7/31 (木)  ポスターセッション
TP-1 佐賀シンクロトロン光応用研究施設電子リニアック2003年(部品発注現状) 冨増多喜夫 (財)佐賀県地域産業支援センター 科学技術推進部 佐賀1.4GeVシンクロトロン光源(佐賀LS)の入射器である262MeV電子リニアック用部品の発注現状と平成15年秋から始まる光源の組立・調整の予定について報告する。佐賀LSの場合、スペースと予算の制約があり、262MeV電子リニアックによる低エネルギー入射蓄積・加速方式を採用する。将来の入射器活用の一つとして低エネルギー部の28〜36MeV電子ビームを用いて二色(4〜10μm,8〜20μm)の赤外自由電子レーザー装置の設置も可能である。 電子リニアックの長さは、電子銃用の高圧電源を含めて28.5mで、6MeVの定在波型入射器、6本に進行波型加速管、SIPや真空ダクト,加速管毎に設置されるビーム位置モニタ、クライストロン、クライストロンパルス電源、導波管、40±0.1度Cの冷却水装置、冷却配管、偏向電磁石、4極電磁石、これらの架台及び据付等順次発注が行なわれている。 電子ビームのエネルギーとマクロパルス長は、入射時250MeV以上で1μsである。毎秒1パルス入射で、1μsパルス中のミクロバンチ数は22(22.3125MHz,44.8ns間隔)の多バンチ入射である。ミクロバンチ当りのクーロン数が約0.6nCの」場合、毎秒約13nCの電子が加速され、セプタム電磁石を通って入射される。リングの周長は75.6mで、1μsパルスは4周分ぼビームに相当する。入射時以外での電子ビームのエネルギーとマクロパルス長は40MeVで9μsである。10Hz運転が可能で自由電子レーザー等の発生に利用できる。
TP-2 J−PARC用SDTLの大電力試験 内藤富士雄 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 東海村の原研施設内に建設が進んでいる大強度陽子加速器施設(Japan Proton Accelerator Research Complex, J-PARC)の線形加速器の中流部を構成する分離型ドリフトチューブ線形加速器(Separated  Drift Tube Linac, SDTL)の大電力試験を行った。SDTLは全部で32台製作されるが、現時点で上流側から3台目までの組立と大電力試験が終了している。いずれも比較的短期間で定格よりも充分高い電力まで試験を行い、空胴の高い耐高電力性能を確認することができた。その実験結果を報告する。
TP-3 RF基準信号分配用ケーブルの電気長安定化 永井 良治 日本原子力研究所 光量子科学研究センター 自由電子レーザー研究グループ 自由電子レーザーにおいては非常に安定した加速空洞のRF位相が要求される。この位相の安定化は短時間のみならず年間を通しての安定性・再現性が要求される。しかしながら、現在の原研自由電子レーザーで用いているRF基準信号分配用ケーブルには特に安定化のための措置が施されておらず、長時間でのRF位相のドリフトの一因となっている。そこで、温度安定度の高いケーブル(Helax)に冷却水を通した銅パイプにより温調を掛けて電気長の安定化を図った。
TP-5 低熱膨張材を用いた C-band RF パルスコンプレッサーの大電力試験 吉田 光宏 東京大学 素粒子物理国際研究センター 極低熱膨張材であるスーパーインバーをマイクロ波蓄積空洞の母材として用いたRFパルスコンプレッサーの開発を行った。RFパルスコンプレッサーは常伝導の加速器コンポーネントの中では最も高いQ値を持つ空洞が必要なデバイスであり、温度変化に敏感である。このような高いQ値の空洞に対して温度安定化や冷却機構の簡略化するための手段としては、熱膨張率の低い材料を使用するのが最も有効である。今回、スーパーインバーを用いて数百MWの大電力出力対応のRFパルスコンプレッサーを開発し大電力試験を行った結果について述べる。
TP-6 KEK 8GeVリニアックでのサイラトロン使用状況 明本 光生 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 KEK 8GeVリニアックは1998年秋よりB物理実験のための電子・陽電子ビームの供給を開始してから、運転時間は約3万2千時間(2003年4月現在)になる。このリニアックでは59台のクライストロン電源が使用され、そのスイッチとして45kV、4.5kAをスイッチングするサイラトロンが使われている。この間に於けるサイラトロンの寿命及び故障等の使用状況について報告する。
TP-7 J-PARC超伝導空洞用入力結合器の大電力試験 加古永治 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 J-PARC計画における972MHz超伝導空洞に用いられるプロトタイプの高周波入力結合器の大電力試験が行われた。2本の同軸型入力結合器は、真空排気装置を備えた結合導波管に取り付けられ、ドアノブを介して導波管(WR975)へ接続された。大電力試験は、972MHzのパルス高周波源(クライストロン)を用いて行われ、結果として、0.6msecのパルスで、25Hzの繰り返し運転時に2.2MWの高周波電力が本入力結合器に導入された。
TP-8 Cバンド-レゾナントリングを用いた大電力試験 竹中たてる 高エネルギー加速器研究機構 加速器第三研究系 Cバンド-レゾナントリングを用いた大電力試験高エネルギー加速器研究機構加速器第三研究系○竹中たてる 道園真一郎 福田茂樹 松本利広 中尾克巳 大越隆夫 柿原和久 Cバンドのレゾナントリングを用いた大電力試験を行った。レゾナントリングでは、クライストロンからの出力を同期・重畳させることにより、クライストロン出力の10〜20倍の通過電力を得ることができる。このため、大電力高周波源で用いられる各種部品(高周波窓、フランジ、導波管等)の開発に適しており、今回は導波管回路に用いる高周波窓の評価を行った。ここでは、レゾナントリングの同調周波数の最適化、直管および、高周波窓の大電力試験などについて報告する。Cバンド計画では、40MWの高周波出力を加速管に投入することを検討しているが、今回の試験では、40MWの高周波出力が全反射を起こした場合の最大電界に相当する160MWの通過電力を目標に試験を行い良い結果を得たのでそれも含めて報告します。
TP-9 Cバンド・ミックスモード高周波窓の開発 道園 真一郎 高エネルギー加速器研究機構 加速器第三研究系 Cバンド(5712MHz)大電力高周波通過用高周波窓を開発した。高周波窓は、クライストロンからの出力(50MW)をそのまま通過できるように、大口径、かつミックスモード(TE11+TM11)型とし、セラミック内での電界が進行波になるような設計を行った。これにより、現在使用しているSバンド(2856MHz)の50MW用高周波窓の電界より、約2割程度低減させることができた。今回は、設計の方法、シミュレーションによる考察、低電力での測定結果についてまとめる。
TP-10 KEK ライナックにおけるクライストロン及び高周波窓の維持管理について 諸富哲夫 三菱電機システムサービス株式会社 加速器技術センター 東部事業所 KEK 入射器では電子・陽電子の加速のために高周波源として、約60台の クライストロン(2856MHz、最大50MW、4μs、50pps)を使用している。また、高周波出力部には真空を保ち、高周波を通過させる高周波窓が用いられている。入射器運転中にクライストロンの不具合や経年劣化などが発生すると加速器運転の停止となる場合もありうる為、これらの障害が生じる前に、その兆候を捉えることが安定な加速器運転には望ましい。クライストロンの経年劣化が生じると、エミッション減少が生じ、クライストロンの印加電圧、電流に変化が生じる。また、高周波窓に不具合が生じる場合は、事前に高周波窓枠の温度上昇や放射線の発生が観察される事がわかっている。クライストロン や高周波窓の不具合や劣化等の状態を知るために、定期的にクライストロンの印加電圧・電流測定およびパービアンスの計算、高周波窓の放射線、温度測定を実施している。今回はこれらのデータ収集、解析結果についてまとめて報告する。
TP-11 同期タイミングシステムの性能とビーム特性 安積隆夫 (財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 加速器部門 線形加速器とブースターシンクロトロンや蓄積リングなどの円形加速器はそれぞれ異なる rf で運転され、これらの周波数が整数関係を成立しない場合がある。これに加えて線形加速器からのビーム電流強度の増加、あるいは短パルス化ともない、ビームトリガー信号との同期関係を得ることは不可欠なものとなってきている。現状、多くの加速器施設で構築されている同期タイミングシステムでは、使用する rf を得るために分周器、逓倍器を複雑に組み合わせた回路構成を余儀なくされている。この問題に対して、加速器の各々の任意の rf 生成、ビームトリガー信号の同期関係の高精度化を簡易に実現するため、新しい方式によるタイミングシステムの開発をおこなった。このタイミングシステムの導入によりビームタイミングとすべての rf の同期関係が実現し、とくに線形加速器においてはビーム生成のタイミングと 2856 MHz との間に生じる時間ジッターを縮小することでビームショット毎のビームエネルギー安定化にも貢献している。現在では通常運転に導入されており、ビームトリガー信号との同期性においては 3.5 ps (rms) の時間ジッター、ビームエネルギー安定度は 0.009 % (rms) を達成している。
TP-12 Super KEKBに向けたC-Band Dummy Load と 3dB Hybrid Coupler の開発 杉村高志 高エネルギー加速器研究機構 加速器第三研究系 Super KEKBでは電子と陽電子のエネルギーを交換することを計画している。入射ライナックの陽電子のエネルギーを上げるために一部の加速管をC-Band化しより高い加速勾配を得る。C-band化に際しては様々な開発要素が存在するがここではDummy Loadと3dB Hybrid Couplerの開発を取り上げ、Cold Modelによるlow power試験の結果および本機の製作について報告する。
TP-14 KEK Injector LINAC サイラトロン運転管理 国安 祐 三菱電機システムサービス(株) 加速器技術センタ−東部事業所  KEK 8Gev LINAC では現在、59台のクライストロン電源が使用され、そのスイッチとして45kV,4.5kAをスイッチングするサイラトロンが使用されている。サイラトロンが運転期間中に故障発生し、交換が必要になった場合、復旧までに要する時間は 1.0h〜2.0h程度掛かり、特定の場所のクライストロン電源においては、復旧するまでの間入射が出来なくなる。さらに寿命末期になると異常ノイズを発生し、このノイズによって周囲の電子機器の不具合を引き起こすこともある。 このサイラトロンの寿命をある程度予測し、不具合発生前に交換する為の材料としてのサイラトロンデーターベースについて報告を行う。 
TP-15 KEKB入射器のマスターオシレーター 矢野喜治 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 加速器第3研究系  高エネルギー加速器研究機構の電子陽電子加速器ではKEKBリングに電子と陽電子、PFリング、PF−ARリングへそれぞれ電子を入射している。 加速器の運転で必要な10.385MHz, 508.9MHz, 114.2MHz, 571.2MHz, 2856MHzのRFは長期間の位相性が求められる。そのため信号源であるマスターオシレーターは恒温槽の中に入れられ厳密に温度管理を行っている。しかしこれらの恒温槽はコンプレッサーを使用しているために寿命が短い。また恒温槽の故障が発生した場合の機器の入れ替えも位相の再現性を悪くしている。 これらが設置されているギャラリーの温度変化は25±1.5℃程度であり恒温槽の内部は28℃±0.1℃程度の安定度が要求される。ギャラリーで使用する事に特化したペルチェ素子を使用した恒温槽を製作した。この恒温槽の性能と温度変動によるマスターオシレーターのRFの位相の変化を評価した。
TP-16 EOLクリッパーの試作と動作 本間 博幸 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 第3研究系 KEKB入射器大電力クライストロン用パルス電源では、負荷からの反射エネルギー吸収のためシャント回路を使用している。EOLクリッパーはこの回路より性能が優れている。本報告ではEOLクリッパー回路を試作し動作を確認した結果について述べる。
TP-17 FEL用Sバンド大電力クライストロンの長パルステスト運転 境 武志 日本大学大学院 理工学研究科 日本大学電子線利用研究施設で使用するクライストロンの出力は、赤外〜紫外領域のFEL発振のためにパルス幅20μs、繰り返し12.5Hzの運転条件で出力電力30MWが要求される。しかし現在使用しているPV-3030A1クライストロン(三菱電機)では、RF窓下流側の真空排気強化を行っても20μs、12.5Hzで20MWまでが限界であった。そこで昨年度、PV-3030A3クライストロンをベースにRF窓での真空排気速度を強化したPV-3040Nクライストロン(三菱電機)を製作した。テスト運転の結果、4μs、50Hzの運転条件で、40MWが得られた。現在使用中のクライストロンと交換し、本運転を開始するので、PV-3040Nクライストロンの長パルス(20μs)での運転状況とその状態等について報告する。
TP-18 Cバンド 50MWクライストロンを用いた大電力高周波源(I) −低電力励振系の構築− 松本 利広 高エネルギー加速器研究機構    KEKの電子陽電子加速器では、KEKB実験のために大電力高周波源を用いて電子ビームを8GeV、陽電子ビームを3.5GeVに加速している。現在、陽電子のエネルギーを8GeVに増強してKEKB実験の性能を高めようという計画があり、そのために現在の運転に使用しているSバンド(2856MHz)より周波数が2倍のCバンド (5712MHz)で大電力高周波源を構成する必要がある。 今回、Cバンド50MWクライストロンを用いて大電力試験を行ったが、このために新規に低電力励振系を構築した。この励振系の構成および性能評価について報告を行う。
TP-19 Cバンド 50MWクライストロンを用いた大電力高周波源(II) −大電力試験− 松本 利広 高エネルギー加速器研究機構    KEKの電子陽電子加速器では59台のSバンド(2856MHz)の大電力高周波源を用いてKEKB実験のために、電子ビームを8GeV、陽電子ビームを3.5GeVに加速している。ビームの加速に用いる高周波源としてはクライストロンを使用しており、その性能はピーク電力50MW、効率43%、飽和出力時の利得で50dBである。 現在、陽電子のエネルギーを8GeVに増強してKEKB実験の性能を高めようという計画があり、そのためには周波数が2倍の5712MHzで同等の性能を持つクライストロンを必要としている。今回、Cバンド 50MWクライストロンを用いて大電力試験を行ったので、この件について報告する。
TP-20 大電力クライストロンのヒータ特性測定の為のデップ試験 中尾克巳 高エネルギー加速器研究機構   高エネルギー加速器研究機構のKEKB電子、陽電子加速器で使用している大電力クライストロンのヒータの動作電力は、クライストロンヘの印加電圧一定のもとでヒータの電圧を変化させその時のマイクロパービアンスを測定して空間電荷制限領域内で使用するように設定している。通常この動作電力は変えることはないが、クライストロンの劣化によるエミッションの低下時には動作電力を変えることで対処している。今回クライストロンヘの印加電圧一定のもとでヒータ電圧を100Vから120Vまでの間で変化させ短時間ヒータ電圧を切って再び投入するデップ試験を行いクライストロンのヒータ特性を測定した。併せてエミッション低下のクライストロンでも同様の測定をおこなった。この測定結果について報告する。
TP-21 原研 972MHz RFテストスタンドの現状 2 山崎 正義 日本原子力研究所 東海研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 加速器グループ 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の線形加速器では、200〜400MeVまでの高エネルギー部に周波数972MHzのモジュレーティング・アノード型パルスクライストロンを高周波源として使用する予定である。原研では、実機で使用する972MHzRFコンポーネント並びに直流高圧電源等の性能を評価するため972MHzRFテストスタンドを設置している。本報告では、972MHzRFテストスタンドにおいて、これまで実施してきた大電力試験(反射吸収用10パルスダミーロード、サーキュレータ、電力測定法など)での各種機器の動作特性評価および現状について報告する。
TP-22 J-PARCリニアック高周波基準信号分配システム 小林鉄也 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター,加速器グループ J-PARC陽子リニアックでは,RF基準信号12MHzを光伝送によって各クライストロン駆動ステーションへと分配する。加速電場(324MHz、 972MHz)の位相,振幅変動はそれぞ+/-1度,+/-1%以内が要求され、それゆえ、基準信号に求められる安定度は非常に厳しく、リニアック300m間、約60ヶ所にも及ぶステーション間の位相変動は+/-0.3度(972MHzで約+/-0.9ps)程度以内を目標としている。そのために新たに開発・製作された光コンポーネント(E/O,O/E等)の性能特性評価および基準信号分配システムの安定性試験の結果ついて報告する。併せてリニアックのタイミング制御信号の分配方法についても述べる。
TP-23 J-PARCリニアック用クライストロン電源システム−KEK60MeV施設における現状− 川村 真人 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設  J-PARCリニアックでは、高周波源としてモデュレーティング・アノード型パルスクライストロンが採用される。そのクライストロンに大電力を供給するクライストロン電源システムが開発され、200MeVリニアックに必要な大電力機器の大部分は既にJAERI東海研、KEKに納品されている。 またKEK60MeV施設では現在最上流部の建設が継続されており、それに対応してクライストロン電源システムも試験・運転が行われている。当電源システムについては、既に過去の本研究会やデザインレポートなどで報告されているが、最近の運転で新たな改良等が行なわれた。 本報告では当電源システムのKEK60MeV施設における現状について報告する。
TP-24 大強度陽子加速器(J−PARC)用324MHzクライストロンの開発 手塚勝彦 株式会社 東芝 電子管・デバイス事業部 電子管技術部 電子管技術第三担当 当社(東芝)は日本原子力研究所殿および高エネルギー加速器研究機構殿と共同で、大強度陽子加速器(J−PARC)の高周波源として使用されるロングパルスクライストロンの開発を行なってきた。このクライストロンには出力電力3MW以上、変換効率55%以上の性能が要求されている。また動作周波数は324MHzと現存するクライストロンの中では最も低く、設置構造も当社初の横置き型を採用等の開発課題があった。今回、上記要求性能を満たすクライストロンの開発に成功したので、その成果を報告する。
TP-25 Xバンドリニアックを用いた小型硬X線源の50MWクライストロン用パルス電源 明本 光生 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 現在、我々共同グループ(東京大学大学院工学系研究科附属原子力工学研究施設、放射線医学総合研究所及び高エネルギー加速器研究機構)は文部科学省先進小型加速器開発プロジェクト(取りまとめ放射線医学総合研究所)に参画し、静脈注射による冠状動脈動的血管造影(IVCAG)のための、Xバンドリニアックを用いたレーザー電子ビーム衝突による小型硬X線源を開発中である。この装置で使用される小型で高性能な50MW Xバンドクライストロン用パルス電源を開発したのでその報告を行う。
TP-26 IFMIF加速器用RFQのためのループアンテナを用いた多重RF入力結合系の特性 前原 直 日本原子力研究所 那珂研究所 核融合工学部 加熱工学研究室 国際核融合材料照射施設(IFMIF)では、重陽子イオンビーム125mAを0.1MeVから5.0MeVまで加速するためにMAFIAコードを用いた175MHz RFQ開発を進めている。試作したモックアップモジュールの低電力試験では、解析結果と1%以内で一致する共振周波数175MHzが得られ、このRFQの幾何学条件からRF入力結合系として1 5/8’ サイズの同軸導波管が最適寸法であることが判明した。今回この同軸導波管にループアンテナを採用して1モジュール当り700kWレベルを入射する多重RF入力結合系の設計を行った。本講演では、この低電力による試験結果について詳細に報告する。
TP-27 FFTを利用した光共振器モード計算の高速化 永井 良治 日本原子力研究所 光量子科学研究センター 自由電子レーザー研究グループ FELの性能を決める大きな要素のひとつが光共振器である。光共振器内での回折損失や出力効率を計算するには光共振器内のモードを計算する必要がある。光共振器内のモードを計算する方法としてはFoX-Liの手法が良く知られているが、この方法は2階積分を繰り返し計算するもので非常に多くの計算時間を必要とするために、十分なパラメータサーチが行えなかった。そこで、この2階積分をFFTを利用した畳み込みを用いることで高速化し光共振器の形状についての十分なパラメータサーチを行える計算コードを開発した。
TP-28 JAERI ERL-FELのHOM特性 沢村 勝 日本原子力研究所 自由電子レーザー研究グループ JAERI ERL-FEL用超伝導加速器に取付けられている3つのHOMカップラーの特性を測定するとともに、エネルギー回収の有無によるHOM出力の変化及び超伝導空洞内で励起されている高調波モードの時間依存性などの空洞内HOM特性を発表する。
TP-29 X線SASEを目指したエッジフォーカスウィグラーの開発研究 三原 彰仁 大阪大学 産業科学研究所 量子ビーム発生科学研究分野 FEL実験において広く用いられているHalbach型平面ウィグラーは電子ビームの蛇行軌道面に対し、垂直方向には弱い集束力を持つが水平方向には集束力を持たない。X線SASEでは使用するウィグラーが100m超の長尺になるので水平方向への電子ビームの発散が問題となる。我々はこの問題を解決するべく、水平方向にも集束力を持ったエッジフォーカスウィグラーを考案し、部分的に試作機を製作した。この試作機について磁場測定等を行い、3次元磁場解析コードを用いて得られる計算結果との比較を行った。 本稿では、今回製作した試作機について行った磁場測定の結果、計算結果およびそれらの比較について報告する。
TP-30 原研 ERL における 10kW 級 FEL の開発 羽島良一 日本原子力研究所 光量子 原研 ERL-FEL では、10kW 級発振を目指した装置の開発を行っている。本稿では、これら開発の内容を概括し、将来の展望を述べる。具体的には、ERL におけるエネルギーアクセプタンスと FEL 変換効率の見積り、ビーム電流増大のための入射系増強の戦略と現状、超伝導加速器の安定化を目指した RF 制御系の改良などである。
TP-31 東京理科大学赤外FELセンターにおける遠赤外自由電子レーザ装置の研究 小池英仁 川崎重工業株式会社 技術研究所 光技術研究部 量子技術グループ 東京理科大学と川崎重工業(株)から成るFIR-FELプロジェクトグループはSバンドライナックを用いた遠赤外自由電子レーザの設計を2000年に完了し、2002年には東京理科大学赤外自由電子レーザ利用センター(FEL-SUT)への設置、RFエージングを完了した。光共振器部に導波管と円筒ミラーを組み合わせたハイブリッド型共振器を適用したことに特徴を有し、スリッペイジ問題、回折損失を低減する共振器構造の最適化を行った。共振器、RFコンポーネント、リニアック、ビームライン等、FEL-SUTにおける遠赤外自由電子レーザの特徴および計測について述べる。
TP-32 日本大学電子線利用研究施設におけるFEL共振器長の微小変化の測定 中尾圭佐 日本大学大学院 理工学研究科 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)のFEL共振器長が微小変化していることがわかっている。この変化の詳細と対策について発表する。
TP-33 SCSS用C-band主加速器 松本 浩 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 SPring-8では、SASE型の第4世代の放射光光源の検討を進めている。本研究発表は、リニアコライダー計画の中で開発された、C-band高電界型加速器についての技術報告を行う。
TP-34 フェムト秒高効率高出力FELによる大規模非熱精密加工技術の開発 峰原英介 日本原子力研究所 東海駐在 関西研究所 光量子科学研究センター 自由電子レーザー研究グループ 原研超伝導リニアック駆動自由電子レーザーは、数年前に6%高効率、数百フェムト秒、数kW級高出力FEL光を生成することに成功していた。これを更に高出力化することによって大規模非熱精密加工技術を開発する計画について報告する。
TP-35 レーザープラズマからの電子バンチ計測への揺らぎ干渉法の適用 中村 啓 東京大学大学院  工学系研究科附属 原子力工学研究施設 LBNL(Lawrence berkeley National Laboratory)、l'OASISグループでは、レーザープラズマから生成される電子バンチの計測に関する研究を進めている。そのうちインコヒーレント放射を用いた揺らぎ干渉法による計測の適用可能性について、理論的考察と予備実験を行った。プラズマ-真空境界からの遷移放射について、エミッタンスのうち角度分散は影響せず、ビームサイズのみ揺らぎに影響を及ぼすことが導かれ、典型的パラメータでの空間方向のコヒーレントスライス数を評価した。また、フィルタリングのためのレーザー光のスペクトルの偏光特性の測定実験を行った。
TP-36 コヒーレント遷移放射を用いたバンチ間距離の精密測定 高橋俊晴 京都大学 原子炉実験所 粒子線基礎物性研究部門 短バンチ電子ビームから放射されるコヒーレント放射光を用いたビーム診断法が、精密なバンチ形状計測において非常に有用であることは既に実証されている。今回新たに、バンチ間距離の高分解測定法を開発した。コヒーレント放射光は、各バンチからの波束どうしで可干渉性を有しており、干渉計を通して観測する場合、インターフェログラム上には自己相関図形に加えて相互相関図形が現れ、両者の間隔がバンチ間距離に相当する。4マイクロ秒のマクロパルスを200ナノ秒ごとの微小領域に区切って測定した結果、パルスの前後で30フェムト秒のバンチ間隔のゆらぎを観測した。これは加速周波数から求まる769ピコ秒に対して0.001%の分解能に相当する。
TP-37 アルミナ蛍光板の発光特性U 細野 米市 東京大学大学院 工学系研究科 システム量子工学専攻 アルミナ蛍光板は、大強度の放射線に強いことから、ライナックのビームモニターとして用いられてきた。しかし、その発光特性は、必ずしも明確になっていない。本発表では、発光の立ちあがり時間と減衰時間等のこれまでに得た知見について述べる。
TP-38 スリットスキャン法による4MeV光電子ビームエミッタンス測定 工藤経生 早稲田大学 理工学総合研究センター 早稲田大学理工学総合研究センターでは、高品質電子ビーム生成及びそれを用いた様々な応用実験を行うことを目的として、フォトカソードRF電子銃システムの構築を行った。高品質電子ビーム生成には、加速器の最適パラメータを把握することが極めて重要であり、早稲田大学では、特にエミッタンスの最適値の探求を行っている。生成された光電子ビームのエネルギーは約4MeVとあまり高くないので、空間電荷効果の影響による測定誤差の少ない(シングル)スリット法を用いエミッタンスを測定した。今回は新たにダブル・スリット法を取り入れ、ソレノイド電磁石によるエミッタンス補正効果を両方法で測定した。本研究会ではその結果及び測定法の改善過程について報告する。
TP-39 医療用X-bandリニアックのための高分解能ビームモニターの研究 坂本 文人 東京大学 大学院工学系研究科システム量子工学専攻 当研究室が開発を進める、X-bandリニアックを用いた小型硬X線源はビームサイズ100μmのパルスレーザーと電子ビームを衝突させ、Compton散乱によりX線を生成するものである。レーザー電子ビームの衝突を効率良く行うには、ビームプロファイルを精度良く測定するモニターが不可欠である。100μmを測定可能な高空間分解能及び、バンチ構造を測定できる高時間分解能を有するモニターとして、Wire scanner、OTRモニターに焦点をあて、その研究開発を行っている。本ポスターセッションでは、当施設で行ったX-bandリニアックを想定した検証実験結果及び、現在製作中のWire scanner、OTRモニター、Screenモニター3種複合型の同時試験システムについて発表する。
TP-40 非破壊型ビームエネルギー広がりモニタのデータ収集システム 佐藤 政則 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 加速器第三研究系  KEKの8GeV電子・陽電子ライナックでは、シングルバンチビームのエネルギー広がりを測定するための非破壊型ビームモニタを開発した。このモニタは、8つのストリップライン電極から構成され、クライストロンの位相変動に起因するビームエネルギー変動の監視或いは、フィードバックを行うことを目的とする。本モニタのためのデータ収集システムを構築し、試験を行った。これは、デジタルオシロスコープ及びLinux-PCから構成され、最大50Hzでのデータ収集に成功した。KEKB-LERでは2バンチ入射がおこなわれているが、2バンチのエネルギー広がりを独立に測定(最大50Hz)可能であることも確認した。本研究会では、この高速データ収集系について発表する。
TP-41 ビーム電流積分回路の特性 足立昌俊 (財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 加速器部門 SPring-8 1 GeV 線型加速器では、現在計画されている 8 GeV 蓄積リングへのトップアップ運転に対して、ビームモニタリングシステム、タイミングシステム、偏向電磁石、運転手順等の準備、検討がなされている。とくにビーム電流強度取得においては、蓄積リングへの各高周波バケットのビーム電流強度を精密に管理し、フィリングに対して 10 % 以下となる電荷量の均一性を常時、実現することが要請されている。線型加速器におけるビーム電流強度、ビーム輸送効率の取得は、各部に配置されたビーム電流モニターからのビームパルス幅に対応した信号をオシロスコープ、および電流積分回路に入力することでおこなわれ、データベースシステムへ取り込まれている。
TP-42 スロットアンテナを用いた平面状ビーム位置モニタ 西山 修輔 北海道大学 工学研究科 量子エネルギー工学専攻 スロットアンテナを複数組み合わせた平面状のビーム位置モニタの設計、試作、評価をおこなった。スロットアンテナは平面構造のアンテナで、ビーム通過の際の電界を検出する。Sバンド電子ライナックのマルチバンチビームの位置モニタとして用いることを考慮して、数値シミュレーションによりモニタの形状やスロットの配置などを検討し、モニタの構造を決定した。試作したビームモニタを用いて電子ライナックのビームの測定を行い、モニタの感度やビームの変位に対する測定精度、ビームプロファイルの影響を評価した。
TP-43 J-PARCリニアック用ビームモニター 廣木 文雄 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 加速器グループ  J-PARCリニアック用ビームモニターは、ビーム電流モニター(SCT)、ビーム位相モニター(FCT)、ビーム位置モニター(BPM)、ビームプロファイルモニター(WSM)、ビームサイズモニター(BSM)、エミッタンスモニター(EM)、スクリーンモニター(SCRN)及びビーム損失モニター(BLM)などから構成される。 本発表では、各ビームモニターの概要と機器設置位置及びデータ収集処理装置などについて報告する。
TP-44 LEBRAにおけるBPMによるビーム位置の測定 石渡 謙一郎 日本大学大学院 理工学研究科 量子理工学専攻 加速器出口付近、FELビームラインのアンジュレーターの入口と出口に設置したBPMを用いて、電子ビームをFELビームラインにおいてアクロマティックに通すことが可能になった。そこで、ビーム位置モニター(BPM)の4つの電極から出力されたRFを、クリスタル検波器で検波し、検波信号をAD変換ボードを用いてPCに取り込みビーム位置の測定を行う。
TP-45 空胴型ビーム位置モニターの中心位置の高精度測定 井上洋一 東北学院大学 工学研究科応用物理学専攻 JLCやFELなどの将来型線形加速器では高精度高分解能のシングルショット測定可能なビーム位置モニターが必須である。その要求を満たすビーム位置モニターとして空胴型ビーム位置モニターが候補にあげられ、現在開発研究をおこなっている。空胴型ビーム位置モニターは高分解能はもとより、機械的加工精度が出しやすく外周基準面から中心までの絶対位置精度が出しやすいと考えられる。その絶対位置精度を損なわすものは、ビーム通過と同時に位置に依存しないコモンモードの信号が混じり込むためである。本稿では絶対位置精度を追求するため機械的加工精度と電気的中心の偏差を測定する測定装置について報告する。
TP-46 原研ERL-FELの制御系更新 菊澤信宏 日本原子力研究所 自由電子レーザー研究グループ 原研ERL-FELでは、CAMACを利用した分散処理型の制御系を開発している。しかしながら、使用開始から10年以上が経過し、使用しているPCの保守がほぼ不可能となるなど、ハードウェア、ソフトウェアともに今後の性能の維持・向上に大きな制約を与えている。制御系の現在の状況と今後予定している制御系更新の概要について発表する予定である。
TP-47 J-PARC 60MeV陽子リニアックの制御システム 上窪田 紀彦 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 J-PARC加速器計画の入射器である陽子リニアックの60MeVまでは高エネ研で組み立てが進められ、すでにビーム試験が始まっている。EPICSツールキットを使用した制御システムが、高エネ研で開発されている。原研での本番で使用するシステム環境の構築、また新規デバイスのEPICSドライバ開発などを行い、60MeVでのビーム試験で本番に先行して試験し、評価・改良している。この報告では、60MeVでの制御の現状を報告し、原研の本番用システムへの展望を述べる。
TP-48 ネットワークベース波形モニタのEPICSドライバ開発と評価 高木誠 関東情報サービス株式会社 システム部 波形モニタ観測は、ビームモニタおよびRFシステムにとって必要なツールです。私たちは、低コストのネットワークベースオシロスコープとして、横川のWE7000に興味を持ちました。J-PARC用の制御システムをEPICSツールキットをベースに開発していくなかで、私たちは100MS/sオシロスコープ(WE7111)、100kS/sディジタイザ(WE7271)および10MHzの関数ジェネレーター(WE7121)の3つWE7000モジュールのためのEPICSドライバーを開発しました。この報告ではKEKビーム・テストにおけるドライバの開発状態、性能および評価を述べます。
TP-49 KEK-LINACにおけるVME計算機のシステム監視 工藤拓弥 三菱電機システムサービス(株) 加速器技術センター KEK-LINACではKEKBリングをはじめ複数のリングにビームを供給しており、安定したビーム供給が重要となっている。制御システムにおいても信頼性が高く安定した運用が不可欠である。現在、KEK-LINAC制御システムにおいて、タイミング、モニタ制御用に27台のVME計算機を使用している。信頼性向上のため2002年8月にリモート監視システムを導入し、機器の動作不良時の復旧及び不良原因の特定に効果を上げている。
TP-50 The operation logbook system at KEKB linac and ring 草野史郎 三菱電機システムサービス(株) 加速器技術センター 東部事業所 KEKB−LinacとRingの運転記録システムは、PC上のMS-SQL/MS-ACCESSで構成されたデータベースを利用している。運転記録システムは、1995年にLinacで導入、2002年に少しの改良でKEKB/PF-ARにも導入された。オペレータは、MS-ACCESSから加速器の情報などの記録を行なう。一部の情報は、制御システムを通して自動的に記録されている。本システムを導入したことで、Web-browserを使っていつでもどこからでも加速器の情報をリアルタイムに得ることができ、トラブル時に機器の担当者が部屋や自宅から指示や対処を行なうことが可能となった。
TP-51 テストリニアック安全管理システムの構築 白川 明広 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 テストリニアックは、低速陽電子実験に対して一次電子を供することを主な目的として運転中である。この放射線安全管理システムでは、プログラマブルコントローラ(PLC)に各種関係信号を集積し、そのPLC上にインターロックシーケンスを記述している。オペレータに対する表示系ソフトウェアは、COACKサーバー・クライアントシステムを利用して構築した。ハードウェア・ソフトウェア共に、運用開始以降約1年を経過した現在まで、特に問題無く運用中である。安全管理の概念やシーケンスの具体的な解説については他稿に譲り、今回はPLCを中心としたハードウェア構成並びに表示系ソフトウェアについて報告する。
TP-52 フェムト秒電子ライナック用高精度制御システムの開発 竹谷 考司 大阪大学 産業科学研究所 阪大産研においてS−バンドフォトカソードRF電子銃を用いたフェムト秒電子線とフェムト秒パルスラジオリシスを開発している。高精度フェムト秒電子線の発生とフェムト秒分解能パルスラジオリシスの実現の為に、PLCを用いたRF電子銃とライナックの制御システムの試作を行い、低ジッターの同期システムの開発を行った。
TP-53 阪大産研Lバンド電子ライナックのタイミングシステム 柏木 茂 大阪大学 産業科学研究所 量子ビーム発生科学研究分野 阪大産研Lバンド電子ライナックのタイミングシステムは、電子銃、マイクロ波、及びビーム利用実験用のレーザーシステムなどへ精度の高いタイミング信号を供給する必要がある。昨年度からの加速器システム全体の更新に伴い、タイミングシステムに関しても安定化及び高精度化を現在行っている。我々のタイミングシステムは、スタンダードなNIMモジュールやデジタルディレイを組み合わせて用いる事で、安価に自由度が高くかつ精度の良いシステムとなっている。また、RF発振器のタイムベースにルビジウム原子時計を用いることで、1.3GHzの基準RF信号を極めて安定に発生させシステム全体の安定化を行った。研究会では、このタイミングシステムの構成および性能評価測定の結果について説明する。
TP-54 FL-net上に構築されたPLCベースの加速器制御システム 加藤龍好 大阪大学 産業科学研究所 大阪大学産業科学研究所のLバンドライナックは、昨年度、クライストロン及びクライストロン・モジュレータ、サブハーモニックバンチャー用RF源、冷却水システム、電磁石電源など、加速器を安定化させるための機器更新が行なわれた。 それに伴い、プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)とパーソナル・コンピュータ(PC)を主体とした計算機制御システムが導入された。PLC−PLC間およびGateway ServerとなるPCとPLC間は、Factory Automation用に標準化されたFL-netと呼ばれるの通信ネットワークで接続され、このFL-net上のデータ領域(コモンメモリ)を共有することで相互に通信を行っている。本研究会では、この制御システムの概要と、PLC、FL-netを用いたときの性能評価と問題点について報告する。
TP-55 PFNインダクタンスの自動調整システム 横山 和枝 日本大学 電子線利用研究施設 LEBRAでは、PFNのインダクタンス調整をすべて遠隔操作できるようにしてある。そのため、パルス波形の平坦度が用意に調整できるという利点がある。そこで、最適な平坦度を出せる適切な関数を決めて、PFNのインダクタンス調整をパソコンで行うことにしたので、これについて報告する。
TP-56 J-PARC LINAC用高速インターロックシステムの設計 榊 泰直 日本原子力研究所 大強度陽子加速器施設開発センター 高エネルギー密度のビームを加速する上で、機器を保護するために超高速のビーム停止用インターロックシステムを構築する必要がある。このため、大強度陽子加速器では、超高速のビーム停止システムを設計しており、その開発の現状を報告する。
TP-57 大阪府立大学ライナックを用いたマイクロ-ミリ秒パルスラジオリシス装置の利用 小嶋 崇夫 大阪府立大学 先端科学研究所 大阪府立大学先端科学研究所では、18MeV電子ライナックの電子線パルスを用いたマイクロ−ミリ秒パルスラジオリシス装置が稼動している。本装置はかつてはライナックの主要な利用テーマであったが、ここ数年は利用希望者はいるが加速器の運転を含めた施設の維持を担当する教員の減少のためほとんど利用されていなかった。現在はパルス幅4μsの電子線パルスを励起源とし、キセノンランプを分析光とした350〜750nmの波長域での時間分解過渡吸収測定が可能である。今後は測定系を更新することにより測定可能な時間領域をナノ〜マイクロ秒に拡大し、測定対象となる化学反応の範囲を拡大していく予定である。
TP-58 フェムト秒電子パルスを用いた新しいパルスラジオリシスシステムの開発 友定寛 大阪大学 産業科学研究所  阪大産研では、レーザーフォトカソードRF電子銃を用いて高精度フェムト秒電子線パルスを開発している。その電子線パルスとフェムト秒レーザー光パルスを波形成形し、さらにレーザー光の入射角度とセルの厚さを最適化することにより、フェムト秒パルスラジオリシスの性能を向上させることを目的とした。そこでシュミレーションを行うことで、パラメーターを最適化し、フェムト秒分解能の新しいパルスラジオリシスシステムを構築した。
TP-59 逆コンプトン散乱による高フラックスX線発生のためのレーザーパルス蓄積法の開発 野村昌弘 高エネルギー加速器研究機構 加速器 ATF 逆コンプトン散乱により、高フラックスのX線を発生させる為には、大強度のレーザーと電子ビームとを衝突させる必要がある。レーザーパルス蓄積法(パルススタッキング)は、パルスレーザーからのレーザー光を外部共振器を用いて重ねあわせる事によりレーザー強度を高める方法である。この共振器内に貯えられたレーザーと電子ビームを衝突させる事により、通常の方法と比較して高いフラックスのX線を発生させることができる。今回の発表では、パルススタッキングの原理実証試験を行なったのでその結果及び今後の課題等について述べる。
TP-60 加速器を用いたナノテクノロジー研究のための単一分子伝導度測定用マイクロ波吸収測定法の開発 佐伯昭紀 大阪大学 産業科学研究所 非極性溶媒中に分散させた単一分子導性高分子の伝導度測定を行うために、X-bandRFを用いたマイクロ波吸収測定法を開発する予定である。良いSN比を得るため、ホモダイン方式の測定系を採用した。現在、システムの整備・装置の最適化を行いながら、まずは標準試料を用いて装置の性能評価を行う予定である。その後、ポリシランなどの共役系高分子を用いて、電子の伝導度測定を行う。
TP-61 ナノテクノロジー研究のためのISIRサブピコ秒パルスラジオリシスシステムの測定系の拡張と高精度化 古澤孝弘 大阪大学 産業科学研究所 新規導入したフェムト秒チタンサファイアレーザー・増幅器・OPAを用いて、赤外領域でのサブピコ秒パルスラジオリシス測定を行うシステムを構築する予定である。OPAからの光は、規定値1kHzで運転されるため、従来使用していたトリガー・同期回路では測定を行うことができない。そのため、新規システムに対応したものを新たに作成する必要がある。
TP-62 高エネルギー電子と結晶標的を用いた陽電子生成実験 古川 和朗 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 次世代の高エネルギー実験において陽電子の発生は発熱などの問題のために大きな課題となっている。これまでわれわれのグループではタングステン標的を用い、ガンマ線発生と引き続く電子陽電子対発生を同じ結晶内で起こす機構を試みてきて一定の成果を挙げてきた。さらに可能性を追求するために、軽い結晶標的でガンマ線を発生させ、そのうしろに配置した重い標的で電子陽電子対を発生させる機構の実験を始めた。結晶標的としてはシリコンやダイアモンドを用い、標的の 2 軸走査など実験装置も改善したので得られた結果について報告する。