、2 K超流動ヘリウムでの空洞の冷却を行う為、更に低い温度での寒冷の制御が必要になる。これらの制御を行う自動弁は、極低温領域と室温領域を弁棒で繋ぐ構造になっており、弁棒とその筐体との間で、意図しない気柱振動が発生する事がある。他にも極低温部分の圧力を測定する為に敷設された配管類も、極低温領域と室温領域を繋ぐ構造になっており、やはり気柱振動を起こす可能性がある。この振動は、熱振動とも呼ばれ、室温側から大量の熱を効率的に極低温域に運ぶ性質があり、結果としてモジュール内の寒冷を無駄に消費する事で、加速器の運転に深刻な問題を引き起こす。一方で、パルス管冷凍機を用いた冷却の仕組みは、封入した作業流体の圧力振動によって理解する事が出来る事が、熱音響理論によって示唆されており、積極的に低温側から高温側に熱を汲み上げたい装置(小型冷凍機)の動作と、高温側から低温側に熱が流れ込んでしまう現象(気柱振動)には一定の類似点が存在している。この研究では、気柱振動による熱の輸送現象と、パルス管冷凍機での冷却の仕組みを対比して考える事で、意図しない熱輸送を防止する方法について検討を行う。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1443教室) | |
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FRP43 p.959 | 疑似宇宙高速電波バースト現象生成に向けたプラズマとの衝突実験の準備状況 Current status of interaction experiments with plasma for realization of astrophysical fast radio burst on ground ○住友 洋介,浅井 朋彦(日大理工),小口 治久(産総研),日下 和大,井浦 空太(日大理工),早川 恭史(日大LEBRA),小林 大地(日大理工),境 武志(日大LEBRA),関 太一(日大理工) ○Yoske Sumitomo, Tomohiko Asai (CST, Nihon Univ.), Haruhisa Koguchi (AIST), Kazuhiro Kusaka, Sorata Iura (CST, Nihon Univ.), Yasushi Hayakawa (LEBRA, Nihon Univ.), Daichi Kobayashi (CST, Nihon Univ.), Takeshi Sakai (LEBRA, Nihon Univ.), Taichi Seki (CST, Nihon Univ.) 宇宙観測において注目を集めている「高速電波バースト現象」は未だその放出メカニズムに対する理解がまとまっていないのが現状である。この未解明の現象に対して、プラズマと電子ビームの集団相互作用による非線形効果を活用することで、顕著な特徴である超高輝度や短時間での放出であることを説明可能であると考えており、日本大学理工学部にある加速器で再現実験のための準備を行っている最中である。 本発表においては、実験の全貌について紹介するとともに、プラズマ装置との真空を切り分けた上での接続に用いる予定であるチタン膜やプラズマ生成に用いる水素ガスにおける電子ビームによる放射化の影響についてシミュレーションした結果について報告し、必要となるプラズマ装置とその準備状況について紹介する。 |
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FRP44 p.962 | マルチイオン治療用小型ECRイオン源の改良と調整 Commissioning on an ECR ion source for the multi-ion radiotherapy ○片桐 健,村松 正幸,岩田 佳之,白井 敏之(QST千葉),野村 真史,坪松 悟史,高橋 伸明,佐々野 利信(住重),鈴木 太久,髙橋 勝之,白石 直浩(AEC) ○Ken Katagiri, Masayuki Muramatsu, Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai (QST), Shinji Nomura, Satoshi Tsubomatsu, Toshinobu Takahashi, Toshinobu Sasano (SHI), Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi, Tadahiro Shiraishi (AEC) 我々は,重粒子線がん治療における副作用の低減,治療期間の短縮,及びさらなる治療効果の向上のために,線量分布だけでなく線質分布の最適化を可能とするマルチイオン治療の実現を目指している.次世代重粒子線がん治療装置である量子メスにてこのマルチイオン治療を実施するために,4種類のイオン(He, C, O, Ne)の生成とそれらの素早い切り替えが行えるイオン源(マルチイオン源)の開発を我々は進めてきた.このマルチイオン源では,メンテナンスフリー化とコンパクト化の実現のために,軸方向・動径方向磁場の発生に永久磁石が用いられ,マイクロ波の発生には半導体増幅器が用いられる.また,4種類のイオンの素早い切り替えのために,パルスバルブによるガス切り替え法が用いられる. このイオン源は2022年3月にHIMACに設置され,所定の性能を得るために,我々は改良と調整を進めてきた.本発表では,本イオン源にて生じた問題,それらのために講じた改良と調整,及びこれまでに得られた性能を報告する. |
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FRP45 p.966 | 次世代重粒子線がん治療装置(量子メス)の研究開発 Development of a next-generation medical accelerator, quantum scalpel, for heavy-ion radiotherapy ○岩田 佳之,白井 敏之,水島 康太,松葉 俊哉,楊 叶,野田 悦夫,浦田 昌身,片桐 健,村松 正幸,佐藤 眞二(量研機構・量医研),阿部 康志(理研),藤本 哲也,白石 直浩,鈴木 太久,高橋 勝之(加速器エンジニアリング),近藤 公伯,榊 泰直,西内 満美子(量研機構・関西研),折笠 朝文,高山 茂貴,天野 沙紀,吉行 健(東芝ESS),橘 正則,戸内 豊,坪松 悟史,野村 真史(住友重機械) ○Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai, Kota Mizushima, Shunya Matsuba, Ye Yang, Etsuo Noda, Masami Urata, Ken Katagiri, Masayuki Muramatsu, Shinji Sato (QST), Yasushi Abe (RIKEN), Tetsuya Fujimoto, Naohiro Shiraishi, Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi (AEC), Kiminori Kondo, Hironao Sakaki, Mamiko Nishiuchi (QST), Tomofumi Orikasa, Shigeki Takayama, Saki Amano, Takeshi Yoshiyuki (Toshiba ESS), Masanori Tachibana, Yutaka Touchi, Satoshi Tsubomatsu, Shinji Nomura (SHI) 量研機構では、次世代重粒子がん治療装置である「量子メス」の研究開発プロジェクトを推進している。「量子メス」とは、量子ビームによる腫瘍除去手術になぞらえて名付けられたものであり、超伝導技術等を応用して装置の画期的小型化を図ると共に、複数種のイオンを最適に利用して治療の高度化を実現するものである。量子メスの加速器部は、永久磁石型14 GHz ECRイオン源、RFQ線形加速器、APF型IH-DTL線形加速器から構成される入射器、超伝導シンクロトロン、並びにビーム輸送ラインにより構成される。ECRイオン源はヘリウムからネオンまでの複数の多価イオンを出力するとともに、イオン種を1分程度で高速に切り替えることができ、これらイオンを後段の加速器により最大で核子あたり430 MeVまで加速することで、生物学的効果の異なる複数種類の重イオンを治療ビームとして利用することができる。超伝導シンクロトロンは、最大磁場3.5Tの90度偏向超伝導電磁石を採用することにより、リングサイズを8.6m×8.6mまで小型化することが可能となる。現在、量子メス実証機の研究開発を続けており、2027年の稼働に向けて装置の詳細設計・製作、並びに、専用建屋の建設を推進しているところである。本発表では、プロジェクト概要、並びに、研究開発の現状について報告する。 |
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FRP46 | Cs-137を代替する模擬γ線場に向けた加速器駆動X線源の開発 Development of an accelerator-driven X-ray source for replacement of the 137Cs γ-ray reference field. ○佐藤 大輔,石井 隼也,田中 真人(産総研) ○Daisuke Satoh, Jyunya Ishii, Masahito Tanaka (AIST) 放射性同位元素(RI)はその固有の半減期で強度が減衰する為、短寿命RIを用いた照射装置の強度を維持するには定期的にRIを購入し、入れ替える必要がある。しかし、近年の地政学的リスクにより、RIの世界的な供給不足、価格の高騰、安全管理コストの増大が深刻な問題となっている。これらの問題を解決する方法として、産総研では、RIによるγ線照射場を加速器駆動X線源で代替する、模擬γ線場の開発を世界に先駆けて取り組んでいる。本研究では、電子ビームを約975 keVまで加速することができる小型C-band電子線形加速器システムを開発し、透過型タングステンターゲットより発生する制動X線を用いてCs-137から放出される662 keVのγ線を代替する模擬γ線場の開発に取り組んできた。本発表では、RI代替を目指した加速器駆動X線源と模擬γ線場の開発の現状について報告する。 |
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FRP47 p.969 | KEK Injector Linacにおけるビーム自動調整試験について Beam automatic tuning test at the KEK injector linac ○夏井 拓也,佐藤 政則(KEK) ○Takuya Natsui, Masanori Satoh (KEK) KEK Injector Linacにおいては,4-ring同時入射を達成しており,日々様々なビームモードにおけるビーム調整が行われている.ビーム調整は機器のドリフトなどからくる入射率の変化を最適な条件に戻すような調整で,ビーム状態を見ながら運転員が手動でマグネットの電流値などを調整している.入射器ではパルスマグネットによって様々なビームモードを同時に扱うことができるが,その分運転の負担は増えてしまう.本研究はこの調整を自動化するという試みである.多変数関数の最小化問題アルゴリズムのDownhill simplex法やベイズ最適化を利用して,多数の調整ノブを同時に調整することにより,人の手を介すること無くビーム状態を最適に保つことを目標としている.この自動調整の試験はすでに始められており入射器の一部調整では実用になりつつあるので,この結果を報告したい. |
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FRP48 p.972 | KEKにおけるニオブ薄膜スパッタ装置の開発 Development of niobium sputtering apparatus at KEK ○片山 領,佐伯 学行,久保 毅幸,早野 仁司,井藤 隼人(KEK),永田 智啓,伊藤 亮平(アルバック),岩下 芳久(京都大学) ○Ryo Katayama, Takayuki Saeki, Takayuki Kubi, Hitoshi Hayano, Hayato Ito (KEK), Tomohiro Nagata, Ryohei Ito (ULVAC), Yoshihisa Iwashita (Kyoto-University) We have been developing the Nb sputtering apparatus to coat the inner surfaces of an elliptical shape 3 GHz cavity. DC magnetron sputtering method is used in this system. We already successfully induce plasma in the chamber and coated several samples made of Cu attached to the coupon cavity as imitated the real shape of the 3 GHz cavity. This apparatus has the capability of formatting Nb thin-film as well as NbN thin-film to the inner surface of the SRF cavity. S'S structure consisting of dirty Nb or NbN on the pure bulk Nb potentially improves the maximum accelerating gradient of the ordinal Nb SRF cavity. We will report on the details of the system and obtained results, and discuss the plan based on the apparatus. |
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FRP49 p.977 | STF-2クライオモジュール内の残留磁場測定 The residual magnetic field measurement of STF-2 cryomodule ○植木 竜一,山田 智宏,山本 康史(KEK) ○Ryuichi Ueki, Tomohiro Yamada, Yasuchika Yamamoto (KEK) 超伝導空洞周辺の残留磁場は空洞のQ値に大きな影響を与えることが知られており、空洞周辺の残留磁場を数mG程度まで下げると超伝導空洞は高いQ値を示すことがわかっている。鉄製のクライオモジュール本体は第一段の磁気シールドとしての役割を果たしている。しかし、製造や輸送過程で磁化したモジュール内の残留磁場は非常に高い値を示す。我々はこれまでに磁化したクライオモジュールの消磁を行い、残留磁場の低減に取り組んできた。一方、加速器運転を視野に入れた場合、モジュール内に超伝導空洞やその他の機器がインストールされた状態における残留磁場や、運転中これらの機器の動作が残留磁場にどのような影響を与えるかを理解することが重要である。今回、我々は超伝導空洞および周辺機器がインストールされたSTF-2クライオモジュールCM1およびCM2a内の残留磁場測定を行った。また、2022年10月から2023年1月まで行われたクライオモジュールの冷却中およびビーム運転時のクライオモジュール内の残留磁場変動の測定を行った。また、第二段のシールドとして空洞の直近に設置されている磁気シールドは、開口部のあるエンドセル付近の残留磁場が高く、これを減らすためにシールド構造の最適化が必要となる。本発表では、冷却中およびビーム運転中のクライオモジュール内の残留磁場測定の結果、および磁気シールド最適化の取組みについて報告する。 |
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FRP50 | パルス大強度相対論的電子ビームによる放射線損傷に影響する電子の運動エネルギー分布計測 Kinetic energy distribution measurement of electron affecting radiation damage by pulsed intense relativistic electron beam ○岡村 柊冶,菊池 崇志,佐々木 徹,高橋 一匡(長岡技術科学大学),今田 剛(新潟工科大学,長岡技術科学大学・極限エネルギー密度工学研究センター) ○Toya Okamura, Takashi Kikuchi, Toru Sasaki, Kazumasa Takahashi (Nagaoka University of Technology), Go Imada (Niigata Institute of Technology, Nagaoka University of Technology Extreme Energy-Density Research Institute) パルス大強度相対論的電子ビーム(Pulsed Intense Relativistic Electron Beam : PIREB)は大きな瞬間出力を得られるため,標的材料に照射することで,放射線損傷によりその物性を変化させることができる。 放射線損傷を引き起こす入射電子のエネルギーは標的材料によって異なるため,PIREBが標的材料に与える影響を予測するにはPIREBの電子の運動エネルギー分布の計測が重要である。 本研究では,大きな運動エネルギー広がりを持つPIREBの電子の運動エネルギー分布計測のため,アクリル板と線量フィルムを用いた運動エネルギー計測器の設計を行い,製作した測定系を用いてPIREBの運動エネルギー分布の測定を行った。 厚みが一定のアクリルを遮蔽板とし,その前面と背面に線量フィルムを貼る。前面の線量フィルムにより,入射したPIREBの線量を測定する。アクリル板への侵入深さは電子の運動エネルギーによって決まるため,アクリル板を通過できたPIREBの線量を背面の線量フィルムで計測することで,アクリル板の種々の厚さに対応する運動エネルギーを持つ電子の線量が測定できる。PIREBを照射した際のアクリル板前後の線量を比較することで,特定の運動エネルギーを持つ電子の割合が算出できる。 線形誘導加速器である極限エネルギー密度発生応用装置”ETIGO-III”を用いて,定格加速電圧2MVのPIREBを構築した運動エネルギー計測器に照射し,運動エネルギー分布を計測した。 |
ポスター④ (9月1日 14号館1444教室) | |
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FRP51 p.981 | レーザー光学系最適化によるニュースバル LCS ガンマ線源の大強度化 Research on increasing LCS gamma-ray intensity of NewSUBARU by optimizing the laser optical system ○平川 悠人,橋本 智(兵庫県立大学高度研) ○Haruto Hirakawa, Satoshi Hashimoto (LASTI, Univ. of Hyogo) ニュースバルビームライン BL01 は世界でも数少ないレーザーコンプトン散乱 (LCS) ガンマ線施設である.LCS ガンマ線は,エネルギー可変,高エネルギー性,高指向性,準単色性,偏光性といった優れた特徴を有する.典型的なパラメータとして,可視光領域の入射レーザー (532 nm) を蓄積リング内に周回する相対論的電子 (1.0 GeV) と正面衝突させ,約 33 MeV のガンマ線を発生する.入射レーザーは光学レンズにより集光され,蓄積リング直線部付近にあるビームウエストで最小径となる.ガンマ線強度を最大化するためには,2 つのビームを効率よく衝突させる必要があるが,現状では入射レーザー径が電子ビーム径よりもかなり大きいことに加えて,入射レーザーと電子ビームのウエスト位置が約 2.2 m 離れていることが課題である.本研究ではこれらの問題を解決するため,ガウシアンビーム光学系の最適化を行った.入射レーザーと電子ビームの重なりを評価する Luminosity 関数値が最大となる様にレーザー径の最小化およびウエスト位置を改善し,ガンマ線強度の計算及び実験的な評価を行った.本発表では,これらの結果および現在調整中のタイミング同期回路によるシングルバンチ電子ビームとレーザーパルス (~ 40 ns) によるガンマ線生成についても報告する. |
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FRP52 p.985 | ILC陽電子捕獲ライナック用LバンドAPS加速管の設計 Design of an L-band alternating periodic structure(APS) cavity for the ILC positron capture linac ○福田 将史,榎本 嘉範,早野 仁司,森川 祐(高エネ研),栗木 雅夫(広島大) ○Masafumi Fukuda, Yoshinori Enomoto, Hitoshi Hayano, Yu Morikawa (KEK), Masao Kuriki (Hiroshima Univ.) 国際リニアコライダー(ILC)の電子駆動型の陽電子源において、陽電子は、3GeVの電子ビームをターゲットに照射し電磁シャワーにより生成する。それをソレノイド磁場中の陽電子捕獲ライナックで加速する。大電流のマルチバンチ陽電子ビームを加速するため、ビームローディング補償が課題となる。また、この最初の加速管では、ターゲットからの電磁シャワーによる熱負荷が10kW以上と大きく、加速管のアイリス部の温度が上昇することが予想される。この捕獲ライナック用の加速管としてLバンドのAlternating Periodic Structure(APS)タイプの加速管を用いる。APS空洞は、π/2モードの定在波管で、電界が無いセルを縮めてシャントインピーダンスを高めたものである。また、π/2モードなので群速度が大きく、セル間のエネルギーのやり取りがあるため、ビームローディングやセルの周波数誤差などの外乱に強くなる。さらに、冷却用流路やソレノイドコイル内へ収まるようなスペースの制限の考慮も必要となる。現在、SUPERFISHやCST Studioを使用した空洞を設計しており、この加速管の設計状況について報告する。 |
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FRP53 p.990 | KEK-COI棟における9セルNb空洞の縦型電解研磨設備の整備状況 Vertical electropolishing (VEP) facility for 9-cell Nb cavity in the KEK-COI building ○後藤 剛喜,早野 仁司,梅森 健成,文珠四郎 秀昭(KEK) ○Takeyoshi Goto, Hitoshi Hayano, Kensei Umemori, Hideaki Monjushiro (KEK) 現在,高エネルギー加速器研究機構(KEK)の超伝導加速器利用促進化推進(COI)棟において,超伝導線形加速器に用いる9セルNb空洞の電解研磨(EP)処理を行うための縦型電解研磨(VEP)設備の整備が進められている。本設備ではKEKで既に導入実績がある横型EP方式(空洞を水平姿勢でEP処理)ではなく,空洞を垂直姿勢でEP処理を行う縦型方式を採用している。その理由として,(1)縦型方式は機械機構の大幅な簡略化が可能(空洞姿勢の回転機構が不要など),(2)縦型の方が作業安全性が高いなど,EP処理工程の大幅なコスト削減ができるためである。昨年度までに設備の設置工事と安全評価が完了し,実際にNb空洞のバルクEP処理(研磨量: 80 μm)と微細EP処理(20 μm)を行った。本発表ではそれらの詳細と今後の改修事項にについて報告する。 |
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FRP54 | Sn熱拡散法によるNb3Sn超伝導空洞開発 Development of Nb3Sn cavity based on Sn vapor diffusion ○井藤 隼人,山田 智宏,阪井 寛志,梅森 健成(高エネルギー加速器研究機構) ○Hayato Ito, Tomohiro Yamada, Hiroshi Sakai, Kensei Umemori (KEK) Nb3Sn is a promising material for superconducting radio frequency cavities thanks to both high critical temperature and high critical magnetic field. We have constructed an Nb3Sn cavity coating system based on the Sn vapor diffusion method. After the construction, improvement of our coating system and environment has been conducted through sample and cavity coating research. Our cavity achieves a Q-value above 1E10 at 4 K after improvement. We will report on the detail of improvement on our coating system and RF measurement results of single-cell Nb3Sn cavity. |
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FRP55 p.994 | Nb3Sn超伝導空洞のためのNb/Snスパッタリング成膜試験 Nb/Sn coating trial for Nb3Sn superconducting cavities using DC magnetron sputtering ○岡田 貴文,井藤 隼人,山本 将博(高エネ研) ○Takafumi Okada, Hayato Ito, Masahiro Yamamoto (KEK) Nb3Sn超伝導空洞に向けたNb/Snツイストワイヤーカソードを用いたDCスパッタリングによるサンプル試験について報告を行う。 Nb3Snは転移温度がTc=18 Kと高く、4.2 K運転でNbを超える高Q0値をもつ超伝導空洞として近年、多くの研究開発がなされている。 Nb3Sn超伝導空洞は、真空炉内でNb表面に対してSn蒸気と反応させる蒸気拡散法が主要な成膜方法として開発が進んでいる。一方で、DCマグネトロンスパッタはNbとSnが混合した成膜が可能であり、条件次第では拡散法によって得られるNb3Sn膜より容易に高品質の膜が得られる可能性がある。 CERNで開発されたDCマグネトロンスパッタを用いたNEGコーティング手法を応用し、Nb基板とCu基板に対してNb/Sn膜を成膜し、その後、アニールによる相互拡散によって、Nb3Sn膜を生成する。今回は、DCマグネトロンスパッタの成膜テスト結果と、その表面分析結果を報告する。 |
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FRP56 p.998 | 9セル超伝導加速空洞の表面処理と性能評価試験 The surface treatment and the performance evaluation for 9-cell superconducting cavity ○津村 周作(総研大),梅森 健成,片山 領(高エネ研) ○Shusaku Tsumura (SOKENDAI), Kensei Umemori, Ryo Katayama (KEK) 現在、高エネルギー加速器研究機構(KEK)においてニオブ製超伝導空洞に対する研究が進行している。本研究では、高圧ガス試験のために設計され、Fine-grainの細かな粒度を持つニオブ板から製造された1.3GHzの9セル空洞を用いる。本空洞には、電解研磨、アニール処理、超音波洗浄、超純水高圧洗浄、そしてベーキング処理といった標準的な表面処理方法が適用されている。この空洞に対して、KEK超伝導リニアック試験施設においてQ値および加速勾配に関する性能評価測定を行う。この測定は本空洞の最初の性能評価であり、今後行われるFurnace Bakingといった別の表面処理方法を施した場合との性能比較を見越した測定となる。本発表ではこの結果について報告を行う。 |
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FRP57 | コストダウンを目的としたSTFタイプ入力結合器の開発と性能評価 Development and evaluation of STF-type power coupler for cost reduction ○山本 康史,道園 真一郎,松本 利広(高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設) ○Yasuchika Yamamoto, Shinichiro Michizono, Toshihiro Matsumoto (KEK) KEK内超伝導高周波試験施設(STF棟)では、2017年度より国際リニアコライダー(ILC)計画のためにコストダウンを目的とした研究・開発が行われてきた。入力結合器については、アルミナセラミックに対して行う窒化チタンコーティング(TiN coating)と、ステンレスの母材に対して行う銅鍍金について、コストダウンの取り組みが行われてきた。さらに、アルミナセラミック本体についても、海外で用いられてきた安価なセラミックを導入した。これらの新要素を取り入れて、低温側に用いる入力結合器を試作し、テストスタンドにて大電力試験を行った。最終的に、900µsec/5Hzで1MW、1.65msec/5Hzで935kWに到達した。この試験中に、高周波窓で異常な発熱などは観測されなかった。大電力試験後に、液体窒素温度での熱サイクル試験を10回行ったが、リークは無かった。本講演では、コストダウンを行ったSTFタイプ入力結合器の一連の試験結果について報告する。 |
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FRP58 p.1002 | J-PARC DTL/SDTLの運転状況 Operating status of J-PARC DTL/SDTL ○伊藤 崇,平野 耕一郎,小林 史憲,根本 康雄,小坂 知史,森下 卓俊,新井 宇宙(日本原子力研究開発機構),南茂 今朝雄(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Ito, Koichiro Hirano, Fuminori Kobayashi, Yasuo Nemoto, Tomohumi Kosaka, Takatoshi Morishita, Sora Arai (JAEA), Kesao Nanmo (KEK) J-PARCリニアックの主要加速器であるDTL及びSDTLは、2006年10月から運転を開始しこれまで約17年間運転を行ってきた。2023年現在もDTL及びSDTLは安定に稼働し順調にビーム加速を行っている。本稿では、J-PARC DTL及びSDTLの運転状況、これまでに行ってきた保守作業の内容、経験した様々なトラブルとその対策、運転に関する改善点などについて報告する。 |
ポスター①② 萌芽的加速器技術の提案 (8月29日・30日 14号館1421教室) | |
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TWHP01 | レーザー原子冷却による極低温電子源の開発 Development of cold atom electron source ○本田 洋介(高エ研) ○Yosuke Honda (KEK) 電子源の性能を飛躍的に改善することにより、幅広い用途への応用が期待できる。レーザー冷却の手法を用いてミリケルビン以下に冷却した原子ガスを電離して極低温の電子を生成する、新しい電子源の開発を行っている。 昨年度の冷却用レーザーシステムの開発につづき、本年度は電子銃実機の真空チェンバの製作を進めている。 本発表では、電子源の開発状況について報告する。 |
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TWHP02 p.1007 | ピコ秒バンチのピッチ・ヨーモニタのNewSUBARUを用いた実証実験 Bunch pitch yaw monitor test using NewSUBARU ring beam ○中村 剛,照井 真司(高エネ研),橋本 智,庄司 善彦(兵庫県立大学) ○Takeshi Nakamura, Shinji Terui (KEK), Satoshi Hashimoto, Yoshihiko Shoji (University of Hyoto) ピコ秒長の(陽)電子バンチでの、バンチの前半と後半の垂直・水平への相互の位置ずれによる傾斜(航空機等での”ピッチ”や”ヨー”)の非破壊測定では、ピコ秒精度での放射光像のストリークカメラ撮影や、10GHz弱の高周波空洞BPMが用いられてきた。これに対して我々は重心と傾斜の波形の違いやそれに起因する位相差を用いることにより1-2GHz 程度の低周波領域で、一般的なBPMからの信号を簡便な電気回路処理する手法*を提案しており、その実証実験を兵庫県立大学のNewSUBARUリングもちいて試みた。この手法は従来の手法に比べて簡便かつリアルタイム性に優れ、また、数ナノ秒間隔でのbunch-by-bunch計測へ拡張可能である。NewSUBARUでは、傾斜の生成にはその遅いシンクロトロン振動が容易としたクロマティシティによるベータトロン振動の重心振動から傾斜振動への変換を利用し、また従来より整備されているピッチ観測用ストリークカメラや垂直キッカー、そして微小な振動信号を抽出する信号処理装置を利用した。このモニタはリングやLinacでのウェーク場などによる傾斜生成のリアルタイム測定、さらにはフィードバック*への展開によるビーム強度・品質向上につながると期待される。 * TUP023(PASJ2022), THP089(PASJ2018); WEPI031(PASJ2019). |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1421教室) | |
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TWSP01 p.1012 | 理研RIBFにおけるリングサイクロトロンの運転報告 Operation report on ring cyclotrons in the RIBF accelerator complex 小山 亮(住重加速器サービス),○大関 和貴(理研仁科センター),福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,茂木 龍一,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),足立 泰平,段塚 知志,藤巻 正樹,藤縄 雅,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,眞家 武士,三宅 泰斗,長友 傑,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,坂本 成彦,須田 健嗣,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成(理研仁科センター) Ryo Koyama (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kazutaka Ozeki (RIKEN Nishina Center), Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryuichi Moteki, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), Taihei Adachi, Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Tadashi Fujinawa, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Yasuto Miyake, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Masato Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada (RIKEN Nishina Center) 理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン (RRC, fRC, IRC, SRC) の2022年8月から2023年7月までの運転状況を報告する。ビーム強度増強と安定供給に向けて、改造、ビーム調整、保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。 |
13:30-15:30 | |
TWSP02 | KEKコンパクトERLの現状 Present status of the compact ERL at KEK ○島田 美帆,阪井 寛志,加藤 龍好,本田 洋介,山本 将博,谷川 貴紀,倉田 正和,河田 洋(高エネ研) ○Miho Shimada, Hiroshi Sakai, Ryukou Kato, Yosuke Honda, Masahiro Yamamoto, Takanori Tanikawa, Masakazu Kurata, Hiroshi Kawata (KEK) コンパクトERL(compact ERL:cERL)はエネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac: ERL)の小型試験機として稼働をしており、応用超伝導加速器イノベーションセンター(iCASA)のもとでERL技術の産業応用への展開を目指している。昨年度は電子銃改造時におけるトラブルや入射部のスクリーンモニタ破損からの復帰作業に専念し、今年度秋の大電流ビーム運転に備えた。次回の運転では、アンジュレータインストール後初の大電流1mA運転を目指す。本報告では、2022年度の保守作業やビーム運転の準備の状況について報告する。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1422教室) | |
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TWSP03 p.1017 | 阪大産研量子ビーム科学研究施設の現状報告 Status report of Research Laboratory for Quantum Beam Science, SANKEN, Osaka University ○古川 和弥,誉田 義英,磯山 悟朗,福井 宥平,徳地 明,吉田 陽一,楊 金峰(阪大産研),菅 晃一(量研),神戸 正雄,細貝 知直(阪大産研) ○Kazuya Furukawa, Yoshihide Honda, Goro Isoyama, Yuhei Fukui, Akira Tokuchi, Yoichi Yoshida, Jinfeng Yang (SANKEN, Osaka Univ.), Koichi Kan (QST), Masao Gohdo, Tomonao Hosokai (SANKEN, Osaka Univ.) 阪大産研量子ビーム科学研究施設はLバンド40 MeV電子ライナック、フォトカソードRF電子銃ライナック、Sバンド150 MeV電子ライナック、コバルト60γ線照射装置を有する放射線共同利用施設である。Lバンドライナックはナノ秒とサブピコ秒領域のパルスラジオリシスを用いた放射線化学の研究や、FELによる大強度テラヘルツ波の発生と利用に用いられている。昨年度は電子銃カソードの交換と性能試験、半導体スイッチの基板修理とノイズ対策、ヘルムホルツコイル電源の更新等の作業を行った。RF電子銃ライナックはサブフェムト秒超短パルス電子ビーム発生と電気光学結晶によるTHz計測に関する研究を中心に行った。RF電子銃を装備したMeV電子顕微鏡は観察した像の解像度を評価し、色収差と球面収差の低減方法を確立した。本会では装置の現状に加え、新規加速器設置や建屋改修を含む施設の将来構想に関して報告を行う。 |
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TWSP04 p.1020 | 筑波大学タンデム加速器施設の現状報告 Status report of the tandem accelerator complex at the University of Tsukuba ○笹 公和,石井 聡,高橋 努,大和 良広,吉田 哲郎,松村 万寿美,中沢 智幸,森口 哲朗,上殿 明良(筑波大応用加速器) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Tsutomu Takahashi, Yoshihiro Yamato, Tetsuro Yoshida, Masumi Matsumura, Tomoyuki Nakazawa, Tetsuaki Moriguchi, Akira Uedono (UTTAC) 筑波大学タンデム加速器施設(UTTAC)では2023年4月1日に組織改編があり、放射線・アイソトープ地球システム研究センター(CRiES)応用加速器部門に改組となった。CRiESは、筑波大学の放射線発生装置や放射性同位元素の取り扱い施設、放射線管理を担当する組織を一元的に管理するために設置されたセンターである。UTTACは、これまでと同様に6MVタンデム加速器と1MVタンデトロン加速器からなる複合タンデム加速器施設の維持管理と運用、および学内外との共同利用研究を実施している。6MVタンデム加速器は、5台の負イオン源と12本のビームラインを保有している。2022年度は、学内課題11件、学外の施設共用課題7件が採択されており、103日間のマシンタイムを実施した。2022年5月にターミナル発電機の故障があり、加速タンクを開放して修理をおこなったため、約1か月の加速器運用休止期間があった。2022年度の6MVタンデム加速器の稼働時間は1,154時間であり、ビーム加速時間は1,010時間であった。6MVタンデム加速器の主な利用分野は、加速器質量分析(利用割合63.9%)、偏極陽子・重陽子ビームを用いた原子核実験(19.2%)、イオンビーム分析(9.4%)、イオン照射(4.9%)などとなっている。加速イオンは全部で13種であった。本発表では、2022年度の加速器施設の整備および運用状況について報告する。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1431教室) | |
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TWSP05 p.1024 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present status of RILAC 遊佐 陽,山内 啓資,小山田 和幸,田村 匡史,金子 健太,鈴木 惇也,大木 智則(住重加速器サービス),○日暮 祥英,坂本 成彦,藤巻 正樹,今尾 浩士,木寺 正憲,中川 孝秀,長友 傑,西 隆博,大関 和貴,須田 健嗣,内山 暁仁,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,上垣外 修一(理研仁科センター) Akira Yusa, Hiromoto Yamauchi, Kazuyuki Oyamada, Masashi Tamura, Kenta Kaneko, Junya Suzuki, Tomonori Ohki (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Yoshihide Higurashi, Sakamoto Sakamoto, Masaki Fujimaki, Hiroshi Imao, Masanori Kidera, Takahide Nakagawa, Takashi Nagatomo, Takahiro Nishi, Kazutaka Ozeki, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器科学研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、1981年に単独運転が開始され、40年以上運転を続けている。2016年よりアップグレードが行われ、実験設備のほかに、超伝導ECRイオン源と超伝導線型加速器SRILACの建設が実施された。 2020年1月28日のファーストビーム以降、ビームコミッショニングを実施、6月からはマシンタイムを開始した。2022年8月には入射系RFにデジタルローレベル回路の導入及び制御盤の更新を行った。2022年9月にはRFQ系冷却水温度調整機構を、2023年3月にはRILACドリフトチューブ電磁石冷却系の温度調整機構を整備し,安定した温度の冷却水を供給出来るようになった。また2023年3月にはRILAC LEBT,HEBTの一部で30年近く使用していた古い電磁石電源を更新した。これにより加速器を以前よりも安定して運用・保守することが出来るようになり、以降安定してビーム供給を続けている。本発表ではこの加速器の現状報告として、この10年間の運転状況、及びこの1年間における保守・改良作業などについて報告する。(2023) |
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TWSP06 p.1029 | 東北大学電子光理学研究センター加速器施設の現状 Status of accelerator facility at Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,鹿又 健,柴田 晃太朗,髙橋 健,長澤 育郎,南部 健一,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大電子光) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Kotaro Shibata, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センター(ELPH)では、1.3 GeV の電子シンクロトロンと3台の線形加速器を有し、制動放射によるGeV領域の高エネルギーガンマ線を用いたクォーク・ハドロン核物理の研究をはじめ、国内有数の大強度電子ビームを用いたRI製造や放射・核化学の研究、さらには100fsレベルの超短パルス電子ビームからのコヒーレント放射を用いたテラヘルツ光源やビームモニターの開発研究などが進められている。 近年は加速器運転の効率化を進めることで、年間2000時間程度の運転時間を維持してきた。 2022年度は、特に大強度電子線形加速器に係わる放射線施設変更申請を経て、それまでの9kW, 96時間/週から、15kW, 120時間/週へと、大幅な増強を実施した。年会では、電子光理学研究センター加速器施設の現状について報告する。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1432教室) | |
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TWSP07 p.1032 | 京都大学自由電子レーザ施設の現状 Present status of free electron laser facility at Kyoto University ○全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー関連研究への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。加えて、2018年度から中赤外自由電子レーザにより駆動するガス高次高調波アト秒光源の実現に向けた基盤技術研究を開始した。また、近年、光陰極高周波電子銃を電子源として用いたコヒーレントアンジュレータ放射光源の開発も行っている。本報告では、これら光源の現状について報告する。 |
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TWSP08 p.1037 | 日本大学電子線利用研究施設LEBRAの現状報告 Status report of 125 MeV electron linac at LEBRA in Nihon University ○境 武志,早川 恭史(日大量科研),住友 洋介(日大理工),早川 建,田中 俊成,髙橋 由美子(日大量科研),長瀬 敦,久保田 月野,大和 紗也香,伊東 幸輝(日大院理工),清 紀弘(産総研),恵郷 博文,道園 真一郎,土屋 公央,諏訪田 剛,吉田 光宏,大澤 哲,福田 茂樹,古川 和朗,山本 樹,新冨 孝和,榎本 收志(高エネ研) ○Takeshi Sakai, Yasushi Hayakawa (LEBRA, Nihon Univ.), Yoske Sumitomo (CST, Nihon Univ.), Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yumiko Takahashi (LEBRA, Nihon Univ.), Atushi Nagase, Tsukino Kubota, Sayaka Yamato, Koki Ito (CST, Nihon Univ.), Norihiro Sei (AIST), Hiroyasu Ego, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Tsuyoshi Suwada, Mitsuhiro Yoshida, Satoshi Ohsawa, Shigeki Fukuda, Kazuro Furukawa, Shigeru Yamamoto, Takakazu Shintomi, Atsushi Enomoto (KEK) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)における2022年度の稼働日数は143日、クライストロン通電時間は1126時間、電子ビーム加速時間は570時間であった。ビーム加速時間はほぼユーザー実験に用いており、FEL実験に半分以上利用されている。残りはPXR実験に150時間、THz利用実験に約90時間用いられた。現状、高周波源の真空悪化による問題が発生しておりパルス幅を制限しているが、FEL発振は出来ており、ユーザー実験対応をしている。ユーザー実験の一部では、NEDOプロジェクト(JPNP20003)がPXR実験で進行しており、Si(400)結晶を用いてエネルギー9.1~47.4 keVの高エネルギー側で対応している。またFEL実験では、文部科学省 量子飛躍フラグシッププログラム(Q-LEAP)・次世代レーザ・基礎基盤研究も継続しており、ガスターゲットへのFEL照射測定系の準備も進めている。THzラインではコヒーレントチェレンコフ放射発生によるTHz光発生装置、遷移放射源のターゲット形状をらせん状にした簡易的なテラヘルツ帯域光渦光源開発等を進めており基礎実験を行っている。加速器側機器に関しては、古くなっていたクライストロン用のSバンド長パルスRFアンプを交換しテストを実施中である。FEL発振試験では現状発振可能な安定度は確認できており、2号機を製作予定である。本発表では加速器の整備および利用状況等について報告する。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1441教室) | |
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TWSP09 p.1041 | 量研高崎研TIARA施設の現状報告2023 2023 status report of TIARA facility at QST Takasaki ○倉島 俊,千葉 敦也,吉田 健一,石坂 知久,山田 圭介,湯山 貴裕,平野 貴美,細谷 青児,宮脇 信正,柏木 啓次,百合 庸介,石堀 郁夫,奈良 孝幸,居城 悟,高野 圭介,金井 信二,青木 勇希,橋爪 将司(量研高崎研) ○Satoshi Kurashima, Atsuya Chiba, Ken-ichi Yoshida, Tomohisa Ishizaka, Keisuke Yamada, Takahiro Yuyama, Yoshimi Hirano, Seiji Hosoya, Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Yosuke Yuri, Ikuo Ishibori, Takayuki Nara, Satoshi Ishiro, Keisuke Takano, Shinji Kanai, Yuuki Aoki, Masashi Hashizume (QST Takasaki) 量子科学技術研究開発機構(QST)高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設TIARAには4台の加速器が設置されており、材料開発やRI製造、バイオ技術の研究分野へ様々なイオン種のビームを幅広いエネルギー範囲で提供している。AVFサイクロトロン(K110)、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の2022年度の運転時間はそれぞれ1268.7h、1134.4h、1297.2h、894.5hであり、実験キャンセルを除けば、計画した照射実験はすべて実施した。2023年3月にはサイクロトロンの累計運転90,000時間、同年4月にはイオン注入装置の累計運転50,000時間を達成した。主な保守・整備として、タンデム加速器のイオン源引出電源の更新、シングルエンド加速器のイオン源発振管や電圧測定抵抗の交換、サイクロトロン本体の冷却水ホースの交換などを行った。主なトラブルとして、タンデム加速器のビームスキャナ用信号発生器や冷却水用チラーの故障、イオン注入装置のステアラー電源の故障,サイクロトロンビームラインのファラデーカップの故障などがあった。本発表では上記に加え、その他の保守・整備及び技術開発、施設の利用状況について報告する。 |
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TWSP10 p.1044 | RCNP サイクロトロン施設の現状 Status of the RCNP cyclotron facility ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹,友野 大,安田 裕介,斎藤 高嶺,田村 仁志,永山 啓一,原 隆文,荘 浚謙,Zhao Hang,橘高 正樹,松井 昇太郎,井村 友紀,渡辺 薫(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Dai Tomono, Yuusuke Yasuda, Takane Saito, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Takafumi Hara, Tsunhim Chong, Hang Zhao, Masaki Kittaka, Shotaro Matsui, Tomoki Imura, Kaori Watanabe (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では K140 AVF サイクロトロンと K400 リングサイクロトロンが稼働しており、 原子核物理学、加速器科学、情報科学、物性物理学、 宇宙物理学、医学等の分野におけるビーム利用を推進 している。2019 年 より AVF サイクロトロンの更新工事のため長期運転停止をしていたが、2022年よりビームコミッショニング、およびユーザーへの供給を再開した。 AVFの更新では、イオン入射エネルギーの増大や、Dee電極をシングルから2Deeに変更するためのRF共振器システムの総入れ替えがあった。イオン源のコミッショニングでは、高い加速電圧でのイオン源とLEBTが問題なく安定稼働することを確認し、また、RF共振器のコミッショニングでは機器の修正なども含めて非常に時間がかかったものの最終的に設計電圧の90%で安定運用できるようになっている。 ビーム発生のコミッショニングは、まず、がん治療研究用の211At製造のための28.5MeV 4He2+加速から開始され、続いて半導体照射用の白色中性子発生のためのリングサイクロトロンとの組み合わせによる陽子392MeVの加速が実施された。 これらに引き続いて、精密物理実験のための超高分解能ビーム生成試験や異なるエネルギーでのビーム生成も実施され、基礎科学実験へのビーム供給も本格的に再開した。電気代高騰など加速器運転には厳しい世情下ではあるが、順次、ユーザーへのビーム供給を実施している。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1442教室) | |
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TWSP11 p.1046 | 群馬大学重粒子線医学センターの現状 Present status of Gunma University Heavy Ion Medical Center ○中尾 政夫,川嶋 基敬,松村 彰彦,野田 耕司,酒井 真理,島田 博文,田代 睦,Varnava Maria,遊佐 顕(群大重医セ),想田 光(山形大) ○Masao Nakao, Motohiro Kawashima, Akihiko Matsumura, Koji Noda, Makoto Sakai, Hirofumi Shimada, Mutsumi Tashiro, Maria Varnava, Ken Yusa (GHMC), Hikaru Souda (Yamagata Univ.) 群馬大学重粒子線医学センターでは2010年から普及型炭素線治療装置による炭素線治療が開始され、2022年の治療人数は843人と過去最多となった。これには重粒子線治療の保険適用が拡大したことも影響している。2022年度から加速器の定期点検を集中点検(3週間程度休止して年次点検を行う)から、分散点検(4日間(金曜日~翌月曜日)の点検を年に6回分散して行う)に変更したことも治療人数の増加と待ち時間の短縮に繋がった。またトラブルの情報を収集して過去と同様のトラブルが発生したときに早急に復旧できるよう、2023年4月から既に山形大学でも導入されているトラブルデータベースを使用開始した。2022年度には1時間程度治療が中断するトラブルは複数回あったが、治療を翌日に延期せざるを得ないような装置系のトラブルは起こらなかった。本発表では当施設での加速器の運転時間、治療時間の統計、主な故障とそれに対する対処について報告する。 |
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TWSP12 p.1049 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report on the operation of RIKEN AVF cyclotron 西村 誠(住重加速器サービス),○須田 健嗣(理研仁科センター),福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,茂木 龍一,仲村 武志,西田 稔,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),足立 泰平,藤巻 正樹,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,今尾 浩士,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,三宅 泰斗,長友 傑,中川 孝秀,西 隆博,大西 純一,奥野 広樹,大関 和貴,坂本 成彦,サキラヤン グリニスメイ,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成(理研仁科センター),鎌倉 恵太,小高 康照(東京大学原子核科学研究センター) Makoto Nishimura (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kenji Suda (RIKEN Nishina Center), Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Ryuichi Moteki, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), Taihei Adachi, Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Yasuto Miyake, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Takahiro Nishi, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Glynnis Mae Saquilayan, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada (RIKEN Nishina Center), Keita Kamakura, Yasuteru Kotaka (Center for Nuclear Study, University of Tokyo) 理研AVFサイクロトロンは、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器として使用されるほか東京大学原子核科学研究センターのグループによる原子核実験、及びRI製造に単独使用される。本稿では2022年8月から2023年7月までの期間における加速ビーム種、運転時間と調整時間の集計、発生した故障とその対処、性能改善に向けて行われた取り組みについて報告する。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1443教室) | |
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TWSP13 p.1054 | iBNCT 加速器の現状2023 Status of the iBNCT accelerator in 2023 ○杉村 高志,帯名 崇,久保田 親,栗原 俊一,小林 仁,佐藤 将春,柴田 崇統,高木 昭,南茂 今朝雄,方 志高,福井 佑治,福田 将史,二ツ川 健太,三浦 太一(高エネ研),熊田 博明,田中 進,松本 孔貴(筑波大学),大場 俊幸,名倉 信明(NAT),豊島 寿一(ATOX),小栗 英知(JAEA,J-PARC) ○Takashi Sugimura, Takashi Obina, Chikashi Kubota, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Masaharu Sato, Takanori Shibata, Akira Takagi, Kesao Nanmo, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Masafumi Fukuda, Kenta Futatsukawa, Taichi Miura (KEK), Hiroaki Kumada, Susumu Tanaka, Yoshitaka Matsumoto (U. of Tsukuba), Toshiyuki Ohba, Nobuaki Nagura (NAT), Toshikazu Toyoshima (ATOX), Hidetomo Oguri (JAEA,J-PARC) いばらき中性子医療研究センターでは、8MeV陽子線形加速器で発生させた中性子を用いて、粒子線がん治療法の一つであるホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)の実施を目指し研究開発を行っている。筑波大学と高エネルギー研究機構が中心となり産官学の共同で開発を進めている治療機(iBNCT001)は2021年秋に非臨床試験を開始し、2022年12月に当初予定したものをすべて終了した。治験開始前に必要な物理測定試験なども非臨床試験と並行してすすめ、2023年2月にはこれらもすべて終了した。その間に加速器にはトラブルがいくつか発生したものの、非臨床試験のスケジュールに影響を与えることなく、ビーム供給の任を果たした。この間の比較的大きなトラブルとしては、イオン源ソレノイドの短絡、クライストロンモジュレータ電源の電圧垂下補償回路出力部ダイオードの故障が挙げられる。また、加速器の性能に関しては、RFQ部の真空改造を行い、今後の真空トラブル時に空洞をパージせずにメンテナンスが行える状態となった。さらに今後数年間の稼働に耐えるように冷却水系の保守を実施し、今後予定している治験に備えた。本報告では、上記の加速器の運転状況の報告を行う。 |
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TWSP14 p.1059 | 理化学研究所 RI ビームファクトリーにおける SCRIT 電子散乱施設の現状 Present status of SCRIT electron scattering facility at RIKEN RI Beam Factory ○大西 哲哉,阿部 康志,市川 進一,原 雅弘,堀 利匡,渡邊 正満(理研仁科センター),阿部 大希,石倉 悠真,石崎 一志,尾原 遼,郷家 大雅,須田 利美,玉江 忠明,檀上 梨花,堀田 健吾,本多 佑記,和宇慶 ひかり,Clement Legris(東北大ELPH),飯村 俊,榎園 昭智,栗田 和好,山野 翼(立教大理),伊東 佑起,小川原 亮,立花 万梨子,塚田 曉,前田 裕成,前原 義樹,吉田 曉,若杉 昌徳(京大ICF),永野 佑香(山形大理) ○Tetsuya Ohnishi, Yasushi Abe, Shinichi Ichikawa, Masahiro Hara, Toshitada Hori, Masamitsu Watanabe (RNC), Daiki Abe, Yuuma Ishikura, Kazushi Ishizaki, Ryo Obara, Taiga Gouke, Toshimi Suda, Tadaaki Tamae, Rika Danjyou, Kengo Hotta, Yuuki Honda, Hikari Wauke, Legris Clement (ELPH), Shun Iimura, Akitomo Enokizono, Kazuyoshi Kurita (Rikkyo U., Depertment of Physics ), Tsubasa Yamano (Rikkyo U., Depertment of Physics), Yuuki Ito, Ryo Ogawara, Mariko Tachibana, Kyo Tsukada, Yusei Maeda, Yoshiki Maehara, Kyo Yoshida, Masanori Wakasugi (ICR), Yuka Nagano (Yamagata U., Depertment of Physics) SCRIT電子散乱施設は理化学研究所RIビームファクトリーに設置された不安定核の電子散乱実験を行うための施設である。電子加速器RTM、電子蓄積リングSR2及びISOL型不安定核分離生成装置ERISで構成されている。RTMはレーストラック型マイクロトロンであり、電子を150MeVまで加速し、蓄積リングへの入射及び不安定核生成のためのドライバーとして用いられている。SR2は150MeVで入射・蓄積した電子を700MeVまで加速することができ、蓄積電流として200~300mAで運転を行っている。ERISは生成標的、イオン源及び質量分析ラインから構成されている。生成された不安定核はイオンビームとして供給され、パルスビームとして、SR2に設置されたSCRIT装置まで導かれる。入射されたイオンは、横方向は周回電子が作るポテンシャル、縦方向はSCRIT装置内の電極で作られる静電ポテンシャルによって、3次元的にトラップされる。と同時に、トラップされたイオンと周回電子が衝突し、散乱された電子はSCRIT装置横に設置されたスペクトロメーターで構成される散乱電子測定系で測定される。 2009年から建設が開始され、2013年に初の不安定核供給、2016年にはコミッショニングを兼ねた安定核132Xeの電子弾性散乱実験が行われた。その後の様々な開発の結果、2022年にオンライン生成した不安定核を用いた電子散乱実験に世界で初めて成功した。本講演では、施設の紹介と現状及び今後の計画について発表する。 |
ポスター①② 施設技術報告 (8月29日・30日 14号館1444教室) | |
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TWSP15 | STF/COI施設報告 Report on STF/COI at KEK ○山本 康史,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構・加速器研究施設) ○Yasuchika Yamamoto, Shinichiro Michizono (KEK) KEK内超伝導高周波試験施設(STF棟)および超伝導加速器利用促進化推進棟(COI棟)では、国際リニアコライダー(ILC)計画を始めとする様々な超伝導加速器に関する研究・開発が行われている。STFで行われてきた超伝導リニアックの運転は、昨年、7倍のビームパワー増強を行い、ILCの要求するバンチ電流に到達し、無事、終了した。一方、今年度から5カ年計画で始まったILC Technology Network (ITN)のために、COI棟内のインフラ整備が進められることになっており、その内容は、冷凍機設備のアップグレード、クライオモジュール組立エリアの整備と試験設備の建設、である。5年目の後半に、COI棟にて高圧ガス保安法を満足するILC用のプロトタイプクライオモジュールの冷却試験が行われる予定である。本講演では、両施設の最近の活動状況について報告する。 |
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TWSP16 | IFMIF原型加速器LIPAcの現状2023 Status of Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) in 2023 ○増田 開,赤木 智哉,De Franco Andrea,廣澤 航輝,玄 知奉,熊谷 公紀,権 セロム,中山 尚英,杉本 昌義(QST六ヶ所研、IFMIF/EVEDA Project Team),Bazin Nicolas,Bolzon Benoit,Chaminade Thomas,Chauvin Nicolas,Chel Stephane,Marroncle Jacques(Université Paris-Saclay CEA),Arranz Fernando,Brañas Beatriz,Castellanos Jesus,de la Morena Cristina,Garcia Juan Manuel,Gavela Daniel,Jimenez-Rey David,Méndez Purificación,Molla Joaquin,Nomen Oriol,Oliver Concepcion,Podadera Ivan,Regidor David,Ros Alfonso,Villamayor Víctor(CIEMAT),Cara Philippe,Chambrillon Janic,Cismondi Fabio,Duglue Daniel,Dzitko Herve,Jokinen Antti,Phillips Guy(F4E),Benedetti Florian,Carin Yann,Gex Dominique,Kleiner Davide,Moya Ivan,Scantamburlo Francesco(F4E, IFMIF/EVEDA Project Team),Renard Bertrand(IFMIF/EVEDA Project Team, Université Paris-Saclay CEA),Antoniazzi Loris,Bellan Luca,Comunian Michele,Facco Alberto,Fagotti Enrico,Grespan Francesco,Palmieri Antonio,Pisent Andrea(INFN/LNL),下崎 義人(KEK、QST六ヶ所研),蛯沢 貴,長谷川 和男,板垣 智信,春日井 敦,近藤 恵太郎(QST六ヶ所研),水野 明彦(QST六ヶ所研、JASRI/SPring-8),González-Gallego Luis,Caballero César,Morales Juan Carlos,Maindive Lucas(U. Granada) ○Kai Masuda, Tomoya Akagi, Andrea De Franco, Koki Hirosawa, Jibong Hyun, Kohki Kumagai, Saerom Kwon, Takahide Nakayama, Masayoshi Sugimoto (QST Rokkasho, IFMIF/EVEDA Project Team), Nicolas Bazin, Benoit Bolzon, Thomas Chaminade, Nicolas Chauvin, Stephane Chel, Jacques Marroncle (Universite Paris-Saclay CEA), Fernando Arranz, Beatriz Branas, Jesus Castellanos, Cristina De La Morena, Juan Manuel Garcia, Daniel Gavela, David Jimenez-rey, Purificacion Mendez, Joaquin Molla, Oriol Nomen, Concepcion Oliver, Ivan Podadera, David Regidor, Alfonso Ros, Victor Villamayor (CIEMAT), Philippe Cara, Janic Chambrillon, Fabio Cismondi, Daniel Duglue, Herve Dzitko, Antti Jokinen, Guy Phillips (F4E), Florian Benedetti, Yann Carin, Dominique Gex, Davide Kleiner, Ivan Moya, Francesco Scantamburlo (F4E, IFMIF/EVEDA Project Team), Bertrand Renard (IFMIF/EVEDA Project Team, Universite Paris-Saclay CEA), Loris Antoniazzi, Luca Bellan, Michele Comunian, Alberto Facco, Enrico Fagotti, Francesco Grespan, Antonio Palmieri, Andrea Pisent (INFN/LNL), Yoshito Shimosaki (KEK, QST Rokkasho), Takashi Ebisawa, Kazuo Hasegawa, Tomonobu Itagaki, Atsushi Kasugai, Keitaro Kondo (QST Rokkasho), Akihiko Mizuno (QST Rokkasho, JASRI/SPring-8), Luis Gonzalez-gallego, Cesar Caballero, Juan Carlos Morales, Lucas Maindive (U. Granada) Since the International Fusion Materials Irradiation Facility (IFMIF) requires an accelerator with unprecedented performances to provide 40 MeV, 125 mA D+ CW beam, the feasibility is being demonstrated up to 9 MeV, with the Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) under commissioning in Rokkasho within the EU-JA collaborative framework of the IFMIF/EVEDA project. In the course of stepwise installation and beam commissioning of the LIPAc, the present Phase B+ aims at validations with 125 mA D+ beams at 5 MeV from the RFQ before installation of the SRF Linac. Since the successful completion of the Stage 1 commissioning with low current pilot beam reported in the annual meeting last year, efforts and progress have been made in preparation to the following Stages 2 and 3 targeting the nominal beam current and high duty cycle, such as CW beam commissioning of the Injector aiming at stable extraction of the target nominal current with low emittance, and commissioning of the RF Power System to drive the RFQ toward CW. This poster will also present some latest results from the Stage 2 beam commissioning planned to start just before the annual meeting. |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1421教室) | |
(8/31)13:30-15:30, (9/1)10:10-12:10 | |
TFSP01 p.1064 | 広島大学放射光科学研究センター光源加速器の現状 Present status of HiSOR ○加藤 政博(HiSOR, UVSOR),島田 美帆,宮内 洋司(KEK, HiSOR),LU Yao,後藤 公徳(HiSOR) ○Masahiro Katoh (HiSOR, UVSOR), Miho Shimada, Hiroshi Miyauchi (KEK, HiSOR), Yao Lu, Kiminori Goto (HiSOR) 広島⼤学放射光科学研究センターの光源加速器HiSORは、1996年に稼働し、その後四半世紀にわたり安定に稼働を続けてきた。共同利用のための年間のビームタイムは1500時間に及び、真空紫外・軟X線領域の放射光を国内外の物質・生命科学を中⼼とする研究者に供給している。HiSORの加速器は150MeVの入射用マイクロトロンと700MeVの小型電子シンクロトロンからなる。電子シンクロトロンは周長22mと小型ながら2本の直線部を有し2台のアンジュレータが装着され高輝度の真空紫外光を生成できる。また常伝導ながら2.7Tと高磁場の偏向磁石により軟X線を中心とする幅広い波長域で放射光を生成できる。近年、加速器の老朽化や光源性能面での競争力低下が顕著となってきたことから、将来計画の検討を急いでいる。本発表では加速器の現状と将来計画に向けた取り組みについて報告する。 |
(8/31)13:30-15:30, (9/1)10:10-12:10 | |
TFSP02 p.1067 | ニュースバル放射光施設の現状 Present status of the NewSUBARU synchrotron light facility ○橋本 智,藤井 将(兵庫県立大 高度研),櫻井 辰幸,牛澤 昂大(高輝度光科学研究センター),皆川 康幸,中田 祥太郎,平山 英之,中村 亜津志(スプリングエイトサービス) ○Satoshi Hashimoto, Hitoshi Fujii (LASTI, Univ. of Hyogo), Tatsuyuki Sakurai, Takahiro Ushizawa (JASRI), Yasuyuki Minagawa, Shotaro Nakata, Hideyuki Hirayama, Atsushi Nakamura (SES) 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所の運用するニュースバル放射光施設加速器の現状を報告する。本施設の加速器は周長118mの電子蓄積リングと2021年から運用を開始した専用入射器で構成される。蓄積リングは1GeV/350mA±0.2mAのTopUp 運転、および週に1、2日の1.5GeV/400mAの加速/Decay運転を行っている。2022年度の加速器の運転では大きなトラブルがいくつかあり、 利用運転停止時間は31.7時間であった。トラブルの内容としては、逆偏向電磁石の補助電源の故障、入射器のRFの反射多発、ビームラインでの真空事故、偏向電磁石電源の発振などであった。電子蓄積リングは建設から20年以上経過し故障する機器が多いため、順次更新を行なっていく方向である。加速器の性能改善としては低エネルギー(0.75GeV)でのTopUp運転などがある。また新たな形態でのリング運転に向けた調整にも取り組んでいる。 |
(8/31)13:30-15:30, (9/1)10:10-12:10 | |
TFSP03 p.1071 | 都市大タンデムの現状(2023年度) Status of the TCU-Tandem (FY2023) ○羽倉 尚人(都市大) ○Naoto Hagura (TCU) 東京都市大学原子力研究所(神奈川県川崎市)には廃止措置中の研究用原子炉「武蔵工大炉」がある。1963年1月から1989年12月まで運転し、中性子放射化分析やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)など様々な目的に使用された。また、全国大学共同利用施設として多くの研究者・技術者・学生を受入れてきた。原子炉施設としては廃止措置段階となったが、RI施設、核燃施設としては継続している。2008年に設置された本学理工学部原子力安全工学科や、2010年に設置された早稲田大学と共同で運営する共同原子力専攻の学生・院生を主な対象としつつ、教育・研究活動を展開している。2018年5月には新たな実験設備として1.7MVペレトロン・タンデム加速器(都市大タンデム(TCU-Tandem))の運転を開始した。プロトンビームによる荷電粒子励起X線分光法(PIXE)の実験を学生実験の一テーマとして実施するなど利用を進めている。2023年3月末には初めての定期検査・定期確認を受審し無事にパスした。本発表では、本加速器システム構築の経緯と今後の研究計画を紹介する。 |
(8/31)13:30-15:30, (9/1)10:10-12:10 | |
TFSP04 | UVSOR光源加速器の現状2023 Status of UVSOR-III synchrotron electron accelerator in 2023 ○清水 康平,平 義隆,サレヒ エレハム,太田 紘志,林 憲志,山崎 潤一郎,水口 あき(分子研 UVSOR),谷川 貴紀(高エネ研),坂本 文人(秋田高専),全 炳俊(京大エネ研),加藤 政博(分子研 UVSOR・広大 HiSOR) ○Kohei Shimizu, Yoshitaka Taira, Elham Salehi, Hiroshi Ota, Kenji Hayashi, Jun-ichiro Yamazaki, Aki Minakuchi (UVSOR, IMS), Takanori Tanigawa (KEK), Fumito Sakamoto (Akita, NIT), Heishun Zen (IAE, Kyoto Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR, IMS; HiSOR, Hiroshima Univ.) 本施設報告ポスターでは、分子科学研究所の放射光電子蓄積リングUVSOR-IIIの運転状況および光源開発の状況を報告する。UVSORのファーストライトは1983年のため、今年が稼働40年目の節目の年である。老朽化の影響が各所に現れており故障頻度は高いが、幸いにこれまでのところユーザー利用の長期の中断といった事態は生じておらず、2022年度は年間36週のユーザー運転を予定通り実施することができた。UVSORでは、ユーザーコミュニティと次期施設計画について議論を進めており、次期計画のコンセプトとラティスデザインについても説明する。また、光源開発研究については、アンジュレータ光による光渦の発生やベクトルビームの発生、原子の量子状態制御、逆トムソン散乱ガンマ線の開発などに加え、昨年再発振に成功したFEL等の研究の現状を報告する。最後に、昨今の電力費用の高騰に対し、UVSORでも節電を行い2021年度比で5パーセントほどの効果を得られたため、節電活動の詳細と今後の計画も説明する。 |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1422教室) | |
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TFSP05 p.1073 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状 Present status of the synchrotron at WERC ○栗田 哲郎,羽鳥 聡,山田 裕章,廣戸 慎,清水 雅也,淀瀬 雅夫,渕上 隆太,小田部 圭佑,古川 靖士,羽田 祐基(若エネ研) ○Tetsuro Kurita, Satoshi Hatori, Hiroaki Yamada, Shin Hiroto, Masaya Shimizu, Masao Yodose, Ryuta Fuchigami, Keisuke Otabe, Seiji Furukawa, Yuki Haneda (WERC) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。 現在、加速高周波制御のLLRFの開発に取り組んでいる。これまで、DSPとDDSおよびアナログ回路によって構成されていたものをFPGAを用いたデジタル制御に置き換える。2018-2019年にFPGA回路の設計および制作を行なった。2020年度はLLRFと一体のシステムとして動作するビーム位置信号制御系を製作した。現在、ビームテストを実施しておりFPGAプログラムのデバッグとオペレーションインターフェースの開発を行っている。運転状況と合わせて、高周波制御系の試験状況、オペレーションインターフェースの開発について報告する。 |
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TFSP06 | J-PARCミュオン生成標的の回転系トラブルとその対応 Trouble with the rotation system of the muon rotating target at J-PARC_MLF and its countermeasures 的場 史朗,○砂川 光,河村 成肇,小林 庸男(KEK物構研) Shiro Matoba, ○Hikaru Sunagawa, Naritoshi Kawamura, Yasuo Kobayashi (KEK IMSS) J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では、3 GeV陽子シンクロトロンから中性子水銀標的までの間のビームライン上にミュオン生成用の回転グラファイト標的が設置されている.この等方性黒鉛は厚さ2cm直径33cmのドーナツ形状であり,4秒に1回転させて陽子ビーム照射位置を分散させることにより放射線損傷を低減させて黒鉛材料の寿命を延ばしている. 回転モーターからの回転トルクを磁気カップリングにて真空中の回転軸に伝達する回転導入器は,内部のベアリングの寿命のため2年ごとに交換されている.2021年夏期メンテナンスにおいて,回転導入器及び回転カップリングの交換が行われた.この作業後に回転トルクが増大する事象が発生した.メンテナンス前の回転トルクの振れ幅はモーター定格トルクの4-8%で推移していたが,メンテナンス後は-2-18%程度に拡大した.定格トルク100%でモータートルクは1 Nmである.回転システムが破壊に至るトルクは定格の500%程度,ビーム停止のインターロック設定値は25%であるため,回転システム全体が直ちに機能不全に至る状況ではないが,モニターを強化しながらビーム運転を行った. オフライン設備において回転システム異常の検証を行い,トルク異常増大の原因は回転カップリング締結部分のミスアライメントと推定された.2022夏メンテナンスにてミスアライメントは解消され,トルク値は定格4-8%程度の安定運転が可能となった. |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1431教室) | |
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TFSP07 p.1077 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○藤本 將輝,石田 孝司,岡島 康雄,郭 磊,高嶋 圭史(名大SRセンター;あいちSR),金木 公孝,森里 邦彦,鈴木 遥太(スプリングエイトサービス),大熊 春夫(あいちSR;阪大RCNP),堀米 利夫(あいちSR),加藤 政博(HiSOR;UVSOR;名大SRセンター),國枝 秀世(あいちSR) ○Masaki Fujimoto, Takashi Ishida, Yasuo Okajima, Lei Guo, Yoshifumi Takashima (NUSR, Nagoya Univ.;AichiSR), Kimitaka Kaneki, Kunihiko Morisato, Youta Suzuki (SES), Haruo Ohkuma (AichiSR;RCNP, Osaka Univ.), Toshio Horigome (AichiSR), Masahiro Katoh (HiSOR, Hiroshima Univ.;UVSOR, IMS;NUSR, Nagoya Univ.), Hideyo Kunieda (AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、愛知県の協力によって建設され、あいちSRが運営してきた。2013年3月の供用開始から今年で10周年を迎えた。あいちSRは、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、および1.2 GeV蓄積リングから構成されている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、ユニットセルの3台の偏向電磁石のうち、両端の2台は磁場強度1.4 T、偏向角39°の常伝導電磁石であるが、中央の1台はピーク磁場5 T、偏向角12°の超伝導電磁石であり、25 keV程度までの実用強度を持つ放射光の供給を可能としている。直線部にはAPPLE-II型アンジュレータが1台設置されている。供用開始当時のビームラインは6本であったが、現在では企業専用2本および大学1本を含む12本のビームラインが稼働している。あいちSRでは火-金曜日の10時-18時半をユーザー利用時間としており、2022年度における光源加速器の総運転時間は2063時間、うちビーム電流300 mAのトップアップ運転による放射光ユーザーの利用時間は1385時間であった。計画されたユーザー利用時間に対して光源が運転できなかった時間は約11時間であり、稼働率は99.2%であった。本発表では、あいちSR光源加速器の現状について報告する。 |
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TFSP08 p.1080 | 原子力機構ー東海タンデム加速器の現状 Present status of JAEA-Tokai tandem accelerator ○沓掛 健一,松田 誠,中村 暢彦,石崎 暢洋,株本 裕史,乙川 義憲,遊津 拓洋,松井 泰,中川 創平,阿部 信市(日本原子力研究開発機構) ○Kenichi Kutsukake, Makoto Matsuda, Masahiko Nakamura, Nobuhiro Ishizaki, Hiroshi Kabumoto, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu, Yutaka Matsui, Sohei Nakagawa, Shinichi Abe (JAEA) 原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビームを用いた核物理、核化学、原子物理、材料照射研究などの各分野で利用されている。 昨年度も放電が頻発するため、最高加速電圧を約15MVに抑えて運転を継続した。2021年度以降、絶縁性能が劣化した機器類(セラミック製加速管や発電機駆動用アクリルシャフト等)の交換を行っており、2022年度はアクリルシャフト5本の交換を行ったが、加速電圧改善の根本的な解決には至っていない。昨年度発生した主な故障として、高電圧端子内ターボポンプの動作不良や90度偏向電磁石からの水漏れがあった。その都度、整備を行うことで施設の運転を継続しているが、今後、機器の経年劣化に対する抜本的な対策を検討する必要がある。発表では、2022年度における加速器の運転・整備状況等について報告する。 |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1432教室) | |
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TFSP09 p.1085 | 京大複合研電子線型加速器施設の現状 Status of KURNS-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,堀 順一,木野村 淳,籔内 敦,阪本 雅昭,吉野 泰史,高見 清(京大複合研) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Jun-ichi Hori, Atsushi Kinomura, Atsushi Yabuuchi, Masaaki Sakamoto, Hirohumi Yoshino, Kiyoshi Takami (KURNS) 京大複合研電子線型加速器施設は、今年で設置より60年を迎え、稼働している線型加速器として国内最古である。非常に古い機器であるが、2022年にPCB機器処理対策としてPFNモジュレータの更新を半年かけて実施し、2023年に経年劣化対策として制御系更新工事を2か月の予定で実施している。PFNモジュレータ更新工事では、近年コンデンサ周りでの火災発生を受けて、安全対策としてコンデンサに温度センサーを取付けて運転中の監視を可能にした。現状、大きな温度上昇はないが、今後も注視していく。制御系更新工事では大半のシーケンスをPLC制御に置き換えることで、設置当初から使用していて一部ブラックボックス化していたリレー制御からの脱却を目指して現在工事中である。また、経年劣化対策としては、敷設している配線に放射線劣化による固化や脆化及び経年使用による被覆の液化が発生していたため、制御系の配線を中心に耐熱性のある電線に更新した。 一方、利用面でも変化があり、2022年に動物を利用した実験が可能となった。利用開始から早速3件の電子線照射による利用が行われており、今後の活発な利用が見込まれる。また、過去に実績のあった陽電子発生実験についても、新規装置の開発に着手しており、線型加速器固有のパルス陽電子源の特徴を生かした空孔型欠陥の過渡測定を目指している。 |
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TFSP10 p.1088 | KEK放射光源加速器PFリングとPF-ARの現状 Present status of PF ring and PF-AR at KEK ○帯名 崇,阿達 正浩,上田 明,内山 隆司,江口 柊,尾崎 俊幸,影山 達也,金 秀光,小林 幸則,齊藤 寛峻,坂中 章悟,佐々木 洋征,佐藤 政行,佐藤 佳裕,下ヶ橋 秀典,塩澤 真未,塩屋 達郎,篠原 智史,島田 美帆,下崎 義人,髙井 良太,高木 宏之,髙橋 毅,多田野 幹人,田中 オリガ,谷本 育律,田原 俊央,多和田 正文,土屋 公央,内藤 大地,長橋 進也,中村 典雄(KEK, Accelerator Laboratory) ○Takashi Obina, Masahiro Adachi, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Shu Eguchi, Toshiyuki Ozaki, Tatsuya Kageyama, Xiuguang Jin, Yukinori Kobayashi, Hirotoshi Saito, Shogo Sakanaka, Hiroyuki Sasaki, Masayuki Sato, Yoshihiro Sato, Hidenori Sagehashi, Mami Shiozawa, Tatsuro Shioya, Satoshi Shinohara, Miho Shimada, Yoshito Shimosaki, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Takeshi Takahashi, Mikito Tadano, Olga Tanaka, Yasunori Tanimoto, Toshihiro Tahara, Masafumi Tawada, Kimichika Tsuchiya, Daichi Naito, Shinya Nagahashi, Norio Nakamura (KEK, Accelerator Laboratory) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光実験施設(フォトンファクトリー:PF)は、2.5GeV PFリングと6.5 GeV PFアドバンストリング(PF-AR)の2つの放射光専用リングを運転している。両リングともに稼働から約40年経過しており、各種装置の老朽化が顕著になってきているが、随時対策を講じながら故障率1%台の安定な運転を維持している。2022年度、PFリングでは、ビーム軌道安定化システムの高度化の作業を継続するとともに、低電力RF(LLRF)システムの更新などを進めている。PF-ARでは、測定器開発テストビームラインでの本格的なユーザー運転に向けた各種ビーム調整が順調に進行している。本年会では、PFリングとPF-ARにおける運転の現状について報告するとともに、次期計画として検討をすすめている超伝導加速空洞と蓄積リングを組み合わせた「ハイブリッドリング」について紹介する。 |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1441教室) | |
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TFSP11 p.1093 | 山形大学医学部東日本重粒子センターの現状 (5) Current status of East Japan Heavy Ion Center, Faculty of Medicine, Yamagata University (5) ○岩井 岳夫,想田 光,宮坂 友侑也,イ ソンヒョン,柴 宏博,石澤 美優,小野 拓也,山澤 喜文,谷地 守(山形大・医),勝間田 匡,佐藤 亜都紗(AEC),佐藤 啓,土谷 順彦,上野 義之,根本 建二(山形大・医) ○Takeo Iwai, Hikaru Souda, Yuya Miyasaka, Sunghyun Lee, Hongbo Chai, Miyu Ishizawa, Takuya Ono, Yoshifumi Yamazawa, Mamoru Yachi (Yamagata U.), Masashi Katsumata, Azusa Sato (AEC), Hiraku Sato, Norihiko Tsuchiya, Yoshiyuki Ueno, Kenji Nemoto (Yamagata U.) 山形大学医学部では2017年に重粒子線治療施設建設プロジェクトを開始し、2021年2月に水平ビームによる前立腺癌治療を開始した。その後2022年5月に回転ガントリーを用いた頭頸部癌の治療をスタートし、2022年10月には眼球を除く全ての対象部位への治療が可能になった。主加速器は普及小型重粒子線治療装置の設計を踏襲した430 MeV/uシンクロトロンで、磁極間隙を短縮した省エネルギー設計となっている。照射装置は大幅に小型化されたスキャニング照射装置が初めて搭載され、これにより回転ガントリーも小型化されている。水平ポートのみの固定照射室では、前立腺癌の治療を実施している。1日30件前後の照射により、既に治療完了した患者数は800人を超えた。2023年4月までは特に大きいトラブルもなく稼働していたが、2023年4月末にスキャニング電磁石が故障したため、1ヶ月強の稼働停止を余儀なくされた。回転ガントリー照射室では、ガントリー角度毎のビーム調整を実施し、使用可能な角度を増やしながら治療部位を増やしていき、現状では15°刻みでビーム導入角の設定が可能である。今後は引き続きガントリーより上流側のビーム輸送系の再調整を実施し、角度補間を機能させて治療に使える角度をさらに増やすこととしている。講演では、センター運用状況について報告する。 |
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TFSP12 p.1096 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告2023 Status report of Center for Accelerator and Beam Applied Science of Kyushu University in 2023 ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,渡辺 賢一,魚住 裕介,執行 信寛(九大工),森田 浩介,若狭 智嗣,坂口 聡志,寺西 高,市川 雄一,西畑 洸希,岩村 龍典(九大理),高木 昭(高エネ研),森 義治(京大) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Kenichi Watanabe, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo (Faculty of Engineering, Kyushu University), Kosuke Morita, Tomotsugu Wakasa, Satoshi Sakaguchi, Takashi Teranishi, Yuichi Ichikawa, Hiroki Nishibata, Tatsunori Iwamura (Faculty of Science, Kyushu University), Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (Kyoto University) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFA加速器と8 MVタンデム静電型加速器を利用した加速器施設の整備が進められている。FFA加速器棟では、取り出しビーム強度増強のためのビーム実験と並行して、FFA加速器の重イオン加速とビーム利用へ向けた機器整備が行われている。タンデム加速器棟・実験棟では、タンデム加速器のビーム強度増強のための機器調整と本格的なビーム利用へ向けた実験室の整備が進められている。本発表では、FFA加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。 |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1442教室) | |
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TFSP13 | 東北大CYRICのサイクロトロン加速器施設の現状報告 Present status of the cyclotron facility at CYRIC in Tohoku University ○伊藤 正俊,足立 智,寺川 貴樹,米倉 章平,細谷 弦生,山崎 峻平,斎藤 僚太(東北大CYRIC),高橋 研,高橋 直人,本間 隆之,児玉 頌平(住重加速器サービス) ○Masatoshi Itoh, Satoshi Adachi, Atsuki Terakawa, Shohei Yonekura, Genki Hosoya, Shumpei Yamazaki, Ryota Saito (CYRIC, Tohoku Univ.), Ken Takahashi (SHI Accelerator Service Ltd.), Naoto Takahashi (SHI Accelerator Service), Takayuki Honma, Shohei Kodama (SHI Accelerator Service Ltd.) 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)は、サイクロトロン加速器の多目的利用および高レベルRI、サイクロトロン生成短寿命核RIの利用、RIの安全な取扱いの教育・訓練を行うために設立された東北大学の学内共同利用施設である。 現在、2台のサイクロトロン加速器、930型AVFサイクロトロンとHM-12サイクロトロンを用いて、理工学およびライフサイエンスの研究に供している。 最近では、2020年10月から始動した大強度加速器中性子源による医療用RI製造プロジェクト、通称DATEプロジェクトにおいて、従来の様々な核種・エネルギーのイオンの加速を維持しつつ、大強度の負重水素イオン加速が行えるシステムの開発を行っている。それに加え、宇宙における元素合成反応への中性子加速散乱の寄与を測定するため、重イオン反応を利用した10MeV単色中性子源の開発を行っている。本発表では、最近の加速器の運転・利用状況およびトラブル例の報告とともに負重水素イオン加速および医療用RI製造システムや10MeV単色中性子源の開発状況について報告する。 |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1443教室) | |
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TFSP15 p.1098 | QST量医研サイクロトロン(NIRS-930, HM-18)の現状報告 Status report of NIRS-930 and HM-18 cyclotron at QST-iQMS ○北條 悟,涌井 崇志,杉浦 彰則,村松 正幸(量研-量医研),岡田 高典,神谷 隆(加速器エンジニアリング),白井 敏之(量研-量医研) ○Satoru Hojo, Takashi Wakui, Akinori Sugiura, Masayuki Muramatsu (QST-iQMS), Takanori Okada, Takashi Kamiya (AEC), Toshiyuki Shirai (QST-iQMS) 量子科学技術研究開発機構(QST)量子医科学研究所(量医研)のサイクロトロン施設には、1974年に運転開始したNIRS-930 (K=110)と、1994年に運転を開始した放射性核種(RI)生産専用のHM-18(K=20)の、2台のサイクロトロンがある。 2021年11月に発生した火災により2台のサイクロトロンは停止を余儀なくされたが、RI生産の早期再開を目指し、まずはHM-18の復旧作業を進めた。火災の影響は大きく、HM-18の復旧作業は電源、制御、真空、冷却水と多岐にわたり行われた。その結果、2022年9月にHM-18は、供給運転を再開することができた。 運転を再開したHM-18の2022年度の総運転時間は718時間で、その内の593時間をRI生産に用いた。その他の125時間は、放射線漏洩測定や調整運転に用いた。調整運転では、火災復旧後のHM-18の運転動作確認に22時間を用いた。さらに、NIRS-930で行っていた金属ターゲットへの照射をHM-18で行うためのビーム調整に80時間を用いた。 現在も、NIRS-930の復旧に向けて徐々に準備を進めている。本報告では、火災の影響と復旧作業の報告と量医研のサイクロトロン施設の現状について述べる。 |
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TFSP16 p.1101 | KEK先端加速器施設(ATF)におけるナノビーム技術開発 Development of the nanometer beam technology at the accelerator test facility ○奥木 敏行,荒木 栄,アリセフ アレクサンダー,久保 浄,倉田 正和,クルーチニン コンスタンテイン,黒田 茂,照沼 信浩,内藤 孝,中村 英滋,福田 将史,森川 祐(高エネ研),阿部 優樹,ポポフ コンスタンテイン(総研大) ○Toshiyuki Okugi, Sakae Araki, Alexander Aryshev, Kiyoshi Kubo, Masakazu Kurata, Konstantin Kurichinin, Shigeru Kuroda, Nobuhiro Terunuma, Takashi Naito, Eiji Nakamura, Masafumi Fukuda, Yu Morikawa (KEK), Yuuki Abe, Konstantin Popov (SOKENDAI) KEKのATFは、国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術、特に衝突ビームに必要なナノメートルビーム技術の開発を行う試験加速器である。最終収束システム試験ライン(ATF2)を拠点として、ILCでの衝突ビームサイズ7nm(垂直方向)に対応する37nm極小ビームの技術開発が進められ、今までに垂直方向41 nmを達成した。また、ナノメートルレベルでの電子・陽電子ビーム衝突を安定にするために、ビームパルス内のバンチ-バンチ間で高速に応答するビーム位置フィードバック開発も進められ、133nsでの応答を確認した。これらによりILC最終収束系に必要な基本技術は概ね実証されたと評価されている。近年はナノメートルビームに対するウェイク場の影響とその軽減手段の見極めに焦点を当てている。ATF2は、20nm位置分解能の空洞型BPM、ナノメートル極小ビームを測定するレーザー干渉縞型ビームサイズモニターを有し、ナノメートル極小ビームに対するウェイク場の影響研究に適した施設である。ATFでの今までの結果を踏まえてILCにおけるウェイク場の影響が見積もられているが、ILCの場合ではエネルギーが高く、その影響は限定的と評価されている。ATFではこれらの評価の信頼性を上げることを含め、ビームモニターの高度化を進めながら、更なる極小ビームの実現と安定化を目指すナノメートルビーム技術開発を追求している。 |
ポスター③④ 施設技術報告 (8月31日・9月1日 14号館1444教室) | |
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TFSP17 | 京都大学化学研究所における電子加速器の現状 Present status of electron accelerators at ICR in Kyoto University ○小川原 亮(京都大学 化学研究所),楠本 多聞,小平 聡(量子科学技術研究開発機構),塚田 暁,頓宮 拓,若杉 昌徳(京都大学 化学研究所) ○Ryo Ogawara (ICR, Kyoto University), Tamon Kusumoto, Satoshi Kodaira (QST), Kyo Tsukada, Hiromu Tongu, Masanori Wakasugi (ICR, Kyoto University) 京都大学化学研究所 イオン線形加速器棟には100 MeV電子線形加速器(KAKEN Electron Linac: KEL)、300 MeV 電子蓄積リング(KAKEN Storage Ring: KSR)が設置されている。KELとKSRは電子ビームをプローブとした原子核実験に非常に有用であり、また不安定核静止標的を生成するためのSCRIT(Self-Confining RI ion target)法を導入することで、世界最先端の原子核研究を行うことが可能である。京大化研ではKSRを新しい原子核物理実験用に特化した装置へと改造するため、2019年度から施設再編プロジェクトがスタートしている。 一昨年までにKELの復旧・再編はほぼ完了し、昨年度から京都大学の「国際共同利用・共同研究」プロジェクトにおいてマシンタイム提供を開始した。通常KELはビーム幅1 us 幅、繰り返し 20 Hz、最大ピーク電流約 10 mA(エネルギーは15 ~ 80 MeVで任意)でビームを提供している。上記の性能を持つKELは非常に高い瞬間線量率を提供できるため、当施設では超高線量率放射線治療(FLASH)の基礎研究が開始されている。また、昨年度は加速器のパラメータを調整することで数十MeVの電子をカウンタブルな数(約5 events/us)出力する方法も確立した。今後は検出器がパイルアップしない程度の強度を必要とする検出器開発などにもマシンタイムを提供する予定である。 本講演では、KELの現状とKSR再編の状況、またこれまでにKELを用いて行われてきた実験について報告する。 |
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TFSP18 | 東大ライナック・レーザー施設報告2023 Status report of linac/laser facility of University of Tokyo in 2023 ○橋本 英子,安見 厚志,山下 真一,小畑 結衣,坂上 和之(東大原子力専攻) ○Eiko Hashimoto, Atsushi Yasumi, Shinichi Yamashita, Yui Obata, Kazuyuki Sakaue (NPS, UTokyo) 東大電子線形加速器施設ライナックには、2本のビームライン(18L, 35L)を有しており、極短パルスを用いての放射線化学、量子ビーム工学、等の開発等の実験研究に利用されて着実に成果を出し続けている。また、学生実習でも利用されている。当施設は、利用開始から40年以上経過したこともあり、経年劣化による保守作業が頻発している。本報告では、運転・保守の現状について報告する。 |