合同セッション (7月31日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
10:20-10:50 | |
WEOHP01 p.1 | 小規模加速器施設は持続可能か:京都大学エネルギー理工学研究所の例 How can a small-scale accelerator facility survive? Case study of the Institute of Advanced Energy, Kyoto University ○大垣 英明(京大エネ研) ○Hideaki Ohgaki (Kyoto University) 京都大学エネルギー理工学研究所では、1995年から自由電子レーザー研究を開始し、40 MeVリニアックの建設と中赤外域自由電子レーザーの発振、更には現在では全国共同利用・共同研究拠点活動の一装置として、電子ビーム及びFELのユーザーへの提供を行っている。また、最近では小型THz放射装置の開発も行っている。これらの活動は研究所の2研究室にて、比較的小規模の予算を毎年積み上げる形でハードウェアの整備を行ってきており、リニアック建設には4年、FEL発振までには凡そ10年の歳月を要した。この間、主に4.5セル熱陰極型高周波電子銃の性能向上が主な研究であった。また、レーザーコンプトン散乱ガンマ線の開発・利用や、慣性静電閉じ込め核融合装置の開発を行っており、量研(当時原子力機構)やポニー工業と研究開発チームを形成し、ガンマ線と中性子のハイブリッド型の核物質検知装置の開発を海上コンテナ向けに行った。 本会では、小規模グループによるこのような加速器の建設・開発に関して簡単に紹介し、今後の維持・発展についての展望や問題点を述べる。 |
10:50-11:20 | |
WEOHP02 | 次世代放射光施設計画の推進状況 Present status of the next generation 3GeV synchrotron radiation project ○内海 渉(量研) ○Wataru Utsumi (QST) 平成30年12月17日、文部科学大臣から、次世代放射光施設(軟X線向け高輝度3GeV級放射光源)の整備に着手するための予算が、平成31年度政府予算案として認められたこと、2023年度の施設の運転開始を目指して次世代放射光施設の整備を着実に進めていくこと、が発表された。これにより、長年にわたり議論されてきた3GeV放射光施設が、国のプロジェクトとして本格稼働しはじめることになった。 本施設の整備・運用は、「官民地域パートナーシップ」により実施されることになっており、国の実施主体としては量子科学技術研究開発機構が指名され、地域及び産業界のパートナーとして、一般財団法人光科学イノベーションセンターを代表機関とする、同財団、宮城県、仙台市、国立大学法人東北大学、及び一般社団法人東北経済連合会が選定されている。今後、両者が連携・協力して、プロジェクトを進めていくことになる。 施設の立地場所として東北大学新青葉山キャンパスが決定しており、本年3月より造成工事が開始されている。また、加速器の基本諸元については、平成28年6月に設置された国の委員会(文部科学省科学技術・学術審議会傘下の量子科学技術委員会量子ビーム利用推進小委員会)において大枠が示されており、それをもとにした設計が行われている。 本講演では、このプロジェクトの枠組みと進捗状況、今後の予定などについて報告する。 |
11:20-11:50 | |
WEOHP03 | エネルギーフロンティア加速器将来計画について ーILCとFCCを中心にしてー Future energy frontier accelerator projects –ILC and FCC- ○岡田 安弘(高エネ研) ○Yasuhiro Okada (KEK) 高エネルギー物理学はエネルギーフロンティア加速器実験の進展とともに発展してきた。1980年代以降、CERNでのW、Z粒子の発見から、LEPとSLCでのゲージ理論の検証、Fermilab TEVATRON実験でのトップクォークの発見、2012年CERNのLHC実験におけるヒッグス粒子の発見に至る実験的な成果が、現代の素粒子像を確立するのに中心的な役割を果たしてきたと言ってよい。LHCは、今後高ルミノシティ化が計画され、2030年代まで実験が行われる予定である。世界の高エネルギー物理学研究者間では、2030年代以降の次世代エネルギーフロンティア実験のためのコライダー加速器将来計画の検討が精力的に行われている。中でも、電子・陽電子リニアコライダーは、長年国際的な枠組みで研究・開発、設計作業が行われてきた。また、近年LHCトンネルよりずっと大きなトンネルに円形コライダーを建設する構想の検討も進んでいる。この講演では、特に、日本がホストして実現することを目指している国際リニアコライダー(ILC)計画と、欧州を中心に検討が進んでいるFuture Circular Collider (FCC) 計画の進捗状況を中心に、将来のエネルギーフロンティア加速器計画について説明する。 |
11:50-12:20 | |
WEOHP04 p.4 | ビーム光学総合計算コードSAD Computer program complex SAD for accelerator design and accelerator commissioning ○大西 幸喜(高エネルギー加速器研究機構) ○Yukiyoshi Ohnishi (KEK) ビーム物理学を基盤として、多様な粒子加速器のビーム現象を統一的に取り扱えるような汎用性を備えたビーム光学総合計算コードSADの紹介を行う。加速器設計から現実の加速器の制御・ビーム性能開発にいたる加速器研究の全過程において全てを実行可能な総合計算コードの開発と利用について議論する。 |
粒子源/加速構造① (7月31日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
15:40-16:00 | |
WEOH01 p.9 [Slides] | ウランビーム加速用薄い回転式炭素ディスクの開発 Development of the thin rotated Carbon-disk for Uranium acceleration ○長谷部 裕雄,奥野 広樹(理化学研究所),多々見 篤,立花 正満,村上 睦明(株式会社 カネカ),今尾 浩士,福西 暢尚,加瀬 昌之,上垣外 修一(理化学研究所) ○Hiroo Hasebe, Hiroki Okuno (RIKEN), Atushi Tatami, Masamitsu Tachibana, Mutsuaki Murakami (KANEKA), Hiroshi Imao, Nobuhisa Fukunishi, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito (RIKEN) High-density highly oriented Multilayer Graphene (MG) sheets supplied from Kaneka Corporation have been used as robust stripper disks for heavy ions acceleration at RIKEN RIBF since 2014. No significant damage in the disks by the ion beams irradiation has observed after a long-term uranium (U) or other ion beams operations[1]. Kaneka has fabricated thinner MG sheets in the range between 1-10 um in thickness and the sheets are available as a result of their research and development[2]. The performance and evaluation results of the rotated 1.5 micrometer in thickness MG as the first stripper disk for the U beam acceleration will be presented. References [1] H. Hasebe et al., to be published in Euro. Phys. J. [2] A. Tatami et al., Proceedings of 13th Annual Meeting of PASJ, Sapporo, Japan, 2017, pp. 159–161. |
16:00-16:20 | |
WEOH02 p.12 | グリッド付き熱カソードを用いた低エミッタンス電子銃システムの開発 Development of low-emittance gridded thermionic electron gun embedded in a single cavity with voltage-optimized electrodes ○安積 隆夫,稲垣 隆宏(理化学研究所 放射光科学研究センター),谷内 努(高輝度光科学研究センター),西森 信行(量子科学技術研究開発機構),馬込 保(高輝度光科学研究センター),田中 均(理化学研究所 放射光科学研究センター) ○Takao Asaka, Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Tsutomu Taniuchi (JASRI), Nobuyuki Nishimori (QST), Tamotsu Magome (JASRI), Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 次世代放射光施設のための入射器では、高安定でかつ再現性に優れた高品質ビーム(2 nmrad/0.3 nC)が要求される。また、長期間の加速器運転に対して、各構成機器には高い耐久性と信頼性が求められる。これを踏まえ、3GeV線形加速器の電子生成部では、グリッド付き熱カソードを備えた50kV電子銃と高周波空胴を組み合わせた、RF熱電子銃システムを新たに考案し、その実証試験を進めている。グリッド付き熱カソードにおいて、しばしば指摘されるグリッド近傍のエミッタンス悪化を回避するため、シミュレーションによる各電極形状・配置の最適化だけでなく、グリッド電圧・アノード電圧によるエミッタンスへの依存性を見出し、最適条件を得た。電子銃後の空間電荷効果によるエミッタンス増大は、アノード電極の直後にRF加速空胴を配置して500keVまで加速することで抑えられる。本論では、ビームシミュレーション結果を示すとともに、実証試験のために製作した各機器の諸特性、ならびにビーム試験結果についても報告する。 |
16:20-16:40 | |
WEOH03 p.17 | SPring-8-II高次モード減衰型高周波加速空胴プロトタイプの大電力試験 High-power tests of the prototype HOM-damped RF cavity for the SPring-8-II storage ring ○惠郷 博文(高エネ研),稲垣 隆宏,大島 隆(理研 播磨),重岡 伸之,菅野 東明,原 博史(三菱重工機械システム),三浦 禎雄(東北大学) ○Hiroyasu Ego (KEK), Takahiro Inagaki, Takashi Ohshima (RIKEN), Nobuyuki Shigeoka, Tomei Sugano, Hiroshi Hara (MHI-MS), Sadao Miura (Tohoku University) SPring-8-II次期計画蓄積リングにおけるバンチ間結合ビーム不安定性を抑制するため、インピーダンスの高い高次共振モード(HOM)を減衰させる高周波加速空胴を開発している。空胴のビーム加速共振モードは、TM020モードである(設計値:共振周波数508.58 MHz、シャントインピーダンス6.8 MΩ、無負荷Q値60,300)。2つのスロットがTM020モード軸対称磁場の節に沿って加速空胴内壁に設けられており、スロット内に高周波吸収体が収納される。これにより専用の導波管やパイプを用いることなく、コンパクトな構造でHOM減衰を達成させる。シミュレーションおよびローパワーモデルでの性能確認を終えて大電力運転を実現するためのプロトタイプ空胴を製作し、135kWの設計電力まで安定に運転することができた。本発表では、このプロトタイプ空胴の設計と試験性能について報告する。 |
16:40-17:00 | |
WEOH04 p.22 [Slides] | 改良4分割方式Xバンド高電界加速管の製作 Fabrication of Improved Quadrant-type X-band High-Gradient Accelerating Structures ○阿部 哲郎,高富 俊和,東 保男,肥後 壽泰,松本 修二(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Toshikazu Takatomi, Yasuo Higash, Toshiyasu Higo, Shuji Matsumoto (KEK) 常伝導の加速管では、輪切りに相当するディスクを数十枚積み重ねて接合する製作方法が一般的である。この場合、加速モードによる巨大な表面電流がディスク間の接合面(ビーム軸に垂直)を渡る。一方、4分割方式(または、2分割方式)で製作する加速管では、ビーム軸を含む平面が接合面となるため、当該表面電流が接合面を渡ることは基本的に無いという大きな特徴を持つ。また、加速管製作を4分割方式で行うことにより、大幅なコスト削減に繋がる可能性もある。我々は、2009年、18個セルから成る減衰型Xバンド加速管を4分割方式で製作し、高電界試験を行った。多くの場合、加速勾配 100 MV/m まではコンディショニング出来るのが通常であったが、その加速管では、60 MV/m より高い領域へ到達することが出来なかった。実験的にその原因を突き止めることは出来なかったが、その後のシミュレーション研究等に基づき、従来の4分割方式について考えられる全ての欠点を克服する「改良4分割方式」を考案した。そして、実際にその効果を調べるため、比較的試験遂行の容易な単セル型空洞を改良4分割方式で製作、2017年にKEK/Nextef 施設にて高電界試験を行った。その結果、目標の 100 MV/m を大きく上回り、120 MV/m を超える加速勾配まで達成することが出来た。今回、完全な原理実証のため、24個のセルから成る減衰型加速管を改良4分割方式で製作したので、その結果について報告する。 |
加速構造② (7月31日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
17:10-17:30 | |
WEOH05 p.27 [Slides] | Ninjaカソードを用いたニオブ加速空洞の縦型電解研磨(VEP)における研磨量均一化と高空洞加速性能の達成 Achievement of uniform removal and high cavity accelerating performance on niobium accelerating cavity vertical electropolishing with Ninja cathode ○仁井 啓介,チョウハン ビジェイ,井田 義明,山口 隆宣(マルイ鍍金工業(株)),早野 仁司,加藤 茂樹,文珠四郎 秀昭,佐伯 学行,沢辺 元明(KEK),井藤 隼人(総研大),及川 大基(宇都宮大学) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Yoshiaki Ida, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Hideaki Monjushiro, Takayuki Saeki, Motoaki Sawabe (KEK), Hayato Ito (SOKENDAI), Hiroki Oikawa (Utsunomiya Univ.) マルイ鍍金工業では、長年の電解研磨施工の経験を活かし、ニオブ加速空洞の 内面電解研磨技術の開発をスタートした。コスト面で優位であり、量産に 向いている縦型電解研磨(VEP)法に着目し、KEKと共同で技術、設備の開発を 行ってきた。独自技術として電極構造を工夫したNinjaカソードの開発と VEPパラメータの最適化により、VEPの大きな問題点であった研磨量の 不均一性を大きく改善することに成功した。そしてニオブ単セル空洞のVEPに おいて、横型電解研磨(HEP)と同程度の加速性能32MV/m(Q0=8.0E9) を達成した。またニオブ9セル空洞においてもNinjaカソード改善に加えて VEP中の気泡の流れを制御することにより研磨量分布と研磨状態を改善し、 HEPと同程度の加速性能28MV/m(Q0=6.7E9)を達成した。 本発表では、これらのVEP技術開発の成果と今後の取り組みについて報告する。 |
17:30-17:50 | |
WEOH06 p.32 [Slides] | 画像処理技術を応用した超伝導空洞内面検査システムの高度化 Improvement of inner surface inspection system for superconducting cavities applying image processing technique ○栗山 靖敏(京大複合研),岩下 芳久(京大),広田 克也(名大),早野 仁司(高エネ研),不破 康裕(原研) ○Yasutoshi Kuriyama (KURNS), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Katsuya Hirota (Nagoya Univ.), Hitoshi Hayano (KEK), Yasuhiro Fuwa (JAEA) 超伝導高周波加速空胴の高加速電界化の研究開発が世界の加速器研究機関で行われているが、空洞内表面に発生する欠陥が高加速電界化を阻害する要因となることが先行研究より明らかとなっている。そのため、超伝導空胴内表面の状態を光学的に可視化する「超伝導加速空胴の内面検査システム」の開発が行われ成果を挙げている。本研究では、近年発展が著しい画像処理技術を内面検査システムに適用し、欠陥発見手法の高度化を行った。 |
17:50-18:10 | |
WEOH07 p.36 [Slides] | KEKにおけるNbN多層薄膜超伝導体の下部臨界磁場測定 Lower critical field measurement of NbN multilayer thin film superconductor at KEK ○井藤 隼人(総合研究大学院大学),早野 仁司,佐伯 学行,久保 毅幸 ,片山 領(高エネルギー加速器研究機構),岩下 芳久,頓宮 拓(京都大学化学研究所),伊藤 亮平,永田 智啓(アルバック) ○Hayato Ito (SOKENDAI / KEK), Hitoshi Hayano, Takayuki Saeki, Takayuki Kubo, Ryo Katayama (KEK), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto ICR), Ryohei Ito, Tomohiro Nagata (ULVAC, Inc.) A multilayer thin film structure, in which a superconductor layer (S) such as NbN and an insulating layer (I) are coated on bulk Nb (S) (S-I-S structure), has been proposed to push up the available maximum surface magnetic field of SRF cavities. By optimizing the thickness of each layer, the cavity can withstand the higher magnetic fields. It means the cavity can achieve higher accelerating field than conventional SRF cavities. In order to determine the optimum thickness of each layer and to compare the measurement results with the theoretical prediction proposed by T. Kubo, we developed the Hc1 measurement system, which can apply the AC magnetic field locally without the influence of the sample edge effects, using the third harmonic response of the applied AC magnetic field at KEK. ULVAC made the NbN-SiO2 multilayer thin film samples of various NbN thicknesses. In this report, the measurement result of the bulk Nb sample and NbN-SiO2 multilayer thin film samples of different thickness of NbN layer will be discussed. |
ビーム診断・ビーム制御① (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
15:40-16:00 | |
WEOI01 p.40 | コヒーレントスミス=パーセル放射を用いた非破壊型バンチ長モニターの研究 Study of non-destructive bunch length monitor using coherent Smith-Purcell radiation ○山田 悠樹,日出 富士雄,柏木 茂,武藤 俊哉,三浦 禎雄,南部 健一,高橋 健,長澤 育郎,鹿又 健,齊藤 寛峻,森田 希望,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Hiroki Yamada, Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Toshiya Muto, Sadao Miura, Kenichi Nanbu, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Ken Kanomata, Hirotoshi Saitou, Nozomu Morita, Hiroyuki Hama (Research center of electron photon science, Tohoku University) スミス=パーセル放射は荷電粒子が金属周期構造の表面近くを通過するときに発生する放射現象である。この放射は観測角に応じた波長を持ち、使用する回折格子の周期長により観測する波長領域を選択できる。このとき荷電粒子のバンチ長が放射の波長よりも短い場合にはコヒーレント放射となる。この放射強度の角度分布からビームのスペクトル、即ちバンチの縦形状の情報が得られる。東北大学電子光理学センターの試験加速器t-ACTSでは100fs程度のバンチ生成が可能であり、これにより高品位なスミス=パーセル放射が得られる。今回の発表ではスミス=パーセル放射の観測に向けた準備を主に報告する。 |
16:00-16:20 | |
WEOI02 p.43 [Slides] | コヒーレント遷移放射によるテラヘルツ電場の時間・空間分布の測定 Spatio-temporal measurement of terahertz electric field from coherent transition radiation ○菅 晃一,楊 金峰(阪大産研),神戸 正雄(阪大産研、阪市大院工),吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang (ISIR, Osaka Univ.), Masao Gohdo (ISIR, Osaka Univ., Graduate School of Engineering, Osaka City University), Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、レーザーフォトカソード RF 電子銃ライナックを導入し、高時間分解能パルスラジオリシスの開発を行っている。パルスラジオリシスの時間分解能を向上するためには超短パルス電子ビームの発生・計測が不可欠であり、これまでに干渉計を用いて電子ビームのパルス幅診断を行ってきた。 本発表では、光伝導アンテナを用いてコヒーレント遷移放射を測定した結果について報告する。光伝導アンテナを駆動するレーザーを遅延し、アンテナを移動させることにより、コヒーレント遷移放射により得られるテラヘルツ電場の時間・空間分布の測定を行った。当日は、測定結果の解析についても報告する。 |
16:20-16:40 | |
WEOI03 p.47 [Slides] | イオン源のAI制御に向けたビーム診断器の開発 Development of beam monitor for AI control of ion source ○森田 泰之,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,畑中 吉治,中尾 正夫,安田 裕介,鎌倉 恵太,原 周平,Koay HuiWen,武田 佳次朗,原 隆文,大本 恭平(RCNP) ○Yasuyuki Morita, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Masao Nakao, Yusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Huiwen Koay, Keijirou Takeda, Takafumi Hara, Kyouhei Omoto (RCNP) 加速器は素粒子・原子核分野の発展には重要な装置であり、近年は医療や産業など、様々な分野への応用が期待されている。実験精度向上や、医療・産業分野で加速器を広く普及させていくためにはビームの大強度化・高品質化が必須である。そこで、機械学習を用いたビーム調整手法の開発を行い、ビーム調整の迅速化・高度化を目指している。機械学習を行うためには、条件を詳しく知る必要があり、診断器としてエミッタンスモニターやビームプロファイルモニター、環境センサーの開発が必要不可欠である。大阪大学核物理研究センター(RCNP)では現在5台のイオン源が運転しており、10 π mm mradから200 π mm mradまで幅広いエミッタンスのビームが生成されている。そのため、オーダーで異なるエミッタンスを持つ全てのビームをリアルタイムで測定できる必要がある。現在、RCNPではペッパーポット型エミッタンスモニター(PPEM)が毎秒4回の測定に成功しており、機械学習による調整の迅速化を実現するために十分な性能を実現している。しかし、この装置はエミッタンスの大きなビームを想定して設計されているため、エミッタンスの小さなビームの測定が困難であるという問題がある。これはカメラの解像度やペッパーポットマスクのピッチ等が原因である。そこで今回、低エミッタンスビームの測定に必要な条件を精査し、新型のPPEMの設計を行った。本発表では新たなPPEMについてまとめ、発表する。 |
16:40-17:00 | |
WEOI04 p.51 [Slides] | カーボン素材を用いた大強度3 MeV H-ビーム用バンチシェイプモニター Bunch shape monitor for the high-intensity H- beam with 3 MeV using the carbon material ○北村 遼(JAEA),二ツ川 健太(KEK),林 直樹,平野 耕一郎(JAEA),小坂 知史(Nippon Advanced Technology Co., Ltd.),宮尾 智章(KEK),守屋 克洋(JAEA),根本 康雄(Nippon Advanced Technology Co., Ltd.),小栗 英知(JAEA) ○Ryo Kitamura (JAEA), Kenta Futatsukawa (KEK), Naoki Hayashi, Kouichirou Hirano (JAEA), Satoshi Kosaka (Nippon Advanced Technology Co., Ltd.), Tomoaki Miyao (KEK), Katsuhiro Moriya (JAEA), Yasuo Nemoto (Nippon Advanced Technology Co., Ltd.), Hidetomo Oguri (JAEA) The longitudinal measurement and tuning at the beam transport after the RFQ are important to reduce the beam loss and the emittance growth in the J-PARC linac, when the high-intensity H- beam of more than 60 mA is supplied. The new bunch shape monitor (BSM) using the carbon-nanotube (CNT) wire is necessary to measure the bunch shape of the high-intensity H- beam with 3 MeV, because the CNT wire has a high-temperature tolerance and a small energy deposit due to the low density. However, when the high voltage was applied to the CNT wire to extract the secondary electron derived from the H- beam, the discharge prevents the power supply from applying the voltage. Therefore, the discharge should be suppressed to measure the bunch shape with stability. In order to suppress the discharge, the vacuum chamber was evacuated to around 10-7 Pa and the sources of the creeping discharge were removed. Considering the characteristics of the CNT as the emitter, when the length of the CNT wire was short, the leak current was reduced and the high voltage of -10 kV was applied to the CNT wire. The current status and future prospects of the BSM using the CNT wire are reported in this presentation. |
ビーム診断・ビーム制御② (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
17:10-17:30 | |
WEOI05 p.55 [Slides] | ミューオン⾼周波加速のための⾼時間分解能バンチ⻑測定 Bunch size measurement with high time resolution for RF accelerated muon beam ○須江 祐貴(名大理),飯嶋 徹(名大KMI,名大理),居波 賢二,四塚 麻衣(名大理),飯沼 裕美,中沢 雄河(茨大理工),大谷 将士,河村 成肇,下村 浩一郎,二ツ川 健太,三部 勉,三宅 康博,山崎 高幸(高エ研),北村 遼,近藤 恭弘,森下 卓俊,長谷川 和男(原研),石田 勝彦(理研),牛沢 昂大(総研大),竹内 佑甫(九大理),齊藤 直人(J-PARCセ),安田 浩昌(東大理) ○Yuki Sue (Grad. Sch. of Sci., Nagoya Univ.), Toru Iijima (KMI, Nagoya Univ., Grad. Sch. of Sci., Nagoya Univ.), Kenji Inami, Mai Yotsuzuka (Grad. Sch. of Sci., Nagoya Univ.), Hiromi Iinuma, Yuga Nakazawa (Grad. Sch. of Sci. & Eng., Ibaraki Univ.), Masashi Otani, Naritoshi Kawamura, Koichiro Shimomura, Kenta Futatsukawa, Tsutomu Mibe, Yasuhiro Miyake, Takayuki Yamazaki (KEK), Ryo Kitamura, Yasuhiro Kondo, Takatoshi Morishita, Kazuo Hasegawa (JAEA), Katsuhiko Ishida (RIKEN), Takahiro Ushizawa (SOKENDAI), Yusuke Takeuchi (Grad. Sch. of Sci., Kyushu Univ.), Naohito Saito (J-PARC), Hiroyasu Yasura (Grad. Sch. of Sci., Univ. of Tokyo) 本講演ではミューオンの異常磁気能率(g-2)精密測定に向けた加速ミューオンビームのバンチ幅測定試験の結果について報告する。ミューオンの基本的な物理量であるg-2 の実験値は素粒⼦標準理論の予測から3 σ以上の乖離が⾒えており、精密測定による検証が急務となっている。現在準備中のJ-PARC E34 g-2/EDM実験では、線形加速器により212 MeVの低エミッタンスなミューオンビームを⽣成することで主要な系統誤差を削減し⾼精度の測定を⽬指す。2017年にはRadio-Frequency Quadrupole (RFQ)を⽤いて89 keVまでの⾼周波加速に成功し、横⽅向のビームプロファイルについても測定を⾏ったが、バンチ⻑の測定⼿法については未確⽴であった。バンチ⻑の測定は最終的なエミッタンス増⼤を抑制するために必要であり、数⼗psの時間分解能が要求される。そこで、Micro-Channel-Plate検出器を⽤いた⾼時間分解能の縦⽅向ビームプロファイルモニターを開発し、MCP表⾯へのミューオンの到達時間からバンチ⻑の測定を⾏う。開発中の本モニターを⽤いたバンチ幅測定試験では、RFQによって89 keVまで加速した負ミューオニウムイオン (μ+e-e-)のバンチ⻑の測定を試み、σ=0.54±0.13 nsのバンチ幅を得た。 |
17:30-17:50 | |
WEOI06 p.61 | J-PARCハドロンHigh-pビームライン分岐部におけるビームロスの評価 Evaluation of beam loss at a branching point of the J-PARC Hadron High-P beamline ○小松 雄哉,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,新垣 良次,家入 正治,加藤 洋二,木村 琢郎,倉崎 るり,村杉 茂,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,冨澤 正人,広瀬 恵理奈,皆川 道文,森野 雄平,武藤 亮太郎,岡村 勝也,小沢 恭一郎,山野井 豊,柳岡 栄一,渡邉 丈晃(高エネルギー加速器研究機構) ○Yusuke Komatsu, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Yoshitsugu Arakaki, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Takuro Kimura, Ruri Kurasaki, Shigeru Murasugi, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Masahito Tomizawa, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Ryotaro Muto, Katsuya Okamura, Kyoichiro Ozawa, Yutaka Yamanoi, Eiichi Yanaoka, Hiroaki Watanabe (High Energy Accelerator Research Organization) J-PARCハドロン High-pビームラインでは~10^13/sの大強度一次陽子ビームの0.1%を分岐し、輸送する。本ビームラインは現在建設中であり、2020年の稼働を目指している。 一次陽子ビームの分岐にはLambertson電磁石と呼ばれる磁石が用いられる。 この磁石は磁場のある領域と無い領域を磁極によって仕切り、ビームの垂直方向の端のみを磁場のある領域に通すことで 一部を曲げて分岐させる。このとき、ビームが磁場の境界の磁極に当たりロスが生じることは避けられず、安全の見地からロス量にはビーム停止の閾値が 設けられる。従って、本格的な運転開始の前にロス量を測定し、どの程度か知っておく必要がある。 また、一次ビームの垂直方向3σ以降の領域を磁場のある領域に通して使用するため、ビームの位置と幅の安定性が High-pビームラインで輸送されるビーム量とLambertson電磁石でのロス量に非常に大きく影響する。 2019年2月から4月に実施されたJ-PARCのビームタイムで、Lambertson電磁石近傍に検出器を設置しビームロスを測定した。 具体的には、空気を封入した比例計数管、Arを封入した感度の高い(空気に比べて最大数万倍)比例計数管、 3個のシンチレータのコインシデンスによるカウンターを設置し、ロスによる二次粒子のビーム位置と幅依存性を測定した。 本講演では測定結果を報告し、安定したビーム供給を見据えた展望について述べる。 |
17:50-18:10 | |
WEOI07 p.66 | マルチバンドRFKO電界による遅いビーム取り出しの原理実証実験 Proof-of-principle experiment of slow beam extraction from a synchrotron using a radio frequency knockout system with a broadband ○山口 輝人,奥川 雄太朗,塩川 智也(日大生産工),栗田 哲郎(若狭湾エネルギー研究センター),中西 哲也(日大生産工) ○Teruto Yamaguchi, Yutaro Okugawa, Tomoya Shiokawa (College of Industrial Technology, Nihon University), Kurita Tetsuro (WERC), Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University) 高周波ノックアウト(RFKO)法によるシンクロトロンからの遅いビーム取出しにおいて、周回ビームをバンチングしなくても一様なスピルが得られる取出し法について研究している。この方法では、ビーム出射のon/off制御は基本的にはRFKO電極のon/off制御だけなので高速の制御が期待できる。RFKOの高周波電界としてベータトロン共鳴周波数帯を多く含む広い周波数帯のマルチバンドカラードノイズ(CN)を用いると、一様なスピルが得られることは既にシミュレーションで確認している。今回、若狭湾エネルギー研究センター(WERC)のシンクロトロンを使ってこの方式の原理実証試験を行った。そのために周波数帯域1~14MHzのRFKO装置のプロトタイプ機を試作した。RFKO装置は、CN発生源とこの周波数帯で一定の電圧を電極に印加するためのAPN(All Pass Network)、CN発生源とAPNのインピーダンス整合をとるための広帯域IT(Impedance Transformer)、40W広帯域アンプからなる。この装置をWERCに接続してビーム実験を行った。出射粒子は炭素55MeV/uである。CNのバンドの数を1から10まで変えて実験を行った結果、スピル強度のバラつきはシミュレーションで予想したようにバンド数の増加とともに明らかに小さくなった。スピル変動のrms値は1バンドに対し10バンドの結果は半分に減少した。バンチングを行った場合は、バンド数1と10でスピルの一様性は同程度で、バンチングしない10バンドの結果と同程度であった。 |
特別講演 (7月31日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
18:30-20:00 | |
WEOHS01 | 歴史的な物理実験機器と元素周期表から学ぶ物理・化学教育の歴史 TestPhysics and Chemistry Education from the Perspective of Technological History: Physical Experimental Instrument and Periodic Chart of the Atoms 90 Years Ago ○塩瀬 隆之(京都大学総合博物館) ○Takayuki Shiose (The Kyoto University Museum) ドローン、人工知能、ロボットなど、最先端科学技術が次々に開発されて、華々しい未来を予感させるのと同時に、仕事が奪われてしまうかもしれないなど不安も同時に生まれます。しかし、自動機械やロボットにとってかわる仕事がある一方で、また新たな仕事が生み出され、結果として人間の役割は異なるものへと変化していくだけかもしれません。 またそれらの最先端技術も、ただ単に性能や機能がよいというだけで、社会において使われているわけではありません。その時代時代ごとに社会の要請も変化しているためで、その機能への期待と不確実性に対する不安との衝突を乗り越えることができなければ、たとえ課題解決が期待されていたとしても、その技術が使われることなく時間が過ぎていく間にその存在すら忘れられてしまうことも少なくありません。このように技術が社会で受け入れられることを「技術受容」と呼びます。そして、そのような技術受容の過程は、歴史的な技術史資料に着目することで、どのような経緯をたどってきたのかを推し量ることができます。 京都大学には、第三高等学校や京都帝国大学由来の技術史資料が受け継がれており、中でも明治から大正、昭和初期に盛んであった物理教育や化学教育にまつわる実験機器や90年前に発行された元素周期表などが受け継がれており、当時の科学技術教育の一端をうかがい知ることができます。本講演では、歴史的な技術史資料に触れながら、科学的なモノの見方を養うことの現代的な意味と歴史的意義について概説します。 |
電磁石と電源① (8月1日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
9:30 -9:50 | |
THOH01 p.70 | 高電圧大電流静電誘導型サイリスタの開発 A development of a high voltage, large current static induction thyristor. ○徳地 明((株)パルスパワー技術研究所),矢野 浩司,山本 真幸(山梨大学),清水 尚博(名古屋大学),鎌田 浩一(フェニテックセミコンダクター(株)) ○Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Lab.), Koji Yano, Masayuki Yamamoto (university of yamanashi), Naohiro Shimizu (nagoya university), Koichi Kamada (PHENITEC SEMICONDUCTOR) 加速器システムの中には、多数の高電圧パルス電源が使用されているが、高電圧(数10 kV以上)、大電流(数kA以上)、高速立上り(数10 ns以下)と非常に厳しい使用条件の為に、これまで、サイラトロン等の放電管を使用するしか方法がなかった。しかし、これらの放電管は寿命が短い、繰り返し周波数が低い、付帯電源が必要、安定性が悪いなど、多くの欠点があり、加速器の性能を著しく低下させていた。 近年、半導体デバイスの急速な発展などにより、素子の電圧、電流は年々上昇し、多くの高電圧パルス電源は半導体で実現可能となってきた。 しかし、まだ、市販の半導体デバイスでは十分な電圧・電流を得られるもの少なく、我々は、8 kVの耐圧を有し、5 kAのパルス電流が流せる高速ターンオンデバイスの開発を進めてきたが、この度、一定の成果が得られたのでこの開発進捗結果を報告する。 |
9:50-10:10 | |
THOH02 p.75 | パワー半導体を用いたキッカー用パルス電源とイグナイトロン代替スイッチの開発 Development of pulse power supply for kicker using power semiconductor and alternative switch for ignitron ○高柳 智弘(J-PARC/JAEA) ○Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA) 大電力高速動作スイッチとして使用される放電型のサイラトロンやイグナイトロンにおいて、より安定した動作を可能とする代替用半導体スイッチの開発を進めている。キッカー電源で使用されるサイラトロンにおいては、SiC-MOSFETを用いたLTD回路にてスイッチを構築し、更に、PFN回路に代わるコンデンサーをそのLTD回路に搭載することで、スイッチと電源の機能を兼ね備えたパルス電源として、800 V / 2 kA出力の放射対称型モジュール基板を開発した。また、高電圧出力用に積み重ねたモジュール基板間の電力伝送構造を同軸リング型とすることで、更なる低インダクタンス化を実現した。J-PARC RCSキッカーシステムに必要な立ち上がり250 ns以下、フラットトップ1.0 us以上を、20 kV / 2 kA(最終仕様は40 kV / 2 kA)のパルス出力で評価した結果を、同軸リング型伝送回路の効果と合わせて報告する。イグナイトロンは、大電力クライストロンのクローバースイッチとして使用されているが、世界的に使用が制限される水銀を用いている為、代替用半導体スイッチの開発が急務である。J-PARC LINACのクライストロン用クローバースイッチにおいては、120 kV / 40 kAを50 usでの動作出力が必要である。MOSゲートサイリスタを用いて3 kV / 40 kAのオーバル型モジュール基板を試作した。予備試験結果について報告する。 |
10:10-10:30 | |
THOH03 p.80 | LHC高輝度アップグレード用超伝導磁石の開発(6) - 2mモデル磁石開発から実機磁石製造へ - Development of superconducting magnets for LHC luminosity upgrade (6) – Development of 2 m model magnets to construction of series production magnets – ○菅野 未知央,中本 建志,鈴木 研人,有本 靖,飯田 真久,池田 博,池本 由希子,植木 竜一,大畠 洋克,大内 徳人,岡田 尚起,岡田 竜太郎,荻津 透,川又 弘史,木村 誠宏,佐々木 憲一,高橋 直人,田中 賢一,寺島 明男,東 憲男(高エネルギー加速器研究機構),Musso Andrea,Todesco Ezio(CERN) ○Michinaka Sugano, Tatsushi Nakamoto, Kento Suzuki, Yasushi Arimoto, Masahisa Iida, Hiroshi Ikeda, Yukiko Ikemoto, Ryuichi Ueki, Hirokatsu Ohata, Norihito Ouchi, Naoki Okada, Ryutaro Okada, Toru Ogitsu, Hiroshi Kawamata, Nobuhiro Kimura, Kenichi Sasaki, Naoto Takahashi, Kenichi Takana, Akio Terashima, Norio Higashi (KEK), Andrea Musso, Ezio Todesco (CERN) CERN-LHC加速器では、積分ルミノシティを現行LHCの10倍以上である3000 fb-1まで向上させることを目指した高輝度アップグレード計画(HL-LHC)が進行中である。目標実現には衝突点近傍の磁石システムの性能向上が不可欠であり、KEKはこの中でビーム分離超伝導双極磁石(D1磁石)の開発を担当している。D1磁石の重要な要求性能は以下の通りである。(1) 大コイル口径:150 mm、(2) 磁場長:35 T·m(主双極磁場5.6 T, 温度1.9 K, 運転電流12 kA)、(3) 耐放射線性:想定吸収線量25 MGy、(4) 除熱性能:磁石全体入熱135 W, コイルへのピーク入熱2 mW/cm3。技術的課題として、大口径に起因する組み立て、冷却、励磁過程での大きなコイル寸法変化の精密予測、顕著な鉄ヨークの飽和を考慮した磁場設計、耐放射線性などが挙げられる。 KEKは2011年にD1磁石の設計研究を開始し、その後、設計や組み立て工程の妥当性検証を目的とした2 mモデル磁石の製作および磁石試験をKEK所内で繰り返し行ってきた。2018年にKEKがHL-LHC計画に正式参加することが決定されたことを受け、日本の貢献として7 m長のプロトタイプ磁石1台と実機磁石6台を製造することが決まった。 当日の講演では、モデル磁石開発状況の概要と実機磁石製造に向けた取り組みについて説明する。 |
10:30-10:50 | |
THOH04 [Slides] | LHC高輝度アップグレード用超伝導磁石の開発(7)-2mモデル磁石性能評価試験結果- Development of superconducting magnets for LHC luminosity upgrade (7) -Test result of 2m model magnet- ○鈴木 研人,飯田 真久,池田 博,池本 由希子,大畠 洋克,岡田 尚起,岡田 竜太郎,荻津 透,川又 弘史,木村 誠宏,佐々木 憲一,菅野 未知央,高橋 直人,田中 賢一,寺島 昭男,中本 建志,東 憲男(高エネ研),Musso Andrea,Todesco Ezio(CERN) ○Kento Suzuki, Masahisa Iida, Hiroshi Ikeda, Yukiko Ikemoto, Hirokatsu Ohata, Naoki Okada, Ryutaro Okada, Toru Ogitsu, Hiroshi Kawamata, Nobuhiro Kimura, Ken-ichi Sasaki, Michinaka Sugano, Naoto Takahashi, Kenichi Tanaka, Akito Terashima, Tatsushi Nakamoto, Norio Higashi (KEK), Andrea Musso, Ezio Todesco (CERN) KEKではCERNとの国際協力の枠組みの元、高輝度LHCアップグレード(HL-LHC)のためのビーム分離超伝導双極磁石(D1磁石)の開発に取り組んでおり、2019年からはメーカーと協力しての実証機・実機製造が計画されている。これまでKEKでは1号機、1号改造機、そして2号機の計3台のショートスケール(2m)モデル磁石の製造並びに性能評価を所内にて行ってきた。1号機の励磁試験では、クエンチ保護ヒーターの性能不足、そしてコイルに与える予備応力の不足に伴うクエンチトレーニング性能不足といった問題点が明らかとなった。これを受け、1号改造機では応急処置として、シムを用いたコイル直線部の予備応力増強を図り、その結果良好なクエンチトレニーング性能を得ることを確認できた。2号機では新規クエンチ保護ヒーターの設計や、1号改造機の経験を踏まえてさらなる予備応力の増強を図るための新規コイル断面設計等を行い、磁石製造を進めてきた。 本講演ではこの2号機の励磁試験の最新結果を報告するとともに、今夏に行われる最後のモデル磁石である3号機の励磁試験に向けた課題、そして実機・実証機設計の展望を発表する。 |
電磁石と電源② (8月1日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
11:10-11:30 | |
THOH05 p.85 [Slides] | J-PARC MRアップグレードのための速い取り出し用新高磁場セプタム電磁石 The new high-field septum magnet for upgrading of fast extraction in MR J-PARC ○芝田 達伸,石井 恒次,松本 教之,杉本 拓也,松本 浩(高エネ研),Fan Kuanjun(HUST) ○Tatsunobu Shibata, Koji Ishii, Noriyuki Matsumoto, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto (KEK), Kuanjun Fan (HUST) J-PARC MRでは速い取り出しのビームパワーを750 kWに増強するためアップグレードが進行中である。750 kWへの増強のためにはビーム運転周期を現在の2.48秒から1.3秒に短縮する。MRの入出射用電磁石システムも1.3秒周期への対応のためアップグレードを行っている。速い取り出し用高磁場セプタム電磁石は4台あり、この内3台について新しいセプタム電磁石に交換する。新しいセプタム電磁石には高繰り返しや大強度ビームが引き起こす問題に対処するためにさまざまな工夫が加えられた。磁極内用ビームダクトは渦電流を抑止するため現状のSUS材からセラミックス材に変更した。周回ビームダクトには大強度ビームのビームロスによる放射化を軽減するため純チタンダクトを採用した。3台の新高磁場セプタム電磁石は2015年に製作され、2018年の秋にその内の1台について通電試験を行った。試験項目は高繰り返し運転、磁極内磁場測定、周回ラインへの漏れ磁場測定である. 高繰り返し試験の結果、1.16秒周期で問題なく運転できた。磁極内磁場測定の結果、十分な磁場と積分磁場を確認したが完全対称であるはずのニュートリノ取り出し側とビームアボート取り出し側の磁場に0.4 %の差が有る事が判明した。漏れ磁場については設計通りの小さな磁場を確認した。但し磁極端部での漏れ磁場の更なる軽減のため磁気遮蔽の追加を検討している。本講演では高磁場セプタム電磁石の試験結果と課題について報告する。 |
11:30-11:50 | |
THOH06 p.90 [Slides] | J-PARC 3-50BT B15D電磁石の層間短絡 Layer short on B15D magnet in J-PARC 3-50BT line ○白形 政司,高野 淳平,森田 裕一,下川 哲司,三浦 一喜,吉井 正人,外山 毅,岡村 勝也,仁木 和昭,石井 恒次,芝田 達伸,五十嵐 進,佐藤 洋一,山本 昇,上窪田 紀彦,山田 秀衛,木村 琢郎,佐藤 健一,冨澤 正人,武藤 亮太郎,久保田 親,松本 教之(高エ研) ○Masashi Shirakata, Junpei Takano, Yuichi Morita, Tetsushi Shimogawa, Kazuki Miura, Masahito Yoshii, Takeshi Toyama, Katsuya Okamura, Kazuaki Niki, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Noboru Yamamoto, Norihiko Kamikubota, Shuei Yamada, Takuro Kimura, Kenichi Sato, Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Chikashi Kubota, Noriyuki Matsumoto (KEK/J-PARC) 2019年3月、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCの大小二つのシンクロトロン間でビームを輸送する3-50BTラインにおいて、突如軌道がずれ始める現象が観測された。軌道の動きからBTライン上流部にあるB15D偏向電磁石の曲げ角が減少している可能性が高いことが判明したが、電源電流のモニター値に異常が無いにもかかわらずB15D電磁石の磁場が0.2%程度減少していると考えられ、電磁石本体の層間短絡が疑われた。ビーム軌道の記録からこの変化が瞬間的なものではなく数分間にわたってゆっくりと起こっていた事実も、層間短絡を示唆している。ここでは軌道変位の原因究明のために電源および電磁石に対して実施した各種調査とその結果、応急処置の内容、ビーム運転を継続するために採った各種安全対策などを報告する。電磁石の故障において外観に異常が見られない場合、不具合の正確な場所と原因を特定するのは困難であるが、コイルの口出し部が何カ所もあるようなタイプのものでは、口出し部単位で電圧等の測定が出来るため、不具合箇所の切り分けが可能である。結果的には、応急処置を行ってもB15D電磁石は三週間の延命にとどまったが、処置後の運転状況について、モニタリングと経過を紹介する。 |
11:50-12:10 | |
THOH07 p.95 | g-2/EDM精密計測用ミューオン蓄積超電導磁石の磁場調整方針 Magnetic field shimming strategy of muon storage magnet for g-2/EDM precision measurement ○阿部 充志,荻津 透,齊藤 直人,中山 久義(高エネ研),飯沼 裕美(茨城大),村田 幸弘,古閑 康則(日立製作所) ○Mitsushi Abe, Toru Ogitsu, Naohito Saito, Hisayoshi Nakayama (KEK), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Yukihiro Murata, Yasunori Koga (Hitachi, Ltd.) ミューオンの磁気・電気モーメント高精度測定に用いる磁石には、ミューオンを周回・蓄積するシリンダー状の領域(断面3 cm幅、10 cm高で直径66.6 cm)に、高磁場(3.0 T)で超高均一磁場(磁場振幅±0.1 ppm、均一度0.2 ppm)を必要とする。全身診断用MRI磁石に比べ約一桁良い均一度である。この実現のためにシミング(磁場調整)の方針を、磁石設計、受動的シミング(鉄片利用)、能動シミング(シムコイル群)、残差磁場、の観点から検討している。 磁石設計では0.13 ppmの実力をもつ起磁力配置とした。製作・設置後に予想される誤差磁場に対しては、主に2段階(粗、詳細)に分けた受動的シミングを利用する。粗シミングでは、多くの鉄量を使って、おおまかな調整を行い、詳細シミングでは少量の鉄片で微細な調整を行う。前者では磁石の励消磁を行うが、後者は励消磁なしで行う予定である。これで目標とする均一度は実現出来ると予想するが、実験開始後でも室温変化などに起因する誤差磁場などを能動的に補正するために、2種類のシムコイル(軸に平行な方向と軸に垂直な方向の補正磁場を発生)も用意する。 |
12:10-12:30 | |
THOH08 [Slides] | J-PARC ミューオンg-2/EDM実験のための高度のX-Y結合を生成するビーム輸送ライン設計 Beam Transport Design for a Strong X-Y coupled Muon Beam for the J-PARC g-2/EDM Experiment ○飯沼 裕美(茨城大理工学研究科),中山 久義,大澤 哲,古川 和朗(高エネ研),リーマン ムハマド アブドゥル(総研大) ○Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Hisayoshi Nakayama, Satoshi Ohsawa, Kazurou Furukawa (KEK), Muhammad Abdul Rehman (SOUKENDAI) 標準理論を越える物理探索を目指してミューオンスピン歳差運動をプローブにした新しい実験準備が進行中である(J-PARC E34)。この実験の特徴は、高精度に磁場調整された小型ソレノイド磁石に3次元らせん軌道でビーム入射する新しい技術を導入している点である。ミューオンビームの高い入射効率の実現のカギは、軸対称なソレノイド磁場に対応した入射ビームの成形であり、具体的には水平方向・鉛直方向のビーム運動に適切な相関(高度なX-Y結合)を持たせることである。本発表では、入射ビームに適切なX-Y結合を与えるための輸送ラインの設計概念を議論し、さらに電子銃をもちいたテストベンチに設置する輸送ラインの磁石設計の具体例を紹介する。 |
ハドロン加速器① (8月1日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
15:40-16:00 | |
THOH09 p.101 [Slides] | J-PARC Main Ring 大強度運転時における磁場リップルの影響 Effects of rippling magnetic field on the high power operation of the J-PARC Main Ring ○栗本 佳典(高エネ研) ○Yoshinori Kurimoto (KEK) 陽子シンクロトロンJ-PARC Main Ring (MR) の速い取り出し運転における現行最大ビ ーム強度は500 kWであり、バンチ内陽子数は3.2×1013に相当する。今後、J-PARC MRでは電磁石電源を更新し、取り出し周期を縮めることで700 kW超目指すが、その後、バンチ内陽子数も増やし1.3 MWを達成することを目標にしている。そのため、ビーム損失を想定量(コリメータ-の容量)以下にとどめることは必須であり、その原因の詳細な理解が重要である。電磁石電源のリップルが遅い取り出し時のビーム平坦度の悪化に寄与していることは実験的にも示されているが、陽子数がより多い速い取り出し時のビーム損失への寄与を見積ることも有用である。 そこで、GPUでの並列計算に対応できる空間電荷効果を含んだビームダイナミクスシミュレーションコードを新たに開発し、実際に測定された電磁石電源のリップルをそれに含むことで、よりビーム損失の大きい入射エネルギー(3 GeV)のエミッタンス増大を見積もった。また、よりリップルの低い新電源(2021年導入予定)の試験データを用いた電源の更新による性能変化、および、現在ビーム試験を進めているリアルタイム光学補正システムによる改善の程度についても見積もる。本講演では、それらの検討結果および開発したGPUコードの詳細を紹介する。 |
16:00-16:20 | |
THOH10 p.107 [Slides] | Cavity and optics design of the accelerator for the JAEA-ADS project ○Bruce Yee-rendon, Jun Tamura, Yasuhiro Kondo, Kazuo Hasegawa, Fujio Maekawa, Shinichiro Meigo, Hidetomo Oguri (JAEA) The Accelerator Driven Subcritical System (ADS) becomes a prominent candidate for the transmutation of nuclear waste. To this end, the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) is proposing the JAEA-ADS project which consists in a CW superconducting proton linac coupling with a subcritical core reactor, the accelerator will operate with a beam current of 20 mA and a final energy of 1.5 GeV. The first part of the work is focus in the design of five superconducting cavity models to accelerate the beam from 2 MeV to 1.5 GeV and the last one is dedicating to beam optic studies, with emphasis on the control of the emittance growth to reduce the beam halos and mitigate the beam loss, which is one of the main challenges for the successful operation of the ADS projects. |
16:20-16:40 | |
THOH11 | IFMIF/EVEDA原型加速器(LIPAc)のRFQビームコミッショニングの現状 Present status of the RFQ beam commissioning of Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) ○近藤 恵太郎,赤木 智哉,蛯沢 貴,春日井 敦,熊谷 公紀,坂本 慶司,下崎 義人,新屋 貴浩,杉本 昌義,平田 洋介,前原 直(量研/六ヶ所),ファゴッティ エンリコ,プルネリ ジュゼッペ,スカンタンビューロ フランチェスコ(INFN),ヒメネス ダビド,マルチェナ アルバロ,ポダデラ イワン,ウェーバー モイセス(CIEMAT),ボルゾン ベノワ,マロンクル ジャック(CEA),カラ フィリップ(IFMIF/EVEDAプロジェクトチーム),カリン ヤン,ジッコ エルベ,ジェックス ドミニク,ハイディンガー ローランド,ヨキネン アンティ,マルケタ アルバロ,モヤ イワン,フィリップス ガイ(F4E) ○Keitaro Kondo, Tomoya Akagi, Takashi Ebisawa, Atsushi Kasugai, Kohki Kumagai, Keishi Sakamoto, Yoshito Shimosaki, Takahiro Shinya, Masayoshi Sugimoto, Yosuke Hirata, Sunao Maebara (QST/Rokkasho), Enrico Fagotti, Giuseppe Pruneli, Francesco Scantamburlo (INFN), David Jimenez, Alvaro Marchena, Ivan Podadera, Moises Weber (CIEMAT), Benoit Bolzon, Jacques Marroncle (CEA), Philippe Cara (IFMIF/EVEDA PT), Yann Carin, Herve Dzitko, Dominique Gex, Roland Heidinger, Antti Jokinen, Alvaro Marqueta, Ivan Moya, Guy Phillips (F4E) 加速器型強力中性子源である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)は、日本と欧州による核融合エネルギー分野における国際共同プロジェクトの一つであり、現在、原型加速器(LIPAc、Linear IFMIF Prototype Accelerator)の試験が量子科学技術研究開発機構六ヶ所核融合研究所で進行中である。LIPAcはイオン源-RFQ-MEBT-SRF-ビーム診断系-HEBT-BDから構成され、9 MeV、125 mA、CWの重陽子加速を目標とする大電流線形加速器である。2018年6月にRFQによる陽子ビームの2.5 MeVまでの加速に初めて成功した。8月から12月の中断(定期保守、様々な機器改修、HEBTとBDの据付)を経て、2019年2月から陽子ビーム試験を再開し、これまでに短パルスで約60 mAの陽子ビーム加速を実証し、系統的なエミッタンス測定を完了した。また、3月には初めて重陽子ビームの加速に成功し、5月から本格的な重陽子ビーム試験に移行する予定である。本講演では、現在進行中のLIPAcビーム加速試験の状況について報告すると共に、今後の展望についても述べる。 |
16:40-17:00 | |
THOH12 p.112 | 多重極電磁石を用いたビーム強度分布中空化の実証 Demonstration of hollow beam formation using multipole magnets ○百合 庸介(量研高崎研),福田 光宏(大阪大学核物理研究センター),湯山 貴裕(量研高崎研) ○Yosuke Yuri (QST/Takasaki), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.), Takahiro Yuyama (QST/Takasaki) ビーム輸送系において、主として8極電磁石を用いて荷電粒子ビームの横方向強度分布を均一化できることが知られている。これを一般化して考えると、多重極電磁石を用いた適切な非線形集束により、4極電磁石等の線形力のみでは成し得ない、多様なビーム強度分布を形成できる可能性がある。このような観点で我々は非線形集束によるビーム強度分布変換の研究を進め、様々な断面形状でビームを中空化できることを実証した。形成される中空ビームは、軸中心付近の強度に比べて10数倍の高く鋭いピークを端部に持ち、用いる多重極磁場の次数や強度に応じて断面形状を変えられることが分かった。本発表では、非線形集束されたビームの運動に関する理論解析とともに、量研高崎研のイオン照射研究施設TIARAで実施した上記の実証実験及びシミュレーションの結果を報告する。また、このような特異な強度分布を持つビームの用途についても述べる。 |
17:00-17:20 | |
THOH13 p.116 [Slides] | 核破砕中性子源のための非線形光学によるビーム収束技術 Nonlinear beam focus for a spallation neutron source ○明午 伸一郎(J-PARC/JAEA) ○Shin-ichiro Meigo (J-PARC/JAEA) J-PARCセンター核破砕中性子源(MLF)における水銀標的では、陽子ビーム(3 GeV, 1 MW)の入射に伴う衝撃波により、著しいピッティング損傷を生じており重大な問題となる。この損傷はビームのピーク電流密度の4乗に比例するため、安定した運転のためにはピーク電留密度の減少が重要な課題となる。通常用いられる線形光学では、ビーム形状はガウス分布となり、標的上のビーム拡大によりピーク密度減少が行えるが、標的周辺機器の発熱の増大が問題となる。この問題の解決のため、八極電磁石を用いた非線形ビーム収束システムの開発を行った。ビームの非線形光学による条件を明確にするために、ビームエミッタンスとβ関数との積の平方根で一般化した座標系においてトラッキングを行った。β関数とエミッタンスで規格化した八極磁場強度(K8*)と、八極磁石から標的までの位相進行差(φ)としパラメータを一般化した。K8*>3とすることにより、ビーム形状をほぼ平坦となることが示された。ただし、八極電磁石から標的間の位相(ψ)において、tanψ<0となる状態が存在する場合には、非線形発散によるビーム損失が顕著になることが示された。MLFの場合では非線形発散状態が存在するため、ビーム損失を抑えた状態でピーク電流密度を抑える解を探索した結果、K8*=1、cot φ=3とすることでほぼ最適な解を得ることがわかり、この成果により、MLFでは500 kWの大強度運転を安定に行う事が可能となった。 |
17:20-17:40 | |
THOH14 p.121 | ミュオン加速用サイクロトロンの軌道計算 Orbit calculation for muon cyclotron ○大西 純一,後藤 彰(理研仁科センター),山崎 高幸,安達 利一,永谷 幸則,三宅 康博(KEK),筒井 裕士,楠岡 新也,熊田 幸生,恩田 昂(住重) ○Jun-ichi Ohnishi, Akira Goto (RIKEN Nishina Center), Takayuki Yamazaki, Toshikazu Adachi, Yukinori Nagatani, Yasuhiro Miyake (KEK), Hiroshi Tsutsui, Shinya Kusuoka, Yukio Kumata, Takashi Onda (SHI) J-PARC MLFで生成に成功した極小エネルギー分散の超低速ミュオンをサイクロトロンで5MeVまで再加速しミュオンの回析実験と透過型ミュオン顕微鏡イメージングを行うことを計画している。加速ビームのエネルギー分散dE/Eは1e-5に近づけることを目指す。しかしAVFサイクロトロンでは十分にバンチされた1pimmmrad程度の低エミッタンスの入射ビーム(30keV)であってもインフレクターと最初のターンにおいて108MHz, h=2で加速する場合、バンチの位相(縦)方向の広がりは10°程度となる。このためエネルギー分散を小さくするためには基本周波数の加速空洞だけではなく3倍または5倍周波数のハーモニック空洞を用いる必要がある。ミュオンサイクロトロン(取り出し半径262 mm)では1f (108MHz)および3f (324MHz)の空洞を使用する。電場分布はCST MWSを使用して計算した。等時性磁場は1e-4程度とするためopera-3dを用いて磁極形状(4セクター)の最適化を行った。この電場と磁場を用いてRunge-kutta法によりインフレクターの上流から周回加速、静電デフレクター、磁気チャンネルによる取り出しまでトラッキング計算を行い、加速ビームのエネルギー分散とエミッタンスを計算した。取り出し効率を向上させ、取り出し領域におけるエミッタンス増加を最小化するため、磁極にシムを付けて1次のハーモニック磁場を導入した。現状エネルギー分散は1e-4以下となっているがさらに改良する検討を行っている。 |
レーザー/LLRF (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
9:30 -9:50 | |
THOI01 p.126 [Slides] | NewSUBARUにおける高エネルギーガンマビームを利用したガンマ線誘起陽電子消滅測定装置の開発 Development of high energetic gamma beam induced positron annihilation apparatus at NewSUBARU ○杉田 健人(阪府大院),宮本 修治,寺澤 倫孝,橋本 智,天野 壮(兵庫県大高度研),梅澤 憲司,堀 史説(阪府大院) ○Kento Sugita (Osaka Pref. Univ.), Shuji Miyamoto, Mititaka Terasawa, Satoshi Hashimoto, Sho Amano (LASTI, Univ. of Hyogo), Kenji Umezawa, Fuminobu Hori (Osaka Pref. Univ.) 我々のグループは放射光施設NewSUBARUのガンマ線ビームライン(BL01)において、レーザーコンプトン散乱ガンマ線(LCSガンマ線)による陽電子消滅測定システムの開発を行ってきた。陽電子消滅法は空孔を観察できるナノスケールのプローブとして材料研究において広く用いられている。これまではLCSガンマ線をターゲットに照射し対生成で取得した高速陽電子成分を磁場によって分離し、試料に入射させる装置の開発を行ってきた。一方、NewSUBARUのLCSガンマビームは高い指向性とエネルギーを有しているため、評価対象試料に直接入射させることで、試料中で陽電子生成消滅が起こる。このような陽電子消滅測定をGiPS(Gamma induced Positron Spectroscopy)と呼ぶ。GiPSではガンマ線のエネルギーや試料の種類に依存して陽電子の生成効率および試料内を通過するガンマビームに沿った対生成と消滅の分布が異なる。そのため、LCSで生成するガンマビームのエネルギーに対するこれらのシミュレーションと実測の評価検討が必要である。今回、1 GeV電子とNdレーザーで発生させた17 MeVガンマビームを用いて純金属および照射損傷を与えた金属やアモルファス合金などのバルク材料に対するGiPSシミュレーションと実測を行った。これらの実験結果に加えて現在までの陽電子消滅測定装置の現状や今後の展望について報告する。 |
9:50-10:10 | |
THOI02 | イオン化入射法による高電荷量レーザー電子加速 High-charge laser electron acceleration via ionization injection ○神門 正城,黄 開(量研関西研),Neagu Liviu,中宮 義英,Secareanu Radu,Rotaru Florrin,Cuciuc Mihai,Matei Dan(ELI NP),Pirozhkov Alexander(量研関西研),Bierwage Andreas(量研那珂研),小倉 浩一,匂坂 明人,桐山 博光,中新 信彦(量研関西研) ○Masaki Kando, Kai Huang (KPSI,QST), Liviu Neagu, Yoshihide Nakamiya, Radu Secareanu, Florin Rotaru, Mihai Cuciuc, Dan Matei (ELI NP), Alexander Pirozhkov (KPSI, QST), Andreas Bierwage (Naka, QST), Koichi Ogura, Akito Sagisaka, Hiromitsu Kiriyama, Nobuhiko Nakanii (KPSI, QST) 高強度・極短パルスレーザー電子加速の実験結果を報告する。我々は、関西研にある200 TW, 40 fsレーザーをf/10の光学系を用いて純ヘリウムまたはヘリウムに窒素ガス、ネオンガスを混ぜた混合ガスを用いてイオン化入射法の試験を行った。その結果、窒素ガスを用いた場合には、100 pCを超える大電荷量の数百MeV準単色電子ビームを観測し、ネオンガスを用いた場合には低発散角のビームを観測した。これらは、ガスのイオン化強度に依存した電子入射領域の体積と入射タイミングが影響していると考えられ、ガス種による電子加速の制御が行えることを示唆している。 |
10:10-10:30 | |
THOI03 p.130 [Slides] | 次世代放射光施設入射器における MTCA.4 規格を用いたデジタル LLRF システムの評価 Evaluation of the digital LLRF system using MTCA.4 framework for the injection linac for the next generation synchrotron light source ○岩井 瑛人(理研 放射光科学研究センター),細田 直康(高輝度光科学研究センター, 理研 放射光科学研究センター),福井 達(理研 放射光科学研究センター),石井 美保(高輝度光科学研究センター, 理研 放射光科学研究センター),前坂 比呂和(理研 放射光科学研究センター),出羽 英紀(高輝度光科学研究センター),大島 隆(量研機構 次世代放射光施設整備開発センター, 高輝度光科学研究センター, 理研 放射光科学研究センター),稲垣 隆宏(理研 放射光科学研究センター) ○Eito Iwai (RIKEN SPring-8 Center), Naoyasu Hosoda (JASRI, RIKEN SPring-8 Center), Toru Fukui (RIKEN SPring-8 Center), Miho Ishii (JASRI, RIKEN SPring-8 Center), Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Hideki Dewa (JASRI), Takashi Ohshima (QST, JASRI, RIKEN SPring-8 Center), Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center) 次世代放射光施設の入射線型加速器では、従来のVME規格に代わって、MicroTCA.4 規格のモジュールを用いたデジタルLLRFシステムを構築する計画である。このデジタルLLRFシステムはRFフロントエンド部、ADC/DAC によるデジタル-アナログ変換部とオンボード回路処理部からなる。これによりCバンド加速管へのRFの制御、モニタ、フィードバックを1つのモジュール内で行うことができる。MTCA.4 のモジュールは高機能・高チャンネル密度であり、コンパクトで高速なシステムが、比較的省コスト・省配線で構築可能である。またネットワーク越しの遠隔操作や制御パラメータの変更など運用上の利便性も高く、入手性の観点においても、これからの次世代施設での利用に適している。本発表では、次世代放射光施設での使用する MTCA.4 を用いたデジタルLLRFシステムの設計概要と、試作機での精度、安定性などの評価結果について報告する。 |
10:30-10:50 | |
THOI04 p.135 [Slides] | SACLAからSPring-8蓄積リングへのビーム入射のためのタイミング同期システムの現状 Present Status of Timing Synchronization System for Beam Injection from SACLA to SPring-8 Storage Ring ○大島 隆,細田 直康,前坂 比呂和(理研),森本 理,田尻 泰之(スプリングエイトサービス),岩井 瑛人(理研),岡田 謙介(高輝度光科学研究センター) ○Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda, Hirokazu Maesaka (RIKEN), Osamu Morimoto, Yasuyuki Tajiri (spring8 service), Eito Iwai (RIKEN), Kensuke Okada (JASRI) SPring-8の次期計画SPring-8-IIでは入射ビームに低エミッタンスが要求されるため、XFELマシンであるSACLAの線形加速器を蓄積リング(SR)への入射器とする予定である。この計画の準備段階として、SACLAを現SRへの入射器として2020年から運用することを目指している。我々はMTCA.4規格のデジタイザを使ってタイミング同期システムを構築した。そこではSACLAのマスタトリガタイミングの調整およびSACLAのマスタオシレータへのFM変調を行う。このシステムを実機に導入し、SACLAのビーム出射とSRのバケットとの間のタイミングジッタを4 ps rms以下に抑えることができた。現SRではユーザーの要望に応じてさまざまなフィリングパターンが使われている。この要求に応えるために、デジタイザに実装されているFPGA上にはタイミング同期機能だけでなく、ショットごとにバケットアドレスを変更する機能を持たせている。SACLAからSRへの入射ではSRにビームがない状態から100mAまで10Hzの繰り返しで入射を行う積み上げモードと、数分に1回の入射を行うトップアップモードがある。これらのモードに対応するソフトウエアをMTCA.4規格のCPUモジュールに実装する作業を進めている。本発表では上記タイミング同期システムの現状と今後の展望について報告する。 |
加速器制御 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
11:10-11:30 | |
THOI05 p.139 [Slides] | X線自由電子レーザーの多様な運転とSPring-8入射に向けたSACLAのオンデマンドビームルート・パラメータ切り替えシステムの開発 Development of on-demand beam route and parameter switching system for SACLA to achieve both flexible x-ray free-electron laser operation and SPring-8 injection ○前坂 比呂和,大島 隆,細田 直康,福井 達,近藤 力,岩井 瑛人,原 徹,稲垣 隆宏,田中 均(理研),岡田 謙介,山鹿 光裕,松原 伸一,深見 健司,青木 毅,藤田 貴弘,出羽 英紀,正木 満博,早乙女 光一,高雄 勝,高野 史郎,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター),森本 理,長谷川 太一,篠本 考秀,住友 博史,田尻 泰之,田中 信一郎,吉岡 正倫(スプリングエイトサービス) ○Hirokazu Maesaka, Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda, Toru Fukui, Chikara Kondo, Eito Iwai, Toru Hara, Takahiro Inagaki, Hitoshi Tanaka (RIKEN), Kensuke Okada, Mitsuhiro Yamaga, Shinichi Matsubara, Kenji Fukami, Tsuyoshi Aoki, Takahiro Fujita, Hideki Dewa, Mitsuhiro Masaki, Kouichi Soutome, Masaru Takao, Shiro Takano, Takahiro Watanabe (JASRI), Osamu Morimoto, Taichi Hasegawa, Takahide Shinomoto, Hiroshi Sumitomo, Yasuyuki Tajiri, Shinichiro Tanaka, Masamichi Yoshioka (SES) SACLAでは、X線自由電子レーザー(XFEL)の複数のビームラインへ任意のパターンでの振り分け運転や、SPring-8蓄積リングへのトップアップ入射等を実現するため、不均等な振り分けパターンや不定期な入射要求に対応可能なオンデマンドビームルート・パラメータ切り替えシステムを開発している。複雑な振り分け運転の状況でもXFELに必要な高品質電子ビーム(規格化エミッタンス~1 mm mrad, バンチ長~10 fs, ピーク電流10 kA以上, など)が生成でき、かつ、ビームラインごとにエネルギーやバンチ長の異なるビームを供給しなければならない。ビームをショット毎に制御するためには、加速ユニットに付随するLLRFとトリガシステム、ビーム振り分け磁石などを同期して制御する必要がある。これらを60 Hzで切り替わるルート情報に合わせて制御するため、ルート情報配信用のリフレクティブメモリネットワークを構築し、各加速ユニットのRFパラメータ等をショット毎に切り替えるためのVME-CPU上の専用プロセスを開発した。テストベンチでの試験、および、SACLAでのビーム試験を行い、ルート情報に基づいて適切に振り分け運転ができることが確かめられた。SPring-8への入射についても、本システムを使ってXFELへのビーム供給とリング入射を並行して行う試験を夏までに行う予定としている。本発表では、開発したシステムの詳細とその試験結果について、XFEL運転性能やリング入射性能と合わせて報告する。 |
11:30-11:50 | |
THOI06 p.144 [Slides] | SuperKEKB加速器の制御システム Control system for SuperKEKB accelerator ○杉村 仁志,中村 達郎,梶 裕志,佐々木 信哉,小田切 淳一,秋山 篤美,内藤 孝(KEK加速器),中村 卓也,吉井 兼治(三菱電機SC),芳藤 直樹,飯塚 祐一(東日本技術研究所),廣瀬 雅哉,浅野 和哉(関東情報サービス) ○Hitoshi Sugimura, Tatsuro Nakamura, Hiroshi Kaji, Shinya Sasaki, Junichi Odagiri, Atsuyoshi Akiyama, Takashi Naitou (KEK Acc), Takuya Nakamura, Kenji Yoshii (Mitsubishi SC), Naoki Yoshifuji, Yuuichi Iitsuka (EJIT), Masaya Hirose, Kazuya Asano (KIS) SuperKEKB加速器では前身のKEKB加速器の制御系を継承し、EPICSを用いたネットワーク分散型の制御システムを利用している。主にVMEやPLCなどといったフロントエンド機器を加速器内各所に設置し、IOCとして用いることで制御対象の機器を制御する。一方で運転パネル(OPI)はPythonやSADといったスクリプト言語を用いて、サーバー計算機上でプログラムを実行したり、CSSを用いて運転端末から操作するような運用も行っている。 データの保存にはKEKBLogを用いた独自のアーカイブを行いつつ、EPICSコミュニティに普及が広がっているArchiverApplienceの開発も進めている。 また、タイミング制御ではMRF社製のイベントシステムを用い、タイミングに識別子を付けることで数多くの設定パラメータによる運転ができるようになった。繰り返し50Hzで次のショットの入射バケットのタイミングを即座に計算し、その情報を設定する必要があるため、リフレクティブメモリを利用し、メモリの共有化を行うことで高速制御が可能となった。 |
11:50-12:10 | |
THOI07 [Slides] | J-PARC MRのタイミングシステム運用10年とトラブル報告 Ten-year oeration and experianced troubles of J-PARC MR timing ○上窪田 紀彦,佐藤 健一(高エネ研/J-PARC),田島 佑斗,吉田 奨(関東情報サービス) ○Norihiko Kamikubota, Kenichi Sato (KEK/J-PARC), Yuto Tajima, Susumu Yoshida (KIS) J-PARC MRタイミングシステムは、多数のtrigger信号(約300点)や高精度RF信号(10e-9精度の12MHz信号)を数kmに及ぶMR加速器エリア全域に分配している。2008年のMRビーム運転開始以来、10年にわたって安定に稼働し、NeutrinoやHadron実験施設の運用に貢献した。しかし、10年の間には、さまざまなトラブルも経験した。 この報告では、過去10年の代表的なトラブルを紹介し、その背景に共通の問題(trigger信号生成後の伝送路の信頼度や外来ノイズの影響)があることを示す。さらに、問題解消の方向として進行中のa)より光化・小型化した次期システムへの移行、b)Readback系の導入、の状況を紹介する。 *メモ 田村文彦氏(JAEA/J-PARC)申し込みの口頭発表「J-PARC 次世代 タイミングシステム」の前の口頭発表になることを期待しますが、もし口頭希望者多数であればポスターに回してください。 |
12:10-12:30 | |
THOI08 p.149 | J-PARC 次世代 タイミングシステム Next generation timing system for J-PARC ○田村 文彦,高橋 博樹,上窪田 紀彦,伊藤 雄一,林 直樹(J-PARC センター) ○Fumihiko Tamura, Hiroki Takahashi, Norihiko Kamikubota, Yuichi Ito, Naoki Hayashi (J-PARC Center) J-PARC のタイミングシステムは中央制御棟より配信される 25Hz トリガーからのディレイとして定義されるスケジュールドタイミングと、加速器機器間での信号のやりとりによるシンクロナイゼーションタイミングに大別される。J-PARC タイミングシステムは 2006年のリニアックのビーム運転開始から現在に至るまで安定に動作しており、供給される正確なタイミング信号は大強度ビームの加速、供給に不可欠なものとなっている。一方、運用開始から 10年以上が経過し、スケジュールドタイミングで使用されている光素子の生産中止など、現状のままでのタイミングシステムの維持は困難である。このため次世代タイミングシステムを開発中である。現システムではスケジュールドタイミングの生成に必要な信号の分配に 3本のケーブルを必要とするが、次世代システムではこれらを高速シリアル通信技術を用いて 1本の光ケーブルで伝送する。送信モジュールから受信モジュールに至るまで電気ケーブル配線を用いないことで、特にノイズ環境の悪いMR での動作をより安定化させることが期待されている。本発表では、J-PARC 次世代タイミングシステムの詳細、開発および移行の方針について報告する。 |
光源加速器 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
15:40-16:00 | |
THOI09 p.153 | 3GeV次世代放射光施設の加速器システム Accelerator System for Highly Brilliant 3GeV Light Source Project ○西森 信行,小林 創,吉川 博(量研),渡部 貴宏,高野 史郎,大石 真也,深見 健司,安積 隆夫,近藤 力,大島 隆,糸賀 俊郎(高輝度光科学研究センター、理研、量研),正木 満博,小路 正純,高橋 直,佐治 超爾(高輝度光科学研究センター、量研),早乙女 光一,木村 洋昭,馬込 保,杉本 崇(高輝度光科学研究センター、理研),田村 和宏,藤田 貴弘,出羽 英紀,谷内 努,青木 毅,高雄 勝,安積 則義,張 超,柳田 謙一,櫻井 辰幸,谷内 友希子,松原 伸一,川瀬 守弘,細田 直康(高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏,原 徹,田中 隆次(理研、高輝度光科学研究センター),前坂 比呂和,福井 達,岩井 瑛人,松井 佐久夫(理研),恵郷 博文(高エネ研),田中 均(理研、量研) ○Nobuyuki Nishimori, Hajime Kobayashi, Hiroshi Yoshikawa (QST), Takahiro Watanabe, Shiro Takano, Shinya Oishi, Kenji Fukami, Takao Asaka, Chikara Kondo, Takashi Oshima, Toshiro Itoga (JASRI,RIKEN,QST), Mitsuhiro Masaki, Masazumi Shoji, Sunao Takahashi, Choji Saji (JASRI,QST), Koichi Soutome, Hiroaki Kimura, Tamotsu Magome, Takashi Sugimoto (JASRI,RIKEN), Kazuhiro Tamura, Takahiro Fujita, Hideki Dewa, Tsutomu Taniuchi, Takeshi Aoki, Masaru Takao, Noriyoshi Adumi, Chao Zhang, Kenichi Yanagida, Tatsuyuki Sakurai, Yukiko Taniuchi, Shinichi Matsubara, Morihiro Kawase, Naoyasu Hosoda (JASRI), Takahiro Inagaki, Toru Hara, Takashi Tanaka (RIKEN,JASRI), Hirokazu Maesaka, Toru Fukui, Eito Iwai, Sakuo Matsui (RIKEN), Hiroyasu Ego (KEK), Hitoshi Tanaka (RIKEN,QST) 国内初の高輝度中型放射光施設となる3GeV次世代放射光施設の蓄積リングは、最新の加速器ラティス設計であるMBA(Multi-Bend Achromat)構造を取り入れて低エミッタンス化し、軟X線からテンダーX線領域で高コヒーレンス・高輝度光の提供を目指す。蓄積リングへの入射加速器は、軟X線FELへの拡張性を考慮して3 GeVの線型加速器とし、SACLAで用いられた常伝導高勾配C-band加速システムを採用した。また、電子ビームの安定性や加速器運転の信頼性が、光源の実効性能や利用者の利便性に大きく影響するとの視点に立ち、機器性能の確保、運転の信頼性とメインテナンス性を最大限考慮した加速器設計を進めている。 蓄積リングは周長約350mで16セル、4BAを採用し、SPring-8 II計画のR&Dを最大限活用して機器の性能保証、コストの合理化を図っている。自然水平エミッタンス1.1nmrad、蓄積電流400mAを目指す。SACLAをベースに設計された3GeV線形加速器は、蓄積リングへの入射器としての運転を前提としているが、蓄積リング外側に配置しており、将来の軟X線FELへの拡張を視野に入れている。本発表では、3GeV次世代放射光施設の加速器の特徴と進展状況を報告する。 |
16:00-16:20 | |
THOI10 p.157 | 交叉型アンジュレータにおける移相器の設計と開発 Design and development of phase shifters for crossed undulator ○森田 希望,柏木 茂,日出 富士夫,三浦 禎雄,武藤 俊哉,南部 健一,長澤 育郎,髙橋 健,鹿又 健,柴田 晃太郎,齋藤 寛峻,山田 悠樹,濱 広幸(東北大学 電子光理学研究センター) ○Nozomu Morita, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Sadao Miura, Toshiya Muto, Kenichi Nanbu, Ikurou Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Koutaro Shibata, Hirotoshi Saito, Hiroki Yamada, Hiroyuki Hama (ELPH) 東北大学電子光理学研究センターでは、試験加速器t-ACTSを用いて交叉型アンジュレータによるコヒーレントテラヘルツ光の偏光制御の研究開発を行っている。偏光制御を行うためには一台目の平面アンジュレータからの放射を可変の遅延光学系を通して二台目の平面アンジュレータからの放射と重ね合わせる必要がある。このような条件を満たすためには二台のアンジュレータ間に移相器が必要となる。移相器には、光と電子ビームを分離して光の遅延回路に通すことと二台目のアンジュレータ入口における遅延した光と電子ビームの再合成、二台のアンジュレータで放射の条件を合わせるために二台目のアンジュレータにおける電子ビームの6次元位相空間分布が一台目と同じになるようなビーム輸送などが求められる。t-ACTSが生成するバンチ長100fs以下の電子ビームを輸送するためには移相器のR56を制御するだけでなく横方向エミッタンスによるバンチ伸長やT566などの高次の効果を抑制しなければならない。また実験室の制約上、移相器の実機は3メートル程度に収める必要がある。 本講演では交叉型アンジュレータにおける移相器について紹介し、設計と開発の現状について報告する。 |
16:20-16:40 | |
THOI11 p.161 [Slides] | アンジュレータ位相誤差の普遍的表式と系統的不整磁場への適用 Universal representation of undulator phase errors and its application to systematic field errors ○田中 隆次(理研放射光センター) ○Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 不整磁場によるアンジュレータ光強度の劣化は、位相誤差と呼ばれる物理量で評価できることが知られている。位相誤差は、アンジュレータ磁場分布から複雑な数値計算無しで求められるため、磁場性能に課す条件として標準的に用いられている。この条件は高調波の次数に比例して厳しくなり、例えば1次光の強度劣化を10%に抑制する位相誤差の上限が18°である一方、15次光では1.2°となり、特に後者の仕様を満たすには、アンジュレータの設計や調整に多大な労力が必要である。一方で、有限エミッタンスやエネルギー幅等の影響を考慮した実用条件では、これらの仕様は大幅に緩和されることが指摘されている。言い換えると、従来の定義による位相誤差は不整磁場の影響を(実用条件下では)過大評価する。 上記の問題を解決するために我々は、実用条件下でも適用可能な位相誤差の普遍的表式を導出し*、様々な条件においてその妥当性を確認した。さらにこれを利用して、機械的誤差によって生ずる系統的な不整磁場の影響を解析した。この結果、エネルギー幅0.1%程度の一般的な蓄積リング(低エミッタンスリングを含む)では、上記条件(15次光の強度劣化10%以下)を満たす位相誤差は6°程度と大幅に緩和されることがわかった。この結果は、高次光の積極的な利用が想定されるアンジュレータの仕様策定に大幅な修正が必要であることを示唆する。 *T. Tanaka, PRAB21, 110704 (2018) |
16:40-17:00 | |
THOI12 | 位相駆動の必要ない偏光可変・真空封止アンジュレータ Polarization Control without Phasing in Helical In-vacuum Undulator ○金城 良太,田中 隆次(理研放射光センター),備前 輝彦,清家 隆光,鏡畑 彰裕(JASRI) ○Ryota Kinjo, Takashi Tanaka (RIKEN), Teruhiko Bizen, Takamitsu Seike, Akihiro Kagamihata (JASRI) 真空封止アンジュレータにおいて左右の円偏光切り替えに必要な磁石列の位相駆動は容易ではない。そこで我々は、左円偏光モードと右円偏光モードの二つの磁石列が組み合わさって三列の磁石列を構成し、アンジュレータをその磁石列ごと横方向にスライドさせることで左右の円偏光を切り替えるアンジュレータの開発を行っている。この方式の利点として、位相駆動が必要なく、また上下の磁石列間の吸引・反発・せん断力をAPPLE型より大幅に小さくすることが可能なため、真空封止アンジュレータへの適用が容易である。本会では、この新型アンジュレータの原理、および試作機での原理検証実験の結果を報告する。 |
17:00-17:20 | |
THOI13 p.166 | 楕円偏光アンジュレータ放射の位相構造 Phase structure of elliptically polarized undulator light ○平 義隆(産総研),藤本 將輝(分子研),李 志遠(産総研),保坂 将人(名大),加藤 政博(広大) ○Yoshitaka Taira (AIST), Masaki Fujimoto (IMS), Shien Ri (AIST), Masahito Hosaka (Nagoya University), Masahiro Katoh (Hiroshima University) 電子が完全な円軌道上を運動する場合、電子からの放射の高次高調波は、高調波次数nに対してn-1の軌道角運動量(OAM)を運ぶ光渦である[1]。これまで、円偏光アンジュレータから発生する放射が光渦であることは、いくつかの研究機関で実証されてきたが[2]、円偏光以外の楕円偏光や直線偏光の場合の放射の位相構造について詳細な研究は行われてこなかった。我々は直線偏光や楕円偏光に適用できる形で放射場の位相構造を定式化した。その結果、楕円偏光でも光渦が発生することや位相特異点が分離する場合があることなどが明らかになった。本年会では、楕円偏光アンジュレータから発生する光渦の詳細な理論計算の結果と分子科学研究所UVSOR-IIIを用いた検証実験の結果について発表する。 [1] M. Katoh et al., PRL, 118,094801, (2017). [2] M. Katoh et al., Sci. Rep., 7, 6130, (2017). |
17:20-17:40 | |
THOI14 p.170 | 極短周期アンジュレータの開発と光源性能評価試験 Development of a very short period undulator and characterization of the undulator radiation ○山本 樹,益田 伸一(高エネ機構・物構研・放射光),浜 広幸,柏木 茂,日出 富士雄,武藤 俊哉,南部 健一(東北大・電子光) ○Shigeru Yamamoto, Shinichi Masuda (KEK-IMSS-PF), Hiroyuki Hama, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Ken-ichi Nanbu (Tohoku Univ., ELPH) 近年我々は通常数10mmであったアンジュレータの周期長を約1/10に“極短周期化”することを目標にした研究開発を行って来た。このような“極短周期”アンジュレータでは周期長の短縮に伴い,放射の高エネルギー化と共に,光源本体のコンパクト化も期待できる。 これまで,周期長4mmを目標に設定し,高精度・高強度のアンジュレータ磁場を生成する方式を開発した。幅20mm x 厚さ2mm x 長さ100mmの板状のNEOMAX磁石素材に,周期的交番磁気回路を書き込む多極着磁方式を開発し,対向させた一対の板状磁石間の隙間(ギャップ)に高精度アンジュレータ磁場(ギャップ1.6mmにおいて約3kG)を生成する方式を確立した。また,この板状磁石を適切に連結し極短周期磁場を長尺化することにも成功した。 さらに長さ 200mm,500mm および1000mmの磁石を装着できる精密ギャップ駆動機構を開発し,0.1ミクロン以上のギャップ分解能を達成した。ここでは,上記の200mm長極短周期アンジュレータを用い,東北大・電子光理学研究センターS-Band Linac において実施した放射光評価試験について,分光解析を中心に最新成果を報告する 合わせてSPring-8 旧SCSS 収納部に建設したレーザー航跡場加速試験施設における,レーザー加速と組合せた放射光生成の原理実証実験についても最新の成果を報告する。 |
学会賞受賞講演 (8月1日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
19:00-19:20 | |
THOHP01 | 誘電体アシスト型高周波加速空洞の研究開発 Study of dielectric assist accelerating structure ○佐藤 大輔(産業技術総合研究所) ○Daisuke Satoh (AIST) 誘電体アシスト型高周波加速空洞(Dielectric Assist Accelerating Structure, DAA)は、金属筐体内に誘電体同軸構造と誘電体円盤からなる誘電体セルを周期的に装荷した誘電体加速管の一種である。DAAは加速モードとして、この新しい空洞の高次モード(TM_02n mode)を加速に利用することで、既存の常伝導加速空洞と比較して空洞壁損失を大幅に低減化することが可能である。また、空洞内部に装荷する誘電体構造には低損失誘電体材料を用いることで、DAA空洞内での空洞壁損失と誘電損失の総和でも、既存の常伝導加速空洞の空洞壁損失と比較して大幅に低減化できるということが明らかになってきた。本研究では、DAA空洞の動作原理の考案から、原理実証機の設計・開発、低電力試験、高電界試験までを一貫して実施した。原理実証機は、マグネシアセラミックを用いた5セルC-band DAA空洞を設計・製作し、最終的には室温で10万を超える高い無負荷Q値を実現した。本発表では、これまで行ってきた誘電体アシスト型高周波加速空洞の研究開発と今後の展望について講演する。 |
19:20-19:40 | |
THOHP02 p.1297 | 陽子線治療用小型加速器システムの開発と実用化 Development and implementation of compact accelerator systems dedicated for proton beam therapy ○鮱名 風太郎,青木 孝道((株)日立製作所) ○Futaro Ebina, Takamichi Aoki (Hitachi, Ltd.) 陽子を加速してがん等の患部へ照射する陽子線治療は、X線治療に比べて患部以外の放射線被曝を低減できる治療法として近年その需要が高まっている。特に、患部を陽子線で三次元的に走査するスキャニング照射法は、複雑な形状の腫瘍に対しても精度の高い照射が可能であることから陽子線治療において標準的な照射技術となりつつある。一方で、従来スキャニング照射法に適用可能な陽子シンクロトロンは一周が23mと大型の装置であり、その小型化は陽子線治療システムの普及における課題となっていた。我々は、2010年から北海道大学と日立製作所が協力して推進した国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」において、スキャンニング照射法に特化した当時としては世界最小となる周長18mの陽子線治療用シンクロトロンを開発した。本シンクロトロンは、4回対称かつ水平方向にのみ弱収束の光学系とすることで電磁石員数を11台にまで低減する一方、三次元磁場解析と粒子トラッキング解析を連携して偏向電磁石磁極形状を決定することにより安定な動作を実現している。陽子線治療システムの更なる小型化を目指し、高エネルギービーム輸送系への偏向電磁石設置を不要とする新たなディスパージョン補正手法を考案した。本開発によりシンクロトロンを用いた一室型陽子線治療システムの実現が可能となり、今後の更なる普及が期待される。 |
19:40-20:00 | |
THOHP03 p.175 | ビーム位相制御技術開発によるAVFサイクロトロンでの重イオンマイクロビーム形成及びビーム利用の実現 Development of beam phase control technology of AVF cyclotron for realization of microbeam formation and its application ○宮脇 信正,倉島 俊(量子科学技術研究開発機構 高崎) ○Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima (QST Takasaki) 量研高崎のAVFサイクロトロンは材料科学・バイオ技術研究用途に特化し、通常のビーム照射のほか、重イオンマイクロビームやシングルパルスビーム等の特殊照射が必要な研究にもビームを提供している。四重極電磁石を用いたマイクロビーム形成には、ビーム集束時に発生する色収差を低減するため、ビームエネルギー幅(⊿E/E)を従来の10^-3台から10^-4台へ狭くすることが必須であった。そこで、RF加速においてビーム位相幅に起因するエネルギー利得の差を小さくするために、ビーム位相幅を狭小化する中心領域の改造と5倍波によるFlat-Top(FT)加速の導入を行い、サイクロトロンで最小約0.7μmのマイクロビームの形成に成功した。更に、実用化するために、中心領域で発生する位相バンチングを積極的に用いてビーム位相幅の狭小化を果すとともに、RF位相上のビームの測定・制御技術を開発し、エネルギー利得の差が最小になる正弦波の頂点で常に加速することを可能にした。その結果、難しい調整に時間を要するFT加速を使わない約2μmのマイクロビームの短時間形成とその定常的な利用を実現した。これらの技術は、前述の特殊照射の実現に加えてカクテルビームの高品位化ももたらすなど、サイクロトロンの多様なビーム利用の基盤技術となっている。 |
ハドロン加速器② (8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
9:30 -9:50 | |
FROH01 p.179 [Slides] | J-PARCにおける重イオン加速の検討 Study of heavy ion beam acceleration in J-PARC ○原田 寛之(原子力機構/J-PARC) ○Hiroyuki Harada (JAEA/J-PARC) 宇宙最高密度の巨大な原子核である「中性子星」に関して、中性子星同士の合体で発生した重力波の観測に、2017年人類で初めて成功した。その重力波観測によって、人類が未解明である中性子星内部の構造情報の取得が可能になった。そして、ミニ中性子星合体と相似のGeV級の高エネルギー重イオン衝突実験による宇宙最高密度物質やハイパー核の研究が世界中で加熱しており、ドイツFAIR計画、ロシアNICA計画、中国HIAF計画などの大型研究計画が進められている。J-PARCにおいても重イオン用の新たな入射器を建設し現存の2基のシンクロトロンを活用して、GeV級の重イオンビームを大強度で供給する事を目指している。J-PARCは、パルスあたり世界最高強度の陽子ビーム(10^14個を超える粒子数)を加速・供給しており、重イオンビームに対しても世界最高強度を超える大強度出力(10^11個相当の粒子数)のポテンシャルを十分有する加速器である。既存の加速器への入射の際に重イオンのリジリティを陽子と同じにすることで、重イオンも同様の横方向運動を行う。また、加速器から実験施設への大強度出力には高いビーム取り出し効率が要求されるが、ドイツGSI研究所のSIS18での70%程度と比較し、陽子で99.5%と非常に高い取り出し効率を達成しており、重イオンの大強度化も期待できる。本講演では、既存のJ-PARCの陽子ビームの状況に加えて、学術的背景や重イオン用入射器の検討状況を報告する。 |
9:50 -10:10 | |
FROH02 | RCNPにおけるAVFサイクロトロンのアップグレードのための詳細設計 Detailed design for upgrading the RCNP AVF cyclotron ○福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,中尾 政夫,鎌倉 恵太,畑中 吉治,齋藤 高嶺,森信 俊平,田村 仁志,永山 啓一,友野 大,原 周平,Koay Huiwen,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文,大本 恭平(阪大RCNP) ○Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yuusuke Yasuda, Masao Nakao, Keita Kamakura, Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Shunpei Morinobu, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Dai Tomono, Shuhei Hara, Huiwen Koay, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Kyohei Oomoto (RCNP, Osaka University) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、老朽化したAVFサイクロトロンの高性能化を目指したアップグレード・プログラムを進めている。これまで使用してきた開き角180度のディー電極を、対向する2つのディー電極(開き角87度)に置き換え、RF周波数帯域を従来の2倍の16~36MHzに上げることにより、加速ハーモニクス2との組み合わせによって1ターン当たりのエネルギー利得を2倍に増やして大きなターンセパレーションとシングルターン引出しを目指す。イオン源の加速電圧も50kV程度まで増やして入射ビームの低エミッタンス化を図ると共に、サブハーモニック・バンチャーとの組み合わせにより入射ビーム強度の増強を図る。入射エネルギーの増加と加速ハーモニクス1,2,3,6に対応したビーム位相幅制御を可能にするため、インフレクター電極やディー先端電極、RFシールドカバー等の中心領域の電極配置も全面的に見直し、入射アクセプタンスの拡大を図る。ビームの取り出しにおいては、磁気チャンネルを用いずにデフレクターのみでビーム引き出しを行うと共に、2台のグラディエント・コレクターの組み合わせにより引き出しビームの二重集束を可能にして既存のビーム輸送ラインとの整合性を確保する。本発表においては、AVFサイクロトロン本体のアップグレード設計の詳細とプロジェクトの進行状況などについて報告する。 |
10:10-10:30 | |
FROH03 | 自動サイクロトロン共鳴による陽子加速に向けた粒子軌道解析 Analysis of the orbit of protons accelerated by the cyclotron auto-resonance ○原 隆文,福田 光宏,神田 浩樹,依田 哲彦,中尾 正夫,安田 裕介(RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊,松田 洋平(CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正,涌井 崇志(QST) ○Takafumi Hara, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita, Masao Nakao, Yusuke Yasuda (RCNP), Tsutomu Shinozuka, Masatoshi Ito, Yohei Matsuda (CYRIC), Shun Kurashima, Nobumasa Miyawaki, Takashi Wakui (QST) 静磁場中を回転する荷電粒子に対し、粒子の回転周波数と同じ周波数で回転する電場をもつRFを加えることで、電場の方向と粒子の回転方向が一致し、常に粒子が加速されるサイクロトロン共鳴が起こる。しかし、粒子が加速されるにつれ相対論効果により質量が大きくなると、粒子の回転周波数は小さくなりサイクロトロン共鳴の条件を満たさなくなる。サイクロトロン共鳴を維持させながら荷電粒子の加速を続けるのが、Cyclotron Auto-resonance acceleration(CARA)である。米国で過去に行われた実験ではCARAは、高いRF効率で大電流電子ビームの加速に成功している。これを受けて、大阪大学核物理研究センターではCARAの原理に基づいた陽子用の大強度加速器の開発を目指している。電子用CARAでは進行波のTE_11モードのRFを用いているが、質量の大きな荷電粒子では粒子の速度がRFの位相速度と比べて非常に小さくなってしまい、サイクロトロン共鳴の条件を満たすのが困難である。そこで、定在波である回転TE_111モードのRFと質量の増加に合わせて大きくなる磁場を組み合わせることで、粒子の回転周波数を一定に保ち、サイクロトロン共鳴を維持しながら陽子を加速する方法を考案した。さらにその加速法を陽子に適用し、ビーム軌道解析コードOPALを用いたシミュレーション計算により解析し、陽子加速に実現性を検討した。本発表では、陽子CARAの検討状況とOPALによる解析結果について報告する。 |
電子加速器 (8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
13:50-14:10 | |
FROH04 p.183 [Slides] | CsKTeヘテロ接合によるGaAsカソードの高耐久化 Robust GaAs Cathode with CsKTe Hetero Junction ○栗木 雅夫,正木 一成(広島大学院先端研),郭 磊(名古屋大学シンクロ) ○Masao Kuriki, Kazushige Masaki (AdSM, Hiroshima U. ), Lei Guo (Synchro. Nagoya U.) GaAsカソードは極低エミッタンス高スピン偏極電子が発生可能な特徴的なカソードである。そのような電子発生には表面構造をNEA(Negative Electron Affinity)とする必要があり、在来手法として清浄表面にCsOおよびCsNF3などを添加する方法が知られている。一方で、このように作成されたNEA表面は残留ガス(酸素、水、炭化水素等)による汚染、熱脱離、逆流イオンによる衝撃などにより容易に破壊されるため、その動作には極高真空を要求する。そのため、RF電子銃では使えないなど制限が大きく、極短バンチの生成などに困難がある。本発表では在来手法に代わるGaAsカソードのNEA活性化手法について述べる。清浄GaAs表面にその仕事関数がGaAsの禁制バンド幅より小さい薄膜を形成すると、理論上はNEA表面となる。このような手法をヘテロ接合によるNEA活性化と呼ぶ。現在までにCsTe薄膜半導体によるNEA活性化が報告されているが、その耐久性は限定的であった。今回、CsKTe薄膜をGaAs上に形成したところ、NEA活性化が確認され、さらにその耐久性を評価したところ、在来手法にくらべて10倍以上の改善が見られた。本発表ではその詳細を述べるとともに、RF電子銃による運用の可能性についても議論する。 |
14:10-14:30 | |
FROH05 p.187 | ILCに向けたSTF-2加速器のビームコミッショニング Successful beam commissioning of STF-2 accelerator for ILC ○山本 康史,加古 永治,宍戸 寿郎,梅森 健成,阪井 寛志,佐伯 学行,許斐 太郎,松本 利広,道園 真一郎,江木 昌史,明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,Qiu Feng,中島 啓光,三浦 孝子,早野 仁司,福田 将史,本田 洋介,中村 典雄,宮島 司,帯名 崇,島田 美帆,Alexander Aryshev,仲井 浩孝,小島 裕二,原 和文,本間 輝也,中西 功太,清水 洋孝,近藤 良也,山本 明,木村 誠宏,荒木 栄,森川 祐,佐波 俊哉,大山 隆弘,高原 伸一(高エネルギー加速器研究機構),栗木 雅夫,野津 庄平(広島大学),松葉 俊哉(高輝度光科学研究センター),坂上 和之(東京大学) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Toshio Shishido, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Takayuki Saeki, Taro Konomi, Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Masato Egi, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Feng Qiu, Hiromitsu Nakajima, Takako Miura, Hitoshi Hayano, Masafumi Fukuda, Yosuke Honda, Norio Nakamura, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Miho Shimada, Aryshev Alexander, Hirotaka Nakai, Yuuji Kojima, Kazufumi Hara, Teruya Honma, Kota Nakanishi, Hirotaka Shimizu, Yoshinari Kondou, Akira Yamamoto, Nobuhiro Kimura, Sakae Araki, Yu Morikawa, Toshiya Sanami, Takahiro Oyama, Shin-ichi Takahara (High Energy Accelerator Research Organization), Masao Kuriki, Shohei Notsu (Hiroshima University), Shunya Matsuba (Japan Synchrotron Radiation Research Institute), Kazuyuki Sakaue (University of Tokyo) 2019年2月から3月にかけて高エネルギー加速器研究機構(KEK)内にある超伝導高周波試験施設(STF)にてSTF-2加速器のビームコミッショニングが行なわれた。様々な空洞調整、高周波調整、ビーム調整の結果、最終的なビームエネルギーは271 MeVに達し、そこから見積もられる各空洞の加速勾配は32.0 MV/mであった。これは国際リニアコライダー(ILC)計画の運転スペックである31.5 MV/mを満足するものであり、ILCの技術実証における重要なマイルストーンである。本講演ではビームコミッショニングの概要について報告する。 |
14:30-14:50 | |
FROH06 p.193 | KEK-STFにおける極低エミッタンス扁平ビーム生成実験 Generation of low emittance flat beam in KEK-STF ○田村 遼平,栗木 雅夫(広大院先端),早野 仁司,山本 尚人,金 秀光,清宮 裕司(高エ研) ○Ryohei Tamura, Masao Kuriki (adsm), Hitoshi Hayano, Naoto Yamamoto, Xiuguan Jin, Yuji Seimiya (kek) 電子・陽電子リニアコライダーでは,扁平ビームを用いることでビームビーム相互作用を抑制し,かつ高ルミノシティの衝突を実現する.現在の設計ではダンピングリングへの蓄積による放射減衰でエミッタンスにしてεx=10, εy=0.04 mm.mradという扁平ビームを生成するが、本研究ではビームの位相空間回転を用いた入射器による直接生成について検討する.ビーム進行方向をzとして, x-y及びx-zという二つの自由度間の回転を行うことでこれを実現する。このx-y横方向位相空間回転操作をRFBT(Round to Flat Beam Transformation),x-z位相空間回転操作をTLEX(Transverse to Longitudinal Emittance Exchange)と呼ぶ.大きな径でビームを発生させ空間電荷効果を抑制しつつ、RFBTを行い、大きな非対称エミッタンス(εx>>εy)を生成する。初期エミッタンスが大きいため、このままではεxが過大となるが、TLEXによるx-zエミッタンス交換を行い、εxをリニアコライダーの要求値とする。εzが大きなエミッタンスを引き受けることとなるが、εzへの要求は8.5e+5 mm.mradと厳しくないので問題とはならない。本発表では、KEK-STFにおける実証試験について、シミュレーションによる検討結果を報告する。 |
14:50-15:10 | |
FROH07 p.198 | STF ビームダンプの開発 Development of STF Beam Dump ○森川 祐,江木 昌史,福田 将史,早野 仁司,大山 隆弘,山本 康史,照沼 信浩,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Yu Morikawa, Masato Egi, Masafumi Fukuda, Hitoshi Hayano, Takahiro Oyama, Yasuchika Yamamoto, Nobuhiro Terunuma, Shinichiro Michizono (KEK) KEKのSTF(Superconducting RF Test Facility)では超伝導加速空洞の試験用電子加速器があり、ビームラインの最終仕様では平均電流42µAの電子ビームをエネルギー900MeVまで加速する。今回、STF最終仕様の電子ビーム(ビームパワー37.8kW)をビーム走査など特別な操作なく受けられるアルミ合金製ビームダンプを開発した。また本STFビームダンプは2019年3月より運用開始しており、現状のビーム条件(ビームエネルギー270MeV,平均電流300nA)で問題なく動作することが確認された。 今回はこのSTFビームダンプの熱設計や放射線遮蔽体設計、運転状況の概要について報告する。 |
加速器応用・産業利用 (8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
15:20-15:40 | |
FROH08 | フェムト秒電子線パルスを用いた超高速電子線回折と電子顕微鏡の開発 Ultrafast electron diffraction/microscopy with femtosecond electron pulses ○楊 金峰,玄 一貴,菅 晃一,吉田 陽一(阪大産研) ○Jinfeng Yang, Kazuki Gen, Koichi Kan, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) フェムト秒時間領域での原子や分子レベルの超高速構造ダイナミクスの観察は、物質科学研究者の長年の夢であり、新しい物質の創製・機能の発見に重要な役割を果たす。そこで、我々は、高周波(RF)加速器技術を利用した相対論的エネルギーのフェムト秒電子線パルスを発生し、超高速電子線回折と電子顕微鏡の開発を推進している。それを実現するために、RFの非線形成分によるエミッタンスの増大を抑え、最高繰返し1kHzで運転も可能とする新型常伝導RF電子銃を設計・製作し、これを用いたnm-radの極低エミッタンスフェムト秒電子線パルスの発生を行った。電子顕微鏡イメージングでは、大阪大学超高圧電子顕微鏡センターに設置されたメガボルト超高圧透過電子顕微鏡(TEM)レンズ系を活用し、エネルギーが3MeV、パルス幅が100fsの電子線パルスによる金属やポリスチレンなどのナノ粒子のTEM像や微結晶の電子回折図形の観察に成功した。本大会では、超高速電子顕微鏡用のRF電子銃の開発、極低エミッタンスのフェムト秒電子線パルスの発生、それを用いた電子顕微鏡イメージングの成果について報告すると共に、高周波加速器技術を利用した電子顕微鏡の課題と解決策を議論する。 |
15:40-16:00 | |
FROH09 p.202 [Slides] | cERL照射ビームラインのコミッショニング Commissioning of irradiation beam line in cERL ○東 直,島田 美帆,帯名 崇,宮島 司,本田 洋介,山本 将博,中村 典雄,下ケ橋 秀典,森川 祐,松村 宏,豊田 晃弘,吉田 剛,保住 弥紹,原田 健太郎(KEK) ○Nao Higashi, Miho Shimada, Takashi Obina, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Masahiro Yamamoto, Norio Nakamura, Hidenori Sagehashi, Yu Morikawa, Hiroshi Matsumura, Akihiro Toyoda, Go Yoshida, Mitsugu Hosumi, Kentaro Harada (KEK) 高エネルギー加速器研究機構 (KEK)にあるcERLは、ERL原理を実証するための原理実証機であり、これまでに1 mA、20 MeVの電子加速を達成している。現在、cERLの高輝度電子ビームを、産業利用する計画が進行中である。そのうち、核医学診断に用いられる99mTcの原料である99Moの生成と、アスファルトの長寿命化を目指した実験が予定されており、新たに照射ビームラインが建設された。2019年4月の運転では、既存のcERLから枝分かれした照射ビームラインへのbeam transferを行い、照射サンプルが収納されるターゲットチェンバーへの到達を確認、施設検査に合格した。 本発表では、照射ビームラインの最初のbeam commissioningについて報告する。 |
16:00-16:20 | |
FROH10 p.207 [Slides] | 可搬型XバンドライナックX線・中性子源による福島燃料デブリその場U/Pu濃度分析 On-site Fukushima Fuel Debris U/Pu Density Analysis by Portable X-band Linac X-ray/Neutron Sources ○上坂 充,三津谷 有貴(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻),芝 知宙(日本原子力研究開発機構) ○Mitsuru Uesaka, Yuki Mitsuya (University of Tokyo, Nuclear Professional School), Tomooki Shiba (Japan Atomic Energy Agency) 東大原子力専攻と日本原子力研究開発機構では、文科省プロジェクトの中で、可搬型XバンドライナックX線・中性子源による福島燃料デブリその場U/Pu濃度分析システムを構築中である。950keV/3.95MeVX線源による並進角度CTによるX線減弱係数と原子番号との校正関係のデータベースを作成する。一方、3.95MeV中性子源による短距離TOF中性子共鳴吸収分析によって、U/Puの存在を確認する。現在X線CTでの減弱係数と原子番号との校正関係の精度向上を行っている。U/Pu同位体の模擬元素としてそれぞれW/Inを使い、原理実証と、測定可能試料のサイズも明らかにした。共同研究先のUniversity of Sheffield作成のU入り模擬試料での原理実証も、2019年度後半に行う予定である。事前に取得する、X線CTからのX線減弱係数と原子番号の校正関係と、中性子吸収分析から、X線減弱係数と、U/Pu, Fe, Zi,コンクリート等との対応のデータベースを構築する。実際の燃料デブリ取り出し時は、ベルトコンベア等により並進X線CTを高速で行い、得られたX線減弱係数分布から燃料デブリのU/Pu濃度をその場で判定することを提案する。それをもとに、臨界安全管理し、燃料デブリの大きさとU/Pu濃度に応じた、安全収缶を行うシナリオである。また、それらの情報から、炉内の元素分布をクリギングと呼ばれる統計手法を用いて求めていく。 |
16:20-16:40 | |
FROH11 p.211 [Slides] | シンクロトロンからの取り出しビーム軸の安定化 Stabilization of beam axis extracted from synchrotron ○友 亮人,想田 光,遊佐 顕,田代 睦(群馬大重粒子線医学セ) ○Ryoto Tomo, Hikaru Souda, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro (Gunma Univ Heavy Ion Medical Ctr) 群馬大学重粒子線医学センター(GHMC)では炭素線治療装置を用いて2010年3月よりがん患者に対する治療照射を行っている.粒子線治療においてビーム軸は線量分布に影響する重要な要素である.現状,特にエネルギーの低い290MeV/uでの運転時に,シンクロトロンの初期化完了から1分以内で0.5-1.0mm程度と大きくビーム軸が変動することが確認されている.このビーム軸の変動を抑えることによって,さらに安定した治療条件を実現することが可能となる.ビーム軸の変動の要因として電磁石のヒステリシスによるCOD時間変動の影響とスピル内運動量の変動によるDispersionの影響が考えられるが,ビーム軸変動を抑えた新規ビーム光学系を開発するためにビーム軸変動の原因と変動量を定量的に調査する必要がある.そのため,長時間運転時のビーム軸変動量の計測とCODの寄与をなくした際のビーム軸変動の計測を行った.その結果シンクロトロン起動からの30分間でCODが最大1.4mm,治療室内でのビーム軸が1.2mmの変動が生じており,COD時間変動とDispersionの両方がビーム軸変動に関与していることが分かった. MAD8を用いたシミュレーションにより,軌道変化が生じない新規光学系を作成した.シンクロトロン出射直前の四重極磁石S-QF3から治療室までのベータトロン位相進みを3.2π付近にした新規光学パラメータでの試験の結果,シンクロトロン起動からの30分間でのビーム軸の変動量を0.5mm以下に抑えることに成功した. |
16:40-17:00 | |
FROH12 p.214 | 軌道偏心加速器における遅い取り出しシステムの検討 Study on slow extraction system in cotangential trajectory accelerator ○羽江 隆光,青木 孝道,堀 知新,中島 裕人,野田 文章,関 孝義,平本 和夫((株)日立製作所) ○Takamitsu Hae, Takamichi Aoki, Chishin Hori, Yuto Nakashima, Fumiaki Noda, Takayoshi Seki, Kazuo Hiramoto (Hitachi, Ltd.) 粒子線治療向け小型イオン加速器として、エネルギー可変の軌道偏心加速器を開発中である。本加速器は、固定磁場・周波数変調加速方式を用いるため、超伝導コイルが適用可能であり、シンクロサイクロトロンと同等以下に小型化できる。また、本加速器は、サイクロトロン型の螺旋軌道を一方に偏心させて軌道の集約領域を形成し、がん治療に必要なエネルギー帯(陽子70~225 MeV、あるいは炭素150~430 MeV/u)のビームを集約領域より取り出すことを特徴としている。このようなビーム取り出しの実現手段として、集約領域に配置するRFキッカーによる横方向RF電場と、ビーム周回軌道外に配置する固定磁場のピーラ・リジェネレータ磁場を組合わせて用いる取り出しシステムを考案した。この方法によれば、加速電圧の印加時間で取り出しビームのエネルギーを、RFキッカー電圧の印加パターンで取り出しビームのパルス長や線量をそれぞれ制御し得る。よって、シンクロトロンと同様にディグレーダが不要となり、ビームロス及びディグレーダ放射化に伴う不要放射線を低減できる可能性がある。本発表では、考案したビーム取り出し法の原理および必要となる加速器システム構成について述べる。 |
ビームダイナミクス (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
9:30 -9:50 | |
FROI01 | SuperKEKBのにおけるIP Aberrationの原因となるIP近傍のx-y coupling源の特定 Study of the investigating x-y coupling error source near intaraction point of SuperKEKB ○廣澤 航輝(総合研究大学院大学),大見 和史(高エネルギー加速器研究機構) ○Kouki Hirosawa (SOKENDAI (the Graduate University for Advanced Studies)), Kazuhito Ohmi (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) 電子陽電子衝突によるB中間子の物理探索を主な対象とする円形コライダー、SuperKEKBのPhase-3コミッショニングが2019年3月より開始された。SuperKEKBは、ナノビーム方式と大電流化によって高ルミノシティを目指す、ルミノシティフロンティアに携わる加速器であり、衝突点のビーム物理に対して非常に注意深く研究が行われている。2018年度に行われた、Phase-2コミッショニングでは、衝突点における一次のXY結合のビームチューニングを行った。一次のXY結合に関しては調整が成功し、調整前後比で2倍以上の著しいルミノシティの向上が達成された。Phase-3では高次のXY結合とスキュー6極磁場による非線形キックが衝突点ビームに対して大きな擾乱を与え始めることが推測される。実際にPhase-2においても理想的な電流-ルミノシティ分布は得られず、電流値に応じてルミノシティの劣化が確認されている。衝突点βと各エラー源におけるβの比を上げていくに伴ってそれら効果は大きくなるので、Phase-3以降の段階的なβの圧搾を見据えると、早期に調整方法を確立することが非常に重要である。ビームビームシミュレーションによるルミノシティ計算では、運動量の分散に比例するクロマティックXY結合と呼ばれる効果の影響とスキュー6極磁場のpx^2py成分の影響が現状のルミノシティを再現しうるという結果が出ているため、これらを重点的にスキャンし測定と調整を行う。 |
9:50 -10:10 | |
FROI02 p.218 [Slides] | 大強度ハドロンリングのチューンダイアグラム構成法について On the construction of a stability tune diagram for high-intensity hadron rings ○岡本 宏己,小島 邦洸,渡嘉敷 雄士(広島大学) ○Hiromi Okamoto, Kunihiro Kojima, Yuji Tokashiki (Hiroshima University) 円形加速器の動作点はチューンダイアグラム上で単粒子軌道理論が予言する低次共鳴線を避けるよう設定される。大強度ハドロンビームに対しては粒子間クーロン斥力によるインコヒーレントチューンシフトを考慮し、その分布領域(incoherent tune spread)が単粒子共鳴線と重ならない位置に動作点を置くのが長らく業界の一般的ルールとなっている。しかしながら、クーロン相互作用の到達距離を考えれば、密度の高いビームコアを形作る粒子群がインコヒーレントに運動し得ると仮定するのは不自然であろう。これらの粒子群はむしろ集団的に運動するはずである。実際、インコヒーレントな描像に基づくチューンダイアグラムでは自己無撞着な多粒子シミュレーションの結果を上手く説明できない。 1次元の線形ブラソフ理論によれば、大強度ハドロンビームの共鳴不安定帯は単粒子軌道理論が予言する数の2倍存在する。不安定帯の幅はガウシアンビームのインコヒーレントチューン分布領域に比べ明らかに狭く、中心線の単粒子共鳴線からのシフト量もインコヒーレントチューンの二乗平均値未満であると結論されている。本研究では1次元ブラソフ理論の帰結を2次元に拡張し、その妥当性を系統的なPICシミュレーションにより検証した。さらに、提案された2次元コヒーレント共鳴条件を使って、従来の手法とは本質的に異なる、自己無撞着な描像に基づいたチューンダイアグラムの簡便な構成手順を示す。 |
10:10-10:30 | |
FROI03 p.223 [Slides] | J-PARC MRでのウェイク場の時間構造の調査 The investigation on the time structure of the wake field at the J-PARC MR ○小林 愛音,外山 毅,佐藤 洋一,五十嵐 進,吉井 正人,杉山 泰之(高エネルギー加速器研究機構) ○Aine Kobayashi, Takeshi Toyama, Yoichi Sato, Susumu Igarashi, Masahito Yoshii, Yasuyuki Sugiyama (KEK) J-PARC main ring加速器のビーム大強度化のためには加速器中のインピーダンスの理解が不可欠であるが、理論式と合わず、まだわかっていないことが多い。インピーダンスのソースとしては、抵抗性壁効果や入出射機器が挙げられる。そのため、実験や計算、シミュレーションにより、加速器中のインピーダンスの見積もりを行なっている。 実験では、チューンシフトの強度依存性を測定したが、その中で加速器中のバンチ列が不均等か均等であるかによりチューンシフトの傾きに違いがあることを観測した。ビームが誘起するウェイク場の強さがバンチ間距離により変わると考えられる。ウェイク場の時間構造を調べる実験も行った。本稿では、その影響にふれ、チューンシフトのバンチ間隔依存性の考察を行う。 |
高周波源/真空 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
13:50-14:10 | |
FROI04 p.228 | Sバンド7.5MW高効率クライストロンの追加試験結果 Additional test results of S-band 7.5MW high efficiency klystron ○鈴木 健一郎,大久保 良久(キヤノン電子管デバイス株式会社) ○Kenichiro Suzuki, Yoshihisa Okubo (Canon Electron Tubes & Devices Co., Ltd.) キヤノン電子管デバイス(株)では、クライストロンの効率向上を目指して各種の研究開発を実施している。クライストロンの効率を向上させる手法としてCOM、BAC、Kladistron等の手法が知られており、いずれにおいても出力空胴で加速される電子を減らすことを主眼においている。当社ではこれら手法の要素を取り入れた設計を既存のSバンド7.5MWクライストロンに適用することを検討した。従来の設計では5空胴で45%程度の効率であったものを、高調波空胴2個を含む10空胴の設計に置き換えることで60%以上の効率を期待することができることがわかった。この設計において特徴的なことは、パービアンスが1.8uPと高く効率向上には不向きでありながら高効率化していることと、電子銃、集束コイルおよびRF出力回路を既存クライストロンと共通化しているために既存RF源の高効率化が容易なことである。これまでにこの高効率設計を適用した試作クライストロンを2機製作し、2018年の加速器学会年会において59%の効率を確認できたことを報告した。その後、クライストロンの電子ビームを集束している磁場の分布によっては更なる効率向上を見込めることが判明し、追加試験を行った。本発表では集束磁場の最適化を行った場合の試験結果および今後の高効率クライストロンの展開について報告する。 |
14:10-14:30 | |
FROI05 p.232 [Slides] | LIU(LHC入射器アップグレード)-RF共同研究の進捗(2) ‐耐放射線性半導体アンプの開発‐ Status of LIU (LHC Injector Upgrade) RF collaboration -Developments of Rad-Hard Solid-State Amplifier- ○大森 千広,白形 政司,長谷川 豪志,杉山 泰之,吉井 正人(KEK/J-PARC),田村 文彦(JAEA/J-PARC),Paoluzzi Mauro(CERN) ○Chihiro Ohmori, Masashi Shirakata, Katsushi Hasegawa, Yasuyuki Sugiyama, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura (JAEA/J-PARC), Mauro Paoluzzi (CERN) The LHC Injector Upgrade (LIU) aims to improve and to consolidate the injector chain of the LHC for reaching the goals of the HL-LHC. It includes Linac, PS Booster, PS, SPS and heavy ion chains. J-PARC is collaborating with CERN for the replacement of the ferrite-base RF system by new wideband cavity ones in the PS Booster. The installation of the cavity systems has started in the long shutdown, LS2. The wideband cavities are driven solid-state amplifiers and the collaboration also includes the developments of radiation-hard amplifiers. This paper summarizes the status of the collaboration including radiation damage tests of the amplifiers using a radiation test facility in CERN and a beam collimator in the J-PARC MR. |
14:30-14:50 | |
FROI06 p.236 [Slides] | 無酸素Pd/Tiを利用した非蒸発型ゲッターコーティングの開発と電子顕微鏡観察、剥離耐性評価 Development of nonevaporable getter coating using oxygen-free Pd/Ti, electron microscopic observation, evaluation of peeling resistance 宮澤 徹也(総研大),菊地 貴司(高エ機構),土佐 正弘,笠原 章,橋本 綾子,山中 操(物材機構),○間瀬 一彦(高エ機構) Tetsuya Miyazawa (SOKENDAI), Takashi Kikuchi (KEK), Masahiro Tosa, Akira Kasahara, Ayako Hashimoto, Misao Yamanaka (NIMS), ○Kazuhiko Mase (KEK) 非蒸発型ゲッター(nonevaporable getter、 NEG)コーティングは、真空容器内面にNEGを成膜する手法である。真空容器をベーキングするとNEGが活性化して、容器からの脱ガスを抑制するとともに、O2、N2、CO、CO2、H2などの残留ガスを排気する。欧州原子核研究機構(CERN)のC. Benvenutiらが開発したTiZrVを加速管内面にコーティングする手法はCERNで素晴らしい成功を収め、現在では世界中の加速器施設で使われている。しかしながら、活性化において表面酸素をTiZrVの固体内部に拡散させる必要があるため、180℃以上の活性化温度が必要である。また、大気導入と活性化を繰り返すと排気性能が低下する、マグネトロンスパッタ法でコーティングするため大規模な設備と熟練技術者が必要である、などの課題が残されている。そこで我々は新しいNEGコーティング法として、超高真空中でのTiとPdの昇華を用いる無酸素パラジウム/チタン(Pd/Ti)コーティングを開発した。無酸素Pd/Tiは133 ℃程度の活性化で残留H2とCOを排気し、大気導入と活性化を繰り返しても排気速度が低下しない。また、コーティング装置製作コスト、ランニングコストが低く、熟練技術者も要しない。本発表では無酸素Pd/Tiコーティングの詳細と電子顕微鏡による観察結果、剥離耐性評価の結果について報告する。 |
14:50-15:10 | |
FROI07 | PFリングU#19用真空チェンバに施したTi-Zr-V系NEGコーティングの真空特性評価 Characterization of the Ti-Zr-V NEG-coating deposited on the PF-ring U#19 vacuum chamber ○谷本 育律(高エネ研/総研大),野上 隆史(高エネ研),金 秀光,山本 将博,本田 融(高エネ研/総研大) ○Yasunori Tanimoto (KEK/SOKENDAI), Takashi Nogami (KEK), Xiuguang Jin, Masahiro Yamamoto, Tohru Honda (KEK/SOKENDAI) 2018年10月、KEKのPhoton Factory蓄積リング(PFリング)にAPPLE-II型可変偏光アンジュレータ#19(U#19)を設置した。そのU#19用真空チェンバには、PFリングでは初めての試みとなるNon-Evaporable Getter (NEG)コーティングを施した。U#19真空チェンバの詳細な設計と製作については前回発表(WEP114 @PASJ2018)のとおりである。その後、リング内への精密設置やNEGコーティングの活性化を行い、ビーム負荷のない状態で、残留ガス分析計を用いてゲッター作用による排気特性評価を行った。2018年11月からのビーム運転では放射光照射による光刺激脱離ガスを観察し、光焼出し効果による枯れの推移がSynrad&Molflowシミュレーションでの予測とよく一致していること、また、他のアンジュレータ用真空チェンバと同等以上の性能を有していることを確認した。NEGコーティングの良好な真空特性には膜の微細な結晶構造が深く関与していると考えられているため、チェンバへの製膜時に合わせて作製した試料に対して、電界放出形走査電子顕微鏡(FE- SEM)やX線回折(XRD)による表面分析を行い、良質な膜が得られていることも確認した。 |
加速器土木 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホール) | |
15:20-15:40 | |
FROI08 p.240 [Slides] | SPring-8蓄積リングにおけるエクスパンションジョイントの振動減衰効果の調査 Investigation of vibration attenuation by expansion joint in the SPring-8 Storage Ring ○松井 佐久夫(理研) ○Sakuo Matsui (RIKEN) SPring-8では過去の施設で屋根の日射による変形が加速器に影響した経験等をふまえ、床に幅5cm程度の切れ込みを円周上に入れ中に柔軟な樹脂を詰めて(エクスパンションジョイント Exp.)変形の影響を抑える工夫がされている。場所は空調機械室、保守通路、収納部、実験ホール、外周の準備室らの間で、深さは20cm〜1mである。ゆっくりした変形だけでなく振動についても減衰の効果が期待される。振動の伝搬速度が1〜2km/sで振動数100Hzなら波長は10m〜20mとなり、Exp.の下が硬い岩ならこの程度の切れ込みでは効果は期待しにくいようにみえる。しかし実際のExp.の下の堅さには差があり必ずしも剛と言えない。そこでExp.を挟む両側でxyz3方向測定した。特に重要な、空調機械室のポンプの振動が収納部へ伝搬するExp.でスペクトルは例えば上下方向など100Hz以下でも有意に減衰している。空調機械室は4カ所中3カ所のポンプの配置は似ているが、減衰はそれぞれでかなり異なっている。Exp.による減衰は必ずしも振動のエネルギーを消費しているとは言えず、建屋の上部は柱や、場所によっては太いステンレスパイプやゴム管でつながってもいて、他の経路の振動が大きくなる可能性もある。このあたりも含めて、シミュレーションに用いる地盤との結合の硬さのパラメーターを実測から求めるのが現実的で有用だと思われる。 |
15:40-16:00 | |
FROI09 p.245 [Slides] | 北上山地花崗岩体における地中微振動測定 Microtremor measurements in the underground of granite zone in Kitakami Mountains ○松永 裕樹,松下 仁士,井上 竜太,下河内 隆文(竹中工務店),吉岡 正和,佐貫 智行,小貫 勅子(東北大学) ○Hiroki Matsunaga, Hitoshi Matsushita, Ryota Inoue, Takafumi Shimogouchi (Takenaka Corp.), Masakazu Yoshioka, Tomoyuki Sanuki, Tokiko Onuki (Tohoku University) 河川横断部は、岩盤に対する土被りがILC建設予定地の中で最も少ない地域となるため、車両の通行がILC のトンネル内に与える振動影響を事前に把握しておくことが有益である。地表面から地中への振動伝達特性や地中での振動量を把握することを目的として、当該地域において地表面および地中(花崗岩体)の微振動測定を行った。測定は、砂鉄川と国道343号が近接するエリアの国道沿いの敷地にて行い、ボーリング調査、トラックによる衝撃加振、及び微振動測定を実施した。トラックによる衝撃加振は、GL-3.5mまで掘削した時点とGL-10mまで掘削した時点で実施し、地表面から地中への振動伝達特性を評価した。また、ILCのトンネルの土被りが最小の部分を想定し、GL-16m地点までの振動伝達特性を推定した。その結果、GL-10m地点での振動は、GL-16m地点に振動伝搬する間に55%程度低減すると考えられた。車両通行時の振動は、主に鉛直方向の1Hzにおける積分変位を指標として評価した。GL-10m地点において、15分間の平均で最大14.6nm、大型車両が通行した瞬間のデータのみ用いた場合で43.7nmとなった。これに上記の振動低減を加味すると、GL-20m付近では大型車両通行の瞬間以外は10nm 未満の振動環境になるとの予測を得られた。 |
16:00-16:20 | |
FROI10 p.249 [Slides] | ILC北上候補サイト周辺のGNSSによる地盤変動の把握について Research on ground deformation using GNSS around ILC Kitakami candidate site ○関根 一郎,若竹 亮(戸田建設),吉岡 正和,佐貫 智行(東北大学),久保 信明(東京海洋大学) ○Ichiro Sekine, Ryo Wakatake (Toda Corporation), Masakazu Yoshioka, Tomoyuki Sanuki (Tohoku University), Nobuaki Kubo (Tokyo University of Marine Science and Technology) 国際リニアコライダー(ILC)は、政府の関心表明を受け日本への誘致が期待されている。ILCの安定的な運転を確実なものとするためには、地盤の変動がILCに与える影響を把握する必要がある。そのため、国土地理院から発表されている電子基準点のデータの内、ILCの建設候補地と目されている北上花崗岩体近傍に位置する電子基準点のデータについて地盤変動のデータを調べ、地球潮汐の影響、地盤の変動の影響を把握した。さらに、周辺の電子基準点の変位と比較し、ILCに与える影響を検討した。 |
16:20-16:40 | |
FROI11 p.253 [Slides] | J-PARC MRにおける測位センサネットワーク装置と防災用アプリの全域実装 Full-scale implementation of positioning sensor network devices and disaster prevention application in J-PARC MR ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),石井 恒次(高エネルギー加速器研究機構),吉岡 正和(岩手大学、東北大学) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (Tobishima Corporation), Shigeaki Tagashira (Kansai University), Koji Ishii (KEK), Masakazu Yoshioka (Iwate University,Tohoku University) 筆者らは,J-PARCのような大規模な加速器施設における防災システムとして,施設内の研究者,作業者の位置情報,滞在時間および緊急時の双方向情報伝達等を実現するために,測位センサネットワークによる双方向通信と同時測位を実現する安定性・信頼性の高い位置管理システムの研究・開発を進めてきた.昨年は,MR1.6kmの内,500mの区間に9か所のアクセスポイントを設け,加速器の停止期間中定期的に,防災アプリの試験運用を行った.本防災アプリは,使い慣れている「LINE」感覚で利用でき,「メッセージの同時送受信」,「メッセージの送信場所の記録表示」,「メッセージの既読表示」,「ユーザの現在位置の取得」,「ユーザの活動状態監視」等の各種機能が検証できた.また「ローカルな環境で動作可能」を実現し,導入やメンテナンスのハードルを低くすると同時に,高度なセキュリティが必要な施設に対しても対応しやすいアプリを実現している.これまでの研究成果により,J-PARCでの本格適用が決定,さらに厚生労働省の科学研究費補助金の対象研究に採択された.今後,3年間でJ-PARCでの完全運用を目指す.初年度はMRトンネル全周へハードの導入,次年度は本格的な利用を開始してユーザからのフィードバックによる課題抽出,最終年度は安全システムへの組み込み(全入域者への適用)を予定している.ここでは導入計画と目標とする最終成果,波及効果を概説する. |
16:40-17:00 | |
FROI12 p.258 [Slides] | ニューラルネットワークを用いたJ-PARC使用電力量に気象が与える影響の調査 Applying neural networks to investigations of the influence of weather conditions on the power consumption of J-PARC ○野村 昌弘,田村 文彦,島田 太平,山本 昌亘(日本原子力研究開発機構),古澤 将司,杉山 泰之,原 圭吾,長谷川 豪志,大森 千広,吉井 正人(高エネルギー加速器研究機構) ○Masahiro Nomura, Fumihiko Tamura, Taihei Shimada, Masanobu Yamamoto (JAEA ), Masashi Furusawa, Yasuyuki Sugiyama, Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Chihiro Ohmori, Masahito Yoshii (KEK) 加速器の運転における使用電力量は、気温の上昇等により夏場は常に増加傾向にある。近年、夏場の気温はより高まる傾向を示していることから、気象情報から夏場の使用電力量を把握することは、契約電力の観点や節電対策を行う上でも重要になってきている。使用電力量と気象との関係は、加速器施設では多くの冷却設備を有していることから、気温や湿度が高くなれば各機器を冷却する為に使用電力量が増加することは想像できるが、具体的にどのような依存性があるかは調べられていないと思われる。そこで、ニューラルネットワークをある種のフィッティング関数あるいは計算のモデルと考えて、夏場の気象が使用電力量に与える影響についての調査を行なった。具体的には、気温と湿度の情報を入力データ、加速器の使用電力量を教師データとしてニューラルネットワークに学習させ、その学習済みニューラルネットワークを用いて気象が使用電力量に与える影響について調べた。本発表では、ニューラルネットワークを用いた学習結果、得られた使用電力量の気温、湿度の依存性について報告する。 |
技術研修会1 (8月2日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
17:10-18:10 | |
FROHT01 [Slides] | AI/機械学習/深層学習入門 Introduction to AI/Machine Learning/Deep Learning ○中島 悠太(大阪大学データビリティフロンティア機構) ○Yuta Nakajima (Osaka University) いわゆる人口知能(Artificial Intelligence; AI)に関する技術が広く一般に浸透しはじめている。中でも深層学習は、例えば画像中の物体が何であるかを予測する画像認識と呼ばれるタスクのコンペティションにおいて、人の能力を超えたとまでいわれるほど極めて高い性能を示しており、その可能性や柔軟性から現在では多くの分野で関連する研究が進められている。深層学習で使われる個々の技術自体は極めてシンプルなものではあるものの、最新の研究ではそれらを組み合わせて構成される非常に複雑なモデルが利用されており、これから深層学習などを利用したいと考える研究者や技術者にとっての障壁となる可能性もある。 本研修では、深層学習などの技術を自身の研究・業務に取り入れたいと考えるものの、どこから手をつけていいかわからないという方を対象とし、深層学習とはどのようなものか、またその基盤となる要素技術はどのようなものか、について概観する。具体的には、まずAIや機械学習、深層学習と呼ばれる技術の関係を整理した上で、これまでの歴史を振り返りつつ、それまでの技術と深層学習の違いを明らかにする。特に、表現学習と呼ばれる技術のひとつとされる深層学習が、なぜこれほど広く使われるに至ったかについて、あるタスクで学習したモデルの一部を他のタスクにも流用可能であるという点に注目しつつ解説する。続いて、深層学習の基礎となる技術について概観した上で、深層学習で利用するモデルであるニューラルネットワークがレイヤと呼ばれる構成要素を持ち、これを組み合わせることで学習により決定されるパラメータを数多く持つ巨大なものとなることを確認する。一般に機械学習では、多くのパラメータを持つモデルを利用した場合、過学習と呼ばれる問題が生じる。この問題に対して、深層学習で取り入れられている対策について述べる。加えて、多数のレイヤを持つモデルで生じる勾配消失などについても、その原因と対策について説明する。 最後に、講演者自身が取り組む最近の研究を例として、深層学習に関連する最新の話題についても述べるとともに、講演者が核物理分野の研究者と実施している信号識別のタスクを例として、情報学分野の研究者の立場で、核物理分野との共同研究の進めて感じたこと、また、核物理分野と情報学分野の共同研究に期待されるそれぞれの分野への貢献についても述べる。 |
技術研修会2 (8月3日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
9:30-10:30 | |
SAOHT01 [Slides] | Neural Network Consoleと組込ボードSPRESENSEではじめるDeep Learningの活用 Application of Deep Learning using "Neural Network Console" and single board computer "SPRESENSE" ○小林 由幸(ソニー株式会社) ○Yoshiyuki Kobayashi (Sony) 深層学習(Deep Learning)とは、人間の脳の構造をコンピュータ上に模したニューラルネットワークをベースに発展の続く機械学習手法である。2011~12年には音声認識や画像認識の分野で従来の機械学習手法を大きく上回る性能を実現したことで、多くの研究者の注目を集めることになった。以後も深層学習を用いた認識技術は指数関数的な性能向上を続け、2015年頃から様々な課題で人の認識性能を上回る例が報告されるようになった。 深層学習は学習に用いるデータの数を増やせば増やすほど高い性能が得られるという特性を持つことから、今後も指数関数的な性能向上傾向は継続することが予想される。 また、深層学習は汎用性の高い技術でもある。実際ニューラルネットワークへの入出力データを変更するのみで、データの分類、翻訳、データ生成など様々な知的機能を実現することができる。例えば加速器の分野においては深層学習を予測問題、異常検知、制御問題に適用することで、従来手法や人と比較してより高い予測、異常検知性能、精密な制御性能の実現が期待できる。 深層学習が極めて高い予測性能を実現できる理由は、大量のデータから学習された無数のニューロンを用い、シンプルな数式や文章では説明できないほど複雑な事象をモデル化できるからである。その代償として深層学習により得られるモデルはブラックボックスであり、学習や予測結果の説明性が低いことから、説明性が重要となる分野での研究開発には向かないという指摘もある。しかしながら、より高品質、高性能なものを実現するという目的に立ち返れば、説明性よりも高い予測精度の方が研究開発の進捗のために有効に働くシーンも多い。深層学習は技術開発のありかたそのものを変える可能性を秘めた技術であるとも言える。 深層学習は高い性能と汎用性を提供する最先端の技術でありながら、その利用環境も急速に整いつつある。ソニーでは2010年より、増え続けるニーズに対応する深層学習の技術者を早期に育成するため、あるいは限られた数の専門家で効率的に多数の案件をこなすため、深層学習を用いた研究開発を効率化するソフトウェア環境の整備を続けてきた。本研修会で紹介する「Neural Network Console」は、Pythonによるプログラミングを行うことなく本格的な深層学習応用技術の開発を行うことができる深層学習の統合開発環境である。また、「SPRESENSE」はNeural Network Consoleで学習したモデルを簡単に動作ことができるボードコンピュータである。実際今日既に「Neural Network Console」「SPRESENSE」を用いることで、深層学習の専門知識をほとんど持たない初心者でも、具体的応用につなげることが可能である。深層学習は最先端であると同時に、従来の機械学習技術と比較しても活用が容易な技術であると言える。 本研修会では「Neural Network Console」「SPRESENSE」を用いながら、予測、異常検知、制御といった問題への深層学習の実践的な活用方法について解説する。 |
企画セッション (8月3日 百周年時計台記念館 百周年記念ホール) | |
10:40-10:50 | |
SAOHK01 | テーマ:「加速器中性子源の現状と展望」 ~新たなイノベーション創出にむけた中性子科学と加速器科学の融合~ 趣旨説明 Introduction ○岩下 芳久(京都大学) ○Yoshihisa Iwashita (Kyoto University) 世界有数の能力をもつJ-PARC中性子源により、近年中性子を利用した科学推進が活発になってきています。一方で小型加速器中性子源は、その機動性の高さや運用の容易さ等から、J-PARCのような大型施設との相乗効果で中性子科学分野の裾を大きく広げることが期待され、合理的なデザインパラメーターでの設計が重要になってきています。この構築の最適化のため、最近、中性子科学会から加速器学会へ連携が申し込まれ、加速器学会側でタスクフォースが設けられました。今回、お互いの相互理解と、ニーズとシーズのマッチを目論み、既存加速器中性子源の現状、実務経験、中性子利用の現場からの講演を4名の講演者にお願いしました。最後に、短いですがパネルディスカッションの時間を設けました。 |
10:50-11:10 | |
SAOHK02 | 小型加速器中性子源の現状と今後に向けて Present Status and Future of Compact Accelerator-driven Neutron Sources ○広田 克也(大阪大学) ○Katsuya Hirota (Osaka University) 中性子ビームの利用はこれまでの研究用原子炉やJ-PARCなどの大型加速器を用いた中性子利用だけでなく、50MeV程度以下の小型の加速器を用いた中性子利用が展開されつつある。主な利用は中性子散乱などを利用した物性(学術)目的、癌治療などの医療目的、半導体素子の放射線耐性(ソフトエラー)計測などである。特に近年になって計測機器の高感度化に伴って研究・計測目的での小型加速器中性子源の利用が広まってきている。それぞれの目的に応じて利用する中性子のエネルギーや時間構造が異なるため、中性子発生に利用する加速器においてもそれぞれの利用に応じた加速器を選択する必要がある。本講演ではこうした日本や世界での小型加速器中性子源の現状や、施設間ネットワーク構想などに関しての紹介を行う。 |
11:10-11:30 | |
SAOHK03 | 陽子線加速器を用いた小型中性子源 ~理研小型中性子源RANSの立ち上げ時の経験から~ Compact accelerator-driven neutron source - experience learned from RANS construction- ○山形 豊(理化学研究所) ○Yutaka Yamagata (RIKEN) 理研小型中性子源RANSは、2013年より中性子ビーム出力を開始しており、中性子ラジオグラフィー、大型構造物の非破壊検査、即発γ線分析、中性子回折散乱実験、中性子検出器や中性子光学素子などの開発も含めた様々な用途に利用されている。RANSは、7MeVの陽子線線形加速器を採用しているが、立ち上げにあたっては、様々な中性子発生手法や加速器形式の検討が行われた。加速器の選定にあたっては、パルス中性子源としての性能に大きく影響を与えるビームのピーク電流と平均電流、パルス幅、繰り返し周波数等を検討した。また、陽子線を使う際のBeターゲットのブリスタリングの課題を解決するために、水素拡散性基材を用いたターゲットを新たに開発した。こうした経験から、小型中性子源、特に陽子線を用いた小型中性子源に求められる加速器の性能要件や運用時の特性などについて述べる。 |
11:30-11:50 | |
SAOHK04 | 電子線加速器を用いた小型中性子源での産業利用紹介と加速器への要望 Industrial applications and requirements for accelerators related to compact electron accelerator-driven neutron sources ○木野 幸一(産業技術総合研究所) ○Koichi Kino (AIST) 電子加速器を用いた小型中性子源は、日本国内では北大HUNSや京大KURNSが古くから稼働し現在も活躍している。加えて最近産総研施設内にも中性子源が構築されつつあり[1,2]、年内の稼働が予定されている。産総研設置の中性子源では、特に産業利用に注力しており、自動車などの輸送機器の軽量化に貢献すべく構造材料の分析などを行う予定である。これら3施設は、電子加速器から供給できるパルス状の電子ビームに起因したパルス状の中性子ビームを活用している。電子加速器を用いた小型中性子源は、低エネルギー陽子加速器中性子源に比べて、高い強度で時間幅が狭いパルス中性子ビームを発生するのに適している。この特性を活用して、産総研設置中性子源はパルス中性子ビームによる中性子波長分解型透過イメージングに最適化されており、様々な結晶情報について、試料である構造材料を組み上げたままでイメージングできる。このように電子加速器駆動の小型中性子源は有用である一方、電子加速器はサイズが大きくなる事や高価になる事も否めず、普及の障壁となっている。本講演では、電子加速器を用いた小型中性子源の特徴や、産総研設置の装置とその産業利用を紹介するとともに、更なる普及に必要な加速器側への要望についても議論したい。産総研設置の中性子源の構築は、産業技術総合研究所が新構造材料技術研究組合に参画して進められています。また、この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業革新的新構造材料等研究開発の結果により得られたものです。[1]産総研ニュース https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20170801.html [2]K. Kino et al., Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, A 927 (2019) 407–418. |
11:50-12:10 | |
SAOHK05 | 中性子利用研究の現状 Current status of neutron application study ○篠原 武尚(原子力機構J-PARC) ○Takenao Shinohara (JAEA/J-PARC) 中性子線を利用した研究において、これまでは研究用原子炉がその中心的役割を果たしてきたが、大強度の加速器中性子源の実現により、世界的にも中性子利用研究環境が加速器施設にシフトしつつある。国内においては小型加速器中性子源の建設が進むことで、より一層の中性子利用研究やユーザー層の拡大に繋がることが期待され、その普及が強く望まれており、大型施設と小型施設の連携が中性子利用研究の発展に大きく貢献すると考えられている。 現在、J-PARCの物質・科学研究施設には21台の中性子実験装置がユーザー利用を開始しており、物質・材料科学研究、基礎物理研究、産業利用等において幅広く活用されている。本講演ではJ-PARCでの中性子利用研究の現状について紹介し、加速器中性子源の活用について述べる。 |
12:10-12:30 | |
SAOHK06 | パネルディスカッション Panel discussion ○岩下 芳久(京都大学) ○Yoshihisa Iwashita (Kyoto University) パネルディスカッションでは中性子側からの問題提起と、それに対する簡単な質疑応答を計画しています。会場からの積極的な質問やご意見もお待ちしています。 |
加速器制御 (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
13:30-15:30 | |
WEPH001 p.262 | Zynq評価ボードを用いたEventReceiverの開発 Development of event receiver on Zynq evaluation board ○杉村 仁志(KEK加速器) ○Hitoshi Sugimura (KEK Acc) SuperKEKB加速器ではタイミング制御システムとしてMRF社が開発したEventTimingSystemを用いている。本研究ではタイミング発生モジュール(EventGenerator)から送信されるEvent情報をZynq評価ボード(PicoZed)を利用して受信することに試みた。EventGeneratorから送信されるシリアルデータはGTXトランシーバにより受信される。GTXが搭載されたFPGAはVirtexシリーズやKintex7などがある。同様にしてZynq7000においても7030や7040系のFPGAはPL部がKintex7と同等のためGTXが搭載されている。さらにZynqを利用することでARMCore上でLinuxを走らせることが可能なため、EPICS IOCを立てることでボード内のみで制御系を完成させることができる。これらの研究はBPMやRFシステムなどとの融合も視野にいれて行った。 |
13:30-15:30 | |
WEPH002 p.265 | F3RP71を使用したSuperKEKBにおける真空制御 Vacuum control system based on F3RP71 for SuperKEKB. ○芳藤 直樹(東日本技術研究所),石橋 拓弥,小田切 淳一,佐々木 信哉,中村 達郎,照井 真司(高エネ研),中村 卓也(三菱電機システムサービス) ○Naoki Yoshifuji (East Japan Institute of Technology Co., Ltd.), Takuya Ishibashi, Jun-ichi Odagiri, Shinya Sasaki, Tatsuro Nakamura, Shinji Terui (KEK), Takuya Nakamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) 現在SuperKEKBは本格的な物理解析のためのデータ取得となるPhase3コミッショニング中である。SuperKEKBにおける制御システムは、制御ソフトウェアツールキットであるEPICSを利用して構築している。同制御システムでは、横河電機社製FA-M3コントローラ(PLC)が多用されている。FA-M3にはLinuxをOSとしたCPUモジュールであるF3RP61があり、IOCとして利用する事が可能である。このIOCを使用している制御システムのうちの1つに真空制御システムがある。真空制御システムでは、より高度な制御を求められるPhase3への移行に伴い、モニタする信号点数の追加と制御アプリケーション機能の追加が必要になった。その結果、アプリケーション実行に必要なF3RP61のハードウェア資源の不足が生じた。そのためPhase3では、今後の更なるモニタ点数の追加や制御アプリケーション機能の追加にも耐えられるよう、F3RP61より高性能な後継機であるF3RP71に置換えることにした。試験的にF3RP71を真空制御システムに1台導入し、動作状況を監視しているが、現在までの運転の結果、安定して動作している。 本稿ではF3RP71の真空制御システムでの実運用における使用実績について報告する。 |
13:30-15:30 | |
WEPH003 p.268 | Raspberry Piを用いたCAMAC制御システムの開発 Development of CAMAC control system using Raspberry Pi ○田丸 哲也(関東情報サービス(株)),内藤 孝(高エネルギー加速器研究機構),坂入 崇(アイワックサービス) ○Tetsuya Tamaru (Kanto Information Service (KIS)), Takashi Naito (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)), Takashi Sakairi (Iwac Service) KEKの先端加速器試験施設(ATF)では加速器制御にCAMACが使われており、50台を超えるCAMACクレートは、Lecroy社製5211A光リンクを用いたシリアル通信で接続されている。このシステムは1990年代に構築された古いもので、光リンクの安定性に問題があり、しばしば運転に支障をきたす事があった。それに代わるものとして、Linuxを搭載したネットワーククレートコントローラー(東陽テクニカ社製CC/NET)があるが、すでに生産中止となっている。そこで高機能かつ安価で小型なRaspberry Piに注目し、Raspberry Piを用いたCAMAC制御システムを開発し、ATFの制御を(一部のCC/NETを除き)全て置き換えた。本発表ではATF制御に関する現状と今後の展望を報告する。 |
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WEPH004 p.271 | J-PARC LinacおよびRCSのMPSモジュールの更新 Update of MPS modules for J-PARC Linac and RCS ○高橋 博樹,澤邊 祐希,林 直樹(日本原子力研究開発機構),西山 幸一(新生電子株式会社),鈴木 隆洋,石山 達也(三菱電機システムサービス株式会社) ○Hiroki Takahashi, Yuki Sawabe, Naoki Hayashi (JAEA), Koichi Nishiyama (Shinsei Electronics Co. Ltd.), Takahiro Suzuki, Tatsuya Ishiyama (Mitsubishi Electric System & Service Co. Ltd.) J-PARC LinacおよびRCSは大強度の加速器である。そのため、加速器を構成する機器に異常が発生した場合、通常の軌道から外れた大強度ビームの機器への衝突や、大きなビームロスが発生する。よって、異常発生における、加速器本体が多大なダメージや放射化を、最小限にすることが重要である。 そこで、異常が発生した際に高速にビームを停止させ、ビームによる影響を最小限にすることを目的とした機器保護システム(Machine Protection System: MPS)が構築されている。 一方で、MPSを構成する既存MPSモジュールは、J-PARC稼働初期から使用されており、その経年化による動作不具合の発生が懸念されている。よって、加速器の安定した運転を維持するためには、MPSを構成するモジュールの計画的な更新(交換)を行うことが重要である。しかしながら、既存モジュールの再製作においては、主要部品の生産中止に伴う部品変更が必要不可避となっており、再設計が必要となっている。 そこで、既存MPSモジュールの基本機能を有し、且つ、既存MPSインターフェースとの互換性を有するMPSモジュールを開発し、MPSの更新を進めることとした。 本件では、LinacおよびRCSにおけるMPSモジュールの更新状況及び計画について報告する。 |
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WEPH005 p.275 | J-PARC Main Ring 向けRaspberry PiとXBee(近距離無線)で組んだ放射線モニタ Radiation dose monitor system based on Raspberry Pi and XBee for J-PARC Main Ring ○杨 敏(総研大 加速器科学),山本 昇,上窪田 紀彦(高エネ研 東海キャンパス) ○Min Yang (SOKENDAI Accelerator Science), Noboru Yamamoto, Norihiko Kamikubota (J-PARC/KEK) The real-time radiation dose monitor system is developed in J-PARC to realize quick feedback of irradiated dose upon individual workers in radiation environment, especially in accelerator tunnel. The system is based on EPICS, and the system hardware is mainly composed of Raspberry-pi and Xbee wireless communication module. The system designed the monitor function which can transfer the radiation dose value from dose meter to local PC wirelessly in a distance. The system has been tested in the J-PARC Main Ring tunnel, and the result shows the advantages and disadvantages of this system in the radiation environment. |
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WEPH006 p.279 | J-PARC MRにおけるEPICSを用いたSoft-MPSの実装と運用 Development and operation of the EPICS-based Soft-MPS in J-PARC MR ○佐藤 健一,木村 琢郎,山田 秀衛,上窪田 紀彦,山本 昇(高エネ研/J-PARC),吉田 奨(関東情報サービス) ○Kenichi Sato, Takuro Kimura, Shuei Yamada, Norihiko Kamikubota, Noboru Yamamoto (KEK/J-PARC), Susumu Yoshida (KIS) J-PARC MRにおいて、ビームを自動的に停止する仕組みとしてMPSがある。通常のMPSはインターロック信号をハードワイヤによる配線によって受け付けているが、今回導入した「Soft-MPS」はインターロックに相当するいくつかのEPICSレコードを監視することで配線の代わりとする。Soft-MPSでは1台のPLCコントローラがEthernet経由で複数のEPICSレコードの状態を監視し、生成した(ソフトではない)実信号をインターロック信号の一つとしてMPSユニットに出力する。Soft-MPSを導入した理由は大きく分けて2種類ある。(1) MPSへ素早く組み込むため。この場合は一時的措置とみなし、機器側の準備が出来次第ハードワイヤ方式に切り替える。(2) ハードワイヤでは提供できない加速器パラメータを利用するため。例えば、MRの運転モードやビームのバンチ情報などである。Soft-MPSは2018年春に運用が開始され、現在では9個のSoft-MPSが運用されている。将来的にSoft-MPSの導入が多数展開されると予想されるが、導入にあたっての方針を議論する必要がある。 |
高周波源 (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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WEPH007 | イグナイトロン代替半導体スイッチの開発 Development of semiconductor switch for replacing Ignitrons ○森 均,中山 響介,徳地 明((株)パルスパワー技術研究所),高柳 智弘(J-PARC/JAEA) ○Hitoshi Mori, Kyosuke Nakayama, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Lab.), Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA) 水銀を使用する放電管イグナイトロンは、連続波および長パルス大電力クライストロンのカソード電源回路の短絡保護用クローバースイッチとして使用されており、これを代替する半導体スイッチの開発に着手している。10kA/μsオーダーのdi/dt値、数十kAのピーク電流値は半導体スイッチにとって厳しい仕様であり、サイリスタ素子の16並列接続で対応する。今回プロトタイプとして3直列3kV用の基板を製作し性能評価試験を行ったので、その結果について報告する。 |
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WEPH008 p.283 | 238MHz42kWパルス半導体高周波増幅器の開発 Development of 238-MHz 42-kW solid-state pulse RF amplifier ○福岡 翔太,熊澤 伸彦,奥山 恒幸,相澤 修一,佐藤 和行(日本高周波),安積 隆夫(理化学研究所/高輝度光科学研究センター/量子科学技術研究開発機構),稲垣 隆宏(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),大竹 雄次(高輝度光科学研究センター) ○Shota Fukuoka, Nobuhiko Kumazawa, Tsuneyuki Okuyama, Shuichi Aizawa, Kazuyuki Sato (Nihon Koshuha Co., Ltd.), Takao Asaka (RIKEN/JASRI/QST), Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Yuji Otake (JASRI) 次世代放射光施設として高輝度3GeV放射光リングの計画が進められている。入射用線形加速器では、低エミッタンス蓄積リングへの入射を実現するため、安定でかつ再現性に優れた高品質ビーム生成が要求される。低エミッタンスビームを生成するための電子銃システムとして、50kV熱電子銃と238MHz加速空洞を組み合わせたRF電子銃を検討している。今回、低エミッタンスビームの実証実験で使用する238MHz加速空洞の電力供給源である42kW半導体増幅器を製作した。本増幅器は、電源部、高周波部、制御部から構成され、特に電源部においては低雑音化回路を用いることで高い安定性のRF出力を実現する。高周波部は、複数半導体を使用した数段の増幅素子から成る半導体増幅モジュールから構成される。総数36個の半導体増幅モジュールのRF出力は、リエントラント型電力合成器により電力合成し、ピーク電力42kW、パルス幅100μsのRFを出力する。本報告では、高周波増幅器設計の詳細、及びダミーロードを用いた負荷試験の結果について述べる。 |
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WEPH009 p.288 | クライストロン電源の火災対策の検討 Consideration of fire measure of klystron power supplies ○川村 真人,中島 啓光,夏井 拓也,松本 修二,本間 博幸,明本 光生(高エネ研),今井 康雄,東福 知之,馬場 昌夫,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)) ○Masato Kawamura, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Shuji Matsumoto, Hiroyuki Honma, Mitsuo Akemoto (KEK), Yasuo Imai, Tomoyuki Toufuku, Masao Baba, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) 4月3日夜、KEK電子陽電子入射器棟・加速管組立室において火災が発生した。火元はクライストロン用パルス電源のPFNコンデンサであった。火災後の処理の結果、入射器用の再立上げは19日後の4月22日から始まり、SuperKEKBへの入射再開は22日後の4月25日であった。KEK電子陽電子入射器はテストステーションを含めると約60台のクライストロン電源を終夜連続運転しており、今回の経験を生かした検討が求められている。本報告では、主にKEK電子陽電子入射器用クライストロン電源について、再立上げまでの対応、今夏までの運転対応、今後についての検討の現状について報告する。 |
LLRF (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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WEPH010 p.291 | cERL 9 セル空洞のマイクロフォニックスの状況 Status of microphnics on cERL nine-cell cavities ○邱 丰,三浦 孝子,松本 利広,阪井 寛志,梅森 健成,許斐 太郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Feng Qiu, Takako Miura, Toshihiro Matsumoto, Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Taro Konomi (KEK) In the main linac (ML) of the KEK-cERL, two nine-cell superconducting cavities (ML1 and ML2) with very high loaded Q (Q_{L}>1e7) are operated in continuous wave (CW) mode. Because of the narrow bandwidth of these cavities, the microphonics detuning have a significant impact on the achievable field stability and rf power requirements. In this paper, we have analyzed the microphonics performance of the ML cavities. According to our study, the performance of the microphonics on ML1 cavity suffered from degradation after year 2016. On the other hand, the ML2 cavity always maintains good performance in the past five years. |
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WEPH011 p.295 | KEK STF-2 加速器のLLRF制御系の状況 Status of low-level rf control system for STF2 accelerator at KEK ○松本 利広(KEK/総研大),荒川 大,片桐 広明(KEK),チュウ フェン,松本 修二,三浦 孝子(KEK/総研大),矢野 喜治(高エネ研) ○Toshihiro Matsumoto (KEK/SOKENDAI), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri (KEK), Feng Qiu, Shuji Matsumoto, Takako Miura (KEK/SOKENDAI), Yoshiharu Yano (KEK) KEKの超伝導RF試験施設(STF)棟では、国際リニアコライダー(ILC)の実現に向けて超伝導空洞を用いた線形加速器(STF2加速器)の開発・構築を進めており、2019年2月から3月にかけて初めてのビーム試験が行われた。このSTF2加速器は、3台の運転周波数1.3GHz、繰り返し5Hz、RFパルス幅1~1.65msの高周波源を持ち、常伝導のRF電子銃空洞、2台の超伝導空洞、8台の超伝導空洞へマイクロ波を供給する構成となっている。これら高周波源は、デジタル信号処理のよるフィードバック制御を実装した低電力RF(LLRF)系を持ち、空洞内の加速電場の振幅・位相を一定にすることで安定なビーム運転を実現している。 本発表では、STF2加速器での安定なビーム試験のために構築したLLRF制御系について報告を行う。 |
真空 (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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WEPH012 p.298 | SuperKEKB真空システム用HOM吸収体で用いるSiCセラミックスのハイパワー試験 High power test of the SiC ceramics used in the HOM absorbers for SuperKEKB vacuum systems ○榎本 瞬,照井 真司,石橋 拓弥,竹内 保直,渡邉 謙,白井 満(KEK) ○Shun Enomoto, Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Yasunao Takeuchi, Ken Watanabe, Mitsuru Shirai (KEK) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)のSuperKEKB加速器では、現在フェーズ3の運転が順調に行われている。その中で今後ビーム電流の増加に伴い、ビーム衝突点付近では高次モードの高周波(HOM)による進行方向のビーム不安定性や真空圧力の跳ねが懸念されている。 現在KEKでは、その対策として真空ベローズに置き換わるHOM減衰器付きの真空チェンバーの開発を計画している。 HOM吸収体は、KEKB加速器のARES空洞・溝付きビームパイプで用いられた実績のある炭化珪素(SiC)ブロックと同等のものを用いる。ハイパワー試験は、衝突点付近でトラップされることが予想される高周波領域で行い、シミュレーション(CST MW STUDIO)と比較し、性能評価を行った。 本発表では、HOM減衰器に用いるSiCブロックのハイパワー試験、SiCと銅のろう付け試験、およびSiCブロックのガス放出率測定などの試験計画について報告を行う。 |
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WEPH013 p.302 | J-PARCハドロンHigh-Pビームラインのための大伸縮型ピローシールの開発 Development of a long-stroke pillow-seal for the J-PARC Hadron High-P beamline ○倉崎 るり,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵理奈,皆川 道文,森野 雄平,山野井 豊,渡邉 丈晃(KEK) ○Ruri Kurasaki, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロン実験施設では新しいビームライン(high-Pビームライン)を建設している。 1次陽子ビームの分岐はスイッチヤード(以下SY)傾斜区間で行われ、分岐部近傍は新たに高放射化エリアとなる。 SY傾斜区間ではメンテナンスの際に電磁石やビームモニタ等の機器をクレーンを使用して鉛直方向へ取り出すため、ピローシール前後機器の間隔を大きくする必要がある。 そこでピローシールのダイアフラム付フランジ位置を伸縮させるためのベローズの山数を大幅に増やすことで、ピローシール伸縮長を従来の9mmから30mm以上に改良した大伸縮型ピローシールを設計した。 設計した大伸縮型ピローシール実証機を製作し5000回伸縮試験も実施し十分な気密量が得られたため、実機をビームラインに設置しビーム運転を行った。 本発表では大伸縮型ピローシールの設計と5000回伸縮試験の結果、実機の評価について報告する。 |
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WEPH014 p.307 | SRILACにおけるNEGポンプを用いた差動排気システム Non-evaporable getter-based differential pumping system for SRILAC ○今尾 浩士,上垣外 修一,坂本 成彦(理研仁科センター) ○Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Naruhiko Sakamoto (RIKEN Nishina center) 理研仁科加速器研究センターでは超重元素研究(119番以上の新元素の発見など)をより強力に推進すべく、超電導線形加速器(SRILAC)によってイオンビームを大強度化・高エネルギー化する計画を進めてきた。SRILACにおいては超電導加速空洞そのものの研究開発と共に、必要な真空の圧力やパーティクル環境が全く異なる既存の線形加速器(RILAC)とビーム輸送系内への設置とその運用方法が未知の挑戦課題となる。我々はSRILACの上下流の常温領域に配置し、環境の違いを緩和するための差動排気系の開発を行った。非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプを主として用いた3段階の差動排気により直径40 mmのビームアパーチャを確保しつつ、僅か75 cmの領域で既存BT系の圧力(10^-5-10^-6 Pa)から超電導空洞に必要な超高真空(<10^-8 Pa)への接続を実現する。パーティクルの飛散を抑え、除去するための静電集塵機と不測の事態から装置を保護する速断バルブを有している。本学会では装置の概要と性能試験の結果について発表する。 |
加速器応用・産業利用 (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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WEPH015 p.312 | cERLにおけるRI製造、電子線照射ラインの建設と照射試験報告 Construction and first beam test of the new industrial application beamline at cERL in KEK for the RI production and electron beam irradiation ○森川 祐,原田 健太郎,山本 将博,芳賀 開一,萩原 雅之,東 直,本田 洋介,本田 融,保住 弥紹,神谷 幸秀,河田 洋,小林 幸則,松村 宏,満田 史織,三浦 太一,宮島 司,長橋 進也,中村 典雄,濁川 和幸,野上 隆史,帯名 崇,加藤 龍好,下ヶ橋 秀典,阪井 寛志,島田 美帆,多田野 幹人,高井 良太,髙木 宏之,田中 織雅,谷本 育律,豊田 晃弘,内山 隆司,上田 明,梅森 健成,舟橋 義聖(KEK) ○Yu Morikawa, Kentaro Harada, Masahiro Yamamoto, Kaiichi Haga, Masayuki Hagiwara, Nao Higashi, Yosuke Honda, Tohru Honda, Mitsugu Hosumi, Yukihide Kamiya, Hiroshi Kawata, Yukinori Kobayashi, Hiroshi Matsumura, Chikaori Mitsuda, Taichi Miura, Tsukasa Miyajima, Shinya Nagahashi, Norio Nakamura, Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Nogami, Takashi Obina, Ryukou Kato, Hidenori Sagehashi, Hiroshi Sakai, Miho Shimada, Mikito Tadano, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Olga Tanaka, Yasunori Tanimoto, Akihiro Toyoda, Takashi Uchiyama, Akira Ueda, Kensei Umemori, Yoshisato Funahashi (KEK) cERLでは産業利用を目指してRI製造と電子線照射ラインの建設が行われ、4月に施設検査に合格、その後、電子線照射のための予備実験が行われた。6月に実際にRI製造およびアスファルト改質のための電子線照射実験が行われる予定となっている。ここでは、ビームライン建設とその立ち上げ、初回の試験的な照射実験の結果について報告を行う。 |
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WEPH016 p.317 | 空間変調電子ビームを用いたコヒーレントチェレンコフ放射の準単色化に関する研究 Study on quasi-monochromatic coherent Cherenkov radiation using spatially modulated electron beam ○村上 達希,ブラメルド 真理,蓼沼 優一,沈 奕瑋,鷲尾 方一(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研),黒田 隆之助,平 義隆(産総研) ○Tatsuki Murakami, Mari Brameld, Yuichi Tadenuma, Yiwei Shen, Masakazu Washio (WISE, Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC,the Univ.of Tokyo), Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira (AIST) THz波は電波と光波の中間の周波数帯の電磁波を指し、その特徴として物質に固有な指紋スペクトルや物質透過性、低エネルギーであることなどが挙げられる。また、これらの特徴から様々な応用が期待されているが、他の周波数帯と比べ検出器や光源の性能が劣っているのが現状である。そのため、鷲尾研究室では加速器システムを用いた電子ビームによるTHz波の生成実験を行っている。電子ビームを媒質に照射することによってチェレンコフ放射によりTHz波が発生する。この放射角度は媒質の屈折率から決まるため、電子ビームに適切な傾きを付与することでコヒーレントなTHz波を得ることができる。今回は空間変調電子ビームを用いた準単色なTHz波の生成を検討する。ビームラインにマルチスリットを挿入すると電子ビームを櫛状に空間変調できる。このとき、空間変調電子ビームのそれぞれの櫛状電子からTHz波が発生するため、櫛状電子の間隔にあった波長を持つ波の強度のみが増大する。よってスリット幅を変更することにより、任意の波長の波のみを強めることができる。そこで、異なるスリット幅を持つマルチスリットを用いてTHz波を生成し、バンドパスフィルタにより周波数毎に強度を測定することで比較を行った。本発表では櫛状空間変調電子ビームの間隔と対応する周波数の関係及び今後の展望について報告する。 |
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WEPH017 p.321 | cERL電子線照射部における標的冷却システムの開発 Development of target cooling system in cERL electron beam irradiation section ○森川 祐,山本 将博,保住 弥紹,原田 健太郎,井上 均,松村 宏,濁川 和幸,野上 隆史,多田野 幹人,豊田 晃弘,内山 隆司(高エネルギー加速器研究機構) ○Yu Morikawa, Masahiro Yamamoto, Mitsugu Hosumi, Kentaro Harada, Hitoshi Inoue, Hiroshi Matsumura, Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Nogami, Mikito Tadano, Akihiro Toyoda, Takashi Uchiyama (KEK) cERLでは加速器の産業利用を目指した電子線照射ラインが建設され、2019年6月よりRI製造やアスファルト改質試験を予定している。本ビームラインでは最大エネルギー17.6MeV、最大電流10µAの電子ビームが照射可能であるが、被照射試料(標的)側ではビーム入射により生じる熱を除去する必要がある。また「RI製造を行うため標的は密閉構造中に置く」などの構造的条件もある。 そこで密閉構造を維持した標的冷却方法として、間接冷却するシステムを開発した。開発においては冷却システムの性能実証のため、電子ビーム溶接機を熱源として利用した模型試験も行った。アルミ合金の軟化温度200℃をカプセルの運用限界とすると、模型試験の結果から1kW程度の入熱でも運転可能であることが確認された。また、本冷却システムはカプセル封入できれば形状や標的の状態は問わず利用可能であり、多様な照射実験に応用できる。今回は本冷却システムの熱設計や模型試験、運用状況について報告する。 |
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WEPH018 p.326 | 11Cによる診断と同時進行のがん治療に向けたイオンの質量分析システム Mass analyzer system oriented for simultaneous cancer treatment with imaging by 11C ○野田 章,片桐 健,北條 悟,杉浦 彰則,宮原 信幸,涌井 崇志,白井 敏之,野田 耕司(量研機構/放医研),グリーザー マンフレッド(マックスプランク原子核研究所) ○Akira Noda, Ken Katagiri, Satoru Hojo, Akinori Sugiura, Nobuyuki Miyahara, Takashi Wakui, Toshiyuki Shirai, Koji Noda (QST/NIRS), Manfreed Grieser (MPIK) With the positron emission, 11C can be utilized for OPENPET (PET system composed of separate double rings). With the projectile fragment scheme, ion beam intensities up to 10E5 / pulse and insufficient S/N ratio could be attained. So as to improve such situation, we have investigated a re-acceleration of the produced 11C with a nuclear reaction. In the first step about 10E11 11CO2+ ions are produced by irradiating a target with 18 MeV protons of 18 microA, delivered from a cyclotron. After the 11C production the carbon dioxide is ionized to a single charge state (11CO2+) and then mass analyzed with the use of a magnet separator and then charge breeding to 11C4+/5+ with intensity of ~10E10 (Isotope Separator On-Line (ISOL)) will be done. Currently we are considering such a system consisting of a small size cyclotron combined with a 11C molecule production/separation system (CMPS) , a single charge ion source (SCIS) and a following analyzer. Mass separation with a resolution better than 1/44, will be realized with a double focusing dipole magnet. In the present paper we describe the mass analyzer for 11CO2+ separation consisting of a single double focusing magnet in detail. |
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WEPH019 p.330 | 山形大学医学部東日本重粒子センター建設の現状 Construction Status of East Japan Heavy Ion Center, Faculty of Medicine, Yamagata University ○想田 光,金井 貴幸,宮坂 友侑也,家子 義朗,岩井 岳夫,根本 建二,山下 英俊,嘉山 孝正(山形大) ○Hikaru Souda, Takayuki Kanai, Yuya Miyasaka, Yoshiro Ieko, Takeo Iwai, Kenji Nemoto, Hidetoshi Yamashita, Takamasa Kayama (Yamagata Univ.) 山形大学では2004年から重粒子線治療装置の設置を計画し、2015年の予算措置を受けて2017年から建屋及び装置の建設を行っている。加速器は普及小型重粒子線治療装置の設計を踏襲し、全永久磁石型ECRイオン源と4 MeV/u RFQ+IH-DTL線形加速器、430 MeV/uシンクロトロンからなり、照射室は水平ポートのみの固定照射室1室と、超伝導回転ガントリー照射室1室の計2室である。加速器と照射室を立体的に配置することで、建物の設置面積は先行施設より大幅に小さい45×45mを実現している。加速器の運用においては、加速-減速のサイクル内でビームエネルギー変更を行う可変エネルギー運転方式を採用する。これにより普及型施設で初めて、レンジシフタを設置せず全てシンクロトロンで約600段のエネルギーを変更するフルエネルギースキャンを行う予定である。同じく普及型施設としては初めての設置となる超伝導回転ガントリーは、偏向角を大きくしたスキャニング磁石を最下流に設置することで、放医研で開発された初号機から約2/3に小型化している。建設状況については、2019年5月現在、建屋がほぼ完成し入射器の現地試験を開始しており、今後ビーム調整及び治療に向けたビームデータ測定・確認を経て2020年8月の治療開始を予定している。 |
加速器土木 (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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WEPH021 p.333 | J-PARC 3GeVシンクロトロンの残留線量率と被ばく線量の推移 History of the residual dose distribution and worker doses in J-PARC 3GeV Rapid Cycling Synchrotron ○山本 風海(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Kazami Yamamoto (J-PARC center, Japan Atomic Energy Agency) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は2007年からビーム調整を開始して、これまでビーム出力を増強しながら利用運転を継続してきた。RCSのような陽子加速器においては、ビームロスによる放射化を抑制し、作業者の被ばく低減に努めることが、安定な利用運転には必須となる。このため、RCSではビーム調整の初期段階よりビームロスの原因調査と対応を継続して進めてきた。現在は設計強度1MWの半分である500kWで連続運転を行っており、保守作業に支障ない残留線量を保っている。本発表では、RCSのこれまでの残留線量率の推移と対策、および保守作業時における作業者の被ばく線量の状況を報告する。 |
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WEPH022 p.338 | 大型加速器建設における赤色立体地図の利活用検討 Studying the utilization of Red Relief Image Map (RRIM), in the construction of a large accelerator ○寺澤 弘陽,高野 裕司(アジア航測株式会社 社会インフラマネジメント事業部 PPP/PFI推進室),沖田 潤一郎(岩手県 政策地域部 推進室),大平 尚(岩手県 理事),成田 晋也,吉岡 正和(岩手大学) ○Hiroaki Terasawa, Yuji Takano (PPP/PFI Promotion office , Social Infrastructure Management Division, ASIA AIR SURVEY CO., LTD.), Junichiro Okita (Office of ILC Promotion, Department of Policy and Regional Affairs, Iwate Prefectural Government), Hisashi Odaira (Chair, Iwate Prefectural Government), Shinya Narita, Masakazu Yoshioka (Iwate University) Currently in Japan, the introduction of an International Linear Collider is being studied. In the initial stage of the construction, it is necessary to study not only the accelerator unit but also detailed locations of related ground facilities, in the light of constraints such as the topology. In particular, to efficiently extract the optimal area, and to promptly proceed to the design stage, it is essential to have a basement map that allows the user to finely and visually grasp the topology. Therefore, in this case example, the effectiveness of RRIM, which is one of the topology visualization techniques, and the method of utilizing it are studied. RRIM provides simulated color images that are synthesized by converting a digital elevation model that is acquired through airborne laser measurement etc. and enables the user to visually grasp fine topological images based on a representation method that is different from conventional hill shading or birds-eye view forming. It is widely used mainly as a basement map for slope disaster prevention management and forest management. This report is a product of joint research by Iwate University and ASIA AIR SURVEY. |
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WEPH023 p.341 | KEK-PSにおける温湿度環境の現状報告 2019 Report of temperature and humidity at KEK-PS 2019 ○田中 伸晃(KEK素核研安全G) ○Nobuaki Tanaka (KEK IPNS) KEK東海キャンパスのハドロンホールで高湿度対策に効果的であった「最低限の空調設備と適切な換気」を行う「ハドロンホール方式」を2015年4月以降、つくばキャンパスにおいても継続してきた。前回の第15回大会においては、つくばキャンパスの旧K2Kビームライン(EP1下流部)において、除湿効果と省エネの両面で有効であることを示した。今回はかつてK2K実験で使用し、旧K2Kビームライン同様に維持施設である、ニュートリノミューオンモニター室の現状について報告する。 |
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WEPH024 p.344 | J-PARCハドロン実験施設における重イオンビーム輸送時の放射線量評価の検討 Preliminary study of radiation from heavy-ion beams at J-PARC Hadron Experimental Facility ○佐甲 博之(日本原子力研究開発機構),青木 和也(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroyuki Sako (JAEA), Kazuya Aoki (KEK) J-PARCの将来計画として重イオン加速計画(J-PARC-HI)が検討されている。この計画は、核子当たり10GeVに加速した重イオンビームを重原子核標的に衝突させ、核密度の5-10倍の高密度物質を生成し、中性子星コア物質の研究、強い相互作用における相構造の研究、宇宙における重原子核の生成機構の研究等を目的とする。 本計画は、リニアック、ブースターリングから構成される重イオン入射器を新設し、既存の3GeVシンクロトロン(RCS)に入射し、 RCSと既存の主リングシンクロトロン(MR)において加速し、核子当たり10GeV、ビームレート~10^11 Hzの大強度ビームを加速するものである。 重イオンビームはMRにおいて遅い取り出しの後、ハドロン実験施設のHigh-Pビームラインで輸送し、現状のハドロン実験施設、または将来の拡張されたハドロン実験施設において重イオン衝突実験を行うことを検討している。 本発表では、MARSシミュレーションコードを使用して、10^8 / spillの陽子ビーム輸送時の放射線量計算と、重イオンビーム輸送時の放射線量計算との比較を行う。さらに高強度の重イオンビームに対応するための放射線遮蔽を検討し、現ハドロン実験施設において運転可能な重イオンビーム強度の上限値を評価する。 また、High-Pビームラインにおける重イオンビーム輸送の性能についても検討する。 |
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WEPH025 p.348 | PF高度化計画に向けたPFリングインフラ設備改善策の検討 Study of PF-ring infrastructure improvements for the PF upgrade plan ○中村 典雄,多田野 幹人,野上 隆史,芳賀 開一(高エ研) ○Norio Nakamura, Mikito Tadano, Takashi Nogami, Kaiichi Haga (KEK) PF高度化計画では低エミッタンス化やビーム安定性の向上を含む光源性能の強化を行う予定で、PF高度化後はリングの空調・冷却水系による温度安定性の向上や日照・外気温による建物変形の抑制などが現在以上に求められる。我々は、将来光源計画におけるビーム安定化研究のために2017年度に始めたPFリングトンネル内での温度測定を、PF高度化計画のために2018年度以降も拡張・継続して行ってきた。同時に、これらの温度測定結果を元に既存インフラ設備の課題を明らかにし、PF高度化計画に向けたインフラ設備の改善策を検討してきた。ここでは、PFリングトンネル内の温度測定結果およびそれに基づくPFリングインフラ設備改善策の検討結果について報告する。 |
電磁石と電源 (7月31日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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WEPH026 p.353 | J-PARC 崩壊ミュオンビーム輸送系キッカーシステムの現状 Status of Kicker System for the Decay Muon Beamline at J-PARC ○藤森 寛,入江 吉郎,永谷 幸則,竹下 聡史(高エネ研) ○Hiroshi Fujimori, Yoshiro Irie, Yukinori Nagatani, Soshi Takeshita (KEK) J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)における崩壊ミュオンビームラインには、ダブルパルスのミュオンビームを二つのシングルパルスに分別し同時に二つの実験エリアに供給するため、キッカーシステムが導入された。運用当初は検出器に乗るキッカーノイズの影響が大きく、ほとんど実験にならない状況であったが、ノイズ遮蔽およびGND対策の効果により一部の検出器において実験が可能になるまでノイズが低減した。しかし、検出器信号と同時にタイミング信号を抽出する実験においてはキッカーノイズの影響は致命的であり、ノイズの根源であるサイラトロン起動時の突入電流を除去するためにノイズフィルターを回路に挿入する対策が講じられたが、検出器へのノイズを低減させる根本的な対策には至らなかった。今回、今までのノイズ根源を除去する方策から視点を変え、伝送ラインに発生する電磁ノイズを効率的に抑える方策として、フェライトコアを用いて伝送ラインのコモンモードノイズを除去する対策が試行された。当該対策によりノイズ低減に進展が見られたので報告する。 |
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WEPH027 p.356 | 励磁電流の安定度の時系列解析による予測制御 Prediction control by time series analysis on stablity of magnet current ○尾崎 俊幸(高エネ研・加速器) ○Ozaki Toshiyuki (KEK) 電磁石の電流は、10 ~ 100 ppmぐらいの揺らぎがある。電流を24 bitのADCで読み、その揺らぎ(安定度)を時系列解析した。解析法は、カルマン・フィルタ・モデルのベイズ統計量を赤池情報基準量(AIC)を最小にする推定値を最尤法で求めた。 得られたモデルで、揺らぎ(トレンド)を予想し、フィードフォワード制御で補正電流を制御し、従来より安定化された電流を得る方法を検討する。 電流リップル成分が少ない例として、PF-AR偏向電磁石電源を選んだ。揺らぎと電流リップルが同程度の場合の例として、バックレグ電源を選んだ。機器の予想制御の可能性を検討する。 |
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WEPH028 p.361 | J-PARC MRアップグレードのための低磁場セプタム電磁石の開発 The new low-field septum magnet for upgrading of fast extraction in MR J-PARC ○芝田 達伸(高エネ研),濵野 慧,中村 健太,川口 祐介(ニチコン草津),石井 恒次,杉本 拓也,松本 浩,松本 教之(高エネ研),Fan Kuanjun(HUST) ○Tatsunobu Shibata (KEK), Kei Hamano, Kenta Nakamura, Yusuke Kawaguchi (Nichicon Kusatsu), Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto, Noroyuki Matsumoto (KEK), Kuanjun Fan (HUST) J-PARC MRでは速い取り出しのビームパワーを750 kWに増強するためアップグレードが進行中である。750 kWへの増強のためビームの運転周期を現在の2.48秒から1.3秒へと短縮する。MRの入出射用電磁石システムも1.3秒周期への対応のためアップグレードを行っている。現行機の低磁場セプタム電磁石はMR運転開始以降使用を続けているため、セプタムコイルの自身の振動による絶縁破壊が懸念されている。他にもQ成分の漏れ磁場が大きいという問題、ビームパワー増強に伴いビームハローの強度も大きくなると予想されるため磁極のアパーチャーを大きくする必要がある。これらの課題を克服するため、我々は新しい低磁場セプタム電磁石として通常のタイプではなく誘導渦電流型、通称Eddy型という電磁石を導入する。Eddy型はMRの入射部に既に1台使用され実績もある。新しい低磁場セプタム電磁石と新しい電源は2014年に製作され、MRエリア内の電源棟内にテストベンチを構築し試験を行っている。2018年初の1 Hz運転試験を行った。1 Hzの運転は問題なく終了した。漏れ磁場測定も行った。漏れ磁場は磁極内磁場の0.01 %以下を目標にしているがまだ目標には達していない事が判明した。但し大きな漏れ磁場の原因として磁極のアラインメントが挙げられた。今後は磁気遮蔽の追加も含み、アラインメントが課題である。本講演ではここ1年間の試験の成果と残った問題について報告する。 |
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WEPH029 p.366 | 電磁石コイルのショートトラブルに対する調査方法の研究 The study of investigation of the shorted coil of magnet ○芝田 達伸,松本 教之,佐藤 洋一(高エネ研) ○Tatsunobu Shibata, Noriyuki Matsumoto, Yoichi Sato (KEK) 2019年3月J-PARCのRCSからMRにビームを輸送する3-50BTラインに設置された偏向電磁石の1台がコイルショートと思われるトラブルを起こした。症状としては電圧降下が見られ、磁場が0.5%軽減した。正常なコイルとの比較によりLCR値に異常が見られたが、それ以上の有力な情報は得られなかった。発表者はMRの入出射電磁石を担当するグループに所属しているため今回のコイルショートトラブルは決して他人事ではない重要なトラブルである。コイルショートを起こした場合、コイルを磁極から取り出し分解する以外の方法は余り知られていない。本研究はコイルを分解せずにコイルショートの詳細を短時間で調査する方法を基礎から研究する事が目的である。本研究では研究の目的や始めた基礎実験や基礎調査についてまとめる。基礎調査の方針としては試験コイルを作成し、一部をショートさせLCRメータで測定する事でその振る舞いの変化を記録する事が挙げられる。他にもコイル異常を直接するためホローコンダクタ内を内視鏡で見る方法も試みる。申請時点はまだ試験の環境は整っておらず必要な試験コイルや内視鏡の準備を始めた所である。ポスター発表では現状や今後のアイディアをまとめる。 |
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WEPH030 p.371 | J-PARC ミューオンg-2/EDM実験:低エミッタンスミューオンビームにおけるスピン反転装置の開発 J-PARC muon g-2/EDM experiment : Development of the spin rotator for the low emittance muon beam ○安田 浩昌(東大理),飯沼 裕美(茨大理工),大谷 将士,河村 成肇(高エ研),北村 遼,近藤 泰弘(原研),齊藤 直人(高エ研),須江 祐貴(名大理),中沢 雄河(茨大理工),的場 史朗,三部 勉,山崎 高幸(高エ研),四塚 麻衣(名大理) ○Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Masashi Otani, Naritoshi Kawamura (KEK), Ryo Kitamura, Yasuhiro Kondo (JAEA), Naohito Saito (KEK), Yuki Sue (Nagoya Univ.), Yuga Nakazawa (Ibaraki Univ.), Shiro Matoba, Tsutomo Mibe, Takayuki Yamazaki (KEK), Mai Yotsuzuka (Nagoya Univ.) 基礎的な物理量の一つであるミューオンの異常磁気モーメント(g-2)は理論的および実験的にも高精度に求められることから、理論を検証するためにも重要な物理量である。ブルックヘブン国立研究所で行われた先行実験により、標準模型による計算値と実験による測定値との間に3σ以上の乖離があることがわかった。これは、標準模型を超えた物理を示唆しており、より高精度な測定により検証する必要がある。 J-PARC muon g-2/EDM実験では、低エミッタンスなミューオンビームを用いることで、先行実験における主要な系統誤差要因を抑制することができる。一方で、高強度なミューオンビームを利用するため、検出器などによる時間応答性の系統誤差が発生する。本研究では、加速低速部でのスピン反転を行うことで可能なスピン反転解析法により、時間応答性由来の系統誤差抑制を目指す。 現在、スピン反転装置の候補としてWien-filter型を検討しており、概念設計は完了した。本講演ではミューオンスピン反転装置の設計・開発状況について報告する。 |
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WEPH031 p.376 | KEK-PFリングビーム輸送路ダンプラインにおけるセラミックスチェンバー一体型パルスマグネットビーム性能試験 Beam performance test of Ceramics Chamber with integrated Pulsed Magnet in beam transport-dump line for KEK PF-ring ○満田 史織,上田 明,内山 隆司,帯名 崇,小林 幸則,高井 良太,高木 宏之,長橋 進也,野上 隆史,原田 健太郎(高エネ研),笹川 敦司,横山 篤志,横山 高也(京セラ(株)) ○Chikaori Mistuda, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Takashi Obina, Yukinori Kobayashi, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Shinya Nagahashi, Takashi Nogami, Kentaro Harada (KEK), Atsushi Sasagawa, Atsushi Yokoyama, Takaya Yokoyama (Kyocera) KEK放射光加速器では、次世代光源としての極低エミッタンスリング及び将来小型光源リングへの適用を目指し、セラミックス真空チェンバーとマグネットコイルが一体化した多用途のセラミックスチャンバー一体型パルスマグネットの開発を進めている。開発は基礎技術開発、試作機製作、技術改良、開発機の製作、耐久性能試験、加速器実装開発と段階を踏んで進められている。現在、加速器実装開発の段階まで着実にプロジェクトが進んでおり、加速器実装に向けた前段階としての構造開発が完了し、KEK LinacからPFリング輸送路端のビームダンプラインにおいて、実際に加速器実装しビーム性能試験を開始した。本会では、加速器実装試験に向けたビーム性能評価試験ラインの建設の詳細、初となるビーム性能評価試験の先行結果について報告する。 |
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WEPH032 p.381 | J-PARCミューオンg-2/EDM実験のための垂直ビームキッカー装置の概念設計とテストベンチ作業準備 Conceptual design of vertical beam kicker and preparations for test bench work for the muon g-2/EDM experiment at J-PARC ○平山 穂香(茨城大学理学部),飯沼 裕美(茨城大学理工学研究科),阿部 充志(KEK),高柳 智弘(JAEA) ○Honoka Hirayama, Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Mitsushi Abe (KEK), Tomohiro Takayanagi (JAEA) 標準理論を超える新しい物理を探索するため、ミューオンスピン歳差運動を超精密測定する実験(E34)がJ-PARCで進んでいる。実験成功の要のひとつにビームを正確に蓄積磁場の中心平面に誘導する技術があり、そのパフォーマンスは最終的な物理結果の系統誤差に直結する。蓄積磁石内部では一切の電場によるビーム制御ができないため、空芯コイルにパルス大電流を流して時間構造を持った磁場を発生させ、磁場によるビーム軌道の制御を行う。本発表では、蓄積磁石内部に設置する垂直ビームキッカー装置の概要を紹介し、実験からの要求を満足するための概念設計の検討結果を報告する。さらに、空芯コイルの試作を行い、テストベンチで実際に大電流パルス発生装置と接続し、設計を満足する磁場の空間分布・時間分布を評価する。この基礎研究の成果は実機の詳細設計に反映していく予定である。 |
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WEPH033 p.385 | 磁場強度調整可能な永久磁石型偏向磁石の開発 (3) Development of magnetic field adjustable permanent magnet dipole (3) ○目黒 和幸(岩手県工業技術センター),菊地 晋也(株式会社サンアイ精機),今 健一(いわて産業振興センター),松本 教之(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuyuki Meguro (IIRI), Shinya Kikuchi (SunAi), Kenichi Kon (IIPC), Noriyuki Matsumoto (KEK) 大型放射光施設の高輝度化計画や国際リニアコライダー(ILC)計画において、建設コストおよび運転コストの削減は重要な課題である。その一つの策として、加速器の運転時に常時大電力を要する電磁石コイルに替わり永久磁石をベースとした磁気回路を採用することが各所で検討されている。永久磁石ベースの磁気回路を用いることで、運転時の消費電力が大幅に削減されるだけでなく、電源や冷却設備およびそれらのケーブルや配管などの建設コストも削減できるメリットがある。我々は、複数の永久磁石を内蔵した磁気回路において機械的動作によって磁石の配列を切り替えることで磁場強度を調整可能な磁気回路を考案した。本発表では、永久磁石型偏向磁石の設計および試作機の評価結果について報告する。 |
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WEPH034 p.389 | J-PARCハドロン実験施設における一次ビームライン分岐部電磁石のメンテナンスシナリオ(2) A Remote handling magnet system in a branch region of a new primary beam line at the J-PARC hadron facility ( 2 ) ○広瀬 恵理奈,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,小松 雄哉,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,皆川 道文,武藤 亮太郎,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Erina Hirose, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Yusuke Komatsu, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Michifumi Minakawa, Ryotaro Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) ハドロン実験施設では、high-p/COMETビームラインと呼ばれる、新しい一次ビームライン(Bライン)を建設中である。Bラインは、ハドロン実験施設のスイッチヤード傾斜部にて、既存の一次ビームライン(Aライン)から、1台のランバートソン電磁石と2台のセプタム電磁石を使用し、5°の角度で取り出される。ランバートソン電磁石では、ほとんどのビームをAラインに通し、ビームの垂直方向の上端の一部ビームをBラインに取り出す。よって、磁場の有無の境界部分に磁極があるので、そこでビームロスが生じる構造となっている。本件では、これらの電磁石のメンテナンスシナリオと、電磁石を実際に設置し、着脱テストを行ったことについて報告する。 |
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WEPH035 | キッカーマグネット用LTD電源の高出力化 Higher output LTD power supply for kicker magnet ○虫邉 陽一,中田 恭輔,森 均,徳地 明((株)パルスパワー技術研究所),高柳 智弘(J-PARC/JAEA) ○Yoichi Mushibe, Kyosuke Nakata, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Lab.), Tomohiro Takayanagi (J-PARC/JAEA) J-PARC RCSキッカーマグネット用に新しいパルス電源を開発している。現状、キッカーマグネット用電源システムには高電圧かつ高速のスイッチとしてサイラトロンスイッチを使用しているが、新しい電源は高電圧大電流かつスイッチング損失が小さいSiC半導体デバイスを使用することで安定性の良い電源システムを期待できる。SiC-MOSFETを多数並列接続したLTD(Linear Transformer Drivers)回路を構成した基板を多段直列接続することで高電圧かつ大電流の出力を可能とする。2018年に10kV/2kAで電源を構成したが、今回は主回路LTD基板26枚と補正LTD基板14枚を直列接続して20kV/2kAのパルス電源を製作し、出力試験を実施した。本発表では高出力化の詳細と結果を報告する。 |
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WEPH036 | IFMIF原型加速器のLEBTソレノイドコイルの磁気軸測定 Magnetic axis measurement for LEBT solenoid coils of IFMIF prototype accelerator ○平田 洋介,赤木 智也,蛯沢 貴,春日井 敦(量研 六ヶ所核融合研究所) ○Yosuke Hirata, Tomoya Akagi, Takashi Ebisawa, Atsushi Kasugai (Rokkasho Fusion Institute) IFMIF原型加速器では、入射器とRFQの間に約2 mのLEBTを設けており、ビームの発散を抑える目的で2個のソレノイドコイルを設置している。今回ビーム試験を通じて、ビーム中心が輸送系の幾何的な中心に一致しないことが観測されたため、原因究明の目的で、ソレノイドコイルのヨーク側板を基準面とし、測定磁場に基づいてソレノイドコイルの磁気軸を求めることを試みた。シミュレーションで求めた理想的な軸対称磁場分布を回転および平行移動させ、実際に測定した磁場分布との二乗偏差を最小にする軸を磁気軸と定義して算出する。コイルの機械軸中心から半径5 cmの周上の水平・鉛直方向に対称な位置で、機械軸に平行な4本の直線上の複数個所で磁場を測定する。理想的な磁場分布と測定した磁場の二乗偏差を最小とするように、機械軸からのずれ(中心位置と水平・鉛直方向の角度)を求める式および係数の誤差を求める式を導出し、必要な測定点数についても検討した。ソレノイドヨーク側面の内径にはめ合い、ソレノイドの機械軸から半径5 cmの直線上で磁気プローブをスイープ可能な冶具を作成し、軸方向中心から-17.5 cm ~ 17.5 cmの範囲の10点(合計40点)で測定した磁場から磁気軸の傾きを求め、ビームダイナミクスから要求される範囲内であることを確認した。講演では、最小二乗法の定式化、冶具、測定結果について報告する。 |
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WEPH037 p.394 | J-PARC 3-50BT B15D電磁石におけるレイヤーショートの経緯と推察 Process and guess of the layer short in B15D magnet of J-PARC 3-50BT line ○高野 淳平,白形 政司(KEK) ○Junpei Takano, Masashi Shirakata (KEK) 大強度陽子加速器施設J-PARCの二つのシンクロトロンを繋ぐ3-50BTラインには偏向・四極・ステアリングの電磁石が設置されている。これらの電磁石のコイルはホローコンダクターで作られており、コンダクター内を冷却水が通る直接冷却方式を採っている。2019年3月から4月にかけてB15D偏向電磁石のコイル内における漏水が原因と考えられるレイヤーショートが起き、最終的には下流側のシンクロトロンへビームを輸送できない状態となった。今回問題となったB15D偏向電磁石は3-50BTにおいてビームを水平方向に15度曲げるための電磁石であり、鉄芯構造は上下に磁極を持つH型である。磁極に設置されているコイルは1段当たり2層のパンケーキ構造をもつ24巻のコイルが5段連結されており、1磁極当たりの総巻数が120巻となるコイルが設置されている。最初の不具合を検知した後、B15D偏向電磁石に対して各種調査および応急処置を実施し、段間電圧を監視する態勢を整えた上で経過を観察していた。そこから考えられるコイル内で起きていた漏水とレイヤーショートの状況変化についての推察を紹介する。 |
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WEPH038 p.399 | J-PARC加速器用イグナイトロン代替半導体スイッチと新キッカー電源の開発 Development of ignitron alternative semiconductor switch and new kicker power supply for J-PARC accelerator ○小野 礼人,高柳 智弘,植野 智晶,堀野 光喜,山本 風海,金正 倫計(J-PARC/JAEA) ○Ayato Ono, Tomohiro Takayanagi, Tomoaki Ueno, Koki Horino, Kazami Yamamoto, Michikazu Kinsho (J-PARC/JAEA) 大電流・高電圧の放電スイッチとして、イグナイトロンやサイラトロンがある。J-PARCでは、LINACの加速用高周波源で使用するクライストロン電源のクローバー装置にイグナイトロンスイッチを、RCSの大強度ビームの取り出しに使用するキッカー電源システムにサイラトロンスイッチを用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、MOSゲートサイリスタを用いたイグナイトロン代替用半導体スイッチを開発している。クローバー装置として使用するためには、120kV、40kA、50usの動作出力に耐得うるスイッチが必要である。1枚当たり、3kV、40kA、50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを開発した。予備試験結果について報告する。最終的には、本基板を40枚積み重ねて120kVを出力する。また、サイラトロンの代替スイッチにSiC-MOSFETを用いたLTD回路を採用し、更に、本回路を応用した放射対称型パルス電源回路を開発した。本回路基板は、RCSキッカー電源システムに必要な立ち上がり250ns以下、フラットトップ1us以上を、1枚当たり800V、2kAのパルス出力で実現する。本基板26枚の積み重ねとフラットトップのドゥループを補正する補基板を用いた20kV(最終仕様40kV)での出力試験結果について報告する。 |
加速構造 (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI001 p.404 | ミューオン線形加速器APF方式IH-DTLプロトタイプ用入力RFカップラーの開発 Development of RF input coupler for Inter-digital H-mode drift-tube linac prototype with alternative phase focusing in muon linac ○中沢 雄河,飯沼 裕美(茨大理工),岩下 芳久(京大理),岩田 佳之(放医研),大谷 将士,河村 成肇,三部 勉,山崎 高幸,吉田 光弘(高エネ研),北村 遼,近藤 恭弘,長谷川 和男,森下 卓俊(原研),齊藤 直人(J-PARCセンター),須江 祐貴,四塚 麻衣(名大理),林崎 規託(東工大),安田 浩昌(東大理),Cicek Ersin(Siirt Univ., Gazi Univ.) ○Yuga Nakazawa, Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Yoshiyuki Iwata (NIRS), Masashi Otani, Naritoshi Kawamura, Tsutomu Mibe, Takayuki Yamazaki, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Ryo Kitamura, Yasuhiro Kondo, Kazuo Hasegawa, Takatoshi Morishita (JAEA), Naohito Saito (J-PARC center), Yuki Sue, Mai Yotsuzuka (Nagoya Univ.), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech.), Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo), Ersin Cicek (Siirt Univ., Gazi Univ.) J-PARCミューオンg-2/EDM精密測定実験を実現するためのミューオン線形加速器の1つであるAPF方式IH-DTLのプロトタイプでは、ミューオンをβ=0.08から0.15まで加速するために運転周波数324 MHzが採用された。加速性能を満たすためには60 kWの高周波電力を投入する必要がある。ビーム電流はほぼゼロかつデューティーが0.25%と低いことから、構造を単純化するために一台のRF入力カップラーを介して電力を投入する。カップラーは同軸導波管をベースに設計し、空洞との整合にはループアンテナを用いる。ループアンテナを空洞に挿入した場合、インピーダンス不整合や空洞内の電磁場歪みにより、加速性能が低下する恐れがある。電磁場歪みを抑制するためにループアンテナの挿入量を必要最低限にしつつ、空洞との電力反射が最小(VSWR(電圧定在波比)~1)となるようにループアンテナを最適化する必要がある。我々はループを最適化するためのテストカップラーを用いた低電力試験を行うことで、VSWR=1.01かつ電磁場歪みを7%以内に抑制するループ形状を確認した。本発表では、テストカップラーによるループアンテナの最適化の結果を報告すると共に、実機カップラー開発に向けた高周波窓の設計について述べる。 |
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WEPI002 p.408 | KEK STFクライオモジュールのビームパイプ再接続作業におけるクリーンアセンブリ環境の構築 Construction of clean assembly environment for beampipe re-assembly work at STF-2 cryomodules ○今田 信一,浅野 峰行,山田 浩気,泰中 俊介,石原 将治,菊池 祐亮(日本アドバンストテクノロジー),岡田 昭和(ケーバック),阪井 寛志,加古 永治(KEK) ○Shin-ichi Imada, Mineyuki Asano, Hiroki Yamada, Shunsuke Tainaka, Shoji Ishihara, Yusuke Kikuchi (NAT), Terukazu Okada (K-vac), Hiroshi Sakai, Eiji Kako (KEK) 超伝導空洞において、空洞アセンブリ中のゴミの侵入によるフィールドエミッションによる空洞の性能劣化が問題となっている。KEKではスローポンプシステムを開発しパーティクルモニターを用いて排気中やベント中の粒子の移動の検証を行った。今回、STFクライオモジュールにおいて、これらのシステムとオープンクリーンシステムを用いてクリーンなアセンブリ環境を構築し、ビームパイプの再接続を行い、ビーム運転において空洞性能について確認したので、これらの結果について報告する。 |
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WEPI003 p.413 | 理化学研究所向け超伝導重イオン線形加速器クライオモジュールの製作 Production of SRF cryomodules for SRILAC at RIKEN RIBF ○原 博史,宮本 明啓,仙入 克也,柳澤 剛(三菱重工機械システム株式会社) ○Hiroshi Hara, Akihiro Miyamoto, Katsuya Sennyu, Takeshi Yanagisawa (MHI-MS) 理化学研究所 仁科加速器研究センターのRIビームファクトリー(RIBF)では,113番元素の発見に続き,さらに重い元素の発見を目指して,理研線形加速器(RILAC)のアップグレード計画が進行しており,常伝導の線形加速器の後段の一部を超伝導化することにより総加速電圧の増強が図られる。三菱重工機械システム株式会社は,本プロジェクト向けに超伝導クライオモジュール3台の納入を2019年3月に完了した。超伝導クライオモジュール構成部品の概略とニオブ製QWR型超伝導空洞の製造技術詳細について報告する。 |
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WEPI004 p.418 | J-PARC主リングのVHF空胴のための入力結合器試作機の性能評価 Performance test for prototype of VHF input coupler in J-PARC MR ○森田 裕一,長谷川 豪志,古澤 将司(高エネ研),山本 昌亘(原子力機構),吉井 正人(高エネ研) ○Yuichi Morita, Katsushi Hasegawa, Masashi Furusawa (KEK), Masanobu Yamamoto (JAEA), Masahito Yoshii (KEK) J-PARC主リングの遅い取り出しでは、ビーム粒子数の増加に伴って、デバンチ時のビーム不安定性が表れてきている。対策として、バンチ長(~200ns)に対して高い周波数であるVHF(very high frequency)帯の共振周波数をもった高周波空胴の導入が考えられる。VHFシステムは、ビームの周回周波数の整数倍に選んだ空胴励振周波数に位相変調をかけることにより縦方向エミッタンスを増大させ、ビーム不安定性の抑制を目的とする。VHF空胴とアンプは同軸管で接続され、入力結合器のループアンテナによって結合する。また、同じ構造の結合器を用いて50ΩダミーロードとVHF空胴を結合し、負荷Q値を位相変調に適した値に調節する。本報告では製作した入力結合器の試作機の性能評価の結果を述べる。 |
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WEPI005 p.422 | 次世代放射光リング入射器加速空胴の製造 Manufacture of RF cavities and C-band accelerating structure for the injector linac ○比嘉 究作,重岡 伸之(三菱重工機械システム株式会社),安積 隆夫(量子科学技術研究開発機構),稲垣 隆宏(理化学研究所),谷内 務(高輝度光科学研究センター),西森 信行(量子科学技術開発研究機構),田中 均(理化学研究所) ○Kyusaku Higa, Nobuyuki Shigeoka (MHI-MS), Takao Asaka (QST), Takahiro Inagaki (RIKEN), Tsutomu Taniuchi (JASRI), Nobuyuki Nishimori (QST), Hitoshi Tanaka (RIKEN) 次世代放射光施設として高輝度3GeV放射光リングの計画が進められている。高輝度3GeV放射光リングの電子入射器では、熱電子銃で生成した電子ビームを238MHz加速空胴で加速した後、476MHzバンチャー空胴とSバンド加速管で速度バンチ圧縮し、時間幅5psの高輝度電子ビームを得る設計となっている。 三菱重工機械システム株式会社では、高輝度電子ビーム生成の実証試験で使用する238MHz加速空胴、476MHzバンチャー空胴を製作した。238MHz加速空胴及び476MHzバンチャー空胴は、いずれもリエントラント構造の定在波型空胴であり、TM010モードにて共振させ、ギャップ部に強い電界を発生させるものである。238MHz加速空胴のギャップ部は空胴端板間中央に対し、オフセットされた位置にあり、476MHzバンチャー空胴のギャップ部は空胴端板間中央に配置されている。低電力試験では、運転温度にて、チューナーにより中心周波数に調整を行い、それぞれ23,062、25,743のQ0値を得ることができた。また、Cバンド・ディスクロード型加速管についても4台製作した。 本発表では、238MHz加速空胴、476MHzバンチャー空及びCバンド・ディスクロード型加速管の製造及び低電力試験の結果について詳細報告する。 |
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WEPI006 p.426 | 空洞上下反転法を用いたニオブ9セル加速空洞縦型電解研磨(VEP)における研磨量分布の改善 Improvement of removal uniformity of 9-cell cavity using vertical electropolishing with cavity flipping method ○仁井 啓介,チョウハン ビジェイ,井田 義明,山口 隆宣(マルイ鍍金工業(株)),早野 仁司,加藤 茂樹,文珠四郎 秀昭,佐伯 学行(KEK) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Yoshiaki Ida, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Hideaki Monjushiro, Takayuki Saeki (KEK) マルイ鍍金工業では、KEKと共同でニオブ加速空洞の縦型電解研磨(VEP)技術開発を行ってきた。ニオブ9セル加速空洞のVEPにおいてはこれまで、研磨量の上下非対称が大きな問題となっていた。この問題を解決するための一つの方法として、VEP中に空洞の上下を反転させる方法を考案、VEP設備を作製して実験を行った。結果、上下反転を行わない場合に比べて研磨量分布が大きく改善することが確認された。今後、さらなる研磨量分布や研磨状態の改善に向けて開発や設備の改良を進めていく予定である。本発表ではこれらの新技術の改善内容と成果について報告する。 |
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WEPI007 p.430 | メタルシールを用いた重イオン線形加速器の開発 Development of a heavy ion linear accelerator using metal seals ○森上 ゆりあ,村田 亜希(東工大院),林崎 規託(東工大研究院),山口 晶子,竹内 猛,岡屋 慶子,中山 光一(東芝エネルギーシステムズ) ○Yuria Morikami, Aki Murata (Tokyo Tech), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech), Akiko Yamaguchi, Takeshi Takeuchi, Keiko Okaya, Koichi Nakayama (Toshiba Energy System & Solutions Corporation) 東工大と東芝エネルギーシステムズは重粒子線形加速器に関する共同研究を進めてきており、これまでに無酸素銅の削り出し三体加工のRFQ線形加速器を製作し、実際に重粒子ビームの加速に成功している。しかしながら、真空シールにOリングを使用しているため加速空洞内の真空圧力の改良が課題となっていた。そこで今回、メタルシールを用いたRFQ線形加速器の開発に取り組み、テスト空洞を試作して性能試験を行っている。その結果について報告する。 |
ビームダイナミクス (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI008 p.434 | エミッタンス低減現象を定量的に表す新指標の提案 Proposing new index for treating emittance reduction quantitatively ○水野 明彦(高輝度光科学研究センター) ○Akihiko Mizuno (JASRI) 線型加速器で良く用いられるrmsエミッタンスは、リウヴィルの面積とは異なるので不変量では無く、非線形な空間電荷効果等で減少する場合もあり、既に本学会でも報告している[1]。その報告では、エミッタンス低減現象を活かした電子銃システムの設計例を示しているが、減少の程度を定量的に表現できていなかった。本発表では、rmsエミッタンスの定義に対応した新たな指標を提案する。新指標は、rmsエミッタンスの二乗平均平方根に対し算術平均を用いて定義し、その時間発展はrmsエミッタンスのものとほぼ同様となる。ただし、r’をrに対してプロットした曲線が下に凸の場合、負の値を示し、上に凸の場合、正の値を示すように定義する。こうすると、ビームに作用する径方向の力(fr)をrに対してプロットした曲線が下に凸である場合、新指標は常に減少する。逆に上に凸の力が作用していると常に増加するので、エミッタンス減少のメカニズムが理解しやすい。また、新指標を用いるとエミッタンス減少の程度を定量的に議論することが可能となる。本発表では、新指標の時間発展を、非線形な空間電荷効果や、ソレノイドコイル磁場の非線形性によるエミッタンス減少の例などについて示すとともに、改めて新指標を用いてエミッタンス減少のメカニズムを議論する。[1]水野 明彦, 第13回日本加速器学会年会プロシーデイングス, p.135 (2016) |
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WEPI009 p.439 | 大強度低エネルギー重陽子ビームのための中性化解析 Analysis of neutralization for high intensity low energy deuteron beam ○佐古 貴行,大崎 一哉,毎田 充宏(東芝エネルギーシステムズ),下崎 義人,平田 洋介,春日井 敦(量研/六ヶ所) ○Takayuki Sako, Kazuya Osaki, Mitsuhiro Maida (Toshiba Energy Systems), Yoshito Shimosaki, Yosuke Hirata, Atsushi Kasugai (QST/Rokkasho) 日欧の国際共同プロジェクトとして国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA)が実施されている。量研機構六ヶ所研では原型加速器(LIPAc: Linear IFMIF Prototype Accelerator)のコミッショニングを進めている。LIPAcは、125mAの大電流重陽子ビームを9MeVまで加速するものである。イオン源と高周波四重極線形加速器(RFQ)の間に設置されている低エネルギービーム輸送系(LEBT)では、大電流ビーム起因の空間電荷効果がビーム輸送に大きな影響を与える。そのため、中性ガスの導入による空間電荷効果の緩和が試みられているが、一般的にビーム軌道計算コードには空間電荷の緩和(中性化)効果を定量的に計算する機能がない。今回、粒子軌道計算コードWarpへの断面積ベースの空間電荷緩和モデルの組み込みおよびビーム挙動の解析を開始した。本発表において進捗を報告する。 |
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WEPI010 p.441 | 強収束ラティスにおける低次コヒーレント振動モードの直接的チューン計測 Direct measurement of the tunes of low-order coherent oscillation modes in a strong focusing lattice ○伊藤 清一,倉内 太道,檜垣 浩之,岡本 宏己(広大院先端) ○Kiyokazu Ito, Taido Kurauchi, Hiroyuki Higaki, Hiromi Okamoto (AdSM, Hiroshima Univ.) 位相空間密度の高いビームは,クーロン場を介して集団的に振る舞うことが知られている.この集団運動は様々な振動モードの重ね合わせとして表現でき,各モードは荷電粒子の密度分布によって決まる振動数を持つ.特定モードの固有振動数と外場の振動数が一定の関係を満たすとビームは共鳴的に不安定化する.そのため,この種の空間電荷効果を熟知することは次世代の高性能ハドロン加速器を設計する上で極めて重要である.線形ポールトラップ(LPT)はイオンプラズマを断面方向には四重極高周波電圧によりを,軸方向には静電場で捕捉する.断面方向の閉じ込め原理は加速器の強収束と全く等価である.したがって,LPTに捕捉したイオンプラズマの物理的性質を調べることで,高密度ビームの集団運動に対する理解を深めることができる.広島大学では小型非中性プラズマトラップシステムS-PODを用い,大強度加速器等における様々な空間電荷効果の実験的研究を進めてきた.本研究ではLPTの四重極電極のうち一組を検出用電極に用い,この電極に流れるイメージ電流によりイオンプラズマの双極モードと四重極モードの振動を検出した.それぞれのモードの特徴や空間電荷効果に起因するチューンデプレッションの決定方法について報告する. |
光源加速器 (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI011 p.445 | 交叉型アンジュレータからのTHz域コヒーレント放射の偏光特性(II) Characteristics of polarized coherent radiation in THz region from a crossed-undulator (II) ○齊藤 寛峻,柏木 茂,日出 富士雄,三浦 禎雄,武藤 俊哉,南部 健一,長澤 育郎,髙橋 健,鹿又 健,柴田 晃太朗,森田 希望,山田 悠樹,石附 勇人,寺田 健人,濱 広幸(東北大電子光セ) ○Hirotoshi Saito, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Sadao Miura, Toshiya Muto, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Takahashi, Ken Kanomata, Koutaro Shibata, Nozomu Morita, Hiroki Yamada, Yuto Ishizuki, Kento Terada, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは加速器ベースの偏光可変コヒーレントテラヘルツ光源の研究として、交叉型アンジュレータを用いた放射光源の研究開発を行っている。交叉型アンジュレータは2台の直交する平面アンジュレータと位相差調整用の移相器で構成される。同センターの試験加速器t-ACTSを用いた偏光制御の原理実証実験に向け、周期数7、周期長80 mm、ピーク磁場0.47 T、基本周波数1.9 THz(ビームエネルギー22 MeV)の平面アンジュレータを2台製作した。放射波長および各アンジュレータから観測点までの光路長差は観測角により変化するため、交叉型アンジュレータ放射の偏光は観測角依存性を持つ。各種パラメータの設計値および測定された磁場を基に計算すると、偏光度0.9以上の放射が得られる角度範囲は放射自体の角度広がりの10%程度と見積もられる。また現在、移相器用電子ビームラインの設計が進められている。限られた実験スペースに設置可能な3 m程度のビームラインを実現するには、第2アンジュレータ入口における横方向位相空間分布をマッチング条件から緩和する必要がある。そこで現在、アンジュレータ入射時の位相空間分布を変化させたときに得られる偏光度の評価を行っている。本発表ではこれらの偏光度の見積もり結果について示す予定である。 |
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WEPI012 p.449 | UVSOR-Ⅲにおける短波長コヒーレント光渦発生の研究 Study of short wavelength coherent light vortex generation in UVSOR-III ○松永 幸大(名大工),高嶋 圭史,保坂 将人,真野 篤志,郭 磊(名大SRセンター),藤本 將輝(分子研UVSOR),加藤 政博(広島大学) ○Yukihiro Matsunaga (Nagoya Univ.), Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Atsushi Mano, Lei Guo (Nagoya Univ. SR), Masaki Fujimoto (UVSOR. IMS), Masahiro Katoh (Hiroshima Univ.) 光渦とは螺旋状の波面を持つ光で軌道角運動量を運ぶことが知られている。また、中心に位相特異点を持つことからドーナツ状の強度分布をもつ。これらの特徴から、光渦を原子や分子に照射すると通常の光では起きない反応が起きることが期待される。 近年の研究では、円偏光アンジュレータから発生する自然高調波が光渦であることが明らかになった。従来はレーザー光源などを特殊な光学素子を通して光渦を発生させたが、アンジュレータを用いた光学素子の使えない短波長領域の光渦の発生が可能となった。 本研究ではCHG(Coherent Harmonic Generation)法を用いた時間的にコヒーレントな短波長光渦の発生を目的とする。 実験は、UVSOR-BL1Uの光クライストロン型可変偏光アンジュレータおよび超短パルスレーザーを用いて行う。まず、上流側の水平偏光アンジュレータ中で電子ビームとレーザー光とを相互作用させ、電子ビーム中にレーザー波長でのエネルギー変調を生成する。その後バンチャーでエネルギー変調を密度変調に変換する。バンチャーを通過後、円偏光アンジュレータを通して高調波を取り出しコヒーレント光渦を発生させる。光渦を専用ビームラインに取り出し、その強度分布や位相空間構造を確認する。 現在は上流部のレーザー輸送路および観測系を構築中である。レーザー輸送路が完成後直ちにコヒーレント光渦の発生実験を行う。本発表では最新の状況を報告する予定である。 |
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WEPI013 p.453 | SACLA軟X線自由電子レーザービームラインにおける六極電磁石を用いたエネルギーチャープ非線形性補正 Nonlinear energy chirp correction using sextupole magnets at the soft x-ray free-electron laser beamline of SACLA ○渡川 和晃,原 徹,田中 均(理化学研究所 放射光科学研究センター) ○Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー施設SACLAでは、2本の硬X線FELビームラインと並行して800 MeVの専用加速器(SCSS+)を備えた軟X線FELビームラインが稼働している。よりパルス幅が短くよりピーク強度が高い軟X線FEL光を利用したいというユーザーの要望に応えるために、電子ビームのエネルギーチャープの非線形性を補正して時間的により輝度の高い電子ビームを形成するシステムを開発している。SACLA加速器では、入射器にL-band加速管を用いているため高次高調波であるC-band補正空洞を用いると効率的に非線形性補正が行えるが、SCSS+ではS-band加速管を用いているためX-band補正空洞を使用しなければならない。X-bandは既に確立している技術ではあるものの、その導入には多大な労力と予算を費やしてしまう。そこで我々はバンチ圧縮器の分散部に六極電磁石を設置して、その非線形性を利用して高周波加速やバンチ圧縮の過程で生じるエネルギーチャープの非線形性を補正することを提案した。本学会では、六極電磁石による補正システムの原理とパラメータ設計について報告する。 |
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WEPI014 p.456 | ランプアップ時ビームロス要因特定に向けたモニターシステム The monitoring system for investigation of the beam loss in ramp-up ○岩崎 能尊(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yoshitaka Iwasaki (SAGA-LS) SAGA-LS電子蓄積リングにはリニアックにより255 MeVまで加速された電子が入射される。約300 mA蓄積後にリング内で1.4 GeVまでランプアップ(加速)を行う。ランプアップに要する時間は約4分である。ランプアップの際、加速直後(~400 MeV以下)に数mA~10 mA程度のビームロスを生じる。ランプアップ不調によるアボートタイムは発生していない。しかし、まれに20 mA以上のビームロスやビームの全ロスを生じ、再入射を行うことがある。そこで、より安定した光源加速器運転維持のため、ランプアップ開始直後のビームロスメカニズムの解明に向けた調査を実施した。SAGA-LS電子蓄積リングにおいては、入射エネルギーから400 MeV付近においてビーム寿命はチューン変動に敏感である。チューン変動は主に蓄積リング主要電磁石電源の変動に起因する。そこで、ランプアップ開始から400 MeV付近までの蓄積リング主要電磁石電源の出力、ビーム電流、およびビーム位置の同時測定を行った。計測にはN.I. PXIシステムを用いた。解析の結果、ランプアップ時の電源出力の同期性に異常はなく、また偏向電磁石および4極電磁石電源出力の変動とビームロスには明確な相関は見られなかった。本会議において、PXIシステムを用いた電磁石電源出力、ビーム電流およびビーム位置の同時モニターシステム、ならびにデーター解析結果について報告する。 |
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WEPI015 p.459 | 円型加速器用多粒子トラッキングコードmbtrackを用いたRF空洞起因のビーム不安定性研究 Beam stability investigation with RF cavtiy impedances by using multipaticle tracking code mbtrack ○山本 尚人(高エネ研),Gamelin Alexis,Nagaoka Ryutaro(SOLEIL) ○Naoto Yamamoto (KEK), Alexis Gamelin, Ryutaro Nagaoka (SOLEIL) 極低エミッタンスを狙う蓄積リングでは、ビーム寿命の改善や自己発散によるエミッタンス劣化を防ぐためラウンドビーム化やバンチ伸張によるバンチ内電子散乱の緩和が重要となる。このうちバンチ伸張は高調波空洞と呼ばれる主空洞の整数倍の共鳴周波数を持つ空洞を用いることになる。 しかし、高調波空洞の採用は周回ビームに新たな不安定性をもたらすことが最近わかってきた。 本研究ではこの不安定性をより詳細に解析し極低エミッタンスにおいても安定に働く高調波空洞システムを設計するため、既存のマクロ粒子トラッキングコードであるmbtrackに対しRF空洞のインピーダンスを扱えるよう拡張した。 mbtrackはSOLEILのNagaoka氏らによって開発された6次元のビーム不安定性解析コードである。 本コードを用いることで蓄積リング内に存在する多種多様なインピーダンスと共に高調波空洞及び空洞ライクなインピーダンス源がビームの運動に及ぼす影響を調べることが可能となる。 本発表ではmbtrackに今回加えた拡張の詳細、計算が正しく行われていることを確かめるために行ったベンチマーク計算の結果を示すとともに、本コードを用いることで明らかになってきた高調波空洞起因の不安定性について報告する。 |
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WEPI016 p.465 | 日本大学LEBRA FELビームラインにおけるコヒーレントエッジ放射源の開発 Development of coherent edge radiation source at FEL beam line in LEBRA ○境 武志(日大量科研),清 紀弘(産総研),早川 恭史,住友 洋介,野上 杏子,田中 俊成,早川 建,髙橋 由美子(日大量科研),小川 博嗣(産総研),植原 爽,木村 将記,岡崎 大樹,黒澤 歩夢(日大大学院) ○Takeshi Sakai (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei (AIST), Yasushi Hayakawa, Yoske Sumitomo, Kyoko Nogami, Toshinari Tanaka, Ken Hayakawa, Yumiko Takahashi (LEBRA, Nihon University), Hiroshi Ogawa (AIST), Sou Uehara, Masaki Kimura, Hiroki Okazaki, Ayumu Kurosawa (LEBRA, Nihon University) 日本大学量子科学研究所電子線利用研究施設LEBRAでは、高エネルギー加速器研究機構と産業技術総合研究所との共同研究により加速器の高度化、テラヘルツ波光源開発を行っている。2017年度末からはアンジュレーター下流側に設置している偏向電磁石で発生させたTHz領域のコヒーレントエッジ放射(CER)の開発を開始した。発生したCERは、FELの発振状態を妨げることなく取り出すことが可能な穴あきのミラーを用いており、輸送光学系機構を用いて輸送が可能である。設置直後は基礎測定を優先するため、真空配管の接続は加速器本体室のみで止めていたが、2018年度末にFELビームラインへ重畳できるように、FELビームラインの真空配管への接続、FELとCERの重畳用ITO蒸着ミラー(酸化インジウムスズ蒸着ミラー)の設置、輸送用ミラーのトロイダル面ミラーへの変更を行った。この改良により、常時立ち入り可能なユーザー実験室への輸送試験を始める予定である。本発表ではFELラインへ設置したCER輸送系の試験、各測定結果に関して報告する。 |
電子加速器 (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI017 p.468 | cERLにおけるIR-FELに向けたバンチ圧縮 Bunch compression operation for IR-FEL at the compact ERL ○島田 美帆,本田 洋介,中村 典雄,加藤 龍好,宮島 司,帯名 崇,内山 隆司(高エネ研) ○Miho Shimada, Yosuke Honda, Norio Nakamura, Ryuko Kato, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Takashi Uchiyama (KEK) これまで、コンパクトERL(cERL)では、低エミッタンスかつ短いバンチ長を目指すため、主加速空洞でエネルギーを上げてからバンチ長を短くするバンチ圧縮を実証してきた。この特徴的なビームを有効的に利用するために、IR領域のSASE-FEL発振に向けて、オプティクスの設計およびビームコミッショニングを進めている。本発表では、エネルギー17MeV、バンチ電荷60pCのシミュレーションおよびコミッショニングの結果を報告する。 |
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WEPI018 p.473 | SuperKEKBにおけるターンバイターンモニターを用いたベータトロン関数の測定 Betatron function measurements using the gated turn-by-turn monitors at SuperKEKB ○三塚 岳,飛山 真理,森 健児,杉本 寛(KEK) ○Gaku Mitsuka, Makoto Tobiyama, Kenji Mori, Hiroshi Sugimoto (KEK) 本講演では、SuperKEKBにおけるターンバイターンビーム位置モニターを用いたベータトロン関数測定について発表する。SuperKEKBでは電子・陽電子リング合わせて138台のターンバイターンモニターを運転している。このモニターには特定のバンチの情報だけを切り出せる高速ゲートスイッチが備わっているため、多数のバンチを周回させる衝突運転中であっても、パイロットバンチのみを周回毎に測定することが可能である。本発表では、SuperKEKBフェーズ2(2018年2-7月)およびフェーズ3(2019年2月~)で行ったターンバイターンモニターによる測定を閉軌道による測定と比較し、さらにNAFFや独立成分分析といったデータ解析技術についても議論する。 |
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WEPI019 p.478 | Compact ERLにおける長期ビーム運転下での主加速器部超伝導空洞性能の推移 Long-term operation with beam and cavity performance in Compact-ERL main linac at KEK ○阪井 寛志,梅森 健成,加古 永治,許斐 太郎,古屋 貴章,Feng Qiu,三浦 孝子,中西 功太,本間 輝也,小島 裕二(KEK),沢村 勝(QST),石原 将治,今田 信一,泰中 俊介,沼田 直人,山田 浩気(NAT) ○Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Eiji Kako, Taro Konomi, Takaaki Furuya, Qiu Feng, Takako Miura, Kota Nakanishi, Teruya Honma, Yuji Kojima (KEK), Masaru Sawamura (QST), Masaharu Ishihara, Shinichi Imada, Shunsuke Tainaka, Naoto Numata, Hiroki Yamada (NAT) KEKにあるCompact ERL(cERL)は2013年からビーム運転を開始し、CW 1mAのエネルギー回収に成功した。このような大電流ライナック運転下において、超伝導空洞の性能が劣化しないかが運転上の問題である。本発表では、2013年から現在までのビーム運転での超伝導空洞性能の測定結果について述べるともに、特に前回の2015年の発表以降、2016年からの性能劣化の様子やその劣化に対し、どのように現在までの運転を維持してきたかを報告する。 |
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WEPI020 | 共振器型誘導回折放射における共振器設計の比較 Cavity design comparison for the resonant coherent diffraction radiation ○本田 洋介,島田 美帆,宮島 司,帯名 崇,山本 尚人,高井 良太,内山 隆司,加藤 龍好,アリシェフ アレクサンダー(高エ研) ○Yosuke Honda, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Naoto Yamamoto, Ryota Takai, Takashi Uchiyama, Ryukou Kato, Alexander Aryshev (KEK) 短バンチ電子ビームが電磁気学的境界の近傍を通過する際に、テラヘルツ帯域のコヒーレント回折放射(CDR)が発生する。バンチ繰り返しに合わせた光学共振器の内部でCDRを発生させ、多バンチビームのバンチ間で放射がコヒーレントに加算する条件が成立すると、誘導放射によりCDRの放射が促進される。穴あきミラーで構成した光共振器にビームを通過し、共振器長をスキャンして、誘導回折放射による共振器の共鳴を観測した。このとき、広帯域の同時発振ができるかどうかは、共振器の設計に依存している。共焦点型の共振器と、共焦点からずらした条件の共振器の実験結果を比較し、設計指針の確認を行った。 |
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WEPI021 | cERL赤外自由電子レーザーの改造の検討 Options for upgrading IR-FEL at cERL ○本田 洋介,加藤 龍好(高エ研),川瀬 啓悟(量研),島田 美帆(高エ研) ○Yosuke Honda, Ryukou Kato (KEK), Keigo Kawase (QST), Miho Shimada (KEK) KEKの応用超伝導加速器センターでは、産業応用を念頭にcERLを利用した赤外自由電子レーザーの開発を行っている。ここでは、2台のアンジュレータを用いたSASE-FELのレイアウトで現在、建設の準備を進めている。将来的にさらなる出力の増強や小型効率化などが見込まれる、いくつかの改造案を検討しており、本発表では、再生増幅、自己シード、外部シード、テーパー化、などについて議論する。 |
レーザー (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI022 p.483 | SuperKEKB phase III コミッショニングのRF電子銃用Yb/Ndハイブリッドレーザーシステム RF gun drive Yb/Nd hybrid laser system for SuperKEKB phase III commissioning ○張 叡,周 翔宇(高エネルギー加速器研究機構),熊野 宏樹,豊富 直之(三菱電機),本田 洋介,吉田 光宏(高エネルギー加速器研究機構) ○Rui Zhang, Xiangyu Zhou (KEK), Hiroki Kumano, Naoyuki Toyotomi (MSC), Yosuke Honda, Mitsuhiro Yoshida (KEK) Long term continuous stable laser and RF gun operation have been realized in SuperKEKB phase II commissioning. Basing on the achievements and experiences of this commissioning, as well as to fulfil the requirements of SuperKEKB phase III early stages for the electron beam, some improvements are made for the current Yb/Nd hybrid laser system. Higher electron charge, lower emittance and better stability have been demonstrated in 2019 summer commissioning. Especially, 5.3 nC electron charge is achieved by use of the current laser system and QTW RF gun. It demonstrates that the laser system and RF gun can generate high charge electron beam for the final aim of SuperKEKB phase III. In addition, transverse and longitudinal reshaping of laser pulse will be done for purchasing much lower emittance and energy spread after this commissioning. The priority is to promote high charge electron beam with higher quality in the following days. |
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WEPI023 p.487 | SuperKEKBのPhase-IIIコミッショニングに向けた電子銃システムのアップグレード Upgrade of electron beam generation system for Phase-III commissioning of SuperKEKB project ○周 翔宇,ZHANG RUI,吉田 光宏,本田 洋介,小川 雄二郎(KEK/SOKENDAI) ○Xiangyu Zhou, Rui Zhang, Mitsuhiro Yoshida, Yosuke Honda, Yujiro Ogawa (KEK/SOKENDAI) SuperKEKBプロジェクトのPhase-IIIが2月に開始した。入射器の最終目標20 mm-mrad、5nCを達成するため、電子銃及びレーザー光源の改善を続けている。現在、長寿命高量子効率のIr5Ce固体カソード及び擬似進行波型空洞を採用し、ファイバーとNd:YAGハイブリットレーザー光源を用い、Linac加速後、2nC、50μm以下のエミッタンスを達成した。さらに低エミッタンスを得るため、レーザービームの整形及び軌道調整を行っている。そして、長時間安定運転するため、無人化に向けて自動化プログラムを開発している。 |
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WEPI024 p.491 | クラブ衝突レーザーコンプトン散乱に向けたリング型再生増幅器の開発 Development of a ring type regenerative amplifier for crab crossing laser-Compton scattering ○小柴 裕也,森田 遼介,鷲尾 方一(早大),坂上 和之(東大光量子研),東口 武史(宇大),浦川 順治(高エネ研) ○Yuya Koshiba, Ryosuke Morita, Masakazu Washio (Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC), Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya Univ.), Junji Urakawa (KEK) X線の発見から100年以上が経過した現在においても、医療のために病院で使用されるX線、大学・企業における研究開発で使用されるX線はX線管を光源として使用されている。しかしながら高輝度X線のフロンティアはX線自由電子レーザー(XFEL)や放射光(SPring-8等)であり、大型加速器に依存しているため、利用者数は限られる。こういった背景からコンパクトで高輝度なX線源の確立が望まれているのが現状である。レーザーと電子ビームの相互作用によってX線を生み出すレーザーコンプトン散乱(LCS)は小型高輝度X線源としてのポテンシャルを秘めるだけでなく、準単色、エネルギー可変、偏光可変、微小光源などの既存技術にない特徴を持っており、一層の高強度化が望まれている。本研究は電子ビームとレーザーの衝突としてクラブ衝突を行い、衝突角に開きがあるような状況下において、一度の相互作用で生成されるX線光子数を増大することを目的としているが、そのためのレーザーシステムとしてThin-diskと呼ばれるレーザー媒質を活用した再生増幅器の開発を行っている。10ミリジュール、1ピコ秒のレーザー開発を行い、クラブ衝突LCSの原理実証試験を行う予定である。これまで往復型の光共振器を用いた開発を行ってきたが、本年会では、より安定したレーザーシステム開発を目的としたリング型再生増幅器開発について報告する。 |
ビーム診断・ビーム制御 (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI025 p.494 | RF-Deflectorを用いた電子ビームの時間分解位相空間分布計測 Time-resolved transverse phase space measurements of the pulsed electron bunches using an rf deflecting cavity ○大塚 誠也,佐々木 智則,小柴 裕也,鷲尾 方一(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研) ○Seiya Otsuka, Tomonori Sasaki, Yuya Koshiba, Masakazu Washio (WISE, Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC, The Univ. of Tokyo) 早稲田大学ではRF電子銃から生成される電子ビームを用いた応用研究を行っている。応用研究においては、ベースとなるビームの特性、パラメータの詳細な理解が必須である。特に位相空間分布およびその面積(エミッタンス)は、ビームの品質を表す重要なパラメータである。位相空間分布はビームを時間方向に分解した分布の重ね合わせで表現されるため、ビームの特性の理解や高品質化のためには時間分解された位相空間分布の計測が非常に重要である。本研究ではスリットスキャン法とRF-Deflector法を組み合わせることで電子ビームの横方向時間分解位相空間分布の計測を行った。スリットスキャン法は、ビームの一部をスリットで切り出して自由空間をドリフトさせたときの小片の拡がりから発散角を算出して位相空間分布を取得する方法である。一方RF-Deflectorはビーム進行軸上でRF磁場が共振する空胴である。このRF磁場によってビームを偏向させ、時間方向プロファイルを横方向に直接変換できる。RF-Deflectorで時間方向プロファイルを取得した上で時間分解能より大きな時間幅でビームを時間方向にスライスし、各スライスでスリットスキャンを行うことで時間分解位相空間分布を取得した。本発表ではRF電子銃のパラメータを変化させたときの電子ビームの時間分解位相空間分布の振る舞いを評価し、ビームの特性およびダイナミクスを議論する。 |
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WEPI026 p.498 | J-PARCハドロンhigh-p ビームライン用高感度残留ガスプロファイルモニタの開発 Development of high sensitivity residual gas ionization profile monitor for J-PARC hadron high-p beamline ○豊田 晃久,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,白壁 義久,高橋 仁,田中 万博,広瀬 恵理奈,皆川 道文,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Akihisa Toyoda, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Kato, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロン実験施設に現在建設中のhigh-pビームラインは、現在稼働中のAラインの一次陽子ビームの一部を分岐させ使用するビームラインである。このビームラインは分岐部で削り出すのでビームロスがあり、放射線レベルは高い。しかし、輸送するビーム強度は比較的低いため、高感度でかつ放射線耐性の高いプロファイルモニタが必要となる。そこでビーム通過により残留ガスで生じた電離電子をバックグランドの低い光に変換し、光増幅してプロファイルを測定するモニタを考案した。現在は実用化に向けてR&Dを進めている段階である。今回の発表では信号およびバックグランド量の評価、電離電子加速用電極の設計および試験、光伝送する光学系の検討、および将来の展望などについて発表する。 |
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WEPI027 p.501 | マルチバンドRFKO電界による遅いビーム取り出しの原理実証試験のためのビームシミュレーション研究 Beam simulation study for proof-of-principle test of slow beam extraction by multiband radio frequency electric field ○奥川 雄太郎,山口 輝人,中西 哲也(日大生産工) ○Yutaro Okugawa, Teruto Yamaguchi, Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University) 粒子線がん治療における効果的なビーム照射法としてスポットスキャニング照射法がある。この方法はシンクロトロンからのビーム取り出しにおいて高速なビーム制御が必要である。それを目的としてRFKO(Radio Frequency Knockout)法がある。一様なスピルを得るために、高周波源として複数のベータトロン共鳴周波数帯を含んだマルチバンドのカラードノイズ(CN)を提案し、出射ビーム強度が一様になることを示した。CN発生源としてDAC(D/A Converter)を用いた。あらかじめPC上で計算したCNデータをDACのメモリに書き込み、外部クロックにより出力する。DACのメモリには限りがあるため、計算したCNデータを繰り返し使用する。今回、若狭湾エネルギー研究センター(WERC)でマルチバンド方式の原理実証実験を行うために様々な条件でビームシミュレーションを行った。CNデータは1-5万ターンとスピル構造が比較的滑らかな1-2万ターン、7万-12万ターンの部分を使用した。一方、ビーム実験で用いる高周波アンプの最大出力電力は、ピーク電圧により制限される。また、スピル強度は実効値の二乗に比例する。そのためCNデータのピーク値を下げる操作を行った。元データでは、ピーク値/実効値は約5であったが、この値が3.3になるように高い値を減少させた。このピーク値の操作によるスピルの影響がないことをシミュレーションにより確認した。当日はこれらの結果について詳述する。 |
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WEPI028 p.506 | J-PARC主リングSX運転のデバンチプロセスでの縦方向のショットキ-信号 Schottky signal during longitudinal debunching process at J-PARC MR SX ○吉井 正人,杉山 泰之,外山 毅,大森 千広(高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター),田村 文彦,野村 昌弘(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター),原 圭吾,長谷川 豪志,古澤 将司,森田 裕一(高エネルギー加速器研究機構 J-PARCセンター),島田 太平(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Masahito Yoshii, Yasuyuki Sugiyama, Takeshi Toyama, Chihiro Ohmori (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura, Masahiro Nomura (JAEA/J-PARC), Keigo Hara, Katsushi Hasegawa, Masashi Furusawa, Yuichi Morita (KEK/J-PARC), Taihei Shimada (JAEA/J-PARC) J-PARC MR SX運転では99.5%の高い取出効率で50kWを越えるビームをハドロン実験に供給している。粒子数5.5x10^13pppに及ぶ大強度陽子ビームは30GeVのTopエネルギーまで加速された後、RF offによるデバンチプロセスを経て3次共鳴取出が行われる。SXに於けるビームの性質、取り出し効率は、電子雲に起因するtransverse instabilityの抑制が鍵であり、入射時の縦方向位相空間へのオフセット入射やデバンチング過程でのtransverse RFによる抑制手法により、instabilityを回避している。今回、壁電流モニターのspectrum解析からschottky signalを観察し、30GeV デバンチング過程でのビーム運動量の拡がりを観測した。この手法の確立は、ビーム不安定性の解明とその抑制、SXビームの再現性向上に役立つと期待できる。 |
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WEPI029 p.510 | J-PARC MRのためのパルス駆動残留ガスプロファイルモニタの開発 Development of gated IPM (Ionization Profile Monitor) system for J-PARC MR ○佐藤 健一郎(J-PARC/高エネ研) ○Kenichirou Satou (J-PARC/KEK) J-PARCのような大強度ハドロン加速器では、非破壊型モニタである残留ガスプロファイルモニタ(IPM)が利用されている。 J-PARC MRのIPMでは、一次元位置分解型粒子検出器であるマルチストリップアノード付きのマイクロチャンネルプレート(MCP)を粒子検出・信号増感器として使用している。 ビームにより電離分解した残留ガス由来の荷電粒子を高電場および磁場で導き、MCPで2次電子信号に変換しその信号を増幅して、マルチストリップアノードで電流信号として検出する。 この時、ある位置における検出・信号増幅感度(ローカルゲイン)は積算出力電流に依存して減少するため(長期変動)、検出器の中心部、ビームコアに相当する部分が選択的に変動することになり、測定プロファイルにひずみが発生する。 いったんゲインが変動すると、別途校正が必要となるが、この長期変動がMCPの寿命が決めている。 また、ビーム入射から出射まで、数秒間にわたってプロファイルを連続測定する際には、出力電流強度に依存して短期間にゲインが変動する現象もある(短期変動)。この場合もやはりゲインの一様性が失われるためプロファイル測定に影響を与える。 我々はローカルゲイン変動を抑えるために荷電粒子収集用電場をパルス駆動して、実効的にMCP出力電流を下げるGated IPMシステムを開発している。 発表ではGated IPMの概要と開発の進捗について報告する。 |
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WEPI030 p.515 | 大強度陽子加速器のための標的上のプロファイルモニタの開発 Research and development profile monitor at target for the high-intensity proton accelerator ○明午 伸一郎(J-PARC/JAEA) ○Shin-ichiro Meigo (J-PARC/JAEA) 30 MWを超える大強度陽子加速器加速器を用いた、加速器駆動型核変換システム(ADS)が原子力機構(JAEA)、ベルギーや中国等で提案されている。核破砕中性子源においても、1 MWを超えるマルチメガWの施設が提案されている。これらの施設において安定に入射するためには、標的にビームが正しく入射していることを確認する、プロファイルモニタが重要となる。J-PARCの核破砕中性子源では炭化ケイ素(SiC)のマルチワイヤからなるプロファイルモニタを用いており、0.5 MWの定常運転及び1 MWの試験運転では問題ないものの、今後の定常的な大強度運転ではワイヤの損傷が著しくなるものと考えられるため、ワイヤの損傷評価を定量的に行う事が重要となる。このため、我々はプロファイルモニタの開発の一環として、量子機構(QST)のTIARAにおいて運動エネルギ 105 MeVのアルゴンビームを用いたビーム試験を実施した。ビームの二次元分布を得るため、蛍光型のプロファイルモニタの試験を行った。蛍光体として、候補となるクロムをドープしたアルミナや純アルミナ等の物質を用い、ビーム入射に伴う発光量を測定した。クロムを0.5%程度ドープした試験体は発光量は多いものの、長波長の発光量の減少が著しいことが観測された。不純物としてわずかにクロムがドープされた場合には、発光量が小さいものの発光量の減少はほとんど観測されなかった。 |
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WEPI031 p.520 | シングルバンチ不安定性抑制 Head-Tail フィードバックのための bunch-by-bunch Head-Tail キッカー Bunch-by-bunch Head-tail Kicker for Head-tail Feedback for Single-bunch Instabilities ○中村 剛(高輝度光科学研究センター) ○Takeshi Nakamura (JASRI) 蓄積リングにおいて、バンチ電流を制限するシングルバンチ不安定性では、バンチの前半(head)が発生するウェーク場によりバンチの後半(tail)がキックされて、バンチの head と tail で異なる位相の振動、すなわち、バンチの重心振動に加えてバンチの前後の傾きの振動 (head-tail 振動)が発生して不安定となる。この不安定性が十分に抑制できればインピーダンスへの要求が緩和されてリング設計の自由度が増し、コスト低減を含めた最適化が容易となるが、電子のような短バンチに対する従来のフィードバックではバンチの重心振動のみの抑制となり、シングルバンチ不安定性への抑制効果は部分的であった。これに対して、昨年の年会ではバンチのheadと tail をhead-tail キッカーを用いて別々にキックする head-tail フィードバックを提案し、その有効性を示すとともに、head-tail 振動を直接観測するためのモニタ回路や、共鳴を用いたhead-tailキッカーの可能性示した。また、重心振動と head-tail 振動に位相相関があることをシミュレーションで示し、それを用いることにより、通常のバンチ重心位置の測定と head-tail キックとの組み合わせによる不安定性の抑制の可能性を示した。今回は、head-tail フィードバックをbunch-by-bunch で行うためのキッカーについて、その最適化および高効率化についての検討結果を示すとともに、head-tailフィードバックの検討のその後の進展を示す予定である。 |
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WEPI032 p.526 | KEKB入射器における陽電子生成用一次電子のビームタイミング安定性の計測 Beam timing stability diagnostics of primary electrons for positron production at the KEKB Injector Linac ○諏訪田 剛(KEK加速器) ○Tsuyoshi Suwada (KEK-Acc) 入射器では、ビーム位置モニター(BPM)など横方向の診断を主に行なっているが、縦方向の診断(バンチ長計測を除く)は行われていない. この欠点を解消すべく、ビームタイミングモニター(BTM)の開発を行っている. BTMは、BPMと同様なストリップライン構造を有し、加速周波数である2856MHzのゼロクロスに対するビームの到達遅延時間を信号の立ち上がりを使って計測する. この計測により、入射部におけるバンチング特性やビーム光学系など縦方向のビーム安定性を破壊することなく監視できる. 2018年の夏期保守時、入射器A44直後にBTMを設置した. A44は熱電子銃から約50 m下流に位置し、入射電子のエネルギーは~530 MeVである. このBTMは熱電子銃後の縦方向のビーム診断を目的とする. 他方、加速ユニット38後にも同様なBTMを設置し、これはDR後の入射陽電子や180度アーク後の入射電子の縦方向安定性を診断する. 後者については現在整備中である. BTM信号と加速周波数は、市販の高速オシロスコープへ入力し、内臓の遅延時間計測機能を利用する. 入射部パラメータに対する遅延時間応答を計測することで入射部の縦方向安定領域の定量的評価が可能となった. 実験により計測ジッターは1.2 ps (1σ)であった. 平均操作により1 ps以下のジッターまで抑制することも可能となる. 本学会では、BTMの計測原理と入射部パラメータに対する遅延時間応答と安定領域について実験結果を報告する. |
粒子源 (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI033 p.531 | CsK2SbとCs3Sbフォトカソード性能のpn型半導体基板依存性 Pn-type substrate dependence of CsK2Sb and Cs3Sb photocathode performance ○郭 磊(名大),加藤 政博(広大、名大、UVSOR),高嶋 圭史,保坂 将人,真野 篤志(名大) ○Lei Guo (Nagoya Univ), Masahiro Katoh (Hiroshima Univ, Nagoya Univ, UVSOR), Yoshifumi Takashima, Masato Hosaka, Atsushi Mano (Nagoya Univ) CsK2SbとCs3Sbフォトカソードは、低エミッタンス、可視光で励起可能、高い量子効率(QE)など多くの特長を持っており、先端加速器用高性能電子源として有力な候補と考えられている。一般的に、CsK2SbとCs3Sbフォトカソードは蒸着により基板上に生成され、基板・蒸着条件がQEに影響する。近年我々は最適な蒸着条件を見つけ、10%程度のQEを再現性良く実現する技術を確立した。しかしながら、基板がカソード性能へもたらす影響には未知な部分が多い。本研究では、基板がp型やn型の半導体である場合のカソード性能への影響に着目し、n型およびp型基板上にCsK2SbとCs3Sbカソードを生成し、それらの性能を評価した。その結果、同じ基板材料および面方位の基板に対し、p型基板上のCsK2Sbカソードの性能がn型基板上より優れていることを見出した。また、Cs3Sbカソードの性能は基板のpn型に依存しないことを確認した。これらの結果はカソードと基板の間の半導体(金属)-半導体接合によるバンドベンディングにより説明することができた。今年度からは、あいちSRで放射光を利用してカソードの表面物性を評価し、QEを決定づける要因の究明に挑戦する。 参考文献: L. Guo and M. Katoh, Phys. Rev. Accel. Beams 22, 033401 (2019) |
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WEPI034 p.535 | J-PARCハドロン実験施設におけるビーム窓の飛散防止隔壁の開発 Development of a partition wall to prevent scattering of beam-window fragments at J-PARC Hadron Facility ○渡邉 丈晃,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵理奈,皆川 道文,森野 雄平,山野井 豊(KEK) ○Hiroaki Watanabe, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、30GeVに加速された陽子ビームを金属標的(以下、標的)へ照射し、そこで生成されるK中間子等の2次粒子を利用したバラエティーに富んだ原子核・素粒子実験を遂行している。 現行の標的は1次陽子のビームパワーで最大約53kWに対応しているが、これを最大約95kWに対応できる標的へのupgradeを計画している。 標的は除熱などの目的のため約1気圧の不活性ガス(ヘリウムガス)が封入された気密容器中に置かれている。一方、陽子ビームは真空ダクト中を輸送されるため、標的の前後にはヘリウムガスと真空を仕切るための気密性のあるビーム窓が必要となる。 標的の大強度化に合わせてビーム窓についても大強度ビームに対応させるため、前回報告の通り金属ベリリウムを採用したビーム窓の設計を行った。 ベリリウムは低密度、低放射化および高熱伝導率などメリットが多いが、一方で毒性があるため特定第一種指定化学物質に指定されている。仮にビーム窓が破損して真空ダクト中に飛散すると、その後のビームライン機器のメンテナンスで多大な負担となることが予想される。 そこで、万が一ビーム窓が破損した場合に備え、ベリリウムの飛散防止のための隔壁(飛散防止隔壁)の開発を行った。 ここでは飛散防止隔壁の設計および実証試験の結果について報告を行う。 |
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WEPI035 p.540 | 粒子加速用プラズマフォーカス装置における電極形状のプラズマ流及び電流値への影響評価 Influence of electrode geometry on the beam current in a plasma focus device for particle acceleration ○スパダベッキャ ウルデリコ(東芝エネルギーシステムズ株式会社) ○Ulderico Spadavecchia (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation) Experiments on a compact plasma focus device (PFD) have been carried out in order to understand the accelerating mechanisms caused by the interaction of a supersonic plasma with an external magnetic field in a collisionless environment. The present study evaluates the effects of the inner electrode geometry of the PFD on the plasma flow and the resulting beam current. |
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WEPI036 p.545 | J-PARC 3GeVシンクロトロン用荷電変換フォイルの作製状況 Fabrication status of charge stripper foil for 3GeV synchrotron of J-PARC ○仲野谷 孝充,吉本 政弘,山崎 良雄(原子力機構),竹田 修,佐伯 理生二,武藤 正義(日本アドバンストテクノロジー) ○Takamitsu Nakanoya, Masahiro Yoshimoto, Yoshio Yamazaki (JAEA), Osamu Takeda, Riuji Saeki, Masayoshi Mutoh (NAT) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS:Rapid Cycling Synchrotron)では大強度陽子ビームを実現するために荷電変換フォイルを用いた荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。RCSで使用している荷電変換フォイルは、少量のホウ素を炭素棒に添加し、これを電極としたアーク蒸着法により作製したフォイル(HBCフォイル:Hybrid Boron mixed Carbon stripper foil)である。このHBCフォイルはKEK菅井氏により開発されたもので、ビーム照射による損傷に対して強い耐久性を持つことが大きな特徴である。これまでHBCフォイルの作製は、成膜工程(蒸着、アニール、剥離)をKEKつくばで実施し、JAEA東海でフォイルの調製工程(サイズ調整、フレームマウント、マガジンラックへの装填)を実施する分業体制で行ってきた。2017年より、フォイル蒸着装置をKEKつくばからJAEA東海に移設し、作製工程を統合した。移設後に作製したフォイルの健全性を評価するために、QST高崎研TIARAにおいて照射試験及び性能分析を実施し、実機でのビーム照射試験を経て、利用運転での使用を開始した。本発表では蒸着装置移設の経緯と新しく作製したHBCフォイルの特性やJ-PARC利用運転での使用状況について報告する。 |
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WEPI037 p.550 | マルチイオン照射のための小型ECRイオン源の開発 Development of a compact ECR ion source for multiple-ion therapy ○大内 章央,鈴木 太久,高橋 勝之,白石 直浩,佐々野 利信(加速器エンジニアリング株式会社),村松 正幸,岩田 佳之,水島 康太,北川 敦志(量研機構 放医研) ○Fumihisa Ouchi, Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi, Tadahiro Shiraishi, Toshinobu Sasano (AEC), Masayuki Muramatsu, Yoshiyuki Iwata, Kouta Mizushima, Atsushi Kitagawa (QST) 放医研(NIRS)の重粒子線がん治療装置(HIMAC)では,治療用炭素を生成する10 GHz ECRイオン源(NIRS-ECR)の他,生物・物理実験に於いて様々なイオン種の供給を行う18 GHz ECRイオン源(NIRS-HEC),小型ECRイオン源(Kei2),PIGイオン源の4台のイオン源が稼働している.現在,NIRSでは数種類のイオンを標的に照射することで理想的なLETおよび線量分布を形成するマルチイオン照射を推進している.想定されるイオン種はHe,C,O,Neの4種類で,複数のイオン源を専有すれば容易に切り替えが可能となるが,普及型の治療施設では,コストと運転・メンテナンスの観点から,永久磁石型のECRイオン源1台で対応することが望まれる.現在普及型施設で使用されている小型ECRイオン源のKeiシリーズでは,ネオンの多価イオン生成には十分な閉じ込め磁場が得られていないため,我々は新規イオン源の設計と既存のイオン源を用いた開発を行っている. NIRS-HECにおいて,上記4種類のイオン生成試験を行い,その時の磁場分布を永久磁石で再現することとした.目標のイオンは,普及型治療施設で使用されている線形加速器で利用できるものとし,He2+,C4+,O6+,Ne7+とした.また,治療時間短縮のため,イオン源では高速のイオン種切り替えが必要とされる.今回は既存のガス配管を見直し,約1分でのイオン種切り替えが可能となった.今回は、新規イオン源の磁場を決定するためのビーム試験の結果と,ガス配管構成の検討や試験結果について報告する. |
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WEPI038 p.554 | J-PARC負水素イオン源の運転状況 Operation Status of the J-PARC H- Ion Source ○大越 清紀,神藤 勝啓,南茂 今朝雄,柴田 崇統,池上 清,高木 昭,上野 昭,小栗 英知(J-PARCセンター) ○Kiyonori Ohkoshi, Katsuhiro Shinto, Kesao Nanmo, Takanori Shibata, Kiyoshi Ikegami, Akira Takagi, Akira Ueno, Hidetomo Oguri (J-PARC center) 大強度陽子加速施設(J-PARC)リニアックのセシウム添加高周波駆動型(RF)負水素イオン源は、2014年9月から運転を開始し、ビーム電流と連続運転時間を徐々に更新している。昨年のRUN#79(2018年4月~7月)では47mAのビーム条件下で2,201h、更にRUN#80(同年10月-12月)ではビーム電流を60mAに増やし1,791hの連続運転を達成している。一方、RUN#81(2019年1月~3月)とRUN#82(2019年4月~)でそれぞれ一度、RFアンテナが破損し臨時にイオン源を交換するトラブルが発生した。実機のイオン源運転と並行して自主開発アンテナの耐久試験をテストスタンドで行っており、2019年4月現在で1,632時間の運転に成功している。本発表では、RF負水素イオン源の最近一年間の運転実績及びトラブル報告の他、自主開発アンテナの耐久試験状況等について報告する。 |
ハドロン加速器 (7月31日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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WEPI039 p.558 | 等分配則を用いたJ-PARC新RFQのビーム力学 Beam dynamics of a new J-PARC RFQ using equipartitioning scheme ○近藤 恭弘,森下 卓俊(原研) ○Yasuhiro Kondo, Takatoshi Morishita (JAEA) RFQは現代の大強度陽子リニアックを可能にしたキーコンポーネントである。しかしながら、経験的なキルパトリック放電限界の約2倍という高電界で運転する必要があるため、世界的に見ても最もトラブルの起きやすい加速空洞であり、加速器の運転の継続性を担保するには、このミッションクリティカルな空洞にホットスペアが用意されていることが望ましい。この目的で我々はJ-PARCリニアック用の新RFQを製作したが、今回新たにリニアックのビーム設計で事実上の標準となっている等分配則(equipartitioning)をとりいれた。本論文では、このRFQのビーム力学設計とビーム試験について述べる。 |
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WEPI040 p.563 | AVFサイクロトロンの入射系の改良 Improvement of injection system of the AVF cyclotron at RCNP ○中尾 政夫,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,友野 大,鎌倉 恵太,森信 俊平,斎藤 高嶺,畑中 吉治,田村 仁志,永山 啓一,原 周平,Koay Hui Wen,森田 泰之,原 隆文,武田 佳次朗,大本 恭平(阪大RCNP) ○Masao Nakao, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yuusuke Yasuda, Dai Tomono, Keita Kamakura, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Kichiji Hatanaka, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Yasuyuki Morita, Takafumi Hara, Keijiro Takeda, Kyohei Omoto (RCNP, Osaka-u) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)では、高強度かつ高品質のビームの要求に応えるためにAVFサイクロトロンの改良工事が行われている。改良点の一つとして、入射イオンの加速電圧を15 kVから最大50 kVに向上させ低エミッタンスかつ大強度の入射を可能にすることが挙げられる。本発表では、ビームの高強度化・高品質化に重要な、垂直入射ラインからサイクロトロンに入射するためのインフレクター、Deeの電極先端部、位相スリット等からなる入射系について報告する。入射電圧が高くなりインフレクターが大型化した場合でも、ビームをサイクロトロンの中心を回るように入射し、位相スリットや位相バンチング技術を用いて位相幅の小さい状態で加速するための検討を行った。また、RCNPで要求される多種のビームを加速するためには、ハーモニクスを1,2,3,6と変更する必要があるが、その際にもインフレクターのみの交換だけで済むような設計を行った。設計のための計算にはOPERA-3dによって計算された電場と磁場を用い、空間電荷効果を考慮したビームの軌道を計算するために、ロシアJINRのSmirnov氏らが開発したSNOPと、スイスPSIで開発されたOPALを併用した。 |
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WEPI041 p.566 | 超電導加速空洞によるミューオン加速の検討 Design of a SRF linac for accelerating muon ○大谷 将士(高エネ研),近藤 恭弘(原研) ○Masashi Otani (KEK), Yasuhiro Kondo (JAEA/J-PARC) 超電導加速空洞は常電導空洞に比べて高い加速勾配とQ値を持ち、高効率加速・短距離加速に適している。一方で速度βの小さい領域においては国内での開発が滞っており、具体的なアプリケーションやアウトプットに基づいたスタートアップが必要と考えられる。 J-PARCではこれまでにない低エミッタンスミューオンビーム実現のためにミューオン線型加速器の開発を行っている。ミューオンは陽子と電子の中間程度の質量であるため加速と共にβが急速に変わることが特徴の一つで、常伝導加速器を用いた40m程度の線型加速器でβがほぼ1に到達する。また、パルスあたり1万個程度の低電流ビームなので、空洞ロスが小さい超電導加速器の方が高周波源コストの面で優れている。 本講演では超電導加速空洞を用いた場合のミューオン線型加速器の設計を検討する。前述の通りβの変化が大きく質量が陽子・イオンに比べて約10倍以上小さいため、高周波発散力が大きい。本講演では高速度領域からビームダイナミクスを設計し、低速度領域まで適用可能かどうか検討する。 |
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WEPI042 p.569 | J-PARC MRにおけるベータトロンチューン補正システムの応用 Application of new correction system for betatron tune in J-PARC MR ○内藤 大地,栗本 佳典,下川 哲司,三浦 一喜,森田 裕一(高エ研) ○Daichi Naito, Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimogawa, Kazuki Miura, Yuichi Morita (KEK) 主電磁石の制御電源から発生する電流リップルはベータトロンチューンのリップルを誘起する。 我々のグループでは主電磁石の電流リップルをモニターし、補正磁石によってチューンを補正するシステムを開発した。 本講演ではこのシステムを用いたビーム加速中のチューンリップル補正の検討結果について報告する。 |
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WEPI043 p.574 | J-PARC RCSビームコミッショニングの進捗報告:1 MW以上のビーム出力の実現に向けた取り組み Recent progress of the J-PARC RCS beam commissioning and operation: efforts to realize a higher beam power beyond 1 MW ○發知 英明,原田 寛之,林 直樹,金正 倫計,岡部 晃大,サハ プラナブ,菖蒲田 義博,田村 文彦,山本 風海,山本 昌亘,吉本 政弘(原子力機構・J-PARCセンター) ○Hideaki Hotchi, Hiroyuki Harada, Naoki Hayashi, Michikazu Kinsho, Kota Okabe, Pranab Saha, Yoshihiro Shobuda, Fumihiko Tamura, Kazami Yamamoto, Masanobu Yamamoto, Masahiro Yoshimoto (J-PARC, JAEA) J-PARC RCSは、昨年の7月に、コンマ数%という極限まで低減されたビーム損失で設計出力1 MWの連続ビーム加速を達成した。この成功を踏まえ、現在、RCSでは、1 MW以上のビーム出力の実現に向けたビーム試験を精力的に展開しているところである。当面の目標は、入射ビームのパルス長とピーク電流値を増強して、最大1.5 MW相当の大強度ビーム加速を実現することである。本発表では、昨年の10月と12月に実施した1.2 MW相当の入射・加速試験結果、特に、その際に出現したビーム損失の発生メカニズムやその低減のために行った一連の取り組みに焦点を当てて報告する。 |
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WEPI044 p.579 | J-PARC 3-50BTビーム輸送系磁石の仮復旧に関するビーム軌道の検討 Beam Orbit Study for a Temporary Recovery of the J-PARC 3-50BT Magnet ○冨澤 正人,五十嵐 進,佐藤 洋一,白形 政司,高野 淳平,武藤 亮太郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Masahito Tomizawa, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Masashi Shirakata, Junpei Takano, Ryotaro Muto (KEK) 2019年2月初旬から、約2ヶ月半の予定で遅い取り出しビームを用いたビーム運転が開始された。3月下旬にRCSからMain Ringへのビーム輸送系(3-50BT)の偏向電磁石1台の下側のコイルが部分的にショートした。調査と議論の結果、ショートしたコイル層をバイパスし運転再開を行う方針になった。この議論の中で、故障した磁石周辺の偏向電磁石とステアリング磁石で軌道を 補正することにより、どこまで磁場を下げることができるかをSADコードを使い評価した。最終的には、運転再開前の試験において電流を故障前より多く流すことで磁場を回復できることがわかった。ただし上下非対称励磁により発生するskew成分のビームへの影響が懸念された。 2次元磁場計算による結果をもとに、SADコードによるトラッキングで通過するビームのエミッタンスグロースを評価した。運転再開約2週間後に、同じ磁石でコイルショートが再発した。短期間ではあるが今度は磁場を若干下げた状態で、上流・下流のステアリング磁石で軌道を補正することにより運転を続けることができた。以上述べたような3-50BTビーム輸送系磁石の仮復旧に伴うビーム軌道の検討結果に加えてビームによる測定結果も含めて報告する。 |
加速器制御 (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH001 p.583 | SPring-8/SACLA加速器運転パラメータ管理データベースの構築 A database scheme to manage operational points and calibration values at SPring-8/SACLA ○岡田 謙介(高輝度光科学研究センター),福井 達,前坂 比呂和(理研),田尻 泰之,住友 博史(スプリングエイトサービス) ○Kensuke Okada (JASRI), Toru Fukui, Hirokazu Maesaka (RIKEN), Yasuyuki Tajiri, Hiroshi Sumitomo (SES) SPring-8へのSACLAからの入射計画、その先のアップグレードのため加速器制御系の更新を行った。本稿は、その中で機器の設定値や校正値の管理について述べる。ここでは運転パラメータ管理と呼ぶことにする。これまで、運転パラメータ管理については、場当たり的な対応が積み重なって混乱していた。特に運用の歴史の長いSPring-8では、ファイル名で管理している場合や、リレーショナルデータベース(RDB)を利用していても、項目毎にテーブルを作成し、アクセス関数をその都度提供したことで見通しの悪い状態になっていた。今回要件を見直して、現在使用中の運転パラメータの取り扱いと過去データの保存の用途に絞り、単純に1要素(ID)、1属性(key)の組に値(value)を紐づけることで、共通の見通しのよいシステムに置き換えることを目指した。代表的なIDは、機器名(電源等)であり、コンポーネント名(Q-mag等)である。keyはA (アンペア)等となる。RDBテーブルは、意味とデータ更新頻度が近い項目で分類して作成した。この運転パラメータ管理データベースは2018年から本運用を行っている。また、これまで機器側からRDBに直接アクセスができなかったためテキストファイルを使う方法しかなかった機器側の初期設定をこの枠組みに置き換えることも進めている。本稿では、RDBとアクセス関数群の設計、使用例について述べる。 |
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THPH002 p.588 | インベントシステムを用いたATF加速器トリガーの高精度化 High precision trigger distribution for KEK-ATF using Event System ○塚田 義則(関東情報サービス(株)),内藤 孝,照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshinori Tsukada (KIS), Takashi Naito, Nobuhiro Terunuma (KEK) KEKの先端加速器試験施設(ATF)ではライナック、ダンピングリングを始め全ての測定系がパルス同期運転を行っているため高精度のトリガー信号を必要としている。また、トリガー信号は運転モードやパラメータの変更によって頻繁にタイミングを変える必要がありソフトウェアによる遅れ時間の変更を行う必要がある。ATFではトリガー信号を生成するハードウェアとして、プログラマブルディレイモジュール(TD4)を用いているが、トリガーシステムが複雑になるにつれてトリガー信号の接続は複雑な構成となり、確率的な遅れ時間のカウント誤差が発生するようになった。この誤差は複数のTD4によって独立に遅れ時間を生成するために発生するもので完全に解決することは難しい。今回、MRF社EVG,EVR, SINAP社Standalone Event Receiver(SEVR)を用いたトリガー信号の高精度化を行った。これにより確率的な遅れ時間のカウント誤差は解消され、安定な加速器の運転が可能となった。そのハードウェア構成とソフトウェアの開発の現状について報告する。 |
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THPH003 | J-PARC MR-MPSにおけるSoft-MPS導入と背景 Introduction and background of Soft-MPS in J-PARC MR-MPS ○木村 琢郎,佐藤 健一,上窪田 紀彦,山田 秀衛,山本 昇(J-PARCセンター/KEK) ○Takuro Kimura, Kenichi Sato, Norihiko Kamikubota, Shuei Yamada, Noboru Yamamoto (J-PARC Center/KEK) J-PARC MR-MPSはMRの各機器のインターロックが発報した際に、MRのビーム運転を停止するとともにビームアボート処理を行うことで機器の損傷や高放射化などのトラブルの拡大や防止を行う安全システムである。MR-MPSは2008年の運用開始からこれまでに機能の拡張や監視対象機器の追加を行い加速器と実験施設の安全を担保してきた。これまでMR-MPSでは電源などの機器インターロックやBLMの信号など個別の状態をハードワイヤで監視してきた。しかし、各々の機器のインターロックが正常であっても、スタディ中の複合的な特殊条件がそろう場合にリスクが発生することが確認された。そこでEPICSレコードを用いて運転状態、ビーム条件や機器の状態など複合的な条件をソフトウェアで管理することでリスクを伴う状態を検出しビーム運転を停止、または抑止するSoft-MPSを新たに導入した。またこのSoft-MPSは監視対象機器のEPICSレコードを取得できれば、機器からMPS装置まで直接配線を行う必要がないため、早急にMPS監視体制を整備する必要がある際にも非常に有用である。本発表では、Soft-MPS導入の経緯や今後の展望について報告を行う。 |
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THPH004 p.592 | SuperKEKB加速器におけるEPICS Archiver Applianceの応用 Application of EPICS Archiver Appliance at SuperKEKB ○梶 裕志(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Kaji (KEK) EPICS Archiver ApplianceはSLACで開発されたデータベースマネージメントシステムである。EPICS環境下で動作する従来のアーカイバシステムより操作性が良く、拡張性も高い。また多層化されたデータ記憶領域によりデータ量の管理することができ、その読み出し速度も従来システムより格段に向上している。日本でもJ-PARC加速器の主アーカイブシステムとして運用されているなど、複数の実績を持つ。SuperKEKB加速器でもJ-PARC制御グループの得た知見を基にArchiver Applianceの導入を行い、機能の順次拡張を行っている。本講演では我々の現在までの試みと将来運用するシステムの展望を紹介する。 |
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THPH005 p.596 | SuperKEKBにおけるZabbixを用いた監視システムの構築 Monitoring system with Zabbix at SuperKEKB ○佐々木 信哉,中村 達郎(KEK),廣瀬 雅哉(関東情報サービス) ○Shinya Sasaki, Tatsuro Nakamura (KEK), Masaya Hirose (Kanto Information Service) 加速器制御に用いている計算機やネットワークスイッチなどの機器の状態を監視することは、加速器を安定して運転するために重要なことである。SuperKEKBでは、これまでCactiを利用して機器の監視を行ってきたが、100台を超える機器の管理・可視化を行うことが困難になっていた。そのため、より効率的な監視システムの構築を目指してZabbixを導入した。Zabbixのテンプレートやディスカバリなどの機能によって、監視する機器を効率的に管理出来るようになったほか、障害発生時にはアラートをメールで送信し、管理者が速やかに状況を把握することが可能になった。Zabbixで収集したデータの可視化にはGrafanaを採用し、システム全体の状況がより理解しやすく出来るようにしている。また、EPICSレコードの値をZabbixに送信して監視を行うためのChannel Access クライアントを開発し、ZabbixによってEPICSレコードの値を監視することが可能になった。SuperKEKBでは、IOCのCPU使用率やChannel Accessの接続数などをこのシステムによって監視している。本稿では、構築した監視システムの詳細と利用状況に関して報告する。 |
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THPH006 | 光ファイバーによる高電位高速電気信号測定システムの開発 Development of measurements system for high-speed electric signals on high-voltage potential by optical fiber ○中山 響介((株)パルスパワー技術研究所) ○Kyosuke Nakayama (Pulsed Power Japan Lab.) 加速器用電源システムでは、イオン源電源、電子銃電源、クライストロン電源、真空管電源など高電位に浮いた環境下で微小電気信号を測定する必要がある場合が多い。しかし、電気信号のままでは高電圧の絶縁を確保して信号を測定することが困難であり、2本の高電圧プローブにより差動測定しても2本のプローブの特性差により正確に測定することは難しい。我々は、このような用途で使用することを目的に、高電位側に設置した高速AD変換基板でアナログ電気信号をデジタル光信号に変換し、絶縁性の良い光ファイバーで接地電位側に設置した高速DA変換基板に送信後、再度アナログ信号に復元する小型で高速な測定システムを開発した。入出力は±10 V内で可変、入力帯域幅はDC~300 kHz(振幅減衰最大-1 dB)、分解能は12 bit、サンプリング周波数は3.57 MHzである。 |
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THPH007 p.600 | 機械学習を使用したKEK Linac加速器運転調整システムの開発 R&D of the KEK Linac Accelerator Tuning using Machine Learning ○城庵 颯(阪市大理),岩崎 昌子(阪市大理, 阪市大南部研, 阪大RCNP, 阪大IDS),佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構, 総研大 加速器科学専攻),佐武 いつか(高エネルギー加速器研究機構),中島 悠太,武村 紀子,長原 一(阪大IDS),中野 貴志(阪大RCNP, 阪大IDS) ○Hayate Joan (Osaka City U.), Masako Iwasaki (Osaka City U., NITEP, Osaka U. RCNP, Osaka U. IDS), Masanori Satoh (KEK, SOKENDAI Department of Accelerator Science), Itsuka Satake (KEK), Yuta Nakashima, Noriko Takemura, Hajime Nagahara (Osaka U. IDS), Takashi Nakano (Osaka U. RCNP, Osaka U. IDS) 我々はKEK 入射加速器(Linac)における入射効率向上のため、機械学習を使用したマシンパラメータ調整システムの開発を行った。 加速器調整では種々のマシンパラメータを調節して高い入射効率が得られるように最適化している。マシンパラメータの調節に機械学習を導入することで、1.調整時間の高速化 2.調整性能の向上 が期待できる。 機械学習の開発を行うためにLinacの加速器運転データ(制御パラメータ、モニタリングデータ、環境データ)を蓄積した。得られたデータをもとに入射効率と種々のパラメータとの相関を調べ、その結果をもとに加速器調整用の機械学習アルゴリズムを検討している。本発表では機械学習を用いた入射器上流部のRF位相の調整方法の開発について現状報告を行う。 |
高周波源 (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH008 p.604 | 3.3kV-SiC-MOSFETを使用したILC用MARXモジュレータの評価試験 Evaluation test of MARX modulator for ILC using 3.3kV-SiC-MOSFET ○澤村 陽,徳地 明(株式会社パスルパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光,川村 真人(高エネルギー加速器研究機構),坂本 邦博(産業技術総合研究所、先進パワーエレクトロニクス研究センター) ○Yo Sawamura, Akira Tokuchi (PPJ), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima, Masato Kawamura (KEK), Kunihiro Sakamoto (AIST,ADPERC) ILC(国際リニアコライダー)は、計画は、全長約30kmの直線加速器で、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験を行う計画。 ILC計画の主線形加速器にはマルチビームクライストロンシステムが搭載される。超伝導加速空洞に加速電場を生成するためのRF電力は、マルチビームクライストロンとそれを駆動するクライストロン電源で構成される。 クライストロン電源はマルクス変調器と呼ばれ、120kV 140A 1.9msのパルス電圧を発生し、マルチビームクライストロンのカソードに供給する。 小型、低コスト、高信頼性が要求される。 試作電源のSiC MOS-FETとSiCダイオードは2.4kVの耐圧が必要であり、1.2kVの耐圧の2つの素子を直列に接続して構成している。 本研究では信頼性をさらに向上させるために、3.3kV-SiC-MOSFETを使用している。今回は連続運転でのデバイス温度評価も実施し、ILC用MARXモジュレータの評価試験について報告する。 この研究の一部は、つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)の共同研究プロジェクトの下で実施されている。 |
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THPH009 p.607 | STF2加速器での安定なビーム運転のためのRF出力分配系の構築 Construction of RF Power Distribution System for Stable Beam Operation for STF2 Accelerator at KEK ○堤 和昌,石本 和也,沼田 直人(NAT),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,チュウ フェン,中島 啓光,松本 利広,三浦 孝子,江木 昌史(KEK) ○Kazuyoshi Tsutsumi, Kazuya Ishimoto, Naoto Numata (NAT), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Feng Qiu, Hiromitsu Nakajima, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Masato Egi (KEK) KEKの超伝導RF試験施設(STF)では、国際リニアコライダー(ILC)の実現に向けて超伝導空洞を用いた線形加速器(STF2加速器)の開発を進めている。STF2加速器は3台の高周波源を持ち、各々がRF電子銃、2台の超伝導空洞、8台の超伝導空洞へマイクロ波(運転周波数1.3GHz,繰り返し 5Hz、RFパルス幅1~1.65 ms)を供給する構成となっている。2019年2月から3月にかけて、初めてビーム加速試験が行われた。安定な高周波源やビーム運転に向けて、導波管内放電や反射RFにより引き起こされるビーム運転への悪影響を抑えるための分配系やモニター系、インターロックの構築を行った。また、ビーム運転のために各高周波源のRF出力分配系のパワー分配や移相量の調整を行った。 本報告では、STF2加速器のRF出力分配系について報告を行う。 |
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THPH010 p.611 | J-PARC 用 324 MHz クライストロンの特性評価 Performance test of J-PARC 324 MHz klystrons ○不破 康裕,篠崎 信一,千代 悦司,平根 達也(原子力機構),方 志高,福井 佑治,二ツ川 健太,溝端 仁志(高エネ研),岩間 悠平,佐藤 福克,堀 利彦(日本アドバンストテクノロジー) ○Yasuhiro Fuwa, Shinichi Shinozaki, Etsuji Chishiro, Tatsuya Hirane (JAEA), Zhigao Fang, Yuji Fukui, Kenta Futatsukawa, Satoshi Mizobata (KEK), Yuhei Iwama, Yoshikatsu Sato, Toshihiko Hori (NAT) J-PARCリニアックでは、324 MHzと972 MHzのクライストロン計 45 台を用いて加速器の運転が行われている。J-PARC の今後の安定化及び高度化に際しては、最大出力付近でのクライストロン出力特性の正確な把握が重要となる。この特性の把握には使用前のクライストロンはもちろんのこと、放電など何らかの理由で交換されたクライストロンの特性測定が不可欠である。しかしながら、放電による周辺機器を含めた損傷などのリスクや加速器の運転との時間的な干渉が理由で、このような測定はこれまで実施されてこなかった。そこで、リニアック棟内にクライストロンテストスタンドを設置し、様々な運転パラメータにおけるクライストロンの高圧特性や入出力特性を測定することにした。このデータの取得を使用前及び使用済みのクライストロンに対して行い、その結果から高出力と安定性を両立する運転条件の確立を目指している。本発表では、クライストロンテストスタンドの概要と 324 MHz クライストロンを使用した試験結果の詳細を報告する予定である。 |
LLRF (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH011 p.614 | J-PARCリニアック高周波機器の湿度依存性の試験 Investigation into Humidity Characteristics of RF Devices at J-PARC Linac ○二ツ川 健太,方 志高,福井 佑治(高エネルギー加速器研究機構),篠崎 信一,平根 達也(日本原子力研究開発機構),佐藤 福克(日本アドバンストテクノロジー株式会社) ○Kenta Futatsukawa, Zhigao Fang, Yuji Fukui (KEK), Shinichi Shinozaki, Tatsuya Hirane (JAEA), Yoshikatsu Sato (NAT) J-PARCのリニアックの出射の運動量の中心値が湿度に依存して変動していることが明確になった。これは、リニアックの高周波機器が湿度に応じて変動していることを示唆していることになる。高周波機器が設置されているクライストロンギャラリでは、温度変動を27±2℃になるように制御しているが、湿度に関しては特に制御されていない。その結果、ギャラリ内の相対湿度は年間で約15%から65%まで変動している。そこで、リニアックの様々な高周波機器及び高周波ケーブルなどの湿度依存性を測定して、対策の優先順位とその方法を検討することにした。対策としては、一部の高周波基板に防湿スプレーを吹き付けて前後で湿度依存性の変化を測定したが、芳しい結果は得られていない。また、高周波基準信号発生器が実装されているラックに関しては、精密空調器を導入して運用を開始している。現状では対策が追いついているとは言えないが、議論や方針を検討するための基本データは揃いつつある。本件では、現状と今後の対策に関して発表する。 |
真空 (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH013 p.619 | NEGコーティングしたAg入り無酸素銅真空ダクトの開発 Development of oxygen-free copper containing silver vacuum tube with NEG coating ○金 秀光,山本 将博,谷本 育律,内山 隆司,野上 隆史,本田 徹(高エネ研) ○Xiuguang Jin, Masahiro Yamamoto, Yasunori Tanimoto, Takashi Uchiyama, Takashi Nogami, Tohru Honda (KEK) 近年の光源加速器では小径ビームチューブが要求されるため、超高真空の実現に不可欠な低いガス放出特性と高い実効排気速度を同時に満たす手段としてNEGコーティング技術が注目されている。NEGコーティングは、非蒸発ゲッター(NEG)材をチューブの内壁に成膜することでガス源である内壁をポンプに変える技術で、NEG材には180℃の低温で再活性化できるTi-Zr-V材料系が広く使われる。前の研究で、我々はNEGコーティング装置を開発し、CERNで報告されている排気性能に匹敵するNEGコーティング膜の生成に成功した。 ビームチューブが小径になると、インピーダンスが大きくなり、パワーロスも大きくなる問題がある。そのため、抵抗率の小さい材質のチューブが必要される。また、NEGコーティングを行い、再活性化することから、180℃以上の軟化温度も不可欠だ。本研究では、CERNやMAX IVで実績のあるAg入り無酸素銅に注目した。Agの質量パーセントは0.027~0.034%で、軟化温度は350℃と高い。また、抵抗率は1.75×10-8mで、無酸素銅と同程度である。本研究では、作製した内径23mmのAg入り無酸素銅を用いて、NEGコーティングを行う予定である。NEG膜の構造特性はX線回折、SEM、AFMで行い、排気性能評価には通過法を用いる。また、グロー放電発光分析法を用いて、ナノメートルの分解能で、NEG膜での酸素、カーボンの濃度分布を調べ、それらと排気性能への相関を解明する予定である。 |
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THPH014 p.622 | SuperKEKB加速器真空システムの現状 -Phase-3 2019春の運転- Status of the SuperKEKB vacuum system - Phase-3 2019 Spring run - ○末次 祐介,柴田 恭,石橋 拓弥(KEK/総研大),白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(KEK),姚 慕蠡(総研大) ○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi (KEK/SOKENDAI), Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK), Mu-lee Yao (SOKENDAI) SuperKEKBは、KEKの電子・陽電子衝突型加速器で、その周長約3 kmの主リング(MR)は7 GeV電子用のHigh Energy Ring (HER)と4 GeV陽電子用のLow Energy Ring (LER)から構成される。陽電子入射路の途中にある1.1 GeVのダンピングリング(DR)もPhase-2運転から稼働している。Phase-2運転終了後、Belle-IIの崩壊点検出器の設置等を行い、2019年3月からPhase-3運転を始め、本格的な衝突実験を開始した。MRの真空システムでは、Phase-3前にビームコリメータの増設や、入射部ビームパイプの更新、Phase-2までに見つかった機器の発熱等の問題への対処を行った。MR、DRの真空システムはPhase-3でもほぼ順調に稼働し、その圧力も順調に下がっている。5月初旬の段階でMRのPhase-3での積算ビーム電流および最大蓄積電流は、LER、HERでそれぞれ約140 Ah、 170 Ahおよび550 mA、540 mA(1576バンチ)である。Phase-3運転中は、新規設置機器の特性を検証すると同時に、LERの電子雲効果、圧力バースト問題等の観察を引き続き行う予定である。ここでは、Phase-3運転時のSuperKEKB真空システムの状況、および今後に向けた課題等を報告する。 |
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THPH015 p.627 | Secondary electron yields from thermal-sprayed metal surfaces and Monte Carlo simulation of SEY from rough surfaces ○Mulee Yao (SOKENDAI), Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata (KEK, SOKENDAI), Hiromi Hisamatsu (KEK), Takuya Ishibashi (KEK, SOKENDAI), Shinji Terui (KEK), Toshiro Nishidono, Hiroyuki Chiba (Komiyama Electron Corp.), Takahiro Sawahata, Kouji Ishii (MTC) We coated the copper or aluminum substrates with copper, aluminum, tungsten and titanium by thermal spraying, and investigated the relations between their secondary electron yield (SEY or δ), roughness and surface composition. After enough conditioning, most of the values of maximum SEY (δmax) were lower, and the energies of the primary electrons (Ep) that gives δmax were higher than the flat surfaces. For the copper samples, the δmax and the arithmetical mean height (Sa) were roughly in inverse proportion, and the δmax and Sa divided by the developed interfacial area ratio (Sdr) were in inverse proportion to some extent. Besides, we used Monte Carlo method to simulate the SEY of rough surface. Now we could only input a relatively simple surface, so there were still some differences from the real thermal-sprayed surfaces. At present, the surface with trapezoidal protrusion is the structure most like the metal particles melting on the surface. The simulation results showed that there was an apparent inverse relationship between δmax and Sdr, therefore the relationship between δmax and Sa/Sdr was opposite to the experimental results. |
加速器応用・産業利用 (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH016 p.632 | 負ミュオンを用いたiBNCT中性子生成標的のベリリウム厚測定手法の検討 Study for a beryllium-thickness measurement method of the iBNCT neutron-generation target using negative muons ○佐藤 将春,栗原 俊一,小林 仁,杉村 高志,内藤 富士雄(高エネ研),熊田 博明,田中 進,名倉 信明(筑波大),大場 俊幸(日本アドバンストテクノロジー) ○Masaharu Sato, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Takashi Sugimura, Fujio Naito (KEK), Hiroaki Kumada, Susumu Tanaka, Nobuaki Nagura (Univ. of Tsukuba), Toshiyuki Ohba (NAT) KEK及び筑波大学を中心としたiBNCT(いばらきBNCT)計画ではRFQおよびDTLからなる加速管構成により陽子を8 MeVまで加速しベリリウムに照射しBe(p,n)反応によって生じた中性子をホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に利用する。ベリリウム標的内において運動エネルギーがおよそ2 MeV以下にまで減速された陽子は中性子生成に寄与せず、かつ静止した際にブリスタリングによりベリリウム標的に損傷を与えてしまうので、ベリリウム厚さはエネルギー8 MeVの陽子の飛程よりわずかに小さい厚さに設計されている。ベリリウムの後にはブリスタリングに強いパラジウム層があり、その間の接合は熱間等方圧加工法(HIP)により行われているが、接合後のベリリウム部分の厚さが設計値通りに仕上がっているかは確認されていない。ベリリウム厚が設計値から減っている可能性があるならば生成される中性子量も同様に期待している値から減少している為、ベリリウム部分の厚さの確認は極めて重要である。一方、iBNCTにおける標的は製作するのに多大な費用がかかるため破断して厚さを確認する事は現実的ではない。その為、本講演では負ミュオンを用いてベリリウム厚さを非破壊的に検証する手法に関しての検討結果を報告する。 |
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THPH017 p.637 | 粒子線治療のためのSpiral beam scanning照射法の開発 Development of spiral beam scanning irradiation for particle therapy ○原 周平,福田 光宏(阪大RCNP),高階 正彰(大阪重粒子線センター),神田 浩樹,依田 哲彦(阪大RCNP),小泉 雅彦(阪大医学系研究科保健学専攻) ○Shuhei Hara, Mitsuhiro Fukuda (RCNP Osaka University), Masaaki Takashina (Oaska HIMAK ), Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita (RCNP Osaka University), Masahiko Koizumi (Osaka University Graduate School of Medicine , Division of Health Sciences) 大阪大学核物理研究センターでは、粒子線治療における照射野辺縁部の照射精度の向上を目的とした「Spiral Beam Scanning」システムを開発している。この照射法は、照射野の輪郭の形状に沿って渦型の軌道でビームを走査していく照射システムであり、粒子線治療の適用が難しい重要臓器に近接した腫瘍への照射に対して、従来の照射法と比較して周囲の正常組織への照射を減らすことができると期待される。我々は、 Spiral Beam Scanning によって、1. 従来の照射方法と同程度の精度で線量分布をターゲットに対して形成することができることを実証し、さらに2. ターゲットの周囲への線量をシユレーションで比較し、定量的に優位性を示すことを目指してる。本発表では、これまでに開発してきたこの照射法の制御システムと、均一な線量分布形成のための照射時間の最適化計算、及びその実証試験の結果を報告し、さらに、従来の照射方法とターゲット外へのはみ出し線量の比較のシミュレーションの進捗状況を報告する。 |
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THPH018 | 産総研での小型中性子源用電子加速器の開発状況報告 Current status of the development an electron accelerator for a compact neutron source at AIST ○オローク ブライアン,藤原 健(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),古川 和朗(高エネルギー加速器研究機構),古坂 道弘(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),林崎 規託(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合、東京工業大学),加藤 英俊,木野 幸一,黒田 隆之助,満汐 孝治(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),室賀 岳海(新構造材料技術研究組合),濁川 和幸,帯名 崇(高エネルギー加速器研究機構),大島 永康,小川 博嗣,佐藤 大輔,清 紀弘(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),宍戸 玉緒(新構造材料技術研究組合),鈴木 良一,田中 真人,豊川 弘之,渡津 章(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合) ○Brian O'rourke, Takeshi Fujiwara (AIST, ISMA), Kazuro Furukawa (KEK), Michihiro Furusaka (ISMA), Noriyosu Hayashizaki (AIST, ISMA, Tokyo Inst. Tech.), Hidetoshi Kato, Koichi Kino, Ryunosuke Kuroda, Koji Michishio (AIST, ISMA), Takemi Muroga (ISMA), Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Obina (KEK), Nagayasu Oshima, Hiroshi Ogawa, Daisuke Sato, Norihiro Sei (AIST, ISMA), Tamao Shishido (ISMA), Ryoichi Suzuki, Masahito Tanaka, Hiroyuki Toyokawa, Akira Watazu (AIST, ISMA) 新構造材料技術研究組合(ISMA)では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「革新的新構造材料等研究開発」の下、産総研つくばセンターで、小型電子加速器中性子源を用いたコンパクトな中性子材料分析施設を構築している[1]。本施設はブラッグエッジイメージングに適したパルス中性子ビームを発生させ、鉄鋼等構造材料開発やマルチマテリアル化接合技術開発に活用する[2]。 電子加速器は,Sバンド(2856 MHz)加速管3本を用いて、約35 MeVまで加速する設計である。電子源には小型DC熱電子銃と高周波追加速方式を組合わせたSバンド小型電子源を採用し、ビーム電流は最大~275 mAを得る。電子ビーム(最大パワー約10 kW 、パルス構造:100 Hz, 10 s)を、水冷のタンタル製ターゲットに入射し、光核反応によって中性子を発生する。 昨年度、加速器の設置を終え、現在は、RFエージング、制御およびインタロックシステムの調整を行っている。本発表にて、電子加速器の開発状況を報告する。 [1] 産総研ニュース「構造材料開発の高度化を加速する小型加速器中性子施設の構築に着手」(2017/08/01), http://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20170801.html [2] K. Kino et al., Nucl. Instrum. Methods in Phys. Res. A 927 (2019) 407–418 |
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THPH019 p.641 | 重粒子線小型シンクロトロン用超伝導電磁石の設計 Design of the superconducting magnet for a compact heavy-ion synchrotron ○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),岩田 佳之,水島 康太,阿部 康志,浦田 昌身,野田 悦夫,白井 敏之(量研機構放医研) ○Tetsuya Fujimoto (AEC), Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Yasushi Abe, Masami Urata, Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai (QST) 現在、普及型と呼ばれる重粒子線がん治療施設が国内に普及しつつあるが、専用の建屋を必要とする巨大で高コストな装置であり、これが普及の妨げとなっている。そこで放射線医学総合研究所では更なる装置の小型化、低コストを実現する量子メスの開発を進めている。量子メスプロジェクトの一つは超伝導技術を用いたシンクロトロンの開発であり、その超伝導電磁石の磁場設計を進めている。周長を短くするため二極、四極コイルを同位置に巻く機能結合型を採用し、二極磁場の起磁力を下げるため垂直方向を短軸とする楕円断面のコイル配置とした。最大二極磁場は4 Tとし、従来型シンクロトロンの半分以下の周長28 mで炭素イオンを最大430 MeV/uまで加速することを目標とした。超伝導線にはφ1の低損失型NbTiモノリス線を想定し、シンクロトロンに要求される磁場安定度が得られるようにコイル配置を決定した。また本シンクロトロンにおいてはコイルエンドに生じる六極磁場成分が大きなビームロスを起こす要因になることから、この低減に関する検討も行ったので本発表で報告する。 |
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THPH020 | cERLの運転時消費電力の調査 Electricity consumption in the operation of cERL ○本田 洋介,清水 洋孝,加藤 龍好(高エ研) ○Yosuke Honda, Hirotaka Shimizu, Ryukou Kato (KEK) 超伝導加速器は、大強度のビームの加速が可能で、今後の応用の広がりが期待されている。 一方、冷凍機など大掛かりな付帯設備が必要で消費電力も大きくなる。産業用に最適化される実機とは異なる点はあるが、実際に運転されている超伝導加速器の消費電力を実測しておくことは参考になると思われる。コンパクトERLの運転時の消費電力を調査した。 |
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THPH021 p.645 | 理研RIBFにおける稀少RIリングの現状(2) Present status of Rare-RI Ring at RIKEN RIBF (2) ○阿部 康志(放医研 / 理研),山口 由高,上坂 友洋,Naimi Sarah(理研),洲嵜 ふみ(原研 / 理研),長江 大輔(九大 / 理研),Li Hongfu(近代物理研究所 / 理研),大甕 舜一朗(埼玉大 / 理研),山口 貴之,荒川 裕樹,猪俣 玖美,小林 孝彰,西室 国光,稲田 康人,坂上 護,細井 駿,横田 健次郎,梶木 大輔,濱川 大貴,竇 文博(埼玉大),小沢 顕,森口 哲朗,向井 もも,上岡 大起,景澤 怜央(筑波大),道正 新一郎,大田 晋輔,北村 徳隆,増岡 翔一朗(東大CNS),鈴木 伸司,Ge Zhuang,Wang Qian(近代物理研究所),Wang Kailong(CMU),Litivinov Yury(GSI),若杉 昌徳(京大化研/理研) ○Yasushi Abe (NIRS / RIKEN Nishina Center), Yoshitaka Yamaguchi, Tomohiro Uesaka, Sarah Naimi (RIKEN Nishina Center), Fumi Suzaki (JAEA / RIKEN Nishina Center), Daisuke Nagae (Kyushu Univ. / RIKEN Nishina Center), Hongfu Li (IMP / RIKEN Nishina Center), Shunichiro Omika (Saitama Univ. / RIKEN Nishina Center), Takayuki Yamaguchi, Hiroki Arakawa, Kumi Inomata, Takaaki Kobayashi, Kunimitsu Nishimuro, Yasuto Inada, Mamoru Sakaue, Shun Hosoi, Kenjiro Yokota, Daisuke Kajiki, Daiki Hamakawa, Wenbo Dou (Saitama Univ.), Akira Ozawa, Tetsuaki Moriguchi, Momo Mukai, Daiki Kamioka, Reo Kagesawa (Univ. of Tsukuba), Shin'ichiro Michimasa, Shinsuke Ota, Noritaka Kitamura, Shoichiro Masuoka (CNS), Shinji Suzuki, Zhuang Ge, Qian Wang (IMP), Kailong Wang (CMU), Yury Litivinov (GSI), Masanori Wakasugi (KUICR/RIKEN Nishina Center) 理研RIBFの重イオン蓄積リング「稀少RIリング」は2012年から建設を開始し、電磁石・真空系等の整備を進め、241Am線源からのアルファ線を用いた性能試験を経てビームを用いたマシンスタディを2015年にスタートさせた。合計4度に渡るマシンスタディを行い、リングの詳細な性能を評価するとともに、稀少RIリングの主目的である短寿命RIの高精度質量測定の原理実証を行い、物理実験への利用が可能な状態となった。 想定されている物理実験に対して、効率的に利用するために入射システムの改良を行った。リングへの入射はセプタム電磁石2台とキッカー電磁石により1ターン入射となっており、キッカー電磁石の励磁はビーム輸送系に設置された粒子検出器の信号をトリガーとして使用する個別入射方式となっている。この方式に対して加速器運転の高周波及び粒子検出器の情報を活用することにより、粒子選択機能を実装した。この機能により特定の原子核のみを狙って蓄積することが可能となった。 2018年秋から中性子過剰側に位置する質量が未測定な原子核を対象とした物理実験を開始した。本公演ではこれまでのマシンスタディに関して報告するとともに、物理実験についても紹介する。 |
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THPH022 | チェレンコフ-チャネリング放射の実験的検証 Observation of Cherenkov-channeling radiation ○高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yuichi Takabayashi (SAGA Light Source) チャネリングする電子(陽電子)は前方にX線・γ線領域の強力な放射を生成することが知られており,その放射はチャネリング放射と呼ばれている.一方,チェレンコフ角より大きい角度方向にも,可視域のチャネリング放射が生成されることが理論的に示されていた.ただし,その数値計算が複雑なことと,応用上,強力なX線・γ線源として,前方に放出されるチャネリング放射が注目されたことから,大きな角度方向に放出される可視域のチャネリング放射の研究は進んでこなかったが,最近になり,ロシアのトムスク工科大学の理論グループが,255 MeV電子がダイヤモンド結晶の(220)面をチャネリングする場合について,その放射の角度分布を計算した.それによると,SAGA-LSでも観測が可能であることが示されている.そこで,本研究では,まだ観測されていない可視域のチャネリング放射の実験的検証を目的とする.なお,この放射現象は,チャネリング電子から放出されるチェレンコフ放射とみなすこともできるため,チェレンコフ-チャネリング放射とも呼ばれている.実験は,SAGA-LSリニアックからの255 MeV電子ビームを,厚さ22ミクロンのダイヤモンド結晶に入射させて行う予定である.可視光の検出器として,光電子増倍管を用いる.予備的実験として,すでに可視域の遷移放射とチェレンコフ放射の検出に成功しており,現在,チェレンコフ-チャネリング放射の検証を目指し,実験を進めている. |
加速器土木 (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH023 p.649 | 逐次三点測量に基づくKEKB入射器の直線性解析とアライメント評価 Straightness analysis and alignment evaluation of the KEKB Injector Linac based on successive three-point surveying ○諏訪田 剛,柿原 和久(KEK加速器) ○Tsuyoshi Suwada, Kazuhisa Kakihara (KEK-Acc.) KEKB入射器では、長距離直線部に対しレーザーアライメント(LA)を、短距離又は曲線部に対しレーザートラッカー(LT)によるアライメント計測を基本とする. 前者はビーム軸に垂直な面内で加速ユニットの変位を計測し、後者は加速ユニットを基準として加速管など構成要素の三次元変位を計測する.入射器全体の直線性は、これら二種類の異なる方法で評価される. LA計測では構成要素の変位がわからない、他方LT計測を長距離計測に適用するのは困難であるということから、各データは別々に解析され、データ間の整合性を議論することはなかった. 地面振動により動的に床面が変位するので、加速ユニットや構成要素が許容範囲外に変位すると局所的なアライメント作業を行う必要性が生じるが、作業自体は局所的にならざるを得ない. このような場合、直線基準からの変位が大きいとむしろ滑らかな局所的曲線に沿った修正の方が望ましい. しかし、入射器では直線基準のみを有するのでこのような修正は困難である. 筆者らは、入射器の長直線部に対し逐次三点測量を実施し、LTデータを逐次接続することで入射器全体の直線性を評価することにした. この測量により構成要素を含む加速ユニット間の相対変位を評価できる. 2018年夏保守期間に長直線部のLT測量を実施し直線性の解析を行った. 本学会では、逐次三点測量に基づく直線性解析の手法と測量結果について報告する. |
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THPH024 p.653 | 四極電磁石での振動測定装置開発の現状 Development status of vibration measurement system for quadrupole magnets ○山岡 広,大内 徳人(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Yamaoka, Norihito Ohuchi (KEK) 現在本所では、KEKB加速器の40倍のルミノシティを目指してSuperKEKB計画が進行し、ビーム運転をしている。このルミノシティを実現するための1つの手段として、衝突点でのビームを垂直方向に50nmまで絞り込むための最終収束超伝導電磁石(QCS)が衝突点を挟んで左右に2台設置されている。QCSでの振動レベルはルミノシティ向上に非常に重要な要素である事から、その大きさを知ることは重要な事である。QCS設置後、クライオスタット上での振動測定はおこなわれたが、QCS内部に組み込まれている四極電磁石での振動レベルは測定されてはいなかった。このため四極電磁石での振動レベルを測定するための磁場振動測定装置を開発し、現在、R&Dがおこなわれている。 本報告では、磁場振動測定装置開発の現状について報告する。 |
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THPH025 p.657 | 電磁石架台のモーター制御1 Motor control of magnet support frame 1 ○榎本 嘉範,佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構),牛本 信二(三菱電機SC) ○Yoshinori Enomoto, Shinya Sasaki, Shinji Ushimoto (KEK) KEK電子陽電子入射機では、SuperKEKBで要求される低エミッタンス入射ビームを実現するために、様々な取り組みを行っている。中でも2017年にPF,PF-AR,SuperKEKB LER/HERの4リング同時入射を目的として入射器後半のマグネットの大部分をDCマグネットからパルスマグネットへ置き換えたが、この際新しいマグネットに合わせて架台も一新した。新しい架台はステッピングモータ制御により5軸と手動により1軸の位置調整が可能な機構を有している。本発表では架台及び可動機構の機械設計と試験結果、運用実績について詳細に述べる。 |
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THPH026 p.661 | 蓄積リング運転モードに依存した電子損失時中性子線量の経時変化測定 Neutron dose measurements in time series at electron loss depending on the operation mode of storage ring ○成山 展照(高輝度光科学研究センター) ○Nobuteru Nariyama (JASRI) ビームロスの情報は、加速器運転上および放射線安全上、重要である。SPring-8蓄積リングには現在、8通りの運転モードがある。バンチのフィリングパターンが異なり寿命も異なるため、電子損失の程度も異なる。そこで、SPring-8蓄積リングにて、バッテリー動作の電子式中性子線量計を用いて、電子損失時に発生する中性子線量を時系列により測定し、運転モードによる違いについて調べた。測定は、2016年4月~2018年12月の期間に行った。線量計を設置した場所は、ID47(入射点近傍上流)上付近の収納部天井であり、常時立ち入り可能な管理区域内である。線量計には、Mirion Technology社のDMC3000(中性子モジュール付き)を用いた。単四乾電池使用により、連続2000時間動作するため、1サイクル期間、設置した後、蓄積された時系列データをコンピューターに取り込んだ。ID47天井にて測定を行うと、運転モード切り替え時に中性子線量率が明らかに変化することが示された。 |
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THPH027 p.664 | 極低温用温度計開発の進捗 Progress report of thermometer development for very low temperature use ○清水 洋孝,小島 裕二,仲井 浩孝,中西 功太,原 和文,本間 輝也(高エネ研) ○Hirotaka Shimizu, Yuji Kojima, Hirotaka Nakai, Kota Nakanishi, Kazufumi Hara, Teruya Honma (KEK) 現在開発を進めている、極低温用の温度計の開発について、進捗を報告する。この温度計は、極低温域での感度の維持のための工夫として、デバイの模型によって示唆される様な、金属結晶の比熱が極端に小さくなる事実を利用しようと考えている。金属の僅かな歪みの変化を温度として検出するために、光ファイバー材料を利用する予定であるが、実際の環境温度の変化が金属の歪みの変化に転写され、更にこの歪みの変化が、光の波長の変化へと焼き直されているかどうかが、温度計開発にとって最も重要な開発課題である。この点に関して、現在行っている試験の結果を報告する。 |
電磁石と電源 (8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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THPH028 p.669 | 円形誘導加速器用の第4世代スイッチング電源の開発の進歩 Development progress of the 4th generation of switching power supply for circular induction accelerators ○岡村 勝也(高エネルギー加速器研究機構),Liu Yi(Institute of Fluid Physics, CAEP),高山 健(高エネルギー加速器研究機構),徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所) ○Katsuya Okamura (High Energy Accelerator Research Organization), Yi Liu (Institute of Fluid Physics, CAEP), Ken Takayama (High Energy Accelerator Research Organization), Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.) A novel synchrotron called an induction synchrotron (IS) was developed at KEK in 2006*. In the IS, charged particles are accelerated and confined by bipolar high-voltage pulses generated by switching power supply (SPS), which is one of the key technologies for IS. In this work, the 4th generation of SPS, based on full-bridge circuit with 3.3 kV high-speed MOSFET is developed. Compared with previous prototype**, the heat dissipation performance at high frequency is improved through simulation and experiment analyzation. The structure is redesigned for better waveforms by reducing the influences of parasitic inductance and capacitance. * K. Takayama et al., Phys. Rev. Lett., 98, no.5, pp.054801(1)-054801(4) (2007). ** K. Okamura et al., Proceedings of the 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, pp. 476-480 (2017). |
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THPH029 p.673 | 分離セクター型サイクロトロンのための高温超伝導電磁石開発 Development of HTS magnets for separated sector cyclotrons ○鎌倉 恵太,福田 光宏,畑中 吉治,依田 哲彦,神田 浩樹,中尾 正夫,安田 裕介,原 周平,Koay Hui Wen,武田 圭次郎,原 隆文,大本 恭平(阪大RCNP) ○Keita Kamakura, Mitsuhiro Fukuda, Kichiji Hatanaka, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Masao Nakao, Yuusuke Yasuda, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Kyohei Omoto (RCNP, Osaka Univ.) 高エネルギー・高強度な加速器の利用は、学術研究のみならず医療や産業での拡大しており、それに伴って高い信頼性と省電力化が求められている。本研究ではサイクロトロンの利点である高いエネルギー効率に着目し、少ない運転電力で安定したハイパワーのビーム出力を可能にする高温超伝導サイクロトロンの開発を目指している。現在までに直径数~数十cm程度の小型高温超伝導コイルは限られた用途で実用化されているものの、サイクロトロン電磁石として必要とされる数mを超える大型の高温超伝導電磁石は存在していない。そのため、まず1 mサイズの高温超伝導電磁石を試作し、その性能評価を行った。プロトタイプ電磁石の励磁に伴うコイルの温度変化を測定し、熱構造解析に用いるパラメータを決定した。また高温超伝導線材特有の磁束クリープによる磁場のドリフトを迅速に収束させる励磁方法を見出し、短時間で磁場を安定化する手法を確立した。次に分離セクター型サイクロトロン電磁石を設計し、高温超伝導メインコイルと補正コイルを用いて形成した等時性磁場により高強度ビームの加速と取り出しが可能であることを粒子軌道解析で立証した。さらにセクター電磁石のメインコイルアセンブリにプロトタイプ電磁石と同様の支持構造を適用しても実用に耐えうる熱特性と磁場性能が十分に実現可能であることを熱構造解析で示し、高温超伝導サイクロトロン電磁石の実用化の見通しを得た。 |
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THPH030 p.676 | サイリスタのアバランシェモードを用いた高電圧•高電流パルス電源の開発[II] Development of a high voltage and high current pulse generator using thyristor avalanche mode [II] ○内藤 孝,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Naito, Mitsuo Akemoto (KEK) 短パルスによる電子銃や高速キッカーに用いるために半導体を用いた超短パルス高電圧電源の開発を行っている。昨年、サイリスタをアバランシェモードでスイッチさせることで、高電圧、大電流スイッチの可能性を報告した。評価を続けるうちにパルス出力電圧6 kV、電流1.0 kA、立ち上がり時間100 nsのパルス生成に成功した。これは既存のサイラトロンとの置き換えを目指せる値である。本報告では、その開発状況について報告する。 |
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THPH031 p.679 | SiC半導体を用いた電子銃用50kVパルス電源の開発 Development of 50 kV pulse generator using high voltage SiC-MOSFET for electron gun ○近藤 力,安積 隆夫(理研放射光科学研究センター/高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏,大竹 雄次(理研放射光科学研究センター),徳地 明,森 均(パルスパワー技術研究所),坂本 邦博(産業技術総合研究所) ○Chikara Kondo, Takao Asaka (RIKEN SPring-8 Center/JASRI), Takahiro Inagaki, Yuji Otak (RIKEN SPring-8 Center), Akira Tokuchi, Hitoshi Mori (PPJ), Kunihiro Sakamoto (AIST) 線型加速器で使用するクライストロンや電子銃は、駆動するにあたり高電圧パルス電源が必要である。従来のパルス電源では、高電圧パルスの発生に、サイラトロンなどの放電管スイッチが用いられてきたが、自己導通や短寿命、導通損失の不安定性などが問題であった。サイラトロンを半導体スイッチに置き換えるためには、高速かつ高電圧で大電流をスイッチングできる素子が必要であった。今回、我々は、高輝度電子銃用のパルス電源として、産総研にて開発された耐電圧13kVのSilicon Carbide (SiC) MOSFETを用いた、50kVのパルス電源を開発した。この電源は、Marx回路方式のパルス電源であり、コンデンサに充電された8.7kVのDC電圧を、6段のスイッチング回路で重畳することで、50kVの高電圧パルスを発生させる。また、パルス幅は1μs、立ち上がり時間は100ns以下、パルス繰り返しは30Hzである。本発表では、高電圧スイッチ素子としてのSiC-MOSFETの特性、パルス電源の設計と製作、および模擬負荷による高電圧パルス出力試験結果について発表し、更なる高電圧化、高繰り返し化についても議論する。 |
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THPH032 p.683 | 加速器用高温超伝導マグネットの開発 -SuperKEKB衝突点領域用六極マグネットの設計と試作- Development of High Temperature Superconducting Accelerator Magnet - Design and Trial Production of Sextupole Magnet for SuperKEKB Interaction Region - ○王 旭東,土屋 清澄,寺島 昭男,有本 靖,植木 竜一,川井 正徳,宗 占国,大内 徳人,増澤 美佳,多和田 正文(高エネルギー加速器研究機構),菊池 章弘(国立研究開発法人物質・材料研究機構),藤田 真司(株式会社フジクラ) ○Xudong Wang, Kiyosumi Tsuchiya, Akio Terashima, Yasushi Arimoto, Ryuichi Ueki, Masanori Kawai, Zhanguo Zong, Norihito Ohuchi, Mika Masuzawa, Masafumi Tawada (High Energy Accelerator Research Organization), Akihiro Kikuchi (National Institute for Materials Science), Shinji Fujita (Fujikura Ltd.) 近年、加速器用高温超伝導マグネットの開発が世界各国の研究機関で盛んに進められている。特にCERNを中心としたLHCの次期計画においては、20 T高温超伝導マグネットを候補とする100 TeV 級の超大型加速器(FCC)の検討が始まっている。そこで、我々は将来の高磁場高温超伝導マグネットの実現に向けた基礎開発として、高温超伝導線材であるREBCO線材の4.2 K高磁場下における超伝導特性の測定や、REBCO線材を用いたコイルの試作と超伝導特性の評価を行ってきた。今回は、SuperKEKB衝突点領域用六極マグネットをターゲットとして、REBCO線材を用いた実機サイズマグネットの設計と試作を行ったので、その概略について報告する。 |
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THPH033 p.688 | 磁場強度に対する温度影響の検討と超均一磁場調整手法の開発 The effect of temperature on magnetic field and development of method to acquire super flat magnetic field ○杉田 萌,飯沼 裕美,大金 千織(茨城大学),佐々木 憲一,山口 博史,阿部 充志(KEK) ○Moe Sugita, Hiromi Iinuma, Chiori Ohgane (Ibaraki.U), Ken-ichi Sasaki, Hiroshi Yamaguchi, Mitsushi Abe (KEK) J-PARCで計画が進んでいるミューオンg-2/EDM実験では、ミューオン異常磁気モーメント(g-2)の0.1ppmレベルの超精密測定および、電気双極子モーメント(EDM)の世界初の直接検出を目的としている。当実験では、線形加速器でミューオンビームを再加速したのち、小型ソレノイド磁石に蓄積する設計である。実験からの要請により、ビーム蓄積領域の磁場をサブppmの精度で調整する必要がある。具体的な目標は磁場強度(3.0T)と均一磁場(3cm幅、10cm高、半径33.3cmのシリンダ領域で±0.1ppm以下)であり、これを達成するために医療用MRIの設計手法を応用している。本番用の実機製作に先駆けて、KEK超伝導低温工学センターが保有する1.7Tで永久電流モード運転中のMRI用超伝導磁石(最大磁場2.9T)を用いて、直径30cm球内でサブppmの均一度を保つための基礎検討に取り組んでおり、現在0.45ppm以下の超精密調整を達成している。本発表では、超伝導磁石永久電流モードにおける磁場の時間変動と、磁石の置かれた環境における温度と磁場強度の相関評価を行う。さらに、ニッケル片や磁性流体を1.7T中に配置し、その磁気モーメントの評価を行うことで、現在よりも1桁上の精度で磁場調整するための受動的シミング手法について議論する。 |
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THPH034 p.692 | SiCデバイスを使用した高電圧パルス発生器の開発 Development of high voltage pulse generator with SiC devices ○中田 恭輔,虫邉 陽一,森 均,徳地 明((株)パルスパワー技術研究所) ○Kyosuke Nakata, Yoichi Mushibe, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Lab.) スイッチング損失が小さく高速かつ高耐圧のSiC半導体を用いて、容量負荷を想定した高電圧パルス発生器の開発を行った。容量負荷に高電圧パルスを印加するためには、充電用と放電用の二つの高耐圧スイッチが必要となる。今回は充電用と放電用にそれぞれSiC-MOSFETを8直列して10 pFの負荷にピーク電圧8 kVの電圧を1 kHzの繰り返しで印加する小型電源の試験を実施したので結果詳細を報告する。 |
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THPH035 | 加速器用高温超伝導マグネットの開発 - SuperKEKB用補正6極電磁石の磁場性能 Development of High Temperature Superconducting Accelerator Magnet - Magnetic field quality of sextupole corrector magnet for SuperKEKB ○有本 靖,土屋 清澄,王 旭東,植木 竜一,寺島 昭男,川井 正徳,宗 占国,大内 徳人,増澤 美佳,多和田 正文(KEK) ○Yasushi Arimoto, Kiyosumi Tsuchiya, Xudong Wang, Ryuichi Ueki, Akio Terashima, Masanori Kawai, Zhanguo Zong, Norihito Ohuchi, Mika Masuzawa, Masafumi Tawada (KEK) 現在, CERN を中心として衝突エネルギー 100TeV の円形加速器の実現を目指した将来円形衝突型加速器 (Future Circular Collider, FCC) プロジェクトが進行している. そこでは, Nb3Sn の 16T 電磁石と高温超伝導体(HTS)の20T電磁石の2 つが候補に上げられている. 我々は基礎開発としてSuperKEKBへの利用をターゲットにHTS 電磁石の開発を行なっている. 今回レーストラック状に巻線された REBCO 線材を組み合わせて局所色収差補正用 6 極電磁石を試作し, ハーモニンックコイルを用いた磁場測定を行った. ここでは、液体N2(77 K) と 液体He(4.2 K) の浸漬冷却下で行った磁場測定結果について報告する. |
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THPH036 p.694 | 水冷式アルミヒートシンクのガルバニック腐食試験 Galvanic corrosion test of water cooled aluminum heatsink ○三浦 一喜,石井 恒次,栗本 佳典,下川 哲司(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),森田 裕一(高エネ研) ○Kazuki Miura, Koji Ishii, Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimogawa (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Yuichi Morita (KEK) J-PARCでは将来計画であるビーム大強度化のために、主リングの運転周期を2.5秒から1.3秒へと速める高繰り返し化を実現することが求められており、その計画の一部として主電磁石用新電源の開発が進められている。この新電源の構成要素として、IGBTを冷却するための水冷式ヒートシンクが含まれる。この水冷式ヒートシンクは現行電源では銅製ヒートシンクが採用されてきたが、新電源においては製造時のコストカットを目的としてアルミ製ヒートシンクを採用している。アルミ製ヒートシンクの採用における懸念として、銅管を用いた既存機器を由来とする銅成分を含んだ冷却水が、アルミ製ヒートシンクに対してガルバニック腐食を引き起こす可能性が存在する。そこで今回我々は実使用環境および高負荷環境の冷却水において、アルミ製ヒートシンクサンプルを用いてガルバニック腐食評価試験を実施した。本報告では、試験を実施したヒートシンクサンプルを切断して流路を露出させ、冷却水流路表面の状態を分析した結果を報告する。 |
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THPH037 p.697 | 13 kV級SiC-MOSFETを使用した高電圧パルス電源の研究 Development of pulsed power supply utilizing 13 kV class SiC-MOSFETs ○岡村 勝也,内藤 富士雄,高山 健(KEK) ○Katsuya Okamura, Fujio Naito, Ken Takayama (KEK) 加速器には各種のパルス電源が用いられているが、中でもキッカー電源は1 us以下の立ち上がり、数10 kVの電圧が必要であり、パルスを切り出すためのスイッチ素子は長らく電子管(サイラトロン)の独壇場であった。しかし、サイラトロンは本質的に安定性、寿命に課題があり課題克服のために半導体デバイスで置き換える試みが各所でなされている。しかし、従来広く用いられてきたSi半導体デバイスは耐電圧が低く、サイラトロンに置き換えるためには多数の素子を直列接続しなければならないという不便があった。それに対してSiC半導体は従来広く用いられてきたSi半導体に比べると絶縁破壊電界が10倍高いという特徴を有するため、高電圧スイッチに適している。我々は産総研において新たに開発された耐圧13 kVのSiC-MOSFETを2直列-12並列に接続した高電圧パルススイッチを試作し、18 kV - 300 A - 1 usのパルス通電に成功した。 本研究の一部は、共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」の事業として行われた。 |
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THPH038 p.700 | 永久磁石を用いた補正磁石の改良 Improvement of correction magnets with permanent magnets ○阿部 賢,岩下 芳久(京大化研),照沼 信浩(KEK),不破 康裕(原子力機構),八子 丈生(京大化研) ○Masashi Abe, Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Nobuhiro Terunuma (KEK), Yasuhiro Fuwa (JAEA), Tomoki Yako (ICR, Kyoto Univ.) Application of permanent magnets to the damping ring of International Linear Collider (ILC) is investigated. Replacing electromagnets with permanent magnets can reduce not only electricity for exciting the coils and maintenance cost of power supplies but also leakage accidents of cooling water. Bending magnets and correction magnets are used in damping ring, but we tried to calculate magnetic field distributions in a correction magnets using permanent magnets with 3D magnetic field code CST studio. Then we modified magnet shape and calculated again, and the results of the evaluation are presented. |
加速構造 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI001 p.703 | 第三高調波電圧誘導法を用いた多層薄膜試料の超伝導特性の膜厚依存性の評価 Evaluation of dependence of superconducting characteristics on the multilayer thin-film structure with various thicknesses by using the third harmonic voltage method ○片山 領,佐伯 学行,久保 毅幸,早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構),岩下 芳久,頓宮 拓(京都大学化学研究所),井藤 隼人(総合研究大学),伊藤 亮平,永田 智啓(アルバック) ○Ryo Katayama, Takayuki Saeki, Takayuki Kubo, Hitoshi Hayano (KEK), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto University, ICR), Hayato Ito (Sokendai), Ryohei Ito, Tomohiro Nagata (ULVAC) 超伝導加速空胴において近年、ロンドン長以下の厚さの超伝導薄膜と絶縁膜を交互に積層する工夫により、最大加速勾配の増大が図れると指摘がなされている。加速空胴内面を超伝導薄膜の多層膜コーティングを行い、母材であるニオブへの到達磁場を大幅に低減出来れば、現在のニオブ製の超伝導加速空胴の最大加速勾配を現在の 35 MV/m から大幅に向上できる可能性があり、学術利用加速器から産業利用加速器まで多大なインパクトがあるため、その実現可能性の詳細な検討が望まれている。本研究では、この理論的な枠組みの検証のため、第三高調波電圧誘導法を用いて SiO2 絶縁薄膜をニオブバルク上に 30 nm 成膜した試料の上に NbN 超伝導薄膜を 50 nm - 400 nm 成膜した多層薄膜コーティング試料の超伝導特性の評価を行なった。本研究では、この測定と評価の詳細について報告する。 |
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THPI002 p.706 | C形導波管型HOMカップラー製作の現状 Present Status of HOM Coupler with C-Shaped Waveguide Fabrication ○沢村 勝,羽島 良一(量研機構),阪井 寛志,梅森 健成,許斐 太郎,古屋 貴章(高エネ研) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST), Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Taro Konomi, Takaaki Furuya (KEK) C形導波管は同軸管と類似の構造を持っているが、遮断周波数を持ち、内軸を効率的に冷却できるなどの特徴を持っている。これらの特徴を生かしてC形導波管型HOMカップラーの開発を進めている。空洞に装着する場合の曲げ形状の製作手順等の検討、電子ビーム溶接のための予備試験を行っており、その現状について報告する。 |
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THPI003 p.709 | 超伝導スポーク空洞の電子ビーム溶接試験 Electron Beam Welding test of Superconducting Spoke Cavity ○沢村 勝,羽島 良一(量研機構),佐伯 学行(高エネ研),岩下 芳久,頓宮 拓(京大),中村 哲朗,渡邉 直久(ミラプロ) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST), Takayuki Saeki (KEK), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto Univ.), Tetsuro Nakamura, Naohisa Watanabe (Mirapro Co., Ltd) スポーク空洞は、周波数が同じならば楕円空洞よりサイズが小さく、さらにパッキングファクターにも優れている。このスポーク空洞の利点を生かしてERL 加速器を小型化し、LCS-γ/X線源を産業・学術分野への利用を図るため、超伝導スポーク空洞の開発を進めている。現在プレス加工したハーフスポークを使ってフルスポークにするための電子ビーム溶接試験を行っている。スポーク側面は複雑な曲線形状であり、さらにプレス成型による厚さ変化もあるため、溶接条件の最適化が重要である。溶接試験の現状について報告する。 |
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THPI004 p.712 | 超伝導加速器応用のためのメッキによるNb3Sn成膜 Electroplating of Nb3Sn for SRF applications ○井藤 隼人(総合研究大学院大学),早野 仁司,文珠四郎 秀昭(高エネルギー加速器研究機構),菊池 章弘(国立研究開発法人物質・材料研究機構) ○Hayato Ito (SOKENDAI / KEK), Hitoshi Hayano, Hideaki Monjushiro (KEK), Akihiro Kikuchi (NIMS) Nb3Sn is one of the powerful candidates for the surface material of SRF cavities since it enables cavity to operate at higher temperature with high quality factor and has the potential to achieve high accelerating gradient. Electroplating method to produce Nb3Sn on Nb substrates has been developed and optimized at Fermilab. In this method, Nb3Sn is obtained by electroplating Cu intermediate layer and Sn layer on Nb, and then thermal treatment in an inert atmosphere is performed at a maximum temperature of 700℃. In order to confirm the reproducibility and dramatically advance the research on cavity application, KEK started electroplating of Nb3Sn with the same method but different plating solution. The Nb3Sn electroplating samples were characterized by SEM/EDS analyses. In this paper, the detail of the electroplating method in KEK and the evaluation of the electroplating sample are reported. |
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THPI005 p.716 | TESLA型・STF型9セル超伝導空洞の内面検査結果および性能測定 Inner surface inspections and performances in the TESLA-type and STF-type 9-cell cavities ○石原 将治,浅野 峰行,今田 信一,山田 浩気,泰中 俊介,菊池 祐亮(日本アドバンストテクノロジー),梅森 健成,片山 領,加古 永治(KEK) ○Shoji Ishihara, Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Hiroki Yamada, Shunsuke Tainaka, Yusuke Kikuchi (NAT), Kensei Umemori, Ryo Katayama, Eiji Kako (KEK) KEKのSTF棟では、超伝導空洞の内面検査や低温での空洞性能を確認するたて測定を実施している。2019年にTESLA型とSTF型の9セル超伝導空洞が新しく製造された。本発表では、現在までに実施した9セル超伝導空洞の内面検査結果とたて測定結果について報告する。 |
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THPI006 p.719 | KEKにおける超伝導空洞のための温度・磁場マッピング装置の開発 Development of a temperature and magnetic field mapping apparatus for superconducting cavities at KEK ○岡田 貴文(総研大),加古 永治,許斐 太郎,増澤 美佳,阪井 寛志,土屋 清澄,植木 竜一,梅森 健成(高エネ研),Tajima Tsuyoshi,Poudel Anju(LANL) ○Takafumi Okada (SOKENDAI), Eiji Kako, Taro Konomi, Mika Masuzawa, Hiroshi Sakai, Kiyosumi Tsuchiya, Ryuichi Ueki, Kensei Umemori (KEK), Tsuyoshi Tajima, Anju Poudel (LANL) 現在,縦測定時の超伝導空洞の発熱時の温度分布及び測定中の磁場分布を測定するためのマッピング装置の開発を行っている。超伝導空洞における表面抵抗は,残留抵抗と温度に依存する抵抗に分解でき,このうち,残留抵抗は相転移の際に内部にトラップされた磁場の大きさに依存する。また,空洞内面に欠陥などは,クエンチを引き起こす原因となる。したがって,空洞の性能評価のためには,空洞の外部表面の温度と磁場の詳細な分布測定が必要となる。これまでの磁場測定では,高価なフラックスゲートセンサーを用いてきた。今回,安価なAMRセンサーを用いることで,同時多点測定を実現し,空洞の外面全体の磁場分布を測定できるよう装置開発を行っている。 超伝導楕円空洞は,その形状から,相転移後にもっとも磁場が強められる領域は赤道部である。そのため,開発中のマッピング装置は,1軸AMRセンサーを赤道部の36箇所に3つずつ備え,3軸かつ周方向に対して10度ごとの測定可能なシステムとした。さらに,カーボン抵抗温度計を540個使用し,空洞のセル表面全体の温度を測定可能とした温度マッピングシステムを構築した。この発表では,この温度・磁場マッピングシステムの開発状況を説明する。 |
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THPI007 p.723 | シンクロトロン周波数測定による超伝導空洞電圧較正 Calibration of superconducting cavity voltage by measuring synchrotron frequency ○西脇 みちる,赤井 和憲,小林 鉄也,古屋 貴章,光延 信二,森田 欣之(高エネ研) ○Michiru Nishiwaki, Kazunori Akai, Tetsuya Kobayashi, Takaaki Furuya, Shinji Mitsunobu, Yoshiyuki Morita (KEK) SuperKEKB加速器の電子リングでは、KEKB加速用に開発された超伝導加速空洞8台を運転している。最大空洞電圧は8台全てでそれぞれ2.0 MV/cavityに達しており、SuperKEKB加速器で求められる定格空洞電圧である1.5 MV/cavityを満たしている。超伝導空洞の運転においては、縦測定(空洞セルのみの試験)で得られた空洞内のピックアップポートのexternal Q値を用いて空洞電圧を算出している。しかし、運転用の横クライオスタットに組み込まれた状態の負荷Q値と入力パワーから算出した空洞電圧との不一致が無視できない空洞もある。そこで、ビームのシンクロトロン周波数測定による個々の空洞電圧の較正を実施した。空洞電圧較正の精度を上げるためには、シンクロトロン周波数を精度よく測定する必要がある。そこで、較正対象以外の空洞はできるだけ運転を止め、ビーム蓄積を維持できる最低の加速電圧とした。また較正対象の空洞は、ビームに対する位相を加速位相および180度反転させて、全加速電圧に対する自身の空洞電圧の寄与を2倍に増幅し、シンクロトロン周波数の変化量を測定した。この方法により、個々の空洞電圧の較正値を得ることができた。本稿では、空洞電圧較正についての詳細と超伝導空洞の運転状況についても併せて報告する。 |
ビームダイナミクス (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI008 p.728 | 大強度線形加速器における非線形空間電荷力によるビーム損失の抑制手法の評価 Evaluation of beam-loss suppression method by nonlinear space charge force in a high intensity linac ○地村 幹(東北大理),原田 寛之,守屋 克洋,岡部 晃大,金正 倫計(原子力機構/J-PARC) ○Motoki Chimura (Dept. of Phys., Tohoku Univ.), Hiroyuki Harada, Katsuhiro Moriya, Kota Okabe, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) 大強度陽子加速器は大強度の陽子ビームによって生成された二次粒子を用いて、素粒子・原子核実験、物質・生命科学実験などの幅広い実験を行う施設である。大強度陽子加速器のビーム強度は実験の効率・精度を決定づけるため、各国でさらなる大強度化に向けた開発が進んでいる。大強度化に伴う空間電荷力の増大は、空間電荷効果起因のビーム損失も増大させるため、そのビーム損失による放射化の状況によってビーム強度に制限ができる。ゆえに、空間電荷効果の理解は大強度化に必要不可欠であるが、様々に状態を変化させる多粒子による効果である空間電荷効果の制御は困難である。そこで本研究では、空間電荷効果によるエミッタンス増大の抑制手法の確立のため、空間電荷力が顕著となる線形加速器の低エネルギー領域に着目し、空間電荷力を考慮した多粒子シミュレーションコードを用いてJ-PARCリニアックの計算を行った。その結果、強度に依存する、位相空間内でのビーム分布の歪みが発生し、エミッタンス増大につながっていることが確認できた。これは空間電荷力の非線形項がエミッタンス増大の原因となっていることを示唆している。そこで、多極電磁石はビームに非線形力を与えることを用いて、空間電荷力の非線形項を打ち消すことを考案した。本発表では、シミュレーション結果および空間電荷力によるビーム損失の新たな抑制手法について議論する。 |
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THPI009 p.733 | J-PARC MRにおける空間電荷効果のチューンとTwissパラメーターへの影響 Effect of the space-charge for the tune and for the Twiss parameters in J-PARC MR ○安居 孝晃(東大),五十嵐 進,佐藤 洋一,大見 和史,小関 忠(高エネ研) ○Takaaki Yasui (Univ. of Tokyo), Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Kazuhito Ohmi, Tadashi Koseki (KEK) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)では、空間電荷効果由来のチューンスプレッドによって共鳴ラインにかかった粒子がビームロスの原因となっている。今後のビーム強度増強のためにも、空間電荷効果の影響評価は重要である。空間電荷効果の高次項まで考慮すればチューンシフトだけでなくTwissパラメーターの変調が起きることも予測され、本研究ではこれらを各場所ごとにシミュレーションから求めた。シミュレーションにはparticle-in-cellアルゴリズムのトラッキングコードであるSCTRを用いた。そしてその結果を解析解と比較した。ガウシアン分布の下ではチューンシフトは粒子のactionに依存するが、小さいactionでは空間電荷効果の影響が、大きいactionでは六極場の影響が支配的であることが確認できた。六極場を消したシミュレーションと解析解のチューンシフトは非常に良い一致を示した。Twissパラメーターの変調もactionが0の極限でシミュレーションと解析解の一致を見た。ベータが大きく変化しているところと、実際の運転でビームロスが多いところとの対応を考察した。 |
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THPI010 p.738 | ビームダイナミクス研究用小型イオントラップによる非線形共鳴励起試験 Preliminary beam-dynamics experiment on the excitation of nonlinear resonances using a modified Paul ion trap ○青木 将晃,伊藤 清一,岡本 宏己,檜垣 浩之(広大先端研) ○Masaaki Aoki, Kiyokazu Ito, Hiromi Okamoto, Hiroyuki Higaki (AdSM, Hiroshima Univ.) 広島大学は線形ポールトラップ(LPT)を応用した、国際的にも非常にユニークなビームダイナミクスの実験的基礎研究を進めてきた。この手法は強収束輸送系中の荷電粒子ビームとLPT中のイオンプラズマが物理的にほぼ等価であるという事実に基礎を置いている。四極電磁石の空間的配置に対応するパルス高周波電圧波形を生成し、LPTの四極ロッド電極に印加することで、任意の強収束ラティス中を伝搬する荷電粒子ビームの物理的挙動をコンパクトな卓上装置の中に再現できる。実際の円形加速器には四極電磁石とは別に、色収差補正のための六極電磁石や設置誤差等に起因する複雑な非線形場が点在している。これらの非線形効果を単純な四極構造を有する従来型のLPTで系統的に調べるのは原理的に困難である。この問題を克服し、より広範なビームダイナミクス研究を可能にするため、線形収束場とは独立に低次非線形場を制御することが可能な新型多極イオントラップを開発した。標準的なLPTに新たに四本の補助電極を挿入することで、線形収束場に加え、六極・八極磁場の強度と時間構造が自在にコントロールできる。本発表では、この多極イオントラップを用いた非線形共鳴励起実験の現状について報告する。 |
光源加速器 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI011 p.742 | 自由電子レーザーで駆動する高繰り返しアト秒X線光源の開発 Development of a high-repetition-rate attosecond X-ray source based on a free-electron laser ○羽島 良一,川瀬 啓悟,永井 良治(量研),大垣 英明,全 炳俊(京大),早川 恭史,境 武志,住友 洋介(日大),島田 美帆,宮島 司(高エネ機構) ○Ryoichi Hajima, Keigo Kawase, Ryoji Nagai (QST), Hideaki Ogaki, Heishun Zen (Kyoto U.), Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo (Nihon U.), Miho Shimada, Tsukasa Miyajima (KEK) 波長可変かつ高平均出力が可能な自由電子レーザー(FEL)で中赤外のレーザー発振を行い、これを高次高調波発生(HHG)に利用すれば、1 keV以上のアト秒X線をMHzの繰り返しで生成できる。われわれは、FEL-HHGの実現に必要な基礎基盤技術の研究を昨年度より開始した。本報では、研究計画の概要を紹介する。 本研究は文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)によるものです。 |
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THPI012 p.747 | テラヘルツコヒーレントアンジュレータ放射の偏光制御 Polarization control of coherent THz undulator radiation ○柏木 茂,齊藤 寛峻(東北大電子光セ),全 炳俊(京都大エネ研),入澤 明典(阪大産研),日出 富士雄,武藤 俊哉,森田 希望,山田 悠樹,南部 健一,鹿又 健,高橋 健,長澤 育郎,柴田 晃太朗,三浦 禎雄,濱 広幸(東北大電子光セ) ○Shigeru Kashiwagi, Hirotoshi Saito (ELPH, Tohoku Univ.), Heishun Zen (IMRAM, Kyoto Univ.), Akinori Irizawa (ISIR, Osaka Univ.), Fujio Hinode, Toshiya Muto, Nozomu Morita, Hiroki Yamada, Ken-ichi Nanbu, Ken Kanomata, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Koutaro Shibata, Sadao Miura, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) THz帯では広帯域にわたり使用可能な波長板が存在しないため、波長板を使った偏光操作は限られた波長域でしか実現されていない。本研究では、加速器駆動のテラヘルツ光源の一つであるコヒーレントアンジュレータ放射(CUR)の可干渉性を利用して、その偏光状態をマーチンパプレット型(電場振動面分割型)干渉計を光移相器として用いることによって操作する。1台のアンジュレータからの直線偏光の放射から、左右円偏光や楕円、直線偏光の光を作り出す。本学会において、本偏光制御の方法や実際にコヒーレントアンジュレータ放射を用いた偏光制御に関する試験実験の結果などについて報告する。 |
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THPI013 p.751 | 高強度単色放射源開発のための共鳴条件下におけるコヒーレント回折放射に関する研究 Investigation of Coherent Diffraction Radiation in resonant conditions for developing of an intense monochromatic radiation source ○アリセフ アレクサンダー,荒木 栄(高エネルギー加速器研究機),アルチュモフ コンスタンチン(トムスク工科大学),福田 将史,森川 祐(高エネルギー加速器研究機),森田 遼介(早稲田大学),ナウメンコ ゲナデ,ポチリツィン アレクサンダー(トムスク工科大学),セルゲエワ ダリア(国立研究核大学(MEPhI)),シェヴェレフ ミハイル,シキトフ ヅミツリ,スヒフ レオニド(トムスク工科大学),蓼沼 優一,丹波 智明(早稲田大学),照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機),チシェンコ アェクセイ(国立研究核大学(MEPhI)),浦川 順治(高エネルギー加速器研究機),鷲尾 方一(早稲田大学) ○Alexander Aryshev, Sakae Araki (High Energy Accelerator Research Organization), Konstantin Artyumov (Tomsk Polytechnic University), Masafumi Fukuda, Yu Morikawa (High Energy Accelerator Research Organization), Ryosuke Morita (Waseda University), Gennady Naumenko, Alexander Potylitsyn (Tomsk Polytechnic University), Daria Sergeeva (National Research Nuclear University (MEPhI)), Mikhail Shevelev, Dmitry Shkitov, Leonid Sukhikh (Tomsk Polytechnic University), Yuichi Tadenuma, Tomoaki Tanba (Waseda University), Nobuhiro Terunuma (High Energy Accelerator Research Organization), Alexey Tischenko (National Research Nuclear University (MEPhI)), Junji Urakawa (High Energy Accelerator Research Organization), Masakazu Washio (Waseda University) The motivation for developing intensive THz source at KEK LUCX is coming from the growing interest to THz radiation from various scientific communities worldwide. High gradient photo-cathode RF gun and few tens of femtosecond laser system are used to generate a pre-bunched electron beam of a few hundred femtoseconds. We are investigating the production and properties of the intense radiation beams in the range of 0.1-5 THz based on Grating Diffraction Radiation (GDR) in a single bunch regime of the 8 MeV electron beam at KEK LUCX accelerator. GDR is generated when a charged particle moves in the vicinity of a periodical pattern or grating. The grating type and period can be chosen to make quasi-monochromatic GDR spectrum. In the contrast to conventional Smith-Purcell radiation, GDR has much higher frequency tunability with comparable output pulse energy. In this reports the status of the experiment and GDR basic properties (including polarization characteristics) will be presented. This work was supported by the JSPS-RFBR grant # 18-52-50002 YaF-a under the Japan-Russia Research Cooperative Program. |
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THPI014 p.754 | Genesisを用いたcERLによる中赤外自由電子レーザー光の数値解析 Numerical analysis of MIR Laser right from cERL-FEL by using Genesis code ○坂本 文人(秋田工業高等専門学校),加藤 龍好(高エネルギー加速器研究機構),羽島 良一(量子科学技術研究開発機構) ○Fumito Sakamoto (National Institute of Technology, Akita College), Ryukou Kato (KEK), Ryoichi Hajima (QST) KEKにおいてcERLをベースとした中赤外SASE型自由電子レーザーの検討・開発が進められている。現状のcERLによって生成される電子ビームのパラメータを用いてGenesisによるFEL発振のシミュレーションを行ったところ,アンジュレーター中においてレーザー光が拡がり,真空ダクトと干渉する程成長することが判明した。Genesisにおけるレーザー光の計算においては,真空ダクト境界における光の反射および吸収の効果が考慮されておらず,実際に観測されるレーザー光出力に影響が出る懸念がある。そこで,新たにGenesisにおいて光の放射場を導波管モードに展開し,真空ダクト境界面での境界条件を取り入れることにより,真空ダクトにおける光の反射・吸収を考慮したコードの開発を検討した。本発表では,導波管モードへの放射場の展開理論をまとめ,境界条件を考慮した場合としない場合との比較を報告する。 |
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THPI015 | cERLを用いた高繰り返し中赤外自由電子レーザーの開発 Development of high-repetition MIR-FEL based on cERL ○加藤 龍好,阪井 寛志,土屋 公央,谷本 育律,本田 洋介,宮島 司,島田 美帆,中村 典雄,河田 洋(高エネ研) ○Ryukou Kato, Hiroshi Sakai, Kimichika Tsuchiya, Yasunori Tanimoto, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada, Norio Nakamura, Hiroshi Kawata (KEK) 現在cERLの高繰り返し高輝度電子ビームの特性を生かした中赤外自由電子レーザー(MIR-FEL)の開発が進められている。このFEL計画では長さ3m、磁場周期24mmのアンジュレータ2台をcERLの南側直線部に設置し、波長20μm以下で最大平均出力10W以上の中赤外光を得る予定である。このFELは産業用の樹脂加工用データベースの構築と加工プロセスの実証用光源として利用される。 |
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THPI016 p.757 | 格子変遷放出の単色性 Monochromaticity of Grating Transition Radiation ○アリセフ アレクサンダー,荒木 栄(高エネルギー加速器研究機),アルチュモフ コンスタンチン(トムスク工科大学),福田 将史,森川 祐(高エネルギー加速器研究機),ナウメンコ ゲナデ,ポチリツィン アレクサンダー(トムスク工科大学),セルゲエワ ダリア(国立研究核大学(MEPhI)),シェヴェレフ ミハイル,シキトフ ヅミツリ,スヒフ レオニド(トムスク工科大学),蓼沼 優一,丹波 智明(早稲田大学),照沼 信浩(高エネルギー加速器研究機),チシェンコ アェクセイ(国立研究核大学(MEPhI)),浦川 順治(高エネルギー加速器研究機),鷲尾 方一,森田 遼介(早稲田大学),コツャロフ アルテム(トムスク工科大学) ○Alexander Aryshev, Sakae Araki (High Energy Accelerator Research Organization), Konstantin Artyumov (Tomsk Polytechnic University), Masafumi Fukuda, Yu Morikawa (High Energy Accelerator Research Organization), Gennady Naumenko, Alexander Potylitsyn (Tomsk Polytechnic University), Daria Sergeeva (National Research Nuclear University (MEPhI)), Mikhail Shevelev, Dmitry Shkitov, Leonid Sukhikh (Tomsk Polytechnic University), Yuichi Tadenuma, Tomoaki Tanba (Waseda University), Nobuhiro Terunuma (High Energy Accelerator Research Organization), Alexey Tischenko (National Research Nuclear University (MEPhI)), Junji Urakawa (High Energy Accelerator Research Organization), Masakazu Washio, Ryosuke Morita (Waseda University), Artem Kotlyarov (Tomsk Polytechnic University) A strong interest for developing of intense monochromatic THz sources is explained by its unique features, such as non-ionizing interaction with matter, weak absorption in dielectrics, etc. The KEK: LUCX facility can produce THz/subTHz radiation via coherent transition/diffraction radiation (CTR/CDR) mechanisms as the RMS electron bunch length is of the order of 0.15 mm. Spectral characteristics of CTR, in which the electron beam interacts with a grating instead of a flat metal foil used for conventional CTR, were studied and CTR continuous spectral distribution transformation into discrete spectral lines (so-called Grating Transition Radiation, GTR [1]) was confirmed. Moreover, GTR spectral line splitting for orientation angles much larger than the inverse Lorentz factor was observed. In this report, spectral measurement results and its comparison with Smith-Purcell radiation will be presented and further developments will be discussed. The work was supported by the JSPS-RFBR grant # 18-52-50002 YaF-a under the Japan-Russia Research Cooperative Program. [1] G.Naumenko, A.Aryshev, A.Potylitsyn et al. NIMB 402 (2017) 153 |
電子加速器 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI017 p.761 | STF-2加速器におけるビームチューニング Beam tuning in STF-2 accelerator ○福田 将史,アリシェフ アレクサンダー,帯名 崇,島田 美帆,中村 典雄,早野 仁司,本田 洋介,松本 利広,宮島 司,森川 祐,山本 康史(高エネ研),栗木 雅夫(広島大学先端研),坂上 和之(東大),松葉 俊哉(広大放射光),野津 庄平(広大) ○Masafumi Fukuda, Alexander Aryshev, Takashi Obina, Miho Shimada, Norio Nakamura, Hitoshi Hayano, Yosuke Honda, Toshihiro Matsumoto, Tsukasa Miyajima, Yu Morikawa, Yasuckika Yamamoto (KEK), Masao Kuriki (AdSM, Hiroshima University), Kazuyuki Sakaue (Univ. of Tokyo), Shunya Matsuba (HSRC, Hiroshima Univ.), Shohei Notsu (Hiroshima Univ.) KEKの超伝導リニアック試験施設棟(STF)では、国際リニアコライダー(ILC)のための超伝導加速空洞の開発を行っており、現在は、STF Phase-2 (STF-2) 計画が進められている。STF-2では、L-band (1.3GHz)の超伝導加速空洞12台が納められたILCの仕様を満たしたクライオモジュールを製作し、ILCにおいて要求される加速勾配31.5MV/mを実現することを目指している。これまでに、このクライオモジュールをSTF棟の地下ビームラインに設置し、冷却試験やRF試験を行って来ており、昨年度はさらに31.5MV/m以上の加速勾配での電子ビーム加速試験を行うために、クライオモジュールの上下流にビームラインを建設し、ビーム加速試験を開始した。今回構築したビームラインでのビーム運転は初めてであったので、まずビーム軌道や加速位相の調整などビームトランスミッション調整を行い、その後ビームエネルギー、カレント、エミッタンスなど生成した電子ビームのパラメーターの測定、調整を行った。今回のビーム試験では、270MeV, 1000bunches/pulse(6us),50nC/pulse, 5Hzの電子ビームの生成を確認できた。本発表では、このビーム調整やビームパラメーター測定の結果について報告する。 |
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THPI018 p.766 | 次世代放射光リングの入射器として使用するCバンド加速器の機器設計と開発状況 Design and development status of a C-band accelerator system used as an injector for a next-generation SR source ○稲垣 隆宏,前坂 比呂和,岩井 瑛人,田中 均(理研 放射光科学研究センター),安積 隆夫,近藤 力,大島 隆(高輝度光科学研究センター),西森 信行(量研機構 次世代放射光施設整備開発センター) ○Takahiro Inagaki, Hirokazu Maesaka, Eito Iwai, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Takao Asaka, Chikara Kondo, Takashi Ohshima (JASRI), Nobuyuki Nishimori (QST) 次世代放射光施設では、低エミッタンス3 GeV蓄積リングへの電子入射器として、高電場のCバンド加速器を使用する計画である。ライナックの全長を蓄積リングの直径と同程度の約100 mに収めるため、Cバンド加速器には、SACLAで運転実績のある42 MV/mの加速電場が要求される。このような高電場を得るために、50 MWパルス・クライストロンからの出力をRFパルス圧縮器で4倍に増倍し、2本の2 m進行波型加速管に供給する。これを20組使用する。次世代放射光施設では、建設コストと運転保守コストを抑えることも重要である。そこで、SACLAのシステムをベースとしつつ、構成や仕様について見直しを行い、いくつかの機器は新規開発や改良を行った。RFパルス圧縮器はTE0,1,20空洞を導波管に結合させた単純な構造のものを製作し、大電力試験で性能を確認した。モジュレータの高電圧充電電源については、従来の補充電回路を廃しながらも、主充電回路をデジタルPWM制御することで全幅200ppm以下の安定性を実現した。クライストロンの前段アンプは、高出力のGaN素子を用いたものを製作し、小型化と低コスト化を果たした。低電力RFシステムは、Micro-TCA.4規格のシステムを構築中で、信号の集約化と低コスト化を図っている。本発表では、Cバンド加速器のシステム設計と機器の開発状況について報告する。 |
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THPI019 p.771 | 次世代放射光施設のための3GeV線形加速器の基本設計 Basic design of 3-GeV injector linac for a next-generation SR source ○安積 隆夫,稲垣 隆宏(理化学研究所 放射光科学研究センター),西森 信行(量子科学技術研究開発機構),原 徹,前坂 比呂和,田中 均(理化学研究所 放射光科学研究センター) ○Takao Asaka, Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Nobuyuki Nishimori (QST), Toru Hara, Hirokazu Maesaka, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 低エミッタンス蓄積リングへの安定したビーム入射が要求される3GeV線形加速器では、高品質ビーム生成(2 nm rad/0.3 nC)に加え、将来の軟XFELへの拡張性、構成機器の信頼性と保守性を配慮したシステム構築を目指している。さらに建設コストの低減、また加速器運用時の省エネルギー化を念頭においた加速器設計、ならびに構成機器の検討を進めている。こうした指針を踏まえ、主加速部はCバンド加速ユニットの高電界加速による加速器の短縮化をおこなう。また、入射部では、高い耐久性をもつグリッド付き熱カソードを備えた50kV電子銃と238MHz高周波加速空胴からなるシンプルな電子銃システムの採用を検討している。本報告では、3GeV線形加速器の設計理念とそれに基づく機器構成について述べる。そして、ビームオプティクス計算結果を示すとともに、粒子トラッキング計算より得られたビーム性能について述べる。 |
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THPI020 p.776 | ILC電子駆動陽電子源キャプチャーライナックにおけるビームローディング抑制 Beam Loading Compensation in the Capture Linac of ILC E-Driven Positron Source ○栗木 雅夫,名越 久泰,高橋 徹(広島大学院先端研),根岸 健太郎(岩手大学),奥木 敏行(KEK加速器),大森 恒彦(KEK素核研),佐藤 政則,清宮 裕史(KEK加速器),浦川 順治(KEK研究支援),横谷 馨(KEK加速器),住友 洋介(日本大学) ○Masao Kuriki, Hisayasu Nagoshi, Tohru Takahashi (AdSM, Hiroshima U. ), Kentaroh Negishi (Iwate U. ), Toshiyuki Okugi (KEK, Accl. Lab.), Tsunehiko Omori (KEK, IPNS), Masanori Satoh, Yuji Seimiya (KEK, Acc. Lab.), Junji Urakawa (KEK, URA), Kaoru Yokoya (KEK, Acc. Lab.), Yosuke Sumitomo (Nihon U. ) ILCは250 GeV - 1.0 TeVまでの重心系エネルギーをカバーする次世代電子・陽電子リニアコライダーである。加速には1.3GHzの超伝導加速器を用い、低電力による効率的なマシンである。一つのパルスには1300あるいは2600バンチの電子および陽電子が含まれ、生成標的破壊が危惧されるため、生成部では20パルスで取り扱う。この場合、パルス繰り返しが速くなるため、常伝導加速器を用いる。一パルスあたり70あるいは130バンチ程度のマルチバンチ加速が必要であり、ビームローディング補正は必須である。キャプチャー部には定在波加速管を使用する。一般には定在波加速管では加速のタイミングを調整することでビームローディングを抑制できるが、減速キャプチャーという手法がとられるために、陽電子は減速位相から加速位相へと徐々に移動する。そのため、RFによる加速場とビームローディングによる減速場の単純なスカラー的な打ち消しが起きずに、位相および振幅がパルス内で変動してしまう。そこで加速管に離調角を導入する。RFおよびビームが同じ位相に乗っている場合、各々が発生するRFによる加速場、ビームによる減速場は正確に逆位相となるため、ビームローディング抑制は有効となる。発生する加速場の位相は離調角だけずれているので、ビームが感じる加速位相は離調角に等しくなる。すなわち、離調角の導入により、ビームローディング抑制と任意の位相による加速の両立が可能となる。 |
レーザー (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI022 p.780 | キャリアエンベロープ位相安定中赤外光源の検討 Design study for carrier-envelope phase stabilized mid-infrared source ○川瀬 啓悟,羽島 良一,永井 良治(QST) ○Keigo Kawase, Ryoichi Hajima, Ryoji Nagai (QST) 中赤外領域のFELで駆動する高次高調波アト秒X線パルス発生のために、キャリアエンベロープ位相が安定したシード光が必要である。そのために現在、モードロックファイバーレーザーによる差周波発生を基礎とした中赤外光源の検討と開発を進めており、本発表では、その概要と現状を報告する。 |
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THPI023 p.783 | 共振器型IR-FELパルス蓄積のための外部増幅共振器の開発と試験蓄積 Development of An Enhancement Cavity for Pulse Stacking from IR-FEL Oscillator ○住友 洋介(日大),川瀬 啓悟,羽島 良一(量研),黒澤 歩夢,早川 恭史,境 武志(日大) ○Yoske Sumitomo (Nihon U.), Keigo Kawase, Ryoichi Hajima (QST), Ayumu Kurosawa, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai (Nihon U.) 日大LEBRAでは、共振器型赤外FELで生成したFEL光を、ピーク強度増幅のために外部増幅共振器において蓄積する基礎研究を行っている。ピーク強度が高く、数サイクル程度のマイクロパルス幅を持った赤外光は、希ガスを用いた高調波発生に用いることでアト秒紫外・X線生成を可能とし、加速器技術の得意とするMHz以上の高繰返しと合わせて、近未来のアト秒科学に貢献する技術となり得る。日大FELでは20μsの電子パルストレインを用いた発振を行っているのであるが、外部増幅共振器での蓄積のためには、FEL光はパルス数が少なく調整に困難が予想される。その為、まずは、赤外モードロックファイバーレーザーを用いた外部増幅共振器の調整と試験蓄積を行っている。本発表においては、この試験蓄積の現状を報告し、FEL光蓄積のための考察を行う。なお、本発表における研究は、文科省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(MEXT Q-LEAP)、次世代レーザー技術領域」による支援のもとで行われている。 |
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THPI024 p.786 | 京都大学中赤外自由電子レーザの長マクロパルス光陰極運転に向けた光陰極励起用レーザシステムのアップグレード Upgrade of photocathode drive laser system for long macro-pulse photocathode operation of KU-FEL ○全 炳俊,大垣 英明(京都大学エネルギー理工学研究所) ○Heishun Zen, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 2018年度より、光・量子飛躍フラグシッププログラム(Q-LEAP)、基礎基盤研究課題として、中赤外自由電子レーザ(FEL)で駆動する高繰り返し高次高調波アト秒光源の実現を目指し、量研、日大、KEK、京大エネ研のチームで研究開発を開始した。京大エネ研では、過去に既設熱陰極高周波電子銃の陰極を紫外レーザで駆動し、光陰極運転を行う事で、電子ビームのバンチ電荷を3倍に増加させると共に、FELのミクロパルスエネルギーを6.5倍に増強する事に成功している。この際、電子ビームのマクロパルス長は光陰極励起用レーザの性能により、4μsに制限されていた。FELのミクロパルスエネルギーをさらに増大させるため、既設の光陰極励起用レーザーシステムに増幅器モジュールを1台追加するアップグレードを行った。これにより、電荷量を保ったままマクロパルス長を8μsまで伸ばす事が可能となる。 本研究は文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)によるものである。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI025 p.789 | J-PARC ビーム同期タグ付モニタデータの高速測定 The fast measurement of the monitors data with the beam synchronized tag in J-PARC ○畠山 衆一郎(三菱電機システムサービス株式会社),山本 風海,吉本 政弘,林 直樹(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター) ○Shuichiro Hatakeyama (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Kazami Yamamoto, Masahiro Yoshimoto, Naoki Hayashi (JAEA J-PARC Center) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、LINACから入射された400MeVのビームを3GeVまで加速し、速い繰り返し周期(25 Hz)で、物質生命科学実験施設(MLF)と主リングシンクロトロン(MR)にビームを振り分けながら供給する。ビーム損失によるビームラインの放射化を防ぐため、また機器自身の不具合を検出するために、機器保護システム(MPS)と呼ばれるインターロック機構が導入されている。MPSの発報によるビーム運転の停止は、実験ユーザーの貴重なビーム利用時間を削ることになるので、迅速な復旧が強く求められる。ビームダイナミクスに関連したMPSによるビーム停止では、ビーム損失モニタ(BLM)、ビーム位置モニタ(BPM)、ビーム電流モニタ(CT)などによるビーム診断が行われるが、RCSでは、MLFとMRの行先毎に電磁石やRFの設定値が変わるため、ビームモニタのデータもMLF、MRで切り分ける必要がある。本発表では、デジタイザのデータにリフレクティブメモリからのビームタグ情報を付加し、25Hzの高速測定を行うことで、ビームの行先(MLF/MR)を切り分ける方法を紹介する。 |
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THPI026 p.794 | PF-AR直接入射路用ログアンプ型BPM信号検出回路の開発 Development of log-ratio amplifier type BPM signal detection circuit for PF-AR direct beam transport line ○下ヶ橋 秀典,帯名 崇(高エネ研) ○Hidenori Sagehashi, Takashi Obina (KEK) KEK PF-AR では6.5GeV の電子ビームを直接入射するための新しい輸送路(PF-AR 直接入射路)を建設してきた。新入射路には21台のBeam Position Monitor(BPM)が設置されている。立ち上げ当初BPM信号検出機器はcERLのシステムを借用していた。現在、cERLでの使用もあり、両施設共に必要最低限の数量で運転を行っている。そこで、安価なBPM信号検出システムを用意する必要が生じた。方式としてはLog AMPを用いたBPM信号処理回路である。BPFあるいはLog AMPの出力を直接ADCに取り込んでも良いのであるが、100MS/s以上程度のADCが必要となる。そこで、Peak Hold回路を用いて10msまでアナログ出力を保持する機能を追加した。これにより低速で安価なADCでのデータ取込みを可能とした。当面はPLCのADCを用いてデジタル化&データ処理を行っている。また、各回路構成部品はカタログベースの市販品で揃えることにして、コストダウンを計っている。また、回路を納める筐体は3Dプリンタを用いてNIM-BIN電源に納まるケースを製作した。置き換え対象の信号検出機器がNIMモジュールであるため、スペースの関係上そのようにした。ただし、機器の電源自体は5VのACアダプタで供給されるため、スタンドアロンでの運用も可能である。本発表では、機器の開発、製作、疑似信号による試験結果、実ビームによる試験結果について報告を行う。 |
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THPI027 p.797 | マルチバンドRFKOシステムのプロトタイプの開発 Development of prototype of multi-band radio frequency knockout system ○塩川 智也,奥川 雄太郎,山口 輝人,中西 哲也(日大生産工) ○Tomoya Shiokawa, Yutaro Okugawa, Teruto Yamaguchi, Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University) シンクロトロンを用いた重粒子線がん治療の照射方法にスポットスキャニング照射法がある。この方法はシンクロトロンからのビーム取り出しにおいて高速なビームの制御が必要であり、それを可能とするためRFKO法が用いられている。従来のRFKOシステムでは数10kHzの狭帯域の高周波電界を使用する。それに対して、広い周波数帯域で複数のベータトロン共鳴周波数帯を含んだマルチバンドスペクトルのカラードノイズ(CN)を信号源に用いることを提案し、出射ビーム強度が一様になることをビームシミュレーションで示した。今回、原理実証実験を若狭湾エネルギー研究センター(WERC)のシンクロトロンで行うために、マルチバンドRFKOシステムのプロトタイプを開発した。WERCシンクロトロンでは、必要な周波数帯域は約1~14MHzであった。RFKOシステムはマルチバンド信号源から、RFスイッチに入力され、位相分配器により180度異なる信号として、それぞれ40W高周波アンプ、Impedance Transformer(IT)、All Pass Network(APN)を通して各RFKO電極に入力される。電極電圧の最大実効値は70Vで、ピーク値はCNデータの実効値とピーク値の比から230Vと推定した。ITはフェライトコアを使用し、変換比を16:1とした。その時のAPNの入力抵抗は800Ωとなる。IT、APN及びITと組み合わせた時のAPNの周波数特性の解析結果と測定結果、プロトタイプの周波数特性の測定結果について報告する。 |
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THPI028 p.802 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンにおけるビーム出射制御系の開発(2) Development of a beam extraction control system for the synchrotron at WERC (2) ○栗田 哲郎(若狭湾エネ研) ○Tetsuro Kurita (WERC) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。 シンクロトロンからのビームは、帯域ノイズを用いたRFキッカーによる遅い取り出しを行っている。2016年度からビーム出射制御系の開発に取り組んでいる。老朽化した故障したら修理ができないPCとハードウェアを更新し、ソフトウェアを再製作して、継続的にメンテナンスを行える体制を整えた。また、DSPを用いてフィードバック制御系の改良をおこなった。 2018年度はリング内の蓄積電荷もフィードバック制御に組み込み電流量が変化しても時間幅が一定の出射スピルが得られる改良を行った。リング内の蓄積電荷をモニタする機能を流用してシンクロトロンの電流量の計測の自動化機能を開発した。帯域のノイズの最適化にも取り組んでいる。 以上のビーム出射制御系の整備状況を報告する。 |
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THPI029 p.806 | SPring-8におけるフィリング・パターンの影響を軽減する光位置モニタ X-ray beam position monitor to mitigate influence of filling pattern at SPring-8 ○青柳 秀樹,高橋 直(高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoyagi, Sunao Takahashi (JASRI) SPring-8の挿入光源ビームライン用光位置モニタ(X-ray Beam Position Monitor, XBPM)は、タングステン(一部はダイヤモンド)を母材とするブレード型検出素子を光電陰極として用いる光電子放出型である。SPring-8では、時分割実験を行うためにセベラルバンチ・モードを日常的に運用している。ユーザーのニーズに合わせるために、1バンチあたりの蓄積電流値、放射光に言い換えればピーク輝度を増加させてきた。この恩恵は、8GeV低エミッタンス・リング(不安定性の問題の克服)と真空封止アンジュレータ(短波長・高輝度光源)の組み合わせによってもたらされた。一方で、XBPMのブレード型検出素子からのピーク電流値は、当初の予想をはるかに上回るものとなった。その結果、蓄積リングのフィリング・パターンを変更した時にXBPMの出力値が変化する現象が顕在化した。調査の結果、原因は空間電荷効果による電流信号の飽和であることが判明した。そこで、XBPMの基本構造を見直すことによってフィリング・パターンの影響を軽減することのできる光位置モニタを設計・製作を実施した。 |
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THPI030 p.810 | TIARA AVF サイクロトロンのペッパーポット型エミッタンス測定装置の開発 Development of a pepper-pot emittance monitor system for the TIARA AVF cyclotron ○宮脇 信正,柏木 啓次,石岡 典子(量研 高崎) ○Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Noriko Ishioka (QST Takasaki) 量研高崎のTIARA AVFサイクロトロンでは、材料・バイオ研究等のために様々なイオン種を幅広いエネルギー範囲のビームを頻繁に切り替えて提供している。このビーム切り替えに伴うサイクロトロンへのビーム入射調整を効率的に行うため、入射ビームのエミッタンスとサイクロトロンのアクセプタンスの計測に基づいた入射調整方法を開発している。入射ビームのエミッタンス形状制御のためには、これまでは既存のエミッタンス測定装置より上流の電磁石パラメータから、測定したエミッタンスを逆方向に輸送計算して求めた上流のエミッタンスを基に集束要素の再調整を行っていた。しかし、上流でビームロスがある場合や空間電荷効果が無視できない大強度軽イオンビームの場合は、上流のエミッタンスを正確に算出することが困難であった。そこで、イオン源近傍でエミッタンスを得ることによって、より正確なエミッタンス形状制御を行えるようにするため、イオン源の分析電磁石直後にペッパーポット型エミッタンスモニターを開発した。本装置は、イオン源で発生する広範なイオン種やエネルギーのビームのエミッタンス測定に対応するため、固定したペッパーポットマスクから検出器であるマルチチャンネルプレート(MCP)の間の距離を任意に変化することができるとともに、ミラーを介してMCPを観察するカメラとの距離も調整できる機構を採用した。発表では装置の詳細及び測定試験について報告する。 |
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THPI031 p.814 | J-PARC E34 muon g-2/EDM実験:低エミッタンスミューオンビーム実現に向けた高時間分解能縦方向ビームプロファイルモニターの開発 Development of the longitudinal beam profile monitor with high time resolution for realization of low-emittance muon beam in the J-PARC E34 muon g-2/EDM experiment ○四塚 麻衣(名大理),飯嶋 徹(名大理、名大KMI),飯沼 裕美(茨大理工),居波 賢二(名大理),大谷 将士,河村 成肇(高エ研),北村 遼,近藤 恭弘(原研),齊藤 直人(J-PARCセンター),下村 浩一郎(高エ研),須江 祐貴(名大理),中沢 雄河(茨大理工),長谷川 和男(原研),二ツ川 健太,三部 勉,三宅 康博(高エ研),森下 卓俊(原研),安田 浩昌(東大理),山崎 高幸(高エ研) ○Mai Yotsuzuka (Nagoya University), Toru Iijima (Nagoya University, Nagoya University KMI), Hiromi Iinuma (Ibaraki University), Kenji Inami (Nagoya University), Masashi Otani, Naritoshi Kawamura (KEK), Ryo Kitamura, Yasuhiro Kondo (JAEA), Naohito Saito (J-PARC Center), Koichiro Shimomura (KEK), Yuki Sue (Nagoya University), Yuga Nakazawa (Ibaraki University), Kazuo Hasegawa (JAEA), Kenta Futatsukawa, Tsutomu Mibe, Yasuhiro Miyake (KEK), Takatoshi Morishita (JAEA), Hiromasa Yasuda (University of Tokyo ), Takayuki Yamazaki (KEK) ミューオンの異常磁気能率(g-2)は新物理の兆候が期待されている物理量であり、実験値と標準理論の予測値の間には現在3σ以上の乖離が確認されている。J-PARC E34実験では独自の手法による精密測定を目指しており、主要な系統誤差を削減するために低エミッタンスビームを使用する。これは、熱エネルギーまで冷却したミューオンを、速度に応じた複数段階の線形加速器を用い212 MeVまで再加速することによって生成する。実験の要求から加速中のエミッタンス成長を抑える必要があるため設計値実現には異なる加速器間でのビームマッチングが重要であり、実際のビームプロファイル測定に基づいて行われる必要がある。時間方向の測定に使用するモニターには、加速位相の1%である30~40 psに相当する精度が要求されている。また、イオン源開発初期のビーム強度が低い段階でも使用可能でなければならないため、ミューオン1つに対して感度を持つ必要がある。この2つの要求を満たすため、高い感度を持つマイクロチャンネルプレートと、波高依存性の削減により高時間分解能の達成が可能であるCFD回路を用いたモニターの開発を行った。また、性能評価のためにテストベンチの構築を行い、ピコ秒パルスレーザーをMCP表面に照射した際に起こる光電効果によって生成した光電子を用いた。本発表では、テストベンチによるモニターの性能評価結果を報告する。 |
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THPI032 p.818 | レーザー変調を用いた超短パルス電子ビーム発生の研究 Study on generation of ultrashort electron bunches using laser modulator ○菅 晃一,楊 金峰(阪大産研),神戸 正雄(阪大産研、阪市大院工),吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang (ISIR, Osaka Univ.), Masao Gohdo (ISIR, Osaka Univ., Graduate School of Engineering, Osaka City University), Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、レーザーフォトカソード RF 電子銃ライナックを導入し、高時間分解能パルスラジオリシスの開発を行っている。パルスラジオリシスの時間分解能を向上するためには超短パルス電子ビームの発生が不可欠である。 本発表では、レーザー変調を用いた超短パルス電子ビーム発生の可能性について報告する。レーザー変調とは、アンジュレータの周期磁場に、共鳴波長に相当するレーザーと電子ビームを同軸で入射し、電子ビームをエネルギー変調する手法である。エネルギー変調を適宜調整することにより、下流の自由空間の輸送により、軸方向の密度変調に変換する。発表では、レーザー変調の計算結果と製作中のアンジュレータの進捗について報告する。 |
粒子源 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI033 p.821 | MeV領域のテーブルトップ陽子源の開発 Development of tabletop proton source in MeV region ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹,嶋 達志,高久 圭二,武田 佳次郎,原 隆文,大本 恭平(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tatsushi Shima, Keiji Takahisa, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Kyohei Ohmoto (RCNP, Osaka Univ.) 十数MeVの陽子ビームは、粒子線測定器の校正やPET薬剤などで利用される短寿命RI生成などに利用される。陽子ビームは通常サイクロトロンなどの加速器で生成されるが、その導入コストは非常に高いものである。 そこで、陽子ビームを生成する新たな手段として核融合反応である3He+D→p+4Heを利用することを考えた。この核融合反応の結果放出される14.67MeVの陽子を利用するとRI生産能力などはサイクロトロンに及ばずとも、導入コストの低減と装置の小型化により研究室レベルで気軽に使用できる陽子源の実現が期待される。この核融合反応自体は古くから知られているもので、恐らくは過去にもこの反応を使ったビーム生成装置の検討がなされたであろうが、反応率の低さが足枷であったであろうことは想像に難くない。 今回、PET関連の研究に耐えうる量のRI製造を3He+D→p+4He反応により実現できる装置の実現を今一度目指す。そのため、大強度3Heビームイオン源及び高耐熱の重水素標的、そして生成した陽子を大気側にある試料に照射させる窓構造などについて開発検討を行った。特に窓構造の検討を進めた結果、強度は弱いものの数MeVの陽子を大気中に取り出すことに成功した。 |
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THPI034 p.824 | 高周波負水素イオン源から引き出されたH-ビームの揺動 Fluctuation of H- beam extracted from a radio-frequency driven H- ion source ○神藤 勝啓(J-PARC/原子力機構),柴田 崇統(J-PARC/高エネ研),和田 元(同志社大学) ○Katsuhiro Shinto (J-PARC/JAEA), Takanori Shibata (J-PARC/KEK), Motoi Wada (Doshisha Univ.) J-PARCやSNSなどの大強度陽子加速器施設で用いられている負水素イオン源(H-イオン源)では、2MHzの高周波(RF)を用いてイオン源チェンバー内にプラズマを発生し、ピーク電流で数10 mAのH-ビームを生成している。このような大強度RF H-イオン源では、イオン源内のイオン密度が高いためビーム引出領域近傍のイオンシースがRFに追随し、プラズマの電位搖動が生じる。その結果、イオン源より引き出されたH-ビームは揺らぎを持つと考えられる。そこで、イオン源内で生じているプラズマ波動現象が引き出されたH-ビームに与える影響を調べるために、イオン源より引き出されたH-ビームのエミッタンスの揺らぎや、イオン源チャンバー内のプラズマの揺らぎについて測定を進めてきた。本発表では、それらの測定結果について報告する。 |
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THPI035 | カソード背面レーザー加熱式熱電子銃の開発 Development of a thermionic electron gun by back-face laser heating ○長田 信人,村田 亜希(東工大院),林崎 規託(東工大研究院),佐藤 大輔(産総研) ○Nobuhito Osada, Aki Murata (Tokyo Tech), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech), Daisuke Sato (AIST) レーザー照射を用いる電子銃としては、高輝度電子ビーム生成のためのフォトカソード電子銃が知られている。また、これまでの一般的なフィラメント加熱式の熱電子銃には、配線による内部構造の複雑化、加熱時の真空悪化、フィラメント断線などの課題がある。そこで本研究は、カソード表面にレーザーを照射して光電子を生成するのではなく、カソード背面にレーザーを照射加熱して熱電子を生成する方式の、新しい工業用大強度熱電子銃の開発を進めている。 |
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THPI036 p.827 | 高周波電子銃用Cs-Teフォトカソードの高耐久化に関する研究 Durability improvement of Cs-Te photocathode for an rf-gun ○丹羽 智朗,宮松 順也,江澤 健太朗,鷲尾 方一(早大理工総研),坂上 和之(東大光量子研) ○Tomoaki Tamba, Junya Miyamatsu, Kentaro Ezawa, Masakazu Washio (WISE, Waseda Univ.), Kazuyuki Sakaue (UT-PSC, the Univ of Tokyo) 早稲田大学では、Cs-Teフォトカソード電子銃を用いて、高品質電子ビーム生成に向けた基礎研究及び様々な応用研究を行っている。フォトカソードとは光電効果によって電子を取り出すことができる陰極であり、加速器の性能に直接関わる重要な要素である。性能は主に入射光子と放出電子の変換効率を表わす量子効率と、1/e寿命で評価され、高性能なフォトカソードの生成に向けた研究が世界的になされている。 我々は高周波電子銃の電子源として262nmの紫外光で10%程度と高い量子効率(Quantum Efficiency, Q.E.)を持ち、かつ半導体フォトカソードでは比較的長寿命であるCs-Teフォトカソードを使用している。高周波電子銃内では最大100MV/m程の大強度電場がかかることによる放電が引き起こされるような過酷な環境であり、かつ真空度が劣悪であることから数ヶ月に1度フォトカソードの交換が必要である。上記のような環境下においてもカソードがより長時間の加速器運転に耐えられることを目的として、Cs-Teを同時蒸着法によって生成した。Cs-Teフォトカソードに関しては、同時蒸着法によるCs-Teは逐次蒸着法に比べて長寿命なものができる傾向にあることが報告されている。同時蒸着法ではレシピの最適化ができていなかったので最適化を行い、比較を行った。本発表では、蒸着チャンバーおよび電子銃内でのCs-Te同時蒸着法のQ.E.と寿命を逐次蒸着と比較した結果及び今後の展望について報告する。 |
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THPI037 p.830 | 信号線のインピーダンス整合によるCeB6カソードの仕事関数測定装置の改良 Improvement of the in-site work function measurement system for CeB6 cathodes used in the electron gun of SACLA by impedance matching of the signal line ○馬込 保(高輝度光科学研究センター・理研放射光科学研究センター),渡川 和晃,稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理研放射光科学研究センター) ○Tamotsu Magome (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Kazuaki Togawa, Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) A CeB6 thermionic cathode is used for the electron gun of the X-ray free-electron laser, SACLA. An operation time of a CeB6 thermionic cathode is typically limited to only one year or so due to decrease in emission currents. Since a work function is the most dominant factor in emission current, we have been developing an in-situ measurement system for the work function of the CeB6 thermionic cathode under simulative conditions of the real electron gun to investigate mechanism of this cathode degradation. The developed system adopts the photoelectron yield spectroscopy using excitation lights from a nanosecond tunable Nd:YAG laser system. In the measurement system, the photoelectron pulse signal was distorted in profile because of reflections of the photoelectron pulse signal in the simulative anode plate ( 12 cm in diameter and 2 mm in thickness ) of the real electron gun and in the signal line in vacuum. A coaxial cable of 50 ohms in impedance in vacuum and an anode cylinder ( 5 mm in diameter and 9 mm in length ) enabled the photoelectron pulse signal to be a single nanosecond pulse with a long tail. In this paper, we report the detail of the impedance matching. |
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THPI038 | 横型テストクライオへ搭載可能な超伝導RF電子銃の開発 Development of Superconducting RF gun installable to Horizontal Test Cryostat ○許斐 太郎,梅森 健成,加古 永治,阪井 寛志,道園 真一郎,本田 洋介,宮島 司,山本 将博,小林 幸則,山口 誠也,井上 均(KEK) ○Taro Konomi, Kensei Umemori, Eiji Kako, Hiroshi Sakai, Shinichiro Michizono, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima, Masahiro Yamamoto, Yukinori Kobayashi, Seiya Yamaguchi, Hitoshi Inoue (KEK) KEKでは2012年より超伝導RF電子銃の特性を評価するための基礎的な開発を行っている。バンチ電荷77pC、ビーム電流100mAのERLに適したビームを引き出せるように電子銃空洞1号機のRF設計を行い、最大表面電界75MV/mを達成した。この結果を元に、RF設計は1号機の設計を踏襲してヘリウムジャケットを取り付け、横型テストクライオスタットへ搭載可能な電子銃空洞2号機を製作した。カソードロッドを入れない空洞単体の高電界性能はフィールドエミッションを伴うものの表面電界は75MV/m まで到達している。本発表では電子銃空洞2号機の設計を示す。横型クライオスタットへ搭載するためのカソードホルダー、磁気シールド、液体ヘリウムジャケットの構造設計を示すとともに、カソードホルダー特性評価試験結果と、横型テストクライオスタットで高電界試験を行うための実施状況を報告する。 |
ハドロン加速器 (8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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THPI039 p.833 | J-PARCリニアックRFQ出射ビームの測定とビーム調整 Beam diagnostic and tuning at the J-PARC RFQ exit ○大谷 将士(高エネ研),岡部 晃大,小栗 英知(原研/J-PARC),二ツ川 健太(高エネ研),三浦 昭彦(原研/J-PARC),宮尾 智章(高エネ研),守屋 克洋(原研/J-PARC),劉 勇(高エネ研) ○Masashi Otani (KEK), Kota Okabe, Hidetomo Oguri (J-PARC, JAEA), Kenta Futatsukawa (KEK), Akihiko Miura (J-PARC, JAEA), Tomoaki Miyao (KEK), Katsuhiro Moriya (J-PARC, JAEA), Yong Liu (KEK) J-PARCリニアックは2018年10月から定格ビーム電流50mAで運転を行っている。また、J-PARC将来計画にむけた更なる大強度化試験も実施している。現在もっともビーム損失が大きいのは、空間電荷効果が大きく機器配置の制約が厳しい、RFQとDTLの間のビーム輸送セクションMEBT1 である。 そこで、さらなる大強度化にはMEBT1におけるビームの形状を理解し、輸送ラインの最適化が必要不可欠となる。本講演では、MEBT1における横方向及び縦方向のビーム測定結果と、ビーム調整の現状について報告する。 |
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THPI040 p.836 | J-PARC MR取り出し時の大強度ビームプロファイルのシミュレーションによる検討 Simulation study on the beam profile of the high power beam at the extraction of J-PARC MR ○五十嵐 進,石井 恒次,大見 和史,佐藤 洋一,白形 政司(高エネルギー研) ○Susumu Igarashi, Koji Ishii, Kazuhito Ohmi, Yoichi Sato, Masashi Shirakata (KEK) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)のビーム強度増強について、シミュレーションによる検討を行った。MRはニュートリノ実験のために最大 500 kWのビームパワーで30 GeVの陽子を供給している。繰り返し周期は 2.48 s で、取り出し時の陽子数は 2.6E14 protons per pulse (ppp) としている。大強度ビームを取り出す際に、取り出しビームのためのアパーチャーが充分ではない四極電磁石(QDT155)に、ビームハローが当たり、現在のビーム強度でもビームロスが観測されている。将来、ビームパワーを 1.3 MW とすることを検討しており、繰り返し周期は 1.16 s とし、取り出し時の陽子数は 3.3E14 ppp として、目標を達成することを考えている。現状と将来のビーム強度での取り出し時のビームプロファイルをシミュレーションで求め、QDT155でのビームロスを評価した。大強度でのMR入射時のビームプロファイルとして、入射路での測定結果を用い、空間電荷効果を考慮した粒子トラッキングプログラムSCTRを用いて30 GeVまでの加速についてのシミュレーションを行った。ロス低減のために大口径QDTを製作しており、その効果を評価した。 |
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THPI041 p.841 | J-PARC 3-GeVシンクロトロンにおけるレーザー荷電変換入射実現のためレーザー強度を低減できる2ミラーのマルチレーザー照射システムの開発 Development of two-mirror multi-pass laser system to reduce laser power for laser stripping injection at J-PARC 3-GeV RCS ○サハ プラナブ クマル,原田 寛之,金正 倫計(原子力機構, J-PARC),佐藤 篤(NAT),道根 百合奈,米田 仁紀(電通大, レーザー研) ○Pranab Kumar Saha, Hiroyuki Harada, Michikazu Kinsho (JAEA, J-PARC), Atsushi Sato (NAT), Yurina Michine, Hitoki Yoneda (UEC, ILS) In the 3-GeV RCS of J-PARC, experimental studies of H- (negative hydrogen) stripping by using lasers for the charge-exchange injection (CEI) of 400 MeV H- is under preparation. The merits of H- stripping by lasers is not only to overcome the short life of the stripper foil, but also for eliminating extremely high residual radiation at injection area associated with stripper foil conventionally used for the CEI. However, requirement of high power lasers is the biggest issue to realize the laser stripping CEI. To overcome this issue, we consider simple two mirror multi-pass laser system for multiple interactions of the H- beam with reflected laser light adjusted according to the H- and photon velocities. The seed laser energy can be significantly reduced, which would be almost inversely proportional number of interactions. At present are developing such a cavity with Nd:YAG laser for H- neutralization to H0, which will be first tested for 3 MeV H- beam at J-PARC RFQ test facility. The development status of the present laser system and details of experimental strategies are presented. |
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THPI042 p.846 | J-PARCリニアックにおける冷却水への微量金属混入の調査 Investigation of tiny metal contamination of water cooling system in J-PARC Linac ○菅沼 和明,廣木 文雄,伊藤 崇,山﨑 良雄(原子力機構 J-PARC) ○Kazuaki Suganuma, Fumio Hiroki, Takashi Ito, Yoshio Yamazaki (JAEA J-PARC) J-PARCリニアックの冷却水システムは、流量変動が発生し、安定運転の妨げになっていた。昨年度の日本加速器学会において、冷却水の汚濁が流量変動を引き起こす根本原因であることを突き止め、対策を実行し、流量変動の収束を宣言した。しかしながら、流量変動を引き起こす、汚濁発生源の低減は未解決である。本報告では、ここ数年続けてきた、冷却水の汚濁の調査を改めて整理し報告するとともに、今後の進め方について提案する。 |
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THPI043 p.849 | J-PARC MR遅い取り出しにおけるスピル構造の改善にむけたシミュレーションスタディ Simulation study for the improvements of spill structure of the slow extraction at J-PARC MR ○武藤 亮太郎,新垣 良次,木村 琢郎,小松 雄哉(高エ研),松村 秋彦(日本アドバンストテクノロジー),村杉 茂,岡村 勝也,白壁 義久,冨澤 正人,柳岡 栄一(高エ研) ○Ryotaro Muto, Yoshitsugu Arakaki, Takuro Kimura, Yusuke Komatsu (KEK), Akihiko Matsumura (NAT), Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka (KEK) J-PARC主リングでは、30GeV陽子の遅い取り出しビームをハドロン実験施設での素粒子原子核物理実験に供給している。2次粒子生成標的で生成された大量のK中間子を物理実験での高統計データ収集のために有効に活用するためには、取り出しビームの時間構造(スピル構造)が少ないことが重要である。J-PARC主リングの遅い取り出しでは、主に主電磁石電源の電流リップルに起因するチューン変動が取り出しビームの大きな時間構造を作り、これに対してスピル信号を用いたチューンのフィードバック制御、およびStripline Kickerを用いて横方向RFを周回ビームに加えることでスピル構造の平坦化を行っているが、スピル構造の平坦性を示すスピルduty factorは2019年4月の利用運転時で約50%にとどまっている。そこで、スピルフィードバック制御と横方向RF、また主電磁石電源の電流リップルの効果を取り入れた取り出しシミュレーションを作成し、スピル構造をさらに改善するためのフィードバック制御や横方向RFのパラメータについての検討を行った。本発表ではこの結果について報告する。 |
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THPI044 p.853 | J-PARC MR-RF陽極電源におけるインバータユニット故障増加に関する調査 Investigation into the Increase of the Inverter Unit Malfunction in J-PARC MR-RF Anode Power Supply ○古澤 将司,大森 千広,杉山 泰之,長谷川 豪志,原 圭吾,吉井 正人(KEK/J-PARC),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘,野村 昌弘(JAEA/J-PARC) ○Masashi Furusawa, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto, Masahiro Nomura (JAEA/J-PARC) J-PARC MRの加速空胴で陽子ビーム加速に使用する高周波電圧は、四極真空管増幅器からの電流供給により生成される。真空管プレートへの直流電力供給のために、MR-RF陽極電源ではインバータユニットを用いてDC600VからDC10kVへの昇圧が行われる。MRではビーム強度の増加を進行中であり、2018年にはNU施設へ500kW、HD施設へ51kWのビーム供給を達成した。ビーム強度上昇に伴い陽極電源インバータユニットの故障数も増加傾向にある。ユニット故障は、主に絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT) 、IGBTスイッチパルス用ゲート基板のうち片方または両方の破損により発生するが、この原因はビーム大強度化によるビームローディング補填量増大に伴った、陽極電源の電力供給量上昇だと考えられる。本稿では、今年度までのインバータユニット故障数の傾向、IGBT等故障部品に関する調査結果、インバータユニットの故障増加の対策として現在までに実施された作業の概要と実施状況について述べる。 |
加速器制御 (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH001 p.857 | SuperKEKB入射器におけるイベントシステム診断 The Diagnosis of Event Timing System in SuperKEKB Linac ○王 迪(総研大 加速器科学),佐藤 正則,古川 和朗(高エネルギー加速器研究機構),工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス),飯塚 祐一(東日本技術研究所) ○Di Wang (SOKENDAI Accelerator Science), Masanori Satoh, Kazuro Furukawa (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)), Takuya Kudou, Shiro Kusano (Mitsubishi Electric System & Service), Yuichi Iitsuka (East Japan Instititue of Technology) We introduced MRF event timing system in injector linac in SuperKEKB to satisfy our demands. The event timing system is utilized to distribute high level of precision timing signals and accompanying control instructions to synchronize different subsystems and machines. EVG generates beam pulse pattern every 20 ms which contains several event codes while EVR receives them. The minimal event time intervals are 50 us. To certain that events are consistent between EVG and EVR, we need to compare them one by one. Since EVR is deployed in the MVME5500 chassis but the CPU frequency (1G Hz) of MVME5500 is not fast enough to send every event by EPICS Chanel Access. An EVR based events diagnostic system is thus developed by modifying the device support of some records as well as EVR driver mrfioc2 to send the event codes by group thus comparing the received event codes with the beam-pattern control orders from beam operation and detecting the event timing fault as well as providing a logging system of persistent event data. Then, we are able to locate the fault, analyse the data, fix bugs or replace hardware and resume accelerator operation quickly. |
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FRPH002 p.861 | KEK電子陽電子入射器におけるArchiver Applianceの導入 Introduction of Archiver Appliance in KEK electron positron injector linac ○佐武 いつか,佐藤 政則(高エネルギー加速器研究機構),工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス株式会社),櫻井 雅哉(関東情報サービス株式会社) ○Itsuka Satake, Masanori Satoh (KEK), Takuya Kudou, Shiroh Kusano (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Masaya Sakurai (KIS) KEK電子陽電子入射器では、KEKB電子、陽電子、PF、PF-ARの異なる4つのリングに電子および陽電子ビームを供給している。入射器は、2018年度末からSuperKEKB計画のPhase-IIIに向けて、4リング同時入射実現や低エミッタンスビーム生成のための様々なアップグレードがなされてきた。 KEK入射器の制御システムは、分散制御システムであるEPICS を用いて構築されている。現在、入射器では約8万点のデータをアーカイブシステムで記録している。データ収集ソフトウェアは、EPICSシステムにおけるデータ蓄積の標準ツールになりつつあるCSS archiverで構築されている。アーカイブの対象となるPVの数とデータサイズは年々増加している。そこで、データ読み出しの高速化やディスク消費量の軽減が期待されるArchiver Applianceの導入を開始した。現在一部のデータに対して、CSS archiverとArchiver Applianceの両方でPVの記録を始めた。本発表では、KEK入射器におけるArchiver Applianceの導入とCSSアーカイバーからの移行状況について報告する。 |
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FRPH003 p.865 | RIBFにおけるシステム統合のためのガスストリッパー制御の更新 Update of Gas Stripper Control System for System Integration at RIBF 小山 亮(住重加速器サービス),○内山 暁仁,今尾 浩士,渡邉 環(理研仁科センター) Ryo Koyama (SHI Accelerator Service, Ltd.), ○Akito Uchiyama, Hiroshi Imao, Tamaki Watanabe (RIKEN Nishina Center) Helmholtz-Zentrum Berlinで開発された、LabVIEWとEPICSのインターフェースとなるCA LabをRIBF制御系へ導入し、安定運用に成功したので報告する。RIBF制御系は主にEPICSを用いた分散制御システムで構築されているが、ハードウェアへのインターフェースを低コストに導入できるという利点のためナショナルインスツルメンツ(NI)社のLabVIEWも使用されている。RIBFにおけるLabVIEWベースシステムはNIから提供されているEPICS I/O ServerによってCAクライアントとしても動作するものの、デバイスとソフトウェアから成る、いわゆる2層システムのため、他のEPICSベースシステムと相互にアクセスすることが難しい。上記を解決するため、今回ガスストリッパーの制御システムにおける中間層としてCA Lab SoftIOCを導入し、システムのアップデートを行った。アップデートされたシステムは、LabVIEWベースにもかかわらずEPICS IOCとして振る舞うため、クライアント制御プロトコルを統合的に扱うことができる。本システムは2018年10月のマシンタイムから実運用を開始して以降、トラブルは1度も起きていない。本稿ではCA Labの概要、運用事例、EPICS I/O Serverとの比較、及び今後の展望などを報告する。 |
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FRPH004 p.869 | 理研RILAC電磁石電源制御の更新 Upgrade of Electromagnet Power Supply Control for RIKEN RILAC ○内山 暁仁,込山 美咲,熊谷 桂子,池沢 英二,大西 純一(理研仁科センター),山内 啓資,田村 匡史(住重加速器サービス) ○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Eiji Ikezawa, Jun-ichi Ohnishi (RIKEN Nishina Center), Hiromoto Yamauchi, Masashi Tamura (SHI Accelerator Service, Ltd.) 理研RIBFの入射器の一つであるRILACでは従来、電磁石電源約140台の制御をCAMAC・GPIB・VMEベースのデバイスで運用していた。上記システムのうちGPIB通信を持つ電磁石電源制御は、Ethernet-GPIBコンバータを介してTCP/IPネットワーク上でLinuxベースのEPICS Input/Output Controllerと接続していたが、転送スピードが他に比べ著しく遅いという欠点があったため、電流値やステータスのスキャンに時間がかかり、加速器オペレーションのボトルネックになっていた。今年度秋の超伝導線形加速器運用に向け、上記問題点を排除すべく、GPIB通信を持つ電磁石電源制御を理研RIBFで多く用いられているNIOモジュールやProgrammable Logic Controller (PLC)にて置き換えアップデートすることとした。また、新規に運用される電磁石電源は横河電機FA-M3VシリーズのPLCでも制御される。本会議では、電磁石電源制御のアップデートの詳細と開発手法、運用コンセプトについて報告する。 |
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FRPH005 p.873 | SPring-8/SACLAスクリーンモニタ更新に向けたGigEカメラ制御システムの開発 Development of GigE Vision camera control for upgrading screen monitor of SPring-8/SACLA ○清道 明男(高輝度光科学研究センター),福井 達(理研) ○Akio Kiyomichi (JASRI), Toru Fukui (RIKEN) SPring-8 のアップグレード計画では、SACLA Linac をSPring-8ストレージリングの入射器としての使用を予定している。SACLAからのビーム輸送系は約600mで、最大繰り返し10Hzの入射を行う。そこにスクリーンモニタ約30台、BPM約30台、CT約10台の設置といったビーム輸送系モニタシステムのアップグレードを行う。 現在スクリーンモニタはCameraLink規格のCCDカメラで運用しているが、CameraLinkの伝送距離は10mであるため光変換による送受信装置が必要で高コストとなる。そこで、ギガビットイーサネットを通じて長距離伝送が可能となるGigE Vision規格のCCDカメラを導入することとした。以前、一部の装置でGigEカメラの導入実績があるが、開発環境がベンダー提供のSDKのみであったために専用のソフトウェアとなった。そのためカメラの選択筋が狭まるという問題点があったが、近年、汎用的なGigE Vision用のオープンソースライブラリが利用可能となった。そこでGigE Visionを含む GenICam (Generic Interface for Camera)規格用のオープンソースライブラリであるAravisを使用して、さまざまなベンダーに対応するカメラ制御ソフトウェアを開発した。本発表ではGigEカメラをSPring-8制御フレームワークへ組み込むにあたり、Aravisライブラリの機能や実装についての考慮、また今夏に導入予定のスクリーンモニタについて報告する。 |
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FRPH006 p.877 | J-PARCにおける人的保護システムの現状 Present status of personnel protection system at J-PARC ○菊澤 信宏(原子力機構 J-PARC),仁木 和昭,山本 昇(高エネ研),林 直樹(原子力機構 J-PARC),足立 昌俊,渡邉 和彦(三菱電機システムサービス株式会社) ○Nobuhiro Kikuzawa (JAEA J-PARC), Kazuaki Niki, Noboru Yamamoto (KEK J-PARC), Naoki Hayashi (JAEA J-PARC), Masatoshi Adachi, Kazuhiko Watanabe (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) J-PARCのインターロックシステムは、人的保護システム(PPS)および機器保護システム(MPS)に大別される。J-PARC加速器のPPSは2006年のLinacでの運用から始まり2008年のMR運転で完成した。その後の10年でビデオ監視システムの更新や新しいインターロックの新設などの改善や改良が行われてきた。本報告ではこれらを含めた最近の運用について述べるとともに、信頼性を維持・向上させるために実施している検査やメンテナンスについての現状を報告する。 |
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FRPH007 | デバイス・コンフィグレーション記法TXDBのSuperKEKB制御への応用 Application of the device configuration notation TXDB to the SuperKEKB control system ○中村 達郎(高エネ研) ○Tatsuro Nakamura (KEK) 一般に加速器制御システムでは、制御に必要な各種パラメータなどのデバイス・コンフィグレーション・データを管理する必要がある。例えば制御対象機器のインターフェースアドレス、定格値、換算係数や較正係数、運転上の制限値などである。これらのデータの管理方法としては、リレーショナルデータベースを構築して管理する方法があり、また一方では表計算ソフトで管理する方法もある。前者は厳密なデータ構造を作れるため、データから制御ソフトウェアへ展開するのに適しているが、システムの構築や構造の変更には手間が掛かり保守のコストが高い。後者は手軽に利用できて構築に手間もあまり掛からないが、自由度が高すぎるため、記述の揺らぎが生じやすく、一貫性の維持やデータ展開の安定性には注意が必要である。SuperKEKBの電磁石制御では、第三の方法としてTXDBと呼ぶ簡素な記法のテキストファイルで管理する方法を取り入れた。この記法は加速器制御システムへの応用を念頭に置いた設計になっており、データベースや表計算ソフトと比べると汎用性は劣るが、手軽に構築でき、可読性も優れている。制御ソフトウェアへの展開などのデータ処理はPythonで記述する方式となっている。SuperKEKBでは2000台を超える電磁石電源を制御しており、その応用を例にTXDBの概要を紹介する。 |
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FRPH008 p.881 | PF-AR 加速器における Archiver Appliance の導入 Deployment of Archiver Appliance at PF-AR accelerator ○中村 卓也(三菱電機システムサービス株式会社),帯名 崇(高エネルギー加速器研究機構) ○Takuya Nakamura (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd.), Takashi Obina (KEK) PF-AR 加速器では、加速器の運転データのアーカイブシステムとして、CSS Archiver を使用している。 2011年から CSS Archiver の運用を開始し、これまで運用を継続してきた。 しかしこの CSS Archiver には、長期間のアーカイブデータの取得に時間がかかったり、アーカイブデータの容量が肥大化するといった問題点があった。 これらの問題点に対処するため、新たなアーカイブシステムである Archiver Appliance を導入した。 本件では、PF-AR 加速器への Archiver Appliance の導入について報告する。 |
高周波源 (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH009 p.884 | ILC用導波管コンポーネント試験のためのLバンドレゾナントリング大電力運転 High power operation of L-band resonant ring for testing RF components for ILC ○DU BAITING(総合研究大学院大学),松本 利広,道園 真一郎,三浦 孝子,QIU FENG(高エネルギー加速器研究機構),LIU NA(総合研究大学院大学) ○Baiting Du (SOKENDAI), Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Takako Miura, Feng Qiu (KEK), Na Liu (SOKENDAI) In International Linear Collider (ILC), RF power is transmitted from 10 MW klystron to 39 cavities by Local power distribution system (LPDS). Compact LPDS and required RF components are designed to reduce finical cost and improve adjustable margin of power and phase. In order to test the power capacity of RF components, L-band resonant ring is constructed in super conducting test facility (STF) of KEK. Solid state amplified of 500 W is used as power source for low power test and it showed the power gain of resonant ring can reach 10 dB. For high power test, resonant ring is pressurized by SF6 of 2 atm and 800 kW klystron is used as power source. In case of high power operation, the 3-stub tuner replace the circulator in resonant ring to reduce the reflection in ring. Power gain can reach 9 dB in high power test. Test plan of RF components based on resonant ring is presented. |
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FRPH010 p.887 | KEK電子陽電子入射器における高周波源および導波管高周波窓の運転保守 Maintenance Activity of RF System and RF Windows in KEK Electron-Positron Linac ○馬場 昌夫,東福 知之,今井 康雄,熊野 宏樹,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス株式会社),明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,設楽 哲夫,竹中 たてる,中島 啓光,中尾 克巳,夏井 拓也,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,松下 英樹,三浦 孝子,道園 真一郎,矢野 喜治,Qiu Feng,松本 修二(高エネルギー加速器研究機構) ○Masao Baba, Tomoyuki Toufuku, Yasuo Imai, Hiroki Kumano, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Katsumi Nakao, Takuya Natsui, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano, Feng Qiu, Shuji Matsumoto (High Energy Accelerator Research Organization (KEK)) KEK電子陽電子入射器は、最大で7GeVの電子および4GeVの陽電子を生成・加速する能力を持つ線形加速器である。2018年度中は約5,300時間運転された。 この加速器は、現在、入射部とそれに続く59台のRFユニットから構成され、高周波源として総数60台の大電力Sバンドクライストロンが、また高電圧スイッチとして60台のサイラトロンが使用されている。 現在設置されているクライストロンの平均運転時間は約65,000時間である。2018年度にも集束電磁石からの水漏れなどのトラブルにより、6台が交換された。(このうち3台のクラストロン自体は健全なので別の電磁石と組み合わせて今後も使用する。)2018年度にはそれまで休止していたユニットを復元させたために 1台が追加され、使用総数が60台になった。 現在設置しているサイラトロンの平均運転時間は約34,000時間である。2018年度はキープアライブ電流低下などのトラブルにより4台が、また停止期間中に実施する重要ユニットの事前交換(定期的交換)により7台、計11台交換された。 クライストロンから加速管へ至るマイクロ波搬送路の途中に設置されている導波管高周波窓の平均運転時間は約84,000時間である。2013年長期メンテナンス後から2018年までの期間で真空漏れ等のトラブルによる高周波窓の交換は無かった。 本稿ではクライストロン,サイラトロン,導波管高周波窓に関する統計及び高周波源に関する不具合事例と運転保守について報告する。 |
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FRPH011 | クライストロン用パルスモジュレータの高安定化のための最新技術 The updated technologies for high stability technology of klystron modulators ○湯城 磨(スカンジノバ・システムズ株式会社) ○Osamu Yushiro (ScandiNova Systems K.K.) スカンジノバ・システムズの極めて高い安定度を実現したモジュレータの最新技術情報の情報を提供する。 |
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FRPH012 p.892 | 摩擦撹拌接合法によるSバンド導波管の組み立て Fabrication of waveguide by friction stir welding ○松本 修二,舟橋 義聖,惠郷 博文(高エネ研) ○Shuji Matsumoto, Yoshisato Funahashi, Hiroyasu Ego (KEK) KEK電子陽電子入射器は、最大で7GeVの電子および4GeVの陽電子を生成・加速する能力を持つ線形加速器である。電子ビームを加速する加速管は地下トンネル内に直線的に配置されている。ビーム加速に必要なマイクロ波は、地上部に置かれたクライストロンより発生させる。クライストロンと加速管との間は導波管から構成されるマイクロ波搬送路により結ばれている。KEK入射器で使用している標準的な導波管は、素管とよばれる規格化された矩形管と、その両端に気密構造を維持するためのフランジが取り付けられている。導波管はそれらの部品を電子ビーム溶接やろう付けによって最終形状に組み立てられている。今回新たに摩擦撹拌接合法により導波管の組み立てを行ってみた。接合部分は十分な機械的強度を有し、接合部からの真空もれは起こらなかった。また大電力マイクロ波の透過試験を行ないこの方法で組み立てた導波管はKEK入射器で性能上問題なく実用的に使用できることが分かった。 |
LLRF (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH013 p.895 | KEK-PF高度化に向けたデジタルLLRFシステムの調査 Investigation of the digital LLRF system for the KEK-PF upgrade ○内藤 大地,坂中 章悟,高橋 毅,山本 尚人(高エ研) ○Daichi Naito, Shogo Sakanaka, Takeshi Takahashi, Naoto Yamamoto (KEK) KEK Photon Factoryでは放射光リングの高度化/高性能化を検討している。 その際には以下3つの点でRFローレベル系のアップグレードが重要となる。 1点目はRFローレベル系のデジタル化である。現在のローレベル系はアナログモジュールで構成されており、交換品の入手が困難なものもある。そこでローレベル系をデジタル回路に置き換えることで今後10年以上運用できるシステムを構築する。2点目はRF出力位相及び振幅の安定化である。現在のシステムでは1〜3%の位相と振幅の変動が観測されており、ビームエネルギーの安定性を悪化させている。そこでRFローレベル系をデジタル化する事で位相/振幅補償を高度化し、ビーム安定性の改善を目指す。3点目は次世代光源で使われる技術の実証である。より高度なインスタビリティの抑制や過渡的なビームローディングの補償等を行えるシステムの実現を目指す。本講演では上記3点のうち1番目と2番目の要求を満たすシステム構成とデジタル回路中のADCやDACの分解能、サンプリング周波数等の基礎的な性能の検討を、 他施設のRFローレベル系の俯瞰を交えて報告する。 |
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FRPH014 p.900 | SuperKEKB 入射器のビーム誘起波測定 Measurement of beam-induced field for SuperKEKB injector linac ○片桐 広明,荒川 大,チュウ フェン,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,矢野 喜治(高エネ研) ○Hiroaki Katagiri, Dai Arakawa, Feng Qiu, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Yoshiharu Yano (KEK) KEK電子陽電子入射器では、RFモニタシステムを用いたビーム誘起波測定を行うためハードウェアの整備を進めている。ビーム加速中に大電力クライストロンを待機(STB)モードに設定することで、加速管透過波出力ポートではビームが誘起するRFパルスと大電力RFパルスとが約100μ秒の時間差を持ち分離された状態で観測される。このビーム誘起波の振幅と位相をRFモニタユニットで直接測定して、位相調整やビーム診断に活用することが目的である。誘起波を測定する際に大電力RFを停止せずSTBモードで投入し続けるのは、熱負荷を一定にして加速管の特性変化を抑えるためであるが、誘起波と大電力RFとのゲインの差が50~60dBと大きく、RFモニタユニットのダイナミックレンジを超えている。従来モニタユニットの入力部には大電力RFの測定に適した固定減衰器を挿入したいたが、高速でオン/オフ可能な減衰器に置き換え、ビーム測定タイミングでのみ減衰器をオフすることで誘起波の測定精度を高めることにした。ビーム誘起波測定用ハードウェアの整備状況と、これまでに得られた成果について報告する。 |
真空 (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH016 p.903 | SuperKEKBメインリングのコリメータの現状 Status report of collimator of SuperKEKB main ring ○照井 真司,石橋 拓弥,白井 満,末次 祐介(高エネ研),芳藤 直樹(東日技研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Mitsuru Shirai, Yusuke Suetsugu (KEK), Naoki Yoshifuji (e-JAPAN IT Co., Ltd.) SuperKEKBの目標ピークルミノシティはKEKBの約40倍の8×10^35 cm^-2 s^-1である。この目標を実現するためにSuperKEKBでは蓄積電流を2.6 A(電子リング)、3.6 A(陽電子リング)、また、約5 mm(電子リング)、約6 mm(陽電子リング)という短いバンチ長さでデザインしている。コリメータはビーム軌道近くのハローを削る装置で、素粒子検出器(Belle II)のバックグラウンドを低減するために使用される。また各加速器コンポーネントを周回ビームから防護する目的でも使用される。ここで使用されるコリメータの特徴は、大電流に耐えることができ、かつ、バンチ長が短いので低インピーダンスであること等が挙げられる。本年会では、フェーズ2運転時に損傷したコリメータヘッドの交換、フェーズ3運転前の新規コリメータインストール時のトラブル、運転中のトラブル等について報告する。 |
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FRPH017 p.907 | 無酸素Pd / Tiコーティングを利用したフィン型ICFゼロレングス非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプの開発 Development of fin-type ICF zero-length nonevaporable getter (NEG) pump using oxygen-free Pd/Ti coating ○佐藤 裕太(横国大),菊地 貴司(高エネ研),宮澤 徹也(総研大),大野 真也(横国大),間瀬 一彦(高エネ研) ○Yuta Sato (YNU), Takashi Kikuchi (KEK), Tetsuya Miyazawa (SOKENDAI), Shinya Ohno (YNU), Kazuhiko Mase (KEK) 非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプは、活性残留ガスに対する排気速度が大きい、オイルフリー、無騒音、無振動、小型、軽量、省エネルギーであるため、加速器で広く使用されている。しかしながら従来のNEGポンプには、1) 大気導入と活性化を繰返すと排気速度が低下する、 2) 活性化温度が比較的高い(ZrVFe合金の場合は450℃、TiZrV膜の場合は180~200℃)、3) 専用の電源が必要、4) SAES gettersが市場をほぼ独占していて高価、といった課題がある。そこで我々は、新しいNEG材料である無酸素Pd/Ti薄膜を使用した新しいフィン型ICF203ゼロレングスNEGポンプを開発し、オリフィス法による排気速度測定を行った。150℃で12、6、3、1.5時間活性化を行った後のH2に対する初期排気速度は、それぞれ2350、2240、2080、1950 L/s、150℃で12、6、3、1.5時間の活性化を行った後のCOに対する初期排気速度は、それぞれ1560、1560、1560、1560 L/sであった。本NEGポンプの利点は、1) 大気導入と活性化を繰返しても排気速度が低下しない、2) 150℃、6〜1.5時間の条件で活性化して、H2、COを排気する、3) 専用の電源と電流導入が不要で国内生産できるので低価格(2019年3月市販開始)、 4)コンパクトかつ軽量、の4点である。 |
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FRPH018 p.911 | SuperKEKB真空システムのためのSiC吸収体の開発 Development of SiC absorbers for the SuperKEKB vacuum system ○照井 真司,石橋 拓弥,榎本 瞬,渡邉 謙,竹内 保直,白井 満(高エネ研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Shun Enomoto, Ken Watanabe, Yasunao Takeuchi, Mitsuru Shirai (KEK) SuperKEKBでは、バンチ長が約6㎜と短く、かつ、バンチ電荷が10 nC以上と大きい。その結果、リングに設置された様々な真空機器では、通過するバンチによって高次高周波(Higher Order Modes, HOM)が励起されやすい。特に衝突点付近のチェンバーは特殊な形状をとる必要があり、他の機器に比べて強いHOMが励起され、真空バーストや近傍の真空機器の発熱、ビーム不安定性等を誘発する可能性がある。SuperKEKBでは各種真空機器で発生するHOMへの対策がこれまでになく重要な課題となっている。対策としては、機器をHOMが発生し難い構造にすることはもちろんであるが、機器の近傍にHOMを吸収する装置を設置するのも有効である。我々は、フェーズ2運転期間に真空バーストが頻繁に起きていたルミノシティモニター用チェンバー付近で使用することを想定して、SuperKEKBのRF空洞区間で実績があり、ガス放出率が非常に低いことで知られるSiCを用いたチェンバーの設計を現在行っている。本件では、インピーダンスが低いチェンバーの設計方針と計算結果、SiCと銅のろう付けの試験として、ハイパワー耐久テスト・引張テストを行った結果等を報告する。 |
加速器応用・産業利用 (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH019 p.916 | レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射の検討Ⅱ Direct injection of laser-accelerated ions into a superconducting synchrotron II ○野田 悦夫,白井 敏之,岩田 佳之,水島 康太,野田 章,野田 耕司(量研機構),藤本 哲也(加速器のエンジニアリング) ○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Akira Noda, Koji Noda (QST), Tetsuya Fujimoto (AEC) 現在、量研機構で進められている量子メスプロジェクトの開発テーマの一つに、超伝導技術とレーザー加速を用いた重粒子線がん治療装置の小型化が挙げられており、その一環として、レーザー加速イオンのシンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディをすすめている。前回、プラズマ生成点からシンクロトロンまでのBeam Transport、および、超伝導シンクロトロンに入射した後のビーム軌道を計算し、最終的な入射粒子数を調べた。4 MeV/u±6% の加速イオンを位相回転により約1/10にエネルギー圧縮した後、ビーム成形してシンクロトロンに入射した結果、1照射あたり、2×10^8個のイオンが入射可能で、垂直方向のエミッタンスが治療に使える値となるのは1×10^8個であることを報告した。今回、Beam Transportとパルス圧縮以降のレーザー装置とビーム発生チャンバーをシンクロトロンの内側に設置することを想定して、Beam Transportの検討を行った。シンクロトロンの内側の空間を5m×5m、レーザーとチャンバーの設置面積を1.5m×5mとすると、Beam Transportの使える空間は3.5m×5m以下となる。設置面積がこれ以下となるようにBeam Transportの設計を行い、最終的にシンクロトロンに入射できた粒子数を計算した。さらに、空間電荷、イオンエネルギー広がり、レーザーによる生成粒子のバラツキ等が、入射粒子数に与える影響についても検討を行った。 |
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FRPH020 p.921 | ヒルとバレーのある弱収束型加速器の光学設計 Optical design of a weak-focusing accelerator with hills and valleys ○堀 知新,青木 孝道,羽江 隆光,関 孝義((株)日立製作所) ○Chishin Hori, Takamichi Aoki, Takamitsu Hae, Takayoshi Seki (Hitachi, Ltd.) 近年、陽子線治療システム用加速器の小型化が進展している。我々も、超電導磁石で主磁場を増強して小型化した、軌道偏心加速器を提案している。主磁場の増強によって加速器は小型化できるが、一方で、ビーム取り出しのためにセプタム電磁石に要求される磁場も大きくなる。本研究では、セプタム電磁石の仕様緩和に向けて、AVFサイクロトロンのように、ヒルとバレーによって磁場を構成することを考えた。我々が提案している新概念の加速器では、主磁場は弱収束磁場となっている。通常、弱収束磁場はビーム周回方向に一定の磁場分布だが、ヒルとバレーの磁場にしてバレーからビームを取り出すことで、セプタム電磁石に要求される磁場が低減できる。本発表では、ヒルが5T、バレーが4.3Tの弱収束磁場で、ビーム軌道が偏心した加速器の光学設計例を示す。設計磁場下でのビーム安定性は、ビームトラッキングでも確認している。 |
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FRPH021 | 加速器駆動小型中性子源RANS-IIの開発および立ち上げ状況 Development of accelerator-driven compact neutron source RANS-II ○小林 知洋,池田 翔太,大竹 淑恵,池田 裕二郎(理研),林崎 規託(東工大) ○Tomohiro Kobayahi, Shota Ikeda, Yoshie Otake, Yujiro Ikeda (RIKEN), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech.) 稼働中の理研小型中性子源システムRANS(7MeV陽子線+Beターゲット)にて得た知見をもとに、移動可能なサイズ・重量を視野に入れた中性子源RANS-II(2.49MeV陽子線+Liターゲット)の開発を行ってきた。今春RANS実験ホール内にRANS-II専用シェルターが完成し、加速器本体の移設が完了した。現在、HEBTおよびLiターゲットステーションの構築を行っている。パルスマイクロ波ECRイオン源とRFQとを連結して低duty加速試験を行っており、約3mA(最大パルス高)の加速ビームを得ている。定格の3%duty運転に移行した場合約100uAの陽子電流が得られ、毎秒約1E11個の中性子が得られる見通しである。発生中性子のエネルギーはコンクリート構造物の診断に適した400-700 keVとなるよう設計されている。また、RANSと比較した場合RANS-IIでは中性子発生方向が前方主体となるため、遮蔽体重量を1/10程度まで軽量化することが出来た。 |
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FRPH022 p.924 | サイクロトロンを用いたLLFP核変換用中性子源の概念設計 Conceptual design of a neutron source for LLFP transmutation using a cyclotron ○武田 佳次朗,福田 光宏,土岐 博,関 亮一(大阪大RCNP),篠塚 勉(東北大CYLIC),依田 哲彦,神田 浩樹,中尾 政夫,原 周平,Koay Hui Wen,森田 泰之,原 隆文,大本 恭平(大阪大RCNP) ○Keijiro Takeda, Mitsuhiro Fukuda, Hiroshi Toki, Ryoichi Seki (RCNP, osaka univ.), Tsutomu Shinoduka (CYLIC, tohoku univ.), Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Masao Nakao, Shuhei Hara, Wen Koay Hui, Yasuyuki Morita, Takafumi Hara, Kyohei Omoto (RCNP, osaka univ.) サイクロトロンから取り出した100MeV/uの重陽子を、LLFP核種Cs-135を含む液体Cs標的に照射して発生する核破砕中性子を用いたLLFP核変換用中性子源を設計している。1年間に六ケ所村の再処理工場で処理される使用済核燃料800トンから生成されるLLFPの再処理速度以上のスピードで核変換をしていくためには、合計で1A以上の重陽子ビームを供給できる加速器が必要になる。我々は、強度30mAのサイクロトロンを35台並列運転させてビーム強度の合計を1Aとすることを考えている。標的に用いる液体Csには高レベル放射性廃棄物から取り出されたLLFPのCs-135(半減期230万年)と半減期30年のCs-137を含むため、重陽子との直接反応によりCs-135の核変換処理ができる反面、放射能の増大に伴う大きな崩壊熱が問題になる。本発表では、ビーム照射による発熱・崩壊熱を考慮した熱解析により液体Cs標的の冷却能力の妥当性と核変換中性子源設計の現状について報告する。 |
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FRPH023 p.929 | 日大PXR線源を用いたイメージング実験の現状 Current status of imaging experiments using LEBRA PXR source ○早川 恭史,早川 建,野上 杏子,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA) ○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U. ) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)ではパラメトリックX線放射(PXR)を放射源とするエネルギー可変単色X線源を運用し、ユーザ利用実験にX線ビームを供給しており、X線イメージングが主な応用となっている。2018年度はクライストロンのトラブルと交換により、半年程度、電子リニアックの稼働が困難となり、結果としてPXR線源の利用実験の時間数も例年に比べて大幅に減少してしまった。そのような状況ではあったが、PXR線源の特徴を生かした応用である回折強調イメージング(DEI)や、その派生技術である同時K吸収端差分(KES)法を用いた応用実験をいくつか実施することができた。PXR線源とそのビームラインの現状、および導入済みの測定機器を用いて実施可能なX線イメージング実験について報告する。 |
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FRPH024 p.934 | パルス大強度相対論的電子ビーム利用のためのビーム特性の計測 Measurement of Beam Characteristics for Application of Pulsed Intense Relativistic Electron Beam 佐竹 勇人,中野 竜也,高橋 一匡,佐々木 徹,○菊池 崇志(長岡技科大),今田 剛(新潟工科大,長岡技科大) Hayato Satake, Tatsuya Nakano, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, ○Takashi Kikuchi (NUT), Go Imada (NIIT, NUT) 水環境では医薬品の流出による水質汚染や人為的に他海域から移動してきた外来種による生態系の影響等が問題となっている.パルス大強度相対論的電子ビーム(PIREB)を用いた処理方法を検討しているが,PIREBの特性が明確ではないため,被照射体の最適な寸法や位置を決定することが難しい.本研究では,PIREBの照射特性として,三次元線量分布や運動エネルギー,発散角を計測するシステムの構築を目的とした.三次元線量分布の計測系の構築では,CTAフィルム線量計とLEGO®ブロックを用いて,ビーム進行方向に線量分布を計測できるシステムを構築した.長岡技科大・極限エネルギー密度工学研究センターに設置されているPIREB発生装置”ETIGO-III”から発生するPIREBについて計測した結果,PIREBは大気に取り出された直後の照射パターンは円環状であるが,輸送距離が長くなるにつれて照射パターンがくずれ広がることが確認できた.次に,ピンホールによって切り出したPIREBをCTAフィルム線量計で計測し,線量分布より発散角を測定した.また,電子ビームの軌道計算を行い,実験結果と同様にピンホールによって切り出されたPIREBのみディテクタへと到達することを確認した.最後に,ピンホールによって切り出したPIREBを磁場で偏向させ,運動エネエルギーを計測した.線量分布より,400 keV以上のPIREBが全体の90 %以上であることを明らかにした. |
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FRPH025 p.937 | 実用99Mo/99mTc製造用35MeV/35kW小型Sバンド電子ライナックγ線源の設計 Design of practical 35MeV/35kW S-band electron linac gamma-ray source for 99Mo/99mTc production ○尾関 政文,上坂 充,ジャン ジェウン(東大),山本 昌志(アキュセラ) ○Masafumi Ozeki, Mitsuru Uesaka, Jaewoong Jang (Univ. of Tokyo), Masashi Yamamoto (Accuthera Inc.) 東京大学工学系研究科は、(株)アキュセラと共同で、実用99Mo/99mTc製造用35MeV、35kW小型Sバンド電子ライナックγ線源の設計を行った。ビームトラッキングシミュレーションには(r, θ, z) の円筒座標で計算を進めていく3種類のコードを用いた。電磁場計算にSUPERFISH, Poissonを用い、そこから得られる電磁場の情報からGPTでビームトラッキング計算を行った。本設計では東芝のE37307型のクライストロンを用いる。このクライストロンは5MW出力だが7.5MWまで想定して計算した。本設計で用いる加速管は3mの2/3モード進行波型加速管とする。クライストロン2台で加速管2本の体系とした。ビームローディング評価も行った。シミュレーションの結果、電子エネルギー35 MeV、最高出力は50 kW程度になった。クライストロン1台あたり5.5MWを出力すれば十分に35kW/35MeVを達成できた。100Moターゲット設計、99Moの生成・抽出含め、システム全体を最適化した。最新の結果を報告する。 |
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FRPH026 p.942 | α線治療のためのHeイオンビームDNA照射分析の基礎研究 Fundamental research on DNA irradiation analysis with He ion microbeam for α-ray therapy ○酒井 雅哉(東京大学),池田 時浩(理化学研究所),柴田 淳史(群馬大学),竹本 健人,上坂 充(東京大学) ○Masaya Sakai (Univ. of Tokyo), Tokihiro Ikeda (RIKEN), Atsushi Shibata (Gunma Univ.), Kento Takemoto, Mitsuru Uesaka (Univ. of Tokyo) がんの治療法の一つに放射線療法があり、粒子線治療は、生体内で光子線と比較して正常組織への被曝を最小限に抑え、ガンの病巣部にピンポイントで照射できるというメリットがある。しかし、その一方で、重粒子線の生体影響はいまだ解明されていないことも多い。本研究では、RIα線治療を念頭におき、ペレトロン加速器を用いた He2+ガラスキャピラリーマイクロビーム照射にて、DNA損傷の可視化実験を実施する。マイクロビームを核内で線状にスキャンして、マクロ的な DNA 損傷分布の違いを作り、さらには、XRCC1 の分布の時間変化を観察する。放射線によりDNA損傷された個々の細胞に対する正確なLETとDNA損傷量やDNA修復の対比、さらにはその後の細胞運命決定の考察を行う。 |
加速器土木 (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH027 p.946 | J-PARCリニアックにおけるビームラインアライメントの状況 Status of beamline alignment in J-PARC linac ○森下 卓俊,伊藤 崇,小栗 英知(原子力機構) ○Takatoshi Morishita, Takashi Itou, Hidetomo Oguri (JAEA) J-PARCリニアックは2006年に精密アライメントを終え、ビーム運転を開始した。機器アライメント状態の悪化はビーム損失の要因になりうることから、その後も精密測量、建家変動の常時モニタリングを継続している。建設直後に発生する初期の建家変形は竣工後数年で収束したものの、2011年の地震以降は局所的な建家変動が顕著になったため、定期的な再アライメントにより整列精度を確保している。リニアック全域の精密アライメントはコスト、期間の問題もあるため頻繁には実施できない。したがって、夏期メンテナンス時に実施する精密測量や、水管傾斜計による床変動のモニタリングに基づいて変動の大きな個所を特定し、作業エリアを絞って修正アライメントを実施している。本発表では、長期的な床変動計測結果とともに、機器の精密測量結果と修正アライメントの状況について報告する。 |
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FRPH028 p.950 | ILC施設への道路交通振動の影響検討および河川の揺動による振動の調査計画 Investigation of influence of road traffic vibration on ILC facilities and investigation plan of vibration by fluctuation of river. ○小林 真人,兼松 亮,川端 康夫(飛島建設(株)),佐貫 智行,京谷 孝史,吉岡 正和(東北大学) ○Masahito Kobayashi, Kiyoshi Kanematsu, Yasuo Kawabata (Tobishima Corporation), Tomoyuki Sanuki, Takashi Kyoya, Masakazu Yoshioka (Tohoku University) ILC計画で検討されているルートには土被り20m弱で道路や河川の直下を通過する区間がある。これらの区間においては道路交通振動や河川流下の揺動による振動の加速器設備へ与える影響を評価しておく必要がある。筆者らは,国道343号(大原バイパス)と砂鉄川が隣接する地点における道路路盤上の道路交通振動を実測し,実測値から逆算した自動車走行時の加振力を点加振源として与えたFEM解析によって,道路交通振動の地盤深さ方向への伝搬特性を検討した。また,ILC計画ルートと砂鉄川が交差する地点において,地盤内に振動計を埋設して河川の揺動による振動を計測し,河川流下による振動の特徴や伝搬特性を把握することを目的とした実測調査を計画している。本報ではこれらの概要について報告する。 |
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FRPH029 p.954 | 最終収束ビームライン(ATF2)における重量物撤去と再アライメント Realignment of the final focus line ○阿部 優樹(総合研究大学院大学),照沼 信浩,荒木 栄(高エネルギー加速器研究機構) ○Yuki Abe (SOKENDAI), Nobuhiro Terunuma, Sakae Araki (KEK) KEKの先端加速器試験施設(ATF)では国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術の開発を進めている。現在、最終収束系の試験ビームライン(ATF2)において、ビーム安定性を向上するためのビーム位置制御技術の開発が行われている。極小ビームを実現する上で精密アライメントは重要である。ATF2のアライメント残差は、最終収束系のビーム調整に影響を与える。ATF2の電磁石はムーバを使用してビームベースアライメント(BBA)で最終位置調整を行うため、設置時のアライメント目標はσHorizontal < 90 µm、σVertical < 60 µmとしている。2018年9月、ATFダンピングリングビーム取り出し部とATF2の間に置かれていた重さ約63 tの鉄の遮蔽体を撤去した。遮蔽体はビームラインから約2 mの所に設置されており、撤去後の影響を確認するために位置測定を行った。その結果、遮蔽体設置近辺のビームラインが垂直方向に最大500 µm浮き上がっている事を確認した。その影響を最小限に留めるため、周辺部のビームラインがなだらかになるように再アライメントした。重量物撤去によるビームラインの変化と季節変動は落ち着くまでに時間がかかる。そこで、本年5月に再び位置測定を行い、その変化の様子を確認した。本論では、重量物撤去によるビームラインへの影響と再アライメントの経緯を報告する。 |
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FRPH030 p.958 | 電磁石架台のモーター制御2 Motor controlof magnet support frame 2 ○牛本 信二(三菱電機システムサービス株式会社),榎本 嘉範,佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構) ○Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Yoshinori Enomoto, Shinya Sasaki (KEK) KEK 電子陽電子入射器で新たに導入した電磁石架台は垂直方向に4台、水平方向に2台のスクリュージャッキを備え、5軸可動機構を有する。各スクリュージャッキに連結したステッピングモータの制御をおこなうことで、架台の遠隔操作が可能である。ステッピングモータの制御は様々なメーカーからコントローラーが販売されており、これらを組み合わせることでも制御は可能である。しかし、全個所(13ユニット)に設置することを考慮すると、非常にコスト高となる。また。汎用コントローラーでは電子陽電子入射器の制御システムのベースとなるEPICS環境整備が必要となる。 これらの点を考慮して、汎用マイコンとステッピングモータドライバを用いた制御コントローラーの開発をおこなった。 このコントローラは Rasberry Pi B+ と Arduino Mega 2560 を搭載している。Rasberry Pi は EPICS IOC とモータドライバとの SPI 通信、Arduino とのシリアル通信等をおこなう。一方 arduino は豊富な IO を有する為、架台の可動リミットスイッチやモータドライバからのステータス接点信号の入力に使用する。モータドライバは秋月電子製 L6470 を使用し、2相バイポーラステッピングモータの制御をおこなう。 架台には各軸に位置モニタ用のミツトヨ製のデジマチックインジケータを設置し、可動量をモニタしながらステッピングモータを制御することで、10μm以下の精度で架台の調整を実現した。 |
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FRPH031 p.962 | SuperKEKB電磁石の運転と冷却水のpHとの関係 Correlation between the pH of the SuperKEKB MR magnet water system and the magnet operation status ○大澤 康伸,植木 竜一,増澤 美佳(高エネ研) ○Yasunobu Ohsawa, Ryuichi Ueki, Mika Masuzawa (KEK) SuperKEKB加速器は周長約3 kmのKEKBトンネルに、電子リングと陽電子リングの2つのリングを並べたダブルリング・コライダーである。両リングで使われる水冷式電磁石はKEKBからSuperKEKBへのアップグレードで約1750 台に増え、それに伴い電磁石用冷却水ポンプシステムも4基から8基へ増強された。 KEKBでは、2003年に大穂、日光、筑波エリアのポンプメンテナンス時に油が混入した事を発端にそれ以降流量低下が続出してしまった。また、2006年には冷却水システムのストレーナーに酸化銅の粉末が堆積する現象が見られるようになった。 SuperKEKB加速器となった現在でも、富士エリアを除いたすべてのエリアで不純物の堆積が見られ、その多くは酸化銅の粉末である。 不純物の堆積は冷却水流量の低下を引き起こし加速器の運転を妨げるだけでなく、冷却能力の低下による電磁石の破損も引き起こす可能性があるため、原因の特定が急務である。 無酸素銅コイル内を流れる冷却水のpHは銅の腐食レートを決める重要なパラメータの一つであるため、使用している純水のpHを月に1度採取し測定した。その結果、電磁石の運転に伴ってpHが変化することが分かり、特に運転中は酸性よりを示すことがわかった。 本発表では、2017年10月からの8エリアの冷却水のpH変動と加速器の運転の関係について報告する。 |
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FRPH033 p.967 | フッ化水素エリアモニターの開発 The development of a HF area monitor device ○柳岡 栄一,新垣 良次(KEK) ○Eiichi Yanaoka, Yoshitsugu Arakaki (KEK) J-PARC主リングでは、30GeV陽子の遅い取出しビームをハドロン実験施設へに供給している。静電セプタムは、遅い取出しをするための高電圧機器で、電極とチャンバー間の絶縁と給電のケープルの中継器絶縁の為にフロリナートを使用している。フロリナートは、放射線があたるとフッ化水素が発生する可能性がある。フロリナートは密封されおり、かつフィルターによってフッ化水素は除去されてる。しかし人の防護の観点から、静電セプタム付近にフッ化水素の検出器を備えつける必要がある。検出器は、放射線環境では使用できない。そこで、静電セプタム付近の空気をブロワ―で引いて検出器まで通すことを想定し、フッ化水素検出の試験を行った。 |
電磁石と電源 (8月2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FRPH034 p.970 | KEK電子陽電子線形加速器24度ビーム合流ラインのパルス偏向電磁石の設計 Design of the pulsed dipole magnet for KEK electron/positron injector linac 24-degree beam merger line ○紙谷 琢哉,飯田 直子,惠郷 博文,榎本 嘉範,柿原 和久,佐藤 政則,諏訪田 剛,清宮 裕史,田中 窓香,峠 暢一,夏井 拓也,肥後 壽泰,古川 和朗,横山 和枝,吉田 光宏(高エネルギー加速器研究機構) ○Takuya Kamitani, Naoko Iida, Hiroyasu Ego, Yoshinori Enomoto, Kazuhisa Kakihara, Masanori Satoh, Tsuyoshi Suwada, Yuji Seimiya, Madoka Tanaka, Nobukazu Toge, Takuya Natsui, Toshiyasu Higo, Kazuro Furukawa, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida (KEK) KEKの電子陽電子線形加速器では2つあるビーム入射部(低エミッタンスビーム用RF電子銃と大電流ビーム用熱電子銃)を使い分けている。これら2つは2階建て構造になっていて、2階部分の熱電子銃から来るビームは24度の斜めビームラインを通ってメインビームラインに合流する。この合流ラインにはパルス偏向電磁石が用いられパルス毎の入射部切り替えを実現しているが、この電磁石のコイルおよび真空チェンバーでの発熱問題に対する評価が十分でなかったため、現状では最大ビームパルス繰り返しに対応した50Hzではこのパルス電磁石を運転することができず、2階部分からのビームについては25Hz以下での入射に制約されている。この問題に対処するために改良型のパルス偏向電磁石の設計を進めている。この電磁石に関する磁場分布の評価と磁極形状設計、および発熱評価と冷却設計について報告する。 |
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FRPH035 p.975 | 永久磁石を用いた偏向磁石の精密磁場測定と温度補償システムの開発 Precise magnetic field measurement of permanent dipole model magnet and development of temperature compensation system ○堀 遥輝(名大工),真野 篤志,保坂 将人,石田 孝司,郭 磊,高嶋 圭史(名大SRセンター),加藤 政博(広島大学) ○Haruki Hori (Nagoya Univ.), Atsushi Mano, Masahito Hosaka, Takashi Ishida, Guo Lei, Yoshifumi Takashima (SR Center,Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (Hiroshima Univ.) 我々は、あいちSR蓄積リングへの導入を目指して永久磁石を用いた偏向磁石の開発を行っている。永久磁石を用いることで、省電力によるランニングコストの削減に加えて、電源や冷却系等付帯設備が簡素になり、メンテナンスコスト削減などの利点が見込まれる。先行研究において我々はネオジム磁石を用いた実機の1/5スケール永久磁石型偏向磁石試作機を製作した。ネオジム磁石は非常に良好な磁気特性を有するが、一方温度依存性が大きいという特徴がある。そこで温度補償が必要であり、この試作機を用いて温度依存性の補償の研究を行った。まず、永久磁石型偏向磁石試作機の精密磁場測定を行い磁場強度の温度依存性を調べ、さらに補償コイルを用いたフィードバック制御システムの開発を行った。本発表では、温度依存性補償コイルシステムの開発とその性能評価について報告する。 |
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FRPH036 p.979 | 高精度低雑音オフセットアンプの開発 Development of Low Noise and Low Drift Offset Amplifier. ○中澤 伸侯(スプリングエイトサービス株式会社),近藤 力(理研 放射光科学研究センター理研 放射光科学研究センター/高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏(理研 放射光科学研究センター),寺田 達矢(ツジ電子株式会社) ○Nakazawa Shingo (SPring-8 Service Co., Ltd.), Kondo Chikara (RIKEN SPring-8 Center/JASRI), Inagaki Takahiro (RIKEN SPring-8 Center), Terada Tatsuya (TSUJI ELECTRONICS CO.,LTD.) SACLAでは、クライストロンモジュレータ電源やキッカー電磁石電源等、パル ス駆動の電源が用いられている。これらの電源にはXFELの強度安定化のため、数十ppm以下の高い出力安定度が求められる。その安定度を評価するには、数Vの電圧振幅のパルスの一部を、数10μVのレンジで測定する必要がある。しかし、一般的なオシロスコープやデジタルメーターでは、オフセット範囲やサンプリング速度に制限があり、このようなパルス波形の一部をppmオーダーの高精度で測定する事は困難である。従来、市販の差動増幅器を組み合わせて測定を行ってきたが、高精度の電圧オフセット機能と低雑音の増幅器を備えた物は存在せず、都度、測定器と増幅器の組み替え、調整を行う必要があり、多大な時間と技能を要していた。そこで各種パルス駆動電源の測定を、迅速かつ容易に行うことを目的とし、低雑音の差動増幅回路および、高精度の電圧オフセット機能を備えたオフセットアンプの開発を行った。今回開発したオフセットアンプは、電源部の低ノイズ化および、制御部に非同期ロジック回路を用いる等の対策を行い、入力換算ノイズレベル50μVp-p(0-10kHz)以下、高安定度の基準電圧源とDACの採用により、安定度5ppm/Kを達成している。本発表ではオフセットアンプの開発状況と性能評価に加え、これを実現するための電源回路技術および低雑音回路技術について議論する。 |
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FRPH037 p.983 | SuperKEKB加速器Phase-2&3ビーム運転におけるQCSの冷却システム Cryogenic System of the SuperKEKB Final Focusing SC Magnets (QCS) in the Phase-2&3 Commissioning ○宗 占国,大内 徳人,山岡 広,川井 正徳,有本 靖,王 旭東,青木 香苗,植木 竜一,近藤 良也,土屋 清澄(KEK),遠藤 友成(Hitachi) ○Zhanguo Zong, Norihito Ohuchi, Hiroshi Yamaoka, Masanori Kawai, Yasushi Arimoto, Xudong Wang, Kanae Aoki, Ryuichi Ueki, Yoshinari Kondou, Kiyosumi Tsuchiya (KEK), Tomonari Endou (Hitachi) SuperKEKB加速器は、2018年3月19日から7月19日までの4ケ月間(Phase-2)・2019年3月11日から3ケ月間(Phase-3)のコミッショニングが行われた。Phase-2・3では、Belle II測定器と最終集束用超伝導電磁石システム(QCS)が設置されている。QCS超伝導電磁石システムでは、加速器のPhase-2・3ビーム運転にかけて、加速器の要素として連続運転を行った。2基のQCS冷却システムは、加速器停止の間、メンテナンス・改良作業及び性能試験を行った。本発表では、QCS冷却システムの性能改善と加速器のPhase-2・3ビーム運転での冷却システムの運転経験について報告する。 |
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FRPH038 p.987 | SuperKEKB Phase-2・3ビーム運転での最終集束用超伝導電磁石のクエンチについて Quenches of the superconducting magnets in the SuperKEKB phase-2 and -3 beam operations ○大内 徳人,王 旭東,有本 靖,植木 竜一,川井 正徳,山岡 広,土屋 清澄,中村 衆,大木 俊征,青木 香苗(高エネ研) ○Norihito Ohuchi, Xudong Wang, Yasushi Arimoto, Ryuichi Ueki, Masanori Kawai, Hiroshi Yamaoka, Kiyosumi Tsuchiya, Shu Nakamura, Toshiyuki Oki, Kanae Aoki (KEK) 電子・陽電子ビーム衝突型加速器(SuperKEKB)のビームを最終形状に絞り込む超伝導電磁石システムは、2018年3月のPhase-2運転からビーム衝突点に導入されビーム衝突に貢献している。Phase-2運転では、このシステムをSuperKEKBに導入した最初の運転であったことから、超伝導電磁石は27回のクエンチを経験した。Phase-3ビーム運転では、前期運転の経験を踏まえ、2019年3月~5月までの運転に於いて超伝導電磁石のクエンチは発生していない。今回の報告では、Phase-2でのクエンチの発生原因について述べ、Phase-3に行われた運転上の対策等を発表する。 |
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FRPH039 | 表面磁荷法の特徴を持つ磁気モーメント法:ELF/MAGIC Magnetic Moment Method with the Idea of Magnetic Surface Charge Method ○菅原 賢悟(近畿大),矢野 博幸(株式会社エルフ) ○Kengo Sugahara (Kindai University), Hiroyuki Yano (ELF Corp) RADIAに代表される磁気モーメント法(Magnetic Moment Method)は,実装の単純さや計算量の「軽さ」の点からよく知られている方法である.近年,永久磁石の性能や品質の向上に伴い,これまで電磁石が用いられてきた粒子加速器用の磁石に,永久磁石が用いられる場合が増加しており,その設計にはRADIAが使われる文献も多数みられる.磁気モーメント法は,有限要素法で必要とされる空気メッシュが不要なことや,磁性体領域を比較的粗いメッシュで扱うことが可能であるといったメリットを持ち,荷電粒子の軌跡を計算する際に空間メッシュがなく,任意の空間点で精度よく電場・磁場が計算できる利点がある.しかし,RADIAの開発元であるESRFのサイトにも記載があるように,磁気モーメント法を用いる場合には,磁性体のメッシュを磁路に沿わせるようにメッシュを切る必要があり,メッシングを注意深く行わないと解析精度が得られないという問題が知られている.本発表では,磁気モーメント法に,表面磁荷法の考え方を取り込んだELF/MAGICを紹介する.ELF/MAGICは,磁気モーメント法と同等の「軽さ」を持ちながら,上述のメッシングの問題はなく,解析精度に対するメッシュ構造依存性が少ないという特徴を持つ.いくつかの数値計算実験例を通じて,本手法は比較的粗いメッシュでも高精度な解析結果が得られることを示した. |
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FRPH040 | 打切特異値分解法を用いた永久磁石の内部磁化推定 Non-Destructive Magnetization Distribution Evaluation with Truncated Singular Value Decomposition ○菅原 賢悟,伊藤 彰洋(近畿大) ○Kengo Sugahara, Akihiro Ito (Kindai University) 近年、永久磁石の性能や品質の向上に伴い、これまで電磁石が用いられてきた粒子加速器用の磁石に永久磁石が用いられる機会が増加している。ところが、永久磁石は必ずしも理想的に着磁されているとは限らず、磁化が一様に分布していない可能性がある。そのため、永久磁石の磁化を非破壊で容易に推定する手法を発表する。この手法には磁気モーメント法に表面磁荷法の考え方を取り入れた電磁場解析ソフトウェアであるELF/MAGICを用いている。このソフトウェアにTSVD法(打ち切り特異値分解法)を組み込むことによって、磁場の測定データから磁化を推定した。TSVD法を適用することにより、磁化推定の際に測定誤差の大きな高次モードを打ち切り、測定データの不完全性を取り除くことができる。我々は測定用に改造した3Dプリンタと磁気位置センサを用いてネオマグ株式会社製のフェライト磁石近傍の磁場を測定し、この手法で磁化分布の推定を行った。その結果、磁化の不均一性は磁石の表面に分布しており、内部は比較的均一に着磁されている。なお、この磁石は、磁場発生に永久磁石を用いる小型かつ運用コストの安い卓上NMR装置に使用しているものである。 |
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FRPH041 p.990 | 磁気抵抗センサーを用いた磁場マッピング測定システムの研究 Study of Magnetic Field Mapping Measurement system using Magneto-Resistance Sensors ○植木 竜一,大澤 康伸,川本 崇,土屋 清澄,増澤 美佳(KEK) ○Ryuichi Ueki, Yasunobu Ohsawa, Takashi Kawamoto, Kiyosumi Tsuchiya, Mika Masuzawa (KEK) KEKでは残留磁場の測定に代表される磁場分布測定に、フラックスゲートと呼ばれる磁場測定器を使用してきた。フラックスゲートは高精度の測定に適している一方で、非常に高価でセンサーが数センチの大きさを有するため、ミリ単位の空間分解能を必要とする磁場分布測定には適さない。 そこで、市販の磁気抵抗効果(Magneto-Resistive:MR)センサーを用いた磁場マッピングシステムの開発を行っている。MRセンサーは安価で数ミリほどの大きさであるため、複数のMRセンサーを高密度に配置した測定装置を用意することで、空間分解能の高い磁場分布測定が期待できる。しかし、個々のセンサーの磁場感度のばらつきが大きく、外部磁場に対するキャリブレーションが必要である。そこでMRセンサー用キャリブレーション装置を構築し、センサーのキャリブレーションを行った。また、周囲環境(常温、低温環境下など)によって磁場感度が変化するため、各環境におけるMRセンサーの磁場感度特性の評価を行った。ここではこれらの詳細を発表する。 |
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FRPH042 | SuperKEKB電磁石電源の運用状況 Status of the magnet power supplies for SuperKEKB on Phase2 & 3 ○中村 衆,大木 俊征(高エネ研) ○Shu Nakamura, Toshiyuki Oki (KEK) SuperKEKB加速器は2018年3月よりPhase2として、BelleII測定器とビーム最終集束用超伝導電磁石システムを導入した電子・陽電子衝突調整を開始し、4月26日に初めての衝突を観測した。その後、7月までの運転で、衝突ビームのコミッショニングを行い、ナノビーム衝突方式の検証を進めた。また検出器のバックグラウンド測定と評価も並行して行った。Phase2運転の終了後、BelleII測定器に崩壊点検出器(VXD)をインストールする作業を行うための長期シャットダウン中に、電磁石電源に対してPhase2において発生した問題の対処と安定度を向上させる改修作業を行った。その後、Phase3が2019年3月より開始され、6月末まで運転を行った。本発表では、Phase2とPhase3の運転中に発生した電磁石電源のトラブルとその対処、および追加した補正電磁石について報告する。 |
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FRPH043 p.994 | 650V IGBTを用いた低圧大電流水冷電源ユニットの評価試験 Evaluation of low-voltage, large-current and water-cooled Power Unit using 650V IGBT ○渡辺 泰広(日本原子力研究開発機構) ○Yasuhiro Watanabe (JAEA) 大容量高精度電源への適用を目的として、低圧大電流電源水冷ユニットの開発を行っている。これは、ダイオード整流回路と直流リンクコンデンサ及びチョッパ回路を1つのユニットに一体化したものであり、パワーデバイスを水冷銅板で冷却することにより、19インチラックの2Uサイズに小型化している。 本論文では、電源ユニットのスイッチング試験及び発熱試験について報告する。 |
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FRPH044 p.998 | 1.3MWビーム出力に向けたJ-PARC主リング入射キッカー電磁石の数値シミュレーション Numerical simulation of injection kicker magnet of J-PARC main ring toward 1.3MW operation ○杉本 拓也(高エネ研) ○Takuya Sugimoto (KEK) J-PARCの30GeVメインリングには、上流の3GeV RCSから取出された陽子ビームをメインリングに入射するために、4台の集中定数型キッカー電磁石が設置されている。反射パルスを抑制するために、コイルにはインピーダンス整合用の抵抗器(15並列、合成抵抗 9.3Ω)ならびにコンデンサが接続されている。ビームがキッカーのアパーチャーを通過すると、コイルに電流が誘導されるため、整合用抵抗器に電流が流れ、ジュール熱により抵抗器が発熱する。抵抗器の温度上昇は、パルス通電とビーム誘導電流によるジュール熱、抵抗器の並列数、表面積、冷却による熱伝達係数、繰り返し周期とパルス幅から求められるデューティー比に依存する。2018年までの連続運転中に実施した抵抗器温度の測定結果から、1.3MW(陽子数3.34x10^14個、繰り返し周期1.16秒)のビーム運転により、抵抗器温度が350℃(パルス通電による250℃とビーム電流による100℃)上昇すると見積もった。抵抗器の最大定格温度150℃以下で安定に運転するためには、抵抗器の並列数と表面積、冷却効率を改善する必要がある。数値計算により、空冷ファンによる強制対流に加えて、抵抗器の内部にセラミックの丸棒を挿入することで、抵抗器の温度を下げる事が可能であることがわかった。本発表では、CSTを用いた抵抗器の数値シミュレーションの詳細について報告する。 |
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FRPH045 p.1003 | 中性子照射によるフェライト永久磁石の放射線耐性の測定 Measurement of radiation resistivity of ferrite permanent magnets irradiated by neutrons ○八子 丈生,岩下 芳久,阿部 賢(京大化研),栗原 俊一,福田 将史,佐藤 将春,杉村 高志(高エネ研),不破 康裕(原研),高宮 幸一,飯沼 勇人(京大複合研) ○Tomoki Yako, Yoshihisa Iwashita, Masashi Abe (Kyoto ICR), Toshikazu Kurihara, Masahumi Fukuda, Masaharu Sato, Takashi Sugimura (KEK), Yasuhiro Fuwa (JAEA), Koichi Takamiya, Yuto Iinuma (KURNS) 永久磁石はビーム光学素子の素材として用いられているが、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石では放射線減磁が起こることが知られている。しかし強度が弱いながらも安価な、フェライト磁石の放射線減磁については十分な情報が無い。フェライト磁石のビーム光学素子素材としての適合性を検証するために、京大複合研原子炉 (KUR) でフェライト磁石の中性子照射による放射線減磁実験を行った。本発表では、これまでに行った実験の方法と結果および今後の実験に向けた課題などについて報告する。 |
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FRPH046 p.1006 | SuperKEKB-ダンピングリング ビームベースドアライメントシステムの構築と測定 Construction and measurement of SuperKEKB-Damping Ring beam-based alignment system ○植田 猛,杉本 寛(高エネルギー加速器研究機構) ○Takeshi Ueda, Hiroshi Sugimoto (KEK) KEKつくばキャンパスにあるSuperKEKB電子陽電子衝突型加速器には低エミッタンス陽電子入射を実現するため、ダンピングリングがある。ダンピングリングには84台の四極電磁石があり、そのうちアーク部の四極電磁石56台には補助巻き線が取り付けられている。この補助巻き線を利用してビームベースドアライメントシステムの構築をSuperKEKB-Phase2からPhase3へ向けてのメンテナンス期間に行った。ビームベースドアライメントシステムを利用すれば四極電磁石の磁場中心と近傍Beam Position Monitor(BPM)の中心との差を知ることができ、ビームの振る舞いを把握するうえで役に立つ。本発表では構築したビームベースドアライメントシステムとPhase3での一部測定結果について報告する。 |
加速構造 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI001 p.1010 | 超伝導加速器における入力カップラーの銅鍍金に関する研究 Research on copper plating for power coupler in superconducting accelerator ○山本 康史,道園 真一郎,加古 永治(高エネルギー加速器研究機構),田口 純志,沖井 優一,望田 靖裕(株式会社 野村鍍金) ○Yasuchika Yamamoto, Shinichiro Michizono, Eiji Kako (High Energy Accelerator Research Organization), Junji Taguchi, Yuichi Okii, Yasuhiro Mochida (Nomura Plating Co., Ltd.) 超伝導加速器の入力カップラーは通常、SUS316Lの下地に20μm程度の厚みをもった銅鍍金を施して用いられる。4Kまたはそれ以下の低温環境下では常温に比べて抵抗値が1桁以上下がるため、電気伝導度と熱伝導度のバランスが重要になる。その評価指標としてResidual Resistivity Ratio(RRR)があり、高エネルギー加速器研究機構(KEK)では小型クライオスタットを用いた測定システムで複数の銅鍍金サンプルに対し、40回以上のRRR測定を行ってきた。本講演では、入力カップラーの銅鍍金に関するこれまでの研究結果について報告する。 |
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FRPI002 p.1015 | 高周波窓に用いられるセラミックに関する研究 Research on ceramic for RF window ○山本 康史,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構) ○Yasuchika Yamamoto, Shinichiro Michizono (High Energy Accelerator Research Organization) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)では数年前から高周波窓に用いられるセラミックに関する調査・研究が行われてきた。重要な評価指標としては、二次電子放出係数、比誘電率、誘電正接、表面抵抗率、体積抵抗率、である。二次電子放出係数については走査型電子顕微鏡にビームブランカーを取り付けてパルスビームを用いた測定を行っている。セラミックの製造会社5社から8種類のサンプルを入手し、またそれらに窒化チタンコーティングや酸化クロムコーティングを施し、二次電子の振る舞いを比較した。本発表では、セラミックの二次電子放出係数の測定方法および最新結果に加えて、比誘電率、誘電正接、表面抵抗率、体積抵抗率の測定結果のまとめを発表する。 |
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FRPI003 p.1020 | IFMIF/EVEDA原型加速器超伝導加速器クライオモジュール組立てのための環境整備と現状 Preparation and current status of SRF cryomodule assembly on the IFMIF Prototype Accelerator ○蛯沢 貴,前原 直,近藤 恵太郎,春日井 敦(量研),加古 永治,阪井 寛,梅森 健成(KEK),バザン ニコラ,ベリー ステファン(CEA),フィリップス ガイ(F4E) ○Takashi Ebisawa, Sunao Maebra, Keitaro Kondo, Atsushi Kasugai (QST), Eiji Kako, Hiroshi Sakai, Kensei Umemori (KEK), Nicolas Bazin, Stephane Berry (CEA), Guy Philips (F4E) 核融合エネルギー分野における日本と欧州による共同事業の一つとして始まった強力中性子源である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA) では、IFMIFの工学設計・主要機器の製作・試験が実施されている。この活動の一環として、原型加速器(LIPAc)の建設がQST六ヶ所核融合研究所で進行中である。LIPAcを構成するコンポーネントの一つである超伝導高周波加速器(SRF)は、125 mAの重水素ビームを5 MeVから9 MeVまで加速する設計となっている。SRFクライオモジュールの組立ては当初欧州で行われる予定だったが、輸送による機器損傷のリスクを避けるため、六ヶ所で組立てられることになった。そこで、クライオモジュールの組立てに必要な作業環境の整備がQSTの責任のもと行われ、2019年3月からF4Eの責任のもと組立作業が始まり、2019年度内の完了を目標としている。環境整備として、クライオモジュール組立てに必要なクリーンルーム(ISO 14644-1 class 5)の導入、またスロー排気システムや高純度ガス設備等の構築を行った。本発表では環境整備作業や各設備の詳細、組立作業の現状及び今後の予定について発表する。 |
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FRPI004 p.1025 | ERL用超伝導加速空洞のHOMダンパーの開発 Development of HOM absorbers for cw superconducting cavities in energy recovery linac ○太田 智子,高崎 正浩,仲村 晋一郎,宮本 篤,佐藤 潔和(東芝エネルギーシステムズ(株)),許斐 太郎,梅森 健成,阪井 寛志,加古 永治(高エネ研) ○Tomoko Ota, Masahiro Takasaki, Shinichiro Nakamura, Atsushi Miyamoto, Kiyokazu Sato (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation), Taro Konomi, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Eiji Kako (KEK) 東芝は2015年度より高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究を開始し、ERL(エネルギー回収型ライナック)用超伝導加速空洞のHOM(High Order Modes)ダンパーの開発に着手した。これまでに、内面に溝を設けたCu円筒と窒化アルミ系セラミックス(AlN)円筒をろう付した構成のプロトタイプを試作し、冷却試験を実施した。この結果、HOMの減衰は確認できたが、AlN円筒に多数のクラックが生じた。AlN円筒にクラックが生じないよう別の構成でCuとAlN円筒をろう付し、新たなプロトタイプを試作した。このHOMダンパープロトタイプについて除熱試験等の性能測定を実施したので、その結果について報告する。 |
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FRPI005 p.1029 | Parametric Study for Uniform Electropolishing of 1.3 GHz Nine-Cell Niobium Cavity with Dual Acid Flow Mechanism ○Vijay Chouhan, Yoshiaki Ida, Keisuke Nii, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizng Co Ltd, Japan), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Takayuki Saeki, Hideaki Monjushiro, Motoaki Sawabe (High Energy Accelerator Research Organization, Japan), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University, Japan), Hayato Ito (Sokendai, Japan) The interior surface of a niobium superconducting RF (SRF) accelerating cavity is treated with either horizontal electropolishing (HEP) or vertical electropolishing (VEP) methods, where the cavity is set in the horizontal and vertical positions in the HEP and VEP, respectively. A major challenge in the VEP is non-uniform material removal and surface roughness owing to the accumulation of hydrogen gas bubbles, generated on the cathode surface in the EP process, on the cavity surface. The presence of bubbles on the surface impairs the viscous layer of the electrolyte and enhances EP rate locally. The bubble accumulation was significantly reduced by applying a novel method in which the acid was flown separately in a unique cathode housing and cavity. The effect of this dual flow was observed and EP parameters were studied by monitoring EP currents of the coupons fixed at the different positions of a test nine-cell coupon cavity. The removal asymmetry was reduced with the dual flow process and other optimized parameters. A 1.3 GHz nine-cell SRF cavity processed under the same conditions showed a good SRF performance at a temperature of 2 K. |
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FRPI006 | RANSⅢ用500 MHzRFQ線形加速器の高周波特性試験 RF measurements of 500 MHz-RFQ linac for compact neutron source RANSⅢ ○池田 翔太,小林 知洋,大竹 淑恵(理研),林崎 規託(東工大) ○Shota Ikeda, Tomohiro Kobayashi, Yoshie Otake (RIKEN), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo tech) 理化学研究所は、中性子線計測技術の金属材料や軽元素を扱うもの作り現場への普及や、中性子線を用いた大型構造物のインフラ予防保全手法の導入に向け、理研小型中性子源RANS(7 MeV陽子線形加速器+ベリリウムターゲット)が2013年に稼働され、中性子回折計の開発やイメージングの定量評価法の開発により、毎秒10^12 個の少ない中性子発生量においても「定量評価分析をおこなえる技術開発」を世界に先駆けて成功した。 現在は、更にコンパクトで現場利用を目指した小型中性子源としてRANSⅡやRANSⅢの開発をおこなっており、特にRANSⅢでは、車載による可搬利用を想定していることから、加速器システムの小型・軽量化が期待される、3体構造500MHzRFQ線形加速器の開発をしている。 4ベイン型RFQ線形加速器の共振周波数は空洞内径と反比例の関係であることを活かして、RANSⅡ用RFQ線形加速器より2.5倍の 周波数である500 MHzにすることで、空洞断面積が半分程度まで小さくなり、加速空洞の重量も約1/3程度まで軽量化されている。 3体構造500MHzRFQ線形加速器は、これまでに加速空洞の設計・製作を完了している。本発表ではベクトル・ネットワーク・アナライザーにより測定した加速空洞の低レベル高周波特性試験の結果について報告する。 |
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FRPI007 p.1034 | 誘電体アシスト型加速空洞における航跡場の減衰について Wakefield damping in the dielectric assist accelerating structure ○森 紳悟,吉田 光宏(KEK),佐藤 大輔(AIST) ○Shingo Mori, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Daisuke Satoh (AIST) The dielectric-assist accelerating (DAA) structure is a dielectric-inserted Normal-conducting cavity, which provides high Q value at room temperature. This cavity has potential to apply for a long-pulse and high-duty accelerator which can provide high average current. In the high current accelerator, the wakefield from the transverse beam offset Causes the emittance growth. We consider several options to dump the wakefield by modifying a radius of the beam hole and introducing a microwave absorber in the choke structure. We also discuss the emittance growth in the several candidate of the designs by estimating two kinds of applications of the DAA cavity to the linac and the microtron. |
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FRPI008 p.1038 | 物性研究のための負ミュオン減速器 Negative-Muon Decelerator for Material Science ○大森 千広,下村 浩一郎,大谷 将司,河村 成肇(KEK/J-PARC),高柳 智弘(JAEA/J-PARC) ○Chihiro Ohmori, Koichiro Shimomura, Masashi Otani, Naritoshi Kawamura (KEK/J-PARC), Tomohiro Takayanagi (JAEA/J-PARC) J-PARCの実験施設MLFではミュオンビームを用いて物性研究はじめ多彩な研究が行われている。特に正のミュオンを用いたミュオンスピン回転、μSR、は磁性や超伝導の研究などの幅広い用途に使われている。このJ-PARCミュオン施設の特徴の一つは世界最高強度の負のパルスミュオンビームである。水素化合物の中の水素の挙動を見るため、世界で初めて負ミュオンを用いたμSR実験が昨年行われた。正ミュオンが物質内を移動することができるのに対し、負ミュオンは重い原子核の周りにトラップされた状態で付近の水素の核磁場を感じることができる。こうした負ミュオンを用いた物性研究は今後更に発展していくことが予想される。より広範な用途に負のミュオンを活用する際に、研究するサンプルが薄い場合にはよりエネルギーの低いミュオンビームが必要となる。しかしながら、現状の負ミュオンビームは飛行中にパイオンから崩壊した粒子であるためエネルギーは数100keV以上あり、薄いサンプルに適した数10keVの粒子を得ることはできない。また負ミュオンは原子核に捕獲されやすいことから、物質を用いて減速できない。ミュオンは短寿命であり効率的な減速が必要になる。このため我々はパルス電源と誘導セルを組み合わせたミュオン減速器の検討をおこなった。本発表では負ミュオン減速装置の概念設計について報告する。 |
ビームダイナミクス (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI010 p.1042 | PFリングにおけるstatic Robinson instabilityのスタディ Study on the static Robinson instability at the PF storage ring ○山口 孝明(総研大 加速器科学専攻),坂中 章悟,山本 尚人(KEK) ○Takaaki Yamaguchi (Department of Accelerator Science, Sokendai), Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto (KEK) 蓄積リングでは、大ビーム電流時にコヒーレントなシンクロトロン振動が不安定になるstatic Robinson instability が知られている。ビームエミッタンスとして100 pm-rad級を目指す次世代放射光源では、シンクロトロン振動数が低くビーム負荷が高いため、static Robinson instabilityが重要になる。この現象への理解を深めるため、PFリングでのマシンスタディを2019年5月に行う予定である。予定しているマシンスタディは、PFリングにおける加速電圧を通常運転時の1.7 MVより低い約1 MVに設定し、ビーム負荷の効果が顕著に表れる条件で行う。この条件で、コヒーレントなシンクロトロン振動のビーム電流依存性を測定すると共に、大ビーム電流で static Robinson instabilityが発生するかを調べる予定である。本発表では、上記のデータがうまく取得できた場合に、これらのデータを理論的な計算値と比較し、議論を行う予定である。 |
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FRPI011 | 誘導加速マイクロトロンに於ける空間電荷効果制限 Space-Charge Effects in the Induction Microtron ○タウフィク(国立大学法人 総合研究大学院大学(総研大)),安達 利一,高山 健(高エネルギー加速器研究機構) ○Taufik Taufik (SOKENDAI), Toshikazu Adachi, Ken Takayama (KEK) Space-charge effects resulting in beam loss or emittance degradation are known to determine the space-charge limit in any circular accelerators. Beam-core evolution equation approach that can describe a long term evolution of the beam core under the space-charge effects in a few seconds has been developed. The characteristic of the beam core evolution strongly affected by the space-charge effects is presented on a Poincare map of the beam core phase-space (σ,σ'). The beam core evolution equation approach was justified by macroparticle tracking simulation. The beam-core instability has been theoretically identified as the perio-doubling bifurcation of the elliptical point in the beam core phase-space (σ,σ'), which corresponds to the matched beam envelope. Set-on of this instability determines the beam current threshold. The threshold of C_60^(+10) beam current with emittance of 0.01 mrad in the induction microtron is obtained at 225 µA. |
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FRPI012 p.1047 | Beam Dynamic Study of Compact Superconducting Skeleton Cyclotron for BNCT and Radioisotope Production ○Hui Wen Koay, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita (RCNP) This work presents a preliminary study on the beam dynamics of a compact superconducting skeleton cyclotron for Boron Neutron Capture Therapy (BNCT) and radioisotope production. This work adopted an air-core structure to avoid any residual magnetisation from the hysteresis loop of an iron yoke. This leads to a higher reproducibility of magnetic field in a shorter time, which is very favourable for a hospital environment. The proposed design is a compact K-80 cyclotron with a small extraction radius of 40 cm for a 50 MeV H+ and 40 MeV D+ beam. It includes a series of combination of circular high-temperature superconducting coil (HTSC), acting as the main coil and trim coils, as well as 3 sector coils with a maximum spiral angle of 40o. In this work, the configuration of these coils is optimized to generate an isochronous field with adequate focusing force. On top of this, the corresponding equilibrium orbits for H+ particle, and some important beam properties such as the phase excursion, betatron oscillation and beam focusing capability are also included in order to evaluate the feasibility of the generated magnetic field distribution. |
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FRPI013 | 小型実用シンクロトロンの研究 Study on a compact synchrotron for practical applications ○川﨑 黎(東工大院),林崎 規託(東工大研究院) ○Rei Kawasaki (Tokyo Tech), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech) 次世代以降の粒子線がん治療やミュオン発生などの実用化に適した小型シンクロトロンについて,ビーム軌道計算や磁場解析をもとに検討を進めており,その途中経過について報告する。 |
光源加速器 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI014 | cERLにおけるCDRテラヘルツビームラインの製作 Construction of terahertz beam line utilizing coherent diffraction radiation at cERL ○本田 洋介,高井 良太,島田 美帆,宮島 司,帯名 崇,山本 尚人,内山 隆司,加藤 龍好,アリシェフ アレクサンダー(高エ研) ○Yosuke Honda, Ryota Takai, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Naoto Yamamoto, Takashi Uchiyama, Ryukou Kato, Alexander Aryshev (KEK) ERLは低エミッタンスで短バンチのビームを大電流で運転できる特長があり、 大平均強度のテラヘルツ光源として利用できると期待される。 コヒーレント回折放射(CDR)は、非破壊的で大電流運転と両立でき、 また、ラジアル偏光の特性をもついわゆるベクトルビームとしての性質があり、 特徴的な光源となり得る。 cERLの周回部直線部に標的を導入し、テラヘルツ帯域のCDRを発生し、 それを加速器シールドの外に予定される実験室まで輸送するビームラインを製作した。 |
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FRPI015 p.1052 | コンプトン散乱ガンマ線の自動エネルギー可変計測のためのニュースバル加速器運転自動化 Automatic operation of NewSUBARU ring for automatic energy variable measurement of Compton scattered gamma rays ○橋本 智,宮本 修治(兵庫県立大 高度研),皆川 康幸,鍛治本 和幸(高輝度センター) ○Satoshi Hashimoto, Shuji Miyamoto (LASTI, Univ. of Hyogo), Yasuyuki Minagawa, Kazuyuki Kajimoto (JASRI) 兵庫県立大ニュースバル放射光施設はレーザーコンプトン散乱による準単色・エネルギー可変・高指向性のガンマ線ビームラインBL01を有する。蓄積リング型のコンプトンガンマ線源では蓄積電子ビームエネルギーを変えることでガンマ線ビームのエネルギーを連続的に可変でき、ガンマ線エネルギー依存性を測定する際には大きな利点となる。ガンマ線利用に応じてニュースバルの電子ビームエネルギーを小刻みに変えながらビーム調整を行う必要があるが、従来この操作の一部は人による監視と手動操作が必要であった。そのため誤操作や調整不足により生じるビーム損失を低減し、光源の安定化を図ることは大きな課題であった。本研究では高性能PCを導入し、加速器の自動加減速運転とガンマ線の自動計測を実現する制御プログラムを開発した。本プログラムは既存の加速器制御システムと連携し、新たに多種多様な計測・制御系を連動させる。これにより、(1)最適な設定パラメータの自動生成や機器連携の最適化により電子ビームの損失を低減し、加減速運転の安定化・自動化・高速化、(2)計測開始ボタンを押すだけでガンマ線エネルギー依存性計測を完了できるガンマ線計測自動化が可能になった。本研究の結果、ガンマ線利用研究において課題であったエネルギー加減速の安定性の問題は解決し、光源性能の向上が実現できた。 |
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FRPI016 p.1055 | あいちSR電子蓄積リングにおける共鳴線の観測 Observation of resonance lines in Aichi-SR electron storage ring ○中尾 海斗(名大工),保坂 将人(名大SRセンター),木村 圭吾(名大工),石田 孝司,真野 篤志,郭 磊,高嶋 圭史(名大SRセンター),加藤 政博(広島大学),大熊 春夫(大阪大学) ○Kaito Nakao (Nagoya Univ.), Masahito Hosaka (SR Center Nagoya Univ.), Keigo Kimura (Nagoya Univ.), Takashi Ishida, Atsushi Mano, Lei Guo, Yoshifumi Takashima (SR Center Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (Hiroshima Univ.), Haruo Ohkuma (Osaka Univ.) 加速器の安定な運転を実現するためには危険な共鳴線を避けた適切なベータトロン振動数を選ぶ必要がある.あいちシンクロトロン光センター(以下,あいちSR)の1.2 GeV電子蓄積リングは稼働以来,安定に稼働しているものの,動作点付近での共鳴線について,これまでに詳細な調査が行われていなかった.そこで現状のあいちSRでの動作点付近における各共鳴線のビームへの影響を調査した.4極電磁石の電流値を変化させることでベータトロン振動数を変え,シンクロトロン光を結像することで得られた電子ビームのビームサイズの変化を測定した.実験の結果,2次,3次の共鳴線は電子ビームに対して大きな影響を与えており,特に現状の動作点は2次の和共鳴の影響を受けて,水平・垂直両方向のビームサイズが増大していることが確認された.一方で,4次共鳴はビームサイズに有意な影響を与えないことが分かった.今後はアンジュレータを動作させた際の各共鳴線の影響の変化や,人為的にスキュー6極電磁石を入れたときの4次共鳴の影響を調査する予定である.学会では最新の実験結果について報告する. |
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FRPI017 p.1059 | あいちSRにおけるAPPLE-Ⅱ型アンジュレータ運転中の不安定性の解析 Study of beam instability caused by vertical polarization mode of APPLE-II undulator in AichiSR ○木村 圭吾(名大工),保坂 将人,石田 孝司,真野 篤志,郭 磊,高嶋 圭史(名大SRセンター),加藤 政博(分子研UVSOR),大熊 春夫(大阪大学) ○Keigo Kimura (Grad. Sch. of Eng. Nagoya Univ.), Masahito Hosaka, Takashi Ishida, Atsushi Mano, Guo Lei, Yoshifumi Takashima (SR Center Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR IMS), Haruo Ohkuma (Osaka Univ.) APPLE-Ⅱ型アンジュレータは比較的単純な磁気回路でありながら様々な偏光の準単色光を生成できることから多くの放射光施設で導入されている。このアンジュレータはあいちシンクロトロン光センターにも導入されているが、縦偏光モードで運転した場合、アンジュレータギャップが35mm以下になると蓄積リングの電子ビームに水平方向のバンチ結合型不安定性が励起され、最終的に電子ビームが失われる現象が観測されている。スペクトラムアナライザを用いたモード解析によってこの不安定性の直接的な原因はRF加速空洞の高次モードに起因する可能性が高いことが明らかになった。我々は、不安定性の励起よりもむしろ減衰にアンジュレータの影響がある可能性を考え、電子ビームの振動の減衰の様子を調べる実験を行った。その結果、アンジュレータギャップを縮めることで生じる多極磁場がランダウ減衰に影響を与えていることが示された。そこで、マルチワイヤーあるいは多極電磁石を用いることでアンジュレータの影響を打ち消し、不安定性の出現を抑制することを検討している。 本発表では研究の最新の状況を報告する。 |
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FRPI018 p.1064 | cERL自由電子レーザー用アンジュレータの開発 Development of the tandem undulators for the cERL-FEL ○土屋 公央,阿達 正浩,塩屋 達郎,江口 柊,加藤 龍好(KEK加速器) ○Kimichika Tsuchiya, Masahiro Adachi, Tatsuro Shioya, Shu Eguchi, Ryukou Kato (Accelerator Laboratory, KEK) 現在、高エネルギー加速器研究機構のエネルギー回収型ライナック(cERL)においては新たに赤外波長域の自由電子レーザーの開発が計画されている。この計画では、各種樹脂材料の加工に有用な光源となる中赤外波長領域(波長10~20 μm )の波長可変な高出力レーザー光源を開発する事を目標とする。電子ビームエネルギーが17.5MeVであるcERLにおいて、この波長領域の放射光を発生させるために周期長24mm、長さ3mのアンジュレータを2台タンデムに配置して使用する予定である。このアンジュレータは、最小ギャップが10mmと狭いもののアウトバキューム型を採用している。また波長変更のためには、通常行われる磁石列間のギャップ調整ではなく、上側磁石列を長手方向にスライドさせてるadjustable phase undulator (APU)として使用する。このアンジュレータの開発に当たって重要な課題のひとつにアンジュレータ内部の電子ビームの輸送が挙げられる。cERLの電子ビームエネルギーは17.5MeVと低いために、アンジュレータの各極で生じる積分磁場の微小な誤差が積み重なることで電子軌道を大きく曲げてしまう。これは真空チャンバーの内径が8mmと狭い垂直方向に関しては重要な問題となる。本発表では、cERL自由電子レーザー用アンジュレータの開発の現状とその磁場調整方法に関する取り組みについて報告する。 |
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FRPI019 p.1066 | PF-ARにおけるトップアップ運転 Top-up operation at the PF-AR ○長橋 進也(高エネ研) ○Shinya Nagahashi (KEK) X線領域の放射光源用電子ストレージリングであるPhoton Factory Advanced Ring(PF-AR)では、2.5~3.0GeVの電子ビームを入射し、6.5GeVまで加速してから放射光利用実験を行っていたが、2017年に直接入射路が完成したことにより、フル・エネルギー入射が可能となった。これを受け、PF-ARでは、トップアップ運転へ向けた整備を進めてきた。2017年4月には全真空封止アンジュレータのギャップを最小まで閉じた状態で入射を試み、同年夏の停止期間中にはインターロックの改修や制御ソフトウェアの改修を行った。同年12月には全ビームラインへ光を導いた状態(MBS開)で放射線量測定を実施し、問題ないことを確認した。これ以降は、MBS開のまま継ぎ足し入射を行っており、2018年11月には、トップアップ入射により蓄積電流値を一定に保ったままユーザー運転を行うことに成功した。蓄積電流値の安定度は、55mAに対して±0.1mA程度を実現している。 |
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FRPI020 p.1070 | 産研THz-FELにおけるEO計測の周波数解析 Frequency analysis for the EO sampling measurement of THz-FEL at ISIR ○川瀬 啓悟(QST),誉田 義英,磯山 悟朗(阪大産研) ○Keigo Kawase (QST), Yoshihide Honda, Goro Isoyama (ISIR, Osaka Univ.) 大阪大学産業科学研究所のテラヘルツ自由電子レーザー(THz-FEL)の時間構造を計測するのために、加速器高周波と同期したチタンサファイアレーザーを用いた電気光学(EO)サンプリング計測を実施している。これまでのところ、EOサンプリング信号にはショットごとの変動が見られているが、パルストレイン内の変動には特定の変動周期が現れている。この物理的要因を究明するために、様々な動作条件でのEO計測信号に対して周波数解析を実施している。本発表では、この研究に関する概要と現状を報告する。 |
電子加速器 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI021 | Impact of the transverse and longitudinal distributions of the photocathode excitation laser on the generation of THz Coherent Undulator Radiation at Kyoto University ○Siriwan Krainara, Shuya Chatani, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Uni.) A THz Coherent Undulator Radiation (THz-CUR) source at Institute of Advanced Energy, Kyoto University is driven by a photocathode RF gun which generates an electron beam with the fixed energy of 4.6 MeV and the bunch charge higher than 100 pC. An intense THz-CUR is produced by injecting a short electron bunch to an undulator. Due to the low beam energy and the high charge of the electron beam, the generated electron bunch can be easily deformed by the space charge effect. This effect causes the degradation of the electron beam quality, which results in the reduction of THz-CUR intensity. The manipulation of laser distribution is one of methods to mitigate the space charge effect which can be done by changing the laser transverse profile to truncated-Gaussian and enlarging the laser pulse width before exciting the cathode. In this study, the electron bunch length at different conditions of laser distribution was examined and compared with the General Particle Tracer (GPT) simulation. The impacts of the transverse and longitudinal distributions of the laser on electron beam qualities and also the properties of THz-CUR will be presented in this paper. |
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FRPI022 p.1074 | KEKのコンパクトERLでのビームコリメータと60 pC電子ビームに対するウェーク場評価 A wake fields evaluation for beam collimators and the 60 pC electron beam at the Compact ERL at KEK ○田中 織雅,中村 典雄,帯名 崇,谷本 育律,宮島 司,島田 美帆(高エネルギー加速器研究機構) ○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Takashi Obina, Yasunori Tanimoto, Tsukasa Miyajima, Miho Shimada (High Energy Accelerator Research Organization, KEK) 高強度荷電ビームがコリメータのロッドのような狭いアパーチャの場所を通過すると、望ましくないウェーク場が生成されてビームに悪い影響を与える可能性がある。KEKのCompact ERLでは、主にビームハローを取り除くために5つのビームコリメータ(1台は入射部、1台は合流部、3台は周回部)を使用している。このコリメータは、半径7 mmの銅製の円筒形の4本のロッドで構成されていて、ビームチェンバーの上下左右から独立して挿入することができる。これらのロッドにはテーパーはなく、ビームのバンチ長は通常数ps以下と短い。我々は2つのビームに対するコリメータの影響、即ちコリメータの形状と抵抗率に起因する横方向ウェーク場によるビームのエミッタンス増加と縦方向ウェーク場によるビームのエネルギー損失を調べた。コリメータの縦・横方向のウェーク場はCSTシミュレーションによって評価した。ここでは、評価した縦・横方向の各ウェーク場とそれらによるビームへの影響について報告する。 |
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FRPI023 p.1078 | ATF2 仮想衝突点でのビームサイズのビーム強度依存性 Intensity dependence of ATF2 virtual IP beam size ○奥木 敏行(高エネ研) ○Toshiyuki Okugi (KEK) KEK-ATFでは、ILCの最終収束ビームラインの試験加速器として、ATF2ビームラインを建設して、ILCに必要とされるビーム収束に関する研究をおこなっている。現在、ATF2ビームラインでは41 nmまでビームを収束させることが出来た。しかし、ATF2仮想衝突点でのビーム強度依存性が大きく、41 nm にビーム収束させたときのビーム強度はN=1e9程度であった。そこで、ATF2では仮想衝突点でのビームサイズのビーム強度依存性を詳細に調べた。その結果、ビーム強度依存性には静的、動的二種類の効果が存在していることが分かった。そして、静的なビーム強度依存性に対してはWakefield 調整ノブが有効で、フィードバック技術を使うことにより動的なビーム強度依存性を低減できることがわかった。本発表では、ATF2仮想衝突点において達成された動的、静的二種類のビームサイズのビーム強度依存性の低減結果と、その結果をILC焦点にスケーリングしたILC焦点でのビーム強度依存性を示す。 |
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FRPI024 p.1082 | ILC衝突でのビームサイズのビーム強度依存性シミュレーション Intensity dependence simulation of ILC IP beam size ○奥木 敏行(高エネ研) ○Toshiyuki Okugi (KEK) ATF2ビームラインにおいて、仮想衝突点のビームサイズのビーム強度依存性には静的、動的二種類の効果が存在していることが分かった。そして、静的なビーム強度依存性に対してはWakefield 調整ノブが有効で、フィードバック技術を使うことにより動的なビーム強度依存性の低減が可能でことがわかった。そこで、ILC最終収束ビームラインに設置が予定される空洞型BPM等のWakefield源から作り出されるビーム強度依存性に対して、フィードバックによる動的ビーム強度依存性の低減の効果をシミュレーションにより評価した。また、ビーム調整シミュレーションにより、ILCにおいて、静的なビーム強度依存性の影響も調べた。本発表では、ILC衝突点における静的、動的二種類のビーム強度依存性の影響を調べたシミュレーション結果を報告する。 |
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FRPI025 p.1086 | 赤外線自由電子レーザー試験に向けたcERL入射器の60 pC運転 High bunch charge injector operation of cERL for infrared free electron laser test ○田中 織雅(高エ研),Norvell Nora(SLAC),宮島 司,本田 洋介,島田 美帆,高井 良太,帯名 崇,加藤 龍好,中村 典雄(高エ研) ○Olga Tanaka (KEK), Nora Norvell (SLAC), Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Miho Shimada, Ryota Takai, Takashi Obina, Ryukou Kato, Norio Nakamura (KEK) KEKのCompact ERLは、2019年度に中赤外自由電子レーザー(IR-FEL)試験に向けたアップグレードを予定している。アップグレードの準備の一環として、IR-FEL運転で要求されるバンチ電荷 60 pCに合わせた入射器の輸送条件の最適化とビームを用いた実証試験が必要となる。IR-FEL運転では、入射器において低エミッタンス(3 mm mrad以下)かつ短バンチ長(2 ps rms)だけでなく、周回部におけるバンチ圧縮(250 fs rms)に向けて進行方向位相空間分布を制御したビーム生成・輸送が重要となる。2019年4月と6月にバンチ電荷60 pCのビーム試験を予定しており、2019年4月の運転ではバンチ電荷60 pCのビームの生成と、入射器において全エネルギー2.9 MeVへの加速を確認した。空間電荷効果の制御とビーム性能を検証するために、入射診断ラインと周回部においてエミッタンス測定およびバンチ長測定を行っている。本発表では輸送設計と実証されたビーム性能について報告する。 |
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FRPI027 p.1091 | KEK 電子陽電子入射器における火災と安全 Fire and safety at KEK electron/positron injector linac ○古川 和朗,明本 光生,阿部 哲郎,荒川 大,荒木田 是夫,飯田 直子,池田 光男,岩瀬 広,惠郷 博文,榎本 收志,榎本 嘉範,大沢 哲,小川 雄二郎,柿原 和久,片桐 広明,紙谷 琢哉,川村 真人,倉品 美帆,佐武 いつか ,佐藤 政則,設楽 哲夫,周 翔宇,白川 明広,諏訪田 剛,清宮 裕史,平 雅文,竹中 たてる,田中 窓香,張 叡,邱 丰,峠 暢一,中島 啓光,夏井 拓也,西田 麻耶,東 保男,肥後 寿泰,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,三川 勝彦,宮原 房史,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏(KEK) ○Kazuro Furukawa, Mitsuo Akemoto, Tetsuo Abe, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Naoko Iida, Mitsuo Ikeda, Hiroshi Iwase, Hiroyasu Ego, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yujiro Ogawa, Kazuhisa Kakihara, Hiroaki Katagiri, Takuya Kamitani, Masato Kawamura, Miho Kurashina, Itsuka Satake, Masanori Satoh, Tetsuo Shidara, Xiangyu Zhou, Akihiro Shirakawa, Tsuyoshi Suwada, Yuji Seimiya, Masafumi Taira, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Rui Zhang, Feng Qiu, Nobukazu Toge, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Maya Nishida, Yasuo Higashi, Toshiyasu Higo, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Katsuhiko Mikawa, Fusashi Miyahara, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida (KEK) KEK 電子陽電子入射器における火災と安全について議論する。 |
レーザー (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI028 | コヒーレントパルススタッキングによる電子銃励起レーザーの時間整形 Temporal shaping of laser pulse for photo-cathode gun utilizing coherent pulse stacking ○本田 洋介,加藤 龍好,吉田 光宏,周 翔宇,ZHANG RUI(高エ研) ○Yosuke Honda, Ryukou Kato, Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou, Rui Zhang (KEK) 光陰極電子銃において、空間電荷効果によるエミッタンス悪化を抑制するために、励起レーザーパルスの時間整形が有効である。従来はレーザーシステムの最下流部で、ガウス型のパルスをインコヒーレントに重ね合わせて平坦パルスにする、という手法が用いられていた。一方、レーザーシステムの上流部の増幅前の赤外光の段階でコヒーレントに重ね合わせて平坦にする手法も考えられる。cERLの電子銃レーザーにコヒーレントパルススタッキングを導入し、ビーム運転で実用化した。運用状況について報告する。 |
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FRPI029 | チタン薄膜を用いたレーザー駆動イオン加速実験におけるCW レーザーによる標的表面処理の効果 Effect of surface treatment by CW laser on laser-driven ion acceleration using Ti foil targets ○近藤 康太郎,西内 満美子,榊 泰直,ドーバー ニコラス,ロウ ヘーゼル(量研),宮原 巧(量研,九大),渡辺 幸信(九大),ティグラー ティム,ツアイル カール,シュラム ウーリ(HZDR),ディーター エマ,ヒッグス ジョージ,エッティンガー オリバー,ナジュムディン ゾフカ(インペリアルカレッジロンドン),桐山 博光,神門 正城,近藤 公伯(量研) ○Kotaro Kondo, Mamiko Nishiuchi, Hironao Sakaki, Nicholas Dover, Hazel Lowe (QST), Takumi Miyahara (QST, Kyushu Univ.), Yukinobu Watanabe (Kyushu Univ.), Tim Ziegler, Karl Zeil, Ulrich Schramm (HZDR), Emma Ditter, George Hicks, Oliver Ettlinger, Zulfikar Najmudin (ICL), Hiromitsu Kiriyama, Masaki Kando, Kiminori Kondo (QST) PW級のハイパワーレーザーをマイクロメートル程度ないしはそれ以下の固体薄膜に照射することで,10 MeV/u級の重イオン加速が発生し,物理学的にも利用応用の観点からも興味深い現象である.一方で,特段の工夫がない限り存在する固体薄膜表面に付着した炭化水素等が薄膜主成分の重イオンより先立って加速され,重イオンの加速効率低下を引き起こす課題を抱えていた.そこで,我々は小型のCW半導体励起固体レーザーを用いた固体薄膜の表面処理の研究開発を進めている. 今回,QST関西研にある高強度短パルスレーザーJ-KARENを用いて10^21 W/cm^2 を超える集光強度で厚さ 5 μm のチタン薄膜に照射する実験を行った.CWレーザー照射による固体薄膜への加熱により,加速された水素イオンの発生が抑制されたとともに,酸素イオンがCWレーザー未照射に比べて高エネルギーまで加速されていることがわかった.一般にチタンは非常に薄い緻密で安定な酸化被膜を形成することが知られている.この実験結果は,CW レーザーによる表面処理加熱を行うことで,水素を多く含む汚染層が除去されるとともに,熱分解困難な酸化膜が露出し,高強度レーザー相互作用によりその薄い酸化膜由来の酸素イオンが加速されたことを示唆している. |
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FRPI030 | ステージングレーザー航跡場加速を目指した要素技術開発 Development of key technologies for staging laser wake-field acceleration ○酒井 泰雄(大阪大学産業科学研究所),金 展(理化学研究所),黄 開,大東 出(量子科学技術研究開発機構関西光科学研究所),パサック ナビーン(大阪大学産業科学研究所),谷沢 優介(大阪大学工学研究科),末田 敬一(理化学研究所),ジドコフ アレクセイ,神門 正城(量子科学技術研究開発機構関西光科学研究所),細貝 知直(大阪大学産業科学研究所) ○Yasuo Sakai (The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka university), Zhan Jin (RIKEN Spring-8 center), Kai Huang, Izuru Daito (National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology), Naveen Pathak (The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka university), Yusuke Tanizawa (Graduate School of Engineering, Osaka University), Keiichi Sueda (RIKEN Spring-8 center), Alexei Zhidkov, Masaki Kando (National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology), Tomonao Hosokai (The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka university) 高再現性なGeV級LWFAを実現するためにマルチレーザービーム駆動のステージングレーザー航跡場加速(LWFA)を提案し研究を行っている。現在, 理化学研究所播磨キャンパスの旧 SCSS トンネル内にはレーザー加速専用プラットフォームが構築中である。プラットフォームにて構築中のステージングレーザーLWFA実証器は電子ビーム入射部により生成される電子ビームをGeV級の高エネルギー化するための追加速部からなる。電子ビーム入射部開発では,自己入射方式に基づきLWFA加速された電子ビームを高い位置安定性及びよく定義されたエネルギーのビームを供給するための技術を新規に構築した。パルス駆動のソレノイド電磁石に基づく電子ビーム像転送系と,追加速部への的確な入射を実現するための偏向電磁石を構築した。これにより典型的にはミリラジアン以下の位置安定性にて,100MeV級の電子ビームの安定生成を達成した。また,追加速部の構築ではLWFAの加速距離を延長して加速利得を向上するべく,プラズマで形成される光導波路の開発が進んでいる。Z-ピンチ放電を応用した径方向に正の電子密度勾配をもつプラズマチャンネルの形成により,集光強度10^17 W/cm^2オーダーの高強度レーザーパルスがおよそ5 cm伝搬することを達成してきた。本講演では,上記のステージングレーザー航跡場電子加速の要となる技術の研究開発状況について紹介する。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI031 p.1096 | J-PARC RCSのインターロック発報時のビームモニタデータ解析 Beam monitor data analysis of interlocked events at J-PARC RCS ○林 直樹,吉本 政弘,畠山 衆一郎,守屋 克洋(J-PARC/JAEA) ○Naoki Hayashi, Masahiro Yoshimoto, Shuichiro Hatakeyama, Katsuhiro Moriya (J-PARC/JAEA) ビームロス、及びその要因を詳しく理解することは、加速器の安定運転のため必要である。繰返し25 Hzで運転するJ-PARC RCSは、これまでも全パルスについて、10 ms間隔でビーム強度、ビームロスについて記録してきた。加えてインターロック発報時に、より詳細な波形やバンチ毎のビーム位置を記録するシステムを整備した。本報告では、これらのデータ、同様なリニアックのデータを元に、RCS単独のビームロスモニタによるインターロック事象でも、実はリニアック・イオン源に関連があることが分かってきた。この例を初め、その他のインターロック発報時のビームモニタデータを紹介し、一層の安定運転に向け、今後の取り得る対応について述べる。 |
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FRPI032 p.1101 | SuperKEKB ダンピングリングの放射光モニターを使ったビーム計測 Beam measurement of SuperKEKB damping ring using SR monitor ○池田 仁美,杉本 寛,飛山 真理,福間 均,フラナガン ジョン(高エネルギー加速器研究機構) ○Hitomi Ikeda, Hiroshi Sugimoto, Makoto Tobiyama, Hitoshi Fukuma, John Flanagan (KEK) SuperKEKBダンピングリング(DR)では最大4nCのe+バンチが4バンチ同時に周回する。このビームのサイズを測定するために放射光モニター(SRM)を建設した。放射光はDRのビーム出射側直線部直後にある偏向電磁石(ρ=3.14m) から取り出し、トンネル内の床下のピットを通して、ダンピングリングトンネルと同レベルにある放射光モニター室まで伝搬する。DRへ入射されたビームのダンピングの様子をゲートカメラとストリークカメラを使用してバンチ毎に測定した。測定結果を、計算値と合わせて報告する。 |
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FRPI033 p.1105 | 理研超伝導加速空洞用ビームエネルギー・位置モニターのマッピング測定 Mapping measurement for beam energy position monitor system for RIKEN superconducting acceleration cavity ○渡邉 環(理研),外⼭ 毅(⾼エネルギー加速器研究機構),花村 幸篤(三菱電機システムサービス),今尾 浩⼠,上垣外 修⼀,坂本 成彦,福⻄ 暢尚,藤巻 正樹,⼭⽥ ⼀成,渡邉 裕(理研),⼩⼭ 亮(住重加速器サービス),宮尾 智章(⾼エネルギー加速器研究機構),三浦 昭彦(⽇本原⼦⼒研究開発機構),河内 敏彦(三菱電機システムサービス) ○Tamaki Watanabe (RIKEN), Takeshi Toyama (KEK/J-PARC), Kotoku Hanamura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Naruhiko Sakamoto, Nobuhisa Fukunishi, Masaki Fujimaki, Kazunari Yamada, Yutaka Watanabe (RIKEN), Ryo Koyama (SHI Accelerator Service Ltd.), Tomoaki Miyao (KEK/J-PARC), Akihiko Miura (JAEA/J-PARC), Toshihiko Kawachi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd) 現在、仁科加速器研究センターに於いて、超伝導加速空洞を建設中である。破壊型ビーム診断装置を用いたビーム測定は脱ガスを発生するため、超伝導加速空洞の性能を示すQ値や表面抵抗値を、長期的に維持することが難しくなる。そのために、非破壊型のビーム診断装置による測定が必須となる。そこで、斜めに四分割した静電型ピックアップを用いたビーム位置モニターシステム(BEPM)の開発を行い、計11台を完成させた。このシステムは、BEPM間の距離を正確に測定した2台のBEPMを用いて、ビームの飛行時間(TOF)を測定し、ビームの位置情報と同時に、ビームエネルギー値も得られるという利点を有する。終段のBEPMは、ビームエネルギーの情報が非常に重要になる、超重元素探索装置GARIS IIIや、医療用RI アスタチンの製造に使用される予定である。昨年度は、BEPM 内にワイヤーを張り、上下左右に動かすことにより、そのワイヤーの位置と各電極の出力の相関を測定する校正作業(マッピング)を行うため、BEPM を固定する冶具とワイヤーを囲むダミーダクトの設計と製作を行った。校正装置本体は、J-PARC 50GeV シンクロトロンMR のマッピング用に開発された校正装置を利用させて頂いた。今回の学会では、マッピングによる測定の結果とその考察にについて発表をする。 |
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FRPI034 p.1109 | 理研AVFサイクロトロン入射系のビーム軌道計算方法の評価と4次元エミッタンス測定器の改良 Evaluation of beam orbit calculation method and improvement of 4 dimensional emittance monitor for the injection line of RIKEN AVF cyclotron ○小高 康照,酒見 泰寛,大城 幸光,山口 英斉,今井 伸明,下浦 享(東京大学理学系研究科附属原子核科学研究センター),長友 傑,加瀬 昌之,後藤 彰,大西 純一,中川 孝秀(理研仁科加速器科学研究センター),畑中 吉治(大阪大学核物理研究センター) ○Yasuteru Kotaka, Yasuhiro Sakemi, Yukimitsu Ohshiro, Hidetoshi Yamaguchi, Nobuaki Imai, Susumu Shimoura (CNS, University of Tokyo), Takashi Nagatomo, Masayuki Kase, Akira Goto, Jyun-ichi Ohnishi, Takahide Nakagawa (RIKEN Nishina center), Kichiji Hatanaka (RCNP, Osaka University) 理研AVFサイクロトロンのイオン源からの入射ビーム軌道の理解のため、4次元エミッタンス測定値を初期値とし、空間電荷効果を考慮した独自のビーム軌道計算方法の開発は終了した。イオン源のビームは正規分布ではなく、また入射系にはソレノイドコイルと回転四極電磁石があるため、4次元エミッタンス測定値が不可欠である。4次元エミッタンスはペッパーポット型エミッタンス測定器(PEM)で測定している。我々のPEMの特徴は、ペッパーポットマスクを通り抜けたビームを斜め45度に傾けた臭化カリウム蛍光板で発光させ、ビームに垂直な方向に設置したデジタルカメラで撮影し、そのビーム画像を実空間に変換する点である。今回は我々のビーム軌道計算手法とPEMの性能評価のため、他の診断器の測定結果と比較し、その適合度をカイ2乗/自由度で数値化した。現状は、目測で適合と判断したサンプルの適合度を1とした相対評価であるが、適合度は6までばらついた。この適合度改善の可能性を求めて、まずデジタル画像から実空間の変換方法を改良し、従来の角度の系統誤差5.5mrad、偶然誤差(RMS)2.7mradを、系統誤差0mrad、偶然誤差(RMS)1.9mradに抑えた。また蛍光剤の厚さやデジタルカメラの露光時間・ゲインの最適化によっても適合度が改善することが分かってきた。今回はそれらの条件を変えて影響を調べた。これらの結果を報告する。 |
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FRPI035 p.1114 | KEK電子陽電子入射器のビーム形状測定高性能化と8電極BPMを用いたエネルギー広がり測定 Development of beam profile monitor and energy spread monitor using 8 electrodes BPM at KEK e+/e- Injector Linac ○宮原 房史,佐藤 政則,諏訪田 剛,古川 和朗(高エネ研),早乙女 秀樹(関東情報) ○Fusashi Miyahara, Masanori Satoh, Tsuyoshi Suwada, Kazuro Furukawa (KEK), Hideki Saotome (KIS) KEK電子陽電子入射器は SuperKEKB HER、PF, PF-ARへ電子ビーム、SuperKEKB LERへ陽電子ビームを供給している。HER、LER入射には低エミッタンスビームが要求されるが、そのためにはエミッタンス増大抑制と理解が必要であり、入射器中のビーム形状の変化を詳細に測定する必要がある。電荷量に対するダイナミックレンジは陽電子生成用の電子ビームの約10 nC/bunchからPF, PF-AR用の0.3 nC/bunchまで広い範囲に対応することが要求される。これまでのビーム形状測定システムは簡易的で分解能の良くないシステムであっため、YAG:Ceスクリーンまたは遷移放射測定用スクリーンを採用し、専用の光学系を構築することで光学系の分解能がFWHMで10ミクロン以下となるビーム形状測定システムを導入した。レーザーと電子銃のRF、ビームと加速管のRFのタイミング変化にともなうビームのエネルギー分布の変化が下流のリング入射に影響を及ぼすため、分散関数が大きな位置での非破壊でのビーム形状測定が有用である。入射器では180度アーク部中央に8電極のストリップライン型BPMが設置されており、ビームの4重極モーメントを測定することで、エネルギー広がりの変化が測定可能である。4重極モーメントはビーム位置にも依存するため、BPM直下流のスクリーンモニターと同期測定を行い、位置補正関数を導入した。 これらのシステムの詳細と評価試験、運転での運用について報告する。 |
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FRPI036 p.1118 | J-PARC MR アボートラインにおけるマルチリボンプロファイルモニタの製作と性能評価 Development and evaluation of Multi-Ribbon Profile Monitor at J-PARC MR ○佐藤 究(東大理),橋本 義徳,魚田 雅彦,佐藤 洋一,五十嵐 進(高エ研),酒井 浩志,遠藤 正之,藤山 浩樹(三菱電機システムサービス),小関 忠(高エ研、東大理),濱田 英太郎(高エ研) ○Kiwamu Sato (Dep. Physics, Univ. of Tokyo), Yoshinori Hashimoto, Masahiko Uota, Yoichi Sato, Susumu Igarashi (KEK), Hiroshi Sakai, Masayuki Endo, Hiroki Fujiyama (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Tadashi Koseki (KEK, Dep. Physics, Univ. of Tokyo), Eitaro Hamada (KEK) 二次電子放出型プロファイルモニタ「マルチリボンプロファイルモニタ(MRPM)」を製作しJ-PARC 主リング(MR)のアボートラインにインストールした。アボートラインはMRから取り出されたビームをダンプまで輸送するビームラインであり、そこでのプロファイル測定はMRの周回ビームに影響を与えない。そのためMRPMは破壊型モニタではあるが、ビームロスを最小限に抑制しながら大強度陽子ビームの高精度なプロファイル測定を実現することができる。またMRからアボートラインへ取り出すビームの運動エネルギーは、入射エネルギー3 GeVから取り出しエネルギー30 GeVまで任意に選ぶことができるため、加速中のビームプロファイルを測定することによりビームダイナミクスのより詳細な研究が可能になるものと期待されている。本報告ではMRPMの装置開発と大強度ビーム試験結果及び性能評価について報告する。 |
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FRPI037 p.1122 | t-ACTSにおける中空誘電体からのチェレンコフ光の測定 Measurement of Cherenkov radiation from hollow dielectric at t-ACTS ○南部 健一,日出 富士雄,柏木 茂,武藤 俊哉,齊藤 寛峻,森田 希望,山田 悠樹,鹿又 健,髙橋 健,長澤 育郎,柴田 晃太朗,三浦 禎雄,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Ken-ichi Nanbu, Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Toshiya Muto, Hirotoshi Saito, Nozomu Morita, Hiroki Yamada, Ken Kanomata, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Koutaro Shibata, Sadao Miura, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 近年、テーブルトップサイズの超小型加速器実現に向け、従来の加速器に比べて加速勾配が大きいレーザープラズマ加速器の研究が世界中で行われている。ビーム繰り返しが非常に低いなどの課題もあるものの、プラズママイクロオプティクスなどの技術が開発されるなど再現性の改善は図られつつある。しかしながらレーザープラズマ加速器の実用化のためには、ビーム位置などをシングルショットかつ非破壊で測定することができるビームモニターが必須であり、その開発が待たれている。このような背景のもと東北大学電子光理学研究センターでは、誘電体に穴をあけ、その穴の内部を電子ビームが通過した際に放射されるチェレンコフ光を測定することにより、非破壊でビーム位置を測定するビーム位置モニターの研究を行っている。これまでに円柱状の穴を有する誘電体(ラジエーター)内部を電子ビームが通過する際に放射されたコヒーレントチェレンコフ光の観測に成功するとともに、電子ビームとラジエーターとの距離に依存してチェレンコフ光の強度が変化することを確認したので報告する。 |
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FRPI038 p.1125 | J-PARC MRにおけるOTRと蛍光を用いた高感度2次元ビームプロファイルモニターの導入 Installation plan of new 2D-beam-profile-monitor by OTR and fluorescence at the J-PARC Main Ring ○佐藤 洋一,橋本 義徳,外山 毅,魚田 雅彦,堀 洋一郎(高エネ研・J-PARC),酒井 浩志,遠藤 正之(三菱加速器),佐藤 究(東大理) ○Yoichi Sato, Yoshinori Hashimoto, Takeshi Toyama, Masahiko Uota, Yoichiro Hori (KEK/J-PARC), Hiroshi Sakai, Masayuki Endo (Mitsubishi Accel), Kiwamu Sato (U Tokyo, Physics) 大強度陽子加速器J-PARC 30 GeV主リング(MR)の既存ビームプロファイルモニターは射影型モニターであるが、新たにOptical Transition Radiation(OTR)と蛍光を用いた高感度2次元ビームプロファイルモニターの導入を予定している。これにより周回ビームのハロー形成を2次元的に把握し、XY方向の相関を反映した大強度ビーム調整が期待できる。 同原理のモニターは、MRへの入射輸送系(3-50BT)で既に運用されており、6桁程度までのハローを含むビーム形状診断を通して3-50BTコリメータでのビームカットやビーム条件の選択に効力を発揮している。今回MR直線部に導入する2号機は、入射から数10ターン程度のビームコアとハローの診断を可能とし、3-50BTとMRの2台の装置での同期測定を通した3-50BTとMRのコリメータバランス調整、2次元XYカップリング成分も含めた入射ビームの横方向位相空間分布診断が期待できる。また、大強度陽子ビームは周回を重ねることでベータトロン共鳴条件に抵触した粒子がハローを形成するが、本機によるハローの2次元分布の時間発展測定で、抵触共鳴条件の同定も期待できる。 現在、本機の製作はほぼ完了し、今夏のインストールに向け、ターゲットや光学系の調整、インピーダンスの評価測定などが進展中である。本報告では、装置デザイン、製作評価結果、今後の運用方針について述べる。 *特推科研費 T2K実験の高度化によるニュートリノのCP対称性の測定 |
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FRPI039 | J-PARC MRにおけるマルチリボンビームプロファイルモニターの現状報告 Status report on multi-ribbon beam-profile monitor at J-PARC main ring and its beam transport line ○橋本 義德,外山 毅,佐藤 洋一,魚田 雅彦,堀 洋一郎(高エネ研・J-PARC),佐藤 究(東大・理),酒井 浩志,遠藤 正之(三菱電機SC) ○Yoshinori Hashimoto, Takeshi Toyama, Yoichi Sato, Masahiko Uota, Yoichiro Hori (KEK/J-PARC), Kiwamu Sato (U Tokyo, Physics), Hiroshi Sakai, Masayuki Endo (Mitsubishi SC) J-PARC メインリング(MR)とそのビームトランスポートラインでは、マルチリボンプロファイルモニター(MRPM)による大強度陽子ビームのプロファイル測定が行われている。MRPMは、入射のトランスポートライン(3-50BT)に10台、MRに1台、MRの遅い取り出しセクションに2台、ハドロンビームラインに1台、アボートビームラインに2台の合計16台がある。ターゲットの材質には、大強度陽子ビームへの耐久性を追究して、1.1~3 ㎛ の厚さの高品質グラファイト、または1.2 ㎛ の厚さのチタンを用いている。計測には、陽子ビーム通過時のエネルギー付与による放出二次電子を用いている。 近年では、ビーム診断の高度化のために、アボートビームラインのMRPMでは、MRビームを任意の時刻にアボートする取り出しシステムと組み合わせることで、必要な時刻のMRビームを測定できるシステムを構築中である。また、MRにある1台では、垂直方向測定用のターゲットがチタンであり、周回ビームに対する耐久性に問題が出てきたために、これとは別に、耐久性の高いグラファイトターゲットをもつ3-50BTのMRPM1台を今夏にMRに移設する予定である。大強度入射ビーム500 ターン程度についてのビームダイナミクスの測定システムを構築する。 本報告では、2008年の運転開始時から今日までのMRPMのレビューを行い、大強度陽子ビームに対しての測定装置としての特性と、測定アプリケーションについてのまとめを行う。 |
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FRPI040 p.1130 | J-PARC MRにおける横方向イントラバンチ・フィードバック・システムの解析と高度化 Analysis and upgrade plan of the transverse intrabunch feedback system in the J-PARC ○外山 毅,岡田 雅之,小林 愛音(高エ研) ○Takeshi Toyama, Masashi Okada, Aine Kobayashi (KEK) J-PARC MRでは、ビーム強度増強(約100kWを超える付近)とともに横方向インスタビリティによるビームロスが最大ビームパワーを制限するようになったため、2010年に横方向バンチ毎フィードバックを導入した。その後のビーム強度増強に伴い(約250kW前後)、再び横方向インスタビリティが問題となってきたため、2014年に横方向イントラバンチ・フィードバックを導入した。これにより、インスタビリティ抑制は大幅に改善したが、さらなるビーム強度増強により(約500kW前後)、再度横方向インスタビリティが最大ビームパワーの制限要因の一つとなってきている。今後、ニュートリノ実験のために1.3MW陽子ビームを安定に供給するためには、更なるビーム安定化が必要となる。(ビームパワーは主リングサイクルに反比例する。1.3MWへの増強は、主リングサイクル短縮のための電源増強を含んでいる)そのために、現在のフィードバックを使用・不使用時の、ビーム強度、バンチ数、クロマティシティと不安定性の関連性について議論する。そして今後のフィードバックの高度化の方策を提案する。 |
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FRPI041 p.1134 | J-PARC MRのための16電極モニターの開発 Development of 16 electrodes beam-size monitors for J-PARC MR ○田島 正規,中家 剛(京大),外山 毅,小関 忠(高エネ研) ○Msanori Tajima, Tsuyoshi Nakaya (Kyoto Univ.), Takeshi Toyama, Tadashi Koseki (KEK) 16電極モニターとは、現在J-PARCにて開発中のビームサイズモニターである。J-PARC MRの既存のビームモニターとして、Flying Wire MonitorとIonization profile monitor(IPM)が存在する。これら二つは大強度ビームに対して、前者はワイヤーの破損、後者は電荷収集にサチュレーション効果といった問題がある。そこで、本モニターはJ-PARC 大強度ビームの非破壊型サイズ測定を目的に開発されている。さらに、RCSからMRの入射ミスマッチの低減によって、ビームパワーの増強及び各ニュートリノ検出器での観測イベントの増加を目指す。 2019年2月に行ったビームテストでは応急処置として既存のアナログフィルターを用いた。このため、陽子数6e+13[ppp]時の信号雑音比は40[dB]程度となり、IPMと同性能に達するための信号雑音比50[dB]に比べて低かった。この信号比を改善するため、新しいアナログフィルターの開発と信号処理アルゴリズムの見直しを行った。この内容に加えて、2019年8月にインストールする予定の2台目のワイヤーを用いた較正状況について報告する。 |
粒子源 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI042 p.1139 | RIビームがん治療の実現を目指した1価C-11イオン生成実験の状況 Production of singly-charged C-11 ions for heavy-ion cancer therapy ○片桐 健,涌井 崇志,北條 悟,野田 章,白井 敏之(QST/NIRS) ○Ken Katagiri, Takashi Wakui, Satoru Hojo, Akira Noda, Toshiyuki Shirai (QST/NIRS) 重粒子線治療において,PET装置で線量分布をリアルタイムに検証する技術を実現するために,Isotope Separation On-Line (ISOL)法により,C-11ビームをHIMACシンクロトロンから供給することを検討している。このISOLシステムは,プロトン照射用小型サイクロトロン,C-11生成用標的,C-11分子生成/分離システム(CMPS),一価イオン源(SCIS),質量分析器(MS),荷電増幅器(CB)から構成される。1人の治療に必要な1e+10個以上のC-11多価イオンを20分毎に生成することを目標として,これまでISOLシステムの各要素機器の開発を進めてきた。標的は,20分間のプロトン照射(18 MeV,18 uA)により,およそ1e+13個の揮発性C-11分子の生成が可能であることが判明し,また非放射性の12CO2ガスを使用した実験によりCMPSは60—80%の効率,SCISはCO2+のイオン生成効率として5.5%の効率を達成できることが判明した。これらの結果を踏まえて,MS及びCBを除くISOLシステムの性能評価を行うために,プロトンビーム照射によりオンラインで1価C-11イオンの生成・定量化を行う実験を進めている。本発表では,このオンライン実験の進捗の状況とこれまでの実験結果を示す。 |
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FRPI043 p.1144 | 小型ECRイオン源における多価イオン生成試験 Production of highly charged ion at Kei3 source ○村松 正幸(量研機構 放医研),加藤 裕史(大阪大学),髙橋 勝之,鈴木 太久,大内 章央(加速器エンジニアリング),北川 敦志(量研機構 放医研) ○Masayuki Muramatsu (NIRS-QST), Yushi Kato (Osaka Univ.), Katsuyuki Takahashi, Taku Suzuki, Fumihisa Ouchi (AEC), Atsushi Kitagawa (NIRS-QST) 放射線医学総合研究所(放医研)では、炭素線を用いたがん治療を行っている。現在、放医研では数種類のイオンを標的に照射することで理想的なLETおよび線量分布を形成するマルチイオン照射法を推進している。想定されるイオン種はHe、C、O、Neの4種類で、複数のイオン源を専有すれば比較的容易に切り替えが可能となるが、普及型の治療施設では、コストと運転・メンテナンスの観点から、永久磁石型のECRイオン源1台で対応することが望まれる。これらの要求を達成するために、我々は様々なイオンの供給を行えるECRイオン源の開発を行なっている。試験用に開発された永久磁石型ECRイオン源のKei3は、既存の炭素線がん治療装置用の小型ECRイオン源(Keiシリーズ)と同様の閉じ込め磁場を採用しているため、C4+に近いイオンを生成することが可能となる。しかし、Neやそれより重く多価のイオンの生成はいまだ困難である。Kei3ではこれまでに、バイアスディスク法、ガスミキシング法、マイクロ波2重加熱などを用いて、多種イオンの生成試験を行ってきた。これらの手法を組み合わせ、調整パラメーターの少ない永久磁石型ECRイオン源において、多価イオンの生成に適した状態を探る。 |
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FRPI044 | 重粒子線がん治療用小型EBISのparticle-in-cell解析による設計 Design study on a new compact EBIS for heavy-ion cancer therapy ○片桐 健,涌井 崇志(QST/NIRS),河村 兼成(東工大院),村松 正幸,北條 悟(QST/NIRS),佐藤 大輔(産総研),林崎 規託(東工大研究院) ○Ken Katagiri, Takashi Wakui (QST/NIRS), Kensei Kawamura (Tokyo Tech), Masayuki Muramatsu, Satoru Hojo (QST/NIRS), Daisuke Sato (AIST), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech) 重粒子線がん治療のさらなる治療効果の向上のために,数種類のイオンを用いて治療を行うマルチイオン照射法が提案されている.全国に広がる普及型小型治療装置を備えた重粒子線がん治療施設にこの照射法を展開するためには,4種類の軽イオン(He, C, O, Ne)の生成とそれらの切り替えが素早く行える小型のマルチイオン生成システムが必要となる.このマルチイオン生成システムを実現させるために,治療に必要な量(~1e+10個/pulse)の軽イオンの生成が可能で,普及型小型治療装置用ECRイオン源の1/4程度の大きさの小型電子ビーム型イオン源(EBIS)の開発を進めている.本発表では,この小型EBISの設計のために行ったParticle-in-Cell法による解析・検討の結果を報告する |
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FRPI045 | 重粒子線がん治療用小型EBISの蓄積電子数測定 Measurement of trapped electron number on a new compact EBIS for heavy-ion cancer therapy ○河村 兼成,林崎 規託(東工大),片桐 健(量研/放医研),佐藤 大輔(産総研),涌井 崇志,村松 正幸,北條 悟(量研/放医研) ○Kensei Kawamura, Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech), Ken Katagiri (QST/NIRS), Daisuke Sato (AIST), Takashi Wakui, Masayuki Muramatsu, Satoru Hojo (QST/NIRS) 重粒子線がん治療において、数種類のイオンを用いた照射により治療効果の向上を目指す、マルチイオン照射法が検討されている。全国に広がりつつある普及型重粒子線がん治療装置によりこの照射法を行うためには、4種類の軽イオン(He, C, O, Ne)の切り替えが素早く行え、かつ既存の治療施設に導入できる程度に小型でなければならない。これらの課題を解決するため、従来重元素多価イオン生成に用いられてきた電子ビーム型イオン源(Electron Beam Ion Source:EBIS)を軽イオン生成に特化させ、普及型小型イオン源の1/4程度となる新たなイオン源の開発が進められている。本発表では、この小型EBISで生成可能なイオン数を決めるための蓄積電子数の測定について報告する。 |
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FRPI046 p.1148 | RCNPにおける高輝度陽子源の開発 Development of high-brightness proton source at RCNP ○大本 恭平,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,畑中 吉治,森信 俊平,齋藤 高嶺,中尾 政夫,安田 裕介,鎌倉 恵太,原 周平,Koay Hui Wen,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文(阪大RCNP) ○Kyohei Omoto, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Masao Nakao, Yuusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara (RCNP, Osaka Univ.) RCNP(大阪大学核物理研究センター)のAVFサイクロトロンは、現在アップグレードを実施中である。このアップグレードの主な目的の一つは、陽子ビームの強度の増強である。ビーム強度は現行の10倍を目指しており、この実現によって、ミューオン科学、中性子照射やRI製造などといった基礎科学から産業利用や医学利用などの研究が飛躍的に発展することが期待される。このAVFサイクロトロンのアップグレードの一環として、陽子源の高輝度大強度化を目指す。サイクロトロンのビーム増強のためには、ビーム強度の増強だけではなく、サイクロトロンの入射アクセプタンスにマッチした低エミッタンスの陽子ビームを陽子源から供給する必要がある。それを実現させるため、陽子源の加速電圧を従来の15kVから50kVに上げて、低エミッタンス化と高強度化を目指す。陽子源で生成される陽子ビームの強度の加速電圧依存性についてビーム軌道シミュレーションコードIGUNを用いて解析し、最適な陽子源の引き出し電極構造を決定する。またその下流のビーム輸送系の再設計も行い、アップグレード後のサイクロトロンに対して最適化された陽子ビームの供給を実現する。 |
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FRPI047 p.1152 | ビーム・プラズマシミュレーションにおける粒子発生の取り扱い Particle emission in chaged particle dynamics simulation ○菅野 浩一(株式会社エーイーティー) ○Koichi Kanno (AET, Inc.) 荷電粒子はいくつかの発生機構に従って固体や気体から空間中に放出され、その放出特性はその発生機構と放出源の材質特性や状態などの様々な条件に依存する。例えば、ビーム応用装置の性能を左右する電子銃やイオン源、二次粒子の発生が問題になるビームコレクタやターゲット、常に粒子衝突反応が起きているプラズマ装置、特定の条件でおきる放電現象などの議論においては特に考慮が必要である。このことはビームやプラズマに関する荷電粒子シミュレーションにおいても同様で、可能な限りモデルとして模擬されることが求められる。本発表では、最先端のシミュレーションソフトウェアにおけるこれらの粒子発生モデルとその応用例について述べる。 |
ハドロン加速器 (8月2日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FRPI048 p.1156 | 非破壊型遅いビーム取り出し装置の提案 Proposal of nondestructive device for slow extraction ○下川 哲司(高エネ研・J-PARCセンター),原田 寛之(原子力機構・J-PARCセンター) ○Tetsushi Shimogawa (KEK, J-PARC), Hiroyuki Harada (JAEA, J-PARC) 粒子加速器で加速されたビームは、原子核・素粒子実験等の学術研究や放射線がん治療等の医療応用に利用されており、世界中で科学技術の基盤の一つとなっている。リング型粒子加速器に貯め込み、周回しながら加速されたビームは、「速い取り出し」と「遅い取り出し」のどちらかによって下流側の実験・治療施設へ供給されている。その「遅い取り出し」 では、周回するビームを広げながら、静電セプタムと呼ばれる装置に近づけ、徐々に削りながらビームを取り出している。既存の手法では、周回側と取り出し側の境界に設置している 電極やワイヤー等へのビームの衝突を原理的に避けることができず、取り出し効率の限界や、 装置の損傷や放射化によるビーム出力の制限が生じている。本研究は、 取り出し効率およびビーム出力を制限している現行の手法にかわるべく、周回側と取り出し側の境界面に物質を設置しない「非破壊型」の遅い取り出し用の静電セプタムの提案である。 |
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FRPI049 p.1159 | J-PARCリニアックロス低減及びコミッショニング進歩 Beam Loss Mitigation and Comissioning Progress at J-PARC linac ○劉 勇,大谷 将士,宮尾 智章,二ツ川 健太,南茂 今朝雄(高エネルギー加速器研究機構/J-PARC),伊藤 崇,森下 卓俊,田村 潤,岡部 晃大,守屋 克洋,三浦 昭彦(原研/J-PARC) ○Yong Liu, Masashio Otani, Tomoaki Miyao, Kenta Futatsukawa, Kesao Nanmo (KEK/J-PARC), Takashi Ito, Takatoshi Morishita, Jun Tamura, Kota Okabe, Katsuhiro Moriya, Akihiko Miura (JAEA/J-PARC) J-PARC linac is now successfully operated at 50mA/400MeV for 500kW at neutron target, and promisingly on the way to 1MW. Beam loss at linac became one of the crucial issues. Simulation and experiment studies have been carried out to mitigated the intra-beam stripping (IBSt) effect in H- beam at 200~400 section, which was found to be the dominant source of beam loss at same type of accelerator. An IBSt-mitigation lattice with beam "temperature" ratio between transverse and longitudinal planes, T=0.7, away from the equipartition condition (T=1) followed by the J-PARC linac baseline design was carefully tested and selected to put into operation. Measured residue radiation dose verified the prediction of 40% reduction. Other recent progress of beam study in the commissioning will be also reported. |
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FRPI050 | IFMIF/EVEDA原型加速器(LIPAc)のRFQ長パルス試験に向けたビームラインの構築 Construction status of beam transport line for commissioning phase-B+ at the Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) ○熊谷 公紀,池田 幸治,春日井 敦,菊地 孝行,北野 敏彦,小又 将夫,近藤 恵太郎,坂本 慶司,下崎 義人,杉本 昌義,西村 忍,平田 洋介(量研/六ヶ所),荒木田 是夫,江川 一美,門倉 栄一,高野 進,高山 健,山口 誠哉(高エネ研),カラ フィリップ,スカンタンビューロ フランチェスコ(IFMIF/EVEDA PT),トグル ダニエル,ジッコ エルベ,ハイディンガー ローランド,ヨキネン アンティ(F4E),ブラナス ベアトリス,ポダデラ イワン(CIEMAT) ○Kohki Kumagai, Yukiharu Ikeda, Atsushi Kasugai, Takayuki Kikuchi, Toshihiko Kitano, Masao Komata, Keitaro Kondo, Keishi Sakamoto, Yoshito Shimosaki, Masayoshi Sugimoto, Shinobu Nishimura, Yosuke Hirata (QST/Rokkasho), Yoshio Arakida, Kazumi Egawa, Eiichi Kadokura, Susume Takano, Ken Takayama, Seiya Yamaguchi (KEK), Philippe Cara, Francesco Scantamburlo (IFMIF/EVEDA PT), Daniel Duglue, Herve Dzitko, Roland Heidinger, Antti Jokinen (F4E), Beatritz Branas, Iwan Podadera (CIEMAT) 国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学設計・主要機器の設計・製作・試験を行い、建設判断に必要な技術実証を行うために、現在、原型加速器(Linear IFMIF Prototype Accelerator, LIPAc)の建設とコミッショニングが進められている。コミッショニングは段階的に行われており、現在はコミッショニングフェーズBにおいて、RFQを用いた陽子・重陽子の加速試験が行われている。フェーズB終了後、2019年度末に開始されるコミッショニングフェーズB+において、入射器から最終段のビームダンプまで一気通貫でビームを通しながら、CWを目指したRFQ長パルス試験を行う予定である。RFQ長パルス試験のために、RFQ下流に設置するはずであった超伝導加速器の代わりにビーム輸送ラインを設置し、KEK-PSで使用されていた四極電磁石とステアリング電磁石、及びスペインの研究機関(CIEMAT)で製作されたBPMが設置される。真空チェンバーと架台はドイツのF4Eにおいて設計が行われ、調達と設置は六ヶ所核融合研究所が行う予定となっている。この日欧協力のもとに進められているRFQ長パルス試験用ビームラインの構築について、現状を報告する予定である。 |
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FRPI051 p.1162 | J-PARC RCS冷却水設備冷却塔ファンベアリングユニットの製作 Production of the cooling towers fan bearing unit at J-PARC RCS. ○藤来 洸裕,菅沼 和明,山﨑 良雄(原子力機構 J-PARC) ○Kosuke Fujirai, Kazuaki Suganuma, Yoshio Yamazaki (JAEA J-PARC) J-PARC RCS(Rapid Cycling Synchrotron)冷却水設備では、電磁石、加速空胴などの熱源機器に冷却水を供給している。装置へ供給される冷却水の温度は、屋外に設置されている冷却塔にて27℃になるように冷却塔ファンを回し冷却している。2015年4月にある冷却塔ファンのベアリングユニットから異音がしていた。そのベアリングユニットを分解し軸受を切断してみたところ、プーリー側の軸受にはフレーキング痕や内輪の軌道面の中心より上に接触痕があることがわかった。なぜプーリー側の軸受にのみ特有の傷がついたのか調べることにした。プーリー側の軸受はファンが回る際に発生する上下の動きと併せてファンベルトによって横方向へ引っ張られている。プーリー側はこれらの振動や荷重が加わったことで特有の傷がついたと推測した。また、軸受がグリス密閉式でグリスの入れ替えができない構造となっており、フレーキングによる剥離物が軸受内に残った状態で運転したため,小さな傷がその剥離物によって広がってしまったと考えられる。そこで以上の問題点を考慮し冷却塔ファンの安定運転のために上下、横方向の振動や荷重に耐えグリスを密閉式ではなく定期的に交換することができるベアリングユニットを新たに製作することにした。本発表では、新しく製作したベアリングユニットの構造と初期の振動値等のパラメータについて報告する。 |
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FRPI052 p.1165 | 京都大学150MeV FFAG加速器主リングを改造したパイオン生成リングの設計 Remodeling of 150 MeV FFAG Main Ring at KURNS to Pion Production Ring ○菅 啓大,石 禎浩,上杉 智教,栗山 靖敏,森 義治,沖田 英史(京大),不破 康裕(原研) ○Keita Suga, Yoshihiro Ishi, Tomonori Uesugi, Yasutoshi Kuriyama, Yoshiharu Mori, Hidefumi Okita (Kyoto Univ.), Yasuhiro Fuwa (JAEA) ミューオン核変換の研究のために、京都大学複合原子力科学研究所(KURNS)の150MeV FFAG加速器主リングをパイオン生成リング(PPR)に改造する可能性が議論されている。そこで、400MeV/uの重陽子ビームがリングを周回し、リング内部に設置された標的との反応によってパイオンを生成すると仮定してPPRの設計を行った。本研究では、PPRの基本設計や電磁石設計について報告する。 |
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FRPI053 p.1169 | J-PARC MRのビームパワー増強に向けたRFシステムの準備状況 Preparation status of RF system for J-PARC MR upgrade ○長谷川 豪志,大森 千広,杉山 泰之,原 圭吾,古澤 将司,吉井 正人(高エネ研),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘(原科研) ○Katsushi Hasegawa, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Keigo Hara, Masashi Furusawa, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto (JAEA/J-PARC) J-PARC MRでは、ニュートリノ実験施設への速い取り出し運転において、2022年から繰り返しを早くする事でビームパワーを増強する計画が進んでいる。この計画においてRFシステムには、現在稼働している空胴9台を全て基本波空胴として使用し、更に2次高調波用空胴として2台の増設が必要となる。増設する2次高調波空胴は、以前使用していたFT3Mコアを用いた3ギャップ空胴を4ギャップ空胴に再構成して使用する。昨年度は1台目の架台と構成部品の製作、及び組立試験を行い基本構造に問題がない事を確認した。この結果によって、今年度2台目の製作を行い、空胴2台の完成を予定している。また利用運転時のRFシステムの故障として、パワーが上がってきた事で陽極電源の故障が増えており、その対策を行っている。本発表では、2次高調波空胴の準備状況と陽極電源の故障対策を報告する。 |
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FRPI054 p.1173 | J-PARCMRチタン静電セプタム Titanium electrostatic septa in J-PARC MR ○新垣 良次,木村 琢郎,小松 雄哉(高エネルギー加速器研究機構),松村 秋彦(日本アドバンストテクノロジー),武藤 亮太郎,村杉 茂,岡村 勝也,白壁 義久,冨澤 正人,柳岡 栄一(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshitsugu Arakaki, Takuro Kimura, Yusuke Komatsu (High Energy Accelerator Reserch Organization), Akihiko Matsumura (NAT), Ryotaro Muto, Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka (High Energy Accelerator Reserch Organization) J-PARCMRにおいて ハドロン実験施設に大強度陽子ビームを供給するため3次共鳴を用いた遅い取り出しが行われている。ビームを偏向し取り出すために2台の静電セプタムと10台のセプタム磁石が利用される。 前段の静電セプタムはビームロスが避けられないため 装置の放射化が問題となる。装置の放射化を低減するため 材質をSUS304からチタンに変え1号機チタン静電セプタム(Ti-ESS1)を2017年にインストールした。一時は高圧試験中電流のリークが発生し原因の調査に時間を要したが カソード電極を同じチタン製でも結晶粒界の目立たない電極に変え試験を実施した結果良好な結果が得られた。これまでに行ってきたチタン静電セプタムの開発の状況に関して報告する。 |
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FRPI055 | IFMIF/EVEDA原型加速器(LIPAc)のRFQ長パルス試験に向けたラティス設計 Lattice design for commissioning phase-B+ at the Linear IFMIF Prototype Accelerator (LIPAc) ○下崎 義人,春日井 敦,近藤 恵太郎,坂本 慶司,杉本 昌義(量研/六ヶ所),小林 仁,小林 幸則,中村 典雄,高山 健,山口 誠哉(KEK),Cara Philippe(IFMIF/EVEDA PT),Dzitko Herve,Heidinger Roland(F4E),Chauvin Nicolas(CEA/Caclay),Bellan Luca,Comunian Michele(INFN-LNL),Branas Beatriz,Oliver Concepcion,Podadera Ivan(CIEMAT) ○Yoshito Shimosaki, Atsushi Kasugai, Keitaro Kondo, Keishi Sakamoto, Masayoshi Sugimoto (QST/Rokkasho), Hitoshi Kobayashi, Yukinori Kobayashi, Norio Nakamura, Ken Takayama, Seiya Yamaguchi (KEK), Philippe Cara (IFMIF/EVEDA PT), Herve Dzitko, Roland Heidinger (F4E), Nicolas Chauvin (CEA/Caclay), Luca Bellan, Michele Comunian (INFN-LNL), Beatriz Branas, Concepcion Oliver, Ivan Podadera (CIEMAT) 国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学設計・主要機器の設計・製作・試験を行い、建設判断に必要な技術実証を行うために、現在、原型加速器(Linear IFMIF Prototype Accelerator, LIPAc)の建設とコミッショニングを段階的に進めている。現在はコミッショニングのフェーズBにおいてRFQを用いた陽子・重陽子の加速試験が行われており、将来のフェーズC及びDにおいてはSRFを用いたビーム加速試験が行われる予定である。これらフェーズBとCの中間に位置するフェーズB+でのビームコミッショニングを、2019年度末から開始する予定である。SRFのインストール予定位置に代替のビームラインを設置し、SRF無しに入射器から最終段のビームダンプまでビームを通して、CWを目指したRFQ長パルス試験を行う予定となっている。RFQ長パルス試験終了後に安全にSRFをインストールするためには、ビームロスを抑制し周辺機器の放射化を抑える必要がある。また放射線及び熱負荷によるビームダンプの損傷を抑えるためには、ビームダンプへのビーム入射条件を整える必要がある。これらの要請を満たすために、代替のビームラインを含むRFQ出口からビームダンプ入口までのラティス設計を行った。フェーズB+のラティスについて詳細を報告する。 |
萌芽的加速器技術の提案 (7月31日・8月1日・2日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
12:20-12:22(WE_SO)13:30-15:30(WE/TH)10:50-12:50(FR) | |
IPPH001 p.1176 | レーザープラズマ航跡場入射用極短パルス線型加速器の基本設計 Fundamental design of a LINAC to inject ultra-short pulse electron beams into laser plasma wake fields ○大竹 雄次,増田 剛正,益田 伸一(高輝度光科学研究センター),田中 俊成,境 武志(日本大学),小柴 裕也,大塚 誠也(早稲田大学),坂上 和之(東京大学),熊谷 教孝(高輝度光科学研究センター) ○Yuji Otake, Takemasa Masuda, Shinichi Masuda (Japan Synchrotron Radiation Research Institute), Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai (Nihon University), Yuya Koshiba, Seiya Otsuka (Waseda University), Kazuyuki Sakaue (The University of Tokyo), Noritaka Kumagai (Japan Synchrotron Radiation Research Institute) 科学技術振興機構の未来創造プロジェクトでは、レーザープラズマ航跡場を使用した電子加速の実用化を目指し研究している。このプロジェクトの1つは高輝度光科学研究センターが研究実施機関である。そこでは百um径以下で数十fsの電子を生成し、それを加速するレーザー航跡場を発生するキャピラリーに大強度・短パルスレーザーと同時入射する線型加速器の研究開発を実施している。我々は、線型加速器からこのプラズマ中に入射された電子の振る舞いを観測することで、レーザー航跡場の加速特性の精密調査を行い、現状までに明確になっていない特性の詳細解明を目指している。現在この線型加速器の基本設計が終了しおり、その主な構成は、Cバンドレーザー髙周波電子銃、ソレノイドレンズ、Cバンドバンチャー、Qのトリプレット収束系である。髙周波電子銃が100fsの幅で2MeV程度の電子バンチを発生し、10Me以上で数十fs以下にバンチャーにより加速・速度変調圧縮する方法で、プラズマ加速領域の位相空間に整合するフェムト秒領域の短パルス電子を生成する。現状で我々は、本線型加速器用のクライストロンモジュレータ系の製作を終了して所望の性能(350kV,4us)を得て、髙周波電子銃空胴と進行波型バンチャー加速管の具体的な設計をしつつあり、近く製作を開始する。本発表では、加速器の構成やフェムト秒電子バンチを生成可能なビーム光学のシミュレーション結果、製作した装置の現状を報告する。 |
12:22-12:24(WE_SO)13:30-15:30(WE/TH)10:50-12:50(FR) | |
IPPH002 p.1181 | レーザーイオン源の波形制御のためのパルス磁場の検討 Study on pulsed magnetic field for waveform control of laser ion source ○高橋 一匡,葛本 雅之,松本 友樹,佐々木 徹,菊池 崇志(長岡技大) ○Kazumasa Takahashi, Masayuki Kuzumoto, Yuki Matsumoto, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi (Nagaoka Univ. Tech.) レーザーイオン源は固体ターゲット上に高出力のレーザーを集光することによりプラズマを発生させ,印加した電圧によりイオンビームを形成する装置であり, 重イオン慣性核融合や高エネルギー密度科学実験,粒子線医療を実現するための大電流イオンビームを供給できるイオン源としてレーザーイオン源が研究されている.レーザーイオン源はパルスレーザーを使用してアブレーションプラズマを生成するため,その電流波形はインパルス状である.しかし,イオンビームの輸送やエミッタンス低減の観点からは電流波形の変動を抑える必要がある.そこで,能動的に電流波形を平滑化するために,パルス磁場の印加によるプラズマ密度の制御が検討されている.パルス磁場によりプラズマを部分的に収束することができるため,ビーム波形の制御が可能である. 本研究では, よりフラットトップに近いビーム波形を得るためのパルス磁場の印加条件の検討を行った結果について議論する. |
12:24-12:26(WE_SO)13:30-15:30(WE/TH)10:50-12:50(FR) | |
IPPH003 | レーザー加速のエネルギーチャープを積極的に利用したアト秒パルス生成手法の提案 Atto-Second Pulse Generation using Energy Chirp in Laser Accelerator ○金城 良太,田中 隆次(理研放射光センター) ○Ryota Kinjo, Takashi Tanaka (RIKEN) レーザープラズマ加速器は、現行の加速器より桁で高い加速勾配を持つ将来のコンパクト加速器の有力候補である。近年では電子ビームのエネルギーやポインティングの安定性が大きく向上し、エミッタンスも小さいものが得られている。一方で、エネルギーの観点で見た場合の質は低く、電子ビームのエネルギーが先頭から末尾で大きく変化する。本研究では電子ビームの時間-エネルギー関数に、対応する空間-磁場関数を持たせたテーパーアンジュレータを用いて、アト秒パルスを生成する手法を提案する。本会では萌芽的加速器技術の提案セッションで、積極的な議論を行いたい。 |
12:26-12:28(WE_SO)13:30-15:30(WE/TH)10:50-12:50(FR) | |
IPPH004 p.1185 | 軌道偏心加速器における遅い取り出しシミュレーション Simulation of slow extraction from cotangential trajectory accelerator ○青木 孝道,羽江 隆光,中島 裕人,堀 知新,野田 文章,えび名 風太郎,平本 和夫((株)日立製作所) ○Takamichi Aoki, Takamitsu Hae, Yuto Nakashima, Chishin Hori (Hitachi, Ltd.), Fumiaki Noda (Hitachi, Lid.), Futaro Ebina, Kazuo Hiramoto (Hitachi, Ltd.) 従来、粒子線治療用の加速器としてシンクロトロンやサイクロトロンやシンクロサイクロトロンが用いられている。シンクロトロンは取り出しビームのエネルギー可変性と横方向RF印加によるビーム取り出しのON/OFF制御が容易である点が特長であり、サイクロトロンやシンクロサイクロトロンは小型な点が特長である。これらのメリットを両立する新概念の加速器として軌道偏心加速器を案出・提案した。新概念の加速器では各エネルギーの周回軌道が同心円ではなく偏心した配置であり、異なるエネルギーの軌道が密に集まる領域(集約領域)が形成される。本研究の目的は、新概念加速器において、陽子線治療に供する70MeV~235 MeVの範囲での取り出し可能性を評価することである。今回、集約領域の上流側と下流側の動径方向外側にそれぞれピーラー磁場・リジェネレータ磁場なる多極磁場を重畳することで、横方向RF印加による遅い取り出し法の実現に必要なセパラトリクスを形成する手法を考案した。Runge-Kutta法による粒子軌道計算によって横方向RF印加時のターンセパレーションを評価した。結果、70MeVのビーム取り出し時には最大ターンセパレーション8mmが確認され、後段にセプタム電磁石を設置することでビーム取り出しが可能となると考える。 |
12:28-12:30(WE_SO)13:30-15:30(WE/TH)10:50-12:50(FR) | |
IPPH005 p.1189 | 低放射化材料であるチタン製の真空チェンバーを真空ポンプとして用いる手法の開発 Development of the new method to utilize the titanium vacuum chamber as a vacuum pump ○神谷 潤一郎(原子力機構/J-PARC),引地 裕輔(日本アドバンストテクノロジー),和田 薫(東京電子) ○Junichiro Kamiya (JAEA/J-PARC), Yusuke Hikichi (NAT), Kaoru Wada (TOEL) CERNで開発されたNEGコーティングは、ビームパイプ表面に気体分子を吸着する性能を持つゲッター材をコーティングすることでビームパイプそのものを真空ポンプとして活用できる画期的な手法であり、近年他の加速器での利用が広がっている。一方、J-PARC では低放射化材料であるチタンをビームパイプの材料として用いている。チタンは気体分子を吸着するゲッター材である。しかしながら、通常チタン表面は酸化膜に覆われておりゲッター機能はない。この酸化膜をいずれかの方法で除去できればNEGコーティング同様にビームパイプ自身を真空ポンプとして活用できると考えた。酸化膜除去の手法としてスパッタリングを候補とし開発実験を行っている。本会では、チタン製真空容器をビームパイプとして利用するアイデア、開発装置、および開発状況について報告する。 |
施設現状報告ポスター1 (7月31日・8月1日 百周年時計台記念館 国際交流ホール) | |
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FSPH001 | 産総研 電子加速器ベース低速陽電子利用施設の現状 Present status of the AIST electron accelerator based slow positron facility ○大島 永康,滿汐 孝治,オローク ブライアン,鈴木 良一(産総研) ○Nagayasu Oshima, Koji Michishio, Brian O'rourke, Ryoichi Suzuki (AIST) 産業技術総合研究所(産総研)の低速陽電子ビーム利用施設では、専用の電子線形加速器(加速エネルギー40 MeV)を利用した低速陽電子ビーム発生技術の開発と、それを利用した微小空隙の評価・分析技術の開発に取り組んでいる。高エネルギー電子ビーム(パルス幅~1 μs、繰り返し周期50 Hz)をタンタル標的に照射し、制動放射X線の対生成過程によって陽電子を発生させている。これら陽電子を井桁状に組まれたタングステン箔で減速・単色化し、10eV 程度のパルス状低速陽電子ビームを生成している。得られたビームは、リニアストレージと呼ばれる電磁トラップで捕捉後に、準直流的に引き出してさらに短パルス化(100ps)し集束して試料に入射する。試料中の陽電子寿命を測定して、原子空孔欠陥や分子間空隙の分析を行う。最近、密封線源を用いた陽電子源や新ビームポートを新設し、計測の効率化、新分析法の研究もすすめている。当施設の現状について報告する。 |
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FSPH002 p.1193 | 理研RIBFにおけるリングサイクロトロンの運転報告 Status report of the operation of RIBF ring cyclotrons 月居 憲俊,福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○大関 和貴,段塚 知志,藤巻 正樹,藤縄 雅,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,上垣外 修一,金井 保之,加瀬 昌之,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長瀬 誠,長友 傑,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,坂本 成彦,須田 健嗣,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,山澤 秀行(理研仁科センター) Noritoshi Tsukiori, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kazutaka Ozeki, Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Tadashi Fujinawa, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Eiji Ikezawa, Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Yasuyuki Kanai, Masayuki Kase, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Masato Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Hideyuki Yamasawa (RIKEN Nishina Center) 理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン (RRC, fRC, IRC, SRC) の2018年8月から2019年7月までの運転状況を報告する。ビーム強度増強と安定供給に向けて、改造、ビーム調整、保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。 |
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FSPH003 p.1198 | 筑波大学タンデム加速器施設の現状報告 Status report of the tandem accelerator complex at the University of Tsukuba ○笹 公和,石井 聡,高橋 努,大和 良広,田島 義一,松村 万寿美,森口 哲朗,上殿 明良(筑波大応用加速器) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Tsutomu Takahashi, Yoshihiro Yamato, Yoshikazu Tajima, Masumi Matsumura, Tetsuaki Moriguchi, Uedono Uedono (UTTAC) 筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門(UTTAC)では、6 MVタンデム加速器及び1 MVタンデトロン加速器からなる複合タンデム加速器施設の維持管理と運用、および学内外との共同利用研究を推進している。2016年3月より運用を開始した6 MVタンデム加速器は、5台の負イオン源と11本のビームラインを有している。2018年度は学内課題14件、学外共用課題3件(成果専有課題1件を含む)が採択されており、115日間のマシンタイムを実施した。加速器稼働時間は1633.6時間であり、ビーム加速時間は1286.4時間であった。2017年度に引き続き2018年度も、荷電変換フォイル変換機構の動作に再現性がない状況が発生した。2019年3月に加速器タンクを開放して、加速器整備作業と修理をおこなった。6 MVタンデム加速器の利用分野としては、加速器質量分析(AMS)による極微量核種の測定とマイクロビームを用いたイオンビーム分析(IBA)及びラムシフト型偏極負イオン源(PIS)からの偏極陽子ビームを用いた原子核実験などを実施している。また、2018年度から宇宙用素子の放射線耐性試験について本格的な運用を開始している。1 MVタンデトロン加速器については、2011年の震災によってビーム軸がずれていたが、2019年3月の加速器整備時にアライメントを実施した。本報告では、加速器及びビーム実験装置の開発と運用及び整備状況について報告する。 |
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FSPH004 p.1201 | 都市大タンデムの現状(2019年度) Status of the TCU-Tandem (FY2019) ○羽倉 尚人(都市大) ○Naoto Hagura (TCU) 東京都市大学原子力研究所(神奈川県川崎市)には廃止措置中の研究用原子炉「武蔵工大炉」がある。1963年1月から1989年12月まで運転し、中性子放射化分析やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)など様々な目的に使用された。また、全国大学共同利用施設として多くの研究者・技術者・学生を受入れてきた。原子炉施設としては廃止措置段階となったが、RI施設、核燃施設としては継続している。本学工学部原子力安全工学科や、早稲田大学と共同で運営する共同原子力専攻の学生・院生を主な対象としつつ、教育・研究活動を展開している。2013年に新たな実験設備として1.7MVペレトロン・タンデム加速器(都市大タンデム(TCU-Tandem))を導入することを決定し、加速器システムの構築を進めてきた。他機関から譲り受けたものをイオン源、加速管、分析チャンバの順に3年計画で運用可能な状態に整備する計画で実施した。この構築過程も人材育成の一環であると位置づけ、学生とともに作業を進め、また、将来の教材として生かせるよう記録を残すようにした。2018年2月には変更許可がおり、同年5月には施設検査に合格した。本発表では、本加速器システム構築の経緯と今後の研究計画を紹介する。 |
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FSPH005 p.1204 | 広島大学放射光科学研究センター光源加速器の現状 Present Status of HiSOR 後藤 公徳,松葉 俊哉,○加藤 政博,島田 賢也(広島大学) Kimimori Goto, Shunya Matsuba, ○Masahiro Katoh, Kenya Shimada (Hiroshima University) 広島大学放射光科学研究センターは電子シンクロトロンHiSORを中核とする放射光の共同利用・共同研究拠点である。150MeVの入射用マイクロトロンと700MeVの小型シンクロトロン、2台のアンジュレータからなる光源加速器は、1996年の建設稼働以降、20年以上安定に稼働を続けている。共同利用のための年間のビームタイムは1500時間に及び、真空紫外・軟X線領域の放射光を国内外の物質・生命科学を中心とする研究者に供給している。最近では、より高輝度な放射光への要望の高まりを受け、将来計画の検討も進められている。本センター加速器群の現状と将来計画の検討状況を報告する。 |
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FSPH006 p.1206 | 日本大学125MeV電子線形加速器の現状報告 Status Report of 125 MeV Electron Linac at Nihon University ○野上 杏子,早川 建,田中 俊成,早川 恭史,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子(日大量科研),清 紀弘,小川 博嗣(産総研),古川 和朗,道園 真一郎,土屋 公央,吉田 光宏,諏訪田 剛,福田 茂樹,榎本 收志,大澤 哲,山本 樹,新冨 孝和,佐藤 勇(高エネ研) ○Kyoko Nogami, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei, Hiroshi Ogawa (AIST), Kazuro Furukawa, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Mitsuhiro Yoshida, Tsuyoshi Suwada, Shigeki Fukuda, Atsushi Enomoto, Satoshi Ohsawa, Shigeru Yamamoto, Takakazu Shintomi, Sato Isamu (KEK) 2018年度における日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)125MeV電子線形加速器の稼働日数は143日、クライストロン通電時間は約1263時間、電子ビーム加速時間は約358時間であった。稼働日数と通電時間は前年度に比べ増加したが、電子ビーム加速時間は約30%も減少した。これはクライストロン1号機のRF出力窓での放電・出力低下と2号機の集束コイル冷却水漏れへの対応に長期間を費やしたことが原因である。1号機は2018年9月中旬からRF出力窓の放電が頻発し、1ヶ月以上エージングに費やした。1号機が所定のRFパルス幅・出力電力を回復した直後、2号機で集束コイルの冷却水漏れが発生した。この冷却水がオイルタンク内に漏れ出た可能性があるため絶縁オイルを交換したが、消防署への危険物取扱い届出の事前手続きに約1ヶ月かかった。冷却水漏れにより集束コイルの交換が必要だったが、同時にRF窓が破損していた2号機の交換も余儀なくなされた。これらの交換作業に際し2号機導波管の真空排気強化のためRF出力窓直後の2台とさらに下流に設置していた1台、計3台のイオンポンプをより排気速度の高い物に更新した。結局2号機の冷却水漏れが発覚しエージングを再開するまでの約3ヵ月間加速器の運転を停止した。2019年5月の時点でもビーム利用と並行してエージングが進行中である。 |
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FSPH007 p.1210 | iBNCT 加速器の現状報告 2019 Status of the iBNCT Accelerator in 2019 ○杉村 高志,池上 清,帯名 崇,久保田 親,栗原 俊一,小林 仁,佐藤 将春,柴田 崇統,高木 昭,高崎 栄一,内藤 富士雄,南茂 今朝雄,方 志高,福井 祐治,福田 将史,二ツ川 健太,本田 洋介,三浦 太一,宮島 司(高エネ研),熊田 博明,田中 進,名倉 信明,松本 孔貴(筑波大),大場 俊幸,小林 武,堀 利彦,矢部 伸浩,山口 晃典(日本アドバンストテクノロジー),櫻山 久志,豊島 寿一,吉沢 寿夫(アトックス),長谷川 和男(原研) ○Takashi Sugimura, Kiyoshi Ikegami, Takashi Obina, Chikashi Kubota, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Masaharu Sato, Takanori Shibata, Akira Takagi, Eiichi Takasaki, Fujio Naito, Kesao Nanmo, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Masafumi Fukuda, Kenta Futatsukawa, Yosuke Honda, Taichi Miura, Tsukasa Miyajima (KEK), Hiroaki Kumada, Susumu Tanaka, Nobuaki Nagura, Yoshitaka Matsumoto (U.of Tsukuba), Toshiyuki Ohba, Takeshi Kobayashi, Toshihiko Hori, Nobuharu Yabe, Akinori Yamaguchi (NAT), Hisashi Sakurayama, Toshikazu Toyoshima, Hisao Yoshizawa (ATOX), Kazuo Hasegawa (JAEA) いばらき中性子医療研究センターでは、粒子線がん治療法の一つである加速器を用いたホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)の実施を目指し 研究開発を行っている。このプロジェクトではRFQ,DTLを用いて8 MeVの陽子線を作り、 これをベリリウム標的に照射して中性子線源とし治療に用いることにしておりiBNCT(いばらきBNCT)方式と呼んでいる。 ここで用いている、RFQ,DTLはJ-PARCで実績のあるものをほぼそのまま採用しているが、 必要な中性子束を得るためには加速器のデューティーファクターをJ-PARCより高くして運転する必要があり、 この点においては、J-PARCと異なる対応が必要となっている。昨年度の報告以降も平均ビーム電流を上げる調整を続け、 10%のデューティーファクター(1ms,100Hz)まで到達し、平均ビーム電流 2.8mAを得た。 本発表ではこれらの研究開発を紹介すると共に、運転上の問題点等を報告する。 |
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FSPH008 p.1215 | SuperKEKB フェーズ3コミッショニング Start of phase 3 commissioning at SuperKEKB ○大西 幸喜(高エネルギー加速器研究機構) ○Yukiyoshi Ohnishi (KEK) SuperKEKB加速器は、陽電子・電子衝突型円型加速器である。電子と陽電子は、独立した2つの円形加速器に、エネルギー7 GeVの電子と4 GeVの陽電子を蓄積する非対称エネルギーのコライダーである。SuperKEKBプロジェクトは、bクオークを含むB中間子対を大量に作り出し、ごく稀にしか起きない物理現象を観測することで「新しい物理」を発見しようと試みる実験である。そのためには、大量の物理事象、すなわち生成能力の指標となるルミノシティを最終的には今までの加速器の最高値の40倍程度に高める必要がある。これを可能とするために「ナノ・ビーム方式」と呼ばれる新しい方式を採用している。このナノ・ビームでは、衝突点でビームを非常に小さく絞り込むことができる。現在、その被写界深度に相当する衝突点における垂直ベータ関数は、3 mmが達成されており、これは世界最小の値である。今回、フェーズ3の第一段階が2019年3月から6月末にかけて行われた。このフェーズ3の初期運転についての報告を行う。報告では、SuperKEKB加速器の設計思想、現段階におけるルミノシティ性能の達成点とここに至るまでに克服された困難などを紹介する。 |
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FSPH009 p.1220 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンの現状 Present status of the synchrotron at WERC ○栗田 哲郎,羽鳥 聡,林 豊,山田 裕章,廣戸 慎,清水 雅也,山口 文良,淀瀬 雅夫,長崎 真也,大矢 龍輝,渕上 隆太,吉本 淳(若狭湾エネ研) ○Tetsuro Kurita, Satoshi Hatori, Yutaka Hayashi, Hiroaki Yamada, Shin Hiroto, Masaya Shimizu, Fumiyoshi Yamaguchi, Masao Yodose, Shinya Nagasaki, Ryuki Oya, Ryuta Fuchigami, Atsushi Yoshimoto (WERC) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。 シンクロトロンからのビームは、帯域ノイズを用いたRFキッカーによる遅い取り出しを行っている。2016年度からビーム出射制御系の開発に取り組んでおり、継続的にフィードバック制御の高度化などの機能に取り組んでいる。 出射ビームラインのプロファイルモニタに真空リークが発生しており、その対策のために真空容器の構造を改良したプロファイルモニタを開発した。 出射ビームラインの真空系および新プロファイルモニタ、ビーム出射制御系の整備状況について報告する。 |
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FSPH010 p.1224 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report on the operation of RIKEN AVF cyclotron 濱仲 誠,福澤 聖児,石川 盛,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,月居 憲俊,矢冨 一慎,金子 健太,小山田 和幸,田村 匡史,遊佐 陽(住重加速器サービス),○須田 健嗣,藤巻 正樹,福西 暢尚,後藤 彰,長谷部 裕雄,日暮 祥英,今尾 浩士,加瀬 昌之,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長瀬 誠,長友 傑,中川 孝秀,大西 純一,奥野 広樹,大関 和貴,坂本 成彦,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成(理研仁科センター),小高 康照,大城 幸光(東京大学原子核科学研究センター) Makoto Hamanaka, Fukuzawa Seiji, Ishikawa Shigeru, Kobayashi Kiyoshi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi, Kenta Kaneko, Kazuyuki Oyamada, Masashi Tamura, Akira Yusa (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kenji Suda, Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Akira Goto, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada (RIKEN Nishina Center), Yasuteru Kotaka, Yukimitsu Ohshiro (Center for Nuclear Study, University of Tokyo) 理研AVFサイクロトロンの2018年8月から2019年7月までの運転状況について報告する。理研AVFサイクロトロンは、東京大学原子核科学研究センターのCRIBを用いた原子核実験、及びRI製造のための単独加速器として使用されると共に、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器としての役割も担っている。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、及び発生した故障とその対処等について報告する。 |
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FSPH011 p.1229 | 阪大産研量子ビーム科学研究施設の現状報告 Status report of Research Laboratory for Quantum Beam Science, ISIR, Osaka University ○古川 和弥,誉田 義英,磯山 悟朗,岡田 宥平,徳地 明,楊 金峰,近藤 孝文,菅 晃一,神戸 正雄,吉田 陽一(大阪大学 産業科学研究所) ○Kazuya Furukawa, Yoshihide Honda, Goro Isoyama, Yuhei Okada, Akira Tokuchi, Jinfeng Yang, Takafumi Kondoh, Koichi Kan, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 阪大産研量子ビーム科学研究施設はLバンド40 MeV電子ライナック、フォトカソードRF電子銃ライナック、Sバンド150 MeV電子ライナック、コバルト60γ線照射装置を持つ放射線共同利用施設である。Lバンドライナックはナノ秒とサブピコ秒領域のパルスラジオリシスを用いた放射線化学の研究や、FELによる大強度テラヘルツ波の発生と利用に用いられる。昨年度は暗電流トラブルに伴う電子銃カソードの交換や、電子銃高圧電源の更新、高額な消耗品である冷凍機の寿命延長と電気代・騒音の低減のための精密系冷却装置の冷凍機のバイパス改造等を行った。また複数照射室の同時利用に向け、キッカー電源によるビーム振り分け試験を行った。RF電子銃ライナックはフェムト秒・アト秒パルスラジオリシスの研究、超短パルス電子ビーム発生とフェムト秒電子線パルスによるTHz光の発生研究等に用いられる。またRF電子銃を用いた時間分解MeV電子顕微鏡は阪大超高圧電子顕微鏡センターからレンズ系を移設し、試験運転を行った。クライストロンとモジュレータの1組を撤去した150 MeVのSバンドライナックはエネルギースペクトル、ビームローディングの調整・測定を行い、ほぼ従来通りの条件で運転可能なことを確認した。さらに陽電子発生部のモデレータの製作等の機器整備を進め、低速陽電子ビーム生成実験を近日中に開始予定である。本発表では当施設の保守管理・開発の状況に関して報告する。 |
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FSPH012 p.1232 | 京大複合研電子線型加速器施設(KURNS-LINAC)の現状 Status of KURNS-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,窪田 卓見,堀 順一,高見 清(京大複合研) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Takumi Kubota, Jun-ichi Hori, Kiyoshi Takami (KURNS) 京大複合研電子線型加速器施設(KURNS-LINAC)の2018年度の利用運転時間は2,562時間となり、引き続き長時間の利用がなされている。利用ビーム別では、電子線のみで全利用時間の5割弱の1,200時間を超える利用がなされた。以下、中性子線、X線、放射光と続く。 前回の報告からの主なトラブルは、インジェクタ通信モジュールの故障とNo.2モデュレータディスチャージ用真空スイッチの故障による運転停止である。インジェクタ通信モジュールの故障については、導入後10数年が経過したモジュールにおいて、通信エラーを伴う故障が相次いで発生した。対応としては故障の都度、当該モジュールの交換を実施した上で、今後導入している他のモジュールでも故障が発生することが予期されることから、故障前に予備モジュールの用意をすることで、運転停止期間の短縮を図る。No.2モデュレータディスチャージ用真空スイッチの故障において、当該真空スイッチは導入時の1971年頃から使用していた。長期の使用により、ガラス部にはひびが入っており、真空が保たれていない状態であったため、真空スイッチとしての動作ができなくなっていたことが原因である。対応としては予備のガラス部との交換を行い、今後の対策としては同じタイプの真空スイッチは現在入手できないため、利便性も考慮して大気中でも使用可能な高圧スイッチを用意することで、故障時に即時に対応できるようにした。 |
施設現状報告ポスター2 (7月31日・8月1日 国際科学イノベーション棟5階 ホワイエ) | |
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FSPI001 p.1235 | J-PARC加速器の現状 Status of J-PARC accelerators ○長谷川 和男(JAEA),内藤 富士雄(KEK),金正 倫計,小栗 英知,山本 風海,林 直樹,山崎 良雄(JAEA),吉井 正人,外山 毅,山本 昇,小関 忠(KEK) ○Kazuo Hasegawa (JAEA), Fujio Naito (KEK), Michikazu Kinsho, Hidetomo Oguri, Kazami Yamamoto, Naoki Hayashi, Yoshio Yamazaki (JAEA), Masahito Yoshii, Takeshi Toyama, Noboru Yamamoto, Tadashi Koseki (KEK) J-PARCでは2018年の夏季メンテナンス終了後、加速器の立ち上げや調整を経て、3GeVシンクロトロン(RCS)からビームを供給する物質・生命科学実験施設(MLF)での利用運転を10月下旬から再開した。出力は夏前の500kWと同じであるが、利用運転時のリニアックのピークビーム電流値を、夏前の40mAから定格の50mAに上げ、1MWの利用運転に向けたパラメータとした。一方、スーパーカミオカンデの改修やハドロン実験施設の保守や整備などもあり、30GeVのメインリング(MR)のビーム運転は休止したが、その間、繰り返しを速くするための新電磁石電源の試験などを進めた。ビーム利用運転は2月中旬からハドロン実験施設向けに51kWで再開したが、3月18日、RCSからMRへの入射ビームラインでの偏向電磁石1台にコイル層間絶縁不良が発生した。当初計画していた3月下旬の加速器調整期間を使い、不具合部分をバイパスして復旧するまで数日の停止となった。その後調整を行い4月5日にハドロン利用運転を再開したが、再度不具合が発生し、当初7月初旬に予定していた夏季メンテナンスの開始を前倒し、4月24日に利用運転を終了した。2018年度の稼働率は、リニアック、RCSともに安定に運転し、MLF向けは94%であった。またMRでは、ニュートリノ実験施設向けは前年度とほぼ同じ86%、ハドロン実験施設向けは、上記の偏向磁石の不具合の停止も入り74%であった。 |
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FSPI002 p.1240 | 先端加速器施設(ATF)の現状 Status report of the accelerator test facility ○照沼 信浩,久保 浄,黒田 茂,奥木 敏行,内藤 孝,福田 将史,荒木 栄,森川 祐,アリュシェフ アレキサンダー(KEK),阿部 優樹(総研大) ○Nobuhiro Terunuma, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshiyuki Okugi, Takashi Naito, Masafumi Fukuda, Sakae Araki, Yu Morikawa, Alexander Aryshev (KEK), Yu-ki Abe (SOKENDAI) KEKの先端加速器試験施設(ATF)は、国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術、特に衝突ビームに必要なナノメートルビーム技術の開発を進めている。ここでは国際コラボレーション体制の下で、ビーム最終収束システムの試験ビームライン(ATF2)を拠点として、ILCでの衝突ビームサイズ7nm(垂直方向)に対応する37nmの極小ビームの実現、電子・陽電子ビーム衝突を安定にするためのナノメートルレベルでのビーム位置制御技術について開発が行われている。 現在までに、ビーム収束点(仮想衝突点)において41 nmの達成を確認しているが、ビームサイズに対する強い電流依存性があり、バンチ電荷を下げる必要があった。ATFのビームエネルギーはILCの約1/100となる1.3 GeVであり、Wakefieldの影響が強くなることが原因である。ATF2ビームラインは、数10nmの位置分解能を有する空洞型BPM、ナノメートル極小ビームを測定するレーザー干渉縞型ビームサイズモニターがあり、極小ビームに対するWakefieldの研究を進めるのに適した施設と言える。そのため、CERNを中心とする欧州のメンバーの関心も非常に高く、最近の共同研究はWakefieldに関するものが主となっている。これらATFにおけるナノメートルビーム技術開発の現状を報告する。 |
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FSPI003 p.1245 | KEK電子陽電子入射器の現状 Present Status of KEK Electron/Positron Injector Linac ○張 叡,明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,惠郷 博文,榎本 收志,榎本 嘉範,古川 和朗,東 保男,肥後 寿泰,本間 博幸,飯田 直子,池田 光男,梶 裕志,柿原 和久,紙谷 琢哉,片桐 広明,川村 真人,倉品 美帆,松本 修二,松本 利広,松下 英樹,三川 勝彦,三浦 孝子,宮原 房史,中島 啓光,夏井 拓也,西田 麻耶,小川 雄二郎,邱 丰,佐武 いつか,佐藤 政則,清宮 裕史,白川 明広,杉村 仁志,諏訪田 剛,竹中 たてる,田中 窓香,峠 暢一,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏,周 翔宇(高エネルギー加速器研究機構) ○Rui Zhang, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Hiroyasu Ego, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Kazuro Furukawa, Yasuo Higash, Toshiyasu Higo, Honma Hiroyuki, Naoko Iida, Mitsuo Ikeda, Hiroshi Kaji, Kazuhisa Kakihara, Takuya Kamitani, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Miho Kurashina, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Matsushita Hideki, Katsuhiko Mikawa, Takako Miura, Fusashi Miyahara, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Maya Nishida, Yujiro Ogawa, Feng Qiu, Itsuka Satake, Masanori Satoh, Yuji Seimiya, Akihiro Shirakawa, Hitoshi Sugimura, Tsuyoshi Suwada, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Nobu Toge, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou (KEK) The KEK electron/positron injector linac has been updated for SuperKEKB phase III. The early stage of phase III commissioning started from this March. With the purpose of generating high charge electron beam with low emittance and low energy spread for the large stored current and short lifetime of SuperKEKB ring, high pulse energy laser driven RF gun is adopted as the sole electron source for SuperKEKB commissioning. Meanwhile, the positron beam with highs quality is produced with the upgraded positron capture section and damping ring. In addition, the simultaneous injection mode is available for SuperKEKB, PF and PF-AR injection. The present status and achievements of this commissioning are introduced. |
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FSPI004 p.1250 | 京都大学自由電子レーザ施設の現状 Present status of free electron laser facility at Kyoto University ○全 炳俊,Krainara Siriwan,紀井 俊輝,大垣 英明(京都大学エネルギー理工学研究所) ○Heishun Zen, Siriwan Krainara, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー材料研究への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。加えて、2018年度から中赤外自由電子レーザにより駆動するガス高次高調波アト秒光源の実現に向けた基盤技術研究を開始した。また、近年、光陰極高周波電子銃を電子源として用いたコヒーレントアンジュレータ放射光源の開発も行っている。本報告では、これら光源の現状について報告する。 |
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FSPI005 p.1254 | ニュースバル放射光施設の現状 Present status of the NewSUBARU synchrotron light facility 橋本 智,庄司 善彦,宮本 修治(兵庫県立大 高度研),○皆川 康幸,鍛治本 和幸,濱田 洋輔(高輝度センター) Satoshi Hashimoto, Yoshihiko Shoji, Shuji Miyamoto (LASTI, Univ. of Hyogo), ○Yasuyuki Minagawa, Kazuyuki Kajimoto, Yousuke Hamada (JASRI) 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所の運用する、ニュースバル放射光施設加速器の現状を報告する。本施設は、周長118mの電子蓄積リングと9本の放射光ビームラインで構成されている。入射電子ビームはSPing-8線形加速器から供給されており、1GeV/300mA±0.2mAのTopUp 運転、および週に1、2日は1.5GeV/350mAの加速/Decay運転を行なっている。2018年度の加速器の運転では大きなトラブルがいくつかあり、利用運転停止時間は例年より少し多い39時間程度になっている。トラブルの内容としては、逆偏向電磁石の補助電源の発振、バンプ電磁石のトラブル、RF信号系のトラブルが発生している。ニュースバル放射光施設は、建設から20年が経過し、故障する機器が多くなってきており、順次更新を行なっていく方向である。また、入射器を新設する予定であり、クライストロンを収納する建物は今年の4月に竣工している。加速器の性能改善として、チューンフィードバックシステムの開発やガンマ線ビームラインのための減速運転&ガンマ線計測自動化の開発が進行中である。 |
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FSPI006 p.1257 | KEKコンパクトERLの現状 Present status of the compact ERL at KEK ○加藤 龍好(高エネ研, 超伝導加速器利用推進チーム) ○Ryukou Kato (Utilization Promotion Team based on Superconductive Accelerator, KEK) エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac, ERL)の小型実証機として建設されたコンパクトERLは、KEKロードマップの改訂により、次期放射光計画のR&D機から、ERL技術の産業応用を念頭に置いた超伝導加速器利用のための開発機にその役割を変更した。2018年度は6月に1mA CW運転を再現し、DC電子銃の500 kV長期安定運転の実証や、誘導放出による 共振器型CDRの広帯域テラヘルツ発振を観測した。また核医学用検査薬の国内での製造やアスファルトの長寿命化の基礎的な研究のために、民間資金の導入によって照射部ビームラインが建設された。さらに2019年度にはNEDOの資金による中赤外FELの建設も予定されている。ここでは2018年度のコンパクトERLの保守・維持の状況と運転により得られた成果の概略、今後のコンパクトERL利用について報告する。 |
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FSPI007 p.1260 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○高嶋 圭史,保坂 将人,郭 磊,石田 孝司(名大SRセンター),櫛田 正己,平山 英之,金木 公孝(スプリングエイトサービス),大熊 春夫(大阪大学),加藤 政博(広島大学),竹田 美和(AichiSR) ○Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Lei Guo, Takashi Ishida (Nagoya Univ.), Masami Kushida, Hideyuki Hirayama, Kimitaka Kaneki (SES), Haruo Ohkuma (Osaka Univ.), Masahiro Katoh (Hiroshima Univ.), Yoshikazu Takeda (AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、愛知県の協力によって建設され、あいちSRが運営してきた。2013年3月26日の供用開始から今年で7年目となる。加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから成っている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、12台の偏向電磁石のうち、4台はピーク磁場5T、偏向角12°の超伝導電磁石、8台は磁場強度1.4 T、偏向角39°の常伝導電磁石である。直線部にはAPPLE-II型アンジュレータ1台が設置されている。供用開始当時のシンクロトロン光ビームラインは6本であったが、現在では企業専用および大学によるビームラインそれぞれ1本を含む11本のビームラインが稼働している。2018年度における加速器の総運転時間は2022時間であり放射光ユーザーの利用時間は1460時間であった。計画されたユーザー利用運転時間に対して光源が運転できなかった時間は約6時間であり、稼働率は約99.6 %であった。本発表では、あいちSR光源加速器の現状について報告する。 |
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FSPI008 | 東北大CYRICのサイクロトロン加速器施設の現状報告 Present status of the cyclotron facility at CYRIC in Tohoku University ○伊藤 正俊,松田 洋平,石橋 陽子,寺川 貴樹,田中 香津生(東北大CYRIC),高橋 研,高橋 直人,本間 隆之,鈴木 惇也,赤繁 佑樹(住重加速器サービス) ○Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda, Yoko Ishibashi, Atsuki Terakawa, Kazuo Tanaka (CYRIC, Tohoku University), Ken Takahashi, Naoto Takahashi, Takayuki Honma, Jyunya Suzuki, Yuki Akashige (SHI Accelerator Service Ltd.) 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)は、サイクロトロン加速器の多目的利用および高レベルRI、サイクロトロン生成短寿命核RIの利用、RI安全の取扱いの教育・訓練を行うために設立された東北大学の学内共同利用施設である。現在、2台のサイクロトロン加速器、930型AVFサイクロトロンとHM-12サイクロトロンを用いて、理 工学およびライフサイエンスの研究に利用している。 近年では、阪大RCNP、理研、東北大ELPH、量研機構等の加速器施設とともに短寿命核RI供給プラットフォームや、上記施設に名古屋大・J-PARC等を加え、さらに企業17社と量子アプリ共創コンソーシアムを形成し、RI利用研究および量子を高度にコントロールし、産業に実用化するための基盤技術開発を推進している。本発表では、最近の加速器運転状況および、ビーム大強度化のための開発状況等を報告する。 |
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FSPI009 | IFMIF原型加速器の現状 Status of IFMIF Prototype Accelerator ○春日井 敦,赤木 智哉,蛯沢 貴,熊谷 公紀,近藤 恵太郎,坂本 慶司,下崎 義人,新屋 貴浩,杉本 昌義,平田 洋介,前原 直(量研/六ヶ所),カラ フィリップ(IFMIF/EVEDAプロジェクトチーム),カリン ヤン,ジッコ エルベ,ジェックス ドミニク,ヨキネン アンティ,モヤ イワン,フィリップス ガイ(F4E),ファゴッティ エンリコ,プルネリ ジュゼッペ,スカンタンビューロ フランチェスコ(INFN),ヒメネス ダビド,マルチェーナ アルバロ,ポダデラ イワン,ウェーバー モイセス(CIEMAT),ボルゾン ベノア,マロンクル ジャック(CEA/Saclay) ○Atsushi Kasugai, Tomoya Akagi, Takashi Ebisawa, Koki Kumagai, Keitaro Kondo, Keishi Sakamoto, Yoshito Shimosaki, Takahiro Shinya, Masayoshi Sugimoto, Yosuke Hirata, Sunao Maebara (QST/Rokkasho), Philippe Cara (IFMIF/EVEDA PT), Yann Carin, Herve Dzitko, Dominique Gex, Antti Jokinen, Ivan Moya, Guy Phillips (F4E), Enrico Fagotti, Giuseppe Pruneri, Francesco Scantamburlo (INFN), David Jimenez, Alvaro Marchena, Ivan Podadera, Moises Weber (CIEMAT), Benoit Bolzon, Jacque Marroncle (CEA/Caclay) 2007 年より核融合エネルギー分野における日本と欧州による国際共同事業の一つとして始まった 強力中性子源である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA) では、IFMIF の工学設計・主要機器の製作・試験を行い、IFMIFの建設判断に必要な技術実証を行うことが最大のミッションである。IFMIF原型加速器はLIPAc(Linear IFMIF Prototype Accelerator)と呼ばれ、重水素イオン源(入射器)−高周波四重極加速器(RFQ)−中間エネルギービーム輸送系(MEBT)−超伝導加速器(SRFリニアック)−診断系(D-Plate)−高エネルギービーム輸送系(HEBT)−ビームダンプ(BD)から構成される重陽子線形加速器である。これまでに超伝導加速器を除く全ての機器がビームラインに設置され、2019年からはRFQでの重陽子加速試験も開始された。SRFリニアックについても六ヶ所核融合研究所に整備したクリーンルームにおいて組み立てを開始し、2019年度中に完成する予定である。2019年度にはSRFリニアックの代わりにドリフトチューブを挿入した系を用いて大電力のビームダンプまでビームを導く長パルスビーム試験を開始する予定である。 |
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FSPI010 p.1263 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present status of rilac 田村 匡史(住重加速器サービス株式会社),○池沢 英二(理研仁科加速器科学研究センター),大木 智則,山内 啓資,小山田 和幸,遊佐 陽,金子 健太(住重加速器サービス株式会社),渡邉 裕,上垣外 修一(理研仁科加速器科学研究センター) Masashi Tamura (SHI Accelerator Service, Ltd.), ○Eiji Ikezawa (RIKEN Nishina Center), Tomonori Ohki, Hiromoto Yamauchi, Kazuyuki Oyamada, Akira Yusa, Kenta Kaneko (SHI Accelerator Service, Ltd.), Yutaka Watanabe, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器科学研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、1981年に単独運転が開始され、今年で39年目を迎えた。1986年には後段の理研リングサイクロトロン(RRC)のための入射器としての運転も開始し、2006年には理研RIビームファクトリー(RIBF)の複合加速器ための入射器としての運転も開始した。これまでにビームの強度及びエネルギーの増強として、1990年には500kV静電型入射器に搭載されたPIGイオン源に代えて永久磁石型8GHz-ECRイオン源(8GHz-NEOMAFIOS)を導入した。1996年には18GHz-ECRイオン源と周波数可変型RFQで構成される入射器を導入した。2000年には6台の共振器で構成されるビームエネルギーブースターを導入した。現在は新たなビーム強度の増強として超伝導ECRイオン源(28GHz-SCECRIS)及び超伝導リニアック(SRILAC)の導入が進められている。28GHz-SCECRISは試運転を行っている。SRILACは超伝導空洞及びHe冷凍機が設置された。ビームラインは整備作業が行われている。コントロール室は改装作業が行われている。また、新たな実験装置の導入が進められている。老朽化対策では、No.5高周波共振器内の真空シール材交換作業後に真空排気試験を行い到達真空度が約40年前の完成時の値に回復した。ブースターA1の真空漏れ修理も完了した。本発表ではこの加速器の現状報告として、この10年間の運転状況、及びこの1年間における保守作業などについて報告する。 |
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FSPI011 | 名古屋大学加速器中性子源NUANS Nagoya University Accelerator-driven Neutron Source, NUANS 鬼柳 善明,土田 一輝,瓜谷 章,清水 裕彦,渡辺 賢一,吉橋 幸子,釣田 幸雄,市川 豪,山崎 淳(名古屋大学),○広田 克也,今城 想平(大阪大学),土川 雄介(JAEA) Yoshiaki Kiyanagi, Kazuki Tsuchida, Akira Uritani, Hirohiko Shimizu, Ken-ichi Watanabe, Sachiko Yoshihashi, Yukio Tsurita, Go Ichikawa, Atsushi Yamazaki (Nagoya Univ.), ○Katsuya Hirota, Sohei Imajo (Osaka Univ.), Yusuke Tsuchikawa (JAEA) 名古屋大学では陽子静電加速器を利用した中性子源NUANSを構築している。この中性子源は2つのターゲットステーションを持ち、それぞれ熱外中性子によるBNCTへの応用を目指したBL1及び熱中性子を利用した中性子透過像測定(radiography)や検出器開発を行うBL2となっている。加速器はIBA社のdynamitronであり、最大2.8MeV、15mAの陽子が加速可能である。中性子発生ターゲットとしてBL1ではリチウムを、Bl2ではベリリウムを利用している。加速器の調整が進み、昨年2018年度には両ターゲットステーションにおいて中性子の発生が確認されている。現在は加速器の調整を行いながら中性子強度の増大を進めつつ、細胞照射実験や産業利用を意識した中性子透過像測定を進めている。本発表ではこの名古屋大学加速器中性子源NUANSの現状を報告する。 |
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FSPI012 p.1266 | HIMAC加速器の現状報告 Present status of HIMAC 水島 康太,阿部 康志,稲庭 拓,岩田 佳之,浦田 昌身,○片桐 健,北川 敦志,早乙女 直也,佐藤 眞二,高田 栄一,野田 悦夫,原 洋介,古川 卓司,村松 正幸,李 聖賢,白井 敏之(量研/放医研),大内 章央,川島 祐洋,小林 千広,田久保 篤,中島 猛雄,藤本 哲也,若勇 充司(加速器エンジニアリング) Kota Mizushima, Yasushi Abe, Taku Inaniwa, Yoshiyuki Iwata, Masami Urata, ○Ken Katagiri, Atsushi Kitagawa, Naoya Saotome, Shinji Sato, Eiichi Takada, Etsuo Noda, Yousuke Hara, Takuji Furukawa, Masayuki Muramatsu, Sung-hyun Lee, Toshiyuki Shirai (QST/NIRS), Masao Oouchi, Masahiro Kawashima, Chihiro Kobayashi, Atsushi Takubo, Takeo Nakajima, Tetsuya Fujimoto, Mitsuji Wakasa (AEC) 放射線医学総合研究所(放医研)は、1993年に重粒子線がん治療用加速器HIMACを建設し、炭素イオンを用いた重粒子線がん治療を行ってきた。1994年の治療開始から今年で26年目を迎え、現在までの重粒子がん治療の登録患者数は延べ12000人以上となっている。2010年にはHIMACの既存施設に連結する形で新治療研究棟を建設し、複雑な腫瘍形状や治療期間中における腫瘍形状の変化にも対応可能な三次元スキャニング照射法を適用した治療を2011年から開始している。また、2017年からは超伝導電磁石を用いた回転ガントリー照射装置による治療も開始され、0-360度の角度範囲から任意の方向を選択して照射できるようになり、より良い治療成果が期待されている。 現在放医研では、レーザー駆動イオン加速技術を用いた入射器やシンクロトロンへの超伝導電磁石技術の適用などによって実現される次世代の小型重粒子線治療装置「量子メス」の研究開発を進めている。この「量子メス」プロジェクトでは、複数のイオン種を組み合わせて照射するマルチイオン照射法の確立による難治性がんの治療成績向上や治療期間の短縮などの治療高度化も目指しており、それに関連した研究開発もあわせて進められている。本発表では、最近の研究開発の概要を紹介するとともに、運用の現状について報告を行う。 |
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FSPI013 p.1270 | 原子力機構-東海タンデム加速器の現状 Status of JAEA-Tokai Tandem Accelerator ○松田 誠,株本 裕史,田山 豪一,中村 暢彦,沓掛 健一,乙川 義憲,遊津 拓洋,松井 泰,石崎 暢洋,長 明彦(原子力機構) ○Makoto Matsuda, Hiroshi Kabumoto, Hidekazu Tayama, Masahiko Nakamura, Ken-ichi Kutsukake, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu, Yutaka Matsui, Nobuhiro Ishizaki, Akihiko Osa (JAEA) 原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、 核物理、核化学、原子物理、材料照射などの分野に利用されている。 昨年度の利用運転日数は138日であり、主として核物理実験に利用された。 最高加速電圧は16.5MVであった。 新たにタンデム加速器の入射ビームラインにビームアッテネータを設置し、 ビーム電流の制御を容易にし、かつ荷電変換フォイルの消耗を最小化できるようにした。主な整備事項として、約7万時間使用したペレットチェーンおよび、約9年使用した高電圧端子内発電機の駆動モーターの交換を行った。最近のビーム電流の増強によりビームプロファイルモニターのワイヤーがビームで溶断するトラブルが2件発生した。その他建家の酸欠モニタの電源故障が発生した。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。 |
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FSPI014 p.1274 | 京都大学複合原子力科学研究所FFAG加速器現状報告 Status report on fixed field alternating gradient accelerators in KURNS ○上杉 智教,石 禎浩,栗山 靖敏,沖田 英史,菅 啓大,森 義治(京都大学複合原子力科学研究所) ○Tomonori Uesugi, Yoshihiro Ishi, Yasutoshi Kuriyama, Hidefumi Okita, Keita Suga, Yoshiharu Mori (Integrated radiation and nuclear science, Kyoto university) 京都大学複合原子力科学研究所(旧原子炉実験所)FFAG加速器のユーザー実験を含む運転状況と、ビームの品質、今後の課題とアップグレード計画について報告する。 |
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FSPI015 p.1277 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告2019 Status report of Center for Accelerator and Beam Applied Science of Kyushu University in 2019 ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,魚住 裕介,執行 信寛(九大工),森田 浩介,若狭 智嗣,寺西 高,坂口 聡志,藤田 訓裕,郷 慎太郎,岩村 龍典(九大理),中山 久義,高木 昭(高エネ研),森 義治(京大) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo (Faculty of Engineering, Kyushu University), Kosuke Morita, Tomotsugu Wakasa, Takashi Teranishi, Satoshi Sakaguchi, Kunihiro Fujita, Shintaro Go, Tatsunori Iwamura (Faculty of Science, Kyushu University), Hisayoshi Nakayama, Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (Kyoto University) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFAG加速器と8 MVタンデム静電型加速器を利用した加速器施設の整備が進められている。FFAG加速器棟では、ビーム利用へ向けた施設整備と並行して、FFAG加速器の性能向上を目的とした加速器要素技術の研究が行われている。タンデム加速器棟・実験棟では、タンデム加速器のビーム強度増強のための機器調整と本格的なビーム利用へ向けた実験室の整備が進められている。本発表では、FFAG加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。 |
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FSPI016 p.1279 | 東北大学電子光理学研究センター加速器群の現状 Current status of accelerator complex in research center for electron photon science at Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,鹿又 健,柴崎 義信,柴田 晃太朗,髙橋 健,長澤 育郎,南部 健一,三浦 禎雄,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大電子光) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Yoshinobu Shibasaki, Kotaro Shibata, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Sadao Miura, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センター(ELPH)では,共同利用・共同研究拠点として,1.3 GeV Booster Storageリング(BST)において制動放射により生成した高エネルギーガンマ線を用いたクォーク・ハドロン核物理の研究をはじめ,60 MeV大強度電子線形加速器を用いたRI製造や核・放射化学の研究,さらには50 MeV試験加速器(t-ACTS) での超短パルス電子ビーム生成やこれを用いた光源開発の研究などが進められている.1997年に運転を開始し老朽化が心配となっていたBSTリングのクライストロン電源に替えて、本年の2月に新たに半導体アンプを用いた高周波源を導入し、これにより近年の懸案であった運転経費の節減が図られている。またRI製造用大強度線形加速器では、新たに極低運動量移行電子弾性散乱による陽子半径測定を実施するためのビームラインの構築が進められていて、今年度の運転開始を目指している。学会では、これら加速器群の現状や今後の予定などについて報告する. |
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FSPI017 p.1282 | 放医研サイクロトロン施設の現状報告 Status report of NIRS cyclotron facility ○北條 悟,涌井 崇志,片桐 健,杉浦 彰則,宮原 信幸(量研機構 放医研),岡田 高典,立川 裕士(加速器エンジニアリング株式会社),白井 敏之(量研機構 放医研) ○Satoru Hojo, Takashi Wakui, Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Nobuyuki Miyahara (QST NIRS), Takanori Okada, Yuji Tachikawa (AEC), Toshiyuki Shirai (QST NIRS) 量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所(放医研)のサイクロトロン施設では、放射性同位元素の製造を主目的とした2台のサイクロトロンが稼働している。1台は、1974年に運転を開始したNIRS-930サイクロトロンで、もう1台は、1994年に運転を開始したPET診断用核種製造専用のHM-18サイクロトロンである。NIRS-930は、放射性同位元素の製造以外に物理実験や生物実験等にも利用されており、2018年度の総運転時間は1731時間であった。故障による停止時間は17時間で、その要因としては、主に電磁石電源や電力管用高圧電源の故障による停止があった。また、HM-18の総運転時間は1686時間であった。故障による停止時間は19時間で、その要因は内部イオン源から真空中への漏水によるものであった。 本発表では、放医研のサイクロトロン施設の利用状況や運転状況等について報告する。 |
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FSPI018 | RCNPサイクロトロン施設の現状 Status of the RCNP Cyclotron Facility ○神田 浩樹,福田 光宏,畑中 吉治,関 亮一,森信 俊平,齋藤 高嶺,依田 哲彦,友野 大,中尾 政夫,鎌倉 恵太,田村 仁志,永山 啓一,安田 裕介,原 周平,Koay Hui Wen,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文,大本 恭平(阪大RCNP) ○Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda, Kichiji Hatanaka, Ryoichi Seki, Shunpei Morinobu, Takane Saito, Tetsuhiko Yorita, Dai Tomono, Masao Nakao, Keita Kamakura, Hitoshi Tamura, Keiichi Nagayama, Yasuda Yuusuke, Hara Shuhei, Hui Wen Koay, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara, Kyohei Omoto (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)ではK140 AVFサイクロトロンと K400リングサイクロトロンを稼働しており、原子核物理学、加速器科学、 情報科学、物性物理学、宇宙物理学、医学等に向けたビームの利用を 推進している。ビーム強度をこれまでより10倍に増強する目的で、 2019年2月に加速器運転を終了し、2020年度にかけてAVFサイクロトロン 本体や付属機器類、施設の老朽化対策および性能の向上を目的とした 集中メンテナンス、アップグレードを実施している。 AVFサイクロトロンのアップグレードとしては大強度高品質一次ビームの供給を 中心とし、近年需要の増えてきたRI製造能力の向上を図るとともに、ミューオンや 中性子、RIビームといった二次粒子ビームおよび高分解能ビームの強度の増大を 図る。施設のアップグレードとしては、大強度化するビームに対応した遮蔽増強や 冷却能力の向上、RI排水施設の更新によるRI取扱い能力の向上を図る。施設改修を 2019年度末までかけて実施し、AVFサイクロトロンの改造を2019年中頃から 約1年かけて実施する予定で作業を進めており、改修後の2020年度末頃には 更新作業と加速器のコミッショニングを完了してビーム供給を開始する予定である。 この発表では、2018年度のサイクロトロン施設の稼働状況と実績、また集中 メンテナンスとアップグレードの計画と現在の状況に関して報告を行う。 |
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FSPI019 p.1285 | QST高崎イオン照射研究施設(TIARA)の現状報告 Present status of TIARA at QST 湯山 貴裕,倉島 俊,千葉 敦也,吉田 健一,山田 圭介,石坂 知久,横山 彰人,平野 貴美,○細谷 青児,宮脇 信正,柏木 啓次,百合 庸介,佐藤 隆博,石堀 郁夫,奥村 進,奈良 孝幸(量研 高崎) Takahiro Yuyama, Satoshi Kurashima, Atsuya Chiba, Ken-ich Yoshida, Keisuke Yamada, Tomohisa Ishizaka, Akihito Yokoyama, Yoshimi Hirano, ○Seiji Hosoya, Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Yosuke Yuri, Takahiro Satoh, Ikuo Ishibori, Susumu Okumura, Takayuki Nara (QST Takasaki) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)では、AVFサイクロトロン(K110)、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の4台の加速器を有し、材料・バイオ技術の研究開発への利用を主として、広範囲のエネルギー及び多様なイオン種のビームを提供している。施設の稼働状況として、3台の静電加速器については順調に利用運転を継続しており、サイクロトロンについては約10ヶ月の期間運転を停止し、後述するメインコイル更新作業を実施している。静電加速器の技術開発として、タンデム加速器に搭載する高強度C60負イオン源の開発を進めており、C60とヨウ化セシウムを同時に昇華することで、ビーム電流量と安定性を向上させる手法を見いだした。サイクロトロンでは2016年度にメインコイルの層間短絡が発生したため短絡層をバイパスする応急処置を施し、ビームエネルギーを約6割まで下げた状態で運転を継続してきたが、これを復旧するために、メインコイル全体を更新する作業を実施した。更新の主な作業として、サイクロトロンの分解、新旧メインコイル搬出入口の開口・閉塞工事、メインコイルの搬出入、サイクロトロン組立、復旧後の通電、動作試験などを実施した。本発表では、上記内容に加え、2018年度に実施した保守・整備及び技術開発、施設の利用状況について報告する。 |
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FSPI020 p.1289 | KEK放射光源加速器PFリングとPF-ARの現状 PRESENT STATUS OF PF RING AND PF-AR AT KEK ○小林 幸則(KEK加速器研究施設) ○Kobayashi Yukinori (Accelerator Laboratory, KEK) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光科学研究施設(フォトンファクトリー:PF)は、1982 年から今日まで36年の長きにわたり大学共同利用を中心にした運営を行い、物質科学および生命科学を中心にした基礎科学の発展に貢献してきた。現在では、2.5GeV PFリングと6.5 GeV PFアドバンストリング(PF-AR)の2つの放射光専用リングを運転し、年間3,500 人を超えるユーザに対して紫外線からX線までの放射光を供給している。PFリングでは、2017年度より大学共同利用機関法人に係る重点支援「放射光施設ビームラインを活用した産業界等におけるイノベーション創出の推進」、および新学術領域研究「水惑星学の創成」によって、軟X線ビームラインBL-19の建設が開始できた。PF-ARでは、直接入射路完成から安全インターロックの整備や放射線サーベイ等の各種調整を行ない、さらに入射器においてPFリングとPF-ARとの同時入射(ミリ秒で入射の切り替えへが可能)の準備が整ったことから、2018年秋の運転から6.5GeVでのトップアップ運転を開始した。本年会では、最近のPFリングとPF-ARの運転状況について報告する。 |
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FSPI021 | UVSORの現状2019 Status of UVSOR-III in 2019 ○藤本 將輝,山崎 潤一郎,林 憲志,手島 史綱,水口 あき(分子研UVSOR),加藤 政博(分子研UVSOR, 広島大HiSOR) ○Masaki Fujimoto, Junichiro Yamazaki, Keinji Hayashi, Fumitsuna Teshima, Aki Minakuchi (UVSOR, IMS), Masahiro Katoh (UVSOR, IMS and HiSOR, Hiroshima Univ.) 分子科学研究所の放射光用蓄積リングUVSOR-IIIの現状と加速器および光源開発状況を報告する。UVSORは1983年のファーストライト以降、高度化を目的とした2度にわたる大規模改修を行い、現在、電子エネルギー750MeV、電流値300mAでのトップアップ運転を行っている。UVSORでは6基のアンジュレータを主軸とした計14本のビームラインが稼働しており、高度化に伴いエミッタンスが17nm-radまで抑えられたことにより真空紫外から軟X線領域の高輝度光が供給可能である。2018年度は200件を超える利用課題が採択されており、ユーザー数は延べ1300人ほどであった。一方、マシン各部で冷却水漏れなどの老朽化によるトラブルが多発しており、対策に追われている。光源開発研究は、引き続き放射光による光渦やベクトルビームの発生とその利用法開拓が他研究機関との共同研究のもと行われている。また、LCSガンマ線の発生を目的としたビーム同期レーザーの入射系の整備を進めており、2018年度よりガンマ線ビーム利用を開始した。 |
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FSPI022 p.1293 | 東大ライナック・レーザー施設報告 2019 STATUS REPORT OF LINAC/LASER FACILITY OF UNIVERSITY OF TOKYO IN 2019 ○橋本 英子,山下 真一,上田 徹,安見 厚志,土橋 克広(東京大学原子力専攻),三津谷 有貴(東京大学総合研究機構),草野 譲一,田辺 英二(アキュセラ),上坂 充(東京大学原子力専攻) ○Eiko Hashimoto, Shinichi Yamashita, Toru Ueda, Atsushi Yasumi, Katsuhiro Dobashi (Department of Nuclear Engineering and Management, University of Tokyo), Yuki Mitsuya (Institute of Engineering Innovation, University of Tokyo), Joichi Kusano, Eiji Tanabe (Accuthera Inc.), Mitsuru Uesaka (Department of Nuclear Engineering and Management, University of Tokyo) We operate various accelerators; S-band linacs, heavy irradiation system, and X-band linacs at the Nuclear Professional School, University of Tokyo. S-band linacs was celebrating its 40th anniversary in 2018, since the operation work was started. We avail ourself of the research in radiation chemistry used by very-short pulse beam, quantum beam engineering. In heavy irradiation system, ion beam are generated by 1MV Tandetron and 3.75MV Van de Graff accelerator. We investigate the radiation-induced phenomena which is observed by microstructure, chemical analysis and mechanical properties. We have developed 950 keV/3.95 MeV X-band electron linac-based X-ray sources for on-site bridge inspection and visualized the inner structure of a lower floor slab. These systems can visualize in seconds the inner states of bridges, including cracks of concrete, location and state of wires and other imperfections. |
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FSPI023 | 先端オペランド計測技術開発のためのSバンド小型電子リニアック・超短パルスレーザー施設の現状 Present status of S-band compact electron linac and ultra-short pulse laser facility for advanced Operando-measurement technology ○黒田 隆之助(産総研OPERANDO-OIL),田中 真人,小川 博嗣,佐藤 大輔,澁谷 達則,三浦 永祐,豊川 弘之,O'Rourke Brian,大島 永康(産総研),盛合 靖章,寺澤 英知(産総研Operando-OIL) ○Ryunosuke Kuroda (OPERANDO-OIL, AIST), Masahito Tanaka, Hiroshi Ogawa, Daisuke Sato, Tatsunori Shibuya, Eisuke Miura, Hiroyuki Toyokawa, Brian O'rourke, Nagayasu Oshima (AIST), Yasuaki Moriai, Eichi Terasawa (Operando-OIL, AIST) 産総研では、これまでSバンド小型リニアック施設において、超短パルス電子ビームや超短パルスレーザーによるレーザーコンプトン散乱X線やコヒーレント・テラヘルツ光源、短パルスガンマ線源の開発を行い、医療応用や産業応用等、各種先端計測技術開発に用いたきた。現在は、これら光・量子ビームを水溶液中のタンパク質の挙動計測や、レーザー照射中の材料変化計測など、先端オペランド計測技術の開発へと展開している。本年会では、産総研施設の現状について報告する。※この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」の結果により得られたものです。 |