加速器第五研究系
電子陽電子入射器
研究主幹挨拶
加速器第五研究系主幹/惠郷 博文 (Hiroyasu EGO)
役職:加速器研究施設 加速器第五研究系主幹 教授
KEK電子陽電子入射器は、高エネルギーの電子・陽電子ビームを作り出す世界最大級の加速装置で、全長 約700メートルに及びます。高周波加速管と呼ばれる高電界発生装置を220本以上使って電子・陽電子を直線上に加速するため、「線形加速器」や「LINAC(リニアック)」と呼ばれています。その使命は、最先端の素粒子実験用衝突円形加速器(SuperKEKB)や生命・物質の原子分子レベル観察用放射光工場加速器(PFリング、PF-AR)に年間約250日、24時間昼夜連続で安定に電子・陽電子ビームを供給することです。先端物理学、物性物理学、生命科学の研究躍進、新領域の探索になくてはならない高エネルギーの電子・陽電子ビーム。その速度はほぼ光の速さ、エネルギーは電子で7ギガ(70億)電子ボルト、陽電子は4ギガ(40億)電子ボルトに達します。その作り方は、物理学と工学を駆使した高度先端技術の結晶です。
・100億個を超える電子・陽電子を米粒ほどの大きさに詰め込んだ高密度ビーム
・100メガワット級の大電力高周波の生成
・1メートルあたり20メガボルトを超えるビーム加速電界
・ミクロンレベルの精密なビーム移動の制御
・宇宙レベルの真空状態
・1/50秒以下の高速可変ビーム生成
これらの研究成果を得るには、多くの研究者・技術者が世代を変えつつ40年以上にわたって携わり、ビーム強度やエネルギー増強、ビームサイズを小さく絞って高品質化する研究と技術開発を日夜積み重ねてきました。これからもKEK電子陽電子入射器は未踏の科学領域を開くビーム造りへ挑戦し続けます。
研究グループ