特別講演 (8月7日 ホテルニューオータニ長岡 NCホール) | |
18:30 - 20:00 | |
TUOLS01 | 加速器で探る宇宙の謎 Exploring the Mysteries of the Universe with the accelerator ○村山 斉(カリフォルニア大学バークレー校、 東京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構) ○Hitoshi Murayama (UC Berkeley, Kavli IPMU, Univ. of Tokyo) 私たちはどこから来たのか。この人類誕生以来の疑問に答えるためには、どうしてもタイムマシンが欲しくなります。実は、「加速器」は宇宙の始まり直後に起きていたことを実験室で再現する、一種のタイムマシンということができます。私たちの存在は、暗黒物質というお母さんから生まれ、「顔なし」の粒子であるヒッグスに支えられています。このどちらもまだ正体がわかっていません。加速器を使ってこうした宇宙の謎を探っていく冒険についてお話しします。 |
合同セッション (8月8日 合同会場) | |
9:50 - 10:20 | |
WEOLP01 p.1 [Slides] | SuperKEKBフェーズ2におけるコミッショニングの成果 Report on SuperKEKB Commissioning in Phase 2 ○大西 幸喜(高エネルギー加速器研究機構) ○Yukiyoshi Ohnishi (KEK) SuperKEKB加速器は、陽電子・電子衝突型円形コライダーである。大量にB中間子生成を行い、その崩壊過程から稀に起こる新しい物理を含む物理事象を発見することを目的とする。非常に稀な事象であるため、高統計のデータを必要とする。したがって、最終的に目標とするルミノシティは8x1035 cm-2s-1という前例のない高いものとなっている。約2年前に、真空焼き出し、および低エミッタンス調整を目的としたフェーズ1運転を行った。今回、新しく最終収束系磁石とBelle II測定器を導入して、フェーズ2と呼ばれる衝突実験に向けた調整運転を行ったので、その成果について報告する。フェーズ2における目標は、第一に、「ナノビーム」方式と呼ばれる世界でも類のない衝突方式を検証することにある。次に、測定器に対するビームに起因するバックグランドを低減することも目標とする。これらを実現するための陽電子と電子メインリング、入射器、陽電子ダンピングリングを紹介する。また入射器は、2つのSuperKEKBメインリングだけでなく、PFとPF-ARにも電子ビームの「振り分け入射」を行っていることも報告する。 |
10:20 - 10:50 | |
WEOLP02 p.7 [Slides] | IFMIF/EVEDA原型加速器のRFQビームコミッショニング RFQ Beam commissioning of IFMIF/EVEDA prototype accelerator ○近藤 恵太郎,赤木 智哉,一宮 亮,蛯沢 貴,春日井 敦,坂本 慶司,新屋 貴浩,杉本 昌義,平田 洋介,前原 直(量研/六ヶ所),ファゴッティ エンリコ,プルネリ ジュゼッペ,スカンタンビューロ フランチェスコ(INFN-LNL),ヒメネス ダビド,ポダデラ イワン,ウェーバー モイセス(CIEMAT),ボルゾン ベノワ(CEA Saclay),カラ フィリッペ,ナスター ホアン(IFMIF/EVEDA PT),ジッコ エルベ,ジェックス ドミニク,ハイディンガー ローランド,ヨキネン アンティ,マルケタ アルバロ,モヤ イワン,フィリップス ガイ(F4E) ○Keitaro Kondo, Tomoya Akagi, Ryo Ichimiya, Takashi Ebisawa, Atsushi Kasugai, Keishi Sakamoto, Takahiro Shinya, Masayoshi Sugimoto, Yosuke Hirata, Sunao Maebara (QST/Rokkasho), Enrico Fagotti, Giuseppe Pruneri, Francesco Scantamburlo (INFN-LNL), David Jimenez, Ivan Podadera, Moises Weber (CIEMAT), Benoit Bolzon (CEA Saclay), Philippe Cara, Juan Knaster (IFMIF/EVEDA PT), Herve Dzitko, Dominique Gex, Roland Heidinger, Antti Jokinen, Alvaro Marqueta, Ivan Moya, Guy Phillips (F4E) 加速器型強力中性子源である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)は、日本と欧州による核融合エネルギー分野における国際共同プロジェクトの一つであり、現在、原型加速器(LIPAc、Linear IFMIF Prototype Accelerator)の試験が量子科学技術研究開発機構六ヶ所核融合研究所で進行中である。LIPAcはイオン源-RFQ-MEBT-SRF-ビーム診断系-HEBT-BDから構成され、9 MeV、125 mA、CWの重陽子加速を目標とする大電流線形加速器である。2017年7月までにイオン源、RFQ、MEBT、ビーム診断系、高周波源の据付および各システム単体試験が完了し、RFQの高周波入射試験及びコンディショニングを開始した。様々な困難に直面しつつも、RFQ空洞のコンディショニングを進め、12月には短パルスながら重陽子加速に必要なベーン間電圧に到達した。2018年1月からは陽子加速試験のための長パルス化を進め、並行して安全系の統合を行い、RFQによる陽子ビーム加速の準備を進めてきた。本講演では、現在進行中のLIPAc RFQの2.5 MeV陽子加速試験の状況及びこれまでの研究開発の進展について報告する。 |
10:50 - 11:20 | |
WEOLP03 | パルスパワーと粒子ビーム加速器 Pulsed power and particle beam accelerators ○江 偉華,徳地 明,八井 浄(長岡技術科学大学) ○Weihua Jiang, Akira Tokichi, Kiyoshi Yatsui (Nagaoka University of Technology) 長岡技術科学大学では,大電力パルスパワーで駆動される粒子ビーム加速器の開発と応用研究を推進してきた。短パルスの電磁エネルギーを用いて高電圧と大電流を発生し,更に荷電粒子の運動エネルギーとビーム電流に変換できる実験装置“ETIGOシリーズ”は,数十年に亘って加速器関連の教育研究に貢献した。大電力のパルス粒子ビームは,高い瞬間電力と短い時間幅を持つ。これらの特性により,大電力パルス粒子ビームは他の種類の粒子ビームと顕著に異なり,独特な物理的挙動と集団的振る舞いを示す。このような粒子ビームの発生と応用に関する研究開発には,ユニークな実験設備を必要とする。本発表では,長岡技術科学大学に設置されている国内最高出力を持つ大電力パルス粒子加速器について,過去の経緯を踏まえて技術的進展と課題についてレビューし,未来へ向けたチャレンジを紹介する。 |
11:20 - 11:50 | |
WEOLP04 | 共振器型回折放射による広帯域テラヘルツ自由電子レーザーの発振 Lasing of a broadband THz FEL based on the resonant coherent diffraction radiation ○本田 洋介,島田 美帆,宮島 司,帯名 崇,山本 尚人,高井 良太,内山 隆司,アリシェフ アレキサンダー,加藤 龍好(高エ研) ○Yosuke Honda, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Naoto Yamamoto, Ryota Takai, Takashi Uchiyama, Alexander Aryshev, Ryukou Kato (KEK) テラヘルツ領域の電磁波は、基礎科学や産業での応用が期待されている。近年の電子線形加速器で実現できるサブピコ秒のバンチはテラヘルツ領域のコヒーレント放射を発生でき、特徴的な光源を実現できると期待されている。ここではコヒーレント回折放射(CDR)の過程を利用する。これは、ビームが電磁気学的境界の近傍を通過する際に発生する放射である。この方式では電子ビームを損失しないことから、ERL等の大電流加速器での使用も可能で、大平均強度の光源になると期待される。また、CDRはラジアル偏光をした特徴的なテラヘルツ光源となり得る。我々は、穴あき光学共振器にビームを通過して共振器の内部でCDRを発生させ、多バンチビームのバンチ間で放射がコヒーレントに加算するシステムを開発した。共振器の共鳴時には、既にある場の影響を受けて効率的に放射エネルギーを取り出すことができる。これは誘導放出と呼ばれる。広い帯域の共振器モードを同時に共鳴し、モードロックレーザーのような発振を実現するには、共振器のキャリアエンベロープ位相(CEP)をうまく設計する必要がある。ERLの試験加速器であるcERLでは、低エミッタンスかつ短バンチのビームが、高繰り返しで得られ、実証実験を行うのに適している。誘導放出による共振器の共鳴を観測した。鋭い共鳴ピークが得られ、共振器が広帯域のテラヘルツ光でモードロック発振することを実証した。 |
加速構造 (8月8日 特別会議室1) | |
15:20 - 15:40 | |
WEOL01 p.12 [Slides] | 加速空洞内部の直接観察によるブレークダウン引き金機構の解明研究 Experimental RF breakdown study based on direct In-situ observation of normal-conducting accelerating cavities ○阿部 哲郎,影山 達也,坂井 浩,竹内 保直,吉野 一男(高エネ研) ○Tetsuo Abe, Tatsuya Kageyama, Hiroshi Sakai, Yasunao Takeuchi, Kazuo Yoshino (KEK) 常伝導高周波加速空洞は、多くの粒子加速器において心臓部となるコンポーネントであり、その空洞内における大局的真空放電(空洞ブレークダウン)発生が加速器の性能を制限する大きな要因となり得るが、空洞ブレークダウンを引き起こすメカニズム(ブレークダウン引き金機構)は未だ解明されていない。我々は、近年、UHF帯連続・定在波の常伝導加速空洞において、高電界試験中にその内部を直接観察する手法が有用な研究手段となることを実証した。特に、多くの空洞ブレークダウンの瞬間において、大電力運転中に空洞内表面に現れていた「輝点」のひとつが「爆発⇒消滅」することを発見した。つまり、そのような輝点の物理的性質を理解することが、ブレークダウン引き金機構の解明へのヒントとなると考えられる。今回、新たに高性能カメラ(ハイスピードカメラ、及び、ハイパースペクトルカメラ)を使って、大電力試験中の空洞内部をより詳細に観察した。その結果、及び、考えられるブレークダウン引き金機構の物理モデルについて報告する。 |
15:40 - 16:00 | |
WEOL02 p.17 [Slides] | 将来の加速器のための入力カップラーに関するR&Dの最新結果 Recent results on power coupler R&D for future accelerators ○山本 康史,加古 永治,松本 利広,道園 真一郎,山本 明(高エネルギー加速器研究機構),入倉 正男,石橋 誠,安武 浩人,手塚 勝彦(東芝電子管デバイス株式会社),沖井 優一(株式会社 野村鍍金),モンテジーノ エリック,ジュリー チャールズ(欧州原子核研究機構) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Toshihiro Matsumoto, Shinichiro Michizono, Akira Yamamoto (KEK), Masao Irikura, Makoto Ishibashi, Hiroto Yasutake, Katsuhiko Tetsuka (TETD), Yuichi Okii (Nomura Plating Co., Ltd.), Montesinos Eric, Julie Charles (CERN) KEKのSTFでは2013年からコストダウンを主目的とした将来の加速器のための入力カップラーのR&Dが行われてきた。その成果として、窒化チタンコーティングを用いない新素材のセラミックが使われた入力カップラーが開発・製造され、このほどテストベンチにおける大電力試験のスペックを満足する結果を得た。成功の鍵となった技術は入力カップラーに対する超音波洗浄で、これにより放出される電子の量が激減することが判明した。現在、セラミックサンプルを用いた二次電子放出係数の測定が別途進められているところである。一方、入力カップラーの内表面には銅鍍金が施されており、超伝導空洞に用いる場合は低温環境下での抵抗値が問題となる。KEKのCOIにて低温環境下における抵抗値測定装置を整備し、現在、銅鍍金サンプルを用いた測定が行われているところである。本講演では、KEKおよび関連会社や海外の研究所と共同で取り組んでいる将来の加速器のための入力カップラーに関するR&Dの最新結果について報告する予定である。 |
16:00 - 16:20 | |
WEOL03 p.22 [Slides] | 低温Cバンド銅製空洞における温度上昇と超高加速勾配動作のシミュレーション Simulation of temperature rise and super-high gradient operation of C-band cryogenic copper cavity ○田中 俊成,境 武志,早川 建,早川 恭史,野上 杏子,佐藤 勇,住友 洋介,山田 靖征,吉田 昂斗(日大電子線利用研究施設) ○Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Kyoko Nogami, Isamu Sato, Yoske Sumitomo, Yasuyuki Yamada, Takato Yoshida (LEBRA, Nihon University) Cバンドの高純度銅製空洞を20K付近まで冷却すると常温の5.4-5.5倍程度まで無負荷Q値が高くなる。さらに、低温空洞ではRF放電限界が大幅に上昇することが実験的に示唆されている。したがって低温空洞の実用化は、パルス高周波空洞技術の延長線上において、常伝導でありながらも低損失・高効率で数100MV/mとなる超高加速勾配の電場を発生させられる可能性を有しており、大いに検討すべき課題と考えられる。日本大学では光陰極RF電子銃空洞として実用化するための基礎研究として、Cバンド2.6セルから成る20K冷凍空洞の特性研究を進めてきた。現状では高電力試験を行うための空洞も実験環境も整っていないが、今後高電力試験の実施を展望し、2.6セル空洞を例に簡単な仮定と一次元パルス熱拡散モデルに基づく空洞表面温度上昇のシミュレーションによって、最大電力50MW、パルス幅2μsの5712MHz高周波源を用いた際に到達できる加速電場の可能性と、空洞特性のパルス内応答について検討を行なった。これまでに行なったシミュレーションからは、パルス繰り返しは低いものの、空洞との結合係数β=10としたとき、RF電力に変調をかけることで350MV/m以上の平坦な加速勾配を1μs以上にわたり実現できる可能性が示唆されている。 |
16:20 - 16:40 | |
WEOL04 p.27 | 第三高調波電圧誘導法を用いた多層薄膜試料の超伝導特性の評価 Evaluation of superconducting characteristics on the multilayer thin-film structure using the third harmonic voltage method ○片山 領,岩下 芳久,頓宮 拓(京都大学化学研究所),佐伯 学行,早野 仁司,久保 毅幸(高エネルギー加速器研究機構),及川 大基(宇都宮大学),井藤 隼人(総研大),伊藤 亮平,永田 智啓(アルバック) ○Ryo Katayama, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto University, ICR), Takayuki Saeki, Hitoshi Hayano, Takayuki Kubo (KEK), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University), Hayato Ito (Sokendai), Ryohei Ito, Tomohiro Nagata (ULVAC inc.) 超伝導加速空洞において近年、ロンドン長以下の厚さの超伝導薄膜と絶縁膜を交互に積層する工夫により、最大加速勾配の増大が図れると指摘があった。加速空洞の内面に対して超伝導薄膜の多層膜コーティングを行い、母材であるニオブへの到達磁場を大幅に低減出来れば、現在のニオブ製の超伝導加速空洞の最大加速勾配を 35 MV/m から大幅に向上できる可能性があり、学術利用加速器から産業利用加速器まで多大なインパクトがあるため、その実現可能性の詳細な検討が望まれる。 本研究では、この理論的な枠組みの検証のため、第三高調波電圧誘導法を用いて NbN 超伝導薄膜と SiO2 絶縁膜薄膜をニオブバルク上に成膜した多層薄膜コーティング試料の超伝導特性の評価を行なった。その結果、単なるニオブバルクと比較して、最大加速勾配の指標である下部臨界磁場の値が二割程度向上していることが示された。本研究では、この測定と評価の詳細について報告する。 |
16:40 - 17:00 | |
WEOL05 p.31 [Slides] | J-PARC施設高真空炉を用いた窒素ドープ超伝導空洞の評価 Evaluation of superconducting cavity performance by nitrogen doping in a high vacuum furnace at J-PARC site ○岡田 貴文(総研大),江木 昌史,梅森 健成,加古 永治,許斐 太郎,佐伯 学行,阪井 寛志,道前 武,山本 康史(高エネ研),神谷 潤一郎,黒澤 俊太,武石 健一,堀 洋一郎(原子力機構) ○Takafumi Okada (SOKENDAI), Masato Egi, Kensei Umemori, Eiji Kako, Taro Konomi, Takayuki Saeki, Hiroshi Sakai, Takeshi Dohmae, Yasuchika Yamamoto (KEK), Jyunichiro Kamiya, Shunta Kurosawa, Kenichi Takeishi, Yoichiro Hori (JAEA/J-PARC) 超伝導加速空洞に窒素ドープと呼ばれる短時間での低圧の窒素雰囲気中での高温処理を施すと,空洞のQ 値が数倍増加することが報告されている。今回,KEK においてJ-PARC 内にある高温真空炉をつかいNb 超伝導空洞に窒素ドープ処理を施し,その性能評価を行った。その結果,2K でQ 値が増加することを確認した。また,窒素ドープの特徴である加速勾配とともにBCS 抵抗が低下するAnti Q-slope も確認した。本発表では,その窒素ドープ処理の詳細と実験結果についての解析の詳細について報告する。 |
ビーム診断・ビーム制御/LLRF (8月8日 特別会議室1) | |
17:10 - 17:30 | |
WEOL06 p.36 [Slides] | SPring-8蓄積リングにおける光位置モニタの性能と光軸変動の観測 Performance of the X-ray beam position monitors and observation of beam drifts in the SPring-8 storage ring ○青柳 秀樹,古川 行人,高橋 直(高輝度光科学研究センター) ○Hideki Aoyagi, Yukito Furukawa, Sunao Takahashi (JSARI) SPring-8では、すべての挿入光源ビームライン(ID-BL)、及び、大半の偏向磁石ビームライン(BM-BL)のフロントエンドに光位置モニタ(X-ray Beam Position Monitor, XBPM)を設置している。このXBPMは、基本的には光電子放出型でタングステン(一部はダイヤモンド)を母材とするブレード型検出素子を備えたタイプである。ID-BL用のXBPMは光軸近傍に上下左右に4枚の検出素子を配して水平・鉛直方向のビーム位置を、BM-BL用では上下に2枚を配置して鉛直方向のみのビーム位置を常時測定している。性能を十分に評価されたXBPMで光軸を観測することは、ユーザーに対するビームの安定供給を担保するだけでなく、蓄積リング電子ビーム軌道の診断にも有効性を持っている。蓄積リングのrf-BPMは電子ビームの閉軌道をグローバルに診断することに優れているのに対し、XBPMは個別のビームラインの放射光ビーム軸を正確に診断することに適している。本講演では、上述の従来型光位置モニタの性能を分解能、時定数、長期安定性などの観点から評価し、昨年度新たに試験的に導入したパルス・モード計測型光位置モニタのこれまでの運転実績を踏まえ、光軸変動の観測によって得られた知見について議論する。 |
17:30 - 17:50 | |
WEOL07 p.41 [Slides] | SPring-8 アップグレードに向けたビーム位置モニタの開発 Development of beam position monitor for SPring-8 upgrade ○前坂 比呂和(理研放射光科学研究センター),出羽 英紀,藤田 貴弘,正木 満博,高野 史郎(高輝度光科学研究センター) ○Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Hideki Dewa, Takahiro Fujita, Mitsuhiro Masaki, Shiro Takano (JASRI) SPring-8の低エミッタンスアップグレードに向けて高精度・高安定なビーム位置モニタ(BPM)を開発中である。必要な性能は、CODモードでは100mAの蓄積電流に対して0.1μm rmsの分解能と5μm/月の長期安定度、シングルパスモードでは100pCの入射バンチに対して100μm rmsの分解能、および、100μm rmsの電気中心精度となっている。これらの要求を満たすため、高精度なBPMボタン電極とBPMヘッドの設計・試作、および、読み出し回路の開発をおこなってきた。BPMヘッドの設計においては、必要な信号強度と機械精度が得られ、かつ、ビームによる発熱などの問題が起こらないよう十分考慮した。BPMヘッドは実験室での評価用とビーム試験用の2種類を試作し、模擬信号による評価と現SPring-8でのビーム試験の両方で評価をしている。読み出し回路は、MTCA.4規格の独自回路の開発と、市販回路であるLibera Brilliance+の評価とを並行して進めている。また、信号ケーブルの放射線劣化によるドリフトが現SPring-8で見られているため、耐放射線ケーブルの選定と放射線照射試験もおこなっている。これらの評価の結果、分解能・電気中心精度・長期安定度などの必要性能がシステム全体としておおむね満たされていることが確かめられ、発熱等の問題もないことが確認できた。本発表では、開発したBPMシステムの設計、試作、各種試験結果について報告する。 |
17:50 - 18:10 | |
WEOL08 p.46 [Slides] | チェレンコフ光リングを用いた非破壊型ビームモニターの検討 Investigation of a non-destructive beam monitor using Cherenkov ring ○二宮 慎吾,柏木 茂,鹿又 健,齊藤 寛峻,高橋 健,長澤 育郎,南部 健一,日出 富士雄,三浦 禎雄,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大学電子光学研究センター研究) ○Shingo Ninomiya, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Hirotoshi Saito, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nambu, Fujio Hinode, Sadao Miura, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光学研究センターでは、先行研究において 低屈折率シリカエアロゲル内に電子ビームを照射することで発生するチェレンコフ光を用いた バンチ長計測を行い、その過程でチェレンコフ光リング全体を観測できている。 理論上ラジエーターに穴をあけ、その穴に電子ビームを通した時も ラジエーター内に入射した際と同様のチェレンコフ光リングが観測できる。 本研究では、低屈折率シリカエアロゲルにあけた穴を電子ビームが通った時に発生する チェレンコフ光リング全体の強度分布等を用いて 非破壊型ビームモニターへの応用ができないか検討を行った。 |
18:10 - 18:30 | |
WEOL09 p.49 | 理研超伝導加速空洞用ビームエネルギー・位置モニターの開発 Development of beam energy position monitor system for RIKEN superconducting acceleration cavity ○渡邉 環,今尾 浩士,上垣外 修一,坂本 成彦,福西 暢尚,藤巻 正樹,山田 一成,渡邉 裕(理研),小山 亮(住重加速器サービス),外山 毅,宮尾 智章(高エネルギー加速器研究機構),三浦 昭彦(日本原子力研究開発機構) ○Tamaki Watanabe, Hiroshi Imao, Osamu Kamigaito, Naruhiko Sakamoto, Nobuhisa Fukunishi, Masaki Fujimaki, Kazunari Yamada, Yutaka Watanabe (RIKEN), Ryo Koyama (SHI Accelerator Service Ltd.), Takeshi Toyama, Tomoaki Miyao (KEK/J-PARC), Akihiko Miura (JAEA/J-PARC) 現在、仁科加速器研究センターに於いて、超伝導加速空洞を建設中である。超伝導加速空洞の性能を示すQ値や表面抵抗値を維持するためには、脱ガスを発生するビーム診断装置は使用できず、非破壊型のビーム診断装置による測定が必須となる。そこで、斜めに四分割した静電型ピックアップを用いたビーム位置モニターシステムの開発を行ってきた。このシステムは、モニター間の距離を正確に測定した2台のモニターを用いて、ビームの飛行時間(TOF)を測定し、ビームの位置情報と同時に、ビームエネルギー値も得ることができるという特色を持つ。昨年度は、このプロトタイプを完成させ、仁科センターのビーム輸送系に設置した。信号処理系やLabVIEWによるソフトウエアの開発も同時に進め、RIBFに於けるウランビーム加速時に試験を行ってきた。その結果、常時リアルタイムによる測定や測定結果の表示・保存が可能となった。今回の学会では、超伝導加速空洞用に開発を進めているビームエネルギー・位置モニターシステムについて発表をする。 |
18:30 - 18:50 | |
WEOL10 p.55 [Slides] | MTCA.4規格低電力高周波システムのSPring-8蓄積リングへの導入 Upgrade of LLRF system at SPring-8 Storage Ring using MTCA.4 Standard modules ○大島 隆,細田 直康,大橋 裕二,佐々木 茂樹,安積 隆夫(高輝度光科学研究センター),福井 達,前坂 比呂和,稲垣 隆宏(理研) ○Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda, Yuji Ohashi, Shigeki Sasaki, Takao Asaka (JASRI), Toru Fukui, Hirokazu Maesaka, Takahiro Inagaki (RIKEN) SPring-8の低電力高周波システムでは、MTCA.4規格のモジュールを用いたシステムへの移行を実施中である。このシステムでは、従来のものに比べ、使用モジュール数、占有空間の大幅な削減が可能である。また、広い通信帯域を持っているため、異常時などの波形データの保存も可能となる。新システムでは、新規開発した16bit 370Ms/sの高速デジタイザAMC、信号処理RTMを用いて、508MHzのRFの位相・振幅の検出を行なっている。検出方式としてはアンダーサンプリング方式を採用した。またフィールドバスとしてEtherCATを用いることで省配線を実現した。位相振幅安定化プロセスは、AMCに実装されたFPGAで実行している。空洞の共振維持、クライストロンのアノード電圧制御はMTCA.4のCPU上で動作するプロセスで行っている。まず、テストスタンドで試験運転を行い、新システムの問題点の洗い出しを行った。その後、2018年2月末から蓄積リングの1つのRFステーションに導入作業を開始した。新システムは2018年4月の調整運転ののち、ユーザー運転に供されている。調整運転時にはトラブルも発生したが、その後は安定に動作しており、MTCA.4システムで0.1度以下の位相安定度、1E-3以下の振幅安定度が確認できた。本発表では、MTCA.4システムの構成、性能、今後の予定などについて報告する。 |
ビームダイナミクス・加速器理論/レーザー (8月8日 特別会議室2) | |
15:20 - 15:40 | |
WEOM01 p.60 [Slides] | J-PARC MRの大強度運転へ向けたバンチトレインチューンシフトの研究 Bunch train tune shift study for higher beam power at J-PARC MR ○小林 愛音,外山 毅,五十嵐 進,佐藤 洋一,下川 哲司,久保木 浩巧(KEK) ○Aine Kobayashi, Takeshi Toyama, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Tetsushi Shimogawa, Hironori Kuboki (KEK) J-PARC MRでは大強度ビーム運転に向けてアップグレードを進めている。 2017年秋にビームパワー450 kWで運転をしていたが、ビームロスによりそれより大きなパワーは制限されていた。ビーム強度を上げるためには、大強度のビームの振る舞いを理解するための大電流による影響の見積もりが不可欠である。 MRでの大強度運転では最大の8バンチを詰めて運転する。これまでシングルバンチでの測定は2015年に行われていたが、大強度ビームの8バンチでは行われていなかった。2017年秋にMRにおいて大強度、8バンチでチューンシフトを測定したところ、チューンが強度依存性およびバンチ数依存性を持っていた。ビーム調整は低強度で行われていたため、ユーザー利用のための大強度にするとチューンがずれてしまっていたことがわかった。これを補正することでビームロスは減り、ビームパワーを25 kW、さらに40 kW上げることにつながった。 チューンシフトは垂直方向、水平方向で符合が異なる振る舞いを示していた。その理由をダクトの形状や、バンチ数により強められる効果を考慮に入れ、space chargeの効果やquadrupolar wake field等による影響から考察している。今後さらなる大強度での運転をするためには、MRのインピーダンス源を特定し、それを考慮しながら調整していく必要がある。 |
15:40 - 16:00 | |
WEOM02 p.65 | PF真空封止アンジュレータ(IVU)のインピーダンス評価:理論、シミュレーション、および測定 Impedance evaluation of the PF in-vacuum undulator: theory, simulations, and measurements ○田中 織雅,中村 典雄,帯名 崇,土屋 公央,高井 良太,坂中 章悟,山本 尚人,加藤 龍好,阿達 正浩(高エネ研) ○Olga Tanaka, Norio Nakamura, Takashi Obina, Kimichika Tsuchiya, Ryota Takai, Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto, Ryukou Kato, Masahiro Adachi (KEK) KEKフォトンファクトリ(PF)の2.5GeV蓄積リングでは、直線部改造によって短直線部を増やして4台の真空封止アンジュレータ(IVU)をインストールした。これらの最小ギャップは全て4mmで、リング全体のインピーダンスに大きく寄与する可能性を持っている。結果として、IVUのインピーダンスは、ビームエネルギーの損失、バンチ形状の変化、ベータトロンチューンシフト、そして最終的に様々なビームの不安定性につながる可能性がある。そこで、我々はシミュレーションツール(CST Particle Studio)を使用してIVUの縦方向および横方向のインピーダンスを評価し、解析式の比較を行うとともにビームを使った測定結果との比較を行った。今回の発表はその結果について報告する。本研究は、IVUの設計はもちろんのこと、将来の光源加速器では必須となる小開口ビーム管など、新規コンポーネント設計のためのガイドライン提供にもつながると考えている。 |
16:00 - 16:20 | |
WEOM03 | SuperKEKBにおける歪四極磁場成分の衝突点に対する影響とその測定 Luminosity performance in the presence of IR Skewed Quadrupole Errors in SuperKEKB Phase-2 Commissioning ○廣澤 航輝(高エネ研、総研大),大見 和史,船越 義裕,大西 幸喜,小磯 晴代,森田 昭夫(高エネ研) ○Kouki Hirosawa (KEK, SOKENDAI), Kazuhito Ohmi, Yoshihiro Funakoshi, Yukiyoshi Ohnishi, Haruyo Koiso, Akio Morita (KEK) KEKつくばキャンパスにて、2018年7月までPhase2試運転が行われたSuperKEKB加速器は、前身のKEKB加速器からのアップグレードとして新たな衝突方法の採用と大電流化を行った、エネルギー非対称電子陽電子衝突器である。新たに作成された衝突点領域(IR)の超伝導収束磁石は、衝突点で非常に小さなβを実現するために強力な磁場をもっている。ビームから見たIR磁石の場所は、衝突点と比較してπ/2位相差を持ち大きなβを持っているので、主に運動量に対する磁場の非線形成分が目立つことになる。本研究ではIRにおける磁石のSkew六極磁場を問題とする。計算比較の結果、ハミルトニアンの正準変数(X, Y, Px, Py)の10通りの組み合わせの中でPx^2Pyの項のみ大きなキック力を持つことがわかった。この結果を確かめるために、Phase2試運転でIRでのX-Yのcouplingの実験測定を行う。本発表ではその結果を報告する。 |
16:20 - 16:40 | |
WEOM04 p.70 [Slides] | 非線形逆トムソン散乱によるガンマ線渦の発生 Generation of gamma-ray vortices via nonlinear inverse Thomson scattering ○平 義隆(産総研),加藤 政博(分子研) ○Yoshitaka Taira (AIST), Masahiro Katoh (IMS) 本年会では、我々が新たに見出した非線形逆トムソン散乱による軌道角運動量を運ぶガンマ線渦の発生に関して発表する[1,2]。電磁波の位相が横方向平面内で変化しない平面波と異なり、螺旋波面を形成する光渦は横方向平面内で位相が変化し、伝播軸周りに軌道角運動量(OAM)を運ぶ。我々は、高強度円偏光レーザーを用いた非線形逆トムソン散乱によって発生する高次高調波ガンマ線が軌道角運動量を運ぶことを初めて明らかにした。n次の高調波は(n-1)hbarのOAMを運び、2次以上の高次高調波の空間分布は、光渦の特徴と一致する円環形状になる。 電子と高強度円偏光レーザーの正面衝突によってガンマ線渦が発生することは論文[1]で発表したが、最近、両者が任意の衝突角度で交差する場合についても理論計算を行った[2]。その結果、電子のローレンツ因子がレーザーの強度因子よりも十分に大きい場合、任意衝突角度においてもガンマ線渦が発生することを明らかにした。このOAMを運ぶ新規なガンマ線源は、原子核物理、物性物理、高エネルギー物理や天体物理において新しい研究領域を切り開く可能性を秘めている。 本発表では、理論計算の詳細を紹介するとともに、実証実験の内容についても簡単に説明する。 [1] Y. Taira, T. Hayakawa, M. Katoh, Scientific Reports, 7, 5018-1-9, (2017). [2] Y. Taira, M. Katoh, Accepted for publication in The Astrophysical Journal, (2018). |
16:40 - 17:00 | |
WEOM05 | 準単色電子を入射ビームとするステージングレーザー航跡場加速 Staging laser wake-field acceleration with quasi-mono-energetic electron beam injection ○細貝 知直(阪大院工/理研播磨),金 展,末田 敬一(理研播磨),酒井 泰雄,寺本 高啓,ジドコフ アレクセイ,パサック ナビーン,陳 博順,谷沢 優介(阪大院工),兒玉 了祐(阪大院工/阪大レーザー科学研究所) ○Tomonao Hosokai (Osaka U. Dept. Eng. / RIKEN SPring-8 Center), Jin Zhan, Keiichi Sueda (RIKEN SPring-8 Center), Yasuo Sakai, Takahiro Teramoto, Alexei Zhidkov, Naveen Pathak, Hakujun Toran, Yusuke Tanizawa (Osaka U. Dept. Eng. ), Ryosuke Kodama (Osaka U. Dept. Eng. / Osaka U. ILE) 再現性の高いリピータブルなGeV級レーザー航跡場加速(LWFA)を実現するためマルチレーザーパルス駆動のステージングLWFAを提案し研究開発を行っている。これまでに高強度レーザーパルスの伝播をプラズマオプティクスで正確に制御する方法で位置安定性と指向性の高い電子ビームの発生に成功し、これをステージングLWFAの入射器(電子源)とした。続いて、一つのガスジェット中に追加速を担うレーザー航跡場を上記の電子源部と接するように独立に励起してステージングLWFA実験を行い、100GV/m級の加速勾配、100MeVを超える加速エネルギー利得、エネルギースペクトルの入射位相に対する(加速—減速の)周期構造等を確認した。GeV級のさらに高い加速エネルギー利得を得る為に、電子源とは独立に長尺の低密度ガス標的を用いたレーザー航跡場を追加速部として用意し、電子源と追加速部の間にパルス電流駆動ソレノイドによる電子輸送部を設けた。これにより、追加速部への入射電子ビームの輸送集束と同時にエネルギースライスを用いて良く定義された準単色電子を追加速部のレーザー航跡場へ入射することが可能になった。本講演では,これらステージングレーザー航跡場電子加速の研究開発状況と最新の結果について報告する。 なお、本研究は内閣府革新的研究開発推進プログラム ImPACT 「ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実現」の支援を戴いて実施しています。 |
電磁石と電源1 (8月8日 特別会議室2) | |
17:10 - 17:30 | |
WEOM06 p.74 [Slides] | 永久磁石ベース偏向磁石のSPring-8入射輸送ラインでの実ビーム性能検証 Performance verification of permanent dipole magnet in beam operation of SPring-8 beam injection transport ○青木 毅,谷内 努,松原 伸一,柳田 謙一(高輝度光科学研究センター),高野 史郎,深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理化学研究所放射光科学研究センター) ○Tsuyoshi Aoki, Tsutomu Taniuchi, Shinichi Matsubara, Kenichi Yanagida (JASRI), Shiro Takano, Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI / RIKEN SPring-8 Center) 低エミッタンスを追求しマルチベンド化が進む高輝度リング型光源をはじめ次世代加速器の開発において、偏向磁石の永久磁石化は、電源や冷却系設備を不要とし電力消費削減、故障頻度低減、振動抑制によるビーム安定化等多くのメリットを生む重要な要素技術となる。我々は、SPring-8次期計画に向けた永久磁石ベース偏向磁石開発の成果の集大成となる実使用環境のもとでの性能実証機として、SPring-8のブースターシンクロトロンから蓄積リングへのビーム輸送ラインに用いる偏向磁石を開発し、蓄積リングへのビーム入射部に設置して実ビーム運用を開始した。永久磁石に特有の課題である、環境温度変化による磁場変動、近接する機器と漏洩磁場との干渉、経時的あるいは放射線照射による減磁等に関して、これまで行ってきた原理実証試験を踏まえ、本偏向磁石を蓄積リング本体と同一の環境下で実運用することで性能を実証する。本発表では、SPring-8蓄積リングの入射ビーム輸送ラインで実運用を開始した永久磁石ベースの偏向磁石について、設計・製作、磁場測定による性能評価、実ビーム運転からの経験について報告する。 |
17:30 - 17:50 | |
WEOM07 p.79 [Slides] | MRIサイズの小型リングへ入射するための高度のX-Y結合を伴う3次元螺旋入射手法の開発 Development of three-dimensional spiral beam injection scheme with X-Y coupling beam for MRI sized compact storage ring ○飯沼 裕美(茨大理工学研究科),阿部 充志(KEK素核研),生出 勝宣,大沢 哲(KEK加速器),佐々木 憲一(KEK低温センター),中山 久義,久松 広美(KEK加速器),深尾 祥紀(KEK素核研),古川 和朗(KEK加速器),三部 勉(KEK素核研),リーマン ムハマド アブドゥル(総研大) ○Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Mitsushi Abe (KEK-IPNS), Katsunobu Oide, Satoshi Ohsawa (KEK-ACCL), Ken'ichi Sasaki (KEK-CLYO), Hisayoshi Nakayama, Hiromi Hisamatsu (KEK-ACCL), Yoshinori Fukao (KEK-IPNS), Kazuro Furukawa (KEK-ACCL), Tsutomu Mibe (KEK-IPNS), Muhammad Abdul Rehman (SOKENDAI) 標準理論を越えた物理探索のため、新しい実験方式によるスピン歳差運動の精密測定を行うJ-PARC g-2/EDM実験が進んでいる。ミューオン電子双極子モーメント(EDM)の信号をミューオンスピン歳差運動から抽出するために、EDM測定の理想「電場が存在せずに磁場精度サブppmの精密調整された静磁場中にビームを蓄積」を目標に、従来の実験方式(BNL/E821や、FNAL/E882)に比べ半径が10分の1小さいMRIサイズ(直径70㎝弱)の単ユニットソレノイド型超電導磁石内部にミューオンビームを蓄積する手法を確立した。ビーム入射地点でのTwiss parameter調整を最適化し、蓄積磁石内部の磁場分布形状にマッチするようX-Y結合させたビーム位相空間を保ちつつ蓄積領域付近までビームを誘導する。次にソレノイド磁場有効領域内に配置したヘルムホルツ型コイルによる数100ナノ秒程度のパルス磁場によりビーム軌道が蓄積領域内の定常軌道へ乗るよう制御する。さらに、蓄積領域内には弱収束静磁場をかけて、ビーム運動の径方向成分とソレノイド軸方向成分を同時に収束する。本公演では、EDM測定に必要なビームに対する要求を議論する。さらに、蓄積磁石内部の磁場の空間分布形状とビーム位相空間の関係から入射の条件を算出し、入射効率を最適化するための弱収束磁場分布形状、パルス磁場発生コイルの空間配置の決定手法を議論する。 |
17:50 - 18:10 | |
WEOM08 p.84 | 電磁石用高精度電源に向けたデジタル制御システムの開発 Digital feedback system for high precision magnet power supply ○近藤 力,佐治 超爾,深見 健司,高野 史郎,渡部 貴宏(JASRI / 理研SPring-8),福井 達,稲垣 隆宏,田中 均(理研 SPring-8),中澤 伸侯(スプリングエイトサービス),鈴木 幸雄,佐々木 伸一,寿田 一男(工藤電機),片倉 直哉,進藤 勉(大倉電気) ○Chikara Kondo, Choji Saji, Kenji Fukami, Shiro Takano, Takahiro Watanabe (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Toru Fukui, Takahiro Inagaki, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Shingo Nakazawa (SPring-8 Service), Yukio Suzuki, Shinichi Sasaki, Kazuo Suda (KUDO ELECTRIC CO.,LTD.), Naoya Katakura, Tsutomu Shindo (Ohkura Electric Co., Ltd. ) 大型加速器の建設では、電磁石電源に対し開発期間の短縮や開発コストの低減だけでなく、保守管理費の低減も求められている。特にDC電磁石電源では、出力極性や電力容量、負荷インピーダンスに応じた多種多数の電源が必要であるため、コモンアーキテクチャを用いた統一的な開発が効果的である。また、システムを統一化することで予備品やメンテナンス作業も共通化がなされ、保守管理費の削減につながる。一方で、電源出力に要求される精度は年々高くなっており、これを従来のようなアナログ制御技術によるフィードバック制御を用いると、個々の電源の特性に合わせた設計や調整に多くのコストや時間が必要となる。これらを解決する手段として、我々はデジタル制御技術を用いて、汎用性が高く、かつ10ppm(pk-pk)という高精度の電流制御が可能なシステムの開発を行った。このシステムは、24bitADCを用いた高精度AD変換回路と、PID制御とPWM制御をデジタル処理で行えるFPGAで構成され、これを多種の電源にフィードバック制御回路として組み込んで使用する。今回、我々はシステムの実証実験を行ない、AD変換回路では測定精度1ppmを実現した。また、この回路を組み込んだデジタル制御DC電源(200A, 30V)では、電流リップル9ppm(pk-pk)の高精度を達成した。本発表では、システムの概要と結果、そしてデジタル制御システムの普及への取り組みを述べる。 |
18:10 - 18:30 | |
WEOM09 | Single Stretched Wire法を用いたSuperKEKB最終収束超伝導四極磁石の磁場測定 Magnetic Field Measurement of Final Focusing Superconducting Quadrupole Magnets with Single-Stretched-Wire Method ○植木 竜一,有本 靖,大内 徳人,大澤 康伸,川本 崇,増澤 美佳(KEK),Joseph DiMarco(Fermilab) ○Ryuichi Ueki, Yasushi Arimoto, Norihito Ohuchi, Yasunobu Ohsawa, Takashi Kawamoto, Mika Masuzawa (KEK), Dimarco Joseph (Fermilab) SuperKEKB加速器は8×10^35 cm-2s-1の高いピークルミノシティを達成するため、電子および陽電子ビームを数十ナノメートルまで絞り衝突させる「ナノビーム衝突方式」がとられている。このときビームをナノサイズまで絞る役割を担うのがビーム最終収束超伝導電磁石システム(QCS)である。QCSは55台の超伝導電磁石から構成されており、衝突点の左右に配置されたクライオスタット内に分割して組み込まれている。電子・陽電子ビームは、各クライオスタットに4台ずつ設置されている超伝導四極電磁石によって鉛直方向のビームサイズ約50 nmまで収束される。しかし、この四極電磁石に設置誤差すなわち四極磁石の磁場中心とビーム軸とのずれがあるとビーム軸上に二極磁場成分が発生し、ビームは不要なキックを受ける。この磁場中心のずれは超伝導補正磁石によって補正可能であるが、その電流値を決めるために超伝導四極磁石の磁場中心のずれを0.1 mmの精度で知る必要がある。しかし、超伝導電磁石はクライオスタットの内部に設置されており外部からその機械的中心を見ることができない。そこで我々はSingle-Stretched-Wire法を用いて四極磁石の磁場中心の測定を行った。本発表では、クライオスタット内の超伝導磁石の位置を精度よく測定するための測定器のアライメント方法および磁場測定方法の詳細を報告する。 |
18:30 - 18:50 | |
WEOM10 | SuperKEKBにおける水平方向衝突軌道保持制御システムの実証試験 Demonstration of the collision feedback system for the SuperKEKB horizontal orbit at the interaction region ○大木 俊征,船越 義裕,増澤 美佳,川本 崇,上原 貞治,中村 衆(高エネ研),Wienands Ulrich(アルゴンヌ国立研究所),Fisher Alan Stephen(スタンフォード線形加速器センター),Jehanno Didier,Carlo Salvatore di,Pang Chengguo,Bambade Philip(オルセー線形加速器研究所) ○Toshiyuki Oki, Yoshihiro Funakoshi, Mika Masuzawa, Takashi Kawamoto, Sadaharu Uehara, Shu Nakamura (KEK), Ulrich Wienands (ANL), Alan Stephen Fisher (SLAC), Didier Jehanno, Salvatore Di Carlo, Chengguo Pang, Philip Bambade (Orsay, LAL) 電子陽電子衝突型加速器であるSuperKEKB加速器は、世界最高のピーク・ルミノシティを達成したKEKB加速器の、さらに40倍のルミノシティを目指す高度化計画である。衝突点でのビームサイズは水平方向10μm、垂直方向50~60nmであり、こうしたナノオーダーのビームを如何に衝突させてそれを維持するかが最も重要な課題の一つであって、これまでに無い困難を克服する必要がある。そのため、水平方向の衝突点軌道保持制御システムとして、PEP II加速器で実績のあるデザリングシステムを新たに導入した。このシステムでは、陽電子ビームを水平方向に揺さぶり(デザリング)、ルミノシティの変調を計測し、その応答から電子ビームを水平方向にどの程度変位させれば良いか割り出し、高いルミノシティを維持する。2018年3月から始まった加速器運転では、順次ビームを絞り込み、4月26日に初めての衝突を観測した。ビームは最終的なビームサイズに絞り込んでいないものの、デザリングシステムによる軌道制御試験も実施し、期待通り制御できることを初めて確認できた。本発表では、このデザリングシステムの概要と、ハードウエア、衝突試験で得られた衝突軌道保持制御の様子について紹介する。 |
真空/加速器応用・産業利用1 (8月9日 特別会議室1) | |
8:40 - 9:00 | |
THOL01 p.88 | ガスシートを用いた二次元ビームプロファイルモニタのためのガス分布測定装置の開発 Development of a Gas Distribution Measurement System for a Two-Dimensional Beam Profile Monitor with a Sheet-Shaped Gas ○山田 逸平(同志社大学 / J-PARCセンター(日本原子力機構)),荻原 徳男(J-PARCセンター(高エネ研)),引地 裕輔,神谷 潤一郎,金正 倫計(J-PARCセンター(日本原子力機構)) ○Ippei Yamada (Graduate School of Science and Engineering, Doshisha University / J-PARC center(JAEA)), Norio Ogiwara (J-PARC center(KEK)), Yusuke Hikichi, Junichiro Kamiya, Michikazu Kinsho (J-PARC center(JAEA)) 大強度ビームの安全な運転には適切な制御を行うためのビームモニタリングが必須である.ビームプロファイルモニタにはワイヤ式があるが,大強度ビームではモニタが破損する可能性があるため使用できない.この解決策として,加速器ビームが中性ガスと衝突した際に発生するイオン・電子ないしは光を検出するモニタの開発が進められている.しかし既存の残留ガスを用いた方法ではプロファイルを一度で二次元的に測定することは困難であるため,ガスをシート状に形成することで,二次元的なプロファイル取得を可能にする.第一段階としてJ-PARCの線形加速器に導入するためのガスシート生成用スリットの設計を行った.この計算はモンテカルロシミュレーションを用いて行い,スリットの形状と形成されるシートの関係を調査した.今後このスリットを用いたガス分布特性の実測と,イオンもしくは光検出部の開発を行い,得られた分布情報とモニタリング結果を解析して実際のビームプロファイルへの換算を行うツールを開発する予定である.本発表ではモンテカルロシミュレーションを用いたスリット形状に対するガスシート特性の計算結果について議論する. |
9:00 - 9:20 | |
THOL02 p.93 | SuperKEKB主リング真空システムの現状 -Phase-2コミッショニング- Status of vacuum system of the SuperKEKB main ring - Phase-2 commissioning - ○末次 祐介,柴田 恭,石橋 拓弥(KEK/総研大),白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(KEK) ○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi (KEK/SOKENDAI), Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK) SuperKEKBはKEKの電子・陽電子衝突型加速器で、その主リングは8 GeV電子用のHigh Energy Ring (HER)と4 GeV陽電用のLow Energy Ring (LER)から構成される。設計ビーム電流は、それぞれ2.6 A、3.6 Aである(2500バンチ)。2016年2月から6月までのPhase-1運転では主リングの真空システムは概ね順調に稼働した。すなわち、圧力は運転時間と共に順調に下がり、また、大量に導入された新しい真空機器も約1 Aのビーム電流で問題なく性能を発揮した。一方、Phase-2運転に向けて幾つかの課題も明らかとなった。そこでPhase-2運転前までの長期シャットダウン中にはこれらの問題について様々な対策が取られた。平行して、BELLE-II測定器用の新規ビームパイプ等が新たに設置された。測定器のノイズを低減するビームコリメータも6台追加された。Phase-2運転は2018年3月に始まり7月に終了する予定である。5月12の段階での積算ビーム電流および最大蓄積電流は、LER、HERでそれぞれ104 Ah、99 Ahおよび0.41 A、0.3 Aである(1576バンチ)。現状真空システムはほぼ問題なく稼働し、圧力も順調に下がっている。ここでは、様々な対策の効果や、新規に導入した機器の特性などPhase-2コミッショニング時の主リング真空システムの状況、およびPhase-3コミッショニングに向けた課題等を報告する。 |
9:20 - 9:40 | |
THOL03 p.98 | あいちSR電子蓄積リングにおけるビーム急落時の放射線測定 Radiation measurement at sudden decrease of beam current in Aichi SR storage ring ○木村 信之介(名大院工),保坂 将人,石田 孝司,真野 篤志,高嶋 圭史(名大SRセンター),大熊 春夫(JASRI) ○Shinnosuke Kimura (Graduation School of Eng. Nagoya Univ), Masato Hosaka, Takasi Ishida, Atsushi Mano, Yosihumi Takashima (SR Center. Nagoya Univ), Haruo Ohkuma (JASRI) あいちSRでは電子蓄積リング立ち上げ当初から蓄積電子ビームの電流値が急落する「ビーム急落現象」が生じていた。現在はこの頻度は1か月に約3回程度までおさまっているものの、この現象が生じるとシンクロトロン光ユーザーに様々な負担をかけることになるため、解決すべき課題のひとつであった。 ビーム急落現象の発生要因はいくつか考えられているが、本実験ではそのうちのひとつ「ダストトラッピング」に着目した。ダストトラッピングとは蓄積リング内に発生したダスト(ビームダクトを構成する原子および分子で形成されたほこりと考えられている)が電子ビーム軌道上に捕らわれる事象のことである。これにより電流値が急低下すると考えられている。 本研究ではビーム寿命急落現象とダストトラッピングの因果関係を解明することを目的としている。このため、ダストトラッピングとビーム急落現象を常に観測できるようなシステムを構築した。ダストトラッピングの測定には半導体を用いたビームロスモニタを用いた。ビームロスモニタによってダストトラッピングが起きた際に軌道から逸れた電子がダクト構成原子と衝突することでダクト外部に照射される荷電粒子を観測した。 本研究ではビームダクトへのロスモニタの設置とデータの回収、データを用いて因果関係の考察を実施した。 |
9:40 - 10:00 | |
THOL04 | 可搬型高エネルギーX線源を使用した2色X線による燃料デブリ成分解析の研究 Nuclear fuel debris component analysis with dual energy X-rays by portable high energy X-ray source 小沢 壱生,福岡 潤哉,三津谷 有貴,土橋 克広,○上坂 充,島添 健次,高橋 浩之,阿部 弘亨(東京大学大学院),芝 知宙(日本原子力研究開発機構) Issei Ozawa, Junya Fukuoka, Yuki Mitsuya, Katsuhiro Dobashi, ○Mitsuru Uesaka, Kenji Shimazoe, Hiroyuki Takahashi, Hiroaki Abe (The University of Tokyo), Tomooki Shiba (JAEA) In order to decommission TEPCO Fukushima Daiichi nuclear power plant, the removal of fuel nuclear debris is planned from 2021. It is demanded to grasp nuclear material element contents of the debris remaining inside the accident reactors for the effective and safe removal. Our research team aims to do the on-site analysis of the extracted debris by the dual-energy X-ray CT method with the portable X-band (9.3 GHz) 950 keV/3.95 MeV electron linac X-ray sources and GAGG X-ray detector. It is expected to realize the atomic number evaluation. In this paper, the resolution of measurement with respect to atomic number, volume and weight are to be described and discussed. We have also performed a preliminary experiment of energy-selected X-ray imaging with the system and could have successfully obtained different transmission images by changing X-ray energy ranges. |
10:00 - 10:20 | |
THOL05 p.102 | 高強度極端紫外線パルスによる誘電体の非熱的レーザー加工 Non-thermal laser processing of dielectrics by intense extreme ultraviolet pulses ○澁谷 達則(産総研),高橋 孝(東大),坂上 和之(早大),ヂン タンフン(量子機構),原 広行,東口 武史(宇都宮大),石野 雅彦(量子機構),小柴 裕也(早大),錦野 将元(量子機構),小川 博嗣,田中 真人(産総研),鷲尾 方一(早大),小林 洋平(東大),黒田 隆之助(産総研) ○Tatsunori Shibuya (AIST), Takashi Takahashi (UTokyo), Kazuyuki Sakaue (Waseda Univ.), Thanh-hung Dinh (QST), Hiroyuki Hara, Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya Univ.), Masahiko Ishino (QST), Yuya Koshiba (Waseda Univ.), Masaharu Nishikino (QST), Hiroshi Ogawa, Masahito Tanaka (AIST), Masakazu Washio (Waseda Univ.), Yohei Kobayashi (UTokyo), Ryunosuke Kuroda (AIST) Free electron laser (FEL)-based extreme ultraviolet (EUV) pulse is an attractive option for investigating material interactions in high intensity soft X-ray fields. The study of EUV-matter interaction will build an important database for industrial applications such as EUV femtosecond lithography and direct writing. In this study, EUV laser damage threshold measurement and morphological characteristics of dielectric materials have been reported. |
加速器応用・産業利用2 (8月9日 特別会議室1) | |
10:30 - 10:50 | |
THOL06 p.105 [Slides] | 日大LEBRA-PXR線源を用いたコンピュータ断層撮像 Computed tomography utilizing LEBRA-PXR source at Nihon University ○早川 恭史,早川 建,野上 杏子,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA) ○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U. ) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)ではパラメトリックX線放射(PXR: parametric X-ray radiation)を放射源とするX線源を開発し,利用研究に供している。単色性とエネルギー選択性に優れ,線源であるシリコン単結晶に起因した空間コヒーレンスを有するため,回折型位相コントラストイメージングなどで成果が得られている。このPXR線源は,用いる電子リニアックがパルス型であることを反映し,平均X線強度については通常のX線管に比べても低いものとなっている。しかしながら,PXRエネルギーの電子エネルギー依存性は非常に低く,照射される電子ビーム電流の変動以外に強度の不安定性を引き起こす要因があまりないという特性がある。主に自由電子レーザの性能向上のために実施したリニアック安定化の努力の結果,LEBRA-PXR線源は,電子リニアック基盤のエネルギー可変単色X線源としては非常に安定なものとなった。この安定性により,数百枚の投影像が必要なコンピュータ断層撮像(CT: computed tomography)をPXR線源を用いて実施することが現実的となった。近年,大面積で高感度なX線フラットパネル検出器が市販で入手可能となり,LEBRA-PXR線源でも数10秒でCTの投影像に使用可能なX線像が得られるようになったことから,現在ではCT撮像はPXR線源の主要な応用の一つとなっている。さらに,K殻吸収端を利用した3次元元素イメージングにも取り組んでいる。これらの実験例について報告する。 |
10:50 - 11:10 | |
THOL07 | 加速器駆動小型中性子源RANS2の開発 Development of accelerator-driven compact neutron source RANS2 ○小林 知洋,大竹 淑恵,池田 裕二郎(理研),林崎 規託(東工大) ○Tomohiro Kobayashi, Yoshie Otake, Yujiro Ikeda (RIKEN), Noriyosu Hayashizaki (Titech) 我々は、稼働中の理研小型中性子源システムRANS(RIKEN Accelerator driven compact Neutron Source, 7MeV陽子線+Beターゲット)にて得た知見をもとに、移動可能なサイズ・重量を視野に入れた中性子源RANS2の開発に着手している。RANS2では陽子線エネルギーを2.49MeV まで下げ、ターゲットにはLiを採用した結果、RANSと比較して加速器重量で半分以下、遮蔽体重量では1/10以下が見込まれ、さらなる軽量化を検討している。発生する中性子エネルギーは最大700keVでRANSの1/7程度であることと、2.49MeV陽子によるLi(p,n)中性子の放出が前方主体であることが遮蔽体軽量化の要因である。現在、マイクロ波ECRイオン源とRFQを連結し加速試験を行っており、約1mA(最大パルス高、180kW投入時)の加速ビームを得ている。本発表では、加速試験の詳細と今秋予定している専用建屋への移設計画について報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
THOL08 p.110 [Slides] | QSTにおける先進核融合中性子源(A-FNS)計画 Project of advanced fusion neutron source (A-FNS) in QST ○春日井 敦,粕谷 研一,小林 創,近藤 浩夫,権 セロム,中村 誠,落合 謙太郎,太田 雅之,小栁津 誠,朴 昶虎,佐藤 聡,手塚 勝(量研/六ヶ所) ○Atsushi Kasugai, Kenichi Kasuya, Hajime Kobayashi, Hiroo Kondo, Saerom Kwon, Makoto Nakamura, Kentaro Ochiai, Masayuki Ohta, Makoto Oyaidzu, Changho Park, Satoshi Sato, Masaru Teduka (QST/Rokkasho) 我が国の核融合開発戦略を定める「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」によるアクションプランでは、ITERで50万kW出力の実証を行う2035年頃までに原型炉建設判断に必要な核融合炉材料の中性子照射試験を行う必要があるとされている。このため2030年頃までに核融合中性子源の設計・建設の完了が求められている。これまで日欧の国際協力として実施してきたIFMIF/EVEDA(国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動)で培った知見や研究資産を最大限に有効活用し、量子科学技術研究開発機構六ヶ所核融合研究所において40MeV-125mAの重陽子ビームと液体リチウムターゲットによる先進核融合中性子源(A-FNS:Advanced Fusion Neutron Source)を建設する国内計画が検討されている。A-FNSの第一の目標は核融合炉材料等の中性子照射試験を行うことであるが、その発生強度が従来の加速器型中性子源の約1万倍であることから、核融合炉材料への照射と同時利用が可能であり、医療・産業応用等を含めた多用途利用を考慮した強力中性子源として設計を行う予定である。講演では現在進められつつあるA-FNSの計画について報告する。 |
11:30 - 11:50 | |
THOL09 | OPERAプログラムにおける量子アプリケーション技術の創出を目指した小型加速器・照射技術の開発 Development of high-intensity compact accelerator and irradiation technology for creation of quantum application technology in the OPERA program ○福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,中尾 政夫,友野 大,原 周平,Koay HuiWen,森田 泰之(阪大RCNP),石山 敦士(早大理工),野口 聡(北大情報科学),植田 浩史(岡大自然科学),伊藤 正俊,松田 洋平(東北大CYRIC),松原 雄二,三上 行雄,鶴留 武尚,高橋 伸明,吉田 潤(住重),長屋 重夫,渡部 智則(中部電力),高橋 成人(京都メディカルテクノロジー) ○Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yuusuke Yasuda, Masao Nakao, Dai Tomono, Shuhei Hara, Huiwen Koay, Yasuyuki Morita (RCNP, Osaka University), Atsushi Ishiyama (Waseda University), So Noguchi (Hokkaido University), Hiroshi Ueda (Okayama University), Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda (CYRIC, Tohoku University), Yuji Matsubara, Yukio Mikami, Takenao Tsurudome, Nobuaki Takahashi, Jun Yoshida (SHI), Shigeo Nagaya, Tomonori Watanabe (Chubu Electric Power), Naruto Takahashi (Kyoto Medical technology) 「安全・安心・スマートな長寿社会実現のための高度な量子アプリケーション技術の創出」を研究領域としたプロジェクトがJSTの産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)に採択され、H29年度から量子アプリ共創コンソーシアム(幹事機関は大阪大学)の活動を開始した。OPERAは「組織」対「組織」による本格的な産学共同研究をベースとした新たな基幹産業の育成の核となる革新的技術の創出を目指したプログラムである。本コンソーシアムには、11大学・研究機関、16企業が参画し、超スマート社会の安全基盤を支える半導体デバイスのソフトエラー対策と、QOLの高い健康長寿社会を実現するための進行がん治療を目的としたアルファ線核医学治療技術の開発を主テーマとして、新たな価値の創出に不可欠な4つのキーテクノロジー(量子や短寿命RIの安定供給、高度な放射線防御技術、短寿命RIの医療利用、放射線測定技術の高度化)を確立するための8つの研究開発課題に取り組んでいる。その中で、中性子やミューオンを用いた半導体デバイスソフトエラー評価技術とAt-211の大量製造によるアルファ線核医学治療技術の確立などに必要とされる小型サイクロトロンの高強度化・多機能化、2次粒子ビーム生成・照射技術の高度化を目指した開発を進めている。本発表においては、OPERAプログラムの概要と小型加速器・照射技術の開発状況について報告する。 |
加速器制御/電子加速器1 (8月9日 特別会議室2) | |
8:40 - 9:00 | |
THOM01 p.114 | J-PARC加速器システムにおけるインバリアント分析技術の適用 Applying of System Invariant Analysis Technology (SIAT) to J-PARC accelerator system ○相馬 知也,福田 靖行(日本電気株式会社),石井 恒次,山本 昇,山田 秀衛(高エネルギー加速器研究機構),志賀 正徳(NECソリューションイノベータ株式会社) ○Tomoya Soma, Yasuyuki Fukuta (NEC), Koji Ishii, Noboru Yamamoto, Shuei Yamada (KEK), Masanori Shiga (NES) 加速器システムで収集されたデータ間の相関を詳細に分析することは、加速器性能の向上に役立つだけでなく、異常検知や故障予兆を可能にすると考えられる。近年発達してきたAI(人工知能)及びビッグデータ解析を用いた予兆診断技術を、加速器システムに適用することで、その可能性を検討する。本研究ではNECが開発したAIエンジンであるインバリアント分析技術(SIAT)を用い、J-PARC加速器が収集したデータを分析した。本論文では、議論を交えながらこの途中経過を報告する。また試験的に収集した振動データにも言及する。 It is considered that analyzing the correlation between data collected by the accelerator system in detail makes it possible not only to improve the performance of the accelerator but also to enable abnormality detection and failure signs. We will examine possibilities by applying predictive diagnosis technology of AI (artificial intelligence) and Big Data analysis to accelerator system, which have developed recently. In this research, we analyzed the data collected by the J-PARC accelerator using System Invariant Analysis Technology(SIAT) which is the AI engine developed by NEC. In this paper we report this progress course with discussion. We will also refer to the experimentally collected vibration data. |
9:00 - 9:20 | |
THOM02 p.119 [Slides] | J-PARCにおける測位センサネットワークシステムの装置と防災用アプリの試験適用 Experimental application of positioning sensor network system and disaster prevention app in J-PARC ○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),石井 恒次(高エネルギー加速器研究機構),吉岡 正和(東北大学、岩手大学、岩手県立大学) ○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (Tobishima Corporation), Shigeaki Tagashira (Kansai University), Koji Ishii (KEK), Masakazu Yoshioka (Tohoku University,Iwate University,Iwate Prefectural University) 筆者らは,長大トンネルのILCにおいて施設内の研究者の位置情報,滞在時間および緊急時の双方向情報伝達等を実現するために,測位センサネットワークによる双方向通信と同時測位を実現する安定性・信頼性の高い位置管理システムの研究・開発を進めてきた.J-PARCなどの地下に建設された巨大な施設(閉空間)では,あらゆる電波が届かないため、セルラー網による外との通信やGPSによる測位ができず,施設内にいるユーザとの連絡手段が限られたものになっている.例えば、施設構内にPHS基地局を設置し,施設内ユーザの通話を可能にしているが、データ通信,ユーザの現在地の把握,同時に多数のユーザへの情報伝達ができないなどの問題を有する.このことは業務効率の低下に加えて,災害時において迅速な対応ができないことに繋がる.本研究では,このような閉空間でも,①外との通信(インターネットとの通信)が必要なく,ローカルな環境で動作可能,②同時に複数のユーザ間でのメッセージの送受信機能,③受信したメッセージの既読機能,⑤ユーザが活動しているかどうかを管理するユーザの状態監視機能,などを有する「防災アプリ」を開発した.防災アプリは,サーバアプリとスマホアプリから構成される.J-PARCのメインリング内にシステムを装置,施設の利用者に対し一定期間適用し,その機能,利便性を検証した. |
9:20 - 9:40 | |
THOM03 p.124 | SuperKEKB phase-2運転における入射制御 Injection Control System for the SuperKEKB phase-2 operation ○梶 裕志,杉村 仁志(高エネルギー加速器研究機構),飯塚 祐一(東日本技術研究所),工藤 拓弥(三菱電機システムサービス) ○Hiroshi Kaji, Hitoshi Sugimura (KEK), Yuichi Iitsuka (East Japan Instititue of Technology), Takuya Kudou (Mitsubishi Electric System & Service) 電子陽電子衝突型加速器SuperKEKBは2018年3月よりphase-2運転を行っている。今期の運転よりメインリング(MR)への陽電子入射は「陽電子を生成し1.1GeVまで加速後にダンピングリング(DR)へ入射」「DRに蓄積しエミッタンスを向上」「DRから出射し4GeVまで加速後にMRへ入射」という複雑なプロセスとなった。このうちDR蓄積の時間は最短でも40msであり、入射器50Hz運転の運転間隔20msより大きくなる。そのため陽電子パルスの入射運転は入射器の2つの運転パルスにまたがる複雑なプロセスとなった。この入射プロセスを実現するため新しいタイミング制御システムが開発された。新システムは入射器運転を異なるパルス間で連動することができる。2016年のphase-1運転よりMRへの入射運転に用いられ、その動作安定性が証明されている。その後、2017年には、DR運転のための動作パラメータが最終決定され、その実装と動作試験が行われた。またMRの入射RFバケットを決定するバケットセレクションも、陽電子入射の際は「DR運転バケット」「MR入射バケット」の両方を決定するソフトウェアが開発された。本講演では、SuperKEKB入射タイミング制御システムのうち、これらのphase-1以後に開発された要素について説明し、phase-2での運転状況について報告する。 |
9:40 - 10:00 | |
THOM04 p.129 [Slides] | SuperKEKBの陽電子ダンピングリングの入出射路コミッショニング Commissioning of the injection and extraction beam lines of positron damping ring for SuperKEKB ○飯田 直子,池田 仁美,石橋 拓弥,植木 竜一,大西 幸喜,梶 裕志,紙谷 琢哉,菊池 光男,小磯 晴代,小林 鉄也,杉村 仁志,杉本 寛,清宮 裕史,船越 義裕,宮原 房史,森 隆志,矢野 喜治,周 徳民(高エネ研) ○Naoko Iida, Hitomi Ikeda, Takuya Ishibashi, Ryuichi Ueki, Yukiyoshi Ohnishi, Hiroshi Kaji, Takuya Kamitani, Mitsuo Kikuchi, Haruyo Koiso, Tetsuya Kobayashi, Hitoshi Sugimura, Hiroshi Sugimoto, Yuji Seimiya, Yoshihiro Funakoshi, Fusashi Miyahara, Takashi Mori, Yoshiharu Yano, Zhou Demin (KEK) SuperKEKBのための陽電子ダンピングリング(DR)は2018年2月から運転開始した。このダンピングリングはKEKの電子陽電子線形加速器(LINAC)の陽電子ターゲット下流に設置され、陽電子ビームのエネルギーは1.1GeVである。この論文はLINACからDRへの入射路(LTR)及び出射路(RTL)のビームコミッショニングに関するものである。陽電子生成はSuperKEKBのために増強されたフラックスコンセントレーター(FC)で大電流の陽電子(最大4nC)を収集するため、陽電子ビームの横方向エミッタンスのみならず進行方向のエミッタンスも大きい。ダンピングリングのバケットハイト±1.5%以内に入射ビームのエネルギー幅を収めないといけないため、入射路上流部のコリメータでエネルギー幅を±5%にカットしエネルギー圧縮システム(ECS)で±1.5%に縮める。出射路では逆にLINACでのエネルギー幅を小さくするためにバンチ長圧縮システム(BCS)でバンチ長を6mmの約1/10に縮める。実際のコミッショニングでは、FCで発生した巨大なビームをコリメータ以外でロスすることなしにDRに入射するために、入射ビームの中心部での軌道で調整する必要がある。そのために調整時用にコリメータでコア部分のみにカットしたビームでECSの調整を行った。出射路のBCS調整後LINACに戻し4GeVまで加速後、LINAC終端に設置の別のECSでエネルギー圧縮後、ビーム輸送路でSuperKEKBのメインリングに通すまでのコミッショニングについて述べる。 |
10:00 - 10:20 | |
THOM05 | チェレンコフ放射のTamm問題について On Tamm's Problem in the Vavilov-Cherenkov Radiation using a Classical Radiation Theory ○濱 広幸,齋藤 寛峻,二宮 慎吾,南部 健一(東北大学ELPH) ○Hiroyuki Hama, Hirotoshi Saito, Shingo Ninomiya, Ken-ichi Nanbu (ELPH, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターではチェレンコフ放射を利用した新奇なビーム診断技術の開発を行っている。チェレンコフ光は誘電体媒質の屈折率に応じた広がり角度の方向に放出されることが良く知られているが、実際は完全にそのまま正しいとは言えない。これが所謂「Tamm's ploblem」と呼ばれる、近接場における平面波近似の矛盾点である。理論計算や数値シミュレーションを行い、チェレンコフ放射の特性やスペクトルの角度分布等について議論する。また、チェレンコフ光がどのような電子ビーム診断に応用できるか、展望する。 |
電子加速器2 (8月9日 特別会議室2) | |
10:30 - 10:50 | |
THOM06 | ILCのためのSTF超伝導加速器開発の進展 Progress of STF Accelerator development for ILC ○早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Hitoshi Hayano (KEK) The superconducting RF test facility (STF) in KEK is the facility for developing superconducting Linac technologies of the International Linear Collider (ILC). The STF accelerator is a test accelerator composed of a normal conducting photocathode RF gun, superconducting cavities and cryomodules. So far the STF accelerator is operating only using RF gun beam. The extension plan of STF accelerator is under design for aiming beam energy of around 300-400MeV with operation of capture cryomodule and combined operation of 8 cavities in the CM-1 and CM2a cryomodules. In the framework of US-Japan collaboration, cost-down studies on superconducting cavities and superconductor materials aiming for higher gradient, are in operation mainly between KEK and FNAL. These recent new studies of the STF accelerator will be summarized and discussed in this paper. |
10:50 - 11:10 | |
THOM07 p.135 | 位相空間回転によるリニアコライダーのための高ルミノシティ扁平ビームの生成 High Luminosity Flat Beam Generation With Phase-space Rotation for Linear Colliders ○栗木 雅夫(広島大学先端研),早野 仁司,山本 尚人,清宮 裕史,金 秀光,許斐 太郎(高エネ研加速器),柏木 茂(東北大電子光理学),坂上 和之,鷲尾 方一(早稲田大学理工総研),PIOT Philippe(Dept. of Physics, Northern Illinois University),POWER John(Physics div., ANL) ○Masaso Kuriki (AdSM, Hiroshima University), Hitoshi Hayano, Naoto Yamamoto, Yuji Seimiya, Xiuguang Jin, Taro Konomi (Accelerator lab., KEK), Shigeru Kashiwagi (ELPH, Tohoku University), Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE, Waseda University), Philippe Piot (Dept. of Physics, Northern Illinois University), John Power (Physics div., ANL) 電子陽電子リニアコライダーは、素粒子同士の高エネルギー対消滅反応を実現できる現在のところ唯一の加速器である。リニアコライダーではビームビーム効果を抑制し、低電流で高いルミノシティを実現するため、衝突点において非対称のナノビームを生成することが必須である。本提案は、横方向同士、および縦方向と横方向の位相空間回転を応用し、入射部にて直接、リニアコライダーで必要となる低エミッタンス、高アスペクト比ビームを直接生成するものである。必要となるXYおよびX-Z位相空間回転について、KEK-STFおよびANL-WFAにおけるビームテストを予定している。シミュレーションによる見積もり、および実験準備状況について報告する。 |
11:10 - 11:30 | |
THOM08 p.139 [Slides] | 電子ビーム駆動方式ILC陽電子源におけるビームローディングの補正 Correction for transient beam loading on positron generation in the electron-driven ILC positron source ○名越 久泰,栗木 雅夫,高橋 徹(広島大学先端研),大森 恒彦,浦川 順治,佐藤 政則,清宮 裕史(高エネ研加速器),住友 洋介(日本大学),柏木 茂(東北大電子光理学),根岸 健太郎(岩手大学) ○Hisayasu Nagoshi, Masao Kuriki, Tohru Takahashi (AdSM, Hiroshima University), Tsunehiko Omori, Junji Urakawa, Masanori Satoh, Yuji Seimiya (KEK), Yoske Sumitomo (Nihon University), Shigeru Kashiwagi (ELPH, Tohoku University), Kentaro Negishi (Iwate University) 国際リニアコライダー(ILC; International Linear Collider)は、Higgs粒子の精密測定やトップクォークの性質の詳細研究などを目的とした重心系エネルギー250GeV-1TeVの電子・陽電子線形衝突型加速器である。ILCにおいて陽電子は、3GeV電子ビームをW-Re標的に入射し、対生成反応により生成される。ILCの陽電子源では、陽電子をバンチ間隔6.15 nsのマルチバンチにて生成、捕獲、そして加速する。そのため、過渡的ビームローディングによりバンチごとの加速エネルギーに違いが生じ、陽電子生成効率(電子数で規格化した陽電子生成数)が変わってしまうことが問題となる。本研究では、過渡的ビームローディングによるバンチ毎のエネルギーの違いと、振幅変調によるその補正について検討した。また、粒子トラッキングシミュレーションにより陽電子源の生成効率を評価し、マルチバンチで陽電子を生成した場合のバンチ毎の陽電子数のばらつきについて評価した。その結果、過渡的ビームローディングの補正を行うことで、バンチごとの陽電子生成効率を1.88-2.00、相対値にして6%(peak-to-peak)に抑えることが可能であることがわかった。ILC陽電子源の概要、過渡的ビームローディングの抑制方法、そしてシミュレーションの結果について報告する。 |
11:30 - 11:50 | |
THOM09 p.143 [Slides] | 高輝度ビーム実現に向けたcERL入射器空洞のカプラーキックの評価 Evaluation of coupler kick of cERL injector cavity for high brightness beam realization ○布袋 貴大(総研大),宮島 司,加藤 龍好(高エネ研) ○Takahiro Hotei (SOKENDAI), Tsukasa Miyajima, Ryukou Kato (KEK) 超伝導空洞には大電力を投入するためのカプラーや大電流ビームが誘起する高調波の減衰のためのカプラーが用いられる。これらのカプラーが加速モードの電磁場を歪めることが知られている。KEKにある小型のエネルギー回収型線形加速器(cERL)は超伝導線形加速器の1つである。cERLは 1 mm.mradの規格化エミッタンスを持つ 60 pCのビームが得られる設計であるが、実際には 40 pCのビームであっても 2 倍以上大きなエミッタンスになっている。品質悪化の原因を追究するために上流から調査を行ったところ、電力投入用・高調波減衰用のカプラーを備える入射器空洞の通過により、ビームプロファイルが設計と異なり水平・垂直のビームサイズ比が 1.3 程度に歪むことが観測された。設計からのズレはエミッタンスの補償条件を崩し、品質悪化に繋がる可能性がある。本研究では設計からのズレの原因となり得る入射器空洞のカプラーの影響を定量的に評価するために転送行列の測定を行った。さらにカプラー形状を含めた3次元の空洞モデルを作成し、電磁場解析を行うと水平・垂直方向の収束力の比として約 1.3 の値が得られ測定結果と一致した。これよりプロファイルが非対称となる主要因はカプラーの影響であると結論付けられる。またカプラーによる電磁場の歪みをモデルに取り込むことで、実際のビームの振る舞いをある程度、定量的に再現可能であることを示した。 |
技術研修会1 (8月9日 合同会場) | |
15:20 - 16:20 | |
THOLT01 | SuperKEKB最終集束用超伝導電磁石システム(QCS)の設計とシミュレーション手法 Design of SuperKEKB final focusing superconducting magnet system (QCS) and the simulation method. ○山岡 広(KEK) ○Hiroshi Yamaoka (KEK) 高エネルギー加速器研究機構ではルミノシティをKEKBの40倍にするためのSuperKEKB計画が進んでいる。このため、衝突点の両側には2基の最終集束用超伝導電磁石システム(QCSーL/R)が設置され、水平ビームを50nm程度まで絞る役割がある。これらの設計にあたっては、シミュレーションを用いて形状の最適化や機械振動特性などの機械設計や3次元の磁場解析等をおこなった。更にQCS設置後は振動測定を実施し、シミュレーション結果と比較した。 本発表ではこれらのシミュレーションの中から構造解析と振動解析の実例について幾つか紹介する。 |
学会賞受賞講演 (8月9日 合同会場) | |
17:25 - 17:45 | |
THOLA01 | 歪み補償型超格子偏極電子源の研究 Study of strain-compensated superlattice for spin-polarized electron sources ○金 秀光(高エネ研) ○Xiuguang Jin (KEK) GaAs型半導体フォトカソードは実用上唯一のスピン偏極電子源であり、高エネルギー物理から物性物理まで、広範な研究分野に応用されている。100%に迫るスピン偏極電子を生成するポイントは半導体の価電子帯の縮退を解くことであり、今までに歪み超格子構造が利用されてきた。歪み超格子構造では、超格子の井戸層に圧縮歪みを印加することで、歪み効果と量子閉じ込め効果により、価電子帯を大きく分離する。我々はGaAs/GaAsP歪み超格子構造を開発して、92%の世界最高スピン偏極度を実現した。一方、量子効率(取出電子数/励起光子数)は0.5%と低い値に止まっている。量子効率を上げるため超格子の層の数を増やすと、歪みが蓄積され結晶品質が悪くなり、量子効率が制限される。結晶品質を向上するために、新しい歪み補償超格子構造を提案した。超格子の井戸層に印加する圧縮歪みと逆方向の引張歪みを障壁層に印加することで、超格子全体の歪みがゼロになり、歪み緩和が抑制される。この方法により、結晶品質を劣化させずに90組の超格子層の作製に成功した。開発した24組のGaAs/GaAsP歪み補償超格子により、92%の高スピン偏極度と1.6%の高量子効率が得られた。量子効率に関しては従来のGaAs/GaAsP歪み超格子に比べ、3倍以上の大改善である。また、本発表では超格子の層の数のスピン偏極度と量子効率への影響も論じる |
17:45 - 18:05 | |
THOLA02 p.147 | XFELのマルチユーザー利用を実現した電子ビーム振り分けシステム Beamline switching system for XFEL multi-user operation ○近藤 力(高輝度光科学研究センター,理化学研究所),原 徹(理化学研究所),川口 祐介,川口 秀章(ニチコン草津株式会社) ○Chikara Kondo (JASRI,RIKEN SPring-8 Center), Toru Hara (RIKEN SPring-8 Center), Yusuke Kawaguchi, Hideaki Kawaguchi (Nichicon (Kusatsu) Co. Ltd.) X線自由電子レーザー(XFEL)は、様々な分野の先進的な実験に広く使われており、ユーザー利用時間の拡大が強く要望されていた。SACLAでは、線型加速器からの60Hzの電子ビームを2本のアンジュレータビームライン(BL2、BL3)に振り分けることで、利用時間の大幅な拡大に成功した。SACLAの電子バンチのピーク電流は10kAと非常に高いため、BL2へのドッグレッグビーム輸送路におけるコヒーレントシンクロトロン放射(CSR)がビーム軌道やエミッタンスに与える影響が顕著で、当初ピーク電流を制限して運転せざるを得ない状況であった。そこで、位相差πの2つのDouble Bend Achromatから成るビーム光学系を導入し、CSR効果を相殺している。この輸送系では、4~8GeVの電子ビームを安定に1.5°偏向させるキッカー電磁石が必要になる。我々は、この電磁石と共に、これを励磁するためのショット毎に台形の電流パターンを±300Aの範囲で可変、かつ高安定化できるパルス電源を開発した。この電源のスイッチング素子には、大電力かつ高速スイッチングが可能なSiC MOSFETを用い、 PWM制御に加えて位相差スイッチング方式を採用することで電流精度15ppm(全幅)を達成した。また小電流では動作する素子数を減らし、出力段にバイパス回路を設けることで、広い電流範囲における高精度制御を実現した。 |
光源加速器 (8月10日 特別会議室1) | |
8:40 - 9:00 | |
FROL01 p.152 | 高次高調波によるアト秒X線発生のための中赤外自由電子レーザの位相安定化方法の提案 A new method for stabilizing carrier-envelope phase in a mid-IR FEL towards attosecond X-ray sources based on high-harmonic generation ○羽島 良一,永井 良治(量研) ○Ryoichi Hajima, Ryoji Nagai (QST) 高次高調波によるアト秒パルスの発生は、これまで、固体レーザを用いた研究が進められてきた。われわれは、波長可変かつ高繰り返し動作が可能な自由電子レーザ(Free Electron Laser; FEL)を高次高調波発生(High Harmonic Generation; HHG)に利用することで、固体レーザの限界を超えるHHGの実現を目指している。特に、HHGの短波長化には中赤外で動作できるFELが有利であり、FEL-HHGは1 keV 以上のアト秒X線の本格利用に道を開くものである。HHGの高次高調波発生を効率的に行うためには、キャリア・エンベロープ位相(CEP)を安定化した極短パルス(数サイクル光パルス)が必要であることから、共振器型FELにおいてCEP安定化を実現する手法を提案する。本手法は、CEP安定化した微弱な外部レーザをシード光としてFEL共振器に連続入射することで、電子ビームのショットノイズによるFEL位相の不定性を払しょくするものである。講演では、1次元時間依存のFEL発振シミュレーションによる計算結果をもとに、外部レーザによるCEP安定化の有効性、精度、限界について述べる。 |
9:00 - 9:20 | |
FROL02 p.157 [Slides] | ニュースバルにおける単一サイクル自由電子レーザー原理実証実験計画 Proof-of-principle project for monocycle FELs at NewSUBARU ○田中 隆次,貴田 祐一郎,金城 良太(理研放射光センター),富樫 格,冨澤 宏光(高輝度光科学研究センター),橋本 智,宮本 修治(兵庫県立大高度研),田中 義人(兵庫県立大物質理学) ○Takashi Tanaka, Yuichiro Kida, Ryota Kinjo (RIKEN SPring-8 Center), Tadashi Togashi, Hiromitsu Tomizawa (JASRI), Satoshi Hashimoto, Shuji Miyamoto (University of Hyogo, LASTI), Yoshihito Tanaka (University of Hyogo, Material Science) 自由電子レーザー(FEL)におけるパルス長は電子ビームのバンチ長、より正確には、マイクロバンチが生成された領域(=発振領域)の長さとほぼ等しいため、電子ビームを短バンチ化することによりFELの短パルス化が可能である。しかしながら、発振領域が波長よりも短い場合、即ち、単一のマイクロバンチが生成された場合でも、パルス長は極限値である単一サイクルには到達できない。これは、電子がアンジュレータを通過する際に自身が放出した光から取り残される、いわゆる光スリッページと呼ばれる現象のためであり、単一サイクルFELを実現するためには、この効果を制御する必要がある。我々はこれまでにスリッページによるパルス伸長を抑制し、単一サイクルFELを実現するための新たな原理を提唱してきた[1,2]。また本原理の実証実験を、兵庫県立大学高度産業技術研究所がSPring-8キャンパス内で運用するニュースバル放射光施設の蓄積リングで行う計画を進めている。本講演では、単一サイクルFELの基本原理の概略と、実証実験の概要及び目的について報告する。[1] T. Tanaka, Phys. Rev. Lett. 114, 044801 (2015), [2] Y. Kida, R. Kinjo and T. Tanaka, Appl. Phys. Lett. 109, 151107 (2016) |
9:20 - 9:40 | |
FROL03 p.162 | 京都大学中赤外自由電子レーザの引き出し効率測定 Measurement of Extraction Efficiency of Kyoto University Free Electron Laser ○全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明(京大エネ研),羽島 良一(量研) ○Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.), Ryoichi Hajima (QST) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー関連研究への応用に向けて、共振器型中赤外自由電子レーザ装置(KU-FEL)の開発を行ってきた。自由電子レーザにおいて、電子ビームからレーザ光へのエネルギー引き出し効率は装置の性能を決める重要なパラメータである。本研究では、レーザ発振時と非発振時の電子ビームのエネルギー分布を時間分解測定し、その測定結果からエネルギー引き出し効率を求めた。結果として、最大5%もの高いエネルギー引き出し効率が得られている事が実験的に示された。これはバンチ当たり電荷量が400 pCと大きく、マクロパルス長が250μsと長い超伝導加速器を用いた準CW FELであるJAERI-FELで観測された6%に迫る高い効率である。本発表では、バンチ当たり電荷が平均40 pCと小さく、マクロパルス長も6 μsと短いKU-FELでなぜこのように高い引き出し効率が得られているかについても議論する予定である。 |
9:40 - 10:00 | |
FROL04 p.167 [Slides] | タンデムアンジュレータによるベクトルビーム発生 Cylindrical vector beam generated by tandem helical undualtors ○松葉 俊哉(広大放射光),川瀬 啓悟(量研),宮本 篤(東芝),佐々木 茂美(上海科技大),藤本 將輝(分子研 UVSOR),許斐 太郎,山本 尚人(高エ研),保坂 将人(名大SR),加藤 政博(分子研 UVSOR) ○Shunya Matsuba (HSRC), Keigo Kawase (QST), Atsushi Miyamoto (Toshiba ), Shigemi Sasaki (ShanghaiTech University), Masaki Fujimoto (UVSOR), Taro Konomi, Naoto Yamamoto (KEK), Masahito Hosaka (NUSR), Masahiro Katoh (UVSOR) 強度や位相、偏光状態が空間的に分布するstructured lightと呼ばれる光が、近年注目を集めている。その一つにベクトルビームもしくは軸対称偏光ビームと呼ばれる光があり、これは中心に暗点を持つドーナツ状の強度分布となっているが、その偏光状態が場所によって異なるもので、ラジアル偏光がその一例である。また、光渦と呼ばれるものは同様にドーナツ状の強度分布をもつが偏光状態は一様で、その位相が光軸まわりの方位角に依存して変化する。これまで、これらのような光はレーザーと光学素子の組み合わせで発生することが殆どであった。 近年、加速器ベースの光源においても円偏光アンジュレータの高次光やらせん状にバンチングされた電子ビームからの放射が光渦であることが実証され、その応用可能性が広く検討されるようになった。また、エッジ放射や遷移放射はラジアル偏光であることはよく知られている。最近、我々は、直列に並んだ2台の円偏光アンジュレータからそれぞれ放射される左右円偏光の光渦を重ね合わせることでベクトルビームを生成する手法を考案し、その実証実験を行った。その結果を報告する。 |
10:00 - 10:20 | |
FROL05 p.171 [Slides] | KEK-PFにおけるビームベース測定を用いた入射効率改善のための研究 Study for improving the injection efficiency using beam based measurement at KEK-PF ○平野 広太(広島大学理学研究科),原田 健太郎,長橋 進也,上田 明,帯名 崇,高井 良太,高木 宏之,東 直,小林 幸則(高エネ研) ○Kota Hirano (Hiroshima University), Kentaro Harada, Shinya Nagahashi, Akira Ueda, Takashi Obina, Ryota Takai, Hiroyuki Takaki, Nao Higashi, Yukinori Kobayashi (KEK) KEK-PFでは2011年の東日本震災によって生じた、ビーム輸送路の電磁石やセプタム電磁石等のアライメント誤差などが原因で入射効率の低下が問題となっている。特にセプタム電磁石は設計の古さから測量や調整が不可能である。また入射効率低下の原因に、各キッカー電磁石の振幅精度や励磁タイミングの不揃いなどが考えられている。本研究ではキッカー・セプタム電磁石の最適化を行い、入射効率の改善を行った。これはビームベースによる入射パラメータの測定から調整した。発表では、ビームベースでの入射パラメータの測定について、概要、測定結果、考察、今後の課題について報告する。 |
10:20 - 10:40 | |
FROL06 p.176 [Slides] | 交叉型アンジュレータからのTHz域コヒーレント放射の偏光特性 Characteristics of polarized coherent radiation in THz region from a crossed undulator ○齊藤 寛峻,柏木 茂,日出 富士雄,三浦 禎雄,武藤 俊哉,南部 健一,髙橋 健,長澤 育郎,鹿又 健,二宮 慎吾,濱 広幸(東北大学電子光理学研究センター) ○Hirotoshi Saito, Shigeru Kashiwagi, Fujio Hinode, Sadao Miura, Toshiya Muto, Kenichi Nanbu, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Ken Kanomata, Shingo Ninomiya, Hiroyuki Hama (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University) 東北大学電子光理学研究センターでは加速器ベースの偏光可変コヒーレントテラヘルツ光源の研究として、交叉型アンジュレータを用いた放射光源の研究開発を行っている。交叉型アンジュレータは2台の直交する平面アンジュレータと光学移相器で構成される。バンチ長が放射波長よりも十分短い極短電子ビームを通過させて互いに直交するコヒーレントな直線偏光放射を生成し、光学移相器により位相差を調整して重ね合わせることにより任意の偏光状態を発生させる。光学移相器は第一の放射の遅延光路と電子ビームのバイパス経路で構成され、光路長の調整により2つの放射の位相差調整を行う。本光源からの放射特性を評価するため、解析的な放射計算コードの開発を行っている。実証実験ではエネルギー22 MeV、バンチ長約100 fsの電子ビームと周期長80 mm、K値3.7のアンジュレータを想定している。このとき各平面アンジュレータからは周波数約1.8 THzの準単色な直線偏光コヒーレント放射が生成される。しかしこの放射電場の形状が正弦波と完全には一致しないこと、放射のサイクル数が有限であることから、例えば2つの放射の位相差をπ/2に調整しても偏光は完全な円偏光から僅かにずれる。またアンジュレータ放射の波長は放射角依存性を持つことから、交叉型アンジュレータにより生成される放射のストークスパラメータも角依存性を持つ。本発表ではこれらの放射特性、偏光特性について示す予定である。 |
粒子源 (8月10日 特別会議室2) | |
8:40 - 9:00 | |
FROM01 p.181 | 大強度化運転に向けた核破砕水銀ターゲット容器の製作技術と設計の改良 Improvement of fabrication technologies and the design of spallation mercury target vessel for high-intensity operation ○若井 栄一,涌井 隆,粉川 広行,直江 崇,花野 耕平,羽賀 勝洋,木下 秀孝,高田 弘,二川 正敏(原子力機構 J-PARCセンター),木村 優志,上羽 亮平,木原 安彦,仙入 克也(三菱重工機械システム),鹿又 研一,島田 翼(金属技研),森 裕章,芹澤 久(大阪大学) ○Eiichi Wakai, Takashi Wakui, Hiroyuki Kogawa, Takashi Naoe, Kouhei Hanano, Katsuhiro Haga, Hidetaka Kinoshita, Hiroshi Takada, Masatoshi Futakawa (JAEA J-PARC Center), Masashi Kimura, Ryuhei Ueha, Yasuhiko Kihara, Katsuya Sennyu (MHI Machinery Systems), Kenichi Kanomata, Tsubasa Shimada (MTC), Hiroaki Mori, Hisashi Serizawa (Osaka University) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の核破砕中性子源では、物質・生命科学や産業の発展のために国内外の研究者や民間企業のユーザーによって中性子線を利用して様々な解析が行われている。J-PARCの核破砕中性子源施設は高エネルギーに加速したパルス陽子ビーム(3 GeV, 25 Hz)の1 MW安定運転を目標としている。中性子源ターゲット容器の製作方法や非破壊検査技術などの改良や高度化を進め、2017年秋から300 kWの運転を行い、2018年1月より400 kWに出力を上昇させた。さらに2018年4月後半から500 kWの安定運転を実施している。本研究発表では、さらなる大強度化運転のために、現在、研究開発に取り組んでいる水銀ターゲット容器の製作技術の概要や製作の近況を報告する。製作中の本機器は、特に運転時に生じる熱応力がより低減できるように水銀ターゲット容器構造の改良を施し、製作技術、溶接技術及び検査技術などの高度化を進めているものである。また、本発表では今後の抱負や世界的な動向等を述べ、幅広く議論を行う予定である。 |
9:00 - 9:20 | |
FROM02 p.185 [Slides] | J-PARC MLF MUSEのミュオン生成標的の現状報告 Perspective of muon production target at J-PARC MLF MUSE ○牧村 俊助,的場 史朗,河村 成肇(KEK物構研、J-PARC) ○Shunsuke Makimura, Shiro Matoba, Naritoshi Kawamura (KEK-IMSS, J-PARC) A pulsed muon beam with unprecedented intensity will be generated by a 3-GeV 333-microA proton beam on a muon target made of 20-mm thick isotropic graphite at J-PARC MLF MUSE (Muon Science Establishment). The energy deposited by a 1-MW proton beam is estimated to be 3.9kW in the muon target. The first muon beam was successfully generated on September 26th, 2008. Gradually upgrading the beam intensity, continuous 300-kW proton beam has been operated by a fixed target method without replacements till June of 2014. However, the lifetime of the fixed target will be less than 1 year by the proton-irradiation damage of graphite through 1-MW proton beam operation. To extend the lifetime, a muon rotating target, in which the radiation damage is distributed to a wider area, had been developed. The muon rotating target was installed in September of 2014, and continuous and stable 500-kW proton beam operation has been successfully performed. Recently, new developments of muon target for further higher power operation are in progress. The perspective of the muon production target at J-PARC MLF MUSE will be introduced in this presentation. |
9:20 - 9:40 | |
FROM03 p.189 [Slides] | compact-ERL DC電子銃の500 kV長期安定運転 Long-term stable operation of a 500 kV DC electron gun at compact-ERL ○山本 将博(高エネ研),西森 信行(量研機構),宮島 司,本田 洋介(高エネ研),羽島 良一(量研機構) ○Masahiro Yamamoto (KEK), Nobuyuki Nishimori (QST), Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda (KEK), Ryoichi Hajima (QST) KEKにて次世代放射光源加速器として開発が進められてきたcompact-ERL(cERL)は2016年に方針が変わり、その後産業利用応用としての加速器の研究開発が進められてきたが、電子銃の低エミッタンスビームの長期的な安定供給は変わらず最重要項目の一つとなっている。cERLの運転時間は非常に限られた状況ではあったが、2018年3月のcERL運転および2017年6月~2018年3月の間に10日間実施した超伝導空洞未冷却状態での電子銃単独運転において累計153時間以上の間、一度も放電を起こすことなく加速電圧500 kVを維持し続けることに成功した。加速電圧500 kV状態での光陰極周囲から発生する電界放出暗電流は5 pA相当であり、十分低く抑えられている。2016年以降の高電圧コンディショニングおよび電子銃の運転の経験から高電圧運転中も非常にゆっくりとしたコンディショニング効果が得られていることから2018年6月に予定されているcERL運転で無放電継続時間はさらに延びるものと推測している。500kV状態で電子銃の放電は起きなくなった一方で、他の要因によりインターロックが働き高電圧を落とす事象・問題が発生している。本学会では500kVを長期安定に運転できるようになった背景および現状の問題について報告する。 |
9:40 - 10:00 | |
FROM04 p.194 [Slides] | CsKTe薄膜によるGaAsのNEA活性化 A study of NEA activation of GaAs with CsKTe thin film ○正木 一成,栗木 雅夫(広大先端研) ○Kazunari Masaki, Masao Kuriki (Adsm of Hiroshima Univ. ) 次世代の衝突型線形加速器ILC(International Linear Collider)では、スピン偏極電子ビームが大きな役割を果たす。また、スピン偏極電子は磁気に敏感で、かつスピン流を運ぶため、磁区観測やスピントロニクスに有用である。現状では超格子GaAsフォトカソードが、90%という高い偏極度を実現する唯一の方法である。GaAsから高スピン偏極電子を放出させるためには、真空エネルギー準位が伝導バンドの最低準位を下回るNegative Electron Affinity (NEA)表面状態が必要である。NEA表面は清浄GaAs表面にCsと酸素あるいはNF3を吸着させることで得られることがわかっている。これにより、90%という高い偏極度に加えて量子効率10%以上が実現できる。一方で、NEA表面の耐久性は低く、長期間の運転には1.0e-9 Paを下回る極高真空状態が必要であり、RF電子銃など真空環境が理想的でない条件ではビームの生成は困難である。NEA-GaAsを高耐久化できれば、真空環境の条件が緩和され、RF電子銃を含む多様な場面での利用が可能となる。我々のグループでは高耐久NEA-GaAsの実現に向け、安定な半導体薄膜を用いたヘテロ接合モデルに基づくNEA活性化を提案している。CsKTe薄膜を用いたGaAsのNEA活性化実験を行なったところ、GaAsのギャップエネルギー相当の波長800 nmの光によって有意な量子効率を確認し、NEA活性化が示唆する結果を得た。実験の詳細について報告をする。 |
10:00 - 10:20 | |
FROM05 p.197 [Slides] | 超高速電子顕微鏡用のRF電子銃の開発 Development of new rf gun for ultrafast electron microscopy ○楊 金峰,菅 晃一(阪大産研),高富 俊和(高エネ研),樊 寬軍(華中科技大学),照沼 信浩,浦川 順治(高エネ研),吉田 陽一(阪大産研) ○Jinfeng Yang, Koichi Kan (ISIR, Osaka Univ.), Toshikazu Takatomi (KEK), Kuanjun Fan (Huazhong University of science and Technology, China), Nobuhiro Terunuma, Jyunji Urakawa (KEK), Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) フェムト秒時間領域での原子や分子レベルの超高速構造ダイナミクスの観察は、物質科学研究者の長年の夢であり、新しい物質の創製・機能の発見に重要な役割を果たす。そこで、我々は、フォトカソード高周波(RF)電子銃を用いて極低エミッタンスのフェムト秒電子線パルスを発生し、相対論的エネルギーの超高速電子顕微鏡の開発を推進している。RF電子銃を用いた超高速電子顕微鏡を実現するために、まず、今までの製作し易い矩形型RF電子銃加速空洞から丸型空洞と楕円型アイリスを変更し、新型RF電子銃を設計・製作した。これにより、RFの非線形成分によるエミッタンスの増大を低減し、0.1mm-mradの低エミッタンスフェムト秒電子線パルスの発生に成功した。次に、エネルギー分散の低減、ビーム電流の向上の為に、新たに最高繰返し1kHzの常伝導1.4セルRF電子銃の設計と製作を行っている。本大会では、超高速電子顕微鏡用のRF電子銃の開発、相対論的フェムト秒電子線パルスを用いたイメージングの成果について報告する。 |
10:20 - 10:40 | |
FROM06 p.200 | SuperKEKB用RF電子銃のコミッショニング Commissioning of RF-Gun for SuperKEKB ○吉田 光宏,周 翔宇,張 叡,夏井 拓也,西田 麻耶,本田 洋介(高エネルギー加速器研究機構),佐藤 大輔(産業技術総合研究所) ○Mitsuhiro Yoshida, Xiangyu Zhou, Rui Zhang, Takuya Natsui, Maya Nishida, Yousuke Honda (KEK), Daisuke Sato (AIST) SuperKEKBでは非常に高いルミノシティーを得るため、低エミッタンス化によるダイナミックアパーチャーの減少とビーム寿命の減少はやむを得ない。これに対応して電子陽電子入射器も高電荷・低エミッタンスの電子源として、RF電子銃を導入した。KEKB-HERへの電子入射の要求は、5nCの電荷においてY方向の規格化エミッタンスが 20mm・mrad、エネルギー分散も0.1%である。RF電子銃からのビームは5nCの電荷では、20ps で6mm・mradのエミッタンスが最適値であり、このビームを途中の輸送系等も含めて入射の要求値を満たさねばならない。 加速管の横方向ウェーク場による横方向の射影エミッタンスの増加はバンチ長が短い程小さくできるが、縦方向ウェーク場によるエネルギー分散は10ps程度が最適である。これらを満たすような条件として、時間方向のバンチ構造をレーザーの時間構造の制御によりガウシアン分布ではなく矩形波にし、全幅で20ps を 10ps に圧縮した後、ビームを1.6GeVのアーク部まで輸送し、アーク部でさらに4psに圧縮する事を検討している。 このためにフォトカソードの改良、レーザーの波形整形方法の開発、バンチ圧縮等の試験を行ってきており、これらについての状況報告を行う。 |
技術研修会2 (8月10日 合同会場) | |
11:00 - 12:00 | |
FROLT01 p.204 | 数値シミュレーションの基礎 (時間進展問題に対する解析の留意点について) Introduction to numerical simulation (Points to notice in numerical analysis for time dependent problems) ○倉橋 貴彦(長岡技術科学大学) ○Takahiko Kurahashi (Nagaoka University of Technology) 本講演では,時間進展の問題を対象とした数値シミュレーションにおいて,計算誤差が増大し発散しないように計算条件を設定する方法について説明する.数値計算では,一般に,支配方程式に対して離散化を行い,微分方程式を代数方程式に変形することによりプログラミングを実施するが,適用する離散化の方法が適切でない場合,どのような計算条件を設定したとしても,計算が発散する場合がある.これは理論的にも証明することができフォン・ノイマンの安定性解析を実施することにより確認することができる.この安定性解析を実施することにより,計算を安定に行うための計算条件の設定範囲を誘導することができ,汎用ソフトウェアが頻繁に使用される現在においては,この安定解析法は必ず知っておくべきものである.また,この計算安定性に関する考察を踏まえ,計算を安定にする「有限差分法による離散化式」と等価となるように「有限要素法による離散化式(有限要素方程式)」を誘導する方法が開発された.現在では,安定化有限要素法という呼び名として知られており,計算力学の分野においては様々な問題に対して幅広く適用されている.このような経緯も踏まえ,本講演では計算の安定性に焦点をおき,上記の内容について解説を行う. |
ハドロン加速器1 (8月10日 特別会議室1) | |
13:20 - 13:40 | |
FROL07 p.209 | 京大複合原子力科学研究所FFAG加速器現状報告 Status report on fixed field alternating gradient accelerators in KURNS ○上杉 智教,石 禎浩,栗山 靖敏,不破 康裕,森 義治(京大複合研),沖田 英史(京大) ○Tomonori Uesugi, Yoshihiro Ishi, Yasutoshi Kuriyama, Yasuhiro Fuwa, Yoshiharu Mori (KURNS), Hidefumi Okita (Kyoto univ.) 京都大学複合原子力科学研究所(旧原子炉実験所)FFAG加速器は入射器の故障から復旧し、昨年夏より運転を再開した。 本発表では、ユーザー実験を含む運転状況と、復旧後のビーム品質、今後の課題とアップグレード計画について報告する。 |
13:40 - 14:00 | |
FROL08 p.212 [Slides] | RCNP AVFサイクロトロン施設アップグレードの現状 Current status of the upgrade of RCNP AVF cyclotron facility ○神田 浩樹,福田 光宏,依田 哲彦,友野 大,中尾 政夫,畑中 吉治,齋藤 高嶺,森信 俊平,永山 啓一,鎌倉 恵太,原 周平,Koay Hui Wen,森田 泰之,武田 佳次朗,原 隆文(阪大RCNP) ○Hiroki Kanda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Dai Tomono, Masao Nakao, Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Shunpei Morinobu, Keiichi Nagayama, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)ではK140 AVFサイクロトロンと K400リングサイクロトロンが稼働しており、原子核物理学、加速器科学、 情報科学、物性物理学、宇宙物理学、医学等に向けたビームの利用を 推進している。平成29年度より、ビーム強度をこれまでより10倍に増強する 目的で、イオン源およびAVFサイクロトロンのアップグレードを進めてきている。 平成29年度には高輝度量子ビーム供給システム整備としてイオン源の アップグレードの準備を行ってきた。今年度はイオン源のテストベンチを構築し、 高圧化対応、ビーム輸送、制御のテストを実施する。 また、AVFサイクロトロン本体については、2-Dee化のための電極構造及び 共振器の構造、取り出し部の構造についてシミュレーションをベースとした 設計を行ってきたが、今年度は機械設計やプロープ、ピックアップ等を含めた 実際的なデザインに向けて詳細設計を本格化させている。 現行のスケジュールでは平成30年12月より1年間の加速器の停止を予定している。 この期間にサイクロトロン及び建屋の更新作業を実施する。平成31年度末までには これらの更新作業と加速器のコミッショニングを完了し、平成32年度初頭より ビーム供給を開始するというスケジュールで作業を進めている。 この発表では、イオン源、AVFサイクロトロンの更新作業およびユーザーとの 共同で進めているビーム輸送の改良に向けた検討の現状を報告する。 |
14:00 - 14:20 | |
FROL09 p.216 | J-PARCリニアック大強度化にむけたMEBT1におけるビーム測定結果 Beam commissioning of J-PARC MEBT1 for a higher beam current ○大谷 将士(KEK),岡部 晃大,小栗 英知,平野 耕一郎(原研/J-PARC),二ツ川 健太(KEK),三浦 昭彦(原研/J-PARC),宮尾 智章(KEK),守屋 克洋(原研/J-PARC),劉 勇(KEK) ○Masashi Otani (KEK), Kota Okabe, Hidetomo Oguri, Koichiro Hirano (J-PARC, JAEA), Kenta Futatsukawa (KEK), Akihiko Miura (J-PARC, JAEA), Tomoaki Miyao (KEK), Katsuhiro Moriya (J-PARC, JAEA), Yong Liu (KEK) J-PARCリニアックはピークビーム電流値40mAで安定に稼働しており、平成30年秋からピークビーム電流50mAで運転を行う予定である。しかし、J-PARCで現在検討を進めている将来計画を実現するには、リニアックの更なる大強度化が必要不可欠である。現在もっともビーム損失が大きいのは、空間電荷効果が大きく機器配置の制約が厳しいMEBT1 (RFQとDTLの間のビーム輸送セクション)である。そこで、さらなる大強度化を実現するにはMEBT1におけるビームの形状を理解し輸送ラインの最適化が必要不可欠となる。本講演では、MEBT1における新しいビーム位相方向測定手法の確立および測定結果、XY方向の測定結果、ならびに60mA試験運転の結果について報告する。 |
14:20 - 14:40 | |
FROL10 p.220 [Slides] | J-PARC主リングにおける縦方向バンチ結合振動フィードバックシステム The feedback system for the longitudinal coupled bunch oscillation in J-PARC MR ○杉山 泰之,吉井 正人,大森 千広,長谷川 豪志,原 圭吾,古澤 将司(KEK/J-PARC),田村 文彦,野村 昌弘,山本 昌亘,島田 太平(JAEA/J-PARC) ○Yasuyuki Sugiyama, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masashi Furusawa (KEK/J-PARC), Fumihiko Tamura, Masahiro Nomura, Masanobu Yamamoto, Taihei Shimada (JAEA/J-PARC) J-PARCの主リング(MR)においては、ビーム強度の増加に伴って縦方向のバンチ結合振動が観測されるようになってきた。 特にニュートリノ実験への速い取り出しにおいては振動が顕著であり、更なるビーム強度増加の為には対策が必要となってきている。 縦方向バンチ結合振動の対策として、バンチ結合振動を検知し抑制するフィードバックシステムを開発した。 フィードバックシステムは壁電流モニター、フィードバック制御モジュール、RFアンプおよび縦方向キッカーから構成される。 フィードバック制御モジュールではビーム信号のバンチ結合振動成分のみを抽出してフィードバック制御を行う。 この際、振動成分の検知とフィードバック制御の処理をバンチ結合振動の各モードに対して独立に行っている。 フィードバック信号をビームに与える縦方向キッカーには、加速に用いている既存のRF空胴を用いている。 本発表では、開発した縦方向振動バンチ結合振動フィードバックシステムの概要と、ビームを用いたフィードバック試験の現状について述べる。 |
ハドロン加速器2 (8月10日 特別会議室1) | |
14:50 - 15:10 | |
FROL11 p.225 [Slides] | 電磁石電流によるリアルタイムベータトロンチューン補正時のJ-PARC Main Ring 遅い取り出しビーム品質の評価 Evaluation of slow-extracted beam quality with real-time betatron tune correction using magnet current at J-PARC Main Ring ○栗本 佳典,下川 哲司,内藤 大地,木村 琢郎,岡村 勝也,武藤 亮太郎,冨澤 正人(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshinori Kurimoto, Tetsushi Shimogawa, Daichi Naito, Takuro Kimura, Katsuya Okamura, Ryotaro Muto, Masahito Tomizawa (High Energy Accelerator Research Organization) J-PARC Main Ring(MR)には、加速した陽子ビームを数秒かけて徐々に実験施設に取り出す、「遅い取出し」運転モードがある。その取出しビーム強度の時間的平坦性は非常に重要である。なぜなら平坦性が悪いと多数の粒子が短時間内に局在し検出器のデータ取得能力を超え実験の効率を下げるからである。J-PARC MRではベータトロンチューン(チューン)を共鳴条件に近づけビームサイズを大きくし、エミッタンスの大きい粒子から徐々に取り出す手法で遅い取出しを実現している。ここではチューンの制御が非常に重要になってくるが、主電磁石磁場に大きなリプルがあるとチューンが変動するので取出しビームに濃淡ができてしまう。一方で、チューンの直接測定はビームを意図的に振動させるため、利用運転時にフィードバック補正をすることは困難である。そこで、我々は、偏向および四極電磁石の電流からチューンの補正量をリアルタイムで計算し、それを補正四極電磁石の入力とすることでフィードフォワード的にチューンを補正する新方式を提案している。 本講演では、提案しているシステムのハードウェアの詳細および実際にシステムを用いたビーム試験の結果、特にチューン変動や取り出しビームの平坦性への効果について報告する。 |
15:10 - 15:30 | |
FROL12 p.231 [Slides] | J-PARC COMET実験のための8GeV陽子加速試験におけるビームプロファイル測定 Measurement of proton beam profile at 8GeV acceleration commissioning for the J-PARC COMET experiment ○深尾 祥紀,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,藤井 祐樹,広瀬 恵理奈,家入 正治,五十嵐 洋一,加藤 洋二,倉崎 るり,三原 智,皆川 道文,森野 雄平,森津 学,武藤 亮太郎,西口 創,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,冨澤 正人,豊田 晃久,上野 一樹,鵜養 美冬,渡邉 丈晃,山本 剛史,山野井 豊(KEK) ○Yoshinori Fukao, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Yuki Fujii, Erina Hirose, Masaharu Ieiri, Youichi Igarashi, Yoji Kato, Ruri Kurasaki, Satoshi Mihara, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Manabu Moritsu, Ryotaro Muto, Hajime Nishiguchi, Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Masahito Tomizawa, Akihisa Toyoda, Kazuki Ueno, Mifuyu Ukai, Hiroaki Watanabe, Takeshi Yamamoto, Yutaka Yamanoi (KEK) 茨城県東海村にあるJ-PARCでは、2018年1月、2月にCOMET実験のための陽子ビーム加速試験を行った。COMET実験はJ-PARCハドロン実験施設で計画されており、ミュー粒子から電子への(ニュートリノを放出しない)転換事象を探索する。ミュー粒子の崩壊事象を測定するため、ミュー粒子の寿命程度の時間間隔のバンチ状ビームが要求され、測定の背景事象となる反陽子の生成を抑制するために8GeVの陽子ビームエネルギーを選択している。ハドロン実験施設では、これまで30GeVのビームエネルギーで、遅い取り出し(slow extraction、主リング内のビーム粒子をデバンチし、連続ビームとして約2秒かけて少しずつハドロン施設へ取り出す方法)での運転を行ってきた。COMET実験で要求する8GeVのエネルギーかつバンチ形状を保ったままの遅い取り出し(bunched slow extraction)の試験は今回始めて行われ、取り出されたビームは既存のハドロン実験施設一次ビームライン(Aライン)を輸送後、二次粒子生成標的に入射した。また、COMET実験ではバンチ間の残留陽子(extinction)が背景事象の主要な原因となり得るが、その実測定も今回の試験において成された。この発表では、取り出された陽子ビームのエミッタンス測定の結果、およびそれをもとに現在建設中であるCOMET実験用の陽子ビームライン(Bライン)におけるビーム光学について報告し、extinction測定方法についても紹介する。 |
15:30 - 15:50 | |
FROL13 p.235 | ミューオン電子転換過程探索実験のための8GeV遅い取り出しビーム試験 8 GeV-slow extraction test for muon to electron conversion search experiment ○冨澤 正人,武藤 亮太郎,木村 琢郎,柳岡 栄一,新垣 良次,村杉 茂,岡村 勝也,白壁 義久,五十嵐 進,佐藤 洋一,白形 政司,高野 淳平,森田 裕一,上窪田 紀彦,外山 毅,橋本 義徳(高エネ機構 加速器),發知 英明,田村 文彦(原子力機構),五十嵐 洋一,上野 一樹,西口 創,深尾 祥紀,藤井 祐樹,三原 智(高エネ機構 素核研),森津 学(学振) ○Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Takuro Kimura, Eiichi Yanaoka, Yoshitsugu Arakaki, Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Masashi Shirakata, Junpei Takano, Yuichi Morita, Norihiko Kamikubota, Takeshi Toyama, Yoshinori Hashimoto (KEK ACCL), Hideaki Hotchi, Fumihiko Tamura (JAEA), Youichi Igarashi, Kazuki Ueno, Hajime Nishiguchi, Yuki Fukao, Yuki Fujii, Satoshi Mihara (KEK IPNS), Manabu Moritsu (JSPS) J-PARCメインリング(MR)からの遅い取り出しビームを用いたミューオン電子転換過程を探索する実験(COMET)が計画されている。COMET実験では8GeVの陽子ビームを用いる。さらに陽子ビームは約1マイクロ秒間隔のパルス状の時間構造を持つ必要があり、隣り合うパルスビームの間に存在する残留ビームの比(extinction)は10-10以下が要求される。RCSでは1バンチ加速を行い、MRに4回入射し8GeVまで加速する。MRで加速されたビームはバンチ構造を保ったまま遅い取り出しによりCOMET実験施設に供給される。3 GeVから8 GeVまでという低い加速率のため、ビームサイズ縮小効果が少ない状態で遅い取り出しを行う必要がある。extinctionの改善のためにMRの入射キッカーのタイミングをずらして、空バケツに存在する残留ビームを入射後に全ロスさせる手法を取り入れた。この手法の有効性は、速い取りだしによりアボートラインに取り出された8GeVビームのextinctionの測定(2014年に実施)で確かめられている。しかしながら遅い取りだし過程におけるextinctionへの影響がどの程度あるかは大きな関心事であった。2018年初頭に実施されたビーム試験において、Phase-Iで必要な3.2 kW相当の陽子ビームの8 GeV遅い取り出しに初めて成功した。取り出されたビームのextinctionは要求された値を満たすことが確かめられた。今回のビーム試験結果で得られた成果はCOMET実験実現にむけて大きな一歩となる。 |
15:50 - 16:10 | |
FROL14 p.239 [Slides] | 負ミューオニウムを用いたミューオンRF加速実証試験 Demonstration of the muon RF acceleration with the negative muonium ○大谷 将士(高エネ研),北村 遼(東大),深尾 祥紀,二ツ川 健太,河村 成肇,三部 勉,三宅 康博,山崎 高幸(高エネ研),近藤 恭弘,長谷川 和男,森下 卓俊(原研),Bae Sunghan,Choi Seonho,Kim Bongho(SNU),Razuvaev Gosha(BINP SB RAS, Novosibirsk State Univ., Pulkovo Observatory),飯沼 裕美,中沢 雄河(茨城大),石田 勝彦(理研),齊藤 直人(J-PARCセンター),飯島 徹,須江 祐貴(名大) ○Masashi Otani (KEK), Ryo Kitamura (Univ. of Tokyo), Yoshinori Fukao, Kenta Futatsukawa, Naritoshi Kawamura, Tsutomu Mibe, Yasuhiro Miyake, Takayuki Yamazaki (KEK), Yasuhiro Kondo, Kazuo Hasegawa, Takatoshi Morishita (JAEA), Sunghan Bae, Seonho Choi, Bongho Kim (SNU), Gosha Razuvaev (BINP SB RAS, Novosibirsk State Univ., Pulkovo Observatory), Hiromi Iinuma, Yuuga Nakazawa (Ibaraki Univ.), Katsuhiko Ishida (RIKEN), Naohito Saito (J-PARC center), Toru Iijima, Yuuki Sue (Nagoya Univ.) J-PARCで計画されているミューオンg-2/EDM精密測定実験では、横方向運動量分散と縦方向運動量の比が10^-5以下の極冷ミューオンビームを用いることで、先行実験とは異なる手法により高精度な測定を実現する。 この極冷ミューオンは、陽子ビームから生成した4 MeVの表面ミューオンを25 meVの超低速ミューオンにまで冷却した後、線形加速器で212 MeVまで再加速することで得られる。 ミューオン線形加速器の実現に向けて、RFQを用いたミューオンRF 加速の実証試験を行った。超低速ミューオンの生成にはイオン解離レーザーなど大型設備を要するため、加速実証実験では簡易的な冷却手法として、ミューオンをアルミ薄膜標的に照射することで負ミューオニウム(Mu-、µ+e-e-)へと変換して2 keV以下にまで冷却した。生成したMu-はRFQの入射エネルギー5.6 keVまで静電加速された後、RFQで最終的に90 keV までRF加速される。 加速されたMu-は偏向電磁石で運動量と極性を選別し、さらにMCPを用いたTOF 測定により粒子同定した。 本公演では世界初となるミューオンRF加速実証試験の結果について、予備実験として実施した負ミューオニウム生成実験の成果も交えて報告する。 |
電磁石と電源2/高周波源 (8月10日 特別会議室2) | |
13:20 - 13:40 | |
FROM07 p.244 [Slides] | SiC-MOSFETを用いた半導体スイッチ電源の開発 Development of solid-state switch for power supply with SiC-MOSFET ○高柳 智弘,植野 智晶,堀野 光喜,山本 風海,金正 倫計(J-PARC/JAEA) ○Tomohiro Takayanagi, Tomoaki Ueno, Koki Horino, Kazami Yamamot, Michikazu Kinsho (J-PARC/JAEA) 現在主流のSi製のパワー半導体より高耐圧、低損失、且つ、高周波動作に優れた次世代パワー半導体のSiC-MOSFETを用いたスイッチ電源の開発を進めている。半導体のSiC化は、サイラトロン代替スイッチや省電力小型スイッチング電源の製品化を可能とする。しかし、J-PARC 3GeV-RCSキッカー電源で採用しているサイラトロンの仕様(80kV/4kA)を1モジュールで満足する製品は開発されていない。その為、パワー半導体を直並列に多重化した回路を構築する必要がある。また、キッカー電源に要求される高速短パルス波形の出力には、パワー半導体の性能向上とは別にインダクタンスや浮遊容量などの回路インピーダンスを考慮した設計がポイントになる。そこで、パワー半導体を同心円状に配列し全並列回路のインピーダンスを同値にできる円形の放射対称型回路を構築した。これにより、回路インピーダンスの差異に起因した波形歪みを抑制できた。本構造はLTD回路に採用されており、半導体新キッカー電源の開発には不可欠である。発表では、SiC-MOSFETを用いたスイッチ回路を放射対称型と一般的な線形対称型でそれぞれ構築し各出力波形歪みを評価した結果、LTD回路を採用した半導体新キッカー電源の予備試験の結果、更に、同じスイッチング回路でSi-IGBTとSiC-MOSFETを置換して損失を評価した結果を報告する。 |
13:40 - 14:00 | |
FROM08 | 高電圧高精度電源に適した低圧大電流IGBTユニットの開発 Development of low-voltage and large-current IGBT unit for high-voltage and high-precision power supply ○渡辺 泰広(日本原子力研究開発機構) ○Yasuhiro Watanabe (JAEA) 数kVの電圧が要求されるスイッチング電源では,電力損失の低減及び部品点数の削減を目的として,スイッチング素子の高電圧化が進んでいる。例えば,太陽光発電に用いられるMWクラスの大容量パワーコンディショナでは,直流1500Vが主流となりつつあり,定格電圧3300Vの高電圧IGBTが用いられる。しかし,高電圧のIGBTは、スイッチング一回当たりのステップ電圧が高くなることや,スイッチング周波数が高くできないため,フィルタ回路が大型化するなど高精度電源においては不利となる。本論文では,定格電圧650VのIGBTを使用し,IGBT冷却用水冷銅板や直流コンデンサ,放電抵抗等を一体化した定格電圧300VのIGBTユニットを開発した。本ユニットは8台まで直列接続が可能であるため,最大電圧2400Vまで対応可能である。 |
14:00 - 14:20 | |
FROM09 p.249 | サイリスタのアバランシェモードを用いた高電圧•高電流パルス電源の開発 Development of a high voltage and high current pulse generator using Thyristor Avalanche mode ○内藤 孝,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構) ○Takashi Naito, Mitsuo Akemoto (KEK) 短パルスによる電子銃や高速キッカーに用いるために半導体を用いた超短パルス高電圧電源の開発を行っている。高電圧の短パルスを得る技術は、通常の半導体スイッチでは一般に高速のデバイスは電流容量が少なく多量の並列動作を必要とする。また、耐圧も低いため多段の直列動作も必要となる。我々はサイリスタのアバランシェモードに着目し、大容量のサイリスタを用いることで大きな電流容量を持ち、アバランシェモードでスイッチさせることで高速のスイッチング速度を実現することを目指した。現在までにパルスのピーク電圧21kV(420A@50Ω負荷), 30nsのスイッチング速度が得られている。その開発状況について報告する。 |
14:20 - 14:40 | |
FROM10 p.253 [Slides] | ARES空洞用高周波窓可換式入力結合器の大電力試験 HIGH-POWER TEST OF RF INPUT COUPLER WITH A REPLACEABLE WINDOW FOR THE ARES CAVITY ○吉野 一男,影山 達也,坂井 浩,阿部 哲郎,竹内 保直,榎本 瞬(高エネ研) ○Kazuo Yoshino, Tatsuya Kageyama, Hiroshi Sakai, Tetsuo Abe, Yasunao Takeuchi, Shun Enomoto (KEK) アレス空洞用の入力カプラは同軸型で、先端に磁気結合ループを有する結合部とアルミナ円板を備えた同軸窓部が多段ロウ接合によって一体化されている。最初の金ロウでアルミナ窓の内・外周に銅金具を接合し、その後で窓の真空側表面にマルチパクタ抑制用の窒化チタン(TiN)を成膜する。最後に、磁気結合ループ等の残りの部品を銀ロウで接合する。この工程ではTiN膜に対する後工程での熱影響が避けられない。我々の一連の実験で得られた知見として:(1)成膜条件にも依るが、銀ロウ時の熱影響でTiN膜の電気抵抗が著しく低下し、高周波による異常発熱が問題となる可能性あり。(2)アルミナを現行の純度95%から高純度(99.7%)に変えた場合、現行成膜条件ではマルチパクタ放電を十分に抑制不可。以上の理由から、TiN成膜済みの同軸窓に対する後工程での熱影響を避けるため、結合部と窓部が脱着可能な新型カプラを開発した。同軸の内・外導体の連結はネジ・ボルトの軸力による方式、外導体連結部の真空封止は外縁の薄肉リップ金具を溶接する方式とした。損耗リスクの高い窓部のみを交換すれば再生可能な点も新型の利点である。本論文では、新型カプラに対する大電力試験結果に加えて、結合部と窓部の脱着試験詳細についても報告する。 |
加速器土木・放射線防護 (8月10日 特別会議室2) | |
14:50 - 15:10 | |
FROM11 p.258 [Slides] | ILC実験施設への免震技術適用可能性検討 A possibility study which apply seismic isolated structure to ILC experiment facilities ○関根 一郎,稲井 慎介,若竹 亮(戸田建設),吉岡 正和,佐貫 智行(東北大学) ○Ichiro Sekine, Shinsuke Inai, Ryo Wakatake (Toda Corporation), Masakazu Yoshioka, Tomoyuki Sanuki (Tohoku University) 国際リニアコライダー(ILC)の日本への立地に当たって、地震の影響に対する対応が注目されるところである。地震動は地下岩盤内では数分の1から5分の一程度になることが知られており、地震によるILC施設への影響は少ないと思われるが、わが国は地震国であることから地震に対する対応策を検討しておくことは有意義であると考えられる。また、わが国では地震の影響を少なくするための免震技術が発達している。免震技術をILCに適用することにより、より良好な運用が可能になる可能性がある。しかしながら、免震技術は地盤と構造物の間に柔軟に変形する部材を用いることにより、地震時に地盤から上部構造物へ伝わる揺れを低減するものであり、常時微動に対しては構造物にどのような影響があるか明らかではない。本研究では、ILC施設に適した免震技術について検討するとともに、免震技術を適用することにより常時微動に対して構造物にどのような影響があるか検討するものである。 |
15:10 - 15:30 | |
FROM12 p.262 [Slides] | 加速器施設における耐放射線性LED照明の実証試験 Demonstration test of radiation-resistant LED lighting at accelerator facility ○上川 将章(関電工),白形 政司(高エ研/J-PARC),米本 和浩,泉 敬介(関電工) ○Masaaki Kamikawa (KANDENKO CO., LTD), Masashi Shirakata (KEK/J-PARC), Kazuhiro Yonemoto, Keisuke Izumi (KANDENKO CO., LTD) 加速器施設・核融合施設・原子炉施設等は、高放射線環境下になるエリアを有する。 このような高放射線環境下では、電気設備の多くは寿命が著しく短くなり、照明設備も例外ではない。近年、照明設備の主体となっているLED照明は、本格的な普及がここ数年(とりわけ、東日本大震災以降)であることや、半導体機器であることから耐放射線性が低く、放射線環境下での利用事例はない。 これらの環境下でも適応できる機器や材料の耐放射線性試験は、ガンマ線照射試験で評価することが一般的である。 しかし、陽子加速器施設では、ガンマ線だけでなく、陽子やπ中間子、中性子などの放射線複合環境であり、ガンマ線照射試験下とは環境が異なる。 弊社は、これまでに放射線環境における電気設備の研究開発を行ってきた。それらに加え、耐放射線性の有するLED照明やステッピングモータ等の開発・評価を行っている。 J-PARCは、運用から10年以上経過しており、この間、照明設備の省エネ化や、地球環境を保護する水銀条約が採択された。 例えば、照明設備については、水銀条約の関連で2021年以降から水銀灯の製造・販売が禁止になる。加速器トンネル内での照明設備は、水銀灯か蛍光灯であるため、水銀灯を用いた施設での運用が厳しくなり代替の照明が必要になる。 本報告では、放射線複合環境下である陽子加速器施設に、耐放射線性LED照明器具を設置している現況と実証試験の方法について報告する。 |
15:30 - 15:50 | |
FROM13 p.267 [Slides] | J-PARC MRコリメータ下流部の放射線モニタリング Radiation monitoring in the downstream area of J-PARC MR collimators ○白形 政司,高野 淳平(高エ研/J-PARC),上川 将章,米本 和浩(関電工) ○Masashi Shirakata, Junpei Takano (KEK/J-PARC), Masaaki Kamikawa, Kazuhiro Yonemoto (KANDENKO CO., LTD) 陽子加速器のような高エネルギーハドロンビームを扱う装置では、ビームロスを起こした際に高いエネルギーの中性子線やγ線が発生し、周辺機器に障害を与える。そのため、陽子加速器に使用する機材はその材質から構造に至るまで、耐放射線性を考慮した設計でなければならない。通常、その様な機器の耐放射線性の試験では、原子炉から得られる同位体による放射線源を用いた照射試験が行われてきた。しかし、放射性同位体を使った試験で利用できるのはほぼγ線のみであり、エネルギーも数MeV以下と高くない。加速器におけるビームロスで発生する中性子は、熱中性子からGeVオーダーのエネルギーを持つ高速中性子までの広いスペクトルを持ち、またγ線もGeVオーダーのエネルギーを持っており、核崩壊によって得られるものとは大きく異なっている。また、場所によっては、陽子やπ中間子といった荷電粒子が直接飛んでくることもある。J-PARC MRでは実際の陽子加速器環境下での照射試験を行うため、あえてビームロスを起こさせることで大量の放射線が得られるビームコリメータ下流部に、耐放射線試験場を2012年から整備してきた。ここでは試験場での放射線環境のモニタリングについて、その方法とこれまで蓄積されてきた観測データを示す。 |
15:50 - 16:10 | |
FROM14 p.272 [Slides] | 法定停電によるSuperKEKB停止時のビーム衝突点近傍の振動環境調査 Vibration environment in the vicinity of beam collision point in stopping the SuperKEKB due to legal power outage. ○松永 裕樹,松下 仁士,井上 竜太,下河内 隆文(竹中工務店),吉岡 正和,佐貫 智行,小貫 勅子(東北大学),早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構),坪川 恒也(真英計測) ○Hiroki Matsunaga, Hitoshi Matsushita, Ryota Inoue, Takafumi Shimogouchi (Takenaka Corp.), Masakazu Yoshioka, Tomoyuki Sanuki, Tokiko Onuki (Tohoku University), Hitoshi Hayano (High Energy Accelerator Research Organization), Tsuneya Tsubokawa (Shin-ei Keisoku) SuperKEKBビーム衝突点近傍では3Hz帯域で卓越する鉛直振動が観測されており、ビーム衝突点の両側約10m離れた2点間の鉛直相対振動は数十nm程度であることを確認している。SuperKEKBではビームの縦幅を約50nmに絞り込むため、鉛直振動がビーム衝突に与える影響について議論されてきているが、振動源については明確に特定されていない。振動源としてはKEKの敷地に隣接する大通りの車両交通が有力であったため、KEKが法定停電となる期間を利用して、全設備が停止した状態でビーム衝突点近傍の振動計測を行った。本稿では、車両交通の振動影響の他、復電後に順次稼働させる冷凍機や空調等の設備の振動影響についても把握することで、ILC計画における防振設計の基礎データとすることを目的とする。KEKつくば実験棟地下4階において、10m離れた2点にサーボ型加速度計を設置し、鉛直相対振動測定を実施した。車両交通については、停電時深夜には3Hz帯域の鉛直相対振動量は5~10nm程度と小さく、交通量が増え始める明け方から徐々に振動量が増加していき、最大45nm程度となった。以上より、3Hz帯域の振動は車両交通由来であることを確認した。また設備については、順次稼働させた際に20Hz以上の高振動数領域においてのみ振動が増加していった。このことから、設備由来の振動影響は20Hz以上に限られることを確認した。 |
電子加速器 (8月8日 大展示ホール) | |
13:10 - 15:10 | |
WEP001 | 超伝導加速空洞に用いる低コストニオブ材の検討 Investigation of low cost niobium materials for SRF cavity ○道前 武,梅森 健成(KEK),岡田 貴文(総研大),渡邉 勇一,山中 将(KEK) ○Takeshi Dohmae, Kensei Umemori (KEK), Takafumi Okada (Sokendai), Yuichi Watanabe, Masashi Yamanaka (KEK) 現在ILC計画実現の為、建設コストの削減が求められている。KEKの空洞製造技術開発施設(CFF)ではILCに用いる超伝導加速空洞を製造しており、空洞材料の面からコスト削減の問題に取り組んでいる。CFFでは2種類の低コストのニオブ材を用いて3セルの空洞をそれぞれ2台ずつ製造し、その性能評価を行った。1種類目の材料は低RRR、高Ta含有のニオブ材を2回溶解した後(通常は5回程度)、鍛造・圧延したものでこれをセル部分に用いた。もう一種類はRRR<300、高Ta含有のニオブインゴットから直接スライスしたニオブ板(Large Grain材:LG材)をセル部分に用いた。完成した空洞の性能評価を行った結果、LG材を用いた一つの空洞は40MV/mを超える加速勾配を達成し、Q値もILCの要求値を満たすことが出来た。本発表では、使用した材料の詳細及び性能測定結果に関して詳細を報告する。 |
13:10 - 15:10 | |
WEP002 p.276 | SuperKEKB入射器におけるビーム位相空間ジッターと有効エミッタンス Beam phase space jitter and effective emittance in SuperKEKB injector linac ○清宮 裕史,飯田 直子,紙谷 琢哉,佐藤 政則(KEK) ○Yuji Seimiya, Naoko Iida, Takuya Kamitani, Masanori Satoh (KEK) In SuperKEKB linac, stable high-charged low emittance beam is necessary. Transported beam from the linac to SuperKEKB Main Ring (MR) must be stable to the extent that the beam can be injected inside MR acceptance. SuperKEKB requirement must be satisfied for emittance including beam phase space jitter, called as effective emittance. Large amplitude beam position jitter has been measured at linac end. We evaluated that the effect of the beam position jitter on effective emittance and investigated the source of the beam phase space jitter. |
13:10 - 15:10 | |
WEP003 p.280 | ILCクライオモジュール用位置調整機構『アクティブムーバ』の開発 Development of Active Mover for Remote Position Adjustment of ILC Cryomodule ○阿部 優樹,鵜沢 知弘,藤原 康宣(一関工業高等専門学校),渡辺 雅哉(東邦テクノス),菊地 正(NECプラットフォームズ),早野 仁司(高エネルギー加速器研究機構) ○Yuki Abe, Tomohiro Uzawa, Yasunori Fujiwara (National Institute of Technology, Ichinoseki College), Masaya Watanabe (Tohotechnos), Tadashi Kikuchi (NEC Platforms), Hitoshi Hayano (KEK) ILC(International Linear Collider)は,国際協力のもとに計画されている線形加速器であり,クライオモジュールと呼ばれる超伝導空洞等を内蔵した筒形断熱装置を次々と接続することで,全長20kmの線形加速器を実現し,電子と陽電子を加速し衝突実験を行う計画である. このなかで,バンチ圧縮部に用いられるクライオモジュールはビーム運転中にビームの応答を見ながら鉛直・水平方向の位置調整が必要となる.現在,実証試験に使われているクライオモジュール試験機では手動で位置調整が行われているが,実際に建設される加速器ではクライオモジュールの精密位置決めを可能とする遠隔操作型のアクティブムーバの実装が求められている.本研究は,ILCクライオモジュールに適用可能な『アクティブムーバ』の設計開発に関するものである. アクティブムーバには,重量約12tのクライオモジュールを鉛直・水平方向に10µmの分解能で位置決めを行う性能が要求される.筆者らはこれを実現する機構として,①2つの偏心カムから構成される2カム方式および②テーパカムと偏心カムから構成される2軸方式の2つの方式を提案している.本報告では,1/7スケールのモックアップの試作とその性能評価実験により両方式の設計要件および実現可能性について報告する. |
13:10 - 15:10 | |
WEP004 p.284 | 極低運動量移行電子弾性散乱による陽子半径測定のための電子ビームラインの構築 Construction of electron beamline for the measurement of proton radius by ultra-low Q value electron elastic scattering ○武藤 俊哉,青柳 泰平,柏木 茂,鹿又 健,齊藤 寛俊,須田 利美,髙橋 健,塚田 暁,長澤 育郎,南波 和希,南部 健一,二宮 慎吾,日出 富士雄,本多 佑記,三浦 禎雄,濱 広幸,玉江 忠明(東北大学電子光理学研究センター) ○Toshiya Muto, Taihei Aoyagi, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Hirotoshi Saito, Toshimi Suda, Ken Takahashi, Kyo Tsukada, Ikuro Nagasawa, Kazuki Nanba, Kenichi Nanbu, Shingo Ninomiya, Fujio Hinode, Yuki Honda, Sadao Miura, Hiroyuki Hama, Tadaaki Tamae (Research center for Electron Photon Science,Tohoku University) μ水素原子分分光で測定された陽子荷電半径と電子分光、電子散乱で測定された荷電半径が一致しないという陽子半径パズルと呼ばれている問題がある。しかしながら過去の電子散乱実験による半径は解析モデル依存性がある。そこで東北大学電子光理学研究センター(ELPH)ではモデル依存性を排除した電子弾性散乱実験を計画している。高精度の電子散乱実験を行うためにはエネルギー可変、高デューティサイクルで0.1%以下のエネルギー分散が電子ビームに要求される。そこでELPHにある最大エネルギー70MeVの低エネルギー電子ライナックを用いることを計画している。この電子ライナックは運転開始から50数年経過しており加速器の主要コンポーネントは建設当時のままであるが現在でも300Hzの高繰り返し、平均電流120μAでビーム出力7kWという大電流を供給しており、主に放射性同位体製造に使われている。この電子ライナックのビーム輸送系を改造して今までの同位体製造の運転と電子散乱実験を両立するビームラインの設計を行った。電子散乱実験ではビームラインに設置された二つのエネルギー分散部にある二つのビームスリットを用いてエネルギー分散を要求の0.1%にコリメートする。本発表ではELPHにおける電子弾性散乱実験の概要とそれを実現するためのビームライン設計とライナックから現供給されている電子ビームの性能評価の結果を報告する。 |
13:10 - 15:10 | |
WEP005 p.289 | コヒーレント遷移放射のスペクトル・エネルギー測定の研究 Measurement of energy and spectrum of coherent transition radiation ○菅 晃一,楊 金峰,神戸 正雄,近藤 孝文,吉田 陽一(阪大産研) ○Koichi Kan, Jinfeng Yang, Masao Gohdo, Takafumi Kondoh, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka Univ.) 阪大産研では、レーザーフォトカソード RF 電子銃ライナックを導入し、高時間分解能パルスラジオリシスの開発を行っている。これまでに、マイケルソン干渉計を用いて、検出部に液体ヘリウム冷却ボロメーターと液体窒素冷却MCT(mercury cadmium telluride)検出器を備えることにより測定帯域を拡張してきた。本研究では、予め、マイケルソン干渉計によりフィラメント(熱型)光源をマイケルソン干渉計で測定することにより、コヒーレント遷移放射により得られるテラヘルツ光のスペクトル・エネルギー測定の可能性について報告する。 |
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WEP006 p.294 | SuperKEKB用RFgunのPhase-IIコミッショニング PHASE-II COMMISSIONING OF RF GUN FOR SuperKEKB ○周 翔宇,張 叡,吉田 光宏,小川 雄二郎(KEK) ○Xiangyu Zhou, Rui Zhang, Mitsuhiro Yoshida, Yujiro Ogawa (KEK) KEKの電子陽電子入射用線形加速器では SuperKEKBに向けた増強を進めている。KEKB電子源として使用された熱カソードDCgunが高電荷低エミッタンスを得るのは非常に困難であるので、SuperKEKBではフォトカソードRFgunを使用することに決めた。20 mm-mrad、5nCを達成するため、電子銃及びレーザー光源を開発した。 Disk and Washer型電子銃によって、スペースチャージによる発散力に対する集束電場を増強した。そして、ファイバーとNd:YAGハイブリットレーザーシステムを配置し、安定な高強度紫外パルス光源を構築した。さらに、長寿命高量子効率のIrCe固体カソードを採用した。このシステムを使ったPhase-IIコミッショニングが2017年末から始まっている。Linac加速した後、2nC、50μm以下のエミッタンスを達成した。現在、安定に運用するため、無人化に向けて自動化プログラムを開発している。 |
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WEP007 p.298 | Mitigation of the space charge effect for improving the performance of THz-CUR source ○Siriwan Krainara, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki, Shuya Chatani (IAE, Kyoto Univ.) A THz Coherent Undulator Radiation, THz-CUR source has been developed at Institute of Advanced Energy, Kyoto University. A photocathode RF gun and a chicane bunch compressor are used for generating short-bunch electron beams to drive the source. In the previous study, it was found that the space charge effect strongly degraded the beam quality such as the bunch length and energy spread at the high bunch charge condition, around 160 pC. This beam quality degradation resulted in the reduction of the highest frequency and the maximum intensity of THz-CUR. For improving the performance of THz-CUR source, we investigated the optimum operation parameters such as laser injection phase, solenoid current, laser pulse width and transverse size by using a numerical simulation code GPT in this study. |
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WEP008 p.301 | KEK電子陽電子入射器におけるビーム位置同期計測システム Synchronized beam position measurement system for the kek e-/e+ injector linac ○佐藤 政則,宮原 房史,諏訪田 剛,古川 和朗(高エネ研),大房 拓也,早乙女 秀樹(関東情報),工藤 拓弥,草野 史郎(三菱電機システムサービス) ○Masanori Satoh, Fusashi Miyahara, Tsuyoshi Suwada, Kazuro Furukawa (KEK), Takuya Ohusa, Hideki Saotome (KIS), Takuya Kudou, Shiro Kusano (MELSC) KEKの電子陽電子入射器は,SuperKEKB電子,陽電子,陽電子ダンピングリング,PF,およびPF-ARリングという5つの異なるリングへビームを供給している.安定なビーム供給を実現するために,約100台の非破壊型ビーム位置モニタが設置されている.本モニタにより,ビーム位置のみならずバンチ電荷量の情報を計測し,それらの情報は,ビーム位置,およびビームエネルギーフィードバックに供されている.SuperKEKB向けの最終的な入射ビーム仕様としては,バンチ電荷量4 nCかつ規格化射影エミッタンス20 mmmrad以下であることが要求されている.このため,加速器機器の精密アライメントと並び,ビーム位置を高精度に安定化させる必要がある.このため,VMEバスを基盤とした帯域制限信号処理回路による高精度ビーム位置読み出し装置を開発,設置し,運用している. 本入射器では,パルスごとに入射先のリング,ひいては要求されるビームの質が異なるため,すべてのビーム位置モニタからのショットごとに同期したデータ計測が不可欠となる.そこで,タイミングシステムから配信されるビームショット番号を基に,同期したビーム位置,および電荷量情報を収集するためのシステム構築をおこない,運用している.本発表では,KEK電子陽電子入射器における同期ビーム位置計測システムの詳細について報告する. |
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WEP009 | Mo-99/Tc-99m製造用Sバンド電子リニアックの設計検討 Design study of an S-band electron linac dedicated to Mo-99/Tc-99m ○井上 佳徳(東京大学),山本 昌志(アキュセラ),ジャン ジェウン,上坂 充(東京大学) ○Yoshinori Inoue (Univ. of Tokyo), Masashi Yamamoto (Accuthera), Jaewoong Jang, Mitsuru Uesaka (Univ. of Tokyo) 現在、日本は核医学の検査に最も多く使用されているテクネチウム(Tc-99m)を100%輸入に頼っている。その輸入には様々なコストがかかるので99mTcおよびその親核であるモリブデン(Mo-99)の国内生産の実現が望まれており、加速器を使った99Mo/99mTcの製造が様々な研究所などで検討されている。 我々は国内生産の約1/10を賄える製造量の、35MeV/35kW-Sバンド電子リニアック99Mo/99mTc製造システムを基本設計する。これまでの我々の検討から、ビームエネルギー35MeVで平均出力30kWの電子ビームであれば、国内の99mTcの製造がまかなえることが分かっている。この電子ビームを供給する加速器を適切なコストとサイズで製作する必要がある。これらを検討するために、我々は加速器(電子リニアック)の設計を開始した。クライストロンの最適なスペックを決め、加速管のパラメーターを算出することからはじめた。それを元にビームシミュレーションを進めている。ハイパワーの電子ビームによる不要な放射線発生は極力避けなくてはならない。最終的には、三次元RFシミュレーションにより加速管の形状を決める予定である。さらに、ビームインスタビリティの検討も必要と考えている。本学会では、これらの検討により得られた加速器の基本設計を示す。 |
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WEP010 | Design of a W-Mo target assembly for production of Mo-99/Tc-99m using an electron linac ○Jaewoong Jang, Mitsuru Uesaka (Univ. of Tokyo) The Mo-100 photoneutron reaction, where the high-energy photons are generated by an electron linear accelerator (linac), is a promising alternative to the U-235 fission reaction for obtaining Mo-99/Tc-99m, the most commonly used radionuclide pair in nuclear medicine. The yield of such photonuclear-produced Mo-99 depends largely on the energy and current of electron beams, both of which are often constrained by nontechnical aspects such as the availability of a budget and a building site. The dimensions of W and Mo targets, on the other hand, are controllable factors that can lead to increased Mo-99 productivity. For obtaining optimal targetry dimensions, therefore, we wrote a Perl program that runs, in an automated fashion, a series of Monte Carlo simulations with different geometries and tallies, and generates animated visual results. Here we present a W-Mo target assembly optimized for the Mo-99 yield based on interpretations of the simulation results. |
ハドロン加速器 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP011 p.305 | J-PARC主リングにおける30GeV陽子ビームの遅い取り出し調整 Beam commissioning of slow extraction at J-PARC Main Ring ○武藤 亮太郎,新垣 良次,木村 琢郎(高エ研),松村 秋彦(日本アドバンストテクノロジー),村杉 茂,岡村 勝也,白壁 義久,冨澤 正人,柳岡 栄一(高エ研) ○Ryotaro Muto, Yoshitsugu Arakaki, Takuro Kimura (KEK), Akihiko Matsumura (NAT), Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka (KEK) J-PARC主リングでは、30GeV陽子の遅い取り出しビームをハドロン実験施設での素粒子原子核実験に供給している。大量のKおよびπ中間子を二次粒子生成標的で生成するために、大強度かつ時間構造の少ないビームが求められている。 セプタムリボンの断線により2017年5月以降1台運転となっていた静電セプタムを2017年夏のメンテナンス期間に2台体制に復旧し、2018年1月から2月にかけて遅い取り出しビーム運転を行った。これまでに達成した99.5%という高い取り出し効率を保ったまま、ビームパワー51kWでのユーザー利用運転を実現した。これは現在のハドロン実験施設の受け入れ可能ビームパワーの上限値53.4kWにほぼ達するパワーである。取り出しビームの時間構造を表すスピルduty factorは約50%であった。 また、1shotでのビーム試験においては、62kWに相当する粒子数のビームを99.5%の効率を保ったまま取り出すことに成功した。 本発表では、2018年1-2月および6月の遅い取り出しのビーム運転におけるビーム調整、ビーム試験の結果と、今後の展望について述べる。 |
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WEP012 p.309 | J-PARCリニアック加速空洞用冷却水設備の現状2018 Present status of water cooling system at J-PARC LINAC 2018 ○菅沼 和明,廣木 文雄,伊藤 崇,山﨑 良雄(原子力機構 J-PARC) ○Kazuaki Suganuma, Fumio Hiroki, Takashi Ito, Yoshio Yamazaki (JAEA J-PARC) 本件は、昨年夏に完全解決した冷却水設備における流量減少問題の改善報告である。J-PARCリニアックの前段空洞であるDTL及びSDTL用の循環冷却水の流量が、1週間かけて3%程度減少していた。冷却水の流量減少によって、空洞に取り付けた流量計の低流量接点をたたき、加速器のみならずJ-PARC全体の運転を停止させていた。この、あえて異常と言うべき現象が約9年もの長い年月続いていたのである。本発表では、流量減少問題を解決へ導いた着目点などを紹介し、加速器を底辺から支えるべきユーティリティのひとつである冷却水設備の運転管理の改善すべき項目を整理する。同様に流量減少の原因を考察する。 |
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WEP013 p.312 | J-PARC MRにおける2次高調波用高周波加速空胴の開発状況 Status report of development of 2nd harmonic RF system in J-PARC MR ○原 圭吾,大森 千広,長谷川 豪志,杉山 泰之,古澤 将司,吉井 正人(高エネ研),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘(原子力機構) ○Keigo Hara, Chihiro Ohmori, Katsushi Hasegawa, Yasuyuki Sugiyama, Masashi Furusawa, Masahito Yoshii (KEK), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto (JAEA) J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex) Main Ring (MR)では、運転の繰り返し周期を高繰り返し化することにより、ビームパワーを増強する計画が進められている。高繰り返し化に伴いRF空胴に対してより高い電圧の発生が求められている。この要求を満たすため、これまでも新型の磁性体コア(FT3L)を開発し、従来の磁性体コア(FT3M)を使用した空胴との置き換えを行うなどRF空胴の強化を図り、陽子ビーム強度は速い取り出しで490kWを達成している。しかしながら750kWのビーム強度を目指すにあたり高繰り返し化でさらに高い電圧の発生が必要となり、すべての空胴を基本波空胴として使用するため、MRトンネルに新たに2台の2次高調波用空胴システムの増設を計画している。 この計画では、MR直線部Aの機器を再構成することで、従来使用していたFT3Mを用いた空胴が設置できるようにしている。またD1電源棟に陽極電源を増設する際に、電磁石電源更新と同期させる予定である。これにより既存の電力、冷却水設備を最大限に活用するとともに、受電設備にある問題点を改良することも考えている。本発表ではこのビーム増強計画の概要、及び、付随する課題を機器の現状と今後の予定と照らし報告する。 |
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WEP014 p.316 | 加速器駆動核変換システムのための高繰り返しシンクロトロン Rapid Cycle Synchrotron for Accelerator Driven Transmutation System ○不破 康裕,栗山 靖敏,上杉 智教,石 禎浩(京大複合研),雨宮 尚之(京大院工) ○Yasuhiro Fuwa, Yasutoshi Kuriyama, Tomonori Uesugi, Yoshihiro Ishi (KURNS), Naoyuki Amemiya (Kyoto Univ.) 加速器駆動核変換システムに使用する陽子加速器として高繰り返しシンクロトロンを設計している。この高繰り返しシンクロトロンでは、消費電力の低減を目的として高温交流超伝導技術の応用を検討している。また、繰り返し周波数は 100 Hz とし、信頼性の高いビーム取り出し系を実現するために共鳴を用いた取り出しの採用を検討している。本発表では、加速器の基本設計を報告する。 |
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WEP015 p.319 | J-PARC主リング主電磁石用電源のコンデンサバンクのためのヒューズ溶断試験 Fuse arcing test for capacitor bank of main magnet power supply in J-PARC MR ○森田 裕一,栗本 佳典(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),下川 哲司,内藤 大地,三浦 一喜(高エネ研),吉野 達也(ニチコン草津(株)) ○Yuichi Morita, Yoshinori Kurimoto (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Tetsushi Shimogawa, Daichi Naito, Kazuki Miura (KEK), Tatsuya Yoshino (NICHICON (KUSATSU) CORPORATION) J-PARC主リングでは繰り返し周期を2.5sから1.3sへ短縮し、ビームパワーを現状の490kWから750kW以上へ増強することが計画されている。高繰返し化に伴って、主電磁石の励磁エネルギーを起因とする系統の電力変動増加が問題となる。高繰返し化のために新規開発した主電磁石電源では、大容量のコンデンサバンクによるエネルギー貯蔵方式を採用して系統の電力変動を抑制する。偏向電磁石電源1台のコンデンサバンクは、6モジュールで構成されており、1モジュールあたりの静電容量が480mFとなるようコンデンサを多重並列に接続した設計になっている。最大充電エネルギーは0.7MJ (1650V充電)である。2モジュール毎に1台の40フィート海上コンテナ内にインストールされている。大きな充電エネルギーを扱っているため、安全設計に特に注意を払った。内部短絡の防止を目的として、セグメント化した蒸着パターンを持つセルフヒーリングタイプの乾式フィルムコンデンサを使用する。各コンデンサには直列に50mΩの抵抗が接続されており、短絡したコンデンサへ流れ込むエネルギーを安全に消費する。さらに20mF毎(コンデンサ4台)にヒューズ1本を取り付けることで、短絡による被害を抑える。本設計ではヒューズの信頼性が重要となるため、溶断試験を行いヒューズが設計通り働くことを確認した。本報告ではコンデンサバンクの設計とヒューズ溶断試験について述べる。 |
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WEP016 p.324 | J-PARC LINAC 3MeVビームスクレーパの現状 Status of 3MeV beam scrapers for the J-PARC LINAC ○平野 耕一郎,小林 史憲(原子力機構),杉村 高志,栗原 俊一(高エネ研) ○Koichiro Hirano, Fuminori Kobayashi (JAEA J-PARC), Takashi Sugimura, Toshikazu Kurihara (KEK) パルス幅500μsのマクロパルスビームは、RFQ下流のMEBT領域にあるRFチョッパ空洞の電界によって、その一部が蹴りだされ、パルス幅456nsの中間パルスが815nsの周期で並んだ構造を持つビームに整形される。蹴りだされたビームは、RFチョッパ空洞から約70cm離れた場所にあるビームスクレーパに負荷される。2018年1月から4月に実施された500kW供用運転では、中間パルスの周期構造を変えて、1MW供用運転時に負荷される電流密度の1.3倍のビームをスクレーパに負荷させた。この時、スクレーパ表面のピーク温度は1800℃となった。現在、スクレーパに使用している炭素複合材のほか、グラフェン、ボロンドープダイヤモンド及びイーターグレードタングステンなどの熱伝導率が高い素材について、オフラインでビーム照射損傷評価を行っている。今回は、これらのビームスクレーパの現状について報告する。 |
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WEP017 | J-PARC 3 GeVシンクロトロンにおけるビームコリメータの改良 An improvement of the beam collimator system in the J-PARC 3 GeV Rapid Cycling Synchrotron ○岡部 晃大,神谷 潤一郎,武石 健一,菖蒲田 義博,守屋 克洋,高橋 博樹,吉本 政弘,山本 昌亘,山本 風海(JAEA) ○Kota Okabe, Junichiro Kamiya, Kenichi Takeishi, Yoshihiro Shobuda, Katsuhiro Moriya, Hiroki Takahashi, Masahiro Yoshimoto, Masanobu Yamamoto, Kazami Yamamoto (JAEA) J-PARC 3 GeVシンクロトロン(RCS)には、ビーム損失を局所化し、機器の放射化を抑制するためにビームコリメータが設置されている。このコリメータシステムは、1つのビームハロー散乱体部と5つの散乱したハローを回収する吸収体部とで構成されており、散乱体部は他の加速器真空容器と比べて駆動装置にて口径を狭められるように設計されている。加速中に広がったビームハローはすべてコリメータ散乱体で散乱され、吸収体部にて回収される。2016年4月のコリメータ保守作業時に吸収体部の1つで大規模な真空漏れが発生したため、故障したコリメータ吸収体を取り外して代替の真空ダクトを設置することで応急的な対処を行い、ビーム利用運転を継続した。 その後、故障したコリメータを調査して故障原因を究明し、上記事象に対処した新コリメータの製作を行っている。本発表では、コリメータの復旧計画、及び、新コリメータの開発状況について報告する。 |
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WEP018 p.329 | J-PARC MR チタンESSの改良および高電圧試験 An improvement and high voltage test of Titanium-ESS in J-PARC MR ○新垣 良次,木村 琢郎(高エネルギー加速器研究機構),松村 秋彦(日本アドバンストテクノロジー),武藤 亮太郎,村杉 茂,岡村 勝也,白壁 義久,冨澤 正人,柳岡 栄一(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshitsugu Arakaki, Takurou Kimura (High Energy Accelerator Reaserch Organization), Akihiko Matsumura (Nippon Advanced Technology), Ryotaro Muto, Shigeru Murasugi, Katsuya Okamura, Yoshihisa Shirakabe, Masahito Tomizawa, Eiichi Yanaoka (High Energy Accelerator Reaserch Organization) J-PARC MR の遅い取り出しラインに設置された静電セプタムは大強度の陽子ビームをハドロン実験施設へ供給するための装置である。遅い取り出し過程においては、静電セプタムのセプタム面にビームの一部がロスするため、装置の放射化やダメージが問題となる。残留線量を低減するためチタン製静電セプタムを2013年度より製作し試験を行ってきた。 昨年度J-PARC リニアック棟において、チタン製ESS1号機のオフライン高圧試験を完了し、MRへインストールした。2号機は真空特性向上のためチタンチャンバーの内壁全面にバフ研磨を実施した(1号機では部分的)。その後1号機と同様なサンチタン処理,200℃ベーキングを行った。オフラインの高圧試験を行い良好な結果が得られたので報告する。 |
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WEP019 p.333 | 巨大クラスターイオン用90度/180度偏向磁石を用いた誘導加速マイクロトロン Induction Microtron with 90/180 degrees bending magnets for giant cluster ions 安達 利一(KEK),○Taufik(総研大),高山 健,岡村 勝也,和気 正芳(KEK) Toshikazu Adachi (KEK), ○Taufik (SOKENDAI), Ken Takayama, Katsuya Okamura, Masayoshi Wake (KEK) C-60やSi-100の様な巨大クラスターイオンを繰り返し円形加速器で加速する手法とし て、誘導加速マイクロトロンの設計が進行している。一価のウランを越えた質量と価数 比のクラスターイオンを低エネルギーから高エネルギーまで加速する場合、周回周波数 のダイナミックな変化は高周波加速では対応できない。誘導加速に限定される。90度と 180度の偏向磁石を用いた誘導加速マイクロトロンの詳細を報告する。偏向角の違いは 磁石サイズと加速器システムサイズの極端な大きさ違いを産む。又、軌道特性にも大き な違いをもたらす。低速入射で懸念される空間電荷効果に関してシステマティックな解 析を行い。ビーム上限値を求めた。入射、バリアーバケット加速、取り出しのクラスタ ーイオンの軌道解析結果を紹介する。 |
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WEP020 p.338 | J-PARC MRにおける空間電荷効果によるチューンシフトの測定 Measurements of tune shifts by the space charge effect in J-PARC MR ○安居 孝晃(東大),五十嵐 進,佐藤 洋一,佐藤 健一郎,橋本 義徳,大見 和史,小関 忠(高エネ研) ○Takaaki Yasui (Univ. of Tokyo), Susumu Igarashi, Yoichi Sato, Kenichirou Satou, Yoshinori Hashimoto, Kazuhito Ohmi, Tadashi Koseki (KEK) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)では、空間電荷効果によるチューンの広がりが原因となってビームをロスしてしまう問題がある。空間電荷効果の影響を確認するために、ビームをMRに入射させる際に光学ミスマッチを作り、周回ごとのプロファイルを測定した。インコヒーレントチューンシフトにより、四極振動から計算されるチューンは二極振動から計算されるチューンとずれる。今回はこの現象をバンチあたり2.6×10^12の粒子数で実測し、かつ空間電荷効果を考慮した粒子トラッキングシミュレーションコード(SCTR)で再現することに成功した。そして利用運転での強度(バンチあたり粒子数〜3×10^13)においても、SCTRを用いることで空間電荷効果の影響を考慮した上でのチューンの広がりをシミュレートした。 |
光源加速器 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP021 p.343 | 産研FEL光共振器の詳細評価 Detail study of the FEL optical resonator at ISIR ○川瀬 啓悟(QST),加藤 龍好(KEK),磯山 悟朗(阪大産研) ○Keigo Kawase (QST), Ryukou Kato (KEK), Goro Isoyama (ISIR, Osaka Univ. ) 大阪大学産業科学研究所(産研)量子ビーム科学研究施設に設置されているLバンド電子ライナックを用いた自由電子レーザー(FEL)は現在、強力なテラヘルツ光源として物性物理や分子科学など様々な研究へ利用されている。そのため、光源としてのFELの基礎特性を詳細に評価することは、すべての利用研究に対して重要な基本情報を提供する。FELの基礎特性を評価する上で、定量的な光強度の時間発展の評価は重要である。その中で光共振器の損失は最も基本的なパラメータのひとつである。そこで本研究では、光共振器の損失について、これまでに実験におけるミクロパルス光強度の変化の計測結果からの評価と、設計および幾何学的仕様からの評価とを詳細に比較し、その波長特性なども詳細に評価する。これにより、産研テラヘルツFELの光増幅の時間発展について、より定量的な研究へつなげる。 |
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WEP022 p.346 | 日本大学電子線利用研究施設における高強度コヒーレントテラヘルツ波光源開発 Developments of High Power Coherent Terahertz Wave Sources at LEBRA Linac in Nihon University ○境 武志(日大量科研),清 紀弘(産総研),田中 俊成,早川 恭史,住友 洋介,野上 杏子,髙橋 由美子,早川 建(日大量科研),小川 博嗣(産総研) ○Takeshi Sakai (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei (AIST), Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Yoske Sumitomo, Kyoko Nogami, Yumiko Takahashi, Ken Hayakawa (LEBRA, Nihon University), Hiroshi Ogawa (AIST) 日本大学量子科学研究所電子線利用研究施設LEBRAでは,高エネルギー加速器研究機構との共同研究で加速器の高度化を進め,2011年から産業技術総合研究所との共同研究によりLEBRAのFELラインを用いたテラヘルツ波光源開発を開始,2013年からはパラメトリックX線放射(PXR)のビームラインにおいて,THz領域のコヒーレント遷移放射(CTR),偏向電磁石からのエッジ放射(CER)等の基礎測定を行っている.2016年には,管理区域内常時立入可能な実験室へ輸送する光学系をX線ビームラインに設置し,輸送試験を始めた.2017年度からは試験的にユーザー利用実験を薬剤,生体サンプルにおいて,スペクトル測定,イメージング測定などを開始した.また,2017年度末からはアンジュレーター下流側に設置している偏向電磁石で発生させたCERを用いた輸送ラインを新規に設置した.この輸送系は,FELの発振状態を妨げることなく取り出すことが可能で有り,バンチ長評価利用,FEL制御を目指して基礎測定を進めている.本発表ではFELラインへ設置した新規輸送光学系と各測定結果に関して報告する. |
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WEP023 p.349 | KEK小型電子加速器におけるレーザーコンプトン散乱を利用したX線生成強度の改善 Improvement of X-ray yield produced by laser Compton scattering at LUCX accelerator ○福田 将史,荒木 栄,Aryshev Alexander,浦川 順治,照沼 信浩,本田 洋介,森川 祐(高エ研),坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工総研) ○Masafumi Fukuda, Sakae Araki, Alexander Aryshev, Junji Urakawa, Nobuhiro Terunuma, Yosuke Honda, Yu Morikawa (KEK), Kazuyuki Sakaue (RISE, Waseda Univ.), Masakazu Washio (RISE, Waseda University) KEK小型電子加速器(Laser Undulator Compact X-Ray Source:LUCX)では、病院や企業などに設置可能な小型X線源を開発することを目的として、レーザーコンプトン散乱を利用したX線源の開発を行って来ている。この加速器では、フォトカソードRF電子銃でマルチバンチ電子ビームを生成し、定在波型加速管で18-24MeVまで加速する。その後、レーザー光共振器内に蓄積したレーザーパルス(λ:1064nm)と衝突させ、逆コンプトン散乱により6-10keVのX線を生成する。また、コンプトン散乱による生成X線の特徴を利用したX線イメージング試験も実施している。 生成X線強度を上げ短時間で鮮明な画像を得るため、これまでに電子ビームのバンチ数増大やローディング補正などビーム強度増強の調整およびレーザー共振器の蓄積パワー増強、そしてそれらの衝突調整を続け、22MeV, 1000バンチ, 0.6nC/bunchの電子ビームと2.8mJ/pulseのレーザーパルスとの衝突により1.7x10^7 photons/pulse (Full band)のX線生成を達成した。現在、電子ビームのパルス繰り返しを3.13Hzから4倍の12.5Hzに上げ、これに伴う電子ビーム、レーザー光共振器の調整を行い、さらなるX線生成数の増強を図っており、この発表では、これらX線生成やイメージング試験について報告する。 |
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WEP024 p.353 | 極短周期アンジュレータ開発のための精密磁場測定 Precise magnetic field measurement for development of very short period undulators ○益田 伸一,山本 樹(高エネ研) ○Shinichi Masuda, Shigeru Yamamoto (KEK) 極短周期アンジュレータの開発が進められている。周期長はミリメートルオーダーであり、従来のアンジュレータの約1/10となる。周期長が極端に短くなると、従来のアンジュレータの様な磁石ブロックを並べてアンジュレータ磁場を作る方法では、精度を保ったまま短周期化することが難しくなる。そのため、パルス電磁石によって薄い板状磁石に帯状にN極とS極を交互に着磁する新しい方法を考案した。これらの方法によって作られるアンジュレータ磁石の評価のため、精密磁場測定装置を製作した。 精密磁場測定装置は、リニアモーターで駆動するエアスライド式のステージによって、アンジュレータのギャップに挿入したホール素子をビーム軸方向にスキャンし、アンジュレータ磁場の空間分布を測定する。エンコーダーの分解能は0.1μmの精度であり、駆動パルスに同期して位置情報とホール素子出力をPCに取り込む。磁場の精密測定のためにはホール素子出力のノイズ除去が重要になる。主なノイズ源はエアスライダを駆動するサーボパックからのスイッチングノイズであり、測定系の電磁シールド、ノイズカットトランス、リアクトルによるノイズ除去、および取り込んだデータのデジタルフィルタによる処理等、複数の方法でノイズ除去を試みている。現在、磁場の3次元空間分布測定を行うソフトウェアを開発して精密磁場測定試験を実施している。 |
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WEP025 p.356 | SAGA-LS電子蓄積リング入射不調要因の特定 Investigation of the primary factor in the beam injection trouble at the SAGA-LS storage ring ○岩崎 能尊,高林 雄一,金安 達夫,江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター) ○Yoshitaka Iwasaki, Yuichi Takabayashi, Tatsuo Kaneyasu, Shigeru Koda (SAGA-LS) SAGA-LS電子蓄積リングにはリニアックにより255 MeVまで加速された電子が入射される。約300 mA蓄積後にリング内で1.4 GeVまで加速を行う。超伝導ウィグラー励磁、ビームサイズ調整等を行った後、放射光を用いたユーザー運転が開始される。近年、入射の不調によりユーザー運転開始時刻が遅れるケースが増加した。入射キッカー電磁石電源の1台に出力タイミングの異常があったためにこれを修理したが入射不調の問題は完全には解決されなかった。入射不調の他の要因は蓄積リング電磁石電源の入射エネルギーにおける動作不安定性であると推定し、入射エネルギーでの主要電磁石電源出力値と入射状況の関連性を調査した。調査の結果、蓄積リング4極電磁石電源のひとつであるQD1電源の出力値が10^-3オーダーで変動する場合があり、この場合に入射が不調となることが判明した。QD1電源の入射エネルギーでの動作不安定性を抑制した結果、入射は良好となった。入射不調の主要因はQD1電源の入射エネルギーにおける動作不安定性であることが判明し、電源改修により近年の入射不調の問題は解決された。本会議において、入射不調の要因特定プロセス、電磁石電源安定性モニタリング、電源の改修内容について報告する。 |
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WEP026 | デルブリュック散乱精密測定に向けたレーザーコンプトン散乱による準単色1 MeVガンマ線発生 Generation of quasi-monochromatic 1-MeV gamma-rays by laser Compton scattering for precise measurement of Delbrück scattering ○全 炳俊(京大エネ研),早川 岳人(量研),Salehi Elham,藤本 將輝(分子研UVSOR),静間 俊行,Koga James K.(量研),紀井 俊輝(京大エネ研),加藤 政博(分子研UVSOR),大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen (IAE, Kyoto Univ.), Takehito Hayakawa (QST), Elham Salehi, Masaki Fujimoto (UVSOR, IMS), Toshiyuki Shizuma, James K. Koga (QST), Toshiteru Kii (IAE, Kyoto Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR, IMS), Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) デルブリュック散乱は原子核の近傍でガンマ線が原子核の電場によって散乱される現象で、量子電磁気力(QED)により記述される。直線偏極ガンマ線の物質による散乱を特定の角度で観測すると、デルブリュック散乱を他の散乱と区別して測定できる事が詳細な計算により示された(Koga & Hayakawa PRL 118, 204801 2017)。この様な実験を行う事で、QEDの理論を検証する事が可能となる。本研究では、上記の実験に必要な直線偏極した約1MeVのガンマ線発生に低エネルギー蓄積リングを周回する電子ビームとCO_2レーザーとのレーザーコンプトン散乱(LCS)が利用可能であると考え、電子蓄積リングUVSOR-III(エネルギー746MeV)にて最大エネルギーとフラックスを数値計算で予測すると共に、実験的に確認する為、予備実験を行った。その結果、予測される最大エネルギーは約998keVであり、実験的にも1MeV以下である事が確認された。平均パワー100WのCO_2レーザーを想定した場合、予測されるフラックスは約3×10^7 ph/s(15%BW)であったが、1.1WのCO_2レーザーを用いた予備実験から推測されるフラックスは約4×10^6 ph/s(20%BW)であった。フラックスが低下した原因は集光条件や軸出しの調整不良であると考えられる。フラックスが低下した条件に置いても、積算時間を増やせば、上記の散乱測定実験は実施可能であるが、より測定効率を高めるためには、更なる調整が必要である。 |
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WEP027 | コンパクトERLにおけるバンチ圧縮とバンチ長測定 Bunch length measurements during bunch compression at the Compact ERL ○島田 美帆,本田 洋介,宮島 司,帯名 崇(高エネ研),布袋 貴大(総研大),中村 典雄,原田 健太郎,上田 明,内山 隆司,加藤 龍好(高エネ研) ○Miho Shimada, Yosuke Honda, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina (KEK), Takahiro Hotei (SOKENDAI), Norio Nakamura, Kentaro Harada, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Ryukou Kato (KEK) エネルギー回収型線形加速器ERLは低エミッタンスや短バンチなどの特徴を持つ高品質のビームを10mA以上の電流で運転できるため、これまでにない光源利用ができると期待されている。その一つが短バンチからのテラヘルツ放射光である。コンパクトERLではサブピコ秒のバンチ長を目指し、アークを用いた磁気バンチ圧縮を行っている。そのオプティクスはダイオード検出器のテラヘルツ強度が大きくなるように、四極電磁石(トリプレット)でアクロマートを維持しつつR56を変化させ、六極電磁石で縦方向位相空間の2次の補正を行っている。バンチ長の測定は干渉計によるテラヘルツスペクトルデータより推定した。具体的には、進行方向にガウシアン分布であると仮定し、スペクトルデータからカットオフ成分を再構成している。この測定ではより感度の高いボロメータを用いているが、窓材の交換や測定システムの改造を行い、さらに精度の高い測定を目指している。また、バンチ圧縮のビームダイナミクスの実験結果と、start-to-endシミュレーションと比較した。5MeV以下の低エネルギー領域はGeneral Particle Tracer、17MeVの周回ループではELEGANTを用い、実験条件に即して行った。バンチ圧縮後だけでなく、別途測定したERL入射合流部手前のバンチ長やエネルギー広がり、主空洞加速後のエネルギー広がりなどとの比較を行い、系統的かつ定量的な評価を行った。 |
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WEP028 p.359 | コンパクトERL周回部のオプティクスとエミッタンス測定 Measurements of beam optics and emittance at the Compact ERL recirculation loop ○島田 美帆(高エネ研),布袋 貴大(総研大),宮島 司,高井 良太,帯名 崇,本田 洋介,中村 典雄,原田 健太郎,上田 明,加藤 龍好(高エネ研) ○Miho Shimada (KEK), Takahiro Hotei (SOKENDAI), Tsukasa Miyajima, Ryota Takai, Takashi Obina, Yosuke Honda, Norio Nakamura, Kentaro Harada, Akira Ueda, Ryukou Kato (KEK) エネルギー回収型線形加速器(ERL)とは周回・劣化したビームのエネルギーを超伝導加速空洞で回収し、電子銃からの新鮮なビームに渡す加速器である。そのため、線形加速器と同程度の高品質なビームを高い繰り返し・大電流で供給することができる。この特徴を生かして、低エミッタンスや短いバンチ長が求められる自由電子レーザー(FEL)やテラヘルツ光源などの展開が期待されている。一方で、数10pC以上の電荷量では、入射部の低エネルギー領域の空間電荷効果や、周回部アークのコヒーレント放射光(CSR)によるwakeによるエミッタンス増加を抑えることが課題となっている。本発表では、これらの効果が無視できない電荷量のビーム輸送やオプティクス設計の指針を紹介し、そのトラッキングシミュレーションの結果を示す。また、ビームコミッショニングにおいて測定した結果との比較・検討も行った。測定個所は3か所、主空洞上流、主空洞下流・アーク上流、アーク下流であり、オプティクスおよびエミッタンスをQスキャン法で求めた。 |
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WEP029 p.362 | あいちSRにおけるAPPLE-Ⅱ型アンジュレータ運転中の不安定性の解析 Study of beam instability caused by vertical polarization mode of APPLE-II undulator in AichiSR ○木村 圭吾(名大工院),保坂 将人,石田 孝司,真野 篤志,高嶋 圭史(名大SR ),大熊 春夫(JASRI/SPring-8),加藤 政博(分子科学研究所極端紫外光施設) ○Keigo Kimura (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Masahito Hosaka, Takashi Ishida, Atsushi Mano, Yoshifumi Takashima (SR Center, Nagoya Univ.), Haruo Ohkuma (JASRI/SPring-8), Masahiro Katoh (UVSOR Facility, Institute for Molecular Science) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)の電子蓄積リングには水平偏光、垂直偏光、円偏光の各偏光の準単色な放射光を得ることが可能なAPPLE-Ⅱ型アンジュレータが設置されている。しかしアンジュレータを縦偏光モードで運転した場合、アンジュレータギャップが35mm以下になると電子ビームに水平方向の結合型ビーム不安定性が起こり最終的に電子ビームが失われる現象が観測されている。この不安定性はアンジュレータ中を進む電子が感じる多極磁場が影響して生じていると考えられる。そこで実験及びシミュレーションによってアンジュレータの多極磁場について研究を行った。縦偏光モードのアンジュレータ中に発生している多極磁場を求めるため、三次元磁場計算ソフトRADIA を用いてアンジュレータ中の磁場を計算し電子ビーム軌道計算を行った。多極磁場の影響はベータトロンチューンシフトに現れるので、あいちSRでアンジュレータを縦偏光モードで運転中に電子軌道を計測し、そこからベータトロンチューンシフトを算出した。シミュレーションと計測値のベータトロンチューンシフトを比較することにより、縦偏光モードのアンジュレータに四極磁場よりも高次な多極磁場が発生していることが判明した。今後は多極磁場が結合型ビーム不安定性を引き起こす原因について調べ、さらには不安定性を抑制する方法について検討する予定である |
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WEP030 p.366 | SP8高速偏光切り替えキッカーBLにおけるCOD変動の調査 COD Variation in Fast-Polarization-Switching Beamline by Kicker ○金城 良太(理研 放射光センター),鏡畑 暁裕,清家 隆光,竹内 政雄(JASRI),田中 隆次(理研 放射光センター) ○Ryota Kinjo (RIKEN SPring-8 Center), Akihiro Kagamihata, Takamitsu Seike, Masao Takeuchi (JASRI), Takashi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) SPring-8のBL23SUおよび BL25SUにおいては、それぞれ左右に偏光した二台のヘリカルアンジュレータ内のバンプ軌道をキッカーで切り替えることにより、フロントエンドスリットを通る軟X線の高速偏光制御を行っている。ここで生じる大きく速いCODを補正するため、キッカーの駆動パターンに合わせた軌道補正パターンの作成をリングの立ち上げ時に行っているが、調整時に最適と思われるところに設定した補正パターンが必ずしもユーザー運転時に有効でなかったり、長期的にCODの量が変動していくことがみられてきた。これまで様々な仮説の下に原因調査を行っているが、ギャップ駆動によるCOD補正を担当する鉄心ありステアリングとの磁気干渉や、セラミックチャンバーの運転温度などいくつかの項目と相関があることが判明してきた。本会では、これまでSPring-8で行ってきた調査の結果を整理し発表するとともに、判明した問題点についての対策を議論したい。 |
ビームダイナミクス・加速器理論 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP031 p.371 | J-PARC RCS:入射バンプ電磁石に内在する非線形磁場成分が周回ビームに与える影響 J-PARC RCS: Effects of nonlinear field components of injection bump magnets on circulating beam ○發知 英明,原田 寛之(原子力機構・J-PARCセンター) ○Hideaki Hotchi, Hiroyuki Harada (J-PARC, JAEA) J-PARC RCSでは、4台のバンプ電磁石(2極電磁石)を用いてビーム入射を行っているが、それらは大口径であるがゆえに有意な非線形磁場成分を含む。この局所的に存在する非線形磁場成分は高次の非構造共鳴を通してビームに有意な影響をもたらす。本発表では、磁場測定結果から導出した非線形磁場成分を考慮して行った数値シミュレーション結果やビーム試験結果を用いて、その非線形磁場成分が引き起こすエミッタンス増大やビーム損失の発生メカニズムを議論する。 |
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WEP032 p.376 | cERLにおける空間電荷効果が支配的な電子ビームの光学関数とエミッタンス補償条件の改善 Improvement of optical functions and emittance compensation for space charge dominated electron beam in the compact ERL at KEK ○宮島 司(高エ研),布袋 貴大(総研大),本田 洋介,島田 美帆,高井 良太,帯名 崇,加藤 龍好(高エ研),永井 良治(量研) ○Tsukasa Miyajima (KEK), Takahiro Hotei (SOKENDAI), Yosuke Honda, Miho Shimada, Ryota Takai, Takashi Obina, Ryukou Kato (KEK), Ryoji Nagai (QST) cERL入射器のような低エネルギー領域にある電子ビーム輸送では、環境磁場等の外乱や空間電荷効果によって、ビーム光学関数と射影エミッタンスの補償条件が設計条件から外れてしまい、ビーム性能が悪化する。このずれを補正することが高いビーム性能を実現する上で重要である。これまでのcERLのビーム運転では、四極磁場に対するビームサイズ応答を測定・補正することで、バンチ電荷が小さく空間電荷効果の弱い条件では設計輸送条件を実現できるようになったが、空間電荷効果が支配的な領域ではずれを補正しきれず、射影エミッタンスの増大が起きていた。原因の一つとして、入射器超伝導空洞のモデルが現実を反映しきれていないという課題があったが、入力結合器と高調波減衰結合器を加えた3次元加速空洞モデルを新たに作成し、これを用いることで単粒子運動をほぼ再現できるようになった。次の段階として、新しいモデルを用いたときに輸送条件の補正がどの程度改善されるかを調べるために、空間電荷効果の支配的な電子ビームに対する補正試験を行った。新しいモデルを用いることで、四極磁場の補正量を小さく抑えることができ、また射影エミッタンスを以前より低減することができた。 |
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WEP034 p.381 | 共振器モデルによるコヒーレント放射の解釈 Understanding of coherent radiation mechanisms by a cavity excitation model ○本田 洋介(高エ研) ○Yosuke Honda (KEK) 遷移放射やシンクロトロン放射など、相対論的電子ビームからは様々な放射が発生する。通常は遅延ポテンシャルの手法で計算される。一方で、ビームによるマイクロ波空洞の励起は、通常はインピーダンスによる計算がなされる。これらの2つの考え方は統一して理解することができるはずである。 空洞はモードが離散的に存在するのにたいし、自由空間への放射はモードが連続的である点が大きな違いであるが、まず空洞を考え、その境界面を無限遠に移動した極限を考えることで、自然に自由空間の概念に移行することを議論する。 |
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WEP035 | 荷電変換リングにおけるビーム軌道計算 Beam dynamics calculations for charge-stripper rings ○今尾 浩士,奥野 広樹,若杉 昌徳,矢野 安重(理研) ○Hiroshi Imao, Hiroki Okuno, Masanori Wakasugi, Yasushige Yano (RIKEN) 理研RIビームファクトリー(RIBF)の様な重イオン加速器において、加速途中での荷電変換は効率的加速の為に必要不可欠なプロセスである。我々はこれまで多段リング加速器においても使用可能な高効率荷電変換リングのコンセプトを提案し、基本ラティスデザイン設計を進めてきた。本講演では、より現実的な軌道計算の結果について述べる。 |
粒子源 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP036 p.385 | iBNCT用LaB6フィラメント・マルチカスプイオン源の開発状況 Status of development on LaB6 filament multi-cusp ion source for iBNCT ○柴田 崇統,高木 昭,池上 清,南茂 今朝雄,内藤 富士雄,小林 仁,栗原 俊一,本田 洋介,佐藤 将春,杉村 高志(高エネ研),大越 清紀,神藤 勝啓(原研) ○Takanori Shibata, Akira Takagi, Kiyoshi Ikegami, Kesao Nanmo, Fujio Naito, Hitoshi Kobayashi, Toshikazu Kurihara, Yohsuke Honda, Masaharu Sato, Takashi Sugimura (KEK), Kiyonori Ohkoshi, Katsuhiro Shinto (JAEA) KEK、筑波大学、茨城県が共同で進める茨城ホウ素中性子捕捉治療(iBNCT)開発の一環として、大電流の陽子ビームを生成可能な8 MeVリニアックの調整が進められている。ビームの大電流化は、(1) 施設検査条件;平均電流1mA、(2) 第1期治験条件;平均電流1.3mA、(3) 第2期治験条件;平均電流5mAの3段階に分けて進められており、現在は第1期治験条件を達成しつつある。しかし平均5mAには、繰返し100Hz・パルス幅1msとするとピーク電流値で50mAが要求される。更にLEBTと空洞の透過率を考慮すると、イオン源からは10-20%ほど高い出力が必要とされるため、イオン源出力としては約60mAが必要で、現行イオン源では達成が難しい。 このような大出力ビームを生成するため、新たなアーク放電型イオン源製作を開始している。イオン源はマルチカスプのチャンバにLaB6(六ホウ化ランタン)製のフィラメントを取り付けた構造を取る。フィラメント陰極には、直流電流を印加し、陽極との間にパルス電圧を印加することで、アーク放電による水素プラズマを生成する。テストスタンドでは、イオン源直下の静電加速部で50keVに加速したビーム電流値をファラデーカップにて測定する。本発表では、イオン源の詳細、およびテストスタンドの準備状況、運転パラメータを変更した試験結果について、報告する。 |
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WEP037 | ECRイオン源直後のビームパラメータ測定系開発 Development of the beam parameter measurement system right after the ECR ion source ○大崎 一哉,佐古 貴行,小林 伸次(東芝エネルギーシステムズ株式会社),林崎 規託,池田 翔太(東工大) ○Kazuya Osaki, Takayuki Sako, Shinji Kobayashi (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation), Noriyosu Hayashizaki, Shota Ikeda (Tokyo Tech) ECRイオン源は原子核・素粒子実験用加速器、がん治療装置を始めとするハドロン加速器分野のイオン源として幅広く利用されている。イオン源から出射されたビームはLEBT(Low Energy Beam Transport)、RFQ(Radio Frequency Quadropole)、DTL(Drift Tube Linac)と下流側に輸送されるが、その際イオン源から出射されるビームのパラメータを把握することは下流側の安定したビーム輸送を行う上で重要となる。そこでイオン源直後のビームラメータ測定系の開発を行った。今回の実験では周波数2.45GHzのマイクロ波源で中性ガスのイオン化を行い、引き出したビームを用いてビームパラメータ測定を行った。ビームパラメータ測定結果を報告するとともに、今後の展望を言及する。 |
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WEP038 p.388 | J-PARCハドロン実験施設におけるベリリウム製ビーム窓の設計 Design of beam window made of beryllium at J-PARC hadron facility. ○渡邉 丈晃,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,高橋 仁,田中 万博,豊田 晃久,広瀬 恵理奈,皆川 道文,武藤 良太郎,森野 雄平,山野井 豊(KEK) ○Hiroaki Watanabe, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Masaharu Ieiri, Yohji Katoh, Ruri Kurasaki, Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Ryotaro Muto, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、30GeVに加速された陽子ビームを金属標的(以下、標的)へ照射し、そこで生成されるK中間子等の2次粒子を利用したバラエティーに富んだ原子核・素粒子実験を遂行している。現行の標的は1次陽子のビームパワーで最大約53kWに対応しているが、これを最大約90kWに対応した標的へのupgradeを計画している。標的はヘリウムガスが封入された気密容器中に置かれており、陽子ビームは真空ダクト中を通るため、標的の前後にはヘリウムガスと真空を仕切るための気密性のあるビーム窓が必要となる。標的の大強度化に合わせてビーム窓についても大強度ビームに対応させるため、新たに金属ベリリウムを使ったビーム窓の設計を行った。ベリリウムは低密度、低放射化、および高熱伝導率などメリットが多いが、他の金属との接合がやや難しく、これまで主にロウ接が用いられてきたが、大強度ビームの熱負荷を想定した場合、接合強度が十分でない可能性があることがわかった。そこで、加速器で実績のあるHelicoflex型メタルシールを使った接続方法について設計検討を行い、その実証試験を行った。また、万一ベリリウムが破損した場合でも真空ダクト中への飛散をなるべく防止するための隔壁についても検討を行った。ここではベリリウム製ビーム窓および飛散防止隔壁についての設計および実証試験の結果について報告を行う。 |
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WEP039 p.393 | RCNPにおけるDuoplasmatron導入に向けた開発 Development for introduction of Duoplasmatron in RCNP ○森田 泰之,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,畑中 吉治,中尾 正夫,安田 祐介,鎌倉 恵太,原 周平,Koay Hui Wen,武田 圭次郎,原 隆文(阪大RCNP) ○Yasuyuki Morita, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Masao Nakao, Yuusuke Yasuda, Keita Kamakura, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Keijirou Takeda, Takahumi Hara (RCNP) 大阪大学核物理センター(RCNP)では、高品質・大強度での陽子・重陽子ビームの供給が求められており、実現のために新たなイオン源としてDuoplasmatoronの導入を予定している。これにより、最上流であるイオン源からのビームのエミッタンスを小さくすることで加速ビームの高品質化の実現が期待される。導入にあたり、Duoplasmatronの運転パラメーターによる出力ビームへの影響を評価し、低エミッタンスでビームを引き出す方法を確立する必要がある。また、強度を大きくするには輸送中のビームロスを減らす必要があるが、既存のビームライン上のマグネットの位置やAVFサイクロトロン入射口の形状などは変更できない。そこでDuoplasumatronから既存のビームラインへと繋げるまでの領域で磁場やドリフト距離を調整し、効率的なビーム輸送が可能な設計を行う必要がある。今回、Duoplasmatronの運転パラメーターによる出力ビームへの影響および、MADXを用いたエンベロープ計算をもとに、ロスなくビーム輸送を行うためのビームラインの設計についてまとめ、発表する。 |
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WEP040 p.396 | J-PARC水銀ターゲット容器用高強度オーステナイトステンレス鋼の試作とその評価 Fabrication tests and the property evaluation of high-strength austenitic stainless steel for spallation mercury target vessel of J-PARC ○若井 栄一,涌井 隆,原田 正英,高田 弘(原子力機構 J-PARCセンター),池田 陽子(日鉄住金テクノロジー) ○Eiichi Wakai, Takashi Wakui, Masahide Harada, Hiroshi Takada (JAEA J-PARC Center), Yoko Ikeda (NSST) 水銀ターゲット容器は、水銀との耐食性を考慮して、現在、炭素濃度を低減したSUS316L鋼で製作されているが、標準のSUS316鋼よりやや強度が低い。このため、設計強度を高めるためにSUS316Lに窒素を約0.16%添加したSUS316LN鋼の使用の検討を行っている。市中には、厚さ30mm程度のSUS316LN鋼は購入することができるが、ターゲット容器を製作できる厚さのインゴットの入手は大変難しい。このため、SUS316LN鋼の試作試験では、製造性も良好な化学組成と強度などの基本特性が得られるように、熱間鍛造、熱間圧延などを経て製作を行った。また、不純物で含有するCo量は、運転後の容器の放射能を低減するため、できるだけ低濃度にすることが望ましいため、併せて不純物濃度の低下を試みた。本試作は、溶接特性を考慮して、Cr当量とNi当量の比も併せて調整し、良好な各特性を持つ試作材を製作できた。 |
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WEP041 p.401 | レーザーフォトカソード高周波電子銃から生成される電子ビームの3次元分布計測 3-dimensional measurement of an electron bunch from laser photocathode rf electron gun ○坂上 和之,大塚 誠也,小柴 裕也,佐々木 智則,鷲尾 方一(早大理工研),高富 俊和,浦川 順治(高エネ研) ○Kazuyuki Sakaue, Seiya Otsuka, Yuya Koshiba, Tomonori Sasaki, Masakazu Washio (RISE, Waseda Univ.), Toshikazu Takatomi, Junji Urakawa (KEK) レーザーフォトカソード高周波電子銃はレーザーによって制御された電子ビームを生成し、即座に高電界の高周波加速を行うことで、非常に高品質な電子ビームを生成することが可能である。このような高品質電子ビームは大規模加速器の電子銃部として用いられている他、それ単体でも応用が可能であり、様々な研究がなされている。我々は、電子銃から生成される電子ビームのバンチ長の計測を目的とし、独自に高周波偏向空胴を開発した。これを用いることで、縦方向分布の計測に成功している他、生成された電子ビームに傾きがついていることを確認し、その詳細計測を実施した。本講演では、レーザーフォトカソード高周波電子銃から得られる電子ビームの計測として、高周波偏向空胴を用いた傾き計測・CT3次元計測を行ったので、その結果に関して報告する。 |
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WEP042 p.404 | 永久磁石を用いた小型ECR H+イオン源 Compact ECR H+ ion source with permanent magnet ○竹内 佑甫,頓宮 拓,岩下 芳久(京大化研) ○Yusuke Takeuchi, Hiromu Tongu, Yoshihisa Iwashita (Kyoto ICR) 現在、永久磁石を使用した小型ECR H+イオン源を開発中である。ECR H+イオン源では、H+だけでなく、分子状イオンも同時に生成される。陽子線形加速器への利用を想定しているため、イオン源から引き出されるビームのH+比率は可能な限り高いことが望まれる。このため、イオン源から引き出されるビームのイオン種の割合を分析しながら、H+の割合が増加するように多くのパラメータ(磁場分布、ガス圧、マイクロ波出力など) を最適化する必要がある。これまで電磁石やウィーンフィルターとファラデーカップを用いた質量分析器が用いられていたが掃引による各イオン種毎の計測が必要であり、一回の測定に数十分かかり非効率であった。この問題を改善するために、永久磁石と多数の電極を用い、複数のイオン種を同時に分析可能なリアルタイム質量分析器を開発し、実際に質量分析を行ってパラメータの最適化を図っている。今回はその現状について報告するとともに今後の展望について言及する。 |
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WEP043 p.408 | マルチイオン照射のためのガスパルシング法を用いたイオン種の切替 Switching technique of ion species with gas pulsing method at NIRS-HEC ion source for multi-ion irradiation ○髙橋 勝之,鈴木 太久,大内 章央,白石 直浩,佐々野 利信(加速器エンジニアリング(株)),村松 正幸,水島 康太,岩田 佳之(量研機構 放医研) ○Katsuyuki Takahashi, Taku Suzuki, Fumihisa Ouchi, Tadahiro Shiraishi, Toshinobu Sasano (AEC), Masayuki Muramatsu, Kota Mizushima, Yoshiyuki Iwata (QST-NIRS) 放射線医学総合研究所(NIRS)の重粒子線がん治療装置(HIMAC)では、治療用炭素を生成する10 GHz ECRイオン源(NIRS-ECR)の他、生物・物理実験に於いて様々なイオン種の供給を行う18 GHz ECRイオン源(NIRS-HEC)、小型ECRイオン源(Kei2)、PIGイオン源の4台のイオン源が稼働している。現在、NIRSでは数種類のイオンを標的に照射することで理想的なLETおよび線量分布を形成するマルチイオン照射を推進している。想定されるイオン種はHe、C、O、Neの4種類で、複数のイオン源を専有すれば比較的容易に切替可能となるが、今後の普及展開を見据えて1台でのイオン種切替を検討した。4種類のイオンを生成するため、イオン源に導入するガスはHe、CO2、Neの3種類とした。また、イオン源で生成するイオンは質量電荷比が重ならず、かつビーム電流を確保できるHe2+、C2+、O3+、Ne4+とし、ビーム電流の目標値はそれぞれ500 eµA、150 eµA、230 eµA、300 eµAとした。試験はNIRS-HECを用い、まずHeガスとCO2ガスをミキシングしてHe2+、C2+、O3+のビーム試験を行った。次にガスパルシング法、ガス配管への電磁弁追加など不要なガスの混在を防ぐ工夫を行った上でガス切替試験を行い、目的のビーム電流が安定するまでの時間を測定した。結果、ガスパルシング法によりイオン種切替時間の短縮に成功した。ここではガス配管構成の検討や試験結果について報告する。 |
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WEP044 p.413 | 光渦を励起光源に用いた偏極電子生成の試み Trying to generate polarized electron beam using twisted light. ○真野 篤志(名大SR),松永 幸大(名大院工),藤本 將輝,郭 磊,加藤 政博(分子研UVSOR),保坂 将人,高嶋 圭史(名大SR) ○Atsushi Mano (Nagoya University SR Center), Yukihiro Matsunaga (Graduate School of Engineering, Nagoya University), Masaki Fujimoto, Lei Guo, Masahiro Katoh (UVSOR), Masahito Hosaka, Yoshifumi Takashima (Nagoya University SR Center) 光軸に対し方位角方向に連続的に変化する位相の空間分布を作ると、光渦と呼ばれる特殊な状態になる。光渦において位相分布の中心点は位相が不特定となる特異点であり、強度がゼロになる。このため、光渦はドーナツ状の強度分布をもつ。さらに、光渦は軌道角運動量を有する。 我々は、これらの性質に注目し、半導体フォトカソードによる電子生成、特にスピン偏極電子生成への応用を試みた。 光渦の軌道角運動量を電子のスピン角運動量に変換できる場合、バルクGaAsのような単純な構造のフォトカソードを用いても、高い偏極度を実現できる可能性がある。また、励起光源の強度分布が電子ビームの強度分布となるフォトカソードの性質から、ドーナツ状の強度分布によって電子の発散力を低減することで、空間電荷効果を抑制し、エミッタンスが改善できる可能性もある。 我々は反射型空間変調素子(SLM)を利用し、光渦生成光学系を構築した。また、現在、光渦励起で生成した電子ビームによる偏極度測定の準備を進めている。本発表は現状を報告する。 |
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WEP045 | Feasibility of on-site nuclear material identification in Fukushima Daiichi fuel debris by X-band electron linac-based compact neutron source ○Yudhitya Kusumawati, Yuki Mitsuya (The University of Tokyo), Tomooki Shiba (Japan Atomic Energy Agency), Mitsuru Uesaka (The University of Tokyo) Unaccountable nuclear fuel debris in reactor core area of Fukushima Daiichi became subject of safeguards and criticality safety, and mapping of nuclear debris activity through on-site screening is necessary to provide reliable data for debris removal plan. Screening activity consists of dual energy X-Ray CT and Neutron Resonance Transmission Analysis that complements each other, and the latter can identify isotopes in a material. By using compact pulsed neutron source constructed from 3.95 MeV X-Band electron linac, coupled with Tungsten as electron-to-photon converter and Beryllium as photon-to-neutron converter, short-distance neutron Time of Flight measurement can be performed. The measurement result of this system shows up to 100 eV neutron energy spectrum can be obtained from a 2.5-meter distance through Helium-3 neutron detector. Neutron resonance transmission experiment using Tungsten as dummy for Uranium shows that energy absorption in the resonance neutron area of Uranium-238 from 1-100 eV can be observed, as well as multiple elements detection. With its compact size and short Time of Flight path, this system can be implemented in on-site nuclear debris screening system. |
加速構造 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP046 p.418 | 超伝導スポーク空洞製作の現状 Present status of superconducting spoke cavity fabrication ○沢村 勝,羽島 良一(量研機構),佐伯 学行(高エネ研),岩下 芳久,頓宮 拓(京大),中村 哲朗,渡邉 直久(ミラプロ) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST), Takayuki Saeki (KEK), Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu (Kyoto Univ.), Tetsuro Nakamura, Naohisa Watanabe (Mirapro Co., Ltd) スポーク空洞は、周波数が同じならば楕円空洞よりサイズが小さく、さらにパッキングファクターにも優れている。このスポーク空洞の利点を生かしてERL 加速器を小型化し、LCS-γ/X線源を産業・学術分野への利用を図るため、超伝導スポーク空洞の開発を進めている。現在プレス加工したハーフスポークを使ってフルスポークにするための電子ビーム溶接の準備を進めている。スポーク空洞製作の現状について報告する。 |
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WEP047 p.421 | LバンドRFQの低電力試験 Low power test of an L-band RFQ ○近藤 恭弘,森下 卓俊,田村 潤(原研),大谷 将士(高エネ研) ○Yasuhiro Kondo, Takatoshi Morishita, Jun Tamura (JAEA), Masashi Otani (KEK) J-PARCにおけるミューオンg-2/EDM実験のためのミューオンリニアックの開発が進行中である。J-PARCミューオン施設Hラインからのミューオンは、シリカエアロジェルターゲット中に停止されられ、室温のミューオニウムが生成する。それをレーザー解離した超低速ミューオンをリニアックで212MeVまで加速する。このミューオンリニアックの低エネルギー部は324MHzのRFQとIH-DTLで構成される。周波数は続くCCLセクションで1296MHz (Lバンド)に増やされる。我々は低電力部をLバンドRFQで置き換えることを提案している。このLバンドRFQはこれまでのRFQにくらべて極端に小型となるため低電力モデルを製作し実現可能性を検証する。この論文では、LバンドRFQの低電力測定結果について述べる。 |
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WEP048 p.425 | 反応性スパッタリング法を用いた超伝導多層構造の開発 Development of superconducting multilayered structure using by reactive sputtering method ○永田 智啓,伊藤 亮平((株)アルバック),早野 仁司,久保 毅幸,佐伯 学行(高エネ研),岩下 芳久,片山 領(京大),井藤 隼人(総研大),及川 大基(宇都宮大) ○Tomohiro Nagata, Ryohei Ito (ULVAC, Inc.), Hitoshi Hayano, Takayuki Kubo, Takayuki Saeki (KEK), Yoshihisa Iwashita, Ryo Katayama (Kyoto Univ.), Hayato Ito (Sokendai), Hiroki Oikawa (Utsunomiya Univ.) 現在、超伝導加速空洞の母材にはNbが使用されているが、その空洞製造技術は既に習熟しつつあり、最大加速勾配は頭打ちを迎えようとしている。Nbの物性的な制限を超えた最大加速勾配を達成するために、Nb母材の内壁面上に超伝導薄膜と絶縁膜を交互に積層し、Nbに到達する磁場を低減する手法が提案されている。この手法を用いると、例えばNbNを超伝導薄膜とした場合、最大加速勾配が従来のNb空洞よりも2割程度向上することが理論的に示されている。薄膜多層構造空洞の実現に向けて、可能な限りバルクに近い膜特性を持つ超伝導薄膜の成膜と、実際に製作した多層薄膜構造が持つ超伝導特性が理論値と乖離しないことの確認が求められる。本研究では、この超伝導薄膜-絶縁膜の積層技術の確立および超伝導特性の評価のための多層薄膜試料の製作を目指して、反応性スパッタリングによるNbN薄膜とSiO2薄膜の成膜、および基礎的な膜特性の評価を行った。結果、良質なNbN薄膜を安定的に成膜できる条件を確立し、結晶配向性の良いNbN薄膜-SiO2薄膜をバルクNb基板上に成膜したサンプルの作製に成功した。今回は、スパッタリングの技術と膜特性の評価結果の詳細について報告する。 |
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WEP049 p.428 | SuperKEKB Phase2における超伝導空洞の運転状況 Status of superconducting accelerating cavity at SuperKEKB phase-2 operation ○西脇 みちる,赤井 和憲,古屋 貴章,光延 信二,森田 欣之(高エネ研) ○Michiru Nishiwaki, Kazunori Akai, Takaaki Furuya, Shinji Mitsunobu, Yoshiyuki Morita (KEK) SuperKEKB加速器では、KEKB加速器の40倍のルミノシティを目指し、2016年2月から6月までのPhase-1コミッショニング運転を無事に終え、2018年3月から7月までPhase-2コミッショニング運転を実施している。大電流ビームを加速する超伝導加速空洞は、KEKB加速器用に開発された高調波減衰型空洞で、8台が電子リングで用いられている。KEKB加速器運転で劣化した空洞を横型高圧水洗浄により性能回復させ、Phase-1終了後にリングに導入し、Phase-2で安定に運転している。また、Phase-1で性能劣化した空洞にも横型高圧水洗浄を施し、性能を回復させ予備機としている。Phase-1で問題が発生した周波数チューナーのピエゾアクチュエータは、耐久試験により使用条件を最適化し、Phase-2では安定に動作している。超伝導空洞で発生するHOMパワーは、SuperKEKB加速器の2.6 Aという大電流ビームによりKEKB加速器の2倍以上と推測される。主に、空洞からビームの下流方向へ抜け出るHOMパワーが下流の空洞への負荷となると考えられる。対策としてSiC吸収体を用いたHOMダンパーを1台製作し、試験的に空洞下流のビームパイプに設置した。Phase-2のビーム運転においてHOMパワー吸収の実証試験を実施している。本稿では、超伝導空洞のPhase-2における運転状況とSiC製HOMダンパーのビーム試験結果について報告する。 |
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WEP050 p.433 | 理化学研究所向けQWR型超伝導加速空洞の製作 Production of superconducting QWR for RIKEN ○原 博史,宮本 明啓,仙入 克也,柳澤 剛(三菱重工機械システム株式会社) ○Hiroshi Hara, Akihiro Miyamoto, Katsuya Sennyu, Takeshi Yanagisawa (MHI Machinery Systems, Ltd.) 理化学研究所 仁科加速器研究センターのRIビームファクトリー(RIBF)では,113番元素の発見に続き,さらに重い元素の発見を目指して,理研線形加速器(RILAC)のアップグレード計画が進行しており、常伝導の線形加速器の後段の一部を超伝導化することにより総加速電圧の増強が図られる。 三菱重工機械システム株式会社は、本プロジェクト向けに2019年3月までに超伝導クライオモジュール3台の納入を予定している。 本年会時点でニオブ製超伝導空洞の溶接組立が佳境を迎える見込みであり、進行状況を製造技術と共に報告する。 |
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WEP051 p.437 | STFたて測定システムにおける空洞性能試験の履歴 Record of cavity performance in VT system at STF ○浅野 峰行,今田 信一,山田 浩気,泰中 俊介,石原 将治(日本アドバンストテクノロジー),梅森 健成,加古 永治(KEK) ○Mineyuki Asano, Shin-ichi Imada, Hiroki Yamada, Shunsuke Tainaka, Shoji Ishihara (NAT), Kensei Umemori, Eiji Kako (KEK) KEKのSTF棟では、低温での空洞性能を確認するたて測定を実施している。STF2加速器クライオモジュール用の9セル超伝導空洞のたて測定が2014年末に終了した。2015年以降のたて測定は、新しく製造した空洞や表面処理方法の違いによる研究開発を目的とするたて測定が実施されている。本発表では、主に2015年以降のたて測定結果の履歴について報告する。 |
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WEP052 p.442 | 3次高調波測定法を用いた薄膜超伝導体の下部臨界磁場測定 Lower critical field measurement of thin film superconductor using third harmonic method ○井藤 隼人(総合研究大学院大学),早野 仁司,佐伯 学行,久保 毅幸 (高エネルギー加速器研究機構),岩下 芳久,片山 領,頓宮 拓(京都大学化学研究所),及川 大基(宇都宮大学),伊藤 亮平,永田 智啓(アルバック) ○Hayato Ito (SOKENDAI ), Hitoshi Hayano, Takayuki Saeki, Takayuki Kubo (KEK), Yoshihisa Iwashita, Ryo Katayama, Hiromu Tongu (Kyoto University, ICR), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University), Ryohei Ito, Tomohiro Nagata (ULVAC, inc.) Superconducting thin film is the promising technology to increase the performance of SRF cavities. The lower critical field Hc1, which is one of the important physical parameters characterizing a superconducting material, will be enhanced by coating Nb with thin film superconductor such as NbN. To measure the Hc1, we developed the measurement system using the third harmonic response of applied AC magnetic field. In order to control the temperature of the sample, we installed heaters and thermal anchors which could be moved by the motor. By this temperature control the sample state can be easily transferred from the Meissner state to the mixed state. By raising the temperature of the sample with applying AC magnetic field, Hc1 and transfer temperature, which is point of transfer from the Meissner state to the mixed state, can be determined at when the third harmonic response appears. By repeating the measurement for various applied AC magnetic field, the Hc1 vs temperature can be plotted. In this report, measurement result of the bulk Nb sample and NbN-SiO2 multilayer thin film sample will be discussed. |
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WEP053 p.447 | マルイ鍍金-KEK-CEAサクレーで実施したNinjaカソードを用いた1.3GHzニオブ単セル空洞の縦型電解研磨と加速性能評価 1.3GHz Nb single-cell cavity vertical electropolishing with Ninja cathode and evaluation of accelerating gradient performed by Marui-KEK-CEA Saclay ○仁井 啓介,Chouhan Vijay,井田 義明,山口 隆宣(マルイ鍍金工業株式会社),早野 仁司,加藤 茂樹,文珠四郎 秀昭,佐伯 学行,沢辺 元明(KEK),井藤 隼人(総研大),及川 大基(宇都宮大学),Eozenou Fabien,Maurice Luc(CEA/DSM/IRFU),Carbonnier Pol,Madec Catherine,Proslier Thomas,Servouin Christophe(CEA/DRF/IRFU) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Yoshiaki Ida, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Hideaki Monjushiro, Takayuki Saeki, Motoaki Sawabe (KEK), Hayato Ito (Sokendai), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University), Fabien Eozenou, Luc Maurice (CEA/DSM/IRFU), Pol Carbonnier, Catherine Madec, Thomas Proslier, Christophe Servouin (CEA/DRF/IRFU) マルイ鍍金工業では、KEKと共同でニオブ加速空洞の縦型電解研磨(VEP)技術開発を行ってきた。これまでに独自構造である「Ninja」カソードと単セルクーポン空洞を用いて数々のパラメータやカソード構造最適化実験を行い、研磨後の表面状態や研磨量分布の改善を達成した。これらの空洞加速性能向上効果を確認するため、今回マルイ鍍金のNinjaカソードとVEP設備を用いてKEKの1.3GHzニオブ単セル空洞(TB1-TSB02)のVEPと加速性能評価を行った。またCEAサクレーと協力して、サクレーのVEP設備へNinjaカソードをインストールし、サクレーの1.3GHzニオブ単セル空洞(TP02)のVEP、加速性能評価を行った。結果、いずれも30MV/mを超える良好な加速性能が得られ、Ninjaカソードを用いたVEPが単セル空洞の加速性能向上に効果的であることがわかった。 |
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WEP054 p.451 | 多層薄膜超伝導体評価用Nb製マッシュルーム型空洞の開発 Development of Nb Mushroom-shaped cavity for evaluation of multi-layer thin-film superconductor ○及川 大基,東口 武史(宇都宮大学),早野 仁司,井上 均,江並 和宏(高エネ研) ○Hiroki Oikawa, Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya University), Hitoshi Hayano, Hitoshi Inoue, Kazuhiro Enami (KEK) The accelerating gradient of the Nb superconducting RF cavity is reaching the limit due to the intrinsic properties of the Nb material. To obtain more higher accelerating gradient, there has been proposed a method of increasing an RF critical magnetic field of the cavity inner surface by coating of multi-layer thin-film superconductor. In order to develop multi-layer thin-film, we are conducting thin-film process development on Nb sample. An RF cavity with a thin-film coated Nb sample is needed to evaluate an improvement of RF critical magnetic field. It is necessary to design a cavity to produce a strong RF magnetic field parallel to the surface of the thin-film sample. We designed a Nb mushroom-shaped cavity, which has a resonant frequency of 5.2 GHz. Before the Nb-based cavity, we observed the field distribution by use of an Al-based model cavity instead of Nb-based cavity. In this paper, we compare the observation of measured field distribution with the calculation, together with the design of Nb-based mushroom-shaped cavity under fabrication. |
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WEP055 p.455 | 30年以上用いられてきたKEK電子陽電子入射器Sバンド加速管の内面検査 Inspection of inner surface of S-band accelerating structures of KEK electron-positron injector linac used for more than 30 years ○肥後 寿泰,惠郷 博文,榎本 嘉範(高エネルギー加速器研究機構),牛本 信二(三菱電機サービス) ○Toshiyasu Higo, Hiroyasu Ego, Yoshinori Enomoto (KEK), Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service) KEKの電子陽電子入射器は30年以上稼働してきている。元々は放射光リングへの入射で始まったが、1980年代にはトリスタンへの入射器としてのミッションが加わり、1990年代にはKEKB用に上流部に延長するとともにSLEDを導入することによって、更に高電荷、高エネルギーのビームをリングに直接入射するようになった。現在ではSuperKEKB用の入射器として更に高電荷のビームを供給することになり、安定に低エミッタンスのビームを供給することが要求されている。しかるに長年の使用を経た加速管群は、冷却水の真空内や加速管外への漏れも頻発するようになり、現状では、高い暗電流や頻繁な真空放電に悩まされていて、今後これらの劣化加速管はそれを同定し、正常な加速管と入替をしていくことが必要である。この劣化の起源を探り、対処を検討すべく、最近いくつかの加速管内部を検査したので、その結果を報告し、高電界特性との比較を試みる。 |
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WEP056 p.460 | 超伝導加速管の非破壊検査装置開発 Development of nondestructive inspection device for superconducting cavity 頓宮 拓,○岩下 芳久(京大化研) Hiromu Tongu, ○Yoshihisa Iwashita (Kyoto ICR) 京都大学では高エネルギー加速器研究機構との共同研究で超伝導加速空胴の非破壊検査装置の開発を行なってきた。超伝導加速管の性能測定(縦測定)時における発熱箇所の検出、及び、フィールドエミッションにより発生したX線検出マッピングによる局所的欠陥の探索、は有効な非破壊検査方法であり、他研究施設でも運用されている。 我々が開発したX線、温度マッピングシステムは各センサーの出力は極低温下で動作する回路を採用した信号多重化によるスキャニング、および、各基板のデイジーチェーン接続により必要な信号線数が激減させ、実装の簡略化に成功している。しかしながら、アナログアンプとして用いたCD4069 CMOSインバータのオフセット電圧が温度依存性を持つため、ダイナミックレンジが減っている。本発表では非破壊検査装置の現状とアンプの温度ドリフト対策についての結果を報告する。 |
高周波源 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP057 p.464 | SuperKEKB加速器Phase2運転中における大電力高周波源の状況 Current status of the high-power rf systems during Phase2 operation in SuperKEKB ○渡邉 謙,吉田 正人,吉本 伸一,丸塚 勝美(高エネルギー加速器研究機構) ○Ken Watanabe, Masato Yoshida, Shin-ichi Yoshimoto, Katsumi Marutsuka (KEK) SuperKEKB加速器地上部大電源棟に設置されている大電力高周波源は、 地下トンネルに設置されたARES空洞および超伝導加速空洞へRFを供給する 役割を持つ。本報告では各コンポーネントの状況、Phase2運転中に発生した 各種トラブルや運転状況およびPhase3へ向けた取り組みについて報告する。 |
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WEP058 p.468 | 高透過率アノードを用いた仮想陰極発振器の特性評価と最適化 Characteristic evaluation and optimization of virtual cathode oscillator with high transmittance anode ○長尾 和樹,髙津 航,Pham Van Thuan,桜井 一哉,芦澤 和,久野 裕由,須貝 太一,江 偉華(長岡技術科学大学) ○Kazuki Nagao, Wataru Takatsu, Pham Van Thuan, Kazuya Sakurai, Wataru Ashizawa, Hiroyoshi Kuno, Taichi Sugai, Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) 大電力マイクロ波発生方法の一つとして仮想陰極発振器が挙げられる。仮想陰極発振器は構造が非常にシンプルでありながら大電力マイクロ波を発振可能という利点があるため,防衛,電力転送,宇宙推進技術など様々な分野への応用が期待されている。しかし,マイクロ波発振効率が低いという問題点がある。ETIGO-IVを用いた仮想陰極発振器では,約35%の電子ビームがアノードを透過出来ずに損失になっている事が分かっており,高透過率アノードを使うことでアノードを透過出来ずに損失になるビームが減りマイクロ波出力が向上すると考えられる。本研究では,透過率85%, 90%, 95%のメッシュ状とワイヤー状のアノードを用いて実験を行い,マイクロ波特性の測定,及びビーム損失の測定を行った。透過率の上昇に伴って出力されるマイクロ波エネルギー,効率は低下した。また,発振時間が短くなり,広い周波数帯域にかけて複数の周波数で発振していることが確認された。アノード構造の違いによるマイクロ波エネルギー,エネルギー効率の変化はなかった。透過率の上昇によって発生する電子ビームの減少が確認されており,仮想陰極生成に最適な加速電圧,ビーム電流があると考えられる。電子ビーム損失の測定では,平均して約20%の電子ビームが損失になっており,透過率に依存して減少しないことが確認された。 |
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WEP059 p.473 | 高速スタブチューナーを用いた空洞入力カップリングの高速制御の検討 High Speed Control of Cavity Input Coupling using Quick Stub Tuner ○不破 康裕(京大複合研),岩下 芳久(京大化研) ○Yasuhiro Fuwa (KURNS), Yoshihisa Iwashita (KUICR) 高周波加速空洞の入力カプラーにおけるカップリングを高速で制御可能なスタブチューナーの可能性を検討している。高速なカップリング制御が実現できれば、Q値の大きな超伝導加速空洞へのフィリングタイムの短縮やビームローディングの高速補正などが可能となる。高速スタブチューナーには、周波数特性に優れたガーネットフェライトを用いた磁性体装荷型の構造の採用を検討している。本発表では、カップリング高速制御の基本概念とその実現に必要とされるスタブチューナーの構造と装荷する磁性体特性の検討結果を報告する。 |
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WEP060 p.476 | KEK電子・陽電子入射器用クライストロン電源の現状 Present status of the Klystron Modulator for the KEK Electron-Positron Injector Linac ○明本 光生,福田 茂樹,本間 博幸,川村 真人,夏井 拓也,中島 啓光,設楽 哲夫(KEK) ○Mitsuo Akemoto, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Masato Kawamura, Takuya Natsui, Hiromitsu Nakajima, Tetsuo Shidara (KEK) KEK電子・陽電子入射器は高周波源として59台の最大50 MW、パルス幅4 µs、繰り返し50ppsのマイクロ波を出力するSバンドクライストロンを使用している。それを駆動する電源としてサイラトロンを使用したPFNタイプのパルス電源が用いられている。本発表では、このクライストロン電源の運転状況、運転統計、維持改善、将来のクライストロン電源に向けての研究と開発の状況について報告する。 |
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WEP061 p.480 | J-PARC Main Ring高周波加速システムのMachine Protection System高速化 Speedup for the Machine Protection System on the RF Accelerating System in J-PARC Main Ring. ○古澤 将司,大森 千広,杉山 泰之,長谷川 豪志,原 圭吾,吉井 正人(KEK/J-PARC),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘(JAEA/J-PARC) ○Masashi Furusawa, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto (JAEA/J-PARC) 大強度陽子加速施設J-PARCの加速器のMachine Protection System (MPS) は、加速器近辺施設の不要な放射化の防止のため、加速器を構成する各機器の異常を受信してビームの停止、またはアボートラインに取り出す機能を担う。Main Ring (MR) ではビーム取り出し機器の改良により、任意のタイミングで周回ビームのアボートが可能になった。このためMR各構成機器では異常の検出とその伝達の高速化のためにMPS関連機器の機種更新とレイアウト再整備等を進めている。J-PARC のMR高周波加速 (RF) システムでは、半導体アンプ、コントロールグリッドとスクリーングリッドと10kV陽極により構成される真空管アンプで加速電圧の増幅を行うが、行程は各電源装置に設置されたProgrammable Logic Controller (PLC) に記載のラダープログラムにより制御され、そのプログラムの一部が異常検出による自動停止のMPSとして機能している。RFシステム各機器で異常を検出した場合、集約情報を上位の制御グループが監視するMPS システムに送信し、割り込み動作のための信号として利用する。RFの機器では、運用されているラダープログラムの容量削減や、使用機種の最適化等でプログラムスキャン時間を短縮することで、従来と比較してMPSの高速化を期待できる。本紙では、RF装置のMPSの概要、及び昨年度から今年度にかけて行われたPLC機種選定と交換作業、ラダープログラムの改良によるMPS高速化の成果ついて報告する。 |
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WEP062 p.484 | KEK電子陽電子入射器モジュレータ用インバータ電源の現状 (3) Present status of inverter power supplies for modulators in KEK electron-positron linac (3) ○川村 真人,明本 光生,中島 啓光,夏井 拓也(高エネ研),今井 康雄,東福 知之,馬場 昌夫,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),遠藤 治,秋川 藤志,佐藤 和行(日本高周波(株)),高山 智也(東芝電波プロダクツ(株)),徳地 明((株)パルスパワー技術研究所) ○Masato Kawamura, Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui (KEK), Yasuo Imai, Tomoyuki Toufuku, Masao Baba, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Osamu Endo, Hisashi Akikawa, Kazuyuki Sato (Nihon koushuha Co.,Ltd.), Tomoya Takayama (Toshiba Electro-wave Products Co., Ltd.), Akira Tokuchi (PPJ) KEK電子陽電子入射器モジュレータ用インバータ電源の現状について、一昨年・昨年に続き現状を報告する。KEK電子陽電子入射器では、過去一年間にSuper KEKBのPhase2に向けて、ダンピングリングを新設し、その入出射に対応するため2台のインバータ充電方式のクライストロン電源を新設した。インバータ電源は昨年10月の連続運転開始以降、不具合なく順調に運転が行われている。 |
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WEP063 p.488 | 13kV-SiC-MOSFETを用いたイオン源電源の改善 An improvement of compact pulsed power supply for Ion source using 13kV-SiC-MOSFET ○林 秀原,木田 保雄(株式会社パルスパワー技術研究所),神藤 勝啓(日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター),徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所) ○Soowon Lim, Yasuo Bokuda (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.(PPJ)), Katsuhiro Shinto (JAEA/J-PARC), Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.(PPJ)) 最近SiCパワー半導体素子関連技術の発達で13kV以上の耐圧を持つSiC MOSFET素子が使用可能になった。SiCパワー半導体は、シリコンに比べて材料物性に優れ、高い耐電圧、大電流、熱伝導性及び低損失の特徴を持っている。これらのSiCの優れた物性でSiCベースのスイッチング素子はシリコンベースのスイッチング素子に比べ素子のサイズは1/10、通電損失は1/300程度に減少し、これをシステムに適用する場合は、変換損失が1/3に減少できる。本論文では、J-PARC加速器で使用されたSi-MOSFETベースパルス電源をSiC-MOSFETに置き換えてイオン源電源の小型化と回路の制御簡素化を実現した一例を示す。この研究の一部は、つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)の共同研究プロジェクトの下で実施されている。 |
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WEP064 p.490 | 加速器ベースのBNCT用モジュレータ電源の開発 Developing the modulator power supply for the Accelerator based BNCT ○ユン ヒョンミン(株式会社DAWONSYS 日本支店),ユン ヒョンジン(株式会社DAWONSYS ),パク ソンスン,キン ドンスウ(株式会社DAWONSYS) ○Hyoungmin Yun (DAWONSYS JAPAN Branch), Hyoungjin Yun, Sunsoon Park, Dongsu Kim (DAWONSYS) 加速器ベースのBNCT用小型、ロングパルス、大容量、高電圧パルスモジュレータが開発された。この安定した大容量のロングパルス変調器は、324MHz東芝クライストロンと352MHzのタレスクライストロンに安定した電源を供給してRFを増幅するために使用する。電気特性は、-90kV、33A、100usec~1msec、200Hzの繰り返し速度と1000ppmの安定度を持つ。このモジュレータ電源装置は、100usec以内のスイッチング立ち上がり時間のために直並列接続されたIGBTスイッチを使用している。また、1000ppmの安定度を達成するためにドループ補償装置と高速短絡保護回路を含むこのモジュレータ電源の動作性能について議論する。最後に、出力flat topの波形も提示する。 |
電磁石と電源 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP065 p.494 | J-PARC主リング新電源の高繰り返し化時の性能見積もり Performance estimation of a new power supply with high repetition rate operation in J-PARC MR ○内藤 大地,栗本 佳典(高エ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),下川 哲司,三浦 一喜,森田 裕一(高エ研) ○Daichi Naito, Yoshinori Kurimoto (KEK), Ryu Sagawa (Universal Engineering ), Tetsushi Shimogawa, Kazuki Miura, Yuichi Morita (KEK) J-PARC加速器では主リングでの速い取り出しにおいて~490kWのビーム強度を達成している。現在は設計値である750kW以上の大強度ビーム実現のため、ビームの加速・取り出しの高繰り返し化を計画している。 高繰り返し時にはビームを偏向・収束させるための電磁石へ流す電流の時間変化を急峻にする必要がある。 すると電源が磁石に供給すべき電圧と、電力による系統の電力変動が上昇する。 これらの変化に現行電源では対応不可能なため、新しい電源の開発が必要であった。 新電源の一号機は四極電磁石用電源としてビーム運転で稼働中である。 偏向電磁石用新電源についてはJ-PARC内で調整が進められている。 今年度秋以降には実負荷に接続し、高繰り返し運転試験を行う。 本公演ではシミュレーションによって高繰り返し運転時に予想される新電源の性能の見積もりについて報告する。 |
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WEP066 p.499 | J-PARC-MRの速い取り出し用新低磁場セプタム電磁石の開発(4) The development of a new Low field Septum Magnet for fast extraction in J-PARC MR(4) ○芝田 達伸(高エネ研),川口 祐介,中村 健太,濵野 慧(ニチコン草津),石井 恒次,杉本 拓也,松本 浩,松本 教之(高エネ研),Fan Kuanjun(HUST) ○Tatsunobu Shibata (KEK), Yusuke Kawaguchi, Kenta Nakamura, Kei Hamano (Nichicon), Koji Ishii, Takuya Sugimoto, Hiroshi Matsumoto, Noriyuki Matsumoto (KEK), Kuanjun Fan (HUST) J-PARC MRでは速い取り出しのビームパワーを設計値である750kWに増強するためアップグレードが進行中である。750kWへの増強にはビームの運転周期を現在の2.48秒から1.3秒への短縮が必要である。MRの入出射用電磁石システムも1.3秒周期への対応のためアップグレードを行っている。本講演では新しい速い取り出し用の低磁場セプタム電磁石システムの開発について報告する。現行機の低磁場セプタム電磁石はMR運転開始以降使用を続けているため、セプタムコイルの自身の振動による絶縁破壊が懸念されている。他には四重極成分の漏れ磁場が大きいという問題がある。ビームパワー増強に伴いビームハローの強度も大きくなると予想されるため磁極のアパーチャーの拡大も必要である。そこで我々は新しい低磁場セプタム電磁石として通常のタイプではなく誘導渦電流型、通称Eddy型という電磁石の導入を進めている。Eddy型はMRの入射部に既に1台使用され実績もある。新しい低磁場セプタム電磁石と新しい電源は2014年に製作され、MRエリア内の電源棟内にテストベンチを構築し試験を行っている。本講演ではまず2016年に電源棟内で確認されたMRビーム起因の空間ノイズについて報告する。この空間ノイズにより電源の出力電流の変動を確認し、ノイズの軽減対策を行った。2つ目は補助充電器の導入について報告する。最後に磁極内、漏れ磁場測定について報告する。 |
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WEP067 p.504 | 13kV級SiC-MOSFETを使用したパルスパワー電源の開発 Development of pulsed power supply utilizing 13 kV class SiC-MOSFETs ○岡村 勝也(高エネ研),隈元 大輝(長岡技科大),海東 達也(千葉工大),徳地 明,林 秀原(パルスパワー技術研究所),内藤 富士雄,高山 健(高エネ研),北井 秀憲,道越 久人,福田 憲司,坂本 邦博(産総研) ○Katsuya Okamura (KEK), Daiki Kumamoto (Nagaoka University of Technology), Tatsuya Kaito (Chiba Institute of Technology), Akira Tokuchi, Soowon Lim (PPJ), Fujio Naito, Ken Takayama (KEK), Hidenori Kitai, Hisato Michikoshi, Kenji Fukuda, Kunihiro Sakamoto (AIST) 加速器には各種のパルス電源が用いられているが、中でもキッカー電源は1us以下の立ち上がり、数10 kVの電圧が必要であり、パルスを切り出すためのスイッチ素子は長らく電子管(サイラトロン)の独壇場であった。しかし、サイラトロンは本質的に安定性、寿命に課題があり課題克服のために半導体デバイスで置き換える試みが各所でなされている。SiC半導体は従来広く用いられてきたSi半導体に比べると絶縁破壊電界が10倍高いという特徴を有するため、高電圧スイッチに適している。我々は産総研において新たに開発された耐圧13kVのSiC-MOSFETを2直列ー12並列に接続した高電圧パルススイッチを試作した。今回はその評価結果について報告する。本研究の一部は、共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」 の事業として行われた。 |
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WEP068 p.508 | フローティングキャパシタ方式の電圧安定制御の開発 Development of charging control for floating capacitor method ○下川 哲司,栗本 佳典,三浦 一喜,森田 裕一,内藤 大地(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング) ○Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Kazuki Miura, Yuichi Morita, Daichi Naito (KEK), Ryu Sagawa (Universal engineering) これまでに、電磁石電源の安定化のために電力補償装置についての様々な検討がおこなわれてきた。特に, J-PARCのような大電力を消費する電磁石電源では、運転によって発生するフリッカーによる交流系統電圧の変動が大きな問題となってくる。J-PARC主リング(MR)では、ビーム強度の増強計画によるさらなる系統電圧変動の抑制のために、大容量のコンデンサバンクによるエネルギー貯蔵方式を採用している。さらに、負荷電磁石とコンデンサ間でエネルギー交換をおこなうフローティングキャパシタ方式を採用している。しかしながら、フローティングキャパシタ方式は充電機構が備わっていないため初充電を含む充電方法の確立が重要である。本稿では、J-PARC 主リングの運転シーケンスにあわせたフローティングキャパシタの電圧安定制御について述べる。 |
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WEP069 p.512 | PWM制御用マイコンを応用したビーム振分電磁石電源の制御回路 Control circuit of power supply for beam distributing magnet, as an application of PWM controller microcomputer ○森 均,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),古川 和弥,譽田 義英(大阪大学産業科学研究所量子ビーム科学研究施設) ○Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Kazuya Furukawa, Yoshihide Honda (Osaka University, The Institute of Scientific and Industrial Research) ビーム振分電磁石電源の制御回路に、主にモーター駆動インバータのPWM (Pulse Width Modulation)制御に使用されるマイコンを応用したチョッパ制御回路を製作した。従来のアナログ制御に対し有利な点として、1.フィードバック信号に重畳するノイズを除去するフィルタをデジタル化することにより、ノイズ波形やレベルに対応したフィルタリングが可能、2.フィードバック制御の定数は、負荷電磁石に応じて最適値が異なるが、デジタル制御ではこのフィードバック制御定数の変更をハードウエアの調整を行わずに実施することが可能、等が挙げられる。 |
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WEP070 p.515 | 積層鋼板多極電磁石の磁場分布計算 Calculation of magnetic distribution of multipole electromagnets with laminated cores ○西森 信行(量研),深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理科学研究所放射光科学研究センター) ○Nobuyuki Nishimori (QST), Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI/RIKEN SPring-8 Center) 次世代放射光源用多極(四極、六極)電磁石の磁極先端の加工精度は、10μm程度が求められる。そのため、精密加工の比較的容易な電磁鋼板を積層して製作する。また、性能評価のため電磁石の磁場分布を詳細に測定する必要があり、磁気余効が少なく磁場応答性の早い積層鋼板は、迅速かつ正確な測定に適している。我々はANSYS multiphysicsを用いて積層鋼板を用いた多極電磁石の磁場分布計算を行い、測定データとの良い一致を得た。結果について報告する。 |
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WEP071 p.518 | ILCダンピングリング における永久磁石を用いた偏向磁石の設計 Design study of main dipole magnet using permanent magnet for ILC damping ring ○八子 丈生,岩下 芳久,頓宮 拓,片山 領,竹内 佑甫,阿部 賢(京大化研),照沼 信浩(KEK) ○Tomoki Yako, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu, Ryo Katayama, Yusuke Takeuchi, Masashi Abe (Kyoto ICR), Nobuhiro Terunuma (KEK) 国際リニアコライダー(ILC)のTDRではダンピングリングの偏向磁石に電磁石を用いる事になっている。しかし、電磁石では、磁場発生時の電力や冷却水供給などの様々なコストがかかり、また、電源の故障や水漏れなどの事故が発生し維持にもコストが掛かることが知られている。そこで、永久磁石を用いる事により、それらの費用の削減やメンテナンスの費用が抑えられる事が期待される。ダンピングリングでは、エミッタンスを良くするために偏向磁石の磁場がと低く設定されており、永久磁石にフェライトが使用出来る。従って、レアアースを用いた磁石よりも低コストでの製作が可能になる。本発表では、素材の大きさのフェライト永久磁石ブロックを多数用いた設計での磁場シミュレーションを行い、その結果について報告する。 |
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WEP072 p.521 | 磁場強度調整可能な永久磁石型偏向磁石の開発 (2) Development of magnetic field adjustable permanent magnet dipole (2) ○目黒 和幸(岩手県工業技術センター),菊地 晋也((株)サンアイ精機),今 健一(いわて産業振興センター),松本 教之(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuyuki Meguro (IIRI), Shinya Kikuchi (SunAi Inc.), Kenichi Kon (IIPC), Noriyuki Matsumoto (KEK) 次世代加速器において、従来の偏向電磁石に替わり永久磁石を用いた磁気回路の採用が検討されている。永久磁石を用いることで運転時の消費電力が削減されるだけでなく、電源や冷却装置およびそれらのケーブルや配管などの建設コストも削減できるメリットがある。我々は、機械的動作によってネオジム磁石の配列を切り替えることで磁場強度を調整可能な磁気回路を考案した。本発表では、永久磁石型ビーム偏向器のシミュレーションと原理試作品の評価結果について報告する。 |
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WEP073 p.525 | 次世代リング加速器入射キッカー電磁石のための高精度固体パルス電源 High-precision solid state pulse generator for the injection kicker magnet of the next-generation electron storage ring ○秋川 藤志,福岡 翔太,田中 豊,佐藤 和行(日本高周波),稲垣 隆宏(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),近藤 力,高野 史郎,深見 健司(高輝度光科学研究センター/理化学研究所 放射光科学総合研究センター),田中 均(理化学研究所 放射光科学総合研究センター) ○Hisashi Akikawa, Shota Fukuoka, Yutaka Tanaka, Kazuyuki Sato (Nihon Koshuha Co. , Ltd.), Takahiro Inagaki (RIKEN SPring-8 Center), Chikara Kondo, Shiro Takano, Kenji Fukami (JASRI/RIKEN SPring-8 Center), Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 次世代のリング型加速器への電子ビーム入射方法として、ツインキッカー電磁石を用いたoff-axis入射方法が提案されている。このツインキッカー電磁石を駆動するためのパルス電源の試作機を製作したので報告する。 このパルス電源は2台のキッカー電磁石を並列に接続し、正弦波半波の電流を流す電源で、約90nFのコンデンサに最大50kVまで充電し、直列に並べたIGBTによるスイッチングで2.2kAずつの電流を出力する。繰り返しは10Hzである。模擬負荷を用いた通電試験では、2台の磁場の差を±0.1%以下に調整できることが確認できた。また、定格電圧での出力、主コンデンサの電圧回生などが正常に行われることも確認できた。 |
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WEP074 p.529 | 加速器用パルスパワー電源の特性評価と改善 Evaluation and improvement of pulse power supply for accelerator ○Gong Zheng,須貝 太一(長岡技術科学大学),德地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),江 偉華(長岡技術科学大学) ○Zheng Gong, Taichi Sugai (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) In the International Linear Collider (ILC) project, 10 MW Multi-Beam klystron are used as power supply. Multi-Beam klystron specifications are -120kV (±0.5%), 140A, 1.65ms, 5Hz. We use a chopper-type Marx power supply that combines a Marx circuit and a step-down chopper circuit to provide long pulse power. Each Marx cell can provides an output voltage of -1.6kV,4 Marx cells as a unit can provides -6.4kV output voltage, and 20 units as a system can provide -128kV output voltage. However, the use of a chopper will certainly generate a peak voltage, which may cause breakdowns of electronic components. This report studies the effect of the above factors on the output of the power supply by adjusting the capacitance and resistance of the power supply circuit, adjusting the duty cycle, and adjusting the temperature. |
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WEP075 p.531 | 加速器用磁気アシストとMOS-gateサイリスタを用いた電源の開発 Marx Generator Based on MOS-gated switches With Magnetic Assist for Accelerator Applications ○ペレズ フアン,須貝 太一(長岡技術科学大学),徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),江 偉華(長岡技術科学大学) ○Juan Perez, Taichi Sugai (Nagaoka University of Technology), Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) At the Extreme Energy-Density Research Institute in the Nagaoka University of Technology. In recent times semiconductor switches have been considered as possible replacements due to their ease of maintenance and control. In general, it is difficult to achieve the same ratings of a gas switch with a single semiconductor device, so connecting many in series, parallel or a different scheme is often applied. We propose a study to evaluate a Marx topology using MOS-GATED thyristors capable of high current output. The attractive factors of these semiconductors are the low gate current required for turning on and a low resistance during the ON state [1], a four-stage prototype was built, and it achieved a peak output of 1kV and 1kA with a 2μs pulse width. To improve the output voltage and current a ferrite core was implemented as a magnetic switch on every stage, this method has been used before to improve the efficiency of thyristors. However, not combined with circuit topologies like a Marx generator. Adding these magnetic switches increased the efficiency to 89 %( from 70%) and allowed an output of 2.2kV and 2.2 kA without changing the shape of the pulse or the rise time. |
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WEP077 p.534 | ILCダンピングリングにおける永久磁石を用いた補正磁石の設計 Design of correction magnet with permanent magnet for ILC damping ring ○阿部 賢,岩下 芳久,頓宮 拓,片山 領,竹内 佑甫,八子 丈生(京大化研),照沼 信浩(KEK) ○Masashi Abe, Yoshihisa Iwashita, Hiromu Tongu, Ryo Katayama, Yusuke Takeuchi, Tomoki Yako (kyoto ICR), Nobuhiro Terunuma (KEK) 国際リニアコライダー(ILC)のダンピングリングに用いられる電磁石を永久磁石にする話が進められている。永久磁石に置き換えると、コイルを励起するための電力や電源保守費用の削減、冷却水漏れ事故の削減などが見込める。また、ダンピングリングには偏向磁石以外に多数の補正磁石も用いられる。偏向磁石と違い、補正磁石には両極性の磁場を発生させる必要があるが、これは磁石を回転させることにより実現できる。今回は永久磁石を用いた補正磁石の試作機を製作し、磁場測定を行い、その結果とシミュレーションとの評価結果について報告する。 |
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WEP078 | バンプ電磁石電源のトリップ追従システムの改良 The Improvement of forced synchronous trip system of bump magnet power supplies ○柳岡 栄一,岡村 勝也,上窪田 紀彦,木村 琢朗,冨澤 正人,武藤 亮太郎,村杉 茂(KEK) ○Eiichi Yanaoka, Katsuya Okamura, Norihiko Kamikubota, Takuro Kimura, Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Shigeru Murasugi (KEK) J-PARCでは、主リングに3GeVで入射された陽子を30GeVまたは、8GeVまで加速し、遅い取出しをおこなっている。取出しの間バンプ軌道をつくり、ビームロスの低減をしている。バンプ軌道は4台の偏向電磁石によって形成されている。4台の内1台でも電磁石電源が停止すると、バンプ軌道がくずれて、ほとんどの粒子がなくなってしまうような大きなビームロスが、リング全周に発生する。このビームロスによる加速器への損傷を防ぐために、PLCを使い1台の停止を検知して、他の3台の電源を速やかに停止するシステムを開発した。しかし実際にシステムが作動した際に、予測より他の3台の停止に時間がかかりビームロスが発生した。このシステムの信号伝達の遅れについて調査し、それをもとにシステムを改良した。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP080 p.537 | J-PARC 3-50BTのビーム位置モニタによるビームサイズ測定 (2) Beam size measurement with the BPMs in the J-PARC 3-50BT (2) ○外山 毅,久保木 浩功,佐藤 健一郎,手島 昌己(高エ研) ○Takeshi Toyama, Hironori Kuboki, Kenichirou Satou, Masaki Tejima (KEK) 大強度陽子ビーム加速器J-PARC “3-50BT”ビーム輸送路の14台のBPMを使用した非破壊的ビームサイズの測定について、昨年報告した。平行平板4電極を持つビーム位置モニタ(BPM)の信号に関して、ビーム強度、2極モーメント(ノーマル成分<x>、スキュー成分<y>)、4極モーメント(ノーマル成分)を求め、各BPMの設置場所での既知のβ関数、ディスパージョン関数にフィッティングし、水平、垂直ビームエミッタンス、運動量広がりを得た。その後、今年になってから、4極モーメントのビームラインに沿う振る舞いが大きく変わっている。この原因として、“3-50BT”ビーム輸送路の入り口でのTwissパラメータの変化が考えられたため、これらも未知数として解く方法を試みた結果を報告する。 コリメータ部のBPM3台を解析に追加したので、これについても言及する。 |
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WEP081 p.541 | 電子バンチ長評価を目指した放射光による2光子干渉計測システムの構築 Construction of two-photon interferometry measurement system for synchrotron radiation aiming at evaluation of electron bunch length. ○野津 庄平(広島大学),松葉 俊哉(広大放射光),川瀬 啓悟(量研) ○Shohei Notsu (Hiroshima Univ.), Shunya Matsuba (HSRC, Hiroshima Univ.), Keigo Kawase (QST) インコヒーレントなパルス光による2光子干渉は、対称な干渉光学系における2つの経路の同時計数において、入力放射光の時間形状を反映した応答を示すことが東大物性研やKEKにおける先行研究により示されている。本研究では、広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)の蓄積リング中の電子バンチ長を評価することを目指して、2光子干渉計測システムを構築している。干渉計へ入射された放射光は、スプリッターキューブによって2つの光に分けられ、それぞれの経路を通って互いに合流し、2つの検出器に入射する。片方の光路長を変えることで入射してきた光の出力信号から同時計数率の変化を測定し、その値をグラフ化して、理論値と比較、フィッティングをすることにより、電子バンチ長を求めることができる。検出器には光電子増倍管を使用するため、新たに高圧電源を構築するところから始め、干渉計をスプリッターキューブとプリズム、ミラーで作成し、He-Neレーザーを用いた光学系のアライメントを実施している。アライメントが終了次第、HiSORにおいて、放射光による計測を実施する予定である。本発表では、本研究の進捗状況や現在検討している点などについて報告する。 |
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WEP082 p.544 | KEK電子・陽電子入射器タイミングシステム Timing system for the KEK e+/e- Injector Linac ○宮原 房史,梶 裕志,杉村 仁志,片桐 広明,佐藤 政則,諏訪田 剛,周 翔宇,張 叡,古川 和朗,松本 利広,三浦 孝子,吉田 光宏(高エネ研),草野 史郎,工藤 拓弥,熊野 宏樹(三菱電機システムサービス),大房 拓也,早乙女 秀樹(関東情報) ○Fusashi Miyahara, Hiroshi Kaji, Hitoshi Sugimura, Hiroaki Katagiri, Masanori Satoh, Tsuyoshi Suwada, Xiangyu Zhou, Rui Zhang, Kazuro Furukawa, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Shiro Kusano, Takuya Kudou, Hiroki Kumano (MELSC), Takuya Oofusa, Hideki Saotome (KIS) KEK電子・陽電子入射器は異なる5つのリング SuperKEKB HER, Positron Damping Ring, SuperKEKB LER, PF, PF-AR にビームを入射しており、繰り返し 50 Hzで任意のリングへ入射が可能である。イベントシステムはビームモード(リング)に対応したタイミング信号と同時にビームモードと複数のパラメータを配信している。リングごとにビーム電荷量や入射エネルギーが異なるためビーム位置モニタのアッテネータ値やパルス四極、偏向電磁石の電流値等をビームモードに対応して設定している。入射器ではHER/LERに同期したRF信号を基本周波数に用いており、イベントシステムは114.2 MHzを使用している。パルス電磁石電源トリガーとビームのタイミングは0.1%の電流精度を確保するためにイベントシステムのクロックで一定である必要がある。PF, PF-AR は入射器と独立のRFであるため、入射器と同期がとれたタイミングでビームを入射する必要があり、測定したリングと入射器の周波数をもとにパルス電源のトリガーから 3 ms後に再同期するタイミングを計算してパルス電源とビーム出射のトリガーを生成している。タイミング精度が必要な熱電子銃、RF電子銃のトリガーはRFと再同期をとっている。入射器タイミングシステムと周波数の異なるリングへの同時入射について報告する。 |
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WEP083 p.549 | 0.4 - 3 GeV領域の陽子の弾き出し断面積測定 Measurement of displacement cross-section of proton for 0.4 - 3 GeV ○明午 伸一郎,松田 洋樹,岩元 洋介(J-PARC/JAEA),吉田 誠(J-PARC/KEK),長谷川 勝一,中本 建志(J-PARC/JAEA),牧村 俊助(J-PARC/KEK),前川 藤夫,岩元 大樹(J-PARC/JAEA),石田 卓(J-PARC/KEK) ○Shin-chiro Meigo, Hiroki Matsuda, Yosuke Iwamoto (J-PARC/JAEA), Makoto Yoshida (J-PARC/KEK), Shouichi Hasegawa, Tatsushi Nakamoto (J-PARC/JAEA), Shunsuke Makimura (J-PARC/KEK), Fujio Maekawa, Hiroki Iwamoto (J-PARC/JAEA), Taku Ishida (J-PARC/KEK) 大強度陽子加速器において標的及びモニタ等の構造材の損傷評価は重要となり、この評価には弾き出し断面積に粒子束を乗じた原子あたりの弾き出し(Displacement per Atom: DPA)が一般的に用いられる。弾き出し断面積には、一般的にNorgett等が提唱したNRTモデルが用いられるものの、実験データが全くないため、NRTモデルの検証・評価が行われていない。J-PARCセンターの3 GeV陽子加速器(RCS)を用い、極低温に冷却した試料に陽子ビームを入射し、試料の抵抗率変化により弾き出し断面積を測定した。試料中の損傷を維持するためには、極低温(20 K以下)に冷却する必要があるためGM冷凍機を用いた。照射に伴う試料の抵抗率増加を、試料に入射する平均陽子束と損傷当たりの抵抗率増加で除することにより、弾き出し断面積を得た。試料中に損傷が生成に伴う抵抗率増加は既知であり、高精度に校正されたビームモニタによる入射陽子平均束により弾き出し断面積を得ることができる。実験の結果、測定で得られた銅の断面積は3 GeV陽子に対し1070 bとなり、3 GeV陽子の断面積の取得に世界で初めて成功した。本実験結果と計算の比較の結果、NRTモデルは実験を4倍程度過大評価し、これまでの材料損傷評価では4倍過大評価していたことが判明した。Nordlund等により新しい損傷モデルが今年発表され、このモデルを用いて断面積を計算したところ、Nordlund等のモデルは実験をよく再現することがわかった。 |
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WEP084 p.554 | SuperKEKB Phase-IIでのダンピングリングビームモニターシステムの運転 BEAM INSTRUMENTATIONS OF POSITRON DAMPING RING AT SuperKEKB PHASE-II OPERATION. ○池田 仁美,有永 三洋,石井 仁,岩渕 周平,手島 昌己,飛山 真理,福間 均,フラナガン ジョン,森 健児(KEK) ○Hitomi Ikeda, Mittsuhiro Arinaga, Hitoshi Ishii, Syuhei Iwabuchi, Masaki Tejima, Makoto Tobiyama, Hitoshi Fukuma, John Flanagan, Kenji Mori (KEK) KEKでは,2018 年3月から7月にかけて,SuperKEKB Phase-II運転を行った.新しく建設した陽電子ダンピングリングのコミッショニングは,メインリングの運転に先立ち同年2月に始めた.ダンピングリングには,メインリングと同様にビーム位置モニター(BPM),放射光モニター(SRM),ロスモニター(LM),電流モニター(DCCT),バンチフィードバックシステム(FB)等のモニターシステムがあり,それぞれ順調に働いた.本報告では,ダンピングリングモニターシステムの全貌と運転状況を紹介する. |
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WEP086 p.558 | J-PARC主リングのリップル補正磁石磁場と遅い取り出しスピル間の伝達関数検討 A consideration on the transfer function between RQ field and slow extraction spill in the main ring of J-PARC ○岡村 勝也,武藤 亮太郎,木村 琢郎,新垣 良次,村杉 茂,白壁 義久,柳岡 栄一,冨澤 正人(高エネ研) ○Katsuya Okamura, Ryotaro Muto, Kimura Takuro, Yoshitugu Arakaki, Shigeru Murasugi, Yoshihisa Shirakabe, Eiichi Yanaoka, Masahito Tomizawa (KEK) J-PARC主リングの遅い取り出しシステムでは3 次共鳴を利用した遅い取り出し (SX)によって、素粒子・原子核実験施設へ供給される。取り出しビームは理想的には平坦な台形波であるべきだが、現実的には主として主電磁石のリップルに起因するチューンの時間変動によって取り出しビームの時間構造(スピル)は大きな時間構造を持つ。これを改善するために取り出されたビーム強度信号をもとにフィードバックを行うQ電磁石(RQ)が設置されDSPを用いて制御されている。DSPは観測されたスピルと目標値を比較し、PID制御ブロックを介してRQ電磁石の電流制御を行う。これまでPIDの制御定数は実験的に最適化されてきたが、もしもRQ電磁石の電流とスピルの間の伝達関数が知られたなら机上の計算からも最適な制御定数を得られる可能性がある。今回はRQ電磁石をサイン波で駆動し、スピルの振幅、位相特性について検討した結果について報告する。 |
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WEP087 p.562 | 一様スピルを得るための広帯域RFKOシステム用APNの試作 Development of the prototype all pass network for radio frequency knockout system with a broadband to obtain a uniform spill ○山口 輝人,西原 亮輔,加藤 久暁,小林 大二朗,塩川 智也,中西 哲也(日大生産工) ○Teruto Yamaguchi, Ryosuke Nishihara, Hisaaki Kato, Daijiro Kobayashi, Tomoya Shiokawa, Tetsuya Nakanishi (College of Industrial Technology, Nihon University) 重粒子線がん治療装置に用いられるシンクロトロントロンからのビーム取り出しにおいてRadio Frequency Knock Out(RFKO)法が用いられる。従来のRFKO装置では数10kHzの狭い帯域幅の高周波電界を使用する。しかし、共鳴周波数帯を複数含む広い周波数帯の高周波電界を用いることにより、出射ビーム強度が一様になることをビームシミュレーションで示した。本研究では、この方式を実現するために、広帯域のRFKO装置の開発を行った。RFKO装置はImpedance Transformer(IT)とAll Pass Network(APN)で構成され、本研究では広帯域APNの試作を行った。APNを構成する素子は、抵抗,コイル,コンデンサである。この中でコイルは実際のビーム照射を考慮しスペックを決定し、製作した。それらの素子を用いて試作したAPNの周波数特性の測定結果を報告する。また、使用する周波数が広帯域であるため、各バンドに位相差が生じる。この位相差がビーム強度に与える影響をシミュレーションにより検討したので、それについて報告する。 |
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WEP088 p.566 | スリット-ハープ装置による4次元エミッタンス評価の試験 Preliminary results of four-dimensional emittance estimation using slit-harp device ○柏木 啓次,宮脇 信正,倉島 俊(量研 高崎) ○Hirotsug Kashiwagi, Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima (QST Takasaki) TIARA AVFサイクロトロンでは、材料・バイオ研究等のために様々な軽・重イオンビームを頻繁に切り替えて提供している。このビーム切り替えに伴うビーム入射調整を効率的に行うため、入射ビームのエミッタンスとサイクロトロンのアクセプタンスの計測に基づいた入射調整方法を開発している。入射ビームラインのエミッタンス測定は主に比較的高速で測定できるスリット-ハープ装置で行っているが、測定されるエミッタンスは水平・鉛直方向それぞれの2次元エミッタンスである。ソレノイド電磁石を含む入射ビームラインにおけるビーム制御を行うためにはビームの4次元エミッタンスの情報が必要である。そこで、水平・鉛直各エミッタンス測定用のスリットおよびハープを組み合わせたエミッタンス測定を基に4次元エミッタンス情報を得る方法を開発している。本発表では本方法の試験結果について報告する |
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WEP089 p.569 | J-PARC MRフォトダイオードビームロスモニタのガンマ線を用いた耐放射線性試験 Gamma ray irradiation test of photo-diode based beam loss monitor for J-PARC MR ○佐藤 健一郎(J-PARCセンター/高エネ研) ○Kenichirou Satou (J-PARC/KEK) J-PARC MRではバンチ振動によるビームロスを精度よく測定するために、フォトダイオード(PD)を用いたビームロスモニタ(BLM)を開発している。ビームロス起因の放射線が増幅回路等電子機器に影響を与えることが知られているために、J-PARCでは誤動作を避けるために、できる限り信号増幅回路等の電子機器は加速器トンネル内に設置していない。しかし本モニタにあっては高速動作を実現するために、回路基板にPDとともに信号増幅用のアンプ回路を実装した。回路には放射線に比較的耐性があるとされる高hFEバイポーラジャンクショントランジスタで電流増幅回路を構成し、PDからの微弱電流を増幅している。また、バイアス電圧は地上階の制御室から供給できるように設計した。1本の同軸ケーブルでバイアス供給と信号伝送を同時に行えるため、簡便に設置が可能である。 放射線によるTotal dose効果を評価するためにQST高崎研のコバルト60ガンマ線照射施設を利用して照射実験を実施した。試験では増幅回路に利用したトランジスタ素子、電圧レギュレータおよび検出素子であるPDを照射し、使用環境下での回路寿命を評価した。 発表では開発した装置の紹介と照射実験の結果を報告する。 |
加速器制御 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP090 p.574 | MTCAにおけるPCIe DMAと40GbEを組み合わせた高速大容量データ伝送 High-bandwidth Data Handling using PCIe DMA and 40-GbE with MTCA ○漁師 雅次,岩城 孝志,越智 圭一,林 和孝,張替 豊旗,平田 雄一,山崎 伸一(三菱電機特機システム株式会社) ○Masatsugu Ryoshi, Takashi Iwaki, Keiichi Ochi, Kazutaka Hayashi, Toyoki Harigae, Yuichi Hirata, Shinichi Yamazaki (Mitsubishi Electric TOKKI Systems) 加速器の運転では多種多様なセンサ情報を利用されている。現在は伝送路の帯域幅に合わせて間引いたり判定された結果だったりを共有している。そのため、イベントに対してどのデータが関係しているか判断することが難しく、分析に時間がかかっている。近年利用されているIoT(Internet of Things)をはじめ複数のセンサからのデータを集め統合して処理したり、生データのまま伝送し、高度な処理をしたりできるコンピュータ環境が比較的手軽に利用できるようになってきた。我々は、LLRF・BPM・画像収集で使ってきたMTCA(Micro Telecommunications Computing Architecture)のバックプレーン上の高速シリアル伝送経路を活用してデータ収集システムを構築し性能評価を行った。 |
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WEP091 p.578 | KEK電子陽電子入射器における安全管理システムの改良と現状 Improvement and modification of safety management system in KEK electron positron injector linac ○佐武 いつか,白川 明広,峠 暢一,本間 博幸(高エネルギー加速器研究機構) ○Itsuka Satake, Akihiro Shirakawa, Nobukazu Toge, Hiroyuki Honma (KEK) KEK電子陽電子入射器では2010年夏以降、上流側でのビームスタディと並行して下流側でのビーム運転を可能にするため、上下流をコンクリートの壁で分割していた。2017年SuperKEKB計画のPhaseIIでは、低エミッタンスビーム実現のため、陽電子ダンピングリングが稼働する。このダンピングリングと入射器の合流部構築のため、再び上下流を統合した。この統合に伴い、安全管理システムの改変および改良を行った。トンネル内のコンクリート壁と扉、その関連機器、下流側パーソナルキーシステムを撤去し、上下流のパーソナルキーシステムを統合した。また、上流と下流で運用していたトンネル内の非常停止ボタンや回転灯の配線を統合した。ダンピングリングの導入に伴って、インターロック信号線の増設および既存インターロック信号線を整理した。SuperKEKBの電子リング入射のためのRF-gunとの信号線を安全管理システムに取り込んだ。安全管理システムの改変に伴って、制御卓の運転操作パネルを改造し、インターロック表示PC画面を更新した。2階建て電子銃における、ステータスの読み出し信号の変更を行い、ノイズによるステータス読み出しの誤信号を防ぎ、安全管理システムでの電子銃のモード切り替えを改良した。本発表では、安全管理システム統合の詳細について報告する。 |
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WEP092 p.583 | SACLA複数ビームラインの独立運転制御のための運転インターロックシステム改良 Improvement of operation-interlock system for independent operation of multiple beam-lines in SACLA ○松原 伸一(高輝度光科学研究センター),黒木 教平,北村 全伸(日立造船株式会社),尾藤 竹志(アイエムティー株式会社),前坂 比呂和,大竹 雄次(理化学研究所放射光科学総合研究センター) ○Shinichi Matsubara (JASRI), Kazutoshi Kurogi, Masanobu Kitamura (Hitz), Takeshi Bito (IMT), Hirokazu Maesaka, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center) X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAでは、8GeVの加速器で加速された60Hzの電子ビームを複数のビームラインへショット毎に振り分け、XFELの利用機会を増やす高速振り分け運転が行われている。また、振り分け先の1つとして、SPring-8の蓄積リングへ高品位の電子ビームを入射する計画が進んでいる。当初の高速振り分け運転では、あるビームラインにおいてビーム損失異常や電磁石の励磁異常などのインターロックが発報した際に、全ての振り分け先への電子ビームの出射が停止されていた。しかし、高速振り分けによる複数ビームラインの同時利用が定常的になり、ビームライン毎に別のユーザー実験が行われるようになった現在では、インターロック対象でないビームラインの運転を妨げないインターロックシステムが求められた。そこで、複数のビームラインを独立に管理し、異常の発生したビームルートへ入射されるビームだけを停止させるインターロックシステムを構築した。本改良により、あるビームルートのエネルギーを変更する時や加速器パラメータの調整を行う際に、その他のビームルートにおいて運転を中断する必要は無くなり、XFELの利用が継続できることになった。また、あるビームルートでインターロックが発報した際も、その他のビームルートの運転は継続され、運転の中断時間を減らすことができた。 |
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WEP093 p.587 | J-PARC MR向け低速digitizer(1-10 kS/s x 数秒)の開発 Development of slow-sampling digitizer for J-PARC MR ○上窪田 紀彦(高エネ研),飯塚 上夫(関東情報サービス),下川 哲司(高エネ研),吉田 奨(関東情報サービス) ○Norihiko Kamikubota (KEK/J-PARC), Takao Iitsuka (KIS), Tetsushi Shimogawa (KEK/J-PARC), Susumu Yoshida (KIS) J-PARC MRは、2.48s(FX mode, Neutrino向け)または5.20s(SX mode, Hadron向け)の周期で運転するSlow-cycle machineである。1サイクル内の入射-加速-出射もまた秒単位になる。 電源の動作確認には、低速digitizer(1-10kS/s x 数秒)で信号が確認できれば十分であるが、秒単位のdigitizerは商用製品が少ない。J-PARC MRでは横河FA-M3 PLCが標準的なI/O platformであるため、PLC moduleで低速digitizerとなりえるものが欲しい。 高速データ収集モジュール F3HA06は、{16bit, 6ch, 200kS/s}仕様で設計された市販品である。本来低速digitizerではないが、a) samplingを敢えて遅くし(200k->1~10k)、b) HA06->CPUの繰り返しデータ転送と処理、を工夫することで、J-PARC MR向けの低速digitizerとして動作させることに成功した。また、現場の信号配線取り合いのためのモジュールを開発し、現場実装に役立てている。 実装の詳細(Software, Hardware両面)や実用例について報告する。 |
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WEP094 p.590 | 若狭湾エネルギー研究センターシンクロトロンにおけるビーム出射制御系の開発 Development of a beam extraction control system for the synchrotron at the Wakasa Wan Energy Research Center ○栗田 哲郎((公財)若狭湾エネルギー研究センター) ○Tetsuro Kurita (The Wakasa Wan Energy Research Center) 若狭湾エネルギー研究センター加速器施設(W-MAST)は、タンデム加速器および、それを入射器としたシンクロトロンによって、広範囲のエネルギーのイオンビーム(陽子 : 数MeV-200MeV; He, C : 数 MeV- 55MeV/u)を様々な実験に供給している。シンクロトロンからのビームは、帯域ノイズを用いたRFキッカーによる遅い取り出しを行っている。 従来の出射制御系のWindows NT 4が動作するPCを用いており、修理対応ができない状況にあったため、更新が必要であった。RFキッカーの帯域ノイズおよびゲインはISAバスで動作するカスタムなDAボードが用いられており、新しいPCに移植することが困難であった。そのため、PCにUSB接続できる関数発生器やIOモジュールの汎用品を用いてこれらの制御系を更新した。 また、出射電流の時間構造を改善するため、DSPを用いてフィードバック制御の改良に取り組んでいる。 ビーム出射制御系の整備状況を報告する。 |
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WEP095 p.593 | PF及びcERLにおける機器監視システムの開発 Development of equipment monitoring system for PF and cERL ○亀田 吉郎(東日技研),帯名 崇(高エネ研) ○Yoshiro Kameta (e-JAPAN IT Co., Ltd.), Takashi Obina (KEK) 加速器を安全かつ円滑に制御するには、様々な機器を遠隔監視して異常発生時に通知することが重要である。加速器を構成する多種多様なハードウェアを監視することの他にもソフトウェアが正常に動作しているかどうかを確認することも必要な項目である。計算機のハードウェア情報に関しては一般的な監視ソフトウェアでsnmpやagentによる情報の取得は比較的容易である。しかし、ソフトウェア面では“入出力コントローラー(IOC)が正常に動作しているか”や“設定値とモニタ値の差分を監視する”といった事象を監視するには判別する条件が対象によって異なるため個別に対応することが必要となり、一般のソフトウェアでは困難である。そこで本件ではホスト監視、IOC監視、差分監視、プロセス監視といった監視システムを開発した。また、利便性を高めるため既存のEPICS CSS Alarmと連携し、異常時はメールによる通知が可能なシステムとした。 各監視機能は独立して動作しCSS Alarmやメール通知機能と連携する。また、アラームを発報する条件を個別に定義することが可能にしている。これらの条件は運転状態や機器の状態によって変わるため容易に変更や追加が可能なようにしており、監視状態もWeb経由で見ることができるようにしている。また、他の加速器制御システムにも容易に移植できるようにした。 本発表ではシステムに関する詳細及び運用状況、今後の課題について報告する。 |
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WEP096 p.597 | RIBF制御系におけるサーバ・インフラストラクチャの現状 Current status of server infrastructure for RIBF control system ○内山 暁仁,込山 美咲(理研仁科センター) ○Akito Uchiyama, Misaki Komiyama (RIKEN Nishina Center) RIBF制御系は主にEPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)を用いた分散制御システムで構築されている。2008年よりEPICS IOC (Input/Output Controller)で利用されるNFSといった重要なサービスの予期せぬ停止を防ぐ目的でオープンソースを用いた高可用性システムが運用されていた。また高可用性だけでなくサーバリソースの運用効率の向上を実現させるため、共有ストレージにNetApp FAS2240、サーバ仮想化のプラットフォームにVMware vSphere 5.1を採用したシステムを2013年より運用開始し、現在までほぼ100%の可用性を実現している。一方、上記物理サーバの耐用年数が経過した事を背景に、新しいシステムへの置き換えが現在進められている。新たなシステムではVMware vSphere 6.5をベースに共有ディスクにはNetApp FAS2620を採用している。また死活監視だけでなくプロトコルレベルでネットワーク上のトラフィックを監視可能にさせるツールの導入も行った。本発表ではRIBF制御系で新たに置き換えたサーバシステムの詳細、ゲストOSのバックアップ方法やそれに伴うネットワーク設計と監視手法について報告する。 |
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WEP097 p.601 | J-PARCハドロンビームライン用データアーカイブシステムの開発(3) Development of data archive system for J-PARC hadron beamline(3) ○豊田 晃久,青木 和也,上利 恵三,秋山 裕信,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,里 嘉典,澤田 真也,白壁 義久,高橋 仁,田中 万博,広瀬 恵理奈,皆川 道文,森野 雄平,山野井 豊,渡辺 丈晃(KEK) ○Akihisa Toyoda, Kazuya Aoki, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Masaharu Ieiri, Yohji Kato, Ruri Kuarasaki, Yoshinori Sato, Shinya Sawada, Yoshihisa Shirakabe, Hitoshi Takahashi, Kazuhiro Tanaka, Erina Hirose, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Yutaka Yamanoi, Hiroaki Watanabe (KEK) J-PARCハドロンビームラインのデータアーカイブシステムとしては、2009年の運転開始以来Channel Archiverを、2016年頃からはRDB Channel Archiverを採用してきた。だがChannel ArchiverはもとよりRDB Channel Archiverも現在メンテナンスされていないため、次期システムへの移行が必要になっている。今回は新規システムとしてArchiver Applianceを試験採用し、その性能比較および将来の展望について発表する。 |
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WEP098 p.604 | SPring-8加速器制御系VMEbus計算機の64-bit OS環境への移行について Migration experience of VMEbus computers to 64-bit OS environment in the SPring-8 accelerator control system ○増田 剛正(高輝度光科学研究センター) ○Takemasa Masuda (JASRI) SPring-8加速器制御系では機器制御のフロントエンド計算機としてVMEbus計算機をSolaris OSと共に用いている。VME CPUボードにマルチコアCPUを導入した2013年以来、CPU負荷が上昇して十数秒間にわたって動作プロセスがフリーズする問題が周期的に発生していた。この問題を解決するための未来志向なアプローチとして64-bit OS環境への移行を行った。64-bit OS環境への移行に不可避なのがデバイスドライバの64-bit対応である。ここでは14種類のデバイスドライバを64-bit化し、実際に40台程度のVME計算機を64-bit OSへ移行した。移行に掛かるコストを抑えるために採用したアプローチやその評価、移行を実施した経験を通して得られた知見について報告し、併せて今後のデバイスドライバのあり方について考察する。 |
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WEP099 p.609 | J-PARC MR-MPSを用いた即時アボートシステムの開発 Development of a ms-abort System via J-PARC MR-MPS ○木村 琢郎,上窪田 紀彦,佐藤 健一,山田 秀衛,石井 恒次,芝田 達伸,杉本 拓也(KEK/J-PARC Center) ○Takuro Kimura, Norihiko Kamikubota, Kenichi Sato, Shuei Yamada, Koji Ishii, Tatsunobu Shibata, Takuya Sugimoto (KEK/J-PARC Center) J-PARC Main Ring (MR) では2008年の運転開始からMR-MPSを用いて各機器のインターロック(ILK)信号を集約することで、異常発生時に加速器の運転を停止しビームを適切に処理することで、加速器及び実験施設の安全を担保している。またJ-PARCのMPS及びMR-MPSはILKを発報した機器によりALL stop、MLF inhibit、MR inhibitと3種類のビーム停止処理を使い分けることで加速器の稼働率を最大限にいかせるように処理を行っている。さらに、MRでは不適切なビームを実験施設へ取り出さないようにビームアボートを行うシステムが用いられている。MR-MPSでは、運用開始当初から導入されているスケジュールされたタイミングでのビームアボートに加え、MRの運転モードの一つである遅い取り出し(SX)での実験施設へのビーム取り出しの停止を行うSX-abortを2015年から運用している。本発表ではさらに2017年より運用を開始した速い取り出し(FX)での即時アボート(msec-abort)システムについて、MR-MPSでのILK信号の処理、msec-abortを行う際の各機器へのトリガー信号の管理などの信号処理に加え、ビーム運転でmsec-abort導入の効果について発表を行う。 |
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WEP101 p.613 | J-PARC加速器制御LANから所内LANへのリアルタイムかつ詳細な加速器運転情報の提供 Real-time and Detailed Provision of Accelerator Operation Informain from the J-PARC Accelerator Control LAN to the J-PARC Office LAN ○山田 秀衛(KEK / J-PARC) ○Shuei Yamada (KEK / J-PARC) J-PARC Main Ring加速器(MR)の制御システムはEPICSを用いて構築されている。2008年にMRのビーム運転を開始して以来この10年間で、MRの高度化が進みより安定した加速器の運転が求められるようになった。これに伴って、加速器の運転に関する様々な機器の情報を所内LANからも詳細かつリアルタイムに取得したい、という要望が機器担当者やユーザーから挙がるよ うにようになってきた。その一方で、意図的であるにせよないにせよ、加速器制御LAN内にある加速器の制御機器を所内LANから操作することは禁止したい。所内LANから加速器制御LANへの影響を緩衝しつつ、制御LANから所内LANへとEPICSを用いて情報を中継するゲートウェイシステムを構築したので報告する。 |
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WEP102 p.617 | Webベース電子ログ及び画像ログシステムの開発 Development of web base electronic log and picture log system. ○路川 徹也(東日技研),帯名 崇(高エネルギー加速器研究機構) ○Tetsuya Michikawa (e-JAPAN IT Co., Ltd.), Takashi Obina (KEK) 従来、加速器の運転や実験を行う際には実験ノート等の紙媒体に記述することが一般的であった。しかし、多くの人員が係わる実験では、情報のリアルタイム性や共有性という面では劣っていたのも事実である。そのため、近年はそれらの問題を解決するために、Web技術を利用した電子ログシステムが使われるようになってきている。以前からKEK内でも、KEKBやLinacでそれぞれ独自の電子ログシステムを運用しており、PFでもKEKBのシステムを利用してきた。しかし、KEKBの電子ログシステムはKEKBのサーバー上にあり、KEKBのネットワークに問題が発生すると、使用できなくなる問題が生じていた。また、古いシステムに依存している部分が多く、別のサーバーへの移植は難しかった。これらの問題を解決するため、外部プログラムへの依存関係が少なくインストールが容易な電子ログシステムを開発した。これは電子ログシステム(botlog)と画像保存システム(PrintAnyServer)の2システムで構築しており、連携することも個別に運用することもできる。botlogは通常のWeb電子ログで必要な機能を実装するとともに、EPICSレコードと連動した自動ログ登録も可能となっている。また、PrintAnyServerはWebブラウザから画像登録できるように実装しているためクライアントOSに依存しない運用が可能となっている。本件では設計指針を述べた後にプログラムの詳細について発表するとともに今後の課題について発表する。 |
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WEP103 | SuperKEKB制御システムへのPythonの応用 Application of Python to the SuperKEKB control system ○中村 達郎(高エネ研) ○Tatsuro Nakamura (KEK) Pythonは学習が容易で可読性に優れた汎用のスクリプト言語で、高度なデータ構造やオブジェクト指向プログラミングをサポートし、豊富なライブラリと相まって多くの利用者が居る。KEKにおいて加速器制御システムにPythonが使われて来た歴史は古く、KEKB加速器の初期まで遡る。KEKB加速器では、EPICSのChannel Access (CA)インターフェースとTkinterを用いて、制御用の操作画面(GUI)を作成する用途が主であった。SuperKEKBでも依然GUIプログラミングは重要であるが、それ以外の応用にも広がりを見せている。特にデータベースとのインターフェースや、機器情報、設定情報、ファイル情報の管理やデータ処理に有用である。また、加速器制御でよく使われるプログラミングのパターンを分析し、適切なライブラリを開発することで、効率の良いプログラム作成をサポートできる。本発表では、いくつかの応用や新しい利用法の試みを紹介し、その可能性について議論したい。 |
LLRF (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP104 p.622 | I/Qフィードバック制御における大電流ビーム負荷での空洞離調に対する位相補償機能 Phase compensation function for cavity detuning due to heavy beam loading in I/Q-feedback control ○小林 鉄也,赤井 和憲,中西 功太,西脇 みちる(高エネ研),林 和孝,水野 隼一(三菱電機特機システム),廣澤 航輝(総研大) ○Tetsuya Kobayashi, Kazunori Akai, Kota Nakanishi, Michiru Nishiwaki (KEK), Kazutaka Hayashi, Jun-ichi Mizuno (MELOS), Kouki Hirosawa (SOKENDAI) KEKB加速器の40倍のルミノシティを目指すSuperKEKB加速器では、新たにデジタル低電力高周波(LLRF)制御システムが開発され、従来の制御システムの一部が新システムに置き換えられた。これらは期待通り動作し、2016年のPhase-1コミッショニングの成功(約1Aのビーム蓄積と真空焼き)に大きく貢献した。今後更に大きな蓄積ビーム電流と低エミッタンス化が必要となる。今後LLRF制御において、大電流ビーム蓄積で懸念される事の一つが、大きな空洞離調である。ビーム励起によるリアクティブ成分を補償するため空洞の共振周波数を(電子ビームの場合)RF周波数より小さくする必要があるが、デザイン電流(3.6A)において必要な空洞離調度はRF位相にして約70度相当に達する。90度が共振器の最大位相変化であることを考えると70度は非常に大きい。一方、新しいデジタルLLRF制御システムではI/Q成分によるフィードバック(FB)制御を行なっているため、大きな空洞離調(位相変化)がビーム励起とは別に不安定を起こす可能性が懸念されている。そのため、蓄積ビーム電流(空洞離調)増加に応じてI/Q制御での位相を補償する機能を本システム(FPGA)に組み込んだ。本発表では、大電流ビーム加速における空洞離調度がI/Qフィードバック制御に与える影響を考察する。また、今回新たに組み込んだ位相補償機能についてPhase-2コミッショニングにて動作試験を行なった結果を報告する。 |
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WEP105 p.628 | SuperKEKBにおける縦方向結合バンチ不安定性に対する新RFフィードバックの効果検証 Verification of New RF Feedback for Longitudinal Coupled-Bunch Instability in SuperKEKB ○廣澤 航輝(総研大),赤井 和憲,絵面 栄二,小林 鉄也,中西 功太,吉本 伸一(高エネ研) ○Kouki Hirosawa (SOKENDAI), Kazunori Akai, Eizi Ezura, Tetsuya Kobayashi, Kota Nakanishi, Shin-ichi Yoshimoto (KEK) SuperKEKBは未踏のルミノシティを、ナノビーム方式と大電流の二つの武器によ って達成せんと開発されたエネルギー非対称電子陽電子衝突器である。加速器にとって大電流化とはハードウェアに対する様々な負荷やビームの不安定性を引き 起こすため非常に挑戦的であり、それらの対策がもっとも重要な課題の一つである。SuperKEKBのデザイン電流である2.6A(electron) / 3.6A(positron)においても、さまざまな問題が発生することが計算によって示されている。そのうち、縦方向結合バンチ不安定性に関しては、加速空洞のデチューン量が大きくなること によって、一部モードのGrowth Rateが著しく増大する。従来は無視出来ていた モードの不安定性が深刻化するため、これらを抑制することが目標ルミノシティ の達成には不可欠となってくる。本研究で、SuperKEKBで新たに生じる結合バンチ不安定性の高次モードをを抑制するためのダンパーを開発した。本発表では、 Phase-2試運転において実際のビームを用いて新ダンパーを評価した結果を報告する。 |
レーザー (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP107 | 非相対論的エネルギー領域における電子の共振器型レーザー駆動誘電体加速の数値解析 Numerical study of resonant dielectric laser acceleration of nonrelativistic electrons ○陳 昭福(東大),小山 和義(高エネ研),上坂 充(東大),吉田 光宏(高エネ研) ○Zhaofu Chen (Tokyo University), Kazuyoshi Koyama (KEK), Mitsuru Uesaka (Tokyo University), Mitsuhiro Yoshida (KEK) Dielectric laser accelerators (DLAs) have attracted more interest in recent years due to its potential to enable a compact electron source. We show that by making use of the high reflectivity of the subwavelength gratings in a dual-grating structure to form a Fabry-Perot cavity, the synchronous mode between the gratings can be greatly enhanced for dielectric laser acceleration of subrelativistic electrons. We demonstrate the quasi-symmetry of the accelerating mode that is desirable for a variety of applications. The dependence of reflectivity and phase on the grating dimensions is utilized to control the cavity performance including the Q factor and filling time. The design can significantly reduce the input laser power and may enable a compact on-chip accelerator. |
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WEP108 | レーザー駆動重イオン加速に向けたCWレーザーを用いた薄膜標的の表面洗浄・改質 CW laser surface cleaning and modification of thin film targets for laser-driven heavy ion acceleration ○近藤 康太郎,西内 満美子,榊 泰直,Dover Nicholas,桐山 博光(量研・関西研),橋田 昌樹(京大・化研),草場 光博(大産大・工),神門 正城,近藤 公伯(量研・関西研) ○Kotaro Kondo, Mamiko Nishiuchi, Hironao Sakaki, Nicholas Dover, Hiromitsu Kiriyama (QST, KPSI), Masaki Hashida (Kyoto Univ., ICR), Mitsuhiro Kusaba (OSU, Faculty of Engineering), Masaki Kando, Kiminori Kondo (QST, KPSI) マイクロメートル程度ないしはそれ以下の厚みをもつ薄膜標的にPW級のハイパワーレーザーをマイクロメートル程度に集光することで,非常に強度の高い電磁場が発生するとともに,10 MeV/uを超える重イオンが発生する.このレーザー駆動重イオン加速は物理学的にもまた応用的な観点からも興味深い現象である.一方で,特段の工夫がない限り存在する薄膜標的表面に付着した水素等が標的主成分の重イオンより先立って加速され,重イオンの加速効率の低下を引き起こしていた.そこで,我々は小型のCW半導体励起固体レーザーを用いた薄膜標的の表面洗浄・改質の研究開発を進めている.本発表では,CWレーザーによるチタン薄膜およびポリイミド薄膜の表面洗浄・改質の現状について報告する. |
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WEP109 p.633 | レーザーコンプトン散乱のクラブ衝突化 Introducing crab crossing to laser-Compton scattering ○小柴 裕也,太田 昇吾,森田 遼介,坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工研),東口 武史(宇大),浦川 順治(高エ研) ○Yuya Koshiba, Shogo Ota, Ryosuke Morita, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE, Waseda Univ.), Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya Univ.), Junji Urakawa (KEK) 実験室サイズのX線源としてはX線管が一般的であるが、それを超える小型高輝度X線源としては原子準位レーザー、高次高調波発生(HHG)、レーザー生成プラズマ(LPP)などが候補である。加速器電子ビームを用いたものとしてはレーザーコンプトン散乱がある。大型放射光施設と比較するとビームエネルギーが数10MeVで済むことから小型線形加速器で構築できるのが大きな特徴である。電子ビームとレーザーの衝突でX線を発生させるため、レーザーコンプトンX線の高強度化には電子ビーム、レーザー双方の高輝度化が必要となってくる。そのため衝突用レーザーとしては光蓄積共振器を組み、短パルスレーザーを何度もサイクリックに利用することが主流であり、効率的である。しかし光蓄積共振器を加速器と組み合わせる場合、高強度化にとって有利な正面衝突が妨げられてしまうという問題が発生する。正面衝突を実現したとしても散乱光が共振器ミラーとオーバーラップするため散乱光プロファイルやミラーに悪影響を及ぼすことは不可避である。そこで本研究では偏向空胴によって傾き付与電子ビームを使用する。このような衝突方式をクラブ衝突と呼ぶ。電子ビームとレーザーをクラブ衝突させることによって擬似的な正面衝突を実現し、ルミノシティを増大させることで散乱X線の高強度化を実現する。本年会ではクラブ衝突レーザーコンプトン散乱の実証実験の現状と今後の展望について報告する。 |
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WEP110 p.637 | 電気光学効果を用いたレーザー加速電子のパルス長・タイミングの計測 Pulse duration and timing measurement of laser accelerated electron beams with electro-optical effects ○神門 正城,黄 開,エシルケポフ ティムール,コーガ ジェームズ,小瀧 秀行,森 道昭,林 由紀雄,中新 信彦(量研関西研),ブラノフ セルゲイ(量研関西研/ELI Beamlines) ○Masaki Kando, Kai Huang, Timur Zh. Esirkepov, James K. Koga, Hideyuki Kotaki, Michiaki Mori, Yukio Hayashi, Nobuhiko Nakanii (KPSI, QST), Sergei V. Bulanov (KPSI, QST/ELI-Beamlines) 電気光学効果(electro-optical effects, EO)を用いた電子ビームのパルス長とタイミング計測について報告する。電子ビームのパルス長を非破壊で計測する手法として、EOを用いた方法が知られており、実際にリニアックの電子ビームの計測に用いられている。我々はこのうち、プローブ光を結晶に対して斜めに入射する空間エンコード・デコード法をレーザー航跡場電子加速に初めて適用し、10〜40 MeVの電子に対しておよそ30 μm(100 fs)のパルス長を得た。このときEO結晶を電子発生点から2 mm下流、横方向に1 mmシフトした位置に置き、電子がプラズマから飛び出した直後で計測を行った。電子バンチが持つクーロン場は電子発生点から十分遠方である加速器の場合は等電場面がほぼ直線状となるが、計測点が発生点に近い本研究の場合は、クーロン場の電位面が球面になる。このために、従来知られている空間位置と時間の変換公式を修正する必要がある。我々は解析式と幾何的な計算によりこの関係式を求めた。この新しい公式は十分遠方では従来の式と一致した。併せて、本手法での実際の信号応答の計算結果についても報告する。 |
真空 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP111 p.640 | NEG ポンプのダスト測定 MEASUREMENT OF DUST OF NON-EVAPORABLE GETTER PUMP ○照井 真司,石橋 拓弥,阪井 寛志(高エネ研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Hiroshi Sakai (KEK) 多くの加速器で現在、真空中のダストが問題になってきている、例えば超伝導空洞はダストが入るとフィールドエミッションの原因となり性能を引き出すことができない。他には高電圧を印加する電子銃、ダストトラッピングが問題となるパラメーターの真空チェンバーが挙げられる。今回我々は、真空中で使用できるパーティクルモニターを用いて、超高真空で良く用いられるNon-evaporable getter pump (NEG pump)のダストの測定を行った。測定方法は、排気・パージの繰り返し、NEG pump活性化時、活性化後のパージなどのパターンで行った。ポンプの種類は、ストリップ型NEG pump(ST 107)、CapaciTorr等である。本報告では、試験システムの概要、試験結果とその考察を行う。 |
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WEP112 p.645 | RCSビーム入射部における低放射化・保守性向上のための真空機器のアップグレード Upgrade of vacuum devices at RCS beam injection area aimed at lower radiation and maintainability increase ○神谷 潤一郎,山本 風海(日本原子力研究開発機構),柳橋 亨,佐藤 篤,三木 信晴(日本アドバンストテクノロジー) ○Junichiro Kamiya, Kazami Yamamoto (JAEA/J-PARC), Toru Yanagibashi, Atsushi Sato, Nobuharu Miki (NAT) J-PARC 3GeVシンクロトロン(Rapid Cycling Synchrotron: RCS)のビーム入射部は、リニアックからのH-イオンを陽子へ荷電変換するための薄膜による散乱のため真空ダクト等が放射化し、残留放射線量が高いエリアである。加えて、パルス電磁石であるシフトバンプ電磁石の漏洩磁場で真空ダクトのフランジ温度が100度近くになるため、熱膨張により真空リークが発生しやすい箇所である。今後1MWのビーム出力に向けて運転をしていくうえで、このような状況の改善は、保守時の被ばくを低減するという観点で必須である。残留放射線量低減を目的として遮蔽体を常設するために、入射点の真空容器の構造を改良する。フランジの発熱によるリークの問題は、フランジ材料を現在の純チタン2種(耐力: >216 MPa)から高強度材料であるTi-6Al-4V(耐力: 921 MPa)に変更することで、高トルクでの締め付けにも耐えうるようにする。本会では、これらのアップグレードの状況について報告する。 |
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WEP113 p.649 | 溶射した金属表面からの二次電子放出率 Secondary electron yield by thermal sprayed metal surface ○姚 慕蠡(総研大),末次 祐介,柴田 恭(KEK, 総研大),久松 広美(KEK),石橋 拓弥(KEK, 総研大),照井 真司(KEK),西殿 敏朗,地場 弘行(コミヤマエレクトロン株式会社),澤畠 孝博,石井 晃嗣(MTC) ○Mulee Yao (SOKENDAI), Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata (KEK, SOKENDAI), Hiromi Hisamatsu (KEK), Takuya Ishibashi (KEK, SOKENDAI), Shinji Terui (KEK), Toshiro Nishidono, Hiroyuki Chiba (Komiyama Electron Corp.), Takahiro Sawahata, Kouji Ishii (MTC) The Electron Cloud Effect (ECE) is a serious issue in the positron and proton rings of the high-energy particle accelerators. One of the solutions is preparing a material with a low Secondary Electron Yield (SEY or δ) on the inner surface of beam pipe. It is known that rough surfaces generally have a lower SEY than smooth surfaces. Therefore we coated the copper and aluminum substrates with copper, aluminum, tungsten and titanium by thermal spraying, which is easy to practice and has been widely used in industry. We measured the δ of fourteen samples with different sprayed conditions after a conditioning (electron-beam bombardment) time of 48 hours. The values of δmax were within the range of 0.7661 to 1.683. We found that the surface of different materials shows different changing trends in the change of the sprayed conditions. And in the same material, the δmax seemed to have weak dependence on the surface roughness and other surface parameters. Further surface analysis should be done to find the true causes. Here we will report the results of SEY measurement using thermal sprayed metal surfaces and discuss the dependence on the roughness and the compositions of surfaces. |
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WEP114 p.654 | PFリングにおけるアンジュレータ#19用NEGコーティングダクトの設計と製作 Design and manufacture of the NEG-coated beam duct for Undulator #19 at PF-ring ○谷本 育律,金 秀光,山本 将博,野上 隆史,本田 融(高エネ研) ○Yasunori Tanimoto, Xiuguang Jin, Masahiro Yamamoto, Takashi Nogami, Tohru Honda (KEK) KEKの2.5GeV放射光源PFリングでは、2018年夏期にBL-19用挿入光源を更新し、可変偏光アンジュレータU#19を設置する予定である。そして、U#19用ビームダクトには、海外の多くの加速器施設で実績を挙げている非蒸発型ゲッター(NEG)コーティングを採用する。NEGコーティングは、チェンバ内壁に約1μmのTiZrVのNEG材を製膜し、真空中で180℃に加熱することにより、チェンバ内壁を真空ポンプとして機能させる真空技術である。とりわけコンダクタンスの制限される長尺ダクトの排気に適している。また、光刺激脱離による初期のガス放出が従来のダクトに比べて2桁低いこともBL-21における放射光照射実験で実証されている。すなわち、到達圧力の低減に加え、それに至る立上げ期間を短縮できることがNEGコーティングの真空性能としての利点である。加えて、製作の観点からは、挿入光源内での排気ポートが不要になるという利点もある。ビーム路開口形状は、ビームダイナミクスの要請から全長4.1mにわたって±7.5mm以上の垂直開口を確保する必要があるためV15mm×H90mmの楕円とした。磁石列の最小ギャップが23mmであることからチェンバ高さを20mmとし、ビーム路に沿った水冷チャンネルも含めアルミ合金の押出成形により製造する。両端フランジにはAl-SUSのクラッド材を溶接する。その後、マグネトロンスパッタでNEG材を製膜する。本発表ではNEGコーティングダクトの設計と製作について詳しく報告する。 |
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WEP115 p.659 | SuperKEKB 陽電子リングの電子雲不安定性対策の検証と課題 Verification and remaining problems of the countermeasures against the electron cloud effect in the SuperKEKB positron ring ○末次 祐介,柴田 恭,福間 均,大見 和史,飛山 真理(KEK/総研大) ○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Hitoshi Fukuma, Kazuhito Ohmi, Makoto Tobiyama (KEK/SOKENDAI) KEKにあるSuperKEKBの4 GeV陽電子リングでは、アンテチェンバー付きビームパイプや、内面への窒化チタン(TiN)コーティング等、様々な電子雲不安定性(Electron Cloud Effect、ECE)対策が取られている。2016年2月から6月までのPhase-1コミッショニング中、初期に観測されたアルミ製ベローズチェンバーによるECEを抑制後、ビーム電流約0.9 A(1576バンチ)から再度ECEが観測された。このビーム電流の閾値は、銅製丸パイプを用いていたKEKBの場合よりも高く、対策の一定の効果を示している。しかし同時に、対策がまだ不十分であることも示している。そこで、Phase-2コミッショニングに向けて、アンテチェンバーとTiNコーティングの再評価と平行して、さらなるECE対策を行った。すなわち、ビーム軌道近傍の電子密度のビーム電流密度(バンチ電流/バンチ間隔)依存性の測定結果とシミュレーション結果との比較から、TiNコーティングの二次電子放出率はほぼ期待値と近いが、アンテチェンバーによる光電子抑制効果が予想より低いことが推定された。また、新たなECE対策として、リングのドリフト部に永久磁石やソレノイドによってビーム方向の磁場(60~100G)を加えた。ここでは、ECE対策を再評価した結果や2018年3月から始まったPhase-2コミッショニングにおける追加対策の効果、そしてPhase-3に向けた課題等を報告する。 |
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WEP116 p.664 | SuperKEKB真空系冷却水システム UPGRAGE OF WATER COOLING SYSTEM FOR SUPERKEKB VACUUM SYSYTEM ○照井 真司,石橋 拓弥,末次 祐介,白井 満,柴田 恭,久松 広美,金澤 健一(高エネ研),芳藤 直樹(東日本技術研究所) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu, Mitsuru Shirai, Kyo Shibata, Hiromi Hisamatsu, Ken-ichi Kanazawa (KEK), Naoki Yoshifuji (e-JAPAN IT Co.,Ltd) SuperKEKBはKEKB Bファクトリー(KEKB)の後継機となる高ルミノシティの電子・陽電子衝突型加速器である。KEKBからSuperKEKBへのアップグレードに伴い、真空系冷却水システムも増強が行われた。主な変更場所は、大穂直線部と日光直線部で増強されたウィグラー部と、高いルミノシティを実現するナノビームスキームのために大きな変更が必要だった衝突部である。SuperKEKBの放射光のパワーは陽電子リング/電子リングそれぞれで、7.7 MW (1.1 MW (arc:2200m), 6.3 MW (wiggler:300m)) /7.3 MW(5.2 MW (arc:2200m), 1.1MW (wiggler:100m))という非常に高いものである。この高いパワーを受けても安定的にビーム運転するために、新たなポンプ・冷凍機の設置が行われ、それに伴って真空系冷却水システムの改造が行われた。今回は、増強のための基礎試験(流量増加に伴う各コンポーネントの圧力損失測定)、システムの変更点(ヘッダーを用いた圧力損失が少ない配管への変更、流量計アンプの変更、流量計と温度計を組み合わせたビームアボートロジック構築)、運転中のトラブルとその対応などについて報告する。 |
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WEP117 p.668 | レーザーラマン法による炭素薄膜の評価 Analysis of carbon thin films by laser Raman method ○金正 倫計,神谷 潤一郎(原子力機構),小泉 欧児,那須 昌吾(株式会社 サンテック) ○Michikazu Kinsho, Junichiro Kamiya (JAEA), Ohji Koizumi, Shogo Nasu (SUN-TECH) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、リニアックで加速された負水素イオン(H-イオン)を薄膜で陽子に変換する荷電変換入射方式を採用している。この薄膜の長寿命化が加速器の運転時間を決める。RCSでは薄膜として、ホウ素を約20%ドープした炭素薄膜(HBCフォイル)を使用している。荷電変換膜のビームに対する破壊機構を知ることは、長寿命薄膜を開発する上で重要である。 本研究では、荷電変換膜のビームによる破壊機構を解明することを目的として、ラマン分光法により、薄膜の結晶性、膜組成、応力等を評価した。使用した薄膜は、HBCフォイル、アーク放電法により製膜した炭素フォイル(Cフォイル)、グラフェン、及びカーボンナノチューブ(CNTフォイル)の4種類である。レーザー出力を変化させ、各フォイルのラマンピークシフトを測定した結果、HBCフォイルとCフォイルは、ラマンピークシフト変化が大きくD-bandは負、G-bandは正と逆符号であった。一方、グラフェンとCNTフォイルは、ラマンピークシフト変化は小さく、D-bandとG-bandはともに負であった。これらの結果から、レーザーによる入熱に対して、HBCフォイルとCフォイルは、大きな応力が発生することが分かった。 |
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WEP118 p.671 | SuperKEKBメインリング真空系における圧力跳ね監視システムCCG Patrol Monitoring system for impulsive pressure rising in vacuum system of SuperKEKB main ring ○石橋 拓弥,照井 真司(高エネ研・加速器),長久 文彦,幾田 直樹,南 茂,藤田 康信(日本ナショナルインスツルメンツ株式会社) ○Takuya Ishibashi, Shinji Terui (KEK Accelerator Laboratory), Fumihiko Nagahisa, Naoki Ikuta, Shigeru Minami, Yasunobu Fujita (National Instruments Japan Corporation) SuperKEKBの陽電子・電子リングにはそれぞれ約300台、合計約600台の冷陰極型電離真空計(CCG)が約10 mの間隔で設置されている。運転中にビームロスや軌道の急変、CCGの異常放電等に起因する圧力の跳ねが起きた場合、それが起きた場所またはCCGの個体を即座に特定したい場面がある。そこで圧力を常時監視し、圧力の跳ねが起きた場合にはそのCCGを即座に特定してオペレータ等に情報を知らせるシステム、CCG Patrolを開発した。圧力のデータログにはNational Instruments社のcompactRIOを計12台使用しており、FPGAによる圧力およびビーム電流データ集録、Real-time OSによる循環バッファ実装およびcompactRIO間でのトリガー情報のやりとり、Windows PCでの圧力データの取得・表示でCCG Patrolは実現されている。これまでのコミッショニングでCCG Patrolによって異常放電を起こしているCCGの特定や、圧力跳ねを伴うビームアボートを観測している。本年会ではCCG Patrolのシステムおよび圧力跳ねの実例について報告する。 |
加速器応用・産業利用 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP119 p.675 | 静電加速器を用いたRBS/ERDA法による水素定量分析のための標準試料の開発 Development of standard sample for quantitative analysis of hydrogen by RBS/ERDA method with electrostatic accelerator ○隈元 大輝,久保 彩佳,志田 暁雄,片桐 一夫,鈴木 常生(長岡技術科学大学) ○Daiki Kumamoto, Ayaka Kubo, Akio Sida, Akio Katagiri, Tsuneo Suzuki (Nagaoka University of Technology) 薄膜試料の水素含有量分析手法では静電加速器を使用したRBS/ERDA法が有効であり、絶対定量が可能であることが知られている。しかし、分析精度の向上には装置のビームコンディションの把握や解析者の修得度が主な分析誤差の要因となるため、水素量が既知の標準試料の開発が熱望されている。そこで、Si基板上に水素を含む組成が既知の材料を薄膜化し、RBS/ERDA法の標準試料として適用可能な薄膜の開発を目的とした。薄膜化する材料として、RBS/ERDA法の解析の都合上、微量の重元素を含み、水素量が既知で化学的安定性が優れている酸化バナジウムフタロシアニン(VO-Pc)を選定した。成膜手法は、RBS/ERDA法の解析に要求される膜厚が500~3000Åであるため、成膜条件によって膜厚を変更することが可能な真空蒸着法を選定した。原材料のVO-Pc粉末を使用し、真空蒸着法で作製した薄膜をXRDで結晶構造同定した結果、真空蒸着法で成膜した試料はVO-Pc粉末が化学変化せずに蒸着されていることが確認された。これは組成がC-27.6%H-13.8%N-1.7%V-1.7%Oの薄膜であることを意味し、この薄膜がRBS/ERDA法の標準試料となり得ることが示唆された。この薄膜試料のRBS/ERDA分析の結果、この薄膜の水素量が28±1%と定量でき、VO-Pc本来の化学両論組成(27.8%H)と一致した。 |
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WEP120 p.678 | 非線形集束によるビーム強度分布の変換とその利用 Transformation of the beam profile by means of nonlinear focusing and its utilization ○百合 庸介,湯山 貴裕,吉田 健一,石坂 知久(量研高崎) ○Yosuke Yuri, Takahiro Yuyama, Ken-ichi Yoshida, Tomohisa Ishizaka (QST Takasaki) 適切に設計されたビーム輸送系において、多重極電磁石の非線形集束力を荷電粒子ビームに作用させることで、その横方向強度分布を目的に応じて変換することが可能である。この非線形ビーム集束に基づき、量研高崎研のイオン照射研究施設TIARAでは、サイクロトロンから引き出されたイオンビームを、主として8極電磁石を用いて均一化する手法を構築し、非走査での効率的な大面積均一照射による機能性材料開発や耐放射線性試験等での利用を進めている。本発表では、本手法に関するビーム計測等の技術開発やビーム利用の現状を報告する。また、より理想的なビーム照射野の実現のため、ビームロスについての理論的な考察や12極電磁石等の高次磁場を用いたビーム強度分布変換のシミュレーション結果を示す。 |
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WEP121 p.682 | 極低温温度計用FBG及びバイメタルの性能評価 Performance test of FBG and bimetal for very low temperature thermometer use ○清水 洋孝,小島 裕二,仲井 浩孝,中西 功太,原 和文,本間 輝也(高エネ研) ○Hirotaka Shimizu, Yuji Kojima, Hirotaka Nakai, Kota Nakanishi, Kazufumi Hara, Teruya Honma (KEK) 超伝導加速方式を用いる加速器施設では、液体ヘリウムなどの寒冷を用いた極低温温度環境での運転が行われる。加速器の安定な運転の為には、温度計を用いた寒冷循環の制御が必須であるが、この様な用途に用いる事が出来る、新しい測温機構を持つ温度計の開発を行っている。この温度計の主な構成要素としては、コア部分にブラッググレーティング処理を施した光ファイバとバイメタルを想定しており、現在までにそれぞれの低温特性や熱特性について、性能評価を進めている。今回の報告では、これ迄に得られた評価の結果について報告する予定である。 |
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WEP122 | 電子加速器ベース中性子源の開発状況報告 Current status of the development of an electron accelerator-based neutron source ○オローク ブライアン,藤原 健(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),古坂 道弘(新構造材料技術研究組合),林崎 規託(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合、東京工業大学),木野 幸一,黒田 隆之助,満汐 孝治(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),室賀 岳海(新構造材料技術研究組合),小川 博嗣,大島 永康,佐藤 大輔,清 紀弘(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合),宍戸 玉緒(新構造材料技術研究組合),鈴木 良一,田中 真人,豊川 弘之,渡津 章(産業技術総合研究所、新構造材料技術研究組合) ○Brian O'rourke, Takeshi Fujiwara (AIST, ISMA), Michihiro Furusaka (ISMA), Noriyosu Hayashizaki (AIST, ISMA, Tokyo Inst. Tech.), Koichi Kino, Ryunosuke Kuroda, Koji Michishio (AIST, ISMA), Takemi Muroga (ISMA), Hiroshi Ogawa, Nagayasu Oshima, Daisuke Sato, Norihiro Sei (AIST, ISMA), Tamao Shishido (ISMA), Ryoichi Suzuki, Masahito Tanaka, Hiroyuki Toyokawa, Akira Watazu (AIST, ISMA) 新構造材料技術組合(ISMA)では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「革新的新構造材料等研究開発」の下、産総研つくばセンターで、小型電子加速器中性子源を用いたコンパクトな中性子材料分析施設を構築している[1]。本施設はブラッグエッジイメージングに適したパルス中性子ビームを発生させ、鉄鋼等構造材料開発やマルチマテリアル化接合技術開発に活用する。 電子加速器は,電子技術総合研究所(電総研、現在の産総研)で用いていたSバンド(2856 MHz)加速管3本を再活用し、約35 MeVまで加速する設計である。電子源には小型DC熱電子銃と高周波追加速方式を組合わせたSバンド小型電子源を採用し、ビーム電流は最大~275 mAを得る。電子ビーム(最大パワー約10 kW 、パルス構造:100 Hz, 10 μs)を、水冷のタンタル製ターゲットに入射し、光核反応によって中性子を発生する。 本発表では、電子加速器及び中性子源の仕様と開発状況を報告する。 [1] 産総研ニュース「構造材料開発の高度化を加速する小型加速器中性子施設の構築に着手」(2017/08/01), http://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20170801.html |
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WEP123 p.686 | 小型加速器中性子源RANSを用いたコンクリート内への水分浸透の定量化によるコンクリートの耐久性評価 Evaluation of durability of concrete by quantification of water penetration into concrete with RIKEN compact accelerator-driven neutron source RANS ○吉村 雄一(東工大院,理研,トプコン),水田 真紀,須長 秀行,大竹 淑恵(理研),林崎 規託(東工大研究院) ○Yuichi Yoshimura (Tokyo Tech, RIKEN, Topcon), Maki Mizuta, Hideyuki Sunaga, Yoshie Otake (RIKEN), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) コンクリート内への水分浸透は構造物を劣化させる鋼材腐食の進行に大きく影響を与えており,水分浸透速度を構造物の耐久性に反映した設計手法が2017年に改訂されたコンクリート標準示方書で示された.しかし,水分浸透の評価は測定手法の不足により精度や再現性といった信頼性が現状確認されておらず,多種に及ぶコンクリートの水分浸透性状は明確に把握できていない.そこで筆者らはコンクリート内の水分浸透の観察手段に理研小型加速器中性子源RANSを利用した中性子イメージングを適用し,水分量の定量手法について検討を行ってきた.RANSは2013年1月に中性子発生に成功して以来,現在に至るまで安定的に稼動し, 常時中性子ビーム利用が可能な小型中性子源である.インフラ材料の非破壊検査として鋼材塗膜下の腐食の可視化やコンクリート床版内部の劣化や欠陥の検出に成功した実績があり,可搬型中性子源の開発といった更なる小型化にも取り組んでいることから今後一層の利用拡大が期待されている.上記の背景より測定データの蓄積に適した小型加速器中性子源の特徴を活かして種類によって変わるコンクリートの劣化程度と水分浸透との関係について評価を行っている.本学会では,コンクリートサンプルの内包する水分量の非破壊定量に基づく水分浸透性状の評価とコンクリートのパラメータとの関係について報告を行う. |
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WEP124 p.688 | 電子光理学研究センターにおける電子加速器を用いたRI製造照射システムの開発 Development of the target irradiation system for radioactive isotope production using an electron linac at Research Center for Electron Photon Science (ELPH), Tohoku University. ○髙橋 健,三浦 禎雄,菊永 英寿(東北大学電子光理学研究センター) ○Ken Takahashi, Sadao Miura, Hidetoshi Kikunaga (ELPH) 電子光理学研究センターでは電子ビームを用いた光核反応による放射性同位体製造を行っている。現在の照射システムではチタン箔を通して電子ビームを大気中に取り出して、ステンレス製の水槽内に設置した厚み2 mmの白金コンバータに入射し、制動放射線を標的に照射する。これまでのシステムでは空気や冷却水、容器のステンレスなどコンバータ以外でのビームロスで光の収率が下がり、標的交換時はコンバータで被曝するという問題点があった。このため今回新たに開発したシステムでは、厚さ1 mmのタングステンを3重化して光の収率を向上させ、コンバータをビームラインに直結して可能な限りビームロスを減少させた。さらにコンバータと水槽を分離することで標的交換時のコンバータによる被曝も回避する。本発表ではこの照射システムの詳細を報告する。 |
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WEP125 p.692 | 回転ガントリーのためのビームアライメント手法とその検証 Beam position alignment and its verification for rotating-gantry ○皿谷 有一,古川 卓司,原 洋介,水島 康太,早乙女 直也,丹正 亮平,岩田 佳之,白井 敏之,野田 耕司(量研機構) ○Yuichi Saraya, Takuji Furukawa, Yousuke Hara, Kota Mizushima, Naoya Saotome, Ryohei Tansho, Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai, Kouji Noda (QST) 三次元スキャニング照射法ではビーム位置のずれが照射野のずれを引き起こすため、治療室内の基準点とビームの位置を合わせることが重要である。加えて、2015年よりビームコミッショニングを開始した、回転ガントリー照射装置においては、複数のガントリー角度において治療室内の基準点とビームの位置を合わせることが求められる。コミッショニング時のビームの位置合わせと、治療運用開始後の定期的なビームの位置合わせを円滑に行うため、我々は簡便なビームのアライメント手法を開発した。加速器から取り出されたビームは、輸送ライン中に設置された蛍光膜モニターの中心を通るように、位置合わせが行われているが、電磁石の据え付け誤差などにより、ビーム位置と磁石の中心にはずれが生じる。加えて、ガントリーを回転させた際の構造体の歪みによって、回転角度毎にビーム位置と磁石の中心にずれが生じる。治療室内の基準点は、予め金属球を内部に配置したファントムによって定義されており、治療室に設置された蛍光膜モニターにより、基準点とビーム位置のずれが測定される。本手法では、基準点におけるビーム位置のずれから上流のビーム位置のずれを算出しステアリング電磁石により補正を行う。本手法を適用することで、ビームの位置精度を損なうことなく、全ての角度からの照射が可能になり、2017年より治療を開始している。本講演では、開発した手法とその結果について報告を行う。 |
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WEP126 p.696 | テーブルトップPET用RI製造装置の開発 Development of tabletop RI making equipment for PET ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹,嶋 達志,高久 圭二,森田 泰之,武田 佳次郎,原 隆文(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Tatsushi Shima, Keiji Takahisa, Yasuyuki Morita, Keijiro Takeda, Takafumi Hara (RCNP, Osaka Univ.) PET薬剤などで利用される短寿命RIは通常サイクロトロンで得られる十数MeVのエネルギーの陽子ビームにより生成される。近年の加速器の研究の推進により1時間当たりのそのRIの生産能力は数GBqと非常に大きなものである。一方、導入コストは非常に高いものである。 ここで、PET薬剤のための短寿命RIを生成する新たな手段として核融合反応である3He+D→p+4Heを利用することを考えた。この核融合反応の結果放出される14.67MeVの陽子を利用するとRI生産能力はサイクロトロンに及ばずとも、導入コストの低減と装置の小型化により研究室レベルで気軽に使用できるRI製造装置の実現が期待される。この核融合反応自体は古くから知られているもので、恐らくは過去にもこの反応を使ったビーム生成装置の検討がなされたであろうが、反応率の低さが足枷であったであろうことは想像に難くない。 今回、PET関連の研究に耐えうる量のRI製造を3He+D→p+4He反応により実現できる装置の実現を今一度目指す。そのため、大強度3Heビームイオン源及び高耐熱の重水素標的、そして生成した陽子を資料に照射させる窓構造などについて開発検討を行った。講演ではその詳細について報告する。 |
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WEP127 p.699 | ニュースバルへの赤外ビ—ムライン設置の検討 Design of infra-red beam line for NewSUBARU storage ring ○庄司 善彦(兵庫県立大学),池本 夕佳,森脇 太郎(高輝度光科学研究センター) ○Yoshihiko Shoji (University of Hyogo), Yuka Ikemoto, Taro Moriwaki (JASRI) ニュースバルへの赤外ビームライン(以後,IR-BL)設置は,一昨年岡崎で開かれたワークショップ「高輝度・高強度赤外光源の現状と展望」において推奨された検討課題である.現在日本国内でIR-BLを設置しているのはUV-SOR(BL6B)とSPring-8(BL43IR)であるが,SPring-8-IIでは赤外ビームラインは設置されない可能性が高い.大きな開口部を必要とするIR-BLは,電子ビームパイプが細いultimate ringと相性が悪いからである.この代替施設の候補がSPring-8のサイト内にあるニュースバルで、SPring-8(BL43IR)に蓄積された財産,特にIRユーザーを受け継ぐことが期待できる.設置が実現すればニュースバル施設としてもメリットになり,特徴ある利用が期待できる.予算的見通しがない現状であるが,申請機会の可能性はあるため,予算内容を提示できるレベルのプランを準備しなければならない. ここで紹介するのは,ニュースバルへ設置可能なIR-BL案である.光源部の設置位置は既存のビームラインと干渉せず、大開口部がとれる逆偏向電磁石である.理想的に設置できた場合の長波長フラックスは,SPring-8(BL43IR)の約5倍,UV-SOR(BL6B)の約3割になる.実験ステーションは、産業利用も期待できる近接場,顕微分光を想定している. |
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WEP128 p.702 | ERL-FELを用いた半導体リソグラフィー用高出力EUV光源 ERL-FEL based high-power EUV light source for lithography ○中村 典雄,河田 洋,加古 永治,加藤 龍好,梅森 健成,阪井 寛志,宮島 司(高エ研) ○Norio Nakamura, Hiroshi Kawata, Eiji Kako, Ryukou Kato, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Tsukasa Miyajima (KEK) EUVによる半導体リソグラフィーは、200W級のレーザー生成プラズマ(LPP:Laser-Produced Plasma)光源とそれに基づく露光装置の開発が進んでおり、量産化へと向かっている。EUVリソグラフィーによる量産が始まれば、近い将来には3nmノード以下のLSI生産の実現に向けてLPP光源では難しいとされる1kW級出力を供給できるEUV光源が要求される。エネルギー回収型リニアック(ERL:Energy Recovery Linac)を電子加速器とする自由電子レーザー(FEL:Free Electron Laser)は、多数の露光装置へ同時に1kW級のEUV光を供給できる可能性を持つ。我々は、実際にERL-FELを用いた高出力EUV光源をコンパクトERLの開発や経験をもとに設計し、全周に渡るシミュレーションによって10kW級のEUV光源が実現可能であることを示した。一方で、高出力性能以外にも産業化のためにいくつかの検討すべき項目がある。1つは、稼働率(availability)であり、98%を越えるような高い稼働率が半導体リソグラフィー用光源には求められる。また、光源のサイズもユーザーにとって大きな関心事の1つである。今回の発表では、半導体リソグラフィーのためのERL-FELを用いた高出力EUV光源の概要及び産業化に向けた検討と課題について報告する。 |
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WEP129 p.707 | Experimental Verification of Neutron Flux Calculation for Compact Accelerator-Based Multi-Port BNCT System ○Hui Wen Koay, Tatsushi Shima, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Shuhei Hara (Research Centre for Nuclear Physics (RCNP), Osaka University) This work aims to verify the neutron transportation calculations performed in PHITS for the development of a compact accelerator-based multi-port Boron Neutron Captured Therapy (BNCT) system. Several test experiments were performed in RCNP using a 53 MeV proton beam from an AVF cyclotron onto a W target, with and without test moderator assemblies. NE213 liquid scintillator and Li-6 glass scintillator were used for the detection of fast and epithermal neutrons respectively. The measured integrated angular neutron yield without a moderator agreed with the calculations within 20 to 23%. The difference appeared mainly in the higher energy region. Preliminary results of neutron spectrum with simple test moderator assemblies showed significant discrepancy at lower energy region. This is probably due to the contamination of background gamma-rays which leads to a poor signal-to-noise ratio. In this paper, the experimental results and comparison to the calculations will be discussed. |
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WEP130 p.711 | RIビームがん治療用ISOLシステムの開発: 1価C-11イオン生成実験 On-line experiment of singly-charged C-11 ion production ○片桐 健,涌井 崇志,北條 悟,野田 章(量研/放医研) ○Ken Katagiri, Takashi Wakui, Satoru Hojo, Akira Noda (QST/NIRS) 重粒子線治療において,PET装置で線量分布をリアルタイムに検証する技術を実現するために,Isotope Separation On-Line (ISOL)法により,C-11ビームをHIMACシンクロトロンから供給することを検討している。このISOLシステムは,プロトン照射用小型サイクロトロン,C-11生成用標的,C-11分子生成/分離システム(CMPS),一価イオン源(SCIS),質量分析器(MS),荷電増幅器(CB)から構成される。1人の治療に必要な1e10個以上のC-11多価イオンを20分毎に生成することを目標として,これまでISOLシステムの各要素機器の開発を進めてきた。標的は,20分間のプロトン照射(18 MeV,18e-6 A)により,およそ1e13個の揮発性C-11分子の生成が可能であることが判明し,また非放射性の12CO2ガスを使用した実験によりCMPSは60-80%の効率,SCISはCO2+のイオン生成効率として5.5%の効率を達成できることが判明した。これらの結果を踏まえて,MS及びCBを除くISOLシステムの性能評価を行うために,プロトンビーム照射によりオンラインで1価C-11イオンの生成・定量化を行う実験を実施する計画である。本発表では,このオンライン実験でのシステムの詳細と,その事前実験の結果を示す。 |
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WEP131 p.716 | 次世代重粒子線治療に向けた量子メス治療装置の設計 Design of Quantum Scalpel for the New Heavy Ion Radiotherapy ○白井 敏之,岩田 佳之,野田 悦夫,水島 康太,稲庭 拓,村松 正幸,近藤 公伯,榊 泰直,西内 満美子,野田 耕司(量研機構),藤本 哲也(加速器エンジニアリング) ○Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Etsuo Noda, Kota Mizushima, Taku Inaniwa, Masayuki Muramatsu, Kiminori Kondo, Hironao Sakaki, Mamiko Nishiuchi, Koji Noda (QST), Tetsuya Fujimoto (AEC) 重粒子線治療は、高いQOLを維持でき、放射線抵抗性のがんに対しても高い腫瘍制御を実現するなど、優れた成果を出しており、量研機構だけでも10,000人以上の治療実績がある。量研機構では、この重粒子線治療の治療費を低減し、腫瘍制御をさらに向上させた次世代の重粒子線治療装置の開発を開始しており、量子メスと呼んでいる。 量子メスは、1台のイオン源でフルストリップに近い複数のイオン(He, C, O, Ne)を生成する、多価・多核種・コンパクトECRイオン源と小型線形加速器、またはレーザー駆動イオン加速器を入射器として用いる。シンクロトロンは、4T Combined Function超伝導電磁石を用い、10m角の部屋に設置可能であるとともに、高速にイオン種・ビームエネルギーを変化させることができる。そして回転ガントリーは、超伝導電磁石でビームを輸送し、複数のイオン種を組み合わせて治療用照射野を形成する。 本発表では、この量子メスの全体設計の現状について報告する。 |
加速器土木・放射線防護 (8月8日 大展示ホール) | |
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WEP132 p.720 | SPring-8 次期計画における磁石配置の据付精度評価 Magnets alignment estimation for the SPring-8 upgrade plan ○岡安 雄一,木村 洋昭(高輝度研),松井 佐久夫(理研) ○Yuichi Okayasu, Hiroaki Kimura (JASRI), Sakuo Matsui (RIKEN) 1996 年から現在に至るまでの約 20 年にわたって行ってきた、SPring-8 蓄積リング加速器収納部の測量データを元に、向こう 20 年程度の地盤の変動予測を行った。これをもとに、従来の測量方法 (デジタルレベルによる水準測量・レーザートラッカーによる水平座標) の踏襲を仮定し、次期計画で想定される磁石配置の座標変動を、地盤変動・測量誤差を勘案した数値計算により評価した。 現在検討がなされている標準セルは、挿入光源 1 台、収束・補正電磁石を搭載した架台 6 台、また各架台間に永久偏向磁石が計 5 台が設置される。設置許容誤差 (peak-to-peak) は、各架台に設置される収束磁石が ±20 μm、架台どうしが ±90 μm である。 この検討の目的は、1) 従来の据付・測量方法で上記の要求精度を満たすか、2) ネットワーク測量を実施する際、例えば収納部内壁に測量点を追加する必要はあるか、若しくは減らせないか。結果として測量精度と測量時間がどのくらいになるか、3) 設置から何年後にアライメントをし直す必要があるのか、またはないのか、の問いに答えることである。 表題の評価を行うための数値計算環境が整ったことから、簡単な例として地盤変動を線形補間で予測し、磁石座標の測定誤差を評価したので、その進捗を報告する。より現実的な地盤の変動 (ある一定期間を経て収束する等) を勘案した評価を現在行っている。 |
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WEP133 p.725 | SACLA加速器棟の沈下防止用杭基礎の振動特性への影響 Influence of piles for settlement prevention on the vibration in the SACLA linear accelerator building ○松井 佐久夫(理研) ○Sakuo Matsui (RIKEN) 一般に柔らかい地盤に建物を立てる場合、杭を打ち沈下を防止する方法が採用される場合が多い。また、地震の振動でも構造を保つため用いられているような杭もある。このように振動と杭の関係は実用上も問題になるので多くの実験や報告がなされている。加速器の多くの施設でも実際に用いられているが、ただ、振動の特性への影響に言及したものは少ない。SACLAの線型加速器のエリアは主に埋め立て土で、荷重試験でも沈下が想定されたので長さ400mにわたり太さ1.5〜1.6m、長さ19〜52m(平均30m)のコンクリート製の杭が計139本打設されている。杭は7.5m間隔で加速器棟の建屋エリアに限定されている。今回、振動計STS2を3台用いて杭のある建屋内と無い所で測定し、振動の大きさ、コヒーレンシを測定した。杭のあるなしに関わらず埋め立ての深さに関係するような固有振動数が見られる。また振動の大きさは、杭のある建屋でやや小さいところも見られる。20〜30Hzのコヒーレンシのピークが認められるが杭の影響は顕著ではないように見える。 |
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WEP134 p.730 | ILC計画における地山評価方法と延伸工事に伴う工事振動の検討 Investigetion of vibration in extension work and ground evaluation on ILC planining ○兼松 亮,小林 真人,松元 和伸,川端 康夫(飛島建設株式会社),佐貫 智行,京谷 孝史(東北大学) ○Kiyoshi Kanematsu, Masahito Kobayashi, Kazunobu Matsumoto, Yasuo Kawabata (Tobishima Corp.), Tomoyuki Sanuki, Takashi Kyoya (Tohoku Univ.) ILCは円形加速器と異なり、全長を延伸することによって性能が向上する。将来的には実験を継続しながら直線トンネルを延伸して施設を拡張する可能性があるため、トンネル延伸時に生じる工事振動の特性を把握しておくことは重要である。筆者らは、ILC建設候補地と同種岩盤(人首花崗岩)を掘削する道路トンネル工事を利用して、主な工事振動となる発破振動や施工機械の振動について実測し、人首花崗岩における振動伝播特性を検証した。発破振動については、トンネル内に振動計測点を100m間隔で設置し(全9点)、最長850m間における発破振動の振動伝播特性を実測した。また、本トンネル工事では、調査時に弾性波探査結果に基づき推定した岩盤性状と、施工時の実際の岩盤性状との間に差異が生じ、約30%の区間で当初設計より2ランク重いトンネル支保パターンを採用する事態が生じた。そこで、今回の施工結果をILCのトンネル計画の調査・設計に反映させることを目的として、施工時の発破の振動伝播特性や岩石試料の結果を用いた地山の弾性波速度を再確認し、計画時の弾性波探査結果の評価法について検討した。 |
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WEP135 p.735 | KEKB入射器トンネルにおける床面変動と環境温度変動 Tunnel floor motion and environmental temperature fluctuation at the KEKB Injector Linac ○諏訪田 剛,柿原 和久(KEK加速器) ○Tsuyoshi Suwada, Kazuhisa Kakihara (KEK) 2016年の本学会では、2016年1-7月までに及ぶ入射器トンネルの床面変動の連続観測、特に500m長に渡る床面の複雑な動的変動とその相関解析について報告した. この結果、入射器トンネルの床面変動は500m長に渡り不規則かつ複雑に変動していることがわかった. 2017年には、同データを用いて普遍的な法則として知られているATL則の検証を行なったところ、入射器の床面変位の時空発展がATL則によく従うことを検証した. 詳細な解析に基づけば、床面変位の時間発展はATL則からわずかにずれ、そのずれの大きさはフラクタル次元に強く相関していることが理解された. すなわち、床面変位の時系列は、その特徴としてフラクタルで記述できることである. この結果は、入射器の床面変位の時系列は決して単純ではなく、さらに複雑なフラクタル的ATL則で記述されるべきことを示している. 入射器トンネルは比較的浅い深さにあり、床面変動は地面変動というより、建屋変形の影響を通した間接的な変動を見ることになるのでさらに複雑である. 建屋変形を全長に渡り、同期して直接的に計測するのは困難なので、その代わりに環境温度を計測することで、何らかの知見が得られないかというのが今回の狙いである. 入射器において環境温度の計測を開始したので、ここでは中間報告を兼ねて第一報を報告する. |
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WEP136 p.740 | KEK入射線形加速器トンネルの長周期床変動 Measurement of long-period floor movement in the KEK injector LINAC tunnel ○田中 窓香,肥後 肥後寿泰,柿原 和久,諏訪田 剛,榎本 嘉範(KEK),牛本 信二,水川 義和,久積 啓一(三菱電機システムサービス) ○Madoka Tanaka, Toshiyasu Higo, Kazuhisa Kakihara, Tsuyoshi Suwada, Yoshinori Enomoto (KEK), Shinji Ushimoto, Yoshikazu Mizukawa, Keiichi Hisazumi (Mitsubishi Electric System & Service) KEK電子陽電子入射器は現在SuperKEKBへの入射運転を始めている。SuperKEKBでは、エミッタンスの増大を抑制するために高精度のアラインメントが要求されている。入射器のアラインメント計測基準は500 mにわたるレーザーで定義される。架台に組み込んだ4分割型シリコンフォトダイオードでレーザーの位置を検出することにより、架台の基準に対する位置を評価できる。これまでの計測から床面が長期変動することが分かってきているので、初期アラインメント後はこの変動によるミスアラインメントを抑えることが必要である。この床変動は、同じシステムで継続的に計測してきており、年変動やトンネル内の場所依存性などが見えてきている。本稿では、一年以上の長期にわたる計測結果を元に、この変動の特徴を解析したので、その報告をする。 |
電子加速器 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP001 p.744 | P型及びN型半導体基板上でのCsK2Sb光陰極生成実験 CsK2Sb photocathode experiment on P-type and N-type semiconductor substrates ○郭 磊,加藤 政博(分子科学研究所 UVSOR ) ○Lei Guo, Masahiro Katoh (Institute for Molecular Science UVSOR ) リング型光源はシンクロトロン放射がビーム性能を制限することから、最先端の素粒子物理学や放射光科学では線形加速器の利用が注目されている。線形加速器では、高性能な電子銃により生成された高品質電子ビームの性能を劣化させることなく加速することで、リング型加速器では実現の難しいビーム性能へ到達できる可能性がある。電子ビーム利用の高度化にともない、短パルス性、コヒーレンス、低エミッタンス、高いスピン偏極など、高性能電子ビーム源が求められている。短パルスレーザーとフォトカソードによる電子ビーム生成はこのような要望にこたえるものとして、注目されている。CsK2Sbは多アルカリ陰極の一つであり、低エミッタンス、高耐久性、高量子効率など、最先端光源である連続大電流FEL(Free Electron Laser)などの実現に必要な、多くの特長を持っている。CsK2Sbカソード性能は、基板の表面状態(酸化など)に依存することはよく知られている。この結果は、基板材料やその他の特性がカソード性能に影響することを示唆している。本研究では、カソード性能の半導体基板の型依存性に注目し、P型とN型のSi(100)、Si(111)基板に生成したカソード性能を評価し、その結果を報告する。 |
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THP002 p.748 | SuperKEKBコミッショニングにおけるビーム光学の調整 Beam optics tuning in SuperKEKB commissioning ○杉本 寛,大西 幸喜,森田 昭夫,小磯 晴代(KEK) ○Hiroshi Sugimoto, Yukiyoshi Ohnishi, Akio Morita, Haruyo Koiso (KEK) SuperKEKBは電子-陽電子の衝突型円形加速器であり、設計ピークルミノシティはKEKB加速器の40倍の8x10^35 cm^-2s^-1である。ビームコミッショニングは三つの期間(Phase-1,2,3)に分けられ段階的に行われる。2016年の2月から6月にかけて実施されたPhase-1運転はビーム衝突のない調整期間であり、各種機器の立ち上げ、ビームパイプの真空焼きだし、低エミッタンス調整などが行われた。Phase-1運転終了後、ビームを衝突点で絞るための最終収束系のインストール期間を経てコミッショニングの第二段階であるPhase-2運転を2018年3月から開始した。各種ビーム調整の結果、4月26日にSuperKEKB加速器として初めてのビーム衝突を確認した。SuperKEKBでは所謂、砂時計効果を抑えつつ衝突点でのビームサイズをバンチ長以下に絞るためにナノビームスキームを採用している。ナノビーム方式によるビーム衝突は世界初の試みであり、その実証がPhase-2コミッショニングの大きな達成目標となる。そのために現在ベータ関数を絞り込むための調整運転が進んでいる。ベータ関数を絞り込むためにはより精細なビーム光学の調整が不可欠となる。本学会ではPhase-2運転における各種ビーム光学の測定及び補正の結果に関して報告する。 |
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THP003 p.753 | SuperKEKB ビーム最終集束用超伝導電磁石(QCS)冷却システムの試運転 Commissioning of the SuperKEKB final focusing SC magnet cryogenic systems ○宗 占国,大内 徳人,川井 正徳,近藤 良也,有本 靖,王 旭東,山岡 広,青木 香苗,植木 竜一,土屋 清澄(KEK),遠藤 友成(株式会社 日立プラントメカニクス) ○Zhanguo Zong, Norihito Ohuchi, Masanori Kawai, Yoshinari Kondou, Yasushi Arimoto, Xudong Wang, Hiroshi Yamaoka, Kanae Aoki, Ryuichi Ueki, Kiyosumi Tsuchiya (KEK), Tomonari Endou (Hitachi Plant Mechanics Co., Ltd.) SuperKEKB加速器ビーム衝突点では、電子・陽電子ビームを集束させビームの衝突頻度を上げるための最終集束用超伝導電磁石QCS-L・QCS-Rシステムが設置された。QCS超伝導電磁石システムの冷却は、TRISTAN加速器及びKEKB加速器で使用していた冷凍能力250 W(4.4 Kで)のヘリウム冷凍システムを2基使用し、QCS-L/Rを其々単独で冷却を行う。2016年8月~12月に衝突点左側のQCS-Lクライオスタットをビーム衝突点に設置・冷却システムの建設・冷却励磁試験を行った。2017年2月から衝突点右側のQCS-Rクライオスタットをビームラインに据付け、ヘリウム冷凍機との結合・冷却システムの建設等を3月に完了した。QCSの両システムは2017年5月~8月に冷却試験・励磁試験・磁場測定を実施した。本発表では、QCS超伝導電磁石冷却システムの試運転とQCSクライオスタット熱負荷測定にについて報告する。 |
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THP004 p.758 | SuperKEKB,陽電子ダンピングリング及びPF-ARの人的安全システム Personal protection system for SuperKEKB, Positron Damping Ring and PF-AR ○三増 俊広(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshihiro Mimashi (KEK) KEKB加速器停止後、SuperKEKB,PF-AR及び陽電子ダンピングリングのための人的安全システムは、大幅に更新された。 人的安全を確保するためのシーケンサシステム、それらの状態を監視するためのEPICSに基づいたモニターシステム、データロギングシステム等について述べる。また、これらの更新は、何年にも渡って行われたが、その間も、各々の加速器は、運転中であったり、建設中であったりしたのだが、その間も放射線管理区域の入退域管理は、継続し続けなくてはいけなかった。これをどのように進めたかも、述べていきたい。 また、KEKB運転時は、PF-ARへのビーム入射とKEKBへのビーム入射は、お互いに排他的であったが、SuperKEKBでは、同時に入射することが可能になり、安全システムもそれに対応できるように変更された。新しい論理体系についても、述べていきたい。 |
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THP005 p.763 | SuperKEKB phase IIでのRF電子銃用Yb/Ndハイブリッドレーザーシステム Yb/Nd hybrid laser system for RF gun in SuperKEKB phase II ○張 叡,周 翔宇(高エネルギー加速器研究機構),熊野 宏樹,豊富 直之(三菱電機),吉田 光宏(高エネルギー加速器研究機構) ○Rui Zhang, Xiangyu Zhou (KEK), Hiroki Kumano, Naoyuki Toyotomi (MSC), Mitsuhiro Yoshida (KEK) According to the demands for linac electron beam and basing on the experience of phase I commissioning, an Yb/Nd hybrid laser system is achieved for SuperKEKB phase II commissioning. Yb-doped fiber oscillators and amplifiers are used to generate stable seed laser for Nd:YAG rod amplification part. In order to generate about high electron charge and guarantee smooth and continuous injection during phase II commissioning, two Nd:YAG amplification lines are built. One laser beam or two laser beams injection mode can be selected for RF gun. By using of current laser system, 3.3 nC electron charge is generated successfully by using of two laser beams injection mode. And about 2.3 nC electron charge is prepared for injection to HER for SuperKEKB phase II commissioning. On the other hand, one laser injection mode generates 2.4 nC electron charge in RF gun and 1.5 nC at the end of linac. Meanwhile, the horizontal and vertical emittance are 50 μm and 50 μm respectively. Both of them fulfil the requirements of phase II for electron beam. |
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THP006 p.768 | Development of the Pulsed Magnetic Kicker for the Spiral Injection Test Experiment ○Muhammad Abdul Rehman (The Graduate University for Advanced Studies), Hiromi Iinuma (Ibaraki University), Hisayoshi Nakayama, Satoshi Ohsawa, Kazuro Furukawa, Hiromi Hisamatsu, Tsutomu Mibe (The High Energy Accelerator Research Organization) A new muon g–2/EDM experiment at J-PARC (E34) is under preparation in order to resolve a 3 sigma discrepancy of muon anomalous magnetic dipole moment between the measurement and the standard model prediction. The E34 experiment will employ a unique three-dimensional spiral injection scheme in order to store the muon beam into a small storage orbit. In order to demonstrate the feasibility of novel injection scheme, the Spiral Injection Test Experiment (SITE) with the electron beam is under construction at KEK Tsukuba campus. The goals of the SITE are divided into two phases. In SITE, 80 keV DC electron beam was injected at forty degree into the storage magnet, and detected as a fluorescent light due to the de-excitation of the nitrogen gas. The pulsed electron beam, and a pulsed magnetic kicker are developed in order to keep the pulsed beam to the very center of the storage magnet. The magnetic kicker mainly produced the radial field to reduce the pitch angle of the injected beam to keep the beam at storage region. In this poster, the development of magnetic kicker for the STE is presented. |
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THP007 p.773 | Local Orbit Bumpを用いたSuperKEKB最終収束光学系の誤差評価 Error estimation of SuperKEKB final focus optics by using local orbit bump ○森田 昭夫,小磯 晴代,杉本 寛,大西 幸喜(KEK) ○Akio Morita, Haruyo Koiso, Hiroshi Sugimoto, Yukiyoshi Onishi (KEK) SuperKEKBは、Belle II実験のためのB中間子生成を主目的とした電子・陽電子衝突加速器であり、衝突点無しの加速器本体の基本性能確認のために2016年2月から6月にかけて行われたPhase-1コミッショニングに続き、2018年3月19日より衝突実験用の最終収束光学系を導入したPhase-2コミッショニングが行われている。 新たに導入された超伝導四重極電磁石による最終収束光学系を調べるためにビーム蓄積成功後の比較的初期の段階で、衝突点を含むLocal Orbit Bumpを立てた際の軌道応答を光学モデルと比較することで、最終収束光学系の誤差評価を行った。 Local Orbit Bumpを用いた誤差評価の結果とインストール前に行われた磁場分布の測定結果やその後に行われた光学系の測定・補正で適用された補正量との比較を報告する。 |
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THP008 p.777 | SuperKEKB入射器のノイズ対策 Noise countermeasure of SuperKEKB injector linac ○矢野 喜治,明本 光生,荒川 大,片桐 広明,川村 真人,Qiu Feng,中尾 克巳,中島 啓光,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子(高エネルギー加速器研究機構) ○Yoshiharu Yano, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Qiu Feng, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) 高エネルギー加速器研究機構の電子陽電子入射器は1982年にPFリングの電子入射器として稼働を開始した。その後1986年にTRISTANの電子陽電子入射器として、1998年にKEKBの入射器として、2016年にSuperKEKBの入射器として増設と改造を進めてきた。SuperKEKBが必要とするエミッタンスの小さなビームを加速するにはこれまで以上に高精度かつ高安定なRFが必要とされるためIQ変調器、IQ検出器、FPGAで構成した小型励振器とIQ検出器、FPGAで構成したRFモニターを開発、運用している。入射器には60台の高周波電源があり様々な改造をするたびに新たなノイズ対策を行ってきた。今回の改造でモニターの感度が上がったためこれまで分からなかったノイズが観測されるようになった。また、ノイズ調査の過程で入射器ギャラリーのアースにも問題があることが分かった。ここではこれら現時点でわかっている問題点を解決するために取った対策を報告する。 |
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THP009 p.781 | ILCビームダンプの設計 Beam Dump Design of International Linear Collider ○森川 祐,奥木 敏行,照沼 信浩(高エネ研) ○Yu Morikawa, Toshiyuki Okugi, Nobuhiro Terunuma (KEK) ILC(国際リニアコライダー; International Linear Collider)にはビームを安全に吸収・冷却する装置であるビームダンプが全体で15基あり、受け入れるビームの特性に合わせて個別に設計されている。例えば、ビームダンプの中でも最大のビームパワーを受けるのは、ビームライン最下流に設置されるメインビームダンプであり、将来の可能性を考慮して最大17MWのビームの入射を想定している。このメインビームダンプでは17MWものビーム熱を吸収・熱輸送し続けるためにビーム吸収体を水として設計している。また、陽電子生成用のアンジュレーター光を受けるフォトンダンプでは、ビームパワーとしては120kWであるが、光子ビームであるためにビームサイズを広げることができず発熱密度が高くなる。よってこのフォトンダンプでは発熱密度を下げるために低原子番号素材のグラファイトをビーム吸収体として設計を進めている。 ビームダンプの設計では主にシミュレーションを通して構造の最適化を進めている。ビーム熱や放射線ダメージの評価については高エネルギー放射線と物質の相互作用を評価するモンテカルロ計算コード(FLUKA)を利用し、このFLUKAで評価したビーム熱分布を用いて汎用有限要素解析ソフト(ANSYS)で温度分布や応力の評価を行っている。 今回はこれらILCビームダンプの設計概要と構造評価について報告する。 |
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THP010 p.786 | 北海道大学向け電子線形加速器システムの製作 Production of the electron linear accelerator system for Hokkaido University ○重岡 伸之(三菱重工機械システム) ○Nobuyuki Shigeoka (MHI Machinery Systems, Ltd.) 北海道大学では2015年度より段階的に中性子発生用ライナックの更新計画を実施されており、 弊社は初年度に入射器となるSバンドの電子銃付きサイドカップル管1台、2016年度に 加速器制御システムおよび初段の加速を行うSバンドのディスクロード型3m加速管1台を 納入してきた。 2017年には更新工事が本格的に開始し、弊社では導波管系およびビームダクトや プロファイルモニターなどのビームライン機器を製作し、12月からは現地において 機器類の設置工事を実施した。 2018年4月には電気配線工事を完了しており、 5月より調整運転作業を実施し、6月には北大の中性子ターゲットへの電子ビーム到達を 確認できる予定である。 詳細は年会にて報告する。 |
ハドロン加速器 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP011 p.790 | J-PARC主リングにおける縦方向エミッタンス増大のための加速空胴および入力カプラの電磁場設計 Design of accelerating cavity and input coupler for longitudinal emittance blow-up in J-PARC MR ○森田 裕一,長谷川 豪志(高エネ研),山本 昌亘(原子力機構),吉井 正人(高エネ研) ○Yuichi Morita, Katsushi Hasegawa (KEK), Masanobu Yamamoto (JAEA), Masahito Yoshii (KEK) J-PARC主リングの遅い取り出しでは、ビーム粒子数の増加に伴って、デバンチ時のビーム不安定性が表れてきている。ビーム入射時に縦方向のエミッタンスを増大することが不安定性抑制に有効であることが確認されている。さらなるビーム増強のためには効率的な縦方向エミッタンスの増大が求められる。対策の一つとして~100 MHzの高周波加速空胴の導入が挙げられる。高周波加速空胴の励振周波数に位相変調をかけることにより縦方向エミッタンスを増大することができる。本報告では縦方向エミッタンス増大のための加速空胴と入力カプラの電磁場設計について述べる。 |
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THP012 p.794 | J-PARC 遅い取り出しのためのマルチグラフェンリボンを用いたビームプロファイルモニター Beam profile monitors for slow-extracted beam using multi-layered graphene in the J-PARC ○橋本 義徳,外山 毅(KEK/J-PARC),村上 睦明,立花 正満,多々見 篤,村島 健介(株式会社 カネカ),冨澤 正人,武藤 亮太郎,堀 洋一郎,魚田 雅彦(KEK/J-PARC),酒井 浩志,遠藤 正之(三菱電機システムサービス) ○Yoshinori Hashimoto, Takeshi Toyama (KEK/J-PARC), Mutsuaki Murakami, Masamitsu Tachibana, Atsushi Tatami, Kensuke Murashima (KANEKA), Masahito Tomizawa, Ryotaro Muto, Yoichiro Hori, Masahiko Uota (KEK/J-PARC), Hiroshi Sakai, Masayuki Endo (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd) J-PARC 遅い取り出しでは、厚み1.2 ミクロンの多層グラフェンフォイルを幅1mm のリボンを20ch 並べたターゲットを用いて、陽子ビーム衝突で発生する各チャンネルの2次電子電流を高感度に計測することで、スピル時間約2秒におけるリアルタイムのビームプロファイルを検出している。これにより、遅い取り出しにおけるビームダイナミクスへの有用な情報を提供できる。本報告では、ターゲット、ハードウエア、高感度電流アンプ、DAQシステムに関して、及び計測したビームプロファイルを紹介する。 |
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THP013 | LLFP核種の核変換のための大強度小型サイクロトロンの概念検討 Conceptual design of high-intensity compact cyclotron for transmutation of long-lived fission products ○武田 佳次朗,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,土岐 博,関 亮一,安田 裕介,中尾 政夫,畑中 吉治,原 周平,Koay Hui Wen,森田 泰之,原 隆文(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊,松田 洋平(東北大CYRIC),涌井 崇志(QST放医研),宮脇 信正,倉島 俊(QST高崎研) ○Keijiro Takeda, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Hiroshi Toki, Ryoichi Seki, Yusuke Yasuda, Masao Nakao, Kichiji Hatanaka, Shuhei Hara, Hui Wen Koay, Yasuyuki Morita, Takafumi Hara (RCNP, Osaka Univ), Tsutomo Shinoduka, Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda (CYRIC, Tohoku Univ), Takashi Wakui (QST, NIRS), Nobumasa Miyawaki, Satoshi Kurashima (QST, Takasaki) 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)では、核変換による長寿命核分裂生成物(LLFP)の大幅な低減・資源化を目指しており、加速器によるLLFP核変換システムの提案が求められている。LLFP核変換のためには、ビーム強度1A、重陽子エネルギー100MeV/u、エネルギー効率30%以上を達成する加速器の開発が必要とされる。核変換用大強度加速器の有力な候補として線形加速器とサイクロトロンの検討を進めており、大阪大学核物理研究センターではビームパワー2MW以上かつビーム強度10mA以上のサイクロトロンを100台導入することによって1A相当の強度を実現する大強度かつ小型のサイクロトロン開発を検討している。多数の加速器を並列に運転することにより、トラブルやメンテナンス等による運転停止のリスクを軽減し安定的にビームを供給することが可能になる。10mA以上の高強度重陽子ビームを加速するためには、加速空洞のハイパワー化と高電圧化、入射部及び初期加速段階の空間電荷効果対策、ビーム引出時の高効率化などが問題となる。エネルギー効率の向上においては、電磁石と加速空洞の省電力化が課題である。本発表では、核変換用サイクロトロンの技術的課題に対するこれまでのスタディとともに、今後検討するべき課題について報告する。 |
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THP014 p.799 | J-PARC MRにおけるビーム強度増強についての検討 Study on the beam intensity upgrade of J-PARC MR ○五十嵐 進,大見 和史,佐藤 洋一(高エネルギー研) ○Susumu Igarashi, Kazuhito Ohmi, Yoichi Sato (KEK) 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リング(MR)のビーム強度増強について、シミュレーションによる検討を行った。MRはニュートリノ実験のために現在 485 kWのビームパワーで30 GeVの陽子を供給している。繰り返し周期は 2.48 s で、取り出し時の陽子数は 2.5E14 protons per pulse (ppp) としている。将来、ビームパワーを 1.3 MW とすることを検討しており、繰り返し周期は 1.16 s とし、取り出し時の陽子数は 3.3E14 ppp として、目標を達成することを考えている。繰り返しを速くするために、電磁石電源、高周波加速空洞などの検討が行われている。それに加えて、加速陽子数を 30 % ほど増やす必要がある。大強度陽子加速器ではビームロスよる機器の放射化が大きな問題で、ビームロスの低減がビーム強度増強において重要となっている。空間電荷効果を考慮した粒子トラッキングプログラムSCTRを用いて大強度陽子加速についてのシミュレーションを行った。現在のビーム強度でのビームロスについてシミュレーションで再現性を確認し、将来のビーム強度でのビームロスの予想を行った。ビームロスの原因としてベータトロン振動における構造共鳴の影響を考慮して、ビームロスの低減について検討した。 |
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THP015 p.803 | 自動サイクロトロン共鳴加速原理の陽子加速器への応用 Application of the cyclotron auto-resonance acceleration to a proton accelerator ○原 隆文,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,中尾 正夫,安田 裕介(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊,松田 洋平(東北大CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正,涌井 崇志(QST) ○Takafumi Hara, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Masao Nakao, Yusuke Yasuda (RCNP,Osaka,univ), Tsutomu Shinoduka, Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda (CYRIC,Tohoku,univ), Shun Kurashima, Nobumasa Miyawaki, Takashi Wakui (QST) 初期時進行癌治療への利用が期待されている短寿命RIを大量かつ安価に製造するため、高い電力効率を持つ大強度加速器の開発が求められている。大阪大学核物理研究センターでは、新しい加速技術である自動サイクロトロン共鳴原理を陽子やヘリウムイオンの加速に適用した加速器の開発を目指している。自動サイクロトロン共鳴は、Yale大学のHirshfield教授によって開発された加速技術である。一般のサイクロトロンでは荷電粒子を平面に渦巻き状の軌道に沿って移動させる。一方で、自動サイクロトロン共鳴はジャイロトロンなど高周波電磁波の発生に用いられているサイクロトロン共鳴の逆過程であり、荷電粒子が高周波電磁波によって螺旋状の軌道を描くことによって加速を行う。 そのため一般的なサイクロトロンと比べバンチ間の距離が長くなることで空間電荷効果を抑制することができ、大強度ビームの加速が可能となる。過去に電子ビームを加速した実験では、96%という高いエネルギー効率を達成しており、陽子や軽イオンに適用できればRI製造に適した極めて高い電力効率を持つ大強度加速器を実現することが可能になる。本発表では、自動サイクロトロン共鳴を陽子や軽イオンに適用した小型加速器の構成及び仕様等の概念検討の状況について報告する。 |
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THP016 p.806 | J-PARC 3GeVシンクロトロンにおけるレーザー荷電変換入射実現に向けた原理検証実験の進捗状況 Progress status of proof-of-principle demonstration of 400 MeV H- laser stripping at J-PARC 3-GeV RCS ○サハ プラナブ クマル,原田 寛之,三浦 昭彦,吉本 政弘,菅沼 和明,金正 倫計(原子力機構, J-PARC),佐藤 篤(NAT),山根 功,入江 吉郎,劉 勇(KEK),井上 峻介(京大, 化研),米田 仁紀,道根 百合奈(電通大, レーザー研) ○Pranab Kumar Saha, Hiroyuki Harada, Akihiko Miura, Masahiro Yoshimoto, Kazuaki Suganuma, Michikazu Kinsho (JAEA, J-PARC), Atsushi Sato (NAT), Isao Yamane, Yoshiro Irie, Yong Liu (KEK), Shunsuke Inoue (Kyoto U., ICR), Hitoki Yoneda, Yurina Michine (UEC, ILS) In the 3-GeV RCS of J-PARC, a POP (proof-of-principle) demonstration of 400 MeV H- (negative hydrogen) stripping to protons by using only lasers is under preparation. The laser stripping of H- holds the promise of overcome and eliminating the short lifetime, unexpected foil failure and also extremely high residual radiation at injection area associated with stripper foil conventionally used for the H- stripping injection. In the 3 steps process of our newly proposed method, the H- at first is neutralized to H0 by using a Nd:YAG laser of 1064 nm. An ArF excimer laser of 193 nm is then used for ground state (n=1) H0 exciting up to 3rd (n=3) states producing H0*. Finally the H0* is stripped to protons in the 3rd step again by using a Nd:YAG laser. The POP experimental studies will be conducted at the end section of J-PARC Linac. The vacuum chamber for the experiment has already been installed. The R&D studies of the lasers as well as H- manipulation are also in progress. We will apply multiple approaches and experimental techniques to increase stripping efficiency. The present progress status, detail of experimental strategy and the plans are presented. |
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THP017 p.811 | レーザー荷電変換入射の原理実証実験に向けたレーザーシステムの開発 Development of laser system for a proof of principle of laser stripping injection ○原田 寛之,サハ プラナブ クマル,菅沼 和明,金正 倫計(原子力機構, J-PARC),井上 峻介(京大, 化研),米田 仁紀,道根 百合奈(電通大, レーザー研),佐藤 篤(NAT),山根 功,入江 吉郎(KEK) ○Hiroyuki Harada, Pranab Kumar Saha, Kazuaki Suganuma, Michikazu Kinsho (JAEA, J-PARC), Shunsuke Inoue (Kyoto U., ICR), Hitoki Yoneda, Yurina Michine (UEC, ILS), Atsushi Sato (NAT), Isao Yamane, Yoshiro Irie (KEK) 大強度陽子加速器では、線形加速器で加速された負水素イオンの2つの電子を円形加速器の入射点に設置された荷電変換用炭素膜にて剥ぎ取り、陽子へと変換しながら多周回にわたり入射することで、大強度陽子ビームを形成している。この入射手法は、大強度の陽子ビームを生成できる反面、周回する陽子ビームが膜への衝突を繰り返すことで、ビーム自身が散乱され制御不能なビーム損失が原理的に発生する。加えて、大強度出力ではビームの衝突時の熱や衝撃による膜の破壊が生じる。大強度陽子ビームの出力や運転効率は、このビーム損失による残留線量や膜の寿命による制限が懸念される。そのため、さらなる大強度出力には炭素膜を用いた荷電変換入射に代わる新たな入射手法が必要となる。J-PARC 3GeVシンクロトロンでの設計出力を超える大強度化に向けて、レーザーにて電子剥離を行う「レーザー荷電変換入射」を新たに考案した。その原理実証実験に向けて、レーザーシステムの開発を進めている。本発表では、レーザー荷電変換入射の概要を紹介し、レーザーシステムの開発状況を報告する。 |
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THP018 p.816 | 回転機器グリス補給周期及び振動測定の考察 CONSIDERATION ON GREASE SUPPLY CYCLE AND VIBRATION MEASUREMENT OF ROTATING EQUIPMENT ○藤来 洸裕,菅沼 和明,山崎 良雄(原子力機構 J-PARC) ○Kosuke Fujirai, Kazuaki Suganuma, Yoshio Yamazaki (JAEA J-PARC) 回転機器の保守管理の一部でメーカー推奨の周期で回転機器ベアリング部にグリス補給を行っている。しかし、グリスの補給時期より早い段階で異音が発生しており、今までのグリス補給の周期では回転機器の性能維持に合わないのではないかと疑問に思った。そこで、グリスの減りで発生する異音がどのタイミングで起きるのか、ある冷却水循環ポンプに取り付けられている振動センサーの値を詳細に調査した。振動センサーで出力された振動値の絶対値は、設備を止めるほどの大きさではないがグラフにしてみたところ、振動値が変化するタイミングを確認することが出来た。今回の調査でグリス補給の周期が通常の補給周期では、遅いことが分かってきた。以上のことから、グリスの補給のタイミングは振動測定をすることで振動値が大きくなる前に予防保全的に対応できることが分かった。本発表では、測定した振動データとグリスの補給周期について報告する。 |
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THP019 p.819 | 理研AVFサイクロトロンのビームエネルギー増加のための改造とそれがもたらすビーム入射・取り出し効率への影響について Modification for increasing beam energy of RIKEN AVF cyclotron and its effect on injection and extraction efficiencies ○大西 純一,後藤 彰(理研仁科センター),小高 康照(東大原子核科学研究センター) ○Junichi Ohnishi, Akira Goto (RIKEN Nishina Center), Yasuteru Kotaka (CNS, University of Tokyo) 理研AVFサイクロトロンでは主にRI製造の多様化を目的として加速可能エネルギーを増加させるため、2017年9月に中心領域の電極構造の改造を行った。この結果、重陽子、ヘリウムなどM/Q = 2のイオンについては核子あたり12.5 MeVから14 MeV(加速ハーモニックH = 2)に、陽子については14 MeVからH = 1加速を行うことにより30 MeVに、それぞれビームエネルギーを増加させることに成功した。改造後のこれまで約8ヶ月間に加速した約20種類のビームについてみると、改造前に比べて入射効率は向上したが、取り出し効率が悪くなる傾向があった。一方、RI製造に使用される、24 MeV重陽子あるいは29 MeVヘリウムについてはそれぞれ25 uAおよび30 uAの最高電流値を達成している。本発表では中心領域の改造および改造がもたらすビーム入射・取り出し効率への影響について、ビームシミュレーションによる分析結果とともに述べる。 |
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THP020 p.823 | RCNP AVFサイクロトロンの高強度化を目指した中心領域及び出射系の改良の検討 Study of improvement of a central region and an extraction system of the RCNP AVF cyclotron ○中尾 政夫,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,安田 裕介,畑中 吉治,森信 俊平,斎藤 高嶺(阪大RCNP) ○Masao Nakao, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Yuusuke Yasuda, Kichiji Hatanaka, Shunpei Morinobu, Takane Saito (RCNP, Osaka Univ. ) 大阪大学核物理研究センターのAVFサイクロトロン(K=140MeV)が生成したビームは原子核科学の研究のみならず応用研究のためにも利用されており、今後の核医学等の需要を満たすために高品質を維持しつつビームを高強度化することが求められている。そのために、イオン源の強度と入射電圧を向上させて低エミッタンス化を図ると同時に、1ターン当たりのエネルギー利得を増加させるために加速電極を現在の180度シングルDee電極から2つの90度Dee電極に更新する計画であるが、それに伴って中心領域や出射系も更新する必要があり、それらの設計を開始している。 設計に用いるシミュレーションプログラムとして、空間電荷効果を考慮に入れた多粒子の計算を行うことができるロシアJINRのSmirnov氏らが開発したSNOPプログラムと、スイスPSIで開発されたOPALプログラムを利用した。 本発表では、入射効率を最大化し、位相バンチングを可能とするような、インフレクター、ディー電極先端プラーの形状並びに、出射効率95%以上を可能にするデフレクター等の出射系についてシミュレーションを用いて設計・検討している状況を報告する。 |
光源加速器 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP021 p.826 | 次世代ガンマ線源のための帯域可変ガンマ線分光器の開発 Development of a variable-bandwidth monochromator for next-generation gamma sources ○羽島 良一,早川 岳人,静間 俊行,沢村 勝,永井 良治(量研),宮本 修治(兵庫県立大),松葉 俊哉(広島大) ○Ryoichi Hajima, Takehito Hayakawa, Toshiyuki Shizuma, Masaru Sawamura, Ryoji Nagai (QST), Shuji Miyamoto (U. Hyogo), Shunya Matsuba (Hiroshima U.) ブラッグ回折に基づく二結晶分光器はX線領域で広く用いられているが、短波長ほど角度アクセプタンスが小さくなるために、1 MeV 以上のガンマ線領域では実用的でなく、もっぱら、エネルギー分解型検出器を用いた分光実験が行われてきた。われわれは、低エミッタンス電子ビームを利用したレーザー・コンプトン散乱による次世代ガンマ線源(LCSガンマ線源)では、高輝度のガンマ線が得られるようになり、結晶分光器の利用も再検討するべきと考えた。そこで、LCSガンマ線源のビーム発散角にマッチしたアクセプタンスを持つ新たな回折素子として櫛歯型結晶を考案し、これを用いた二結晶分光器の開発をスタートした。本分光器は、モザイク結晶によるアクセプタンスの拡大にヒントを得て、櫛歯型に加工したシリコン結晶に振動を与えることでアクセプタンス(帯域)の拡大と可変性を得るものである。シリコン製結晶の製作に先立ち、アルミ製モックアップの試作、振動測定、有限要素法解析との比較を行った。これら結果を報告する。 |
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THP022 p.831 | cERLにおけるCDRテラヘルツビームラインの計画 Plan of terahertz beam line utilizing coherent diffraction radiation at cERL ○本田 洋介,高井 良太,島田 美帆,宮島 司,帯名 崇,山本 尚人,加藤 龍好,アリシェフ アレキサンダー(高エ研),布袋 貴大(総研大) ○Yosuke Honda, Ryota Takai, Miho Shimada, Tsukasa Miyajima, Takashi Obina, Naoto Yamamoto, Ryukou Kato, Alexander Aryshev (KEK), Takahiro Hotei (SOKENDAI) ERLは低エミッタンスで短バンチのビームを大電流で運転できる特長があり、大平均強度のテラヘルツ光源として利用できると期待される。大電流運転と両立する非破壊な放射過程として、偏向電磁石部からのシンクロトロン放射(CSR)やビーム近傍の金属面からの回折放射(CDR)が考えられる。特にCDRは、ラジアル偏光の特性をもち、光渦などと関連のある、いわゆるベクトルビームとしての性質があり、特徴的な光源となり得る。 cERLの周回部直線部に標的を導入し、テラヘルツ帯域のCDRを発生し、それを加速器シールドの外に予定される実験室まで輸送するビームラインの整備を検討している。ここでは、ビームラインの概念設計を示す。 |
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THP023 p.834 | 光源蓄積リングにおけるアボートビームの損失評価 Simulation study of abort beam loss at light source storage rings ○高雄 勝,早乙女 光一(高輝度光科学研究センター),下崎 義人(高エ研),田中 均(理研放射光科学総合研究センター) ○Masaru Takao, Kouichi Soutome (JASRI), Yoshito Shimosaki (KEK), Hitoshi Tanaka (RIKEN Spring-8 Center) 最近および次世代の光源蓄積リングでは、高輝度化のため低エミッタンスの大電流ビームが蓄積されており、これを廃棄する際には機器に損傷を与えないよう配慮する必要がある。また、より強い放射光発生のため、狭ギャップ真空封止挿入光源の利用が広がっており、IDの減磁防止のためアボートビームによるIDの損傷も評価しなければならない。通常、電子蓄積リングのビームアボートは加速RFをオフすることによって行われるが、エネルギー供給の途絶えた電子ビームは、シンクロトロン放射によりエネルギーを失っていき、真空容器内壁に衝突して失われる。この間、結合があると水平方向の変位は垂直方向に回り込み、アボートビームの一部はIDに衝突することがある。IDの減磁防止、機器保護のため、アボートビームの損失分布を詳細に評価する必要があり、現在のSPring-8蓄積リングと次世代光源リングに対して、particle tracking simulationによりこれを実施した。その結果、光源リングのlatticeパラメーターによっては強く結合共鳴が励起され、IDでの損失が増加することが分かった。ここでは、これら損失評価について報告する。 |
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THP024 p.838 | PFリングにおける可変偏光アンジュレータ:U#19の建設 Construction of a new elliptically polarizing undulator(U#19) at the Photon Factory ○土屋 公央,阿達 正浩,塩屋 達郎,江口 柊,加藤 龍好(KEK加速器) ○Kimichika Tsuchiya, Masahiro Adachi, Tatsurou Shioya, Shu Eguchi, Ryukou Kato (KEK Accelerator) PFリングでは直線部増強の改造により挿入光源のための直線部長が延長された。これらの直線部で使用されていた挿入光源は、新たに真空紫外から軟X線のアンジュレータとして更新されている。これらは全て可変偏光アンジュレータ(EPU)であり、これまでにU#16-1、U#16-2、U#02-2、U#13、U#28が建設されてユーザー運転に供されている。今回建設中のEPUであるU#19は、従来のBL19用リボルバー型アンジュレータから、様々な偏光状態をもった軟X線の散乱・分光実験やSTXM実験に使用されるU#19として生まれ変わる。U#19は延長された直線部を有効利用するために、周期長68mm、周期数55とPFリングで最も長いアンジュレータとなる。U#19はAPPLE-II型の磁石列配置を持ち、その目標光子エネルギー域は100eVから2keVである。このエネルギー域で様々な偏光状態を持った放射光を供する。PFリングのAPPLE-II型EPUは4列の磁石列が全て独立に動く構造を持ち、Gap間隔の変更による光子エネルギーの変更以外に、Gapを固定したまま上下または左右の磁石列をビーム進行方向にスライドさせて光子エネルギーを調整できる特徴を持っている。この方式では制御方式が簡単になるため、PFではAPPLE-II型EPUの制御方法としてAPU方式を採用しており、U#19も同様の運転を行う予定である。U#19の本体は既に完成し、2018年夏のPFリングインストールへ向けて磁場調整中である。本稿ではU#19の設計と建設状況について報告する。 |
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THP025 p.841 | 100ミクロンの欠陥を検査できるマイクロトロンCTシステムについて Microtron CT system detecting the 100um order size defects which is unable by Linac ○山田 廣成,尾崎 健人,前尾 修司,長谷川 大祐,山田 貴典(光子発生技術研究所) ○Hironari Yamada, Kento Ozaki, Shuuji Maeo, Daisuke Hasegawa, Takanori Yamada (Photon Production Laboratory Ltd.) More than one MeV X-ray energies are required to visualize the interior of an iron object above 8 cm thick. Especially when the 3D metal printing technology is prevalent, it is necessary to inspect internal defects of large structured metal objects. It shows how X-ray CT images using Microtron (MIC) indicate spatial resolution of 250 μm. In addition, a very good contrast visualizes the density distribution at a density of 0.1mg /cm^3. For example, Ti and Ti oxides can be identified by MIC-CT. Measurement of the density distribution is done with neutrons, but when the X-ray focal spot is on the order of 100 μm the Compton scattering is useful since the cross section is proportional to the electron density, so X-ray energy higher than 1 MeV is as good as neutron to see the density distribution. On the other hand the photoelectron scattering is proportional to the atomic number Z^4. High energy X-ray is useful to see the density distribution of low Z soft material too. So there is a big need for high-energy x-ray sources of micro focus size. We discuss how to minimize Microtron focus size. |
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THP026 p.846 | ニュースバルアップグレードの選択肢 Reformation Plans of NewSUBARU storage ring ○庄司 善彦(兵庫県立大学) ○Yoshihiko Shoji (University of Hyogo) ニュースバルはSPring-8施設内に設置されている兵庫県立大学の1~1.5GeV放射光用電子蓄積リングである.建設から20年以上が経過し,ハードウェアの老朽化だけでなく設計自体も旧式化している.更に入射器として使用中のSPring-8 linacのシャットダウンへの準備もあり,更新を考えるべき時期にある.すでに低エミッタンスラティス設計計算を行い,簡単ではあるが2017年の学会で報告した.ここでは更に実現可能性という観点からの検討の概略を報告する.ここで問題とする実現可能性とは,ハードウェアの整合性のみならず,予算規模や利用見通し等も含むものである. ニュースバルの建設及び運営母体は兵庫県立大学高度産業科学研究所であり,兵庫県の予算で運営されている.まとまった予算は厳しい中で,線形加速器シャットダウンへの対応も必要になる.予算上は蓄積リング本体のアップグレードを考える状況にないが,この大きな制限下で,可能な限り説得力のある案を考えなければならない.この報告は加速器科学的詳細設計ではなく,それ以前の段階における検討記録という位置付けである.交渉上の材料となるダミープランも含めて,複数のオプションを紹介し,そのメリットとデメリットを検討する. |
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THP027 p.850 | 日大共振器型FELにおける動的位相変調を用いた完全同期長発振シミュレーション Simulation of Zero-Detuning Oscillation from Dynamical Phase Modulation at Nihon U. Oscillator FEL ○住友 洋介,早川 恭史,早川 建,野上 杏子,境 武志,高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA) ○Yoske Sumitomo, Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U.) 日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)における共振器型FELでは、20 us程度のパルス幅の電子ビームを用いた発振により、パルスあたり数mJの可変波長赤外光を生成しユーザー利用として提供している。アンジュレーター内での電子ビームは発生光に対して遅延があるので、共振器長を電子ビーム間隔とは同期しない離調した状態にすることで、電子ビームとの相互作用が増え、発振が行いやすくなる。この為、普段の運転時には離調した状態が用いられている。これに対し、完全同期長においての発振は、電子ビームとの相互作用が少なくなるので、発振状態まで持っていくにはかなり長いパルスが必要となっていた。だが、発振が起これば高い利得となることから、高ピークパワー・短パルスの光を生成するには良い方法である。そこで、パルスの前半では離調状態で発振が行われるようにし、パルスの途中から位相変調を適切に印加し、電子ビーム間隔と共振器長が完全同期する状態にする方法を取る。この方法により、完全同期長においても発振状態を維持することができ、高いピークパワーで数サイクルのパルス幅の光が、20 us程度の電子ビームを用いてでも生成できることが期待できる。本発表では、LEBRA-FELにおいてその性能を確認するため、動的位相変調による共振器内の発振条件の変化を、時間依存3次元FELシミュレーションで見積もりその結果を報告する。 |
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THP028 p.854 | Investigation of coherent diffraction radiation in resonant conditions for developing of an intense monochromatic radiation source ○Alexander Aryshev, Sakae Araki (High Energy Accelerator Research Organization), Konstantin Artyumov (Tomsk Polytechnic University), Masafumi Fukuda (High Energy Accelerator Research Organization), Gennady Naumenko, Alexander Potylitsyn, Mikhail Shevelev, Leonid Sukhikh (Tomsk Polytechnic University), Nobuhiro Terunuma, Junji Urakawa (High Energy Accelerator Research Organization) The motivation for developing intensive THz source at KEK LUCX is coming from the growing interest to THz radiation from various scientific communities worldwide. High gradient photo-cathode RF gun and few tens of femtosecond laser system are used to generate a pre-bunched electron beam of a few hundred femtoseconds. We are investigating the production of the intense radiation beams in the range of 0.1-5 THz based on Coherent Smith-Purcell Radiation, CSPR in a single bunch and micro-bunched regime of the 8 MeV electron beam at KEK LUCX accelerator. CSPR is generated when a charged particle moves in the vicinity of a periodical pattern or grating. The grating type and period can be chosen to make quasi-monochromatic CSPR spectrum. When radiation wavelength is comparable to or longer than the bunch length it becomes coherent and even more, it enters a “super-radiant” regime if micro-bunch spacing became comparable with radiation wavelength which is comparable to the grating period. In this reports the status of the experiment, CSPR basic properties, and electron beam characterization will be presented. The maximum achievable THz power from both approaches will also be discussed. |
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THP029 | アンジュレータからの高次光の波面構造 Wavefront structure of harmonics radiation from undulators ○保坂 将人(名大SR),藤本 將輝,加藤 政博(分子研UVSOR) ○Masahito Hosaka (NUSR), Masaki Fujimoto, Masahiro Katoh (UVSOR) これまでアンジュレータからの放射光は中心軸上に放出される基本波および高次光が利用されてきた。一方、最近の研究によって円偏光アンジュレータからの高次光がその放射の中心を特異点とした螺旋状の波面を持つ光渦であることが明らかになっている。さらに円偏光アンジュレータだけではなく平面アンジュレータの偶数次の放射、さらにはタンデムアンジュレータのようなアンジュレータからの高次光も特異な波面構造をもつ。講演ではアンジュレータからの高次光の波面構造についてのシミュレーションによる計算結果を示し、さらにその利用方法について議論する。 |
ビームダイナミクス・加速器理論 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP030 | Chromaticity effects on head-tail instabilities for broadband impedance using two particle model, Vlasov analysis, and simulations ○Yong Ho Chin (KEK), Alex Chao (SLAC), Michael Blaskiewicz (BNL), Yoshihiro Shobuda (JAEA) Effects of the chromaticity on head-tail instabilities for broadband impedances are comprehensively studied, using the two particle model, the Vlasov analysis and computer simulations. We show both in the two particle model and the Vlasov analysis with the trapezoidal (semiconstant) wake model that we can derive universal contour plots for the growth factor as a function of the two dimensionless parameters: the wakefield strength, Υ, and the difference of the betatron phase advances between the head and the tail, χ. They reveal how the chromaticity affects strong head-tail instabilities & excites head-tail instabilities. We also apply the LEP (Large Electron-Positron Collider) broadband resonator model to the Vlasov approach and find that the results are in very good agreement with those of the trapezoidal wake model. The theoretical findings are also reinforced by the simulation results. The trapezoidal wake model turns out to be a very useful tool since it significantly simplifies the time domain analysis and provides well-behaved impedance at the same time. |
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THP031 p.858 | 大強度低エネルギービーム輸送系のためのビーム中性化シミュレーション Simulation of beam neutralization for high intensity low energy beam transport ○佐古 貴行,大崎 一哉,毎田 充宏,浅野 史朗(東芝エネルギーシステムズ),平田 洋介,春日井 敦(量研/六ヶ所) ○Takayuki Sako, Kazuya Osaki, Mitsuhiro Maida, Shiro Asano (Toshiba Energy Systems), Yosuke Hirata, Atsushi Kasugai (QST/Rokkasho) 国際核融合材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA)が日欧の国際共同プロジェクトとして実施されており、原型加速器(LIPAc: Linear IFMIF Prototype Accelerator)の建設・調整・コミッショニングが六ヶ所で進められている。LIPAcは、125mAの大電流ビームを9MeVまで加速するもので、入射器(イオン源)と高周波四重極線形加速器(RFQ)の間に設置されている低エネルギービーム輸送系(LEBT)では、空間電荷効果および入射器からのガス流入による空間電荷効果の緩和などの因子がビーム輸送に大きな影響を与える。しかしながら、一般的なビーム軌道計算コードには空間電荷の緩和(中性化)効果を定量的に計算する機能がないため、今回、粒子軌道計算コードWarpに断面積ベースの空間電荷緩和モデルを組み込み、その実現性の検討を開始した。発表では、LIPAc のLEBTを想定したWarpによるビーム計算および空間電荷効果緩和モデルの実現性について報告する。 |
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THP033 p.860 | テーパーXFELのシミュレーション Simulations on tapered XFELs ○尾崎 俊幸(高エネルギー加速器研究機構) ○Toshiyuki Ozaki (KEK) 生命分子の構造解明には、テラ・ワット級のXFELが必要である。 現状のXFELから出力アップする方法としてテーパー・アンジュレーターを利用することが提案され、近年、多くの論文がでている。 FELの出力が飽和した後、ビーム・エネルギー減少分とアンジュレーター磁場を、FEL共鳴条件を満たすように維持すると、さらに出力を増加させる事ができる。 この技術は、既に、1984-6年に、ELFの35GHzのFELで、テーパー・アンジュレーターを採用し1GWを達成した。その後、数件の実験がなされたが、短いテーパーである。 LCLS-2-HEでの長いテーパーアンジュレーターのデザインを考察する。その性能は、サイドバンド不安定性により制限される。このビーム不安定性を考察する。 |
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THP034 p.865 | 非線形ビームダイナミクス研究を目的とした改良型ポールトラップ A modified linear Paul trap for nonlinear beam-dynamics studies ○伊藤 清一,青木 将晃,檜垣 浩之,岡本 宏己(広大院先端) ○Kiyokazu Ito, Masaaki Aoki, Hiroyuki Higaki, Hiromi Okamoto (AdSM, Hiroshima Univ.) 加速器中を走行する荷電粒子ビームとイオントラップ中に捕捉されたイオン群(非中性プラズマ)の運動は空間電荷効果まで考慮しても物理的に等価である.従って,加速器ビームの運動を非中性プラズマを用いて模擬的に実験することが可能である.非中性プラズマを用いた実験には,パラメーターの制御性が高く,その可変範囲も広い,現象が眼前で進行するので観測が容易である,放射化の心配が無いなど数多くの利点がある. これまではイオントラップとして線形ポールトラップ(LPT)を主に採用してきた.LPTは四重極高周波電圧によりプラズマを断面方向に収束する.これは四重極磁場によるビーム収束と全く等価である.従って,高周波電圧の波形を変えることで四重極磁場で構成されるラティス構造を再現することが可能である.一方,加速器には四重極場に加え,これとは独立にビーム軌道補正用六極電磁石等の非線形場も存在する.四重極電極しか持たない標準的なLPTでは四極場と非線形場を独立に制御することが原理的に不可能である.従って,これら低次の非線形場を含むラティスを正確には再現することができない.我々は低次の非線形場が大強度ビームの運動に与える影響を調べるために,非線形場誘起用の補助電極付きLPTを開発した.改良型LPTの閉じ込め特性や初期的な非線形場励起実験の結果について報告する. |
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THP035 p.869 | サイクロトロンのハーモニック加速システムの位相バンチングの評価 Evaluation of phase bunching for a harmonic acceleration system in a cyclotron ○宮脇 信正(量研 高崎),福田 光宏(阪大RCNP),倉島 俊,柏木 啓次(量研 高崎) ○Nobumasa Miyawaki (QST Takasaki), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.), Satoshi Kurashima, Hirotsugu Kashiwagi (QST Takasaki) 位相バンチングは、サイクロトロンの第1加速ギャップにおける加速電圧波形の勾配を用いたエネルギー利得差による縦方向の加減速効果によって、ビームの時間幅を圧縮し、高強度ビームの入射による縦方向のビームの発散を抑制するための有効性に期待されている。しかしながら、磁極方向に自由な空間が無い従来の鉄心を用いるサイクロトロンでは、電極の幾何条件と加速粒子やその回転周期と加速RFの周期の比である加速ハーモニックス、加速電圧等の加速条件で決定される位相バンチングの発生条件が限定される。そこで、鉄ヨークを使用せず、高温超電導コイルの組み合わせだけで必要な磁場分布を作り出すことで比較的高い空間自由度を有する小型サイクロトロンを想定し、高調波励振用の加速電極を独立して配置し、ハーモニック加速電圧を生成することによって、継続した位相バンチング効果が得られるハーモニック加速システムを検討している。これにより、様々な条件の中心領域の電極形状に対して電圧波形の調整によって位相バンチング効果を得ることができる。また、高強度ビームの縦方向の空間電荷効果の発散力に応じた抗力は、基本波に対する高調波の相対位相と振幅により調整可能である。本発表では、小型サイクロトロンのいくつかの条件に対して、位相バンチングが得られる電極配置とハーモニック加速の最適な条件について報告する。 |
粒子源 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP036 p.873 | 粒子加速応用に向けプラズマフォーカス装置によってプラズマ速度及びビーム電流値に対する外部磁場への影響 Influence of an external magnetic field on the velocity profile and beam current in a plasma focus device for particle acceleration ○スパダベッキャ ウルデリコ,志村 尚彦,佐古 貴行(東芝エネルギーシステムズ),竹崎 太智,柿沼 啓太,志熊 良樹,高橋 一匡,佐々木 徹,菊池 崇志(長岡技術科学大学) ○Ulderico Spadavecchia, Naohiko Shimura, Takayuki Sako (Toshiba Energy Systems), Taichi Takezaki, Keita Kakinuma, Yoshiki Shikuma, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, Takashi Kikuchi (Nagaoka University of Technology) Experiments with a plasma focus device (PFD) are being carried out for the understanding of the accelerating mechanisms in collisionless shocks, as a candidate for a new particle accelerating method for beam therapy applications. The current configuration operates under vacuum conditions (0.1Pa) and is capable of achieving high plasma velocities above 40km/s under different electrode configurations. A combination of two external tapered electrodes and two internal electrodes of conical tip, allowed us to evaluate the influence of the inter-electrode area in the accelerating performance of the PFD. The present study evaluates the effect of an external magnetic field on the plasma flow and the resulting beam current profile. |
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THP037 p.877 | 小型ECRイオン源におけるマイクロ波2重加熱試験 Experiment of two frequency heating at Kei3 source ○村松 正幸(量研機構 放医研),濱田 滉太,加藤 裕史(大阪大学),北川 敦志(量研機構 放医研) ○Masayuki Muramatsu (QST-NIRS), Kouta Hamada, Yushi Kato (Osaka Univ.), Atsushi Kitagawa (QST-NIRS) 現在、世界的に粒子線治療施設の建設が予定されている。それらの計画の中では炭素以外のイオンを加速し、研究などに用いることが計画されている。これらの要求を達成するために、様々なイオンの供給を行えるECRイオン源(Kei3)の開発を行なっている。Kei3は、既存の炭素線がん治療装置用の小型ECRイオン源と同様の閉じ込め磁場を採用しているため、C4+に近いイオンを生成することが可能となる。Kei3ではこれまでに、バイアスディスク法、ガスミキシング法などを用いて、多種イオンの生成試験を行ってきた。 Kei3のマイクロ波源には、周波数帯域が8 – 10 GHz、最大出力が350 Wのxicom社製の進行波管アンプ(TWTA)が使用されている。マイクロ波は、WR-90の矩形導波管により、イオン源内に軸方向から導入される。今回はTWTAをもう1台追加し、マイクロ波2重加熱試験を行った。追加したTWTAの周波数帯域は10 – 18 GHzで、最大出力は250 Wである。こちらはWR-75の矩形導波管を用いており、WR-90と同様に軸方向から導入される。 ビーム試験の結果、TWTAが1台の時のAr7+の電流値は16.5 uAとなり、2重加熱とすると23.5 uAとなった。この時のマイクロ波の周波数は、10.33 GHz(既存TWTA)と14.4 GHz(追加TWTA)である。 |
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THP038 p.879 | J-PARCハドロン実験施設における新しい二次粒子生成標的の開発 (2) Development of new production target at J-PARC hadron experimental facility (2) ○高橋 仁,上利 恵三,秋山 裕信,青木 和也,広瀬 恵理奈,家入 正治,加藤 洋二,倉崎 るり,皆川 道文,森野 雄平,武藤 亮太郎,里 嘉典,澤田 真也,田中 万博,豊田 晃久,渡邉 丈晃,山野井 豊(KEK) ○Hitoshi Takahashi, Keizo Agari, Hironobu Akiyama, Kazuya Aoki, Erina Hirose, Masaharu Ieiri, Yoji Kato, Ruri Kurasaki, Michifumi Minakawa, Yuhei Morino, Ryotaro Muto, Yoshinori Sato, Shin'ya Sawada, Kazuhiro Tanaka, Akihisa Toyoda, Hiroaki Watanabe, Yutaka Yamanoi (KEK) J-PARCハドロン実験施設では、30GeVまで加速された一次陽子ビームを二次粒子生成標的に照射し、生成されるK中間子などの二次ビームを用いて、様々な素粒子・原子核実験を行っている。現在の標的が受け入れ可能な一次陽子ビーム強度は最大53kWであるが、それよりも高いビーム強度に耐えられる新しい生成標的を開発した。これは、基本的な構造は現在の標的と同じで、金を標的材とし、それに銅ブロックとステンレス配管を接合した間接水冷方式の標的であるが、銅ブロックの数を増やすことにより冷却効率を上げたものである。これまでの熱強度評価では、金のヤング率を用いて弾性解析を行っていたが、今回、金の引張試験によって得られた応力歪み曲線を用いて弾塑性解析を行った。応力の分類ごとに許容応力を定めて評価した結果、新しい生成標的は5.52秒サイクルで90kWの1次陽子ビーム強度まで耐えられることが分かった。 |
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THP039 p.883 | 普及型ECRイオン源における長期運転パラメータの検討 Investigation of a long term operation under the carbon ion production at compact ECR ion source ○鈴木 太久,髙橋 勝之,佐々野 利信,白石 直浩(加速器エンジニアリング(株)),村松 正幸(放射線医学総合研究所) ○Taku Suzuki, Katsuyuki Takahashi, Toshinobu Sasano, Tadahiro Shiraishi (AEC), Masayuki Muramatsu (QST) 放射線医学総合研究所(NIRS)では、2004年から重粒子線がん治療装置の小型化・低コスト化の研究が行なわれている。現在では群馬、佐賀、神奈川の3か所において実機が製作され治療運用されている。各施設では、永久磁石だけで閉じ込め磁場を形成するECR型イオン源(Keiシリーズ)を使用している。これらはNIRSに設置された試作機のKei2を基に設計されている。現在、普及型イオン源において引出電極に炭素由来の汚れが付着し、暗電流が増加してビーム供給が困難になる現象が発生している。原因として、多量のメタン(CH4)ガスをイオン源内に導入していることが考えられる。その対策として、異なる核種のガスをイオン源に導入するガスミキシング法が有効と考える。そこで、Kei2においてCH4とHeのガスミキシングを行い、CH4の量を減らした上で炭素ビーム強度を確保できるか試験を行った。また、ガスミキシングを用いた連続運転を行い、引出電極の暗電流の変化を測定した。試験の結果、Heを導入することにより元の供給パラメータより40 %程度CH4を減らしても320 μAのビーム電流を確保できた。また、連続運転を行うと30日間で通常時は3 mA程度流れる暗電流が、ガスミキシング時は2 mA程度と上昇が緩やかになる傾向が見られた。このことから、炭素を含むガスの量を減らすことで、長期運転に適したイオン源パラメータを作成できると考えられる。本稿ではそれぞれの試験とその結果について述べる。 |
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THP040 p.886 | イリジウム・セリウム光陰極材料の高性能化に向けた研究開発 Improvement of photoemission properties of iridium cerium ○佐藤 大輔,澁谷 達則,小川 博嗣,田中 真人,黒田 隆之助,豊川 弘之(産総研),吉田 光宏(高エ研) ○Daisuke Satoh, Tatsunori Shibuya, Hiroshi Ogawa, Masahito Tanaka, Ryunosuke Kuroda, Hiroyuki Toyokawa (AIST), Mitsuhiro Yoshida (KEK) 光陰極材料は、生成する電子ビームのパラメータや電子銃の種類によって、利用される物質が限られている。例えば、銅やマグネシウムといった商用の金属系光陰極材料は、半導体系光陰極材料と比較すると量子効率は低いが、比較的低真空環境下においても表面汚染に対して高い耐久性を持つため、長期連続運転が必須の大型電子加速器施設などでは積極的に利用されている。また、光応答速度がフェムト秒オーダーと速いため、超短パルスの電子ビーム生成が可能であり、新たな電子ビームの利用研究への期待が持たれる。 我々のグループでは、高エネルギー物理学実験用加速器や産業用加速器での運用を目指し、純金属よりも高量子効率かつ長寿命のイリジウム・セリウム光陰極に関する研究開発を行っている。本発表では、イリジウム・セリウム光陰極の基礎的な光電子放出特性の評価結果や高量子効率化・表面組成の均一化に向けた材料開発の現状について報告する。 |
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THP041 p.889 | J-PARC負水素イオン源の運転状況 Operation status of the J-PARC H- ion source ○大越 清紀,神藤 勝啓,南茂 今朝雄,柴田 崇統,池上 清,高木 昭,上野 彰(J-PARC),滑川 裕矢(日本アドバンストテクノロジー(株)),小栗 英知(J-PARC) ○Kiyonori Ohkoshi, Katsuhiro Shinto, Kesao Nanmo, Takanori Shibata, Kiyoshi Ikegami, Akira Takagi, Akira Ueno (J-PARC), Yuya Namekawa (Nippon Advanced Technology Co.,Ltd.), Hidetomo Oguri (J-PARC) 大強度陽子加速施設(J-PARC)リニアックのセシウム添加高周波駆動型(RF)負水素イオン源は、2014年9月から運転を開始して約3年半が経過した。運転開始当初、本イオン源はピークビーム電流33mAで約700hの運転サイクル(RUN)でビーム供給を行っていたが、徐々に運転サイクル時間を伸ばし、今年のRUN#78(2018年1月~4月)では45mAのビーム条件下で2,080hの連続運転に成功した。本イオン源は、2014年10月にアンテナ破損が1回発生した以降は特に深刻なトラブルはなく、安定に稼働している。 また、J-PARCでは現在、米国SNS (Spallation Neutron Source)施設で開発したRFアンテナを使用しているが、アンテナの自主開発も進めている。昨年、自主開発のアンテナの動作試験を実施し、SNSのアンテナと同程度の性能を得られたことを報告したが、今年3月からはオフラインで耐久性能確認を開始している。 本発表では、J-PARCのRF負水素イオン源の最近一年間の運転実績及び整備状況のほか、自主開発アンテナの耐久性能確認結果等について報告する。 |
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THP042 p.893 | CeB6電子銃の運転経験と今後の開発課題 Experiences and subjects of the CeB6 electron gun ○渡川 和晃(理化学研究所 放射光科学研究センター),馬込 保(高輝度光科学研究センター),稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理化学研究所 放射光科学研究センター) ○Kazuaki Togawa (RIKEN SPring-8 Center), Tamotsu Magome (JASRI), Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) 理化学研究所はX線自由電子レーザー(FEL)用の高輝度電子源としてCeB6熱電子銃を開発し、これまでに極端紫外FELのSCSS試験加速器およびXFELのSACLAにおいて12年間使用してきた。このようにCeB6電子銃は高輝度電子ビームを年間を通して安定に供給し続けているのであるが、より性能をグレードアップする為にはCeB6カソードの劣化問題など克服すべき課題が存在することも明らかとなってきた。本学会では、これまでのCeB6電子銃の運転経験をまとめて今後の開発課題について報告する予定である。 |
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THP043 p.896 | CeB6カソードの仕事関数測定装置の開発状況について Development status of the offline work function measurement system for CeB6 cathodes used in the electron gun of SACLA ○馬込 保(高輝度光科学研究センター),渡川 和晃,稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理化学研究所 放射光科学研究センター) ○Tamotsu Magome (JASRI), Kazuaki Togawa, Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center) A CeB6 thermionic cathode is used for the electron gun of the X-ray free-electron laser, SACLA. A CeB6 thermionic cathode is typically usable for an operation time of one year due to decrease in emission currents. Since work function is the most dominant factor in emission current, we have been developing an offline measurement system for work function of the CeB6 thermionic cathode under simulative conditions of the real electron gun to investigate mechanism of this cathode degradation. The developed system adopts the photoelectron yield spectroscopy using excitation lights from 410 to 709 nm in wavelength generated by a nanosecond tunable Nd:YAG laser system. The CeB6 thermionic cathode is kept in the temperature-limited region with an acceleration voltage of 3 kV DC and a cathode temperature of 1.2E+3 degrees Celsius to reproduce the natural decay of emission current found in the real electron gun. This condition makes it possible to observe a variation of the work function over the cathode degradation. In this paper, we report the development status of the work function measurement system. |
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THP044 p.900 | J-PARC中性子源ターゲット設備系気体吸収処理システムのための基礎的試験研究 Study of elemental tests for gas trap and treatment system of spallation mercury target system of J-PARC ○若井 栄一,木下 秀孝,涌井 隆,直江 崇,花野 耕平,根本 英幸,羽賀 勝洋,粉川 広行,高田 弘(原子力機構 J-PARCセンター),白石 啓宜,石川 幸冶,加藤 剣一,伊藤 剛士(化研) ○Eiichi Wakai, Hidetaka Kinoshita, Takashi Wakui, Takashi Naoe, Kouhei Hanano, Hideyuki Nemoto, Katsuhiro Haga, Hiroyuki Kogawa, Hiroshi Takada (JAEA J-PARC Center), Hiroki Shiraishi, Kouji Isikawa, Kenichi Kato, Tsuyoshi Ito (Kaken) J-PARC中性子源ターゲット設備の希ガス処理システムの高度化のための、モデル機のシステム検討とその試作機の製作を行った。本研究では、トリチウムなどの希ガス成分の低減率の評価を主に行った結果、本モデル機により、99.9%以上の水素系ガス成分を除去することができた。試作機の詳細等は、当日、発表を行う予定である。 |
加速構造 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP045 p.904 | ミューオン線形加速器APF方式IH-DTLプロトタイプの性能試験 Performance test of Inter-digital H-mode drift-tube linac prototype with alternative phase focusing for muon linac ○中沢 雄河,飯沼 裕美(茨城大),岩下 芳久(京大),岩田 佳之(放医研),大谷 将士,河村 成肇,三部 勉,山崎 高幸,吉田 光宏(高エネ研),北村 遼,安田 浩昌(東大),近藤 恭弘,長谷川 和男,森下 卓俊(原研),齊藤 直人(J-PARCセンター),須江 祐貴(名大),林崎 規託(東工大) ○Yuga Nakazawa, Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Yoshihisa Iwashita (Kyoto Univ.), Yoshiyuki Iwata (NIRS), Masashi Otani, Naritoshi Kawamura, Tsutomu Mibe, Takayuki Yamazaki, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Ryo Kitamura, Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo), Yasuhiro Kondo, Kazuo Hasegawa, Takatoshi Morishita (JAEA), Naohito Saito (J-PARC center), Yuki Sue (Nagoya Univ.), Noriyosu Hayashizaki (Tokyo Tech) BNL-E821実験において、ミューオンの異常磁気能率(g-2)の実験値は素粒子標準理論の予想値から3.7σの乖離を示しており、標準理論を超えた物理が期待されている。より高精度な測定のためにJ-PARCミューオンg-2/EDM実験では先行実験とは異なる手法での実験を計画している。超低速ミューオンを線形加速器により212MeVまで再加速することで低エミッタンスのミューオンビームを実現し、先行実験における系統誤差を減らして世界最高精度0.1ppmを目指している。実験の核となるミューオン線形加速器の技術開発として、APF方式を用いたIH-DTLの開発を進めている。現在、本試験におけるプロトタイプとしてのIH-DTLのデザイン、製造が完了している。IH-DTLプロトタイプは実機と同じ動作周波数324MHzであり、ミューオンをβ=0.08から0.15まで加速させる。さらに実機と同様にビーム収束用電磁石を用いず高周波電場のみで縦横両方向の収束を行うAPF (Alternating Phase Focusing) 法を採用している。シミュレーション計算による出力ビームのエミッタンスは、水平方向および垂直方向にそれぞれ0.312π mm mradおよび0.180π mm mradである。本講演では、設計の手順と製造過程の報告、さらに基本性能の試験の結果について述べる。 |
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THP046 p.909 | ニオブ9セル空洞VEPの研磨量分布改善法の開発と空洞性能の評価 Development of removal thickness distribution improvement method for Nb 9-cell cavity vertical electropolishing and evaluation of cavity performance ○仁井 啓介,Chouhan Vijay,井田 義明,山口 隆宜(マルイ鍍金工業株式会社),早野 仁司,加藤 茂樹,文珠四郎 秀昭,佐伯 学行,沢辺 元明(KEK),井藤 隼人(総研大),及川 大基(宇都宮大学) ○Keisuke Nii, Vijay Chouhan, Yoshiaki Ida, Takanori Yamaguchi (Marui Galvanizing Co., Ltd.), Hitoshi Hayano, Shigeki Kato, Hideaki Monjushiro, Takayuki Saeki, Motoaki Sawabe (KEK), Hayato Ito (Sokendai), Hiroki Oikawa (Utsunomiya University) マルイ鍍金工業ではこれまで、KEKと共同でニオブ加速空洞の縦型電解研磨(VEP)技術開発を行ってきた。9セル空洞のVEPにおいては、研磨量分布の不均一が発生し、セル間、セル内とも上側が下側に比べて研磨量が大きくなるという問題があった。これはEP中に空洞内で発生した気泡が空洞の上面に当たることにより発生していると考えられている。これらを改善するため、VEP中にカソードから発生した気泡をNinjaカソードのPVC円筒の内部に閉じ込めて素早く押し流す機構を開発し、クーポン空洞を用いてVEP実験を行った。結果、研磨表面は良好で、研磨量分布も従来に比べて大きく改善していることが確認された。またこの方法を用いて、1.3GHzニオブ9セル空洞(TB9-TSB02)のVEPと加速性能評価を実施したので、これらの結果を報告する。 |
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THP047 p.914 | J-PARC RFQの3次元RFシミュレーション用いた高周波設計とチューニング RF design and tuning of the J-PARC RFQ using three-dimensional modeling ○森下 卓俊,近藤 恭弘,小栗 英知,長谷川 和男(原子力機構),大谷 将士(高エネ研) ○Takatoshi Morishita, Yasuhiro Kondo, Hidetomo Oguri, Kazuo Hasegawa (JAEA), Masashi Otani (KEK) J-PARCリニアックでは、初段部において0.05~3MeVの負水素イオンビームの加速に高周波四重極(RFQ)リニアックを使用している。昨年度、予備機として新たにRFQを製作した。本機では、電極長手方向の電圧分布に勾配を持たせることで加速効率を向上させる設計を採用した。このような電圧分布を形成するためには空洞の断面形状を長手方向に変化させる必要があるため、形状設計にモジュレーションを含むフルモデルでの3次元RFシミュレーションを導入した。ここでは、電極寸法をパラメータ化し、設計電圧分布となるように形状最適化を実施した。また、低電力調整時には、本モデルにスタブチューナーを組み込み、電磁場シミュレーションにより求めた電圧分布への応答を用いてチューナーの挿入量を決定し、所定の電圧分布となるようにチューニングを実施した。本会では、空洞寸法の詳細設計プロセスと低電力調整結果について報告する。 |
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THP048 p.918 | Sバンド加速管の製作 Manufacture of S-band accelerating structure ○佐治 晃弘,井原 功介,町田 成紀,鈴木 達也,遠藤 克己((株)トヤマ),肥後 壽泰,惠郷 博文,榎本 嘉範,高富 俊和(KEK) ○Akihiro Saji, Kosuke Ihara, Akinori Machida, Tatsuya Suzuki, Katsumi Endo (TOYAMA), Toshiyasu Higo, Hiroyasu Ego, Yoshinori Enomoto, Toshikazu Takatomi (KEK) SuperKEKBではいよいよ電子・陽電子の衝突が始まり、今後高い積分ルミノシティを得るために、入射器には長期的に安定な運転が望まれている。この入射器は、KEKB時代から使用しているSバンド2m加速管で構成されているが、最近劣化した加速管が見られるようになり、修復が困難なものに替わる加速管の開発を行ってきた。本稿では、開発してきた加速管の設計及び製作について報告する。 |
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THP049 p.922 | CLICプロトタイプ加速管の高電界特性 High-gradient performance of CLIC prototype accelerating structures ○肥後 寿泰,阿部 哲郎,松本 修二,高富 俊和,東 保男(高エネルギー加速器研究機構),吴 晓伟(清華大学、中国) ○Toshiyasu Higo, Tetsuo Abe, Shuji Matsumoto, Toshikazu Takatomi, Yasuo Higashi (KEK), Xiaowei Wu (Tsinghua University, China) From 2009 until now, ten CLIC prototype X-band accelerating structures have been tested at Nextef of KEK aiming at studying the feasibility of the operation at 100 MV/m in the TW one-foot-long structures. Each test has been conducted for typically more than a few thousand hours at 50 Hz. In summarizing these tests, we observed the statistical nature of the vacuum breakdowns on top of the structure individuality and different conditioning reality. We observed and studied such physical properties as the dark current, breakdown rate, RF pulse shapes, and so on. By taking the advantage of the tests conducted in the same system for all of the structures, we compared among the tested structures to deduce the intrinsic features. In the present paper, we present the observed features, such as the reduction of breakdown rate, the relation of the dark current amount to the high-gradient performance and the statistical nature of the breakdown appearance, etc. to review the high-gradient characteristics in the TW high-gradient accelerating structures operated about 3 times higher than the gradient of today’s usual accelerators. |
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THP050 p.927 | 低損失誘電体の二次電子放出係数の測定 Measurement of the secondary electron-emission coefficient from low-loss dielectric materials ○森 紳悟,吉田 光宏(高エネ研),佐藤 大輔(産総研) ○Shingo Mori, Mitsuhiro Yoshida (KEK), Daisuke Satoh (AIST) 低損失誘電体の二次電子放出係数について議論する。 誘電体アシスト型高周波加速空洞は、高電界加速と高電力効率を両立可能な低損失誘電体を用いた新奇加速空洞である。 誘電体材料は、常伝導体に比べて高周波損失が小さく、高い耐電圧特性を持ち、低コストで制作可能である。 しかし、低損失誘電体材料は一般に高い二次電子放出係数を持ち、空洞内でのマルチパクタ現象による電力損失の急激な増加が課題となっている。 そこで我々は、局所的に誘電体材料の表面にTiNコーティングを行うことで、二次電子放出係数を下げることを試みた。 本講演では、TiNコーティングの前後における二次電子放出係数の測定実験の結果について議論する。 |
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THP051 p.931 | cERL入射器クライオモジュール冷却時の運転履歴 Operational record of cERL injector cryomodule during cool-down ○今田 信一,浅野 峰行,山田 浩気,泰中 俊介,石原 将治(日本アドバンストテクノロジー),加古 永治(KEK) ○Shin-ichi Imada, Mineyuki Asano, Hiroki Yamada, Shunsuke Tainaka, Shoji Ishihara (NAT), Eiji Kako (KEK) KEKでは、2013年からコンパクトエネルギー回収型ライナック(cERL)のビーム運転が行われている。cERLの入射器クライオモジュールは2セルの超伝導空洞を3台内蔵し、CWで運転され5MVまで電子ビームを加速する。これまでの運転から、3台の超伝導空洞において安定なビーム運転が行われた。また、空洞の性能劣化に対してパルスエージングが有効であることがわかった。本報告では、2013年から現在に至るまでの入射器クライオモジュールの運転状況について述べる。 |
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THP052 p.934 | C形導波管型HOMカップラーの開発 Development of HOM coupler with C-shaped waveguide ○沢村 勝,羽島 良一(量研機構),阪井 寛志,梅森 健成,許斐 太郎,古屋 貴章(高エネ研) ○Masaru Sawamura, Ryoichi Hajima (QST), Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Taro Konomi, Takaaki Furuya (KEK) C形導波管は同軸管と類似の構造を持っているが、遮断周波数を持ち、内軸を効率的に冷却できるなどの特徴を持っている。これらの特徴を生かしてC形導波管型HOMカップラーの開発を行っているので、開発の現状について報告する。 |
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THP053 p.938 | 入力カップラーに用いられるセラミックおよび銅鍍金に関する調査・研究について Research on ceramic and copper plating for power couplers ○山本 康史,加古 永治,道園 真一郎(高エネルギー加速器研究機構),沖井 優一(株式会社 野村鍍金) ○Yasuchika Yamamoto, Eiji Kako, Shinichiro Michizono (KEK), Yuichi Okii (Nomura Plating Co., Ltd.) 加速器向けのセラミックを製造していた国内の会社が一昨年に撤退して以降、KEKのSTFにて代わりとなるセラミックの調査・選定が進められてきた。セラミックの特性について特に重要なものは、絶縁抵抗値、比誘電率、誘電正接、二次電子放出係数、である。本調査・研究のために、4つの製造会社から6種類のセラミックサンプルが集められ、それぞれの特性評価が行われているところである。二次電子放出係数測定には、ビームブランキングシステムが備わった走査型電子顕微鏡が使われている。一方、入力カップラーに用いられている銅鍍金の抵抗値は、熱処理後に激変することが近年明らかになってきており、その対処法が早急に求められている。本研究では、低温環境下における抵抗値測定装置を整備し、銅鍍金サンプルの抵抗値測定を関連会社と共同で進めている。本講演では、入力カップラーに関するこれらの調査・研究の最新結果について報告する予定である。 |
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THP054 p.943 | J-PARC MRのFT3M MAコアを用いた2次高調波用RF空胴と真空コンデンサの開発状況 R&D status of 2nd harmonic RF cavities with FT3M MA cores and a vacuum capacitor for J-PARC MR ○長谷川 豪志,大森 千広,杉山 泰之,原 圭吾,古澤 将司,吉井 正人(KEK/J-PARC),島田 太平,田村 文彦,山本 昌亘(JAEA/J-PARC) ○Katsushi Hasegawa, Chihiro Ohmori, Yasuyuki Sugiyama, Keigo Hara, Masashi Furusawa, Masahito Yoshii (KEK/J-PARC), Taihei Shimada, Fumihiko Tamura, Masanobu Yamamoto (JAEA/J-PARC) J-PARC MRでは、運転の繰り返しを早くする事でビーム強度の増強を進めてお り、ニュートリノへの早い取り出しでは約490kWのビーム強度を達成している。 増強計画では、750kWおよびさらにその上のビーム強度を達成するために繰り返 しが更に約半分となり、このときRFシステムでは加速電圧として現状のおよそ倍にあたる約560kV以上が必要となる。現在のRFシステムの構成は、FT3Lコアを用いた基本波空胴が7台と2次高調波空胴が2台の合計9台である。560kVを発生するためには、9台全てを基本波空胴として使用し、2次高調波空胴は以前使用していたFT3Mコアを4GAP空胴2台として再構成する事を計画している。また運転時の故障原因の一つとなっている真空コンデンサの耐電圧劣化についても耐電圧を上げた改良品の開発を進める事で故障の低減と発生電圧の引き上げを考えている。本発表では、FT3Mコアを用いた2次高調波空胴の再構成試験の概要、及び予定と真空コンデンサ開発状況について報告する。 |
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THP055 p.947 | ERL用超伝導加速空洞のHOMダンパーの開発 Development of HOM absorbers for CW superconducting cavities in ERL ○太田 智子,高崎 正浩,山田 正博,宮本 篤,佐藤 潔和(東芝エネルギーシステムズ株式会社),許斐 太郎,梅森 健成,阪井 寛志,加古 永治(KEK) ○Tomoko Ota, Masahiro Takasaki, Masahiro Yamada, Atsushi Miyamoto, Kiyokazu Sato (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation), Taro Konomi, Kensei Umemori, Hiroshi Sakai, Eiji Kako (KEK) 東芝は、2015年度より大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同研究を開始し、ERL(エネルギー回収型ライナック)用超伝導加速空洞のHOM(High Order Modes)ダンパーの開発に着手した。昨年度は、窒化アルミと銅から構成する1.3GHzの超伝導空洞用HOMダンパーのプロトタイプを試作した。このHOMダンパーをKEK所有の超伝導空洞R&D用クライオスタットに組み込み、80Kシールドラインを使用して冷却した。HOMダンパーの到達温度96Kにおいて、HOMダンパーの高周波特性を測定した。超伝導空洞用HOMダンパープロトタイプの冷却試験の結果について報告する。 |
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THP056 | 4ビームIH-RFQ線形加速器の高周波特性 (Ⅱ) RF measurements of four-beam IH-RFQ linac (Ⅱ) ○池田 翔太,田原 智裕(東京工業大学),林崎 規託(東京工業大学 科学技術創成院) ○Shota Ikeda, Tomohoro Tahara (Tokyo Tech), Noriyosu Hayashizaki (IIR, Tokyo Tech) RFQ線形加速器による大強度重イオンビームの加速技術として、複数のビームに分割した重イオンビームを1台の加速空洞で加速し、ビームファネリングにより統合する、マルチビーム加速がある。東京工業大学では4ビームIH-RFQ線形加速器の原理実証機の開発を進めてきており、これまでに加速空洞の設計・製作及びイオン源の単体試験を完了した。ベクトル・ネットワーク・アナライザーにより測定した加速空洞の低レベル高周波特性試験の結果と、大電力励振試験の結果について報告する。 |
高周波源 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP057 p.951 | 704 MHz パルスクライストロンの低出力モードにおける効率改善のための設計 Design for improving the efficiency of a 704 MHz pulsed klystron at the operation of lower output power ○栁澤 翔吾,浦方 弘人,菊地 里紗,林 健一(東芝電子管デバイス株式会社) ○Shogo Yanagisawa, Hiroto Urakata, Risa Kikuchi, Kenichi Hayashi (Toshiba Electron Tubes & Devices Co.,Ltd.) 東芝電子管デバイス株式会社は、欧州核破砕中性子源(ESS)計画のMedium Beta Section 加速器空胴に用いられるRF源として周波数704 MHz、出力1.5 MWパルスクライストロンを開発した。加速器空胴への投入電力は207 kWから1.1 MWが予定されている。初号機では1.5 MW、1.2 MW、600 kWの各出力動作のモードで効率60%以上であることを動作評価で確認した。投入電力300 kW付近での使用を踏まえ、2号機では更に325 kWの出力動作モードでも効率60%以上を満たすことを目標とした。初号機の相互作用部は、1.5 MW、1.2 MW、600 kWの各出力動作モードで効率60%以上を満たす設計となっており、この設計で325 kWを出力すると効率は約45%まで低下してしまう。2号機以降で325 kW出力時の効率を改善するため、(i)集束コイル電流によりビームパラメータを調整するとともに、(ii)出力導波管フランジにアイリスを付加して出力空胴インピーダンスを調整できる設計とした。動作評価の結果、325 kWの出力動作モードにて目標の効率60%に達していることを確認した。本報告では、本クライストロン2号機の設計と動作評価結果について述べる。 |
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THP058 p.956 | KEKにおけるILCクライストロン用チョッパ型マルクス電源の改善と大電力試験 Improvement and High-Power Test of Chopper-type Marx modulator for ILC Klystron at KEK ○中島 啓光,川村 真人,夏井 拓也,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構),徳地 明,澤村 陽(パルスパワー技術研究所),江 偉華(長岡技術科学大学) ○Hiromitsu Nakajima, Masato Kawamura, Takuya Natsui, Mitsuo Akemoto (KEK), Akira Tokuchi, Yo Sawamura (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Weihua Jiang (Nagaoka University of Technology) 国際リニアコライダー(ILC)では、RF源として10MWのマルチビームクライストロンが使用される予定となっており、ピーク電圧-120kV、ピーク電流140A、パルス幅1.7ms、パルス平坦度1%(p-p)、繰り返し5ppsのパルス電源が必要となる。高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、10MWマルチビームクライストロン用の電源として、チョッパ型マルクス電源の開発を行っている。チョッパ型マルクス電源は、-120kVの出力を得るために20ユニットで構成されている。各ユニットは、チョッパ回路とマルクス回路を組み合わせた-1.6kV出力のマルクスセル4段と制御基板によって構成されており、各マルクスセルをPWM制御することで、出力電圧-6.4kV、パルス幅1.7msのフラットなパルス電圧を出力する。KEKでは、昨年度、クライストロンを負荷としたチョッパ型マルクス電源の大電力試験を行っており、その際に明かとなった問題点について改善を行った。 |
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THP059 p.960 | KEK-STFにおけるRF電子銃用高周波系の構築 Construction of RF system for RF Gun Operation at KEK-STF ○沼田 直人,石本 和也,堤 和昌(日本アドバンストテクノロジー),明本 光生,荒川 大,江木 昌史,片桐 広明,竹中 たてる,中島 啓光,松本 利広,三浦 孝子(高エネルギー加速器研究機構) ○Naoto Numata, Kazuya Ishimoto, Kazuyoshi Tsutsumi (NAT), Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Masato Egi, Hiroaki Katagiri, Tateru Takenaka, Hiromitsu Nakajima, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura (KEK) KEK-超伝導リニアック試験施設(STF)ではILCのための超伝導加速空洞や加速モジュール、ヘリウム冷凍機システム、高周波システムの開発を行っている。来年2月からSTF2加速器に向けて、RF電子銃に安定なマイクロ波を供給するための高周波源を構築している。このRF電子銃用高周波系では、パワーメーターや放電発光を検出するアークセンサー、放電音を検出する音響センサーを用意し、安定なRF電子銃運転に向けた準備を進めている。今回、STF2加速器に向けたRF電子銃用高周波系の運転状況について報告を行う。 |
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THP060 | クライストロン用パルスモジュレータの高安定化 high stability technology for klystron modulators ○湯城 磨(スカンジノバ・システムズ株式会社) ○Osamu Yushiro (ScandiNova Systems K.K.) 線形加速器、特にFELではRF源の高安定が望まれており、 クライストロンモジュレータへの 高性能化が期待されている。クライストロンに 必要なユニットを1パッケージ化し、従来型の真空管(サイラトロン)を使わない、 半導体スイッチ方式により、メンテナンス性を格段に向上し、インターロック/ 診断系までを網羅したシステム化により、パルス安定度20PPM以下の高性能 モジュレータのインストールを完了したので報告する。 |
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THP061 p.964 | 次世代放射光源に向けた500MHz 150kW級半導体アンプシステムのR&D R&D effort on the 500-MHz 150-kW-class solid-state amplifier system for the next-generation light sources ○坂中 章悟,山本 尚人,高橋 毅(KEK),日原 禎彦,居石 利昇,野口 卓志((株)アールアンドケー) ○Shogo Sakanaka, Naoto Yamamoto, Takeshi Takahashi (KEK), Sadahiko Hihara, Toshinori Sueishi, Takashi Noguchi (R&K Co. Ltd.) 次世代放射光源の高周波源としては、優れた安定度を持ち、保守が容易で、短時間での立ち上げが可能な半導体アンプが有望である。半導体アンプに用いられる増幅素子は、半導体技術の進歩に伴って急速に進歩してきており、従来困難であった出力RF電力が数百kW以上、電力変換効率50%以上のアンプシステムも可能になりつつある。我々は、次世代放射光源で用いることを想定した、RF周波数500 MHzで1台当たり150 kW(CW)のRF出力が可能な半導体アンプシステムを目標に、R&Dを行ってきた。まず、大電力の増幅素子として実績のあるLDMOSを用いて、出力1 kWの半導体アンプユニットを試作し、増幅特性や電力変換効率(DCからRFへ)を評価した。次に、このアンプユニットからの出力を多数合成し、150 kWのRF電力を出力できる半導体アンプユニットの設計検討を行った。検討においては、既に開発された技術を主に用いて、実機が早期に実現できる事を目標とした。その結果、短期間で実機を製作可能である設計がほぼ完成した。本件では、試作された1kW半導体アンプの評価結果と、150kW級アンプシステムの設計検討結果について発表する。 |
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THP062 p.969 | Sバンド7.5MWパルスクライストロンの高効率化 The efficiency enhancement of S-band 7.5MW pulsed klystron ○鈴木 健一郎,田中 敏文,藤井 令史,大久保 良久(東芝電子管デバイス株式会社) ○Kenichiro Suzuki, Toshifumi Tanaka, Satoshi Fujii, Yoshihisa Okubo (Toshiba Electron Tubes & Devices Co., Ltd.) 東芝電子管デバイス(株)では、クライストロンの効率向上を目指して各種の研究開発を実施している。クライストロンの効率を向上させる手法としてCOM、BAC、Kladistron等の手法が知られており、いずれにおいても出力空胴で加速される電子を減らすことが肝要である。これらの手法の要素を取り入れた設計を検討し、当社既存製品の相互作用部を置き換えることで効率向上の評価が可能であることが判明した。既存製品として選定したクライストロンはRF周波数2856MHz、ピーク出力電力7.5MWのパルスクライストロンで、パービアンスは1.8uPと高い部類であるが高効率設計は有効であった。空胴数は10個でそのうち2個を相互作用部長短縮のため第2高調波空胴とした。シミュレーションにはFCIコードを使用し、ビーム電圧130kVで効率59%となる結果を得た。実際に試作機を作成して評価した結果、ビーム電圧131kV、出力6.2MW時に効率57%であり、既存製品よりも効率が10%以上向上した。相互作用部を置き換えたのみであるため、既存の高圧電源や集束コイルを使用することができた。本発表では設計結果と試作クライストロンの試験結果の詳細および今後の高効率クライストロンの開発予定について報告する。 |
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THP063 p.973 | 面実装型3.3kVSiCILC電源の開発 A development of SiC MOS FET MARX type Klystron Modulator for International Linear Collider. ○澤村 陽,徳地 明(株式会社パスルパワー技術研究所),明本 光生,中島 啓光,川村 真人(KEK) ○Yo Sawamura, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd.), Mitsuo Akemoto, Hiromitsu Nakajima, Masato Kawamura (KEK) ILC(国際リニアコライダー)は、全長約30kmの直線加速器で、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験を行う計画である。宇宙初期に匹敵する高エネルギーの反応を作り出すことによって、宇宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫る。 ILC計画の主線形加速器には378台の1.3GHz 10MWマルチビームクライストロンシステムが搭載される。超伝導加速空洞に加速電場を生成するためのRF電力は、マルチビームクライストロンとそれを駆動するクライストロン電源で構成される。 クライストロン電源はマルクス変調器と呼ばれ、120kV 140A 1.9msのパルス電圧を発生し、マルチビームクライストロンのカソードに供給する。 小型、低コスト、高信頼性が要求される。 試作電源のSiC MOS-FETとSiCダイオードは2.4kVの耐圧が必要であり、1.2kVの耐圧の2つの素子を直列に接続して構成している。 本研究では、信頼性をさらに向上させるために、面実装パッケージ3.3kV耐圧SiCデバイスを搭載したチョッパ型MARXユニットの開発について報告する。 この研究の一部は、つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)の共同研究プロジェクトの下で実施されている。 |
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THP064 p.978 | KEK 電子陽電子入射器における高周波源の運転統計及び維持管理(Ⅱ) Operation statistics and Maintenance Activity of RF System in KEK Electron-Positron Linac(Ⅱ) ○東福 知之,今井 康雄,馬場 昌夫,熊野 宏樹,諸富 哲夫(三菱電機システムサービス(株)),荒川 大,片桐 広明,川村 真人,設楽 哲夫,竹中 たてる,Qiu Feng,中島 啓光,中尾 克巳,夏井 拓也,福田 茂樹,本間 博幸,松本 利広,松本 修二,松下 英樹,三浦 孝子,道園 真一郎,矢野 喜治,明本 光生(高エネルギー加速器研究機構) ○Tomoyuki Toufuku, Yasuo Imai, Masao Baba, Hiroki Kumano, Tetsuo Morotomi (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri, Masato Kawamura, Tetsuo Shidara, Tateru Takenaka, Feng Qiu, Hiromitsu Nakajima, Katsumi Nakao, Takuya Natsui, Shigeki Fukuda, Hiroyuki Honma, Toshihiro Matsumoto, Shuji Matsumoto, Hideki Matsushita, Takako Miura, Shinichiro Michizono, Yoshiharu Yano, Mitsuo Akemoto (KEK) KEK電子陽電子入射器では、高周波源として 59 台の大電力クライストロンを使用している。 2017年度はユニット復元及び新規ユニット追加により 新たに 2ユニットが運転を開始。 高周波源が上流部(23台)、下流部(34台)に分かれていたが、これも統合され、全 59台が連続運転を行なっている。 現在設置しているクライストロンの平均運転時間は約64,000時間である。2017年度は MAG 絶縁抵抗低下などにより 4台の交換を行なった。 内2台は長期シャットダウン期間に判明した為、MAG のみを入れ替えてクライストロンはそのまま使用した。 現在設置しているサイラトロンの平均運転時間は約31,000時間である。2017年度はキープアライブ電流低下などにより5台の交換を行なった。 本稿ではクライストロン,サイラトロンなどに関する統計及び大電力高周波源に関する不具合事例と運転保守について報告する。 |
電磁石と電源 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP065 p.982 | SuperKEKB ビーム最終集束用超伝導電磁石システム - ハーモニックコイルによる4極電磁石の磁場測定 - Superconducting Magnet System for the Interaction Region of SuperKEKB - Magnetic measurement of quadrupole magnets with harmonic coils - ○有本 靖,植木 竜一,大内 徳人,川井 正徳,宗 占国,土屋 清澄,山岡 広,王 旭東(高エ研) ○Yasushi Arimoto, Ryuichi Ueki, Norihito Ohuchi, Masanori Kawai, Zanguo, Zong, Kiyosumi Tuchiya, Hiroshi Yamaoka, Xudong Wang (KEK) SuperKEKB最終集束超伝導電磁石システム(QCS)は2017年3月に衝突点領域(IR)にインストールされ、2018年3月より実機としての運転が開始された. QCSは8台の超伝導4極電磁石, 43台の補正/キャンセルコイル, 4台の補償ソレノイドから構成され, これらはBelle II 検出器ソレノイドの磁場中(1.5T)に設置されている. ソレノイド磁場の影響を含めて磁場評価を行なうため, IRにおいてハーモニックコイルによる磁場測定を行なった. 本講演ではこの磁場測定の結果について発表する. |
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THP066 p.987 | スケーリングFFAG加速器におけるヨークフリー電磁石の集束力補正機構の開発 Development of devices for focusing force correction for scaling FFAG accelerator with return-yoke free magnets ○和賀 雄飛,米村 祐次郎,有馬 秀彦,上田 光貴,足立 恭介,松浦 浩巳,池田 伸夫(九州大学),森 義治(京都大学) ○Yuhi Waga, Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Mitsutaka Ueda, Kyosuke Adachi, Hiromi Matsuura, Nobuo Ikeda (Kyushu University), Yoshiharu Mori (Kyoto University) スケーリングFFAG加速器の電磁石において、水平方向の集束力は磁場勾配によって決定される。九州大学では、FFAG加速器の電磁石における水平方向の集束力の補正手法として、電磁石の磁極表面に電流値の異なる複数のコイルを階段状に配置し、磁場勾配を調整する手法を新たに提案し、その開発研究を進めている。本手法は、各コイルの電流値を変更することで、加速器の運転中に集束力の補正量を調節可能という特徴を有している。本研究では階段状コイルによる集束力補正の原理検証や設計手法の妥当性の検証を行うことを目的として、九州大学に設置されている150 MeV FFAG加速器のヨークフリー型電磁石を対象として補正コイルの試作機を開発し、その性能評価のための磁場測定を行った。また、FFAG加速器の電磁石側面に磁極形状に沿って半径ごとに異なる厚さの磁極を追加することで垂直方向の集束力を補正できるということが先行研究によって明らかとなっている。本研究では集束力の調整が容易な補正磁極の開発を行った。本発表では階段状コイルの構造の妥当性および補正磁極の開発の過程で得られた知見について発表する。 |
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THP067 p.992 | J-PARC 主リング高繰り返し化のための偏向電磁石用新電源開発の状況 Status of new power supply for bending magnet in J-PARC Main Ring upgrade ○下川 哲司,栗本 佳典,森田 裕一,三浦 一喜,内藤 大地(高エネ研),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング) ○Tetsushi Shimogawa, Yoshinori Kurimoto, Yuichi Morita, Kazuki Miura, Daichi Naito (KEK), Ryu Sagawa (Universal engineering) J-PARC 主リング(MR)では、実験施設へ供給する陽子ビームのさらなる大強度化のために、繰り返し周期の短縮を計画している。高繰り返し化に伴い交流系統の電力変動、出力電圧の増加等の課題に対応するために主電磁石電源の置き換えが必要となる。我々は、偏向電磁石用の電源として、大容量コンデンサバンクを有する10 MWクラスの出力をもつ電源を検討・開発してきた。昨年度末に、偏向電磁石用新電源の1台目が完成し、模擬負荷を使用した確認通電を行っているところである。本稿では、開発した偏向電磁石用新電源について模擬負荷試験の結果を交えて報告する。 |
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THP068 p.996 | 永久磁石による縦方向磁場勾配型偏向磁石の開発 Development of permanent magnet based longitudinal gradient bend ○谷内 努,青木 毅,松原 伸一,柳田 謙一(高輝度光科学研究センター),高野 史郎,深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理化学研究所放射光科学研究センター) ○Tsutomu Taniuchi, Tsuyoshi Aoki, Shinichi Matsubara, Kenichi Yanagida (JASRI), Shiro Takano, Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI/RIKEN SPring-8 Center) SPring-8-IIなどの次世代高輝度放射光源リングでは、低エミッタンス化のためラティスの分散関数に応じて偏向角を変化させることで電子ビームの量子励起を抑制する縦方向磁場勾配型偏向磁石(LGB: Longitudinal Gradient Bend)の採用が計画されている。我々は、電源や冷却水設備が不要であるため電力削減や故障頻度の低減、無振動などのメリットが期待できる永久磁石ベース偏向磁石の開発を進めており、これまでに温度補償や磁場調整機構、減磁、漏洩磁場等、永久磁石特有の課題を解決する要素技術を開発し、LGBについても原理実証機により性能を評価した。今回は新たに、SPring-8-II設計ラティスに基づいた3段階の階段状磁場を有する実機サイズの永久磁石LGB試作機を設計し製作した。階段状磁場分布を生成する磁極部のノーズ構造や磁気回路内部にシャント用可動プレートを組込んだ磁場調整機構など、これまでの原理実証の成果を反映させた。本発表では、永久磁石LGB試作機の設計・製作及び磁場測定による性能評価の結果等について報告する。 |
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THP069 p.1001 | KEK放射光用電磁石の概念設計 Conceptual design of the KEK-LS magnets ○上田 明,原田 健太郎,東 直,中村 典雄,長橋 進也(高エネ研) ○Akira Ueda, Kentaro Harada, Nao Higashi, Norio Nakamura, Shinya Nagahashi (KEK) KEK放射光計画は、HMBA型ラティスの短直線部に4極を追加したDQBAラティスを元に検討している[1]。DQBAラティスでは、進行方向に磁場勾配のあるLongitudinal Gradient (LG) 電磁石(2種類)、機能結合型偏向電磁石、及び四極電磁石、六極電磁石が配置される。このDQBAラティスに必要な電磁石について機械設計を含む概念設計を行った。特にLG電磁石は、コイルを多段に巻いて磁場勾配を作るコイル型及び磁極のGAPを多段にすることにより磁場勾配を作る階段型の2種類について検討を行った。 [1] K. Harada et al., “IMPROVEMENT OF KEK-LS ACCELERATOR BY DQBA TYPE LATTICE”, Proceedings of the 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, August 1-3, 2017, Sapporo, Japan, TUP019. |
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THP070 | 電子雲効果抑制用永久磁石ユニットが常伝導電磁石の磁場に与える影響 The effect of permanent magnets for electron cloud suppression on the magnetic fields of adjacent normal conducting magnets ○植木 竜一,江川 一美,末次 祐介,美佳 増澤(KEK/総研大) ○Ryuichi Ueki, Kazumi Egawa, Yusuke Suetsugu, Masuzawa Mika (KEK/SOKENDAI) SuperKEKB加速器は2016年2月から6月にかけて試運転(Phase I)が行われた。この中で陽電子リングにおいてビーム電流を大きくすると垂直方向ビームサイズ増大等を伴う電子雲不安定性(Electron Cloud Effect, ECE)が観測された。特に900 mA以上で見られたECEはドリフト部のビームパイプ内の電子雲が原因であると考えられる。そのためPhase Ⅰ終了後、真空グループによってドリフト部のビームパイプにECE抑制用の永久磁石ユニット(Permanent Magnet Unit, PMU)の取り付けが行われた。設置されたPMUは鉄製PMUおよびアルミ製PMUの2種類である。鉄製PMUは強磁性体である鉄をフレームとして使用しているため、電磁石の近くに設置すると励起磁場を吸収する。特に電磁石と鉄製PMUの距離が近いと磁場の吸収が大きく、設置距離によっては積分磁場が仕様で定められた値より大幅に減少し、ビーム運転に影響を与える可能性もある。そこでハーモニックコイルおよびローテーションコイルを用いて電磁石と鉄製PMU間の距離を変化させたときの電磁石の積分磁場を測定した。その結果から鉄製PMUを取り付けていない場合を基準とした積分磁場の減少率を調べ、設置する鉄製PMUと電磁石との距離を決める際の参考とした。本発表では、鉄製PMUおよびアルミ製PMUが電磁石の励起磁場に与える影響、さらに電磁石評価の際に重要となる多極成分に与える影響を報告する。 |
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THP071 p.1005 | SuperKEKB ビーム最終集束用超伝導電磁石システム ―超伝導ソレノイドのクエンチ保護とソレノイド磁場評価― Superconducting Magnet System for the Interaction Region of SuperKEKB - Quench Protection and Solenoid Field of Superconducting Solenoid - ○王 旭東,山岡 広,有本 靖,川井 正徳,近藤 良也,宗 占国,土屋 清澄,大内 徳人(高エネルギー加速器研究機構) ○Xudong Wang, Hiroshi Yamaoka, Yasushi Arimoto, Masanori Kawai, Yoshinari Kondou, Zhanguo Zong, Kiyosumi Tsuchiya, Norihito Ohuchi (High Energy Accelerator Research Organization) 高エネルギー加速器研究機構では、電子・陽電子ビーム衝突型加速器 KEKB のアップグレード(SuperKEKB)を 2010 年から行っている。SuperKEKBの特徴は、KEKB加速器が到達した世界最高の衝突効率を更に40倍高め物理実験の精度を高めようとするものである。SuperKEKB加速器のビーム衝突領域に設置されるBelle-II測定器のソレノイド磁石は、ビームライン上に1.5Tを発生させ、特に交差角を持つビームの衝突性能を著しく劣化させる。このため、ビームライン上のソレノイド磁場の積分値をゼロとするように、Belle-IIソレノイド磁場と逆方向の磁場を発生する4台の超伝導ソレノイドが必要となる。本発表は、超伝導ソレノイドのクエンチ保護設計と実証実験結果、ホールプローブを用いたソレノイド磁場の測定結果と解析評価について報告する。 |
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THP072 p.1010 | 13kV高電圧SiCデバイスの加速器応用に関する研究 Research on accelerator applications of 13 kV high voltage SiC devices ○徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),福田 憲司(産業技術総合研究所、先進パワーエレクトロニクス研究センター),岡村 勝也(高エネルギー加速器研究機構),神藤 勝啓(日本原子力研究開発機構),柴田 崇統,内藤 富士雄(高エネルギー加速器研究機構) ○Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Kenji Fukuda (AIST,ADPERC), Katsuya Okamura (KEK), Katsuhiro Shinto (JAEA/J-PARC), Takanori Shibata, Fujio Naito (KEK) 加速器システムの中には、多数の高電圧パルス電源が使用されているが、高電圧(数10kV以上)、大電流(数kA以上)、高速立上り(数10ns以下)と非常に厳しい使用条件の為に、従来は、サイラトロン等の放電管を使用するしか方法がなかった。しかし、これらの放電管は寿命が短い、繰り返し周波数が低い、付帯電源が必要、安定性が悪いなど、多くの欠点があり、加速器の性能を著しく低下させていた。 近年、SiC半導体デバイスの急速な発展などにより、素子の電圧、電流は年々上昇し、又、スイッチング時間の高速化と高周波化も進んできた。特に10kVを超える素子も開発が進んでおり、この超高電圧の素子を使用することにより、加速器用高電圧パルス電源は革新的に小型化・高性能化が期待されており、これまでの放電管の多くの欠点は克服され、加速器の性能も著しく改善されるようになってきた。これらの超高電圧SiCデバイスを使用した当社の実施事例と合わせて、今後の加速器用高電圧パルス電源の方向性について系統だった研究を行ってきたのでこの研究結果を報告する。 本研究の一部は、共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」の事業として行われた。 |
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THP073 p.1015 | 可搬型電流測定ユニットによるJ-PARC MR主電磁石電源の較正 Magnet power supply calibration with a portable current measuring unit at the J-PARC Main Ring ○三浦 一喜,下川 哲司,大越 隆夫(高エネルギー加速器研究機構),国安 祐(三菱電機システムサービス株式会社),大谷 一史(山九プラントテクノ株式会社),栗本 佳典(高エネルギー加速器研究機構),佐川 隆(ユニバーサルエンジニアリング),内藤 大地,森田 裕一(高エネルギー加速器研究機構) ○Kazuki Miura, Tetsushi Shimogawa, Takao Oogoe (High Energy Accelerator Research Organization), Yuu Kuniyasu (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Kazufumi Ooya (SANKYU PLANT TECHNO CO., LTD.), Yoshinori Kurimoto (High Energy Accelerator Research Organization), Ryu Sagawa (Universal Engineering), Daichi Naito, Yuichi Morita (High Energy Accelerator Research Organization) J-PARC MRでは加速器トンネル内に配置された主電磁石をファミリーという単位に分割して電源を割り当て、ファミリー単位で出力電流パターンを制御しているが、偏向電磁石(BM)に関しては、リング内アーク部に配置された電磁石を6分割して6台のBM用電源で共通の出力電流パターンによる運転を行っている。現行の主電磁石電源ではアナログ増幅およびAD/DA変換を含む電子回路を用いて出力電流のフィードバック制御を行っているが、別々の電源で同一出力を行う必要のあるBM電源ではこれら回路素子の個体差により出力電流は電源毎にわずかに異なると予想される。そこで、別途基準とする可搬型DCCTによる電流測定ユニットの構築を行い、同一測定条件下における各電源の出力電流測定を行うことで、各電源における個体差を較正することにした。この較正の効果としては、現行電源間の個体差によるビーム光学系への影響考察や、開発中の主電磁石新電源に対する応用が考えられる。今回、可搬型のDCCTとデジタルマルチメータを用いて出力電流の連続記録を行えるように電流測定ユニットを構築した。本報告では、電流測定ユニットを試験的にJ-PARCで現在稼働中のBM電源に導入した試験結果および、今後の展望を述べる。 |
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THP074 p.1018 | セラミックスチェンバー一体型パルスマグネットの加速器実装開発 Development of ceramics chamber integrated pulsed magnet for an accelerator implementation ○満田 史織(高エネルギー加速器研究機構),佐々木 茂樹(高輝度光科学研究センター),本井傳 晃央,鍛治本 和幸,中西 辰郎(スプリングエイトサービス(株)),笹川 敦司,横山 篤志,横山 高也,冨本 覚一(京セラ(株)) ○Chikaori Mitsuda (KEK), Shigeki Sasaki (JASRI), Teruo Honiden, Kazuyuki Kajimoto, Tatsuro Nakanishi (SES), Atsushi Sasagawa, Atsushi Yokoyama, Takaya Yokoyama, Kakuichi Tomimoto (Kyocera) 低エミッタンスリング及び将来小型光源加速器リングへの適用を目指し、セラミックス真空チェンバーとマグネットコイルが一体化したセラミックスチャンバー一体型パルスマグネットの開発を進めている。磁石構造は、空芯型で口径60mmのセラミック円筒の厚み5mmに貫通した溝を掘り長手方向に銀ロウ付けで埋め込み接合した1ターン銅コイルとセラミック円筒自身のみから構成される。セラミックはコイル支持体で、電気的絶縁体でもあるため、セラミックとコイルのみで構成される内外装は極めて簡潔な構造となっているのがこのパルスマグネットの特徴である。磁極長0.3mで試作したダイポール型試作機に加速器実装に向けたセラミック円筒内内部コーティングとコイルと電源を接続させるケーブル口金部を実装した開発機の製作に成功した。構造上コイルは円筒内径表面位置で接合しており、チェンバー内径と磁石ボア径は等しいため、コイルを避け、ビーム壁電流を通過させやすい、磁場遮蔽効果を低減した円筒内パターン形状コーティングを実現している。口金部の開発ではコイル埋め込み接合と口金金具の装着を同時に実現するために新たな口金部のロウ付け技術開発が成された。本会では、加速器実装課題の解決までの取り組み、加速器実装上の真空、磁場、絶縁性能の観点から見た信頼性の評価について詳細を報告する。 |
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THP075 p.1023 | バイポーラ型SIC-LTDパルス電源の改良 Improvement of the bipolar type SIC-LTD pulsed power supply ○虫邉 陽一,森 均,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),高柳 智弘(JAEA/J-PARC) ○Yoichi Mushibe, Hitoshi Mori, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Tomohiro Takayanagi (JAEA/J-PARC) J-PARC RCSキッカーマグネット用に新しいパルス電源を開発している。加速器システムにて大強度ビームを取り出すために、キッカーマグネット用電源システムには高電圧かつ高速のスイッチを使用しているが、新しい電源は高電圧大電流かつスイッチング損失が小さいSiC半導体デバイスを使用することで、連続使用による性能劣化が欠点のサイラトロンスイッチより安定性の良い電源システムを期待できる。SiC-MOSFETを多数並列接続したLTD(Linear Transformer Drivers)回路を構成した基板を多段直列接続することで高電圧かつ大電流の出力を可能とする。電源からキッカーマグネットへの負極性のパルス出力に対して負荷から電源へ正極性の反射波が発生するため、電源の出力端には正負両極性の電圧パルスが印加される。電源の出力回路をSiC-MOSFETの直列接続と反射波吸収回路を設けたバイポーラの回路とすることで、両極性の電圧パルスに対する耐圧と反射波吸収の機能を備えている。主回路のLTD基板よりも低電圧充電で動作する補正基板を追加することで出力波形の調整も可能になる。2017年に主回路LTD基板5枚と補正LTD基板4枚で電源を構成して試験を実施しているが、今回は出力電圧・電流の向上を目指して改良基板を製作した。本発表では改良の詳細と結果を報告する。 |
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THP077 | SuperKEKB補正電磁石用電源の運用状況 Status of small class power supplies for steering magnets and auxilliary coils in SuperKEKB ○中村 衆,大木 俊征(高エネ研) ○Shu Nakamura, Toshiyuki Oki (KEK) SuperKEKB加速器では、ステアリング電磁石や補助コイルを駆動する電源として、1600台余りの小型電源を運用している。これらの小型電源がなんらかの故障で停止した際は、基本的に予備機と交換するという運用を行っている。小型電源の大半はKEKB建設時に製作されており、さらにその大半はSuperKEKBへの改修時にオーバーホールされていない。現在、故障時期の予測を立てる目的で、各電源における運転時間や運転電流の記録をまとめている。また、KEKBから引き続き、すべての電磁石用電源は、電流指令値、出力電流値、出力電流モニター値の3つの値を等しくするために、各電源固有の補正係数を電源製作時に取得している。 電源の制御回路(電流モニター回路を含む)に変更がない限りは、この補正係数は変わらないと考えている。しかし、製作から時間がたったためか、小形電源において3つの値にずれが生じる個体が発生している。この補正係数のずれの程度と対策についてまとめる。 |
ビーム診断・ビーム制御 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP078 p.1027 | J-PARC muon g-2/EDM 実験におけるミューオンスピン反転装置の開発 Development of muon spin rotator for J-PARC muon g-2/EDM experiment ○安田 浩昌(東大理),大谷 将士(高エ研),北村 遼(東大理),近藤 泰弘(原研),齊藤 直人(高エ研),須江 祐貴(名大理),中沢 雄河(茨大理),三部 勉(高エ研) ○Hiromasa Yasuda (Univ. of Tokyo), Masashi Otani (KEK), Ryo Kitamura (Univ. of Tokyo), Yasuhiro Kondo (JAEA), Naohito Saito (KEK), Yuki Sue (Nagoya Univ.), Yuga Nakazawa (Ibaraki Univ.), Tsutomo Mibe (KEK) 素粒子物理学における大きな問題として、ミューオンの異常磁気モーメント(g-2)の不一致がある。ミューオンg-2の実験値と素粒子標準模型による理論値との間に3.7σの乖離が存在している。これは標準模型を超えた物理を示唆しており、精度を向上した実験にて検証を行う必要がある。我々はブルックヘブン国立研究所での先行実験とは異なる手法による実験をJ-PARCにて行う予定である。J-PARCでの実験では、表面ミューオンビームを冷却し、加速することによって得られる極冷ミューオンビームを利用することで、先行実験での系統誤差を改善することができる。そのため、ミューオンの加速技術が重要な開発要素になる。本実験では低速ミューオンを扱えることから、ミューオンのスピンを180°反転させたデータも取得することで、検出器の時間応答性由来の系統誤差を抑えることが期待される。現在、Siberian-Snake式のソレノイド磁石を利用したミューオンスピン反転装置の開発に取り組んでいる。これは、偏向電磁石と電極付きチェンバーを用いたディフレクターとSiberian-Snake式ソレノイド磁石によって構成される。本講演では、ミューオンスピン反転装置の開発、特に静磁場解析ソフトウェアのOPERAを用いたスピン反転装置の設計状況について報告する。 |
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THP079 p.1031 | カーボンナノチューブワイヤーを用いたビームプロファイル測定試験(3) BEAM PROFILE MEASUREMENT USING CARBON NANOTUBE WIRES (3) ○宮尾 智章,三浦 昭彦(高エネルギー加速器研究機構) ○Tomoaki Miyao (KEK, J-PARC), Akihiko Miura (JAEA, J-PARC) J-PARCリニアックでは、ビームロスが少なく、安定したビーム運転を実現するため、ビームプロファイルモニタ用い、ビーム進行方向に対して鉛直な断面のプロファイルを測定して、4極電磁石の調整を行っている。ビームプロファイルの測定には、ワイヤスキャナモニタ(WSM)を使用しており、リニアックの高エネルギー部では、センサ部にタングステンワイヤーを使用している。このワイヤーは、加速したビームと直接相互作用するため、ビーム出力向上する際、より高い耐久性のあるワイヤー材料が必要である。そこで、高い引張強度、電気伝導度を有し、熱的に無酸素状態で3000℃まで耐えられるカーボンナノチューブ(CNT)に着目し、ビーム阻止能が高い3MeVの負水素イオンビームでビームプロファイル測定試験を実施した。この結果、ピークビーム電流30mAにおいて、高い耐久性を持ち、従来の炭素繊維と比較して、より広いダイナミックレンジがあることが確認できた。さらに、ビーム阻止能が低い高エネルギー部にCNT製ワイヤーが適用できるか確認するため、191MeV調整部のWSMにCNT製ワイヤーを適用し、ピークビーム電流40mAでプロファイル測定試験を実施した。本発表では、191MeVにおけるプロファイル測定について、3MeVでの測定結果及びタングステンワイヤーでの測定結果と比較して報告する。 |
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THP080 p.1035 | 大強度陽子加速器のための標的上のプロファイルモニタの開発 Development of profile monitors on target for high-intensity proton accelerators ○明午 伸一郎,武井 早憲,松田 洋樹(J-PARC/JAEA),百合 庸介,湯山 貴裕(QST TIARA) ○Shin-ichiro Meigo, Hayanori Takei, Hiroki Matsuda (J-PARC/JAEA), Yosuke Yuri, Takahiro Yuyama (QST TIARA) 30 MWを超える大強度陽子加速器加速器を用いた、加速器駆動型核変換システム(ADS)が原子力機構(JAEA)、中国等で提案されている。核破砕中性子源においても、1 MWを超えるマルチメガWの施設が提案されている。これらの施設において安定に入射するためには、標的にビームが正しく入射していることを確認する、プロファイルモニタが重要となる。J-PARCの核破砕中性子源では炭化ケイ素(SiC)のマルチワイヤからなるプロファイルモニタを用いており、0.5 MWの定常運転及び1 MWの試験運転では問題ないものの、今後の定常的な大強度運転ではワイヤの損傷が著しくなるものと考えられるため、ワイヤの損傷評価を定量的に行う事が重要となる。このため、我々はプロファイルモニタの開発の一環として、量子機構(QST)のTIARAにおいて運動エネルギ 105 MeVのアルゴンビームを用いたビーム試験を実施した。SiCワイヤによる測定結果、1 MWの半年程度の損傷に対し、ワイヤの信号はほとんど変化しないことが分かった。マルチワイヤによる測定ではプロファイルの射影しか得ることができなく二次元分布を得ることができないため、蛍光型のプロファイルモニタの試験を行った。蛍光体として、候補となるアルミナ等の物質を用い、ビーム入射に伴う発光量を測定した。この結果、発光量はビーム入射に伴い著しく減少するものの、観測する波長を適切に選択する事により劣化の改善が行えることがわかった。 |
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THP081 p.1040 | UVSORシングルバンチ運転時のバンチ長及びエネルギー広がりの測定 Measurement of bunch length and energy spread in single bunch operation in UVSOR electron storage ring ○高橋 和義(名大院工),保坂 将人,持箸 晃(名大SR),藤本 將輝(UVSOR 分子研),高嶋 圭史(名大SR),加藤 政博(UVSOR 分子研) ○Kazuyoshi Takahashi (Graduate School of Eng. Nagoya Univ.), Masahito Hosaka, Akira Mochihashi (SR Center, Nagoya Univ.), Masaki Fujimoto (UVSOR IMS), Yoshifumi Takashima (SR Center, Nagoya Univ.), Masahiro Katoh (UVSOR IMS) 分子科学研究所極端紫外光施設(以下UVSOR)では、通常はマルチバンチ運転を行っているが、時間間隔の長いパルス光を利用するユーザーのために年に2週程度シングルバンチ運転も行っている。UVSORでは光源加速器の高度化改造が過去2回行われているが、シングルバンチ運転時の蓄積ビーム電流が従来よりも低下していることが問題となっている。我々は、本現象を何らかのビーム不安定性に起因するものと推測し、手始めとして縦方向のビーム不安定性に着目し、可視光ストリークカメラによる電子バンチ長の測定と光クライストロンからの放射スペクトルを基にしたビームのエネルギー広がりの測定を試みている。本発表では、測定された電子バンチ長及びエネルギー広がりのビーム電流依存性について報告し、今後の展望についても述べる。 |
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THP082 | J-PARC RCSにおける荷電変換薄膜からの2次粒子計測の開発状況 Development status of secondary particles measurement from stripper foil in J-PARC RCS ○吉本 政弘,岡部 晃大,金正 倫計(原子力機構/J-PARCセンター) ○Masahiro Yoshimoto, Kota Okabe, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC) J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)では、1MWの大強度陽子ビームを実現させるために、荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。これまでのビーム試験、残留線量測定、そしてPHITSコードを用いたシミュレーション等から、入射ビーム及び周回ビームの荷電変換薄膜に衝突による核反応が生成する2次粒子(陽子及び中性子)によって周辺機器を強く放射化することが明らかになった。現在、荷電変換フォイルからの2次粒子を直接計測するための、スチルベン結晶を用いた有機シンチレータと通常のプラスチックシンチレータを組み合わせ、陽子・中性子・ガンマ線の弁別できるシステムを開発している。開発は、まず第1段階としてのスチルベンシンチレータによる中性子・ガンマ線弁別の性能試験を実施する。標準線源を用いた性能試験を実施した検出器をRCSサブトンネル内に持ち込んで試験を行う。サブトンネルでは、主トンネルとの間のコンクリート壁によってほとんどの放射線は遮蔽されているが、中性子及びガンマ線があることは放射化測定によって分かっている。本発表では、このサブトンネル内での性能試験について報告する。 |
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THP083 p.1044 | J-PARC MR におけるイントラバンチフィードバックの2台体制化 Dualize of intra-bunch feedback system in J-PARC MR ○岡田 雅之,外山 毅(KEK J-PARC) ○Masashi Okada, Takeshi Toyama (KEK J-PARC) J-PARC MRには2組のストリップライン型キッカーが設置されていて、それぞれ独立に動作させる事が出来る。現在、ニュートリノ実験向けの運転では1組をイントラバンチフィードバック、もう一組をTune測定やインスタビリティモニターとして運用している。 MRでは今後ビームパワーの増強が予定されており、その際にはビームの不安定性も増大しやすくなると予想される。その為それを抑えるためのダンピング機能も強化する必要があり一案としてイントラバンチフィードバックを2台体制にすることを検討している。 その効果を確認する為、今回1台体制と2台体制で入射エラーがダンプされる様子の比較を行った。テストの結果、BPMのデータでは収束の改善が観測されたがビームロスは逆に増えてしまった。BPMが主に見ている低い周波数帯域ではフードバックの効果があったものの高い帯域ではほとんど効果が見られないのがその理由と思われ、現在、その原因について調査を行っている。 本発表ではその結果と対策について発表する。 |
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THP084 p.1047 | 紫外光由来負水素イオンビームを用いたミューオンRF加速試験用 診断ビームラインの試運転 Commissioning of the diagnostic beam line for the muon RF acceleration with negative hydrogen ion beam derived from the ultraviolet light ○中沢 雄河,飯沼 裕美(茨城大),大谷 将士,河村 成肇,三部 勉,山崎 高幸(高エネ研),北村 遼(東大),近藤 恭弘(原研),齊藤 直人(J-PARCセンター),須江 祐貴(名大) ○Yuga Nakazawa, Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Masashi Otani, Naritoshi Kawamura, Tsutomu Mibe, Takayuki Yamazaki (KEK), Ryo Kitamura (Univ. of Tokyo), Yasuhiro Kondo (JAEA), Naohito Saito (J-PARC center), Yuki Sue (Nagoya Univ.) 素粒子標準模型を超えた物理として、ミューオンの異常磁気能率(g-2)がある。ミューオンg-2はブルックヘブン国立研究所での先行実験により0.54ppmという高精度で測定され、標準模型の理論値から3.7σの乖離が存在することを示した。先行実験ではパイオン崩壊から得たエミッタンスの大きいミューオンビームを蓄積するために収束電場を必要とした。対してJ-PARC E34実験では超低速ミューオンの再加速により、低エミッタンスのミューオンビームを生成し、ビーム蓄積に収束電場を必要としない手法をとることで、先行実験における系統誤差を削減し、高精度な測定を計画している。要素技術の開発の一つとしてミューオン高周波加速試験を2017年10月に実施した。この加速試験ではミューオンビームを金属薄膜標的に照射して負ミューオニウムイオン(Mu-)を生成し、静電加速収束器、RFQによってMu-を89keVまで加速する。加速試験に先立ち、紫外光を金属薄膜に照射することで発生した負水素イオン(H-)を用いることで四極電磁石や偏向電磁石から成る診断ビームラインの調整運転を実施した。本講演では調整運転に用いたH-イオンビームの測定、Mu-の輸送・運動量選別に必須である電磁石の調整を行った結果について報告する。 |
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THP085 p.1051 | J-PARC E34 muon g-2/EDM実験: 低レートミューオンバンチ縦方向構造測定装置の開発 Development of the good time resolution monitor to measure the longitudinal structure of low-rate muon bunch for J-PARC E34 Experiment ○須江 祐貴(名大),大谷 将士(高エ研),北村 遼(東大),近藤 恭弘(原研),中沢 雄河(茨城大),飯嶋 徹(名大),飯沼 裕美(茨城大),河村 成肇,齊藤 直人,三部 勉,山崎 高幸(高エ研),居波 賢二(名大) ○Yuki Sue (Nagoya Univ.), Masashi Otani (KEK), Ryo Kitamura (Univ. of Tokyo), Yasuhiro Kondo (JAEA), Yuga Nakazawa (Ibaraki Univ.), Toru Iijima (Nagoya Univ.), Hiromi Iinuma (Ibaraki Univ.), Naritoshi Kawamura, Naohito Saito, Tsutomu Mibe, Takayuki Yamazaki (KEK), Kenji Inami (Nagoya Univ.) ミューオンの基本的な物理量であり、新物理に対して高い感度を持つ異常磁気能率g-2の実験値は素粒子標準理論の予測から3.7σの乖離が見えている。その検証のためにJ-PARC E34 g-2/EDM実験では先行実験とは異なる実験セットアップを用いて高精度の測定を目指す。この実験では極低温ミューオンを212MeVまで再加速することで低エミッタンスのミューオンビームを実現し主要な系統誤差の削減を行う。ミューオン加速の実証試験として2017年10月にはRFQを用いた世界初のミューオン高周波加速を実証し、その後のビームテストでは横方向のビームプロファイルの測定を行った。一方で縦構造の測定は、後段加速器との接続などビームライン構築にも必要な技術となるが、方法が確立しておらず未だ測定できていない。試験段階では低レートとなるミューオンバンチを加速位相の1%に当たる数十psecの時間分解能で計測する必要がある。そのために、1ミューオンが検出可能なMCP検出器と信号電荷量に依存した時間分解能悪化を抑えるCFD回路を用いた高時間分解能な測定系を開発する。測定系の校正ためにピコパルスレーザーによる光電子を用いたテストベンチを構築することで要求の時間分解能を実現する。本発表では89 keVミューオンビームを用いて行う11月のビーム試験に向けたこれらの測定系の開発・準備状況について報告する。 |
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THP086 p.1055 | J-PARC RCSへの入射ビームの監視とH0ダンプラインBPMの設計 Monitoring of the injected beam to the J-PARC RCS and BPM design for H0 dump line ○林 直樹,吉本 政弘,Saha Pranab,畠山 衆一郎(J-PARC/JAEA) ○Naoki Hayashi, Masahiro Yoshimoto, Pranab Saha, Shuichiro Hatakeyama (J-PARC/JAEA) J-PARC RCSは、設計ビームパワー1 MWの速い繰返しのシンクロトロンである。2007年のファーストビームより運転を開始し、途中2014年にリニアックの入射エネルギー増強、イオン源方式の変更を経て、性能を向上し、MLF、MRへ安定的なビーム供給を続けている。 入射されるH-ビームは、入射点にある荷電変換フォイルで、H+に変換され、多重周回入射される。1%以下の変換されなかったビームは、不用意な機器の放射化防止のため、H0ダンプラインを経由しビームダンプへ導かれる。ダンプ容量は、4 kWと定格入射ビームパワー133 kWの約3%しかなく、荷電変換フォイル破損時などは、即時に停止する必要がある。突発的なビーム強度上昇に備え、電流モニタCTを使った電流監視、小さな変動についても、波形データを平均処理、特定の周波数成分を抽出し求めている。 今回、さらなる監視強化、高精度化のため、H0ダンプラインにBPMの設置を検討した。ビーム強度は、メインビームの1%以下だが、このBPMは、従来のRCSの周波数でなく、リニアック周波数324 MHzで検波することで、パルス電磁石のノイズに強くする。また、入射時間全領域での位置変化も観測し、ペイント入射状況の監視、交流四極電磁石の影響の確認を行う。さらに、信号強度の変化を調べ、荷電変換効率のより詳しい測定も行う。 本報告では、現状の入射ビーム監視について触れた後、H0ダンプラインに設置するBPMの設計、課題について述べる。 |
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THP087 p.1060 | PFリング用DCCTダクトの設計 Design of a DCCT duct for the PF-ring ○高井 良太,帯名 崇,谷本 育律,本田 融,野上 隆史(高エネ研) ○Ryota Takai, Takashi Obina, Yasunori Tanimoto, Tohru Honda, Takashi Nogami (KEK) KEKの放射光源であるPFリングには、予備機を含め2台のDCCTが設置されている。ともに大きなトラブルもなく安定に動作してきたが、これらのうちの1台は設置から20年が経過しており、ビームダクトの形状も旧式のものを採用しているため、高電荷のシングルバンチ運転時にはHOMによるダクトの発熱が顕著になっている。PFリングでは今夏、このDCCTの直上流に位置するアンジュレータを更新する予定であり、DCCT自体も他のスペースへ移設する必要が生じたことから、これを機にダクト・コア・検出回路の一式を更新することとなった。DCCTダクトを構成するセラミックブレークの構造は、実際に製作する上での技術的な限界を考慮しつつ、3次元電磁界シミュレータを用いて最適化された。セラミックブレーク近傍のダクト表面には、HOMにより発生する熱を効率的に除去するための水冷パスが設けられる。セラミックブレークの外側には薄いカプトンシートと銅フォイルで構成した容量構造を取り付け、高周波的に短絡させることでコアハウジング内への不要なHOMの放射を抑えている。本発表では、このPFリング用DCCTダクトの詳細設計について述べる。 |
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THP088 p.1065 | J-PARCハドロン実験施設におけるビームダンプ温度測定 Temperature measurement of beam dump at J-PARC hadron experimental facility ○上利 恵三(高エネルギー加速器研究機構) ○Keizo Agari (KEK) J-PARCハドロン実験施設では加速器により30GeVまで加速され、遅く取り出された陽子ビームを二次粒子生成標的に照射し、発生した二次粒子を物理実験に使用している。実験やビーム調整時に使用されなかった陽子ビームはビームダンプに入射、吸収され、エネルギー寄与により多大な熱や放射線が発生する。ビームダンプ表面には熱電対を水平方向に40個設置し、その温度を測定することにより、ビームプロファイルモニタとしても使用している。ハドロン実験施設では2017年4月に44kWの陽子ビームで連続運転に成功しており、実験時連続運転でビームダンプの発熱温度は16Kであった。 今回は44kWの連続運転時に測定したビームダンプ温度、温度から得られたビームプロファイルの解析、残留ガス型ビームプロファイルモニタより予想されるビームダンプのビーム中心位置と温度プロファイルを比較した結果について報告する。 |
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THP089 p.1068 | Head−tail フィードバックによるモード結合不安定性抑制の検討 Challenge to Head-tail Feedback for Mode Coupling Instability ○中村 剛(高輝度光科学研究センター) ○Takeshi Nakamura (JASRI) Head-tail 振動のフィードバックによる電子ビームのモード結合不安定性の抑制を検討する。従来のフィードバックでは重心振動を抑制することにより、間接的にモード結合不安定性を抑制してきたが、その強さは理論的な限界に近づいており、大電流での抑制が困難となっている。そこで、head-tail 振動を抑制するキッカーを検討してきたが、この発表では、head-tail 振動の直接検出や、クロマティシティによる重心振動と head-tail 振動の変換などを含めた考察を行う。 |
加速器制御 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP090 p.1073 | 京都大学複合原子力科学研究所FFAG加速器複合系制御システムの現状 Current Status of Control System for the FFAG Accelerator Complex at KURNS ○栗山 靖敏(京大複合研),沖田 英史(京大工),不破 康裕,上杉 智教,石 禎浩,森 義治(京大複合研) ○Yasutoshi Kuriyama (KURNS), Hidefumi Okita (Kyoto Univ.), Yasuhiro Fuwa, Tomonori Uesugi, Yoshihiro Ishi, Yoshiharu Mori (KURNS) 京都大学複合原子力科学研究所(旧京都大学原子炉実験所。以下、複合研とする。)FFAG加速器複合系(以下、FFAG複合系とする。)は、加速器駆動システム(以下、ADSとする。)のためのプロトンドライバーとして開発された。複合研の未臨界集合体(KUCA)とFFAG複合系を組み合わせた初のADS実験を2009年3月に実施し、それ以降もADSのための基礎研究を推進している。FFAG複合系の制御システムは、ネットワークベースとなっており、横河電機のPLC(FAM3)を中心とした制御システムである。FFAG複合系設立当初は、開発の容易さや敷居の低さからナショナルインスツルメント社のLabVIEWを用いた制御インターフェースを開発し、加速器の運転に使用されていた。その後、制御システムの高度化・安定化を目的として、2010年頃よりEPICSの導入を進めている。2018年5月現在、ビームインターロック系と製造メーカーから提供を受けている線形加速器の制御システム以外については、LabVIEWからEPICSへの置き換えが終了した。また、2017年12月より、Arichiver Applianceを利用したアーカイブシステムを立ち上げ、FFAG複合系の運転状態の記録を行っている。本発表では、上記の事柄に加え、GPIB制御システムやストレージシステムの更新についても合わせて報告を行う。 |
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THP091 p.1078 | SuperKEKB入射器とダンピングリングにおけるビームゲートを用いたトリガー制御 Trigger control system with Beam Gate at SuperKEKB injector LINAC and Damping Ring ○杉村 仁志,梶 裕志,佐藤 政則,宮原 房史,佐々木 信哉(高エネルギー加速器研究機構),草野 史郎,工藤 拓弥(三菱電機システムサービス株式会社),飯塚 祐一(株式会社東日本技術研究所) ○Hitoshi Sugimura, Hiroshi Kaji, Masanori Satoh, Fusashi Miyahara, Shinya Sasaki (KEK), Shirou Kusano, Takuya Kudou (Mitsubishi Electric System & Service Co., Ltd), Yuuichi Iitsuka (East Japan Institute of Technology Co., Ltd) SuperKEKB加速器では、Event Timing Systemを用いた加速器制御を行っている。Event Timing Systemは加速器の運転で必要な様々なタイミング信号をEvent Codeと呼ばれる8ビットの情報として送信することで、タイミング信号を受信した時にEventCodeに応じた信号出力をすることが可能である。 Event Timing SystemはMicro Research Finland(MRF)社製のEvent GeneratorとEvent ReceiverからなるVMEモジュールやPXIモジュールを利用して行っている。MRF社製のこのモジュールではEventCodeの送受信だけでなく、ショット毎の様々な情報を2kBを上限として送信することのできるDataBufferと8ビットのHi/Low情報を送信することのできるDistributedBusという機能もある。 本発表ではビームゲートのHi/Low情報をDistributedBusにのせたことによるSuperKEKBダンピングリングと入射器でのトリガー出力制御システム のアップグレードに関して報告する。 SuperKEKBダンピングリングではビームゲートに連動して入射および出射キッカー電源とセプタム電源の制御を行うことが可能になり、蓄積モードでの運転やアボート時の出射、連続入射出射などの様々なモードでの運転を可能にした。 また、SuperKEKB入射器ではビームゲートに連動して出力トリガーの切り替えを行い、様々な設定変更をしたとしても、常に一定の繰り返し(50Hz)のトリガー出力を維持する機構を整備した。 |
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THP092 p.1082 | J-PARCメインリング速い取出しキッカー電磁石のフェライト残留磁化によるビームロスに対する対策 Measures against beam loss due to residual magnetization of ferrite for fast extraction kicker magnet of J-PARC main ring ○杉本 拓也,石井 恒次,上窪田 紀彦,芝田 達伸(高エネ研) ○Takuya Sugimoto, Koji Ishii, Norihiko Kamikubota, Tatsunobu Shibata (KEK) J-PARCメインリング(MR)では、長基線ニュートリノ振動実験T2Kへ向けて、30GeVに加速した陽子ビームを速い取出し(Fx)により供給している。速い取出し機器は、MRからニュートリノターゲット(NU)へ向けてビームを取り出すだけでなく、加速器の調整や機器の異常時に、ビームを捨てるためのビームアボートダンプ(ABT)への取出しも行う。NUとABTへの取出し軌道は、周回軌道を中心として左右対称で、Fxキッカー電磁石の磁場の極性を変えることで行き先を制御している。Fxキッカー電磁石のパルス電源は両極性のブルームライン型電源で、サイラトロンに送るトリガー信号を変えることで極性を制御している。加速器の調整後、ビームの取出し先をABTからNUへ変更した直後に、入射から取出しまでの間のビームロスが増加する現象が2017年ごろから観測され始めた。調査の結果、Fxキッカー電磁石のフェライトが、ABT取出し用の磁場により、NU取出し用とは逆向きに磁化し、周回ビームの水平方向CODが変化した事が原因だとわかった。その対策として、専用のトリガー回路モジュールをEPICSシーケンサとPLCで制御するシステムを開発し、フェライトの残留磁化の方向を制御するシステムを構築した。本発表では、制御システムの詳細とビーム試験結果について報告する。 |
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THP093 p.1087 | MQTT broker間のデータ受け渡しによるIoTシステムの実現 Implement of IoT system for delivery data between two types MQTT broker ○石塚 規友紀(日立造船株式会社),福井 達(理研),清道 明男(高輝度光科学研究センター) ○Miyuki Ishizuka (Hitachi Zosen Corp.), Toru Fukui (RIKEN), Akio Kiyomichi (JASRI) 現在、産業界における様々な問題―例えば人材不足や技術継承―を解決する方法としてIoT技術の利用は浸透しつつあると思われる。施設内に配置したセンサーからデータや機器の稼働情報を収集し、リアルタイムに分析することで設備監視や不良予知に役立てることができる。その際に利用される通信規格で現在のデファクトスタンダードの一つにMQTTがある。SPring-8では収集データの一つである収納部内の温湿度データについて、温湿度センサーを搭載したArmadillo上で周期的に測定値を取得し続けるプログラムを動作させ、取得データをMQTTブローカーへ送信するエッジデバイスを作成し収納部内に多数配置した。さらにデータ収集VME上にブローカーを置き、ブローカーからデータを取得してデータベースに格納するプロセスなどを作成した。この構成の目的はブローカーを含めて1つの機器とみなしてデータを扱うことで多数のセンサーからなるネットワークの管理性を向上させることにある。SPring-8における制御フレームワークは、昨年度から高度化に向けた準備として新システムへの移行が進められており、新しいフレームワークと上記のプロセスを組み合わせて温湿度データの収集が実現でき、現在までトラブルなく運用が続けられている。本発表では上記のシステムに加え今後の展開としてデータ取得と受け渡し処理を分離した、共有メモリ経由でのやり取りを利用した実装も紹介する。 |
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THP094 p.1091 | トリガ付きスケーラのソフトウェア環境整備:EPICS db開発 Development of EPICS-based Software of Triggered Scaler ○田島 佑斗(関東情報サービス),上窪田 紀彦,佐藤 健一(高エネ研),吉田 奨(関東情報サービス),山本 昇(高エネ研) ○Yuuto Tajima (KIS), Norihiko Kamikubota, Kenichi Sato (KEK/J-PARC), Susumu Yoshida (KIS), Noboru Yamamoto (KEK/J-PARC) 昨年報告した「トリガ付きスケーラの開発とトリガ抜け検知」では、新規開発したトリガ付きスケーラモジュールの基本性能を確認した。この報告では、トリガ付きスケーラをJ-PARC MR加速器で利用するためのEPICSソフトウェア環境の整備を解説する。 開発したEPICS db(信号定義)は、3階層に分けた。 1)モジュールのhardware registerを定義する。例えば、使用中のdouble bufferの番号(0 or 1)を持つregisterや、計測結果がはいった配列のregisterなどが定義されている。 2)J-PARC MR仕様の設定パラメータを定義する。MR周期の始まりに出るパルス(S信号)毎に更新される情報が定義されている。 3)計測する信号に応じた実装部分を定義する。例えば、MPS信号を検知する時は、それ専用の定義になる。別発表(注)では、入射信号(K1-K4)検知、RF加速器信号検知、MPS検知が示されるが、それぞれ別の定義になる。 このようなEPICS dbの実装の詳細と、実際の環境で動作させて各種加速器信号を検知した結果について報告する。 (注)別発表 「トリガ付きスケーラの応用:加速器信号の計測」申し込み予定 2件のポスターを並べていただけるとありがたく存じます |
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THP095 p.1095 | トリガ付きスケーラの応用:J-PARC MR加速器信号の計測 Demonstrative applications of Triggered Scaler in J-PARC MR ○佐藤 健一(高エネ研),田島 佑斗(関東情報サービス),上窪田 紀彦(高エネ研),吉田 奨(関東情報サービス),山本 昇(高エネ研) ○Kenichi Sato (KEK/J-PARC), Yuuto Tajima (KIS), Norihiko Kamikubota (KEK/J-PARC), Susumu Yoshida (KIS), Noboru Yamamoto (KEK/J-PARC) J-PARCで開発・試験が進められているPLC型「トリガ付きスケーラ」モジュールは、現在のタイミングシステムに対するReadback系として、加速器機器向けに配信している各種トリガ信号(例:MR-cycle内の主電源開始トリガ、入射サイクルトリガ)を次々に計数する装置である。別発表(注)では、このモジュールを使うためのEPICSソフトウェア環境の整備が報告される。J-PARC MR内で「トリガ付きスケーラ」で加速器の信号を計測したデモとして、3種類のアプリケーションを開発した。それぞれ、(1)MRの入射キッカータイミング(K1-K4)の検出、(2)MR周回信号を用いて加速エネルギーの計測(逆算)、(3)MPS Abort信号を検知してMR周期におけるMPS発報を可視化、である。本報告では3種のアプリを紹介し、今後の展望を議論する。(注)別発表 「トリガ付きスケーラのソフトウェア環境整備:EPICS db開発」申し込み予定。2件のポスターを並べていただけるとありがたく存じます。 |
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THP096 p.1099 | 冷却水装置タイマー運転システムの構築 Construction of the timer operation system for the cooling system ○古川 和弥,岡田 宥平,磯山 悟朗(大阪大学 産業科学研究所) ○Kazuya Furukawa, Yuhei Okada, Goro Isoyama (ISIR, Osaka University) 阪大産研Lバンド電子ライナックは、種々の利用研究に週末を除き毎日使用されるが、連続運転ではなく、毎朝立ち上げて実験終了後に停止する。ライナックの立ち上げで冷却水の温度が安定するまで1~2時間程度かかり、これが利用開始の時間を決める。従来、冷却水装置の運転・停止は、1次冷却水系のクーリングタワーと循環ポンプを同時に入り切りするスイッチと、2次側冷却水系の精密冷却装置と一般系冷却装置のスイッチをそれぞれの現場で手動操作していた。立ち上げ時間を短縮して利用時間を拡大するため、制御室のPCでの運転・停止と、タイマーによる早朝の予約運転を可能にする冷却水装置制御系を構築した。具体的には前述の2次系冷却装置2台から1次系制御盤まで制御線を引き3台の運転スイッチを1次系制御盤に集約すると共に、そこに遠隔操作用のPLCとリレーを設けて制御PCにイーサネット接続した。遠隔操作用のPCソフトをLabVIEWで作成し、これにタイマーにより指定日時に運転を開始する機能を加えた。更に冷却水使用室の床に電線状の漏水センサーを設置し、警報機能と外部出力接点を持つ漏水警報盤に接続する。外部出力接点の漏水警報をPLCが読みこむことで、水漏れが起きた場合に冷却水装置を停止する。本装置を使い冷却水システムを朝7時に立ち上げることで従来より1時間早くLバンド利用を開始できるようになった。本年会ではシステムの構成や稼働状況に関して報告する。 |
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THP097 p.1102 | cRIOを用いたパルスマグネット用インターロックシステムの開発 Development of interlock system for pulse magnet using cRIO ○牛本 信二(三菱電機システムサービス株式会社),榎本 嘉範(高エネルギー加速器研究機構) ○Shinji Ushimoto (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.), Yoshinori Enomoto (KEK) KEK 電子陽電子入射器(以下、入射器)では、5つの蓄積リング(PF,PF-AR,DR,SKEKB HER/LER)へパルス毎に最適なビームを輸送するため、パルスマグネットの設置を進めている。このパルスマグネットの制御システムは従来の電磁石電源電源とは異なり、パルスドライバー、充電用 DC 電源、Event Receiver、デジタイザー、制御用PC、インターロック用cRIO(CompactRIO)等の機器で構成され稼働している。 パルスマグネットで使用するインターロックシステムの設計では、多数の接点信号に加えて、電圧などのアナログ信号をモニタし、インターロックとして使用することを想定した。また、PLCと同等の高い信頼性と堅牢性を備えた上で、使用状況に応じてソフトウェアの書き換えを必要としない、柔軟な対応を実現することを目指した。その結果、National Instruments社のcRIOを用いたインターロックシステムを開発した。cRIOにはFPGAおよびRealTime OSが搭載されており、いずれもLABVIEWでロジックの設計やソフトウェアの開発がおこなえる。インターロックのロジックは FPGA で処理をおこない求められる高い堅牢性と信頼性を実現した。一方、RealTIme OS 上ではEPICS Serverを構築し、EPICSによる外部からのアクセスを可能としている。 本システムは2017年秋からの立ち上げ以降、数回のソフトウェア改修経て、2018年2月から現在に至るまで、全箇所で安定動作を維持している。 |
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THP098 p.1105 | J-PARC LinacおよびRCSにおけるステッピングモータ制御系の標準化 Standardization of Stepping Motor Control System in J-PARC Linac and RCS ○高橋 博樹,澤邊 祐希(原子力機構),鈴木 康夫((株)トータル・サーポート・システム),鈴木 隆洋,川瀬 雅人(三菱電機システムサービス(株)) ○Hiroki Takahashi, Yuki Sawabe (JAEA), Yasuo Suzuki (TOSS), Takahiro Suzuki, Masato Kawase (MELSC) J-PARC LinacおよびRCSのプロファイルモニタ(ワイヤスキャナ)、RCSのコリメータなどは、可動部(プロファイルモニタのワイヤ、コリメータの吸収体・散乱体)と駆動部からなる機器である。これらの機器は、駆動部により可動部を適切な位置まで動かし、これをビームに当てることにより、ビーム形状の計測、ビームロスの低減を行う。よって、可動部を損傷させることなく適切な位置まで移動させるためには、駆動部に使用されているステッピングモータの適切な制御が重要である。 これら駆動部の制御系ハードウェアは、J-PARC運転初期から使用されているものが多く、経年化による誤動作が懸念されている。また、制御器としてはPLC、VME、MCUなど多様な機器が使用されており、予備品を機器毎に用意する必要があるなど、メンテナンス性の面で問題があった。そこで、制御系ハードウェアおよびソフトウェアを標準化(共通化)した、駆動部制御系の更新を進めることとした。 本件では、LinacおよびRCSにおける標準化したステッピングモータ制御系について報告する。 |
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THP099 p.1109 | SuperKEKBにおけるpvAccess RPCを利用したWeb上のデータ可視化 Web-based data visualization using EPICS pvAccess RPC at SuperKEKB ○佐々木 信哉(KEK) ○Shinya Sasaki (KEK) SuperKEKBでは加速器制御に用いている計算機やネットワークスイッチの監視情報を、加速器制御以外でも広く利用されるZabbixなどのソフトウェアで収集し、その収集されたデータはGrafanaなどのダッシュボードソフトウェアを利用してWebブラウザ経由で可視化している。一方で、加速器制御のアーカイブデータやアラームのログデータなど加速器制御に関わるデータに関しては、それぞれ専用のWebページやWebアプリケーションを用意して表示、もしくはWebベースではないソフトウェアで表示を行っている。これらの加速器制御のデータに関してもGrafanaなどのダッシュボードソフトウェア上で可視化・表示が出来れば、利便性の向上が期待できるほか、専用のWebページを作成する必要もなくなるため、開発効率の向上も期待できる。そのため、pvAccess RPCを通じて各サービスからデータの取得を行い、Grafanaにデータを受け渡すためのWebサービスの開発を行った。EPICS 7が提供するpvAccess RPCを各サービスとのインターフェースとして利用することで、データソースの新規追加が容易に出来るようになるほか、Grafana以外のアプリケーションからのデータ利用も容易に可能となるようにした。本稿では開発したWebサービスとその利用について報告する。 |
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THP100 p.1114 | SuperKEKB phase-3運転のためのバケットセレクションシステム Bucket Selection System for the SuperKEKB Phase-3 Operation ○梶 裕志(高エネルギー加速器研究機構) ○Hiroshi Kaji (KEK) 電子陽電子衝突型加速器SuperKEKBでは、バケットセレクションシステムがメインリング(MR)の入射RFバケットを決定している。本年のphase-2運転からは、ダンピングリング(DR)蓄積によりエミッタンス抑制された陽電子パルスが入射に用いられ、このときバケットセレクションは「DR運転バケット」と「MR入射バケット」を同時に決定している。2019年のphase-3では入射頻度が50Hzへ増加されるが、このアップグレードにより入射器の運転間隔20msがDRの最低蓄積時間40msより短くなる。エミッタンス抑制に必要な最低蓄積時間を確保するためには、陽電子を2パルス同時にDR蓄積する運転が必要であり、バケットセレクションのアルゴリズムは以下の理由で大幅に複雑化される。2パルス同時蓄積ではDR運転バケットの選択に制約が生まれる。その制約による入射運転の効率低下を避けるため、入射器は運転パルス毎にそのRF位相を変調を行い入射タイミング条件を緩和する。Phase-2運転終了後、我々はphase-3運転の要求を満たすバケットセレクションソフトウェアを開発する。本講演ではDRの2パルス同時蓄積運転により生まれる制約を整理し、入射器RF位相の変調を伴うバケットセレクションの仕様を説明する。 |
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THP101 p.1117 | SuperKEKB入射電荷量アーカイブシステム Archive System for Injection Current at SuperKEKB ○梶 裕志(高エネルギー加速器研究機構),飯塚 祐一(東日本技術研究所),廣瀬 雅哉(関東情報サービス) ○Hiroshi Kaji (KEK), Yuichi Iitsuka (East Japan Institute of Technology), Masaya Hirose (Kanto Information Service) SuperKEKB加速器では、phase-2運転よりメインリングへ入射された電流量を入射パルス毎・バンチ毎に測定しアーカイバへ記録している。この処理をイベントタイミングシステムが発生する割り込みで行うことにより、入射運転のパルス毎の入射電流量測定を実現した。電流量測定の方法もDCCTによる全電流量の増加からBunch Current Monitorによる入射バンチのみの電流量の増加に変更し、その測定精度を向上させている。この方法により、2バンチパルスの入射の際に、1バンチ目と2バンチ目の入射電荷量を別々に測定することが可能になった。測定データはCSS archiverを用いPostgreSQL形式のデータベースに保存されている。このデータベースにはその他にもビームトランスポートラインBPMでのビーム電荷量、入射RFバケット番号などの情報も保存されオフラインで参照可能である。これらの情報はメインリングビームアボート時の原因究明やBelle-II測定器でのビーム由来の背景事象解析などに役立てられる。本講演では入射電流量測定システムの詳細な仕様とSuperKEKB運転時の測定結果を紹介する。 |
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THP102 p.1120 | SACLA加速器安全インターロックシステムのビームエネルギー個別変更スキーム Individual changing scheme of the beam energy parameters of the SACLA radiation safety interlock system ○櫻井 辰幸(公益財団法人 高輝度光科学研究センター),山本 隆博(株式会社 日本技術センター),佐治 超爾(公益財団法人 高輝度光科学研究センター) ○Tatsuyuki Sakurai (Japan Synchrotron Radiation Reserch Institute), Takahiro Yamamoto (Nippon Gijutsu Center Co., Ltd), Choji Saji (Japan Synchrotron Radiation Reserch Institute) ビーム運転を継続しつつ、個別ビームラインでビームエネルギー変更を行うためのSACLA放射線安全インターロックシステムのスキームについて報告する。X線自由電子レーザーSACLAは実験ユーザーの利用機会を増やすために、電子ビームをパルス毎に複数のビームラインに振り分け、同時にレーザーを発振させる運転を行なっている。ユーザー実験の切り替わりの際は、実験ユーザーに合わせてビームエネルギーを変更するが、安全インターロックシステムの制約のためユーザー実験を全て中断しなければ、エネルギー変更が出来なかったため改修する。 方針としては、安全インターロックシステムは、安全にエネルギー変更をするために、エネルギー変更中のビームラインに電子ビームが出射されない事を担保する。その実現のために、エネルギー変更するビームラインの上流シャッターとアンジュレータラインの前に設置されたシャッターを閉じることで、ビームラインを物理的に加速器から切り離し、さらに該当のビームラインへビームを出射するためのトリガーの出力許可をOFFすることで、該当ビームラインにビームが出射されないことを担保した。これらを満たすことで、安全インターロックシステムは該当ビームラインのエネルギー変更を許可する。この改修により、個別にエネルギー変更を行う要望を満足した。本件ではビーム振分運転に対応するためのスキーム・ロジック・構成等について報告する。 |
LLRF (8月9日 大展示ホール) | |
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THP103 p.1123 | ダイレクトサンプリング法を用いたSuperKEKB入射器とリングの位相差モニター Phase Difference Monitor between SuperKEKB Injector LINAC and Rings using Direct Sampling Technique ○リュウ ナ(総研大),三浦 孝子,松本 利広(総研大/高エ研),荒川 大,片桐 広明(高エ研),チュー フェン,道園 真一郎(総研大/高エ研),デウ バイテイン(総研大),矢野 喜治(高エ研) ○Na Liu (SOKENDAI), Takako Miura, Toshihiro Matsumoto (SOKENDAI/KEK), Dai Arakawa, Hiroaki Katagiri (KEK), Feng Qiu, Shinichiro Michizono (SOKENDAI/KEK), Baiting Du (SOKENDAI), Yoshiharu Yano (KEK) The beam injection phase from the injector LINAC to SuperKEKB rings drifts several degrees or more per day depending on the temperature and humidity etc. The monitoring and compensation system of the phase drift between the LINAC and the rings is important for stable beam injection. The frequency of the master oscillator (MO) of the LINAC and the rings is 571.2 MHz and 508.9 MHz, respectively. By the direct sampling technique using the common sampling frequency, both MO signals are monitored. |
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THP104 p.1127 | SuperKEKB入射器のRFモニタシステムによるRF源診断 RF source diagnosis using RF monitor system in SuperKEKB injector linac ○片桐 広明,明本 光生,荒川 大,チュウ フェン,松本 利広,三浦 孝子,矢野 喜治(高エネ研) ○Hiroaki Katagiri, Mituo Akemoto, Dai Arakawa, Feng Qiu, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Yoshiharu Yano (KEK) KEK電子陽電子入射器では、SuperKEKB計画に対応するためRFモニタシステムを更新した。新たに開発したRFモニタユニットについては、FPGAに組み込んだ高速シリアル通信回路の誤動作や、電磁ノイズの影響による測定精度の悪化が判明したため対策を施し、当初導入したSバンド用60台に加え、サブハーモニックバンチャー用(114 MHz 及び 571 MHz)の運用も開始した。現在は主要なハードウェアの整備を終え、ソフトウェアの開発を進めている。RFモニタユニットは50 Hzで運転されるRF源の全パルスを測定しており、EPICSによりアーカイブされたデータは入射器のビーム調整やRF源の長期的な安定性の確認などに利用されている。さらに、異常時の原因究明に役立てる目的で、セーフティインターロックによる大電力RF源のトリップや、クライストロン出力のパルス欠けを検知し、現象が発生する数周期前からのRFパルス波形を保存するプログラムを試験的に運用している。また、ビーム誘起波の位相を測定することで、RF源の位相調整を行う試みもなされている。RFモニタシステムの運用状況について、RF源診断用ソフトウェアの整備を中心に報告する。 |
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THP105 p.1131 | J-PARC RCS 次世代 LLRF 制御システム Next generation LLRF control system for J-PARC RCS ○田村 文彦,杉山 泰之,吉井 正人,大森 千広,山本 昌亘,野村 昌弘,島田 太平,長谷川 豪志,原 圭吾,古澤 将司(J-PARCセンター) ○Fumihiko Tamura, Yasuyuki Sugiyama, Masahito Yoshii, Chihiro Ohmori, Masanobu Yamamoto, Masahiro Nomura, Taihei Shimada, Katsushi Hasegawa, Keigo Hara, Masashi Furusawa (J-PARC Center) J-PARC 3GeV シンクロトロン (RCS) の デジタル LLRF 制御システムは、デュアルハーモニック電圧制御や rf フィードフォワードによるマルチハーモニックビームローディング補償などの機能により、大強度陽子ビーム加速において重要な役割を果たしてきた。しかしながら、RCS の運転開始から10年以上が経過し、使用されているFPGA が現在の開発環境ではサポート外となったことなどから、現システムは今後維持していくことが困難になることが予想されている。このため、次世代 LLRF 制御システムを製作中である。現システムは VMEモジュールとして構成されているが、次世代システムではフォームファクターとして MTCA.4 を採用し、モジュール間の信号のやりとりにバックプレーンを介した高速シリアル通信を活用する。本発表では、次世代 LLRF制御システムの構成および機能の概要、開発の状況について報告する。 |
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THP106 p.1136 | SuperKEKB入射器の高周波基準信号用移相器 Phase shifter for RF reference signal in SuperKEKB Injector LINAC ○三浦 孝子,荒川 大,明本 光生,片桐 広明,チュウ フェン,松本 利広,矢野 喜治(高エネルギー加速器研究機構),リウ ナ(総研大) ○Takako Miura, Dai Arakawa, Mitsuo Akemoto, Hiroaki Katagiri, Feng Qiu, Toshihiro Matsumoto, Yoshiharu Yano (KEK), Na Liu (SOKENDAI) SuperKEKB入射器では、入射ビームの低エミッタンス化のために、電子ビームにはレーザーを使ったフォトカソードRF電子銃が使用され、陽電子ビーム生成の一次ビームには熱電子銃が用いられ、生成された陽電子に対しダンピングリングで低エミッタンス化を行う。入射器は、電子/陽電子ビームをHER/LERリングに入射するが、各リングに対し入射位相を変更する必要がある。従来は、入射器の基準信号全体を入射に応じて切り替えていたが、トップアップ入射のためには速い切り換えが必要となり、レーザーシステムへの同期信号の速い変化は許容されない。そのため、レーザーシステムへ送る基準信号はモード切替によっては変更されないように、新たに基準信号用の移相器を開発した。この移相器も含め、入射器の基準信号系について紹介する。 |
レーザー (8月9日 大展示ホール) | |
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THP107 p.1140 | 半導体レーザーアレイを用いたレーザーコンプトンガンマ線源の検討 Study of laser Compton gamma-ray source using laser diode array ○天野 壮,吉川 大久,宮本 修治(兵庫県大) ○Sho Amano, Taku Yoshikawa, Shuji Miyamoto (Univ .of Hyogo) ニュースバルのレーザーコンプトンガンマ線の高出力化を目的として、高出力半導体レーザーアレイ(Laser Diode Array; LDA)を用いた側面励起による生成ガンマ線量について計算したので報告する。従来レーザーコンプトンガンマ線は、相対論的電子ビームに逆方向からレーザーを入射して正面衝突で光子を散乱させて発生させていた。この方式だと配置できるレーザーは一台に限定されるので、発生ガンマ線の高出力化には、この一台のレーザーを、高ビーム品質を保ったまま高出力化するしかなかった。しかし、これには限界がある。そこで本研究において、電子ビームの進行方向の真横から複数個のレーザーを配置して生成ガンマ線の出力スケールアップ則が確立できないか考えた。ガンマ線量を予測するため側面励起用の計算コードを開発した。用いるレーザーは小型で数10W出力が可能なGaAlAs LDAとし、計算に必要な出力・波長スペクトル・空間特性(パターン、発散角、M2因子)を実測した。この測定結果を使ってニュースバルBL01での実験を想定してシミュレーションを行った。その結果、ミラー共振器エンハンスメントとの併用により、現状のニュースバルガンマ線量を一桁上回る10^8photons/secが得られ、その線量はLDA個数に比例して増加できる事が示せた。 |
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THP108 p.1142 | レーザーコンプトン散乱ガンマ線による高速陽電子材料検査 Material Inspection by positron generated by LCS gamma-ray ○宮本 修治(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所),杉田 健人,堀 史説(大阪府立大学工学研究科),寺澤 倫孝(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所),岩瀬 彰宏(大阪府立大学工学研究科),天野 壮,橋本 智(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所) ○Shuji Miyamotoi (Laboratory of Advanced Science and Technology for Industry, University of Hyogo), Kento Sugita, Fuminobu Hori (Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University), Mititaka Terasawa (Laboratory of Advanced Science and Technology for Industry, University of Hyogo), Akihiro Iwase (Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University), Sho Amano, Satoshi Hashimoto (Laboratory of Advanced Science and Technology for Industry, University of Hyogo) ニュースバル放射光施設のレーザーコンプトン散乱ガンマ線源を用いて、高速陽電子を発生し、これを用いた材料の欠陥検査手法の開発を行っている。高速陽電子を、材料中に入射すると、材料中で衝突により短時間で熱化し、材料中の空孔欠陥に高速にトラップされ、近隣の電子と対消滅を起こす。このとき、材料の欠陥密度や欠陥サイズに依存して、陽電子寿命や、消滅ガンマ線スペクトルが変化する。ガンマ線から陽電子の生成効率は高く、17MeVガンマ線ペンシルビームと鉛標的との相互作用断面積は、対生成陽電子発生が80%以上である。しかしながら、生成した陽電子を標的外部へ取り出し、検査対象材料に入射するためには、陽電子透過のために薄い標的を用いる必要があり、3mmの鉛標的では、生成効率は3%程度になる。陽電子のエネルギーは、ガンマ線エネルギーから電子陽電子の質量エネルギーを差し引いた残りが、両電子に分配されるため、1から16MeVの広いスペクトルを持ち、最大強度は8MeV付近となる。これをエネルギー選別してもちいると、さらに低効率になる。現在、利用効率を向上するために、検査対象材料をガンマ線標的として用い、陽電子生成と検査を同時に行う手法を試験している。この手法で計測時間を短縮するとともに、今後材料深さ方向の位置分解計測法を試験する。 |
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THP109 p.1147 | クラブ衝突レーザーコンプトン散乱のためのYb系レーザーシステム開発 Development of Yb-based laser system for crab crossing laser-Compton scattering ○森田 遼介,小柴 裕也,太田 昇吾,坂上 和之,鷲尾 方一(早稲田大学 理工学術院総合研究所),東口 武史(宇都宮大学),浦川 順治(高エネルギー加速器研究機構) ○Ryosuke Morita, Yuya Koshiba, Shogo Ota, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (Research Institute for Science and Engineering, Waseda University), Takeshi Higashiguchi (Utsunomiya University), Junji Urakawa (High Energy Accelerator Research Organization) レーザーコンプトン散乱とは電子加速器により生成された電子ビームとレーザーパルスの衝突により高品質なX線を生成する現象である。散乱光量は正面衝突時に最も高くなるが、光学素子と電子ビームが接触することから有限角衝突となり、散乱光量は低下する。そこで、この課題を解決するため本研究では散乱光量増加のために疑似的に正面衝突を作り出すクラブ衝突の実証試験を計画している。この時電子ビームを衝突角の半分だけ傾けた時、散乱光量が最も多くなる。レーザー光に対して傾きを与えないクラブ衝突において、高強度・高品質・超短パルスの性能を持つ衝突用レーザーを用いることで効率的に散乱光量の増加が見込める。そこで我々は衝突用レーザーとしてセラミクスのThin Diskを用いた再生増幅器を導入し、レーザーシステム開発を行った。Thin Diskとはディスク状の利得媒質であり、熱消散性に優れ高効率で高品質なビームを生成することができる。また、レーザーシステムにCPA(Chirped Pulse Amplification)法を用いることで非線形効果と増幅器中の光学素子の損傷を抑えることができる。本講演ではクラブ衝突に向けたレーザーシステム開発の現状及び今後の展望について報告する。 |
真空 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP110 p.1152 | TIG溶接を用いた銅製超高真空ダクトの製作 Fabrication of ultra high vacuum duct using TIG welding ○牛谷 唯人,文珠史郎 秀昭,東 憲男,井上 均,山本 将博,谷本 育律(KEK) ○Yuito Ushitani, Hideaki Monzyusirou, Norio Higashi, Hitoshi Inoue, Masahiro Yamamoto, Yasunori Tanimoto (KEK) KEKにて検討が進められている次期光源加速器計画では全周のダクト内面にNEGコーティングを施す計画となっている。ダクトの外周部は放射光が高いエネルギー密度で照射されることから冷却の点で熱伝導性の優れた材料を使うことが必須条件であり、またコーティングされたNEG膜を活性化するために最低でも250℃程度までの加熱に耐えうる材料であることが求められることから、熱伝導率は無酸素銅と同等で軟化温度300℃以上が実現できる銀入り無酸素銅(AgOFC)を真空ダクト材料として採用する。一方、銅の接合についてはロウ付けや電子ビーム溶接が一般的であるが、現実的な長尺ダクトを製作するにはAgOFC管同士をTIG溶接により接合する技術が不可欠であることからその技術開発を行った。銅のTIG溶接は材質の熱伝導の高さから電流を上げる必要がある。電流の上げ過ぎによる溶融防止のため高低差のある電流を一定間隔で流すパルス溶接を採用、再現性のためにトーチを固定してターンテーブルを回転し、酸化防止のためにパイプ内部は不活性ガスを流して裏波溶接を行った。溶接時、本溶接前に主にアーク確認のための初期電流を流すが、これを母材の加熱に利用する事で良好な裏波ビードを得ることが出来た。溶接後の評価は、断面のSEM観察およびEDX分析、Heリークテスト、ベーキング後の到達圧力、残留ガスおよびアウトガス試験を行う予定であり、溶接条件および真空評価試験の結果について報告する。 |
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THP111 p.1157 | Slow pumping and venting systemの開発 Development of Slow pumping & venting system ○阪井 寛志,梅森 健成,加古 永治,許斐 太郎(KEK),今田 信一,山田 浩気(NAT) ○Hiroshi Sakai, Kensei Umemori, Eiji Kako, Taro Konomi (KEK), Shin-ichi Imada, Hiroki Yamada (NAT) 超伝導空洞において、空洞内の微小な埃や異物の混入は、空洞内面からの電解放出(Field emission)を誘起し、大量の放射線を発生させ、性能劣化を引き起こす原因となる。これらの埃混入を回避するために、これまでに縦測定と呼ばれる空洞単体の性能評価試験では、ISO class 4以上のクリーン度を持つクリーンルーム内で空洞表面処理及び空洞の組み立て作業を行い、ゴミ混入の回避に対して細心の注意をしており、縦測定で35 MV/m以上の高い加速勾配を持つ空洞性能を実現してきた。 これらの空洞の性能を、加速器としてビームラインに組込む際は超伝導空洞をクライオモジュールと呼ばれる断熱槽に入れる必要がある。すなわち、縦測定で性能が出た超伝導空洞を加速器建設現場でクライオモジュールに入れるべく再度空洞組立作業を行う必要がある。現在、クライオモジュールでのfield emissionによる性能劣化が世界中の超伝導空洞の性能劣化の問題となっている。これらの改善のために、真空作業として、周りの環境によらず、ゴミの混入を許さない排気システムの確立が必要となる。 本研究はそのような超伝導空洞の性能を最初の縦測定での作業から、加速器建設現場などのクライオモジュール組立時の真空作業において、slowな排気とventを行い、ゴミの混入を回避するためのシステムである。その装置の概要と、装置を用いた真空排気時およびvent時のゴミ混入のテストについて紹介する。 |
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THP112 p.1162 | SuperKEKB陽電子リングにおけるビームロスを伴う圧力バーストの観測 Observation of pressure bursts accompanied by beam loss in the SuperKEKB positron ring ○末次 祐介(KEK/総研大),照井 真司,白井 満(KEK),池田 仁美,石橋 拓弥,柴田 恭(KEK/総研大),久松 広美,金澤 健一(KEK) ○Yusuke Suetsugu (KEK/SOKENDAI), Shinji Terui, Mitsuru Shirai (KEK), Hitomi Ikeda, Takuya Ishibashi, Kyo Shibata (KEK/SOKENDAI), Hiromi Hisamatsu, Ken-ichi Kanazawa (KEK) KEKのSuperKEKB陽電子リングでは、2016年2月から6月までのPhase-1運転時、大きなビームロス、ひいてはビームアボートを伴う圧力バースト(突出)が頻繁に観測された。ビームロスは多くの場合ビームアボートの数ミリ秒前から発生していた。発生頻度は、最大ビーム電流を増大する際に増え、一定電流で運転していると減少する傾向があった。測定圧力分布からバーストの発生点を推定すると偏向電磁石部であった。観測結果から、この圧力バーストはビームパイプ内のダスト粒子とビームの衝突によるものと推定された。偏向電磁石用ビームパイプは電子雲不安定性対策としてグルーブ構造を持ち、ダストが捕捉されやすい。実際、ノッカーと呼ばれる衝撃を与える装置を偏向電磁石内のビームパイプに取り付け運転中に動作させると、観測した現象を再現した。また、Phase-1後、圧力バーストが頻繁に観測された場所にあるビームパイプ内から数百μm以上のアルミ、アルミ合金の粒子が多数採取された。Phase-2前の対策として、Phase-1時圧力バーストが観測された偏向電磁石用ビームパイプに対してノッカーを使って衝撃を与え、予めダスト粒子を落とした。Phase-2は2018年3月から7月まで予定されているが、5月13日の段階で、ビームロスを伴う圧力バーストは一回起きたのみである(最大ビーム電流0.41 A)。ここでは、陽電子リングで観測された圧力バーストの特徴、および対策方法とその効果等について報告する。 |
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THP113 p.1167 | SuperKEKB Phase-2コミッショニングにおけるコリメータの稼働状況 Operational status of Collimators in SuperKEKB Phase-2 ○石橋 拓弥,照井 真司,末次 祐介(高エネ研・加速器),芳藤 直樹(株式会社東日本技術研究所) ○Takuya Ishibashi, Shinji Terui, Yusuke Suetsugu (KEK Accelerator Laboratory), Naoki Yoshifuji (East Japan Institute of Technology Co., Ltd.) ビームロス等からの各種機器の防護およびBelle-II測定器のバックグラウンド低減のため、SuperKEKBの陽電子・電子リングには可動型のコリメータを設置している。コリメータは対向する可動式のヘッド(以下、可動ヘッド)2台を有しており、このヘッドが周回ビームにアプローチすることにより正規のエネルギーからずれてリングを周回している電子・陽電子を特定の場所で遮蔽する。コリメータには可動ヘッドが水平または垂直方向から周回ビームにアプローチするものを用意している。このヘッド先端は周回ビーム近傍(水平/垂直方向でそれぞれ最短約5 mm/ 2 mm)に置かれる。そのためコリメータの近傍では通過するビームによって高次高周波モード(HOM)が励振されやすく、コリメータチェンバーおよび可動ヘッドの構造はこれを可能な限り抑える構造にする必要がある。本年会ではSuperKEKBメインリング用コリメータの構造及びウェイクフィールドのシミュレーション結果、Phase-2コミッショニングにおけるコリメータの稼働状況、Phase-3コミッショニングに向けた将来計画について報告する。 |
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THP114 p.1172 | SuperKEKBメインリングのコリメータヘッドの開発 DEVELOPMENT OF COLLIMATOR HEAD FOR SUPERKEKB MAIN RING ○照井 真司,石橋 拓弥,末次 祐介(高エネ研) ○Shinji Terui, Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu (KEK) SuperKEKBの目標ピークルミノシティはKEKBの約40倍の8E35 cm-2s-1である。この目標を実現するためにSuperKEKBでは蓄積電流を2.6 A(電子リング)、3.6 A(陽電子リング)、また、約6 mmという短いバンチ長さでデザインしている。コリメータはビーム軌道近くのハローを削る装置で、素粒子検出器(Belle II)のバックグラウンドを低減するために使用される。また各加速器コンポーネントを周回ビームから防護する目的でも使用される。ここで使用されるコリメータの特徴は、大電流に耐えることができ、かつ、バンチ長が短いので低インピーダンスであること等が挙げられる。本年会では、大電流に耐えるための冷却水配管の構造、RFシールドの構造等の設計・製作についてと、ビーム運転での試験結果・問題点について報告する。 |
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THP116 p.1177 | アルミナセラミックスと純チタン材のろう付け Brazing of alumina ceramics and pure titanium ○金正 倫計,神谷 潤一郎(原子力機構),阿部 和彦(株式会社 MARUWA),中村 止(旭金属工業株式会社) ○Michikazu Kinsho, Junichiro Kamiya (JAEA), Kazuhiko Abe (MARUWA CO., LTD.), Tomaru Nakamura (Asahi Kinzoku Kogyo Inc.) J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)で使用しているアルミナセラミックス製真空チャンバーは、アルミナセラミックスダクト(ダクト)、純チタン(Ti)フランジ、及びTiスリーブで構成されている。製作工程として、ダクトとTiスリーブをろう付けする前に、Tiスリーブの表面に酸化被膜除去の目的で硝弗酸処理を行った。酸化皮膜の厚さは、処理前は12.7nm、処理後は6.0nmであった。また、硝弗酸処理後のチタン材の表面粗さが大きくなることをSEM観察で確認した。さらに、銀ろう材(Ag:72%、Cu:28%)のTi材の拡散とろう材の濡れ性を測定した結果、アルミナセラミックスと純チタン材とのろう付けには真空加熱炉の条件が重要であることが明らかとなった。 |
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THP117 p.1180 | SuperKEKB陽電子ダンピングリング真空システムのコミッショニング Commissioning of vacuum system of positron damping ring for SuperKEKB ○柴田 恭,末次 祐介,石橋 拓弥,白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(KEK) ○Kyo Shibata, Yusuke Suetsugu, Takuya Ishibashi, Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK) SuperKEKBの陽電子リング(LER)においては、入射器の途中に新たに建設されたダンピングリング(DR)を用いて低エミッタンス化されたビームが入射される。DRは周長135.5 mのレーストラック形の蓄積リングで、ビームエネルギーは1.1 GeV、最大蓄積電流は70.8 mA、ビーム蓄積時間は40 ms以上である。DRの真空システムの構築は、2018年1月に完了した。ビームパイプのコンダクタンスが小さいため、ビームパイプの排気と主ポンプである非蒸発型ゲッターポンプの活性化には約15日を要した。DRのコミッショニングは2月上旬に開始され、最初の約一ヶ月間はLERへの入射を行わないDR単独運転によるビーム調整に費やされた。この間に放射光(臨界エネルギー:0.8~0.9 keV)によるビームパイプ表面からの脱ガス(真空焼き)が順調に進行し、積算蓄積電流が0.7 Ahの時点で、蓄積電流8 mAで目標値である1000 s以上のビーム寿命が得られている。Molflow+を用いた圧力分布シミュレーションによると、この時のビームパイプ(アルミ合金製)の光刺激脱離係数は1E-4 molec./photon程度であり、ビームパイプ内の平均圧力は4E-6 Pa程度であると考えられる。3月末からはDRを用いたLER入射が行われており、これまでのところ真空システムは問題なく稼働している。 |
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THP118 p.1185 | KEK電子陽電子入射器パルス偏向電磁石用ステンレス製チェンバーの検討 Experimental study of stainless steel chamber for a pulsed bending magnet of the KEK e-/e+ injector linac ○柿原 和久,紙谷 琢哉,惠郷 博文,横山 和枝,田中 窓香,夏井 拓也,榎本 嘉範,清宮 裕史,佐藤 政則,飯田 直子,吉田 光宏,肥後 壽泰,峠 暢一,古川 和朗(高エネ研),鈴木 和彦,木村 康一(三菱電機システムサービス(株)) ○Kazuhisa Kakihara, Takuya Kamitani, Hiroyasu Ego, Kazue Yokoyama, Madoka Tanaka, Takuya Natsui, Yoshinori Enomoto, Yuji Seimiya, Masanori Satoh, Naoko Iida, Mitsuhiro Yoshida, Toshiyasu Higo, Nobukazu Toge, Kazuro Furukawa (KEK), Kazuhiko Suzuki, Koichi Kimura (Mitsubishi Electric System & Service Co.,Ltd.) パルス電磁石に使用されるビームチェンバーはセラミックス製が一般的である。速い繰り返しの交流磁場中に金属製チェンバーを置くと、渦電流が発生することによるチェンバーの発熱や新たな磁場のビームへの影響が懸念されることが主な理由である。しかし一方でセラミックスチェンバーの場合でも、1)製作上の歩留まりが悪いことにより納期が長期化し不確定、2)必要な板厚が金属製に比べて厚くなることによる関連機器の大型化、3)機械的強度への不安、4)高価格、等いくつかのデメリットもある。KEK電子陽電子入射器ではRF電子銃からのSuperKEKB-HER用電子ビームと熱電子銃からのSuperKEKB-LER用一次電子ビームが合流する場所に設置された偏向電磁石をパルス化するにあたり、チェンバーをステンレス(SUS316L)材で製作することを検討した。最終的に設置するものの構造仕様を確定するため、試作した水冷ステンレス製チェンバーとパルス電磁石を用いた発熱、応力、磁場、真空に関する測定及び計算結果について報告する。 |
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THP119 p.1190 | J-PARC主リングシンクロトロン真空系は10年で老朽化しているか? After 10 years, is there any aging deterioration of vacuum system at J-PARC MR? ○魚田 雅彦,堀 洋一郎(高エネ研) ○Masahiko Uota, Yoichiro Hori (KEK) J-PARC主リングシンクロトロン(以下MR)の真空機器は、2006年夏からある程度連続的に繋がった場所から部分的に立ち上げ始め、最終的にリング一周が繋がり全周を主排気システムのイオンポンプのみで排気運転を始めたのはビーム運転が始まるひと月前の2008年4月である。以来10年間以上の現在に至るまで、新規に機器をインストールする場合にゲートバルブで区切られた小領域を最長数ヶ月大気曝露する時間以外のほとんどの期間は真空に保つことができている。一方、周方向の圧力分布はざっくり1e-8〜1e-5Paと3桁に亘っており、圧力が常時高い場所のポンプ、ゲージは劣化の程度が圧力の低い場所に比べて相当に進んでいることが予想される。今回、運転開始から10年が経過したMRの真空機器の老朽化について一部の評価を行う試みをする。具体的には、主排気のためのイオンポンプ、真空の圧力を常時測定しているB-Aゲージについて、測定値および排気履歴を大気曝露履歴および真空機器内容物(in-vacuum電磁石等)との関係において評価を試みたので紹介する。 |
加速器応用・産業利用 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP120 p.1195 | 放射性11C+ イオンビームの質量分離のための二重収束電磁石の設計 Desgn of the double focusing magnet for mass separation of a 11C+ radioactive ion beam ○野田 章(放医研),グリーザー マンフレッド(マックスプランク原子核研究所),宮原 信幸,片桐 健,北條 悟,涌井 崇志,白井 敏之,野田 耕司(放医研) ○Akira Noda (NIRS), Manfred Grieser (MPIK), Nobuyuki Miyahara, Ken Katagiri, Satoru Hojo, Takashi Wakui, Toshiyuki Shirai, Koji Noda (NIRS) At NIRS, re-acceleration of unstable 11C ion beam with the medical synchrotron, HIMAC has been pursuit in order to enable the real-time imaging of carbon ion irradiation into malignant tumor. Up to now 11C6+ ion beam has been tried with very limited intensities of ~10E5 per pulse created with a nuclear reaction of 12C6+ ion beams accelerated by HIMAC (so-called “Projectile Fragment Separation Scheme”) and it was not possible to attain good enough signal to noise ratio to obtain a diagnosable imaging. Recently the usage of 11C ion beam, produced by irradiation of a high intensity proton beam coming from a cyclotron has been investigated. For this purpose, we have studied the separation of the molecular 11CO2+ ion beam from the overwhelming 12CO2+ ion beam with the use of a double focusing magnet. The design of the double focusing magnet as well as the scheme to supply 11C4+ radioactive ions to HIMAC Injector to re-accelerate for cancer therapy is to be presented. |
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THP121 p.1198 | 金属磁性体コア防水膜の新規開発と中性子反射率法による構造解析 Development of new waterproof thin-layers for the magnetic alloy core and structural study by neutron reflectometry ○阿久津 和宏,佐原 雅恵(総合科学研究機構),新関 智丈,永山 紗智子,長谷川 良雄(アート科学),吉井 正人(KEK),下村 昭夫(下村漆器店),小松崎 秀人(茨城高専) ○Kazuhiro Akutsu, Masae Sahara (CROSS), Niizeki Tomotake, Sachiko Nagayama, Yoshio Hasegawa (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Akio Shimomura (Shimomurashikkiten), Hidehito Komatsuzaki (National Institute of Technology, Ibaraki College) J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。PHPSに疎水性のメチル基を導入したMePHPSは更に防水性に優れたコーティング材料として期待されているが、その特性やコーティング膜の成膜メカニズムに関する詳細は明らかとなっていない。本研究では、様々な基板材料の上にMePHPSコーティング膜を作製しその膜構造をFT-IR及び中性子反射率法により調べることで、MePHPS成膜メカニズムを考察した。中性子反射率の測定は、J-PARC MLF BL17に設置されている偏極中性子反射率計「写楽」で実施し、そのデータは解析ソフトMotofitを用いて解析した。FT-IR及び中性子反射率データ解析の結果、基板材料が変わるとMePHPS膜の密度は大きく変化することが見出されており、コーティングされる材料とMePHPSの間の親和性の違いが成膜後の膜構造に影響を及ぼしているものと考えられる。発表では、中性子反射率解析結果の詳細について示しながら、PHPS膜とMePHPS膜の防水性能の違いについて詳しく議論する。 |
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THP122 p.1202 | (γ,n)光核反応の励起関数の検証 Verification of excitation functions of the (γ,n) reactions ○野田 秀作,井田 博之,井村 亮太(JFEエンジニアリング(株)),菊永 英寿,塚田 暁,柏木 茂,高橋 健,南部 健一(東北大学電子光理学研究センター),大浦 泰嗣(首都大学東京) ○Shusaku Noda, Hiroyuki Ida, Ryota Imura (JFE Engineering Corporation), Hidetoshi Kikunaga, Kyo Tsukada, Shigeru Kashiwagi, Ken Takahashi, Kenichi Nanbu (Research Center for Electron Photon Science, Tohoku University), Yasuji Oura (Tokyo Metropolitan University) 15~50MeV電子線入射に起因する制動放射線による生成放射能を、医療用放射性核種Mo-99製造反応などいくつかの系で測定した。実験は東北大学電子光理学センターの大電流電子線形加速器で行い,生成放射能は高純度Ge検出器を用いたガンマ線測定により決定した。本実験体系を粒子・重イオン輸送計算コード;PHITSを用いて模擬し、制動放射線量をシミュレーション計算により導出した。このPHITSコードによる制動放射線量と励起関数の文献値から得られる予想生成放射能を,得られた生成放射能と比較することにより、励起関数の文献値の検証を行った。本学会では、光核反応の励起関数の検証結果を報告する予定である。 |
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THP123 p.1206 | 電子線形加速器を用いた医療用RI製造システムの検討 Consideration of medical radioisotope production system using an electron linear accelerator ○柏木 茂,菊永 英寿,塚田 暁,高橋 健,三浦 禎雄,南部 健一,長澤 育郎,鹿又 健,日出 富士雄,武藤 俊哉,浜 広幸(東北大電子光セ),野田 秀作,井村 亮太,井田 博之(JFEエンジニアリング(株) ),大浦 泰嗣(首都大) ○Shigeru Kashiwagi, Hidetoshi Kikunaga, Kyo Tsukada, Ken Takahashi, Sadao Miura, Kenichi Nanbu, Ikuro Nagasawa, Ken Kanomata, Fujio Hinode, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.), Shusaku Noda, Ryota Imura, Hiroyuki Ida (JFE Engineering Corporation), Yasuji Oura (Tokyo Metropolitan Univ.) 東北大学電子光理学研究センターでは、電子線形加速器を用いた医療用RI製造に関する開発研究を行なっている。これまでに、当センター所有のSバンド電子線形加速器を使いMo-99などの(γ, n)光核反応の励起関数の検証を行い、過去の文献値やPHITSコードの計算結果との比較などを行なった。現在、ビーム実験から得られた基礎データをもとに、大強度電子線形加速器の設計および高いRI生成効率を実現するための照射ターゲットシステムの検討を行なっている。本学会では、検討中の加速器およびターゲットシステムの構成について報告する予定である。 |
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THP124 | 粒子線治療の高精度化に向けた強度変調型スパイラルビームスキャニング照射法の開発 Developments of spiral beam scanning irradiation system for a high precision particle therapy ○原 周平,福田 光宏(阪大RCNP),小泉 雅彦(阪大医学系研究科保健学専攻),高階 正彰(大阪重粒子線センター),神田 浩樹,依田 哲彦(阪大RCNP),山野下 莉那(阪大医学系研究科),佐川 友啓(阪大医学系研究科保健学専攻) ○Shuhei Hara (RCNP Osaka university), Mitsuhiro Fukuda (RCNP Osaka University), Masahiko Koizumi (Osaka University Graduate School of Medicine , Division of Health Sciences), Masaaki Takashina (Osaka Heavy Ion Therapy Center), Hiroki Kanda, Tetsuhiko Yorita (RCNP Osaka University), Rina Yamanoshita (Osaka University Graduate School of Medicine), Tomohiro Sagawa (Osaka University Graduate School of Medicine , Division of Health Sciences) 我々は、粒子線治療のさらなる高精度化に向けた開発の一つとしてビーム照射技術の高精度化に着目し、スパイラルビームスキャニング照射という新照射法の開発を行なっている。腫瘍の輪郭形状を基にした渦型の走査軌道でビームを照射することで腫瘍辺縁部の照射精度を向上させ、正常組織への照射を低減させることを目的としている。しかし、辺縁部の照射精度を向上させる一方で、照射野の輪郭の凹凸に従って渦型の走査軌道には疎密が生じることから、一定のビーム強度および一定の走査速度で照射すると横方向についての線量分布の内部に均一性の悪化が生じる。これを改善するために、走査軌道の疎密に応じてビームの強度を変調しながら照射する手法を考案し、開発を進めている。開発を行っている大阪大学核物理研究センターでは、AVFサイクロトロンへの軸入射部分に設置しているビームキッカーへの印加電圧を変化させる事で、入射するビーム強度の連続的な変調が可能であることを確認した。シミュレーションでは、ある形状の照射野について±0.67%の均一度を達成しており、現在は実証試験に向けての開発を進めている。また、ビーム強度の変調をリアルタイムで確認するため、蛍光板と高速カメラを用いた粒子密度分布取得システムも並行して開発している。今回の発表では、本照射法の制御方法等の詳細を説明するとともに、これまでの開発で得られた結果について報告する。 |
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THP125 p.1210 | 強度変調マルチイオン照射のためのシンクロトロン運転の検討 Study on synchrotron operation for intensity modulated multi-ion therapy ○水島 康太,古川 卓司,岩田 佳之,原 洋介,丹正 亮平,早乙女 直也,皿谷 有一,村松 正幸,白井 敏之(量研機構) ○Kota Mizushima, Takuji Furukawa, Yoshiyuki Iwata, Yousuke Hara, Ryohei Tansho, Naoya Saotome, Yuichi Saraya, Masayuki Muramatsu, Toshiyuki Shirai (QST) 放射線医学総合研究所(放医研)は1994年から1万人以上の患者に対して炭素イオンを用いた重粒子線治療を行ってきた。放医研ではこれまでに、シンクロトロンによる高速な可変ビームエネルギー制御方法と照射ビームの高速スキャン装置を開発し、現在はそれらを組み合わせた高速三次元スキャニング照射システムを用いて治療を行っている。2017年度からは回転ガントリー照射装置を用いた治療も開始され、360度の範囲から任意の照射角度を選択できるようになり、より良い治療成果が期待される。現在放医研では、さらなる治療効果の向上を目指し、複数のイオン種を用いたマルチイオン照射法の研究が進められている。この照射法では、強度変調した複数種のイオンビームで三次元線量分布を形成することで、照射領域の生物効果をこれまで以上に制御することが可能となる。マルチイオン照射法の実現に向けて、加速器システムでは、治療照射の中で供給するイオン種とエネルギーの素早い切り替えを実現する運転制御を目指している。本発表では、そのような目的のもと検討したシンクロトロンの運転制御方法と、HIMACで行ったビーム試験結果について報告する。 |
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THP126 p.1214 | レーザー加速イオンの超伝導シンクロトロンへの直接入射の検討 Direct injection of laser-accelerated ions into a superconducting synchrotron ○野田 悦夫,白井 敏之,岩田 佳之,水島 康太,野田 章,野田 耕司( 量研機構) ○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima, Akira Noda, Koji Noda (QST) 現在、量研機構で進められている量子メスプロジェクトの開発テーマの一つとして、超伝導技術とレーザー加速による重粒子線がん治療装置の小型化が挙げられており、その一環として、レーザー加速イオンのシンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディをすすめている。前回、その第一ステップとして、現状の普及型シンクロトロンを対象とした検討を行い、目標とする1×10^9個以上の粒子を蓄積できる可能性があることを報告した。今回は、本プロジェクトで現在検討されている超伝導シンクロトロンを入射対象とし、前回無視したベンディング効果を考慮に入れて、1照射あたりに入射可能な粒子数を調べた。さらに、プラズマ生成点からシンクロトロンの入射点までのBeam Transport についても簡単な検討を行った。検討の結果以下のことが分かった。加速イオンを約1.6m飛行させ、4 MeV/u±6% のエネルギーの粒子を切り出し、位相回転により約1/10にエネルギー圧縮を行う。その後、ビームを成形してシンクロトロンに入射する。1照射あたりシンクロトロンに入射される粒子数は空間電荷効果、イオンのエネルギー広がり、レーザーによる生成粒子のバラツキを考慮した結果、平均2×10^8個、このうち、垂直方向のエミッタンスが治療に使える値となるのは、約1×10^8個であった。これにより、10Hzのレーザーで20回の多重回入射を行うことで1×10^9個以上の粒子を蓄積できると考えられる。 |
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THP128 p.1219 | 電子ビームの傾き制御を用いたコヒーレントTHz放射の高度化に関する研究 Study on enhancement of coherent THz radiation using electron beam tilting ○蓼沼 優一,ブラメルド 真理,沈 奕瑋,村上 達希,坂上 和之,鷲尾 方一(早稲田大学 理工学術院総合研究所) ○Yuichi Tadenuma, Mari Brameld, Yiwei Shen, Tatsuki Murakami, Kauyuki Sakaue, Masakazu Washio (Research Institute for Science and Engineering, Waseda Univ.) テラヘルツ光は電波と光波の中間の周波数帯に位置し,それらと比較して未だ光源や検出器などの開発が成熟していない電磁波帯である。近年フェムト秒レーザーや光伝導スイッチング技術の発展によりテラヘルツ光の研究が盛んになっている中で,我々は新たなテラヘルツ光源として電子ビームの傾き制御を用いたコヒーレントTHz放射の可能性を提案する。高速荷電粒子が媒質中の光速度を超えた際に放射されるチェレンコフ放射は,媒質の屈折率に依存した角度にピークを持つ。電子ビームの傾きを高精度に制御し,このチェレンコフ放射角と一致させることでコヒーレント放射を実現することが出来る。この方法では,電子ビームが媒質を進む距離と単位長さ当たりに放射される光子数の関係を調べ,ターゲット媒質の最適化を実施することが必要となる。高密度,高屈折率を持つ媒質としてシリコンを用いた先行研究では高強度なTHz光を得ることが出来なかった。そこで,シリコンの対称となる低密度媒質としてシリカエアロゲル,これらの中間に位置する媒質としてTOPASという高分子材料を用いることでTHz光強度の比較を行った。本発表ではこれらのターゲット媒質の最適化の結果,および今後の展望に関して報告する。 |
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THP129 p.1223 | 重粒子線治療装置のためのシンクロトロン用超電導電磁石の開発 Development of a superconducting magnet for synchrotron of heavy-ion radiotherapy system ○高山 茂貴,折笠 朝文,吉行 健,平田 寛(東芝エネルギーシステムズ),岩田 佳之,水島 康太(量研機構) ○Shigeki Takayama, Tomofumi Orikasa, Takeshi Yoshiyuki, Yutaka Hirata (Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation), Yoshiyuki Iwata, Kota Mizushima (QST) 重粒子線(炭素イオン)によるがん治療は治療効果が高く、患者負担が小さいために近年普及が進んでいる。 一方で本治療システムはいくつかの大型装置を有しているため、さらなる普及拡大のためにそれらの小型化が必要となっている。これまでに大型装置のひとつである回転ガントリーに超電導技術を適用することで大幅な小型化を実現している。さらなる治療システムの小型化として、主加速器であるシンクロトロンへの超電導技術の適用を検討している。 本検討では先行例であるに超電導回転ガントリーの設計を基に検討を実施した。シンクロトロン用超電導電磁石はビーム軌道に沿って湾曲したコサインθ状の鞍型コイルを適用しており、磁場発生効率を上げるためコイル断面を楕円形状としている。また二極コイルと四極コイルを同軸配置することで機能結合化し小型化を図った。設計したコイルにおいて3次元磁場解析を実施し、高次成分を最外層の導体配置で補正することで均一磁場の発生を確認した。回転ガントリーと比較しシンクロトロンでは電磁石を高速に励消磁する。そのため発熱量を低減すると共に、発生電圧を低減する目的でフィラメント径は小さく、臨界電流値は高いNbTi線材を適用する事とした。計算された導体配置から発熱量分布を計算し、冷却条件についても検討を実施した。本発表においては上記シンクロトロン用超電導電磁石の検討結果について報告する。 |
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THP130 p.1226 | 電子線パルスラジオリシス法によるポリαメチルスチレンの照射効果の研究 Study on irradiation effect of poly α methylstyrene by electron beam pulse radiolysis ○内田 朋哉,花井 周太郎,坂上 和之,鷲尾 方一(早稲田大学 理工学術院総合研究所) ○Tomoya Uchida, Shutaro Hanai, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (Research Insttitute for Sience and Engineering, Waseda Univ.) 電子線リソグラフィーは電子線を用いた微細加工技術の一つである。電子線照射により特定の溶液に対して溶解度が変化する物質(レジスト)を用いることで,現像後に照射部とそうでない部分にパターンを生成することができる。ZEP520Aは電子線リソグラフィーに用いられるレジスト材料として非常に優れた性能を持っている。しかし開発から20年以上たった今でもZEP520Aの放射線反応の仕組みのすべては解明されておらず,反応機構の解明がリソグラフィー技術の発展につながることが期待されている。今回パルスラジオリシス法を用いてZEP520Aの構造の一部であるポリαメチルスチレンの基礎研究を行った。パルスラジオリシス法は放射線化学反応の初期過程を観察するのに強力な手法であり,ビームが照射された試料に生じた活性種の濃度や寿命などを測定することが可能である。この手法を用いてポリαメチルスチレンについて電子線の吸収線量を増大させたときの反応機構を解明することを目的として実験を行った。また構造がよく似たポリスチレンについても同様の実験を行い比較した。この2つの物質には放射線を照射したときの振る舞いが分解するか架橋するかの違いがあり,反応を理解するうえで非常に重要である。本講演では,それぞれに対する照射挙動の計測結果,及び今後の展望に関して報告する。 |
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THP131 p.1229 | 大阪重粒子線センターにおける初期ビーム調整 BEAM COMMISSIONING AT OSAKA HEAVY ION THERAPY CENTER ○野田 文章,えび名 風太郎,中島 裕人,宮原 建人,野村 拓也,遠竹 聡(日立製作所) ○Fumiaki Noda, Futarou Ebina, Hiroto Nakajima, Kento Miyahara, Takuya Nomura, Satoshi Totake (Hitachi Ltd.) 大阪重粒子線治療センターがん治療装置は重粒子ライナックとシンクロトロンからなる加速器系と水平/垂直ポート2室、水平/45度ポート1室の計3室6ポートのビーム輸送・照射系で構成されている。ビーム調整は2017年9月中旬から開始し、2018年3月末に3室6ポートの基本調整を終え顧客側調整(クリニカルコミッショニング)が開始された。本装置の加速器系の特徴は、シンクロトロンを2回対称することでデッドスペースを減らすとともに、出射ラインの水平発散用四極電磁石の密度を上げることにより取り出し機器を小型化することで周長を短くしている点である。また入射用ライナックをシンクロトロン内周側に設置することで加速器全体の設置面積を小さくしたことも特徴の一つである。照射に関しては一度の加速で複数のエネルギーのビーム取り出しを可能としたスキャニング専用装置となっており、水平/垂直ポート1室、水平/45度ポート1室では動体追跡照射が可能である。今回の報告では本装置の光学設計とビーム調整について報告する。 |
加速器土木・放射線防護 (8月9日 大展示ホール) | |
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THP132 p.1233 | ILC誘致を円滑に推進するためのAAA・CIVIL部会における検討(その4) Study on civil-related works by AAA・CIVIL subcommittee to smoothly host ILC(No.4) ○武内 邦文(株式会社大林組),大西 有三(京都大学),吉岡 正和(東北大学・岩手大学・岩手県立大学),福田 和寛(清水建設株式会社),下河内 隆文(株式会社竹中工務店),鈴木 康正(東電設計株式会社),関根 一郎(戸田建設株式会社),大山 寛夫(鹿島建設株式会社),川端 康夫(飛島建設株式会社),濱嶋 博文(大成建設株式会社),俣野 文孝(五洋建設株式会社),福田 和人(前田建設工業株式会社) ○Kunifumi Takeuchi (Obayashi Corporation), Yuzo Ohnishi (Kyoto University), Masakazu Yoshioka (Tohoku University Iwate University Iwate Prefectural University), Kazuhiro Fukuda (Shimizu Corporation), Takafumi Shimogochi (Takenaka Corporation), Yasumasa Suzuki (Tokyo Electric Power Services Co.,Ltd.), Ichiro Sekine (Toda Corporation), Hiroo Ohyama (Kajima Corporation), Yasuo Kawabata (Tobishima Corporation), Hirofumi Hamajima (Taisei Corporation), Fumitaka Matano (Penta-Ocean Construction Co.,Ltd,), Kazuto Fukuda (Maeda Corporation) 先端加速器科学技術推進協議会(AAA)とは,最先端の加速器開発による科学技術の飛躍を目指して設立された産官学連携組織で,国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致に向けて2015年にCIVIL部会を設置し,主にその施設建設に関する調査を実施している.本報告では,昨年度の活動として,ILC施設建設上の計画を合理化する構造合理化WG(WG1),合理化設計WG(WG2),施工合理化WG(WG3),まちづくり等のエコ・スマートタウンWG(WG4),および,安全・防災WG(WG5)に分かれ活動を行った成果を報告する. 具体的には,WG1ではトンネル深度と震動,立坑の実績調査,トンネル勾配等の調査を実施した.WG2では,良好な花崗岩中でのトンネル・空洞支保の合理化方策,耐震および排水工の設計,測量・アライメント技術等について調査し,今後の合理化設計に向けた方策をまとめた.WG3では,施工合理化の方策として,掘削,ズリ出し・覆工,実験空洞・立坑建設,遮蔽壁構築および,ズリ処分有効方策に調査した.WG4では,自動運転等の将来の交通問題の解決方策および,排熱利用のエネルギーマネジメントについて調査し,提言をまとめた.最後に,WG5は火災,ヘリウムリーク等の安全・防災技術について調査し,ILC計画上の重要事項を調査した.今後,これら成果を公表し,日本への正式誘致活動に対して,協議会という民間の立場からの支援や提言等を進めていく予定である. |
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THP133 p.1238 | SuperKEKB電磁石用冷却水の現状 Status of the SuperKEKB magnet cooling water ○大澤 康伸,植木 竜一,江川 一美,増澤 美佳(高エネ研) ○Yausnobu Ohsawa, Ryuichi Ueki, Kazumi Egawa, Mika Masuzawa (KEK) SuperKEKB加速器の主リングで使われている電磁石は約2600台あり、そのうち1750台近くは水冷式電磁石である。水冷式電磁石には、それぞれ温度異常を知らせる温度スイッチおよび冷却水の流量低下を感知するフロースイッチが装備されている。現在SuperKEKBではビーム衝突調整が行われている。その中で4月15日に電磁石のフロースイッチが破損するという重大なトラブルが発生した。インターロックが発報したフロースイッチを確認すると大量の冷却水が噴き出しており、周辺の機器も水をかぶっている状態であった。そのため早急に新品のフロースイッチと交換しビーム運転を再開した。その後、原因はフロースイッチを構成するダイアフラム(EPDM)の経年劣化であることがわかった。このフロースイッチは、KEKB建設時から使用しているもので約20年が経過している。同様のフロースイッチがKEKBから再利用された電磁石には使われているので今後再び破損する可能性が大いに考えられる。対策としてはフロースイッチの全数交換が望ましいが、予算等の関係からすぐに全数交換という訳にはいかない。しかしながらこのようなトラブルを未然に察知し防ぐことは重要である。現在は冷却水の圧力等をモニターすることにより、事前にトラブルを防ぐための対策が可能かどうかの検討を行っている。本発表では、フロースイッチ破損とその対策の詳細、さらにこれまで取り組んできたメンテナンス方法なども報告する。 |
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THP134 p.1243 | ILC実験準備棟木造化による地域経済への波及効果 Economic ripple effect by utilizing local wood in the construction of wooden detector preparation building for the ILC experiment ○安達 広幸(株式会社シェルター),吉岡 正和,関野 登,成田 晋也(岩手大学),大平 尚(岩手県庁) ○Hiroyuki Adachi (Shelter Co., Ltd), Masakazu Yoshioka, Noboru Sekino, Shinya Narita (Iwate University), Hisashi Odaira (Iwate Prefectural Office) In the International Linear Collider (ILC) project, the site-specific design for the utilities has been performed. We have considered utilizing regional resources for the construction of the ILC facilities, aiming at a promotion of local economy. Especially, a high-quality wood is expected to be supplied for the building materials of the ILC facilities since forestry has developed in Iwate prefecture in which there is the candidate site of the ILC. Recently, a large-sized wooden building has been realized by the progress of timber engineering. Even for the accelerator facility, such building has been constructed, for example, the main building of Swiss Light Source in Paul Scherrer Institute (PSI). Shelter Co. Ltd has many experiences for constructing various wooden buildings by their unique technology. In this paper, we propose a wooden building in the area of 6000m2 for the ILC detector preparation and verify the economic ripple effect by utilizing local wood. |
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THP135 p.1248 | SPring-8-IIのための共通架台の試作 Development of prototype common girders for SPring-8-II ○青木 毅,安積 則義,岡安 雄一(高輝度光科学研究センター),木村 洋昭,深見 健司,渡部 貴宏(高輝度光科学研究センター/理化学研究所放射光科学研究センター),松井 佐久夫(理化学研究所放射光科学研究センター) ○Tsuyoshi Aoki, Noriyoshi Azumi, Yuichi Okayasu (JASRI), Hiroaki Kimura, Kenji Fukami, Takahiro Watanabe (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Sakuo Matsui (RIKEN SPring-8 Center) SPring-8のアップグレード計画であるSPring-8-IIでは電磁石間およびそれらを積載する共通架台間において現状よりも高いアライメント精度が要求される。我々は必要な位置精度が達成できるよう、高剛性、高い共振周波数、アライメントの容易さを考慮した共通架台を試作した。設計は加速器のリプレース費用の抑制や、約1年と短いシャットダウン期間を考慮し、セルフレベリングされた樹脂床上に設置することを前提として行った。試作機は溶接方法や位置調整機構について異なる方式で複数台を製作し、性能及び費用対効果を評価した。性能試験では荷重による変形と振動特性をシミュレーション結果と比較し、架台間アライメントの所要時間や作業の容易さを評価した。本発表では、電磁石共通架台試作機の設計・製作の状況及びその性能評価結果について報告する。 |
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THP136 p.1252 | KEK-PSにおける温湿度環境の現状報告 Report of temperature and humidity at KEK-PS ○田中 伸晃(KEK素核研安全G) ○Nobuaki Tanaka (KEK IPNS ) 素核研PSは平成18年に、施設内を温湿度管理していた空調停止後は、施設内が高湿度状態となり、放射線安全、一般安全の両面で解決が求められるようになった。素核研PSでは、過去にハドロンホールで実施し、効果的であった「最低限の空調設備と適切な換気(以下、ハドロンホール方式)」を適用したところハドロンホール同様、著しい湿度低下を観測した。それらの結果から、ハドロンホール方式が素核研PSにおいても有効であること、省エネの観点でも有効性が期待できることを示した。素核研PSでは、ハドロンホール方式の温湿度管理を継続している。今回は平成29年以降の、素核研PSにおける温湿度管理について、有効性確認の観点から報告する。 |
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THP137 p.1256 | 100 Gyを超える線量の測定に向けた可搬型光刺激ルミネセンス線量測定システムに関する基礎検討 Preliminary study of the portable Optically Stimulated Luminescence dosimetry system for measuring radiation doses more than 100 Gy ○岡崎 徹(長瀬ランダウア(株)),橋詰 拓弥(長瀬ランダウア(株), 総研大),橋本 義徳,白形 政司,中村 一,山崎 寛人(KEK),Vergil LE Cruz,Cheng Wei Hsin(長瀬ランダウア(株)),林 裕晃(金沢大),小林 育夫(長瀬ランダウア(株), 福井大) ○Tohru Okazaki (Nagase-Landauer, Ltd.), Takuya Hashizume (Nagase-Landauer, Ltd., SOKENDAI), Yoshinori Hashimoto, Masashi Shirakata, Hajime Nakamura, Hirohito Yamazaki (KEK), Cruz Vergil Le, Wei Hsin Cheng (Nagase-Landauer, Ltd.), Hiroaki Hayashi (Kanazawa Univ.), Ikuo Kobayashi (Nagase-Landauer, Ltd., Univ. of Fukui) To monitor the exposure dose around a beam line, we propose to use Optically Stimulated Luminescence dosimeters composed of Al2O3:C. The passive dosimeter is inexpensive and can easily read the radiation dose by stimulation using green LED lights of a OSL reader. The dosimetry system is widely used in personal dosimetry for evaluating doses less than 10 Gy. Thus, we studied the possibility of measuring doses exceeding 100 Gy with the system. The small type OSL dosimeters, nanoDot, were exposed to 0.07 - 2350 Gy of Co-60 gamma-rays installed at Takasaki Advanced Radiation Research Institute (National Institutes of Quantum and Radiological Science and Technology, Gunma, Japan). They were measured by a portable OSL reader, microStar, with an additional neutral density filter to prevent the saturation of the PMT response. The dose response of the nanoDots showed linearity up to 1 Gy and supra linearity up to 30 Gy. In more than 30 Gy, the response of the nanoDots showed sublinear response and it saturated at 250 Gy. Based on the results, we concluded that the OSL dosimetry system can measure the radiation dose from Co-60 gamma-rays for doses less than 250 Gy. |
革新的加速器技術(の提案) (8月8日、9日 大展示ホール) | |
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IPP001 p.1260 | 軌道偏心した加速器における横方向運動の解析 Study of Transverse Motion in Cotangential Trajectory Accelerator ○青木 孝道,関 孝義,中島 裕人,羽江 隆光,堀 知新,えび名 風太郎,平本 和夫((株)日立製作所) ○Takamichi Aoki, Takayoshi Seki, Nakashima Yuto, Takamitsu Hae, Chishin Hori, Futaro Ebina, Kazuo Hiramoto (Hitachi, Ltd.) 従来、粒子線治療用の加速器としてシンクロトロンやサイクロトロンやシンクロサイクロトロンが用いられている。シンクロトロンはエネルギー可変性が特長であり、サイクロトロンやシンクロサイクロトロンは小型な点が特長である。これらのメリットを両立する新概念の加速器として「周波数変調型可変エネルギー加速器」を案出・提案した。新概念の加速器では各エネルギーの周回軌道が同心円ではなく偏心した配置となり、異なるエネルギーの軌道が密に集まる領域(集約領域)が形成される。本加速器では動径方向に磁場が低下する弱収束磁場を用いてビームを安定周回させるが、集約領域付近での六極以上の多極磁場が大きくなり、安定周回可能なビームのエミッタンスを制限することが考えられる。本研究の目的は、新概念加速器において、陽子線治療に必要な235 MeV以下の範囲での横方向運動が安定する為に、軌道配置と集約領域における六極磁場強度に課せられる必要条件を評価した。軌道の中心位置の軌道半径による微分を軌道集約度として定義したうえで、軌道集約度と集約領域の磁場勾配をパラメータとし数値計算により、横方向運動が安定する範囲を探索的に特定した。さらに、集約点に存在する六極磁場の影響を多粒子の軌道追跡計算で評価した結果、水平方向のアクセプタンスは十分大きく、鉛直方向アクセプタンスは10πmm mrad程度の粒子線治療に十分適用可能な値が得られた。 |
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IPP002 p.1265 | 放射線生物学研究応用に向けた光共振器構造を持つオンチップレーザー加速器の研究 Study of an onchip laser accelerator with an optical resonator for practical use in the field of radiobiology ○小山 和義(高エネ研),Chen Zhaofu,上坂 充(東大),吉田 光宏(高エネ研) ○Kazuyoshi Koyama (KEK), Zhaofu Chen, Mitsuru Uesaka (U.Tokyo), Mitsuhiro Yoshida (KEK) 放射線生物学研究応用に向けたマイクロビームを小型装置で発生できれば、現在多くの機関で使われているレーザー照射による方法よりも、放射線の生物学的影響を実際に近い条件で研究が可能に成る。そのためには現在のレーザー照射実験装置と同程度の大きさの加速器が必要であり、しかもビーム径はサブミクロンで電子のエネルギーは0.5MeV~1MeVの必要がある。電荷量はバンチ当たり0.01fC程度で良い。そのようなビーム出力はレーザー駆動誘電体加速で可能と考えられ、いくつかの機関で研究が行われているが100fs程度の超短パルスレーザーの利用を前提にしており、光ファイバーによる伝送は非線形効果の増大により不可能である。一方、我々は光ファイバーまたは誘電体光ガイドが使用できるようなパルス幅と出力でも大きな加速勾配を発生して装置全体を小型化し、将来的にはチップ上に作成するための研究を進めている。そのためには、比較的低いパワーを蓄積して大きな電界強度を得る必要があり、現在、共振器型加速構造および導波路型加速構造の検討を行ない、その得失を調べている。また、単純な配位での加速予備実験も計画しており、そのための準備も進めている。 |
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IPP003 | Reverse Sensitization of Aluminum 5052 Alloy Using Pulsed Electron Beam from ETIGO-III Pulsed Power Generator ○Surender Kumar Sharma (Bhabha Atomic Research Center, Viskhapatnam, India), Hisayuki Suematsu, Taisei Kurosaki (Extreme Energy Density Research Institute, Nagaoka University of Technology, Nagaoka, Japan), Archana Sharma (Bhabha Atomic Research Center, Viskhapatnam, India) Aluminum 5052 alloy have high strength, light weight and excellent corrosion resistance properties for high speed, fuel efficient application in automobile industries. It also has low neutron capture cross section, fracture toughness and excellent mechanical properties for longer duration usage, which makes it suitable for new generation nuclear batteries and research reactors. Aluminum 5052 alloy has more than 2.5% of Mg. At higher temperature (> 65°C) the magnesium in the alloy mitigates to the grain boundary and combines with aluminum to form β-particle of Al3Mg2 at the grain boundaries. This process is known as sensitization and it leads to intergranular corrosion, exfoliation and stress corrosion cracking of the alloy under stress and corrosive environment. The Aluminum 5052 alloy properties can be improved by reverse sensitizing with stabilized treatment and restoring corrosion resisting by Pulsed electron beam from ETIGO-III. The experimental results of sensitized samples of different thickness with pulsed electron beam on ETIGO-III pulsed power generator and its analysis will be presented in the conference. |
施設現状報告ポスター (8月8日、9日 大展示ホール) | |
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FSP001 | 都市大タンデムの現状 Status of the TCU Tandem ○羽倉 尚人(都市大) ○Naoto Hagura (TCU) 東京都市大学原子力研究所(神奈川県川崎市)には廃止措置中の研究用原子炉「武蔵工大炉」がある。1963年1月から1989年12月まで運転し、中性子放射化分析やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)など様々な目的に使用された。また、全国大学共同利用施設として多くの研究者・技術者・学生を受入れてきた。原子炉施設としては廃止措置段階となったが、RI施設、核燃施設としては継続している。本学工学部原子力安全工学科や、早稲田大学と共同で運営する共同原子力専攻の学生・院生を主な対象としつつ、教育・研究活動を展開している。2013年に新たな実験装置として1.7MVペレトロン・タンデム加速器(都市大タンデム(TCU-Tandem))を導入することを決定し、加速器システムの構築を進めてきた。他機関から譲り受けたものを1から整備するということで、およそ5年の時間を要したが、この構築過程も人材育成の一環であると位置づけ、学生とともに作業を進め、また、将来の教材として生かせるよう記録を残すようにした。2018年2月には許可がおり、同年4月には施設検査を受検した。本発表では、本加速器システム構築の経緯と今後の研究計画を紹介する。 |
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FSP002 p.1268 | 筑波大学タンデム加速器施設の現状報告 Status report of the tandem accelerator complex at the University of Tsukuba ○笹 公和,石井 聰,高橋 努,大和 良広,田島 義一,森口 哲朗,上殿 明良(筑波大応用加速器) ○Kimikazu Sasa, Satoshi Ishii, Tsutomu Takahashi, Yoshihiro Yamato, Yoshikazu Tajima, Tetsuaki Moriguchi, Akira Uedono (UTTAC) 筑波大学研究基盤総合センター応用加速器部門(UTTAC)では、6 MVタンデム加速器及び1 MVタンデトロン加速器からなるタンデム加速器施設の維持管理と学内外との共同利用研究を推進している。2016年3月より本格的な運用を開始した6 MVタンデム加速器は、5台の負イオン源と12本のビームラインを有している。2017年度は学内課題14件、学外共用課題4件(成果専有課題1件を含む)が採択されており、150日間のマシンタイムを実施した。加速器稼働時間は、1857時間であった。なお、一部のマシンタイムはHe負イオン用のRF荷電変換イオン源の不調・整備のため数日がキャンセルとなった。また、荷電変換フォイルチェンジャー(80枚の炭素薄膜を搭載可能)の動作に再現性がない状況が続き、荷電変換ガスストリッパーも、ガス流量の調整弁が正しく動作しないケースが確認された。これらの点検を兼ねて、2018年3月中旬より加速タンク開放による加速器整備作業を実施した。6 MVタンデム加速器の利用分野としては、原子核実験においてラムシフト型偏極負イオン源(PIS)からの偏極陽子ビームの生成及び偏極度の測定に成功している。加速器質量分析(AMS)では、Sr-90について同位体比10E-13レベルの検出に成功した。また、マイクロビームコースでは、N-15 NRA法やHeを用いた透過ERDA法により、金属材料中の水素量やその分布測定が進行中である。 |
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FSP003 p.1271 | 原子力機構-東海タンデム加速器の現状 Status of JAEA-tokai tandem accelerator ○松田 誠,株本 裕史,田山 豪一,仲野谷 孝充,中村 暢彦,沓掛 健一,乙川 義憲,遊津 拓洋,松井 泰,石崎 暢洋,長 明彦(原子力機構) ○Makoto Matsuda, Hiroshi Kabumoto, Hidekazu Tayama, Takamitsu Nakanoya, Masahiko Nakamura, Ken-ichi Kutsukake, Yoshinori Otokawa, Takuhiro Asozu, Yutaka Matsui, Nobuhiro Ishizaki, Akihiko Osa (JAEA) 原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理、核化学、原子物理、材料照射などの分野に利用されている。2016年12月に発生した真空事故以降加速電圧が12MVまで低下した。加速管内に混入した塵や荷電変換用の炭素薄膜を除去すべく80本の全加速管を取り外し再洗浄を実施した。洗浄に4か月、再組立てに2か月を要した。このため昨年2月から約10か月が加速器の整備期間となった。加速管の再構築に伴い加速管と圧力タンク外の機器との再アライメントを実施した。運転再開は昨年12月となり、利用運転を続けながら定期的なコンディショニングを行うことでビーム無しで最高電圧は18MV、利用運転でも16.5MVまで回復させることができた。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。 |
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FSP004 p.1276 | 先端加速器試験施設(ATF)の現状 Status report of the accelerator test facility (ATF) ○照沼 信浩,久保 浄,黒田 茂,奥木 敏行,内藤 孝,福田 将史,荒木 栄,森川 祐,田内 利明,Aryshev Alexander(KEK) ○Nobuhiro Terunuma, Kiyoshi Kubo, Shigeru Kuroda, Toshiyuki Okugi, Takashi Naito, Masafumi Fukuda, Sakae Araki, Yu Morikawa, Toshiaki Tauchi, Alexander Aryshev (KEK) KEKの先端加速器試験施設(ATF)は、国際リニアコライダー(ILC)において必要とされるビーム計測・制御技術、特に衝突ビームに必要なナノメートルビーム技術の開発を進めている。ここでは国際コラボレーション体制の下で、ATF2と呼ばれるビーム最終収束システムの試験ビームラインを拠点として、ILCでの衝突ビームサイズ6nm(垂直方向)に対応する37nmの極小ビーム生成技術、ILCでの電子・陽電子ビーム衝突を安定にするためのナノメートルレベルでのビーム位置制御技術について開発が行われている。 現在までに、ATF2のビーム収束点(仮想衝突点)において41 nmの達成を確認している。しかしながら、Wakefieldに起因するビームサイズに対する強い電流依存性があり、バンチ電荷を想定の1/10程度に下げる必要があった。そのため、Wakefield源となるビームモニターやベローズの数を削減し、その効果を約1/3におさえる対策を実施するなどして、バンチ電荷の増強を進めながら、様々な視点からWakefieldの影響を評価し、ナノメートル極小ビーム生成の技術開発を進めている。ビーム位置制御技術開発では、制御に使用する空洞型BPMの分解能が従来の半分となる20 nmに改善することができており、バンチ電荷の増強とともに更に開発が進むことを期待している。これらATFにおけるナノメートルビーム技術開発の現状を報告する。 |
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FSP005 p.1281 | KEK-PFとPF‒ARの現状 Present status of PF ring and PF-AR ○原田 健太郎,浅岡 聖二,阿達 正浩,飯田 直子,上田 明,内山 隆司,江口 柊,海老原 清一,尾崎 俊幸,小野 正明,帯名 崇,影山 達也,加藤 龍好,菊池 光男,金 秀光,小玉 恒太,小林 幸則,田中 オリガ,坂井 浩,坂中 章悟,坂本 裕,佐々木 洋征,佐藤 政行,佐藤 佳裕,下ヶ橋 秀典,塩屋 達郎,島田 美帆,高井 良太,鷹崎 誠治,高木 宏之,高橋 毅,多田野 幹人,谷本 育律,田原 俊央,多和田 正文,土屋 公央,長橋 進也,中村 典雄,濁川 和幸,野上 隆史,芳賀 開一,東 直,本田 融,本田 洋介,丸塚 勝美,三増 俊広,宮内 洋司,宮島 司,山口 孝明,山本 尚人,山本 将博,吉田 正人,吉本 伸一,渡邉 謙(KEK),平野 広太(広島大学) ○Kentaro Harada, Asaoka Seiji, Masahiro Adachi, Naoko Iida, Akira Ueda, Takashi Uchiyama, Shu Eguchi, Kiyokazu Ebihara, Toshiyuki Ozaki, Masaaki Ono, Takashi Obina, Tatsuya Kageyama, Ryukou Kato, Mitsuo Kikuchi, Xiuguang Jin, Kota Kodama, Yukinori Kobayashi, Olga Tanaka, Hiroshi Sakai, Shogo Sakanaka, Hiroshi Sakamoto, Hiroyuki Sasaki, Masayuki Sato, Yoshihiro Sato, Hidenori Sagehashi, Tatsuro Shioya, Miho Shimada, Ryota Takai, Seiji Takasaki, Hiroyuki Takaki, Takeshi Takahashi, Mikito Tadano, Yasunori Tanimoto, Toshihiro Tahara, Masafumi Tawada, Kimichika Tsuchiya, Shinya Nagahashi, Norio Nakamura, Kazuyuki Nigorikawa, Takashi Nogami, Kaiichi Haga, Nao Higashi, Tohru Honda, Yosuke Honda, Katsumi Marutsuka, Tohihiro Mimashi, Hiroshi Miyauchi, Tsukasa Miyajima, Takaaki Yamaguchi, Naoto Yamamoto, Masahiro Yamamoto, Masato Yoshida, Shinichi Yoshimoto, Ken Watanabe (KEK), Kota Hirano (Hiroshima University) 現在KEKには2.5GeVのPFリングと6.5 GeVのPFアドバンストリング(PF‒AR)がユーザー運転に供されている。PFでは、学会会期中の夏のシャットダウン期間中に19番直線部の挿入光源が更新されることになっている。また、2015年4月に水漏れ故障を起こした1988年製のセプタムの更新が今年度に認められ、現在、新しいセプタム1台を設計製作中である。PF‒ARにおいては、LINACによるKEKB、PFとの同時入射が実用化されつつあり、昨年完成した直接入射路によって試験的にトップアップ運転が行われている。また、運転期間を延長する為の5GeV運転を検討中である。ここでは、PF/PF-ARの現状について発表を行う。 |
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FSP006 p.1285 | KEK電子陽電子入射器の現状 Present status of the KEK electron/positron injector linac ○清宮 裕史,明本 光生,荒川 大,荒木田 是夫,飯田 直子,池田 光男,惠郷 博文,榎本 收志,榎本 嘉範,大沢 哲,大西 幸喜,小川 雄二郎,柿原 和久,梶 裕志,片桐 広明,紙谷 琢哉,川村 真人,倉品 美帆,佐武 いつか,佐藤 政則,設楽 哲夫,周 翔宇,白川 明広,杉村 仁志,諏訪田 剛,竹中 たてる,田中 窓香,張 叡,邱 丰,峠 暢一,中尾 克巳,中島 啓光,夏井 拓也,西田 麻耶,東 保男,肥後 寿泰,古川 和朗,本間 博幸,松下 英樹,松本 修二,松本 利広,三浦 孝子,三川 勝彦,道園 真一郎,宮原 房史,森田 昭夫,矢野 喜治,横山 和枝,吉田 光宏(KEK) ○Yuji Seimiya, Mitsuo Akemoto, Dai Arakawa, Yoshio Arakida, Naoko Iida, Mitsuo Ikeda, Hiroyasu Ego, Atsushi Enomoto, Yoshinori Enomoto, Satoshi Ohsawa, Yukiyoshi Ohnishi, Yujiro Ogawa, Kazuhisa Kakihara, Hiroshi Kaji, Hiroaki Katagiri, Takuya Kamitani, Masato Kawamura, Miho Kurashina, Itsuka Satake, Masanori Satoh, Tetsuo Shidara, Xiangyu Zhou, Akihiro Shirakawa, Hitoshi Sugimura, Tsuyoshi Suwada, Tateru Takenaka, Madoka Tanaka, Rui Zhang, Feng Qiu, Nobukazu Toge, Katsumi Nakao, Hiromitsu Nakajima, Takuya Natsui, Maya Nishida, Yasuo Higahi, Toshiyasu Higo, Kazuro Furukawa, Hiroyuki Honma, Hideki Matsushita, Shuji Matsumoto, Toshihiro Matsumoto, Takako Miura, Katsuhiko Mikawa, Shinichiro Michizono, Fusashi Miyahara, Akio Morita, Yoshiharu Yano, Kazue Yokoyama, Mitsuhiro Yoshida (KEK) The KEK electron/positron injector linac was upgraded for Phase-II SuperKEKB (HER/LER). Pulsed magnets were installed in the linac for simultaneous injection to four different rings, HER/LER/PF/PF-AR. RF gun improvement for stable high-charged beam generation was also done. Phase II commissioning have already started in March 2018. For Phase III commissioning, more stable high-quality beam operation is necessary. This report describes the present status of the linac and the related upgrade efforts for Phase III. |
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FSP007 p.1289 | KEKコンパクトERLの現状 Present status of the compact ERL at KEK ○加藤 龍好(高エネ研) ○Ryukou Kato (KEK) エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac, ERL)の小型実証機として建設されたコンパクトERLは、KEKロードマップの改訂により、次期放射光計画のR&D機から、ERL技術の産業応用を念頭に置いた超伝導加速器利用のための開発機にその役割を変更した。2017年度も昨年度同様に年度当初の運転予算はゼロであったが、年度途中に認められた追加予算により、極めて限られた期間ではあるがビーム運転を行うことができた。この短い期間の運転で「大バンチ電荷電子ビームの高繰り返し発生」や「共振器型CDRによるTHz発生」等の試験を行い、他の加速器では得ることが困難な貴重な成果を上げている。また年間を通して行われた電子銃の単独運転では、150時間を超える運転で一度も放電を起こすことなく500kV高電圧の維持に成功している。ここでは2017年度のコンパクトERLの保守・維持の状況と運転により得られた成果の概略について報告する。 |
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FSP008 p.1293 | 理研AVFサイクロトロン運転の現状報告 Status report on the operation of RIKEN AVF cyclotron 小林 清志,福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,金子 健太,小山 亮,仲村 武志,西田 稔,西村 誠,柴田 順翔,小山田 和幸,月居 憲俊,田村 匡史,矢冨 一慎,遊佐 陽(住重加速器サービス),藤巻 正樹,福西 暢尚,後藤 彰,長谷部 裕雄,日暮 祥英,今尾 浩士,加瀬 昌之,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長瀬 誠,長友 傑,中川 孝秀,大西 純一,奥野 広樹,○大関 和貴,坂本 成彦,須田 健嗣,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成(理研仁科センター),小高 康照,大城 幸光(東京大学原子核科学研究センター) Kiyoshi Kobayashi, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kenta Kaneko, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Junsho Shibata, Kazuyuki Oyamada, Noritoshi Tsukiori, Masashi Tamura, Kazuyoshi Yadomi, Akira Yusa (SHI Accelerator Service Ltd.), Masaki Fujimaki, Nobuhisa Fukunishi, Akira Goto, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, ○Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Kenji Suda, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada (RIKEN Nishina Center), Yasuteru Kotaka, Yukimitsu Ohshiro (Center for Nuclear Study, University of Tokyo) 理研AVFサイクロトロンの2017年8月から2018年7月までの運転状況について報告する。理研AVFサイクロトロンは、東京大学原子核科学研究センターのCRIBを用いた原子核実験、及びRI製造のための単独加速器として使用されると共に、理研リングサイクロトロン(RRC)の入射器としての役割も担い,その年間運転時間は3000時間を超える。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、及び発生した故障とその対処等について報告する。また、イオン源の現状報告、入射領域改良に伴うビーム量改善及び影響等報告する。 |
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FSP009 p.1298 | 理研RIBFにおけるリングサイクロトロンの運転報告 Status report of the operation of RIBF ring cyclotrons 柴田 順翔,福澤 聖児,濱仲 誠,石川 盛,小林 清志,小山 亮,仲村 武志,稔 西田,西村 誠,月居 憲俊,矢冨 一慎(住重加速器サービス),○須田 健嗣,段塚 知志,藤巻 正樹,藤縄 雅,福西 暢尚,長谷部 裕雄,日暮 祥英,池沢 英二,今尾 浩士,加瀬 昌之,上垣外 修一,木寺 正憲,込山 美咲,熊谷 桂子,真家 武士,長瀬 誠,長友 傑,中川 孝秀,中村 仁音,大西 純一,奥野 広樹,大関 和貴,坂本 成彦,内山 暁仁,渡部 秀,渡邉 環,渡邉 裕,山田 一成,山澤 秀行(理研仁科センター) Junsho Shibata, Seiji Fukuzawa, Makoto Hamanaka, Shigeru Ishikawa, Kiyoshi Kobayashi, Ryo Koyama, Takeshi Nakamura, Minoru Nishida, Makoto Nishimura, Noritoshi Tsukiori, Kazuyoshi Yadomi (SHI Accelerator Service Ltd.), ○Kenji Suda, Tomoyuki Dantsuka, Masaki Fujimaki, Tadashi Fujinawa, Nobuhisa Fukunishi, Hiroo Hasebe, Yoshihide Higurashi, Ikezawa Eiji, Hiroshi Imao, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito, Masanori Kidera, Misaki Komiyama, Keiko Kumagai, Takeshi Maie, Makoto Nagase, Takashi Nagatomo, Takahide Nakagawa, Masato Nakamura, Jun-ichi Ohnishi, Hiroki Okuno, Kazutaka Ozeki, Naruhiko Sakamoto, Akito Uchiyama, Shu Watanabe, Tamaki Watanabe, Yutaka Watanabe, Kazunari Yamada, Hideyuki Yamasawa (RIKEN Nishina Center) 理研RIBFにおける4台のリングサイクロトロン (RRC, fRC, IRC, SRC) の2017年8月から2018年7月までの運転状況を報告する。ビーム強度増強と安定供給に向けて、改造、ビーム調整、保守に取り組んでいる。本稿ではこれまでの加速ビームの実績、当該期間の運転時間と調整時間の統計、また発生した故障とその対処等について報告する。 |
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FSP010 p.1304 | 理研重イオンリニアックの現状報告 Present status of RILAC ○池沢 英二(理研仁科加速器科学研究センター),金子 健太,大木 智則,山内 啓資,小山田 和幸,田村 匡史,遊佐 陽(住重加速器サービス株式会社),渡邉 裕,上垣外 修一(理研仁科加速器科学研究センター) ○Eiji Ikezawa (RIKEN Nishina Center), Kenta Kaneko, Tomonori Ohki, Hiromoto Yamauchi, Kazuyuki Oyamada, Masashi Tamura, Akira Yusa (SHI Accelerator Service, Ltd.), Yutaka Watanabe, Osamu Kamigaito (RIKEN Nishina Center) 理研仁科加速器研究センターの理研重イオンリニアック(RILAC)は、1981年に単独運転が開始され、今年で38年目を迎えた。1986年からは、後段の理研リングサイクロトロン(RRC)のための入射器としての利用を開始した。2006年からは、理研RIビームファクトリー(RIBF)の複合加速器ための入射器としての利用も開始した。 これまでに様々な装置の改良、ビームエネルギー及びビーム強度の増強をすると共に老朽化対策を実施し、この加速器を最良の状態に維持し、各種実験へ様々なビームを供与している。この10年間における加速器運転時間は、最大で約6200時間であった。実験へのビーム供与時間は、最大で約5700時間であった。 2017年6月からは、超伝導イオン源及び超伝導リニアックの導入に先立ち、一部の既設装置の撤去及び移設の作業を開始した。また、建物関連の改装工事なども開始された。 老朽化対策として、主加速器の高周波共振器内の真空シール材交換、FC-RFQの高周波共振器内の中間導体部品交換、CSM-A1の真空漏れ修理、ビームライン清浄化に伴う作業、コントロール室の改装などを進めている。 本発表ではこの加速器の現状報告として、この10年間の運転状況、及びこの1年間における保守作業などについて報告する。 |
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FSP011 p.1307 | 群馬大学重粒子線医学センターの現状報告 Present status of Gunma University heavy ion medical center ○想田 光,友 亮人,遊佐 顕,田代 睦,島田 博文,松村 彰彦,久保田 佳樹(群大重医セ),金井 達明(大阪重粒子セ),取越 正己(群大重医セ) ○Hikaru Souda, Ryoto Tomo, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro, Hirofumi Shimada, Akihiko Matsumura, Yoshiki Kubota (GHMC), Tatsuaki Kanai (OSAKA-HIMAK), Masami Torikoshi (GHMC) 群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による最大400MeV/uの炭素ビームを用いて2010年3月からがん患者に対する治療照射を行い、2018年3月までに累計2711名の治療を遂行した。2018年4月から公的医療保険適用対象が一部の頭頚部がんや前立腺がんにも拡大され、治療患者数は増加傾向にある。加速器系では、治療が一日単位で停止することはなかったものの重大な故障が数件発生した。定期点検後に粗引き用スクロールポンプが相次いで排気能力低下を起こし、通常10^-5Pa台のRFQタンク内真空度が一時1Pa台まで悪化した。チップシール交換・長さ調整などの処置を行ったが再度悪化に至った個体もあり原因はまだ調査中である。また、シンクロトロン加速空洞のRFアンプで、FET素子が運転開始後初めて故障した。これまでほとんどトラブルがなかった箇所であるが再発すると影響が大きいため、放射線の影響を含め原因の調査を行っている。装置の改良については、イオン源の寿命改善のためアノード電極の形状を変更し、中心部以外の穴を無くすことで引き出し電極側へのガス流入を抑える改造を行った。2ヶ月経過時点では引き出し電極のベース電流は以前より小さく、良好な結果を示している。また、ビームスキャニング方式による治療に向けた要素技術の整備を行っており、その延長として微小スポットビームで小さい病変を治療するカーボンナイフ構想に対する基礎研究を進めている。 |
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FSP012 p.1310 | 京都大学自由電子レーザ施設の現状 Present status of free electron laser facility at Kyoto University ○全 炳俊,茶谷 脩也,Krainara Siriwan,Torgasin Konstantin,紀井 俊輝,増田 開,大垣 英明(京大エネ研) ○Heishun Zen, Shuya Chatani, Siriwan Krainara, Konstantin Torgasin, Toshiteru Kii, Kai Masuda, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.) 京都大学エネルギー理工学研究所では、エネルギー材料研究への応用を主な対象とし、S-band高周波電子銃を電子源とした小型で経済的な中赤外自由電子レーザ(KU-FEL)を開発し、中赤外波長可変レーザの発生とその利用研究を行っている。また、近年、光陰極高周波電子銃を電子源として用いたコヒーレントアンジュレータ放射光源の開発も行っている。本報告では、これら光源の現状について報告する。 |
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FSP013 p.1314 | 京都大学複合原子力科学研究所電子線型加速器施設の現状 Status of KURNS-LINAC ○阿部 尚也,高橋 俊晴,窪田 卓見,堀 順一,高見 清(京都大学複合原子力科学研究所) ○Naoya Abe, Toshiharu Takahashi, Takumi Kubota, Jun-ichi Hori, Kiyoshi Takami (KURNS) 京都大学複合原子力科学研究所(2018年4月に原子炉実験所から改称)電子線型加速器施設(KURNS-LINAC)の2017年度の利用運転時間は2784.1時間であり、2016年度を約150時間上回って過去最高の運転時間を更新した。核データ関連のプロジェクトによる連続運転増加が主な理由である。 前回の報告からの主なトラブルは、クライストロン本体冷却水配管からの漏水と、RFドライバーの異常である。クライストロンの漏水に関しては、漏水検知器が発報したことで発覚したが、この漏水検知器は2004年に別のクライストロンで同配管からの漏水が発生しており、その対策としてクライストロン本体に取り付けたものであった。2004年の漏水時は検知器が無かったため発見が遅く、クライストロンオイルタンク内に漏水が浸入するなどの大きな影響があり、復旧に時間がかかったが、今回は早期発見となったため、中古のクライストロンと交換のみで対応できた。漏水を起こしたクライストロンは漏水止めの修理を実施する予定である。RFドライバーの異常に関しては、出力電力表示に使用するピークホールドモジュール回路の不良による出力電力表示異常、電源投入時に発生するノイズによるものと思われる反射波による主アンプの動作停止、FETのドレインブランキング用の電解コンデンサ容量抜けによる主アンプの出力電力増加に伴う出力波形の乱れであり、それぞれ三回にわたって製作業者による修理を実施して対応した。 |
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FSP014 p.1317 | J-PARC加速器の現状 Status of J-PARC accelerators ○長谷川 和男,内藤 富士雄,金正 倫計,小栗 英知,山本 風海,林 直樹,山崎 良雄,吉井 正人,山本 昇,小関 忠(J-PARC, JAEA/KEK) ○Kazuo Hasegawa, Fujio Naito, Michikazu Kinsho, Hidetomo Oguri, Kazami Yamamoto, Naoki Hayashi, Yoshio Yamazaki, Masahito Yoshii, Noboru Yamamoto, Tadashi Koseki (J-PARC, KEK/JAEA) J-PARCでは2017年の夏季メンテナンス終了後、加速器の立ち上げや調整を経て、10月下旬から利用運転を再開した。3GeVシンクロトロンからビームを供給する物質・生命科学実験施設(MLF)では、2015年に発生した中性子標的の不具合の後、予備の標的を使ってきたため出力は150~200kWに抑えてきたが、夏季メンテナンス中に新しい設計で製作した標的に交換した。標的の状況を確認しながら、11月には300kW、1月から400kW、4月下旬から500kWと徐々に出力を向上している。30GeVのメインリングでは、ニュートリノ実験施設(NU)への供給を10月下旬から開始し、440kWから徐々に出力を上げ12月には470kWで終了した。その後2018年1月から2月にかけてはハドロン実験施設(HD)に供給した。繰り返しを5.52から5.20秒に速め、さらに調整も進めた結果、出力は44kWから50kWに向上した。また、COMET実験(ミュオン-電子変換)に向けた8GeVの遅い取り出し試験にも成功した。3月からはNUへの供給を再開し、調整の結果490kWを安定に供給できるようになった。稼働率について、2017年度はリニアック、RCSともに安定に運転ができ、MLF向けは93%であった。またMRでは、NU向けは比較的安定で89%、HD向けは66%(2017年4月に発生したESS不具合の影響が大きい)であった。 |
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FSP015 p.1322 | IFMIF原型加速器の現状 Status of IFMIF prototype accelerator ○春日井 敦,赤木 智哉,蛯沢 貴,平田 洋介,池田 幸治,小又 将夫,近藤 恵太郎,前原 直,坂本 慶司,下崎 義人,新屋 貴浩,須藤 美智雄,杉本 昌義,武石 沙綾(量研/六ヶ所),カラ フィリップ(IFMIF/EVEDA PT),ジッコ エルベ,ハイディンガー ローランド,フィリップス ガイ(F4E) ○Atsushi Kasugai, Tomoya Akagi, Takashi Ebisawa, Yosuke Hirata, Yukiharu Ikeda, Masao Komata, Keitaro Kondo, Sunao Maebara, Keishi Sakamoto, Yoshito Shomosaki, Takahiro Shinya, Michio Sudo, Masayoshi Sugimoto, Saya Takeishi (QST/Rokkasho), Philippe Cara (IFMIF/EVEDA PT), Herve Dzitko, Roland Heidinger, Guy Phillips (F4E) 2007 年より核融合エネルギー分野における日本と欧州による国際共同事業の一つとして始まった 強力中性子源である国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA) では、IFMIF の工学設計・主要機器の製作・試験を行い、IFMIFの建設判断に必要な技術実証を行うことが最大のミッションである。IFMIF原型加速器はLIPAc(Linear IFMIF Prototype Accelerator)と呼ばれ、重水素イオン源(入射器)−高周波四重極加速器(RFQ)−中間エネルギービーム輸送系(MEBT)−超伝導加速器(SRFリニアック)−診断系(D-Plate)−高エネルギービーム輸送系(HEBT)−ビームダンプ(BD)から構成される重陽子線形加速器である。これまでに加速器本体である入射器〜低出力ビームダンプまでの据付調整、高周波システム、SRFリニアックのための液体ヘリウム製造設備等が日欧の共同作業によって完了し、2018年度はRFQのビーム試験を開始した。さらにSRFリニアック、HEBT、BDを製作中であり、2019年度には全ての機器を接続し統合ビーム試験を実施する予定である。 |
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FSP016 | 東北大CYRICのサイクロトロン加速器施設の現状報告 Present status of the cyclotron facility at CYRIC in Tohoku University ○伊藤 正俊,松田 洋平,石橋 陽子,寺川 貴樹,原田 健一,田中 香津生,笠松 幸生(東北大CYRIC),川村 広和(東北大FRIS),高橋 直人,高橋 研,鈴木 惇也,本間 隆之,赤繁 佑樹(住重加速器サービス) ○Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda, Yoko Ishibashi, Atsuki Terakawa, Kenichi Harada, Kazuho Tanaka, Kohki Kasamatsu (CYRIC, Tohoku Univ.), Hirokazu Kawamura (FRIS, Tohoku Univ.), Naoto Takahashi, Ken Takahashi, Junya Suzuki, Takayuki Honma, Yuki Akashige (SHI Accelerator Service) 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)は、サイクロトロン加速器の多目的利用および高レベルRI、サイクロトロン生成短寿命核RIの利用、RI安全の取扱いの教育・訓練を行うために設立された東北大学の学内共同利用施設である。現在、2台のサイクロトロン加速器、930型AVFサイクロトロンとHM-12サイクロトロンを用いて、理工学およびライフサイエンスの研究に利用している。最近では、阪大RCNP、理研、東北大ELPH等の加速器施設とともに短寿命核RI供給プラットフォームや、上記施設にJ-PARC・量研機構等を加え、さらに企業17社と量子アプリ共創コンソーシアムを形成し、RI利用研究および量子を高度にコントロールし、産業に実用化するための基盤技術開発を推進している。本発表では、最近の加速器の運転・利用状況およびECRイオン源の引き出し電極改良等について報告する。 |
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FSP017 p.1326 | 東北大学電子光理学研究センター加速器施設の現状 Status of accelerator facility in research center for electron photon science at Tohoku University ○日出 富士雄,柏木 茂,鹿又 健,柴崎 義信,高橋 健,長澤 育郎,南部 健一,三浦 禎雄,武藤 俊哉,濱 広幸(東北大電子光) ○Fujio Hinode, Shigeru Kashiwagi, Ken Kanomata, Yoshinobu Shibasaki, Ken Takahashi, Ikuro Nagasawa, Kenichi Nanbu, Sadao Miura, Toshiya Muto, Hiroyuki Hama (ELPH, Tohoku Univ.) 東北大学電子光理学研究センター(ELPH)では,共同利用・共同研究拠点として,1.3 GeV Booster Storageリング(BST)において制動放射により生成した高エネルギーガンマ線を用いたクォーク・ハドロン核物理の研究をはじめ,60 MeV大強度電子線形加速器を用いたRI製造や核・放射化学の研究,さらには50 MeV試験加速器(t-ACTS) での超短パルス電子ビーム生成やこれを用いた光源開発の研究などが進められている.本年の1月より4か月近い停止期間を設けて,電気設備(電気室変圧器と低圧配電盤)の更新工事や非密封RI取扱いに関連した実験室の床・壁面の大規模な改良工事を実施したが,4月末より順調に利用運転を開始している.これら加速器群の現状や今後の予定などについて報告する. |
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FSP018 p.1329 | あいちSR光源加速器の現状 Present status of accelerators of Aichi Synchrotron Radiation Center ○高嶋 圭史,保坂 将人,持箸 晃,石田 孝司,真野 篤志(名大SRセンター),櫛田 正己,平山 英之(スプリングエイトサービス),大熊 春夫(JASRI/SPring-8),加藤 政博(UVSOR),竹田 美和(AichiSR) ○Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Akira Mochihashi, Takashi Ishida, Atsushi Mano (Nagoya Univ.), Masami Kushida, Hideyuki Hirayama (SES), Haruo Ohkuma (JASRI/SPring-8), Masahiro Katoh (UVSOR), Yoshikazu Takeda (AichiSR) あいちシンクロトロン光センター(あいちSR)は、愛知県の科学技術政策である「知の拠点あいち」計画における中核施設として、中部地区を中心とする大学、研究機関、産業界、行政の協力によって整備が進められてきた。2013年3月26日の供用開始から今年で6年目となる。 加速器は、50 MeV直線加速器、1.2 GeVブースターシンクロトロン、1.2 GeV蓄積リングから成っている。蓄積リングは周長72 m、ラティス構成はTriple-bendの4回対称であり、12台の偏向電磁石のうち、4台はピーク磁場5T、偏向角12°の超伝導電磁石、8台は磁場強度1.4 T、偏向角39°の常伝導電磁石である。直線部にはAPPLE-II型アンジュレータ1台が設置されている。 供用開始当時のシンクロトロン光ビームラインは6本であったが、現在では企業専用および大学によるビームラインそれぞれ1本を含む11本のビームラインが稼働している。2017年度における加速器の総運転時間は2022時間であり放射光ユーザーの利用時間は1330時間であった。計画されたユーザー利用運転時間に対して光源が運転できなかった時間は14時間であり、稼働率は98.5 %であった。 本発表では、あいちSR光源加速器の現状について報告する。 |
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FSP019 p.1332 | X線自由電子レーザー施設SACLAの現状 Present status of the x-ray free-electron laser facility SACLA ○渡川 和晃(理化学研究所 放射光科学研究センター) ○Kazuaki Togawa (RIKEN SPring-8 Center) 理化学研究所が建設したX線自由電子レーザー施設SACLAでは、現在3本のビームラインでユーザー利用実験が行われている。建設当時から稼働している硬X線FELビームライン(BL3)の隣にもう1本の硬X線ビームライン(BL2)が設置され、高速振分システムによってSACLA加速器からの電子バンチをショット毎に振り分けてこれらの同時運転を行っている。さらにその隣には、専用加速器を備えた軟X線FELビームライン(BL1)が上記ビームラインとは独立に稼働している。また、近い将来にSACLA加速器はSPring-8蓄積リングの入射器としても使用される予定で、その準備も精力的に進められている。本学会では複合した機能を備え持つSACLA加速器の現状を報告する。 |
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FSP020 p.1334 | 九州大学加速器・ビーム応用科学センターの現状報告2018 Status report of Center for Accelerator and Beam Applied Science of Kyushu University in 2018 ○米村 祐次郎,有馬 秀彦,池田 伸夫,魚住 裕介,執行 信寛(九大工),森田 浩介,寺西 高,若狭 智嗣,藤田 訓裕,坂口 聡志,岩村 龍典(九大理),中山 久義,高木 昭(高エネ研),森 義治(京都大学) ○Yujiro Yonemura, Hidehiko Arima, Nobuo Ikeda, Yusuke Uozumi, Nobuhiro Shigyo (Faculty of Engineering, Kyushu University), Kosuke Morita, Takashi Teranishi, Tomotsugu Wakasa, Kunihiro Fujita, Satoshi Sakaguchi, Tatsunori Iwamura (Faculty of Science, Kyushu University), Hisayoshi Nakayama, Akira Takagi (KEK), Yoshiharu Mori (Kyoto University) 九州大学加速器・ビーム応用科学センターでは、FFAG加速器と8 MVタンデム静電型加速器を利用した加速器施設の整備が進められている。FFAG加速器棟では、ビーム利用へ向けた機器の整備やビーム実験と並行して、FFAG加速器の性能向上を目的とした加速器要素技術の研究が行われている。タンデム加速器棟・実験棟では、タンデム加速器のビーム強度増強のための機器調整と本格的なビーム利用へ向けた実験室の整備が進められている。本発表では、FFAG加速器とタンデム加速器の現在の整備状況について報告する。 |
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FSP021 p.1336 | 阪大産研量子ビーム科学研究施設の現状報告 Status report of Research Laboratory for Quantum Beam Science, ISIR, Osaka University ○古川 和弥,誉田 義英,磯山 悟朗,岡田 宥平,徳地 明,楊 金峰,近藤 孝文,菅 晃一,神戸 正雄,吉田 陽一(大阪大学 産業科学研究所) ○Kazuya Furukawa, Yoshihide Honda, Goro Isoyama, Yuhei Okada, Akira Tokuchi, Jinfeng Yang, Takafumi Kondoh, Koichi Kan, Masao Gohdo, Yoichi Yoshida (ISIR, Osaka University) 阪大産研量子ビーム科学研究施設はLバンド40 MeV電子ライナック、フォトカソードRF電子銃ライナック、Sバンド150 MeV電子ライナック、コバルト60γ線照射装置を持つ放射線共同利用施設である。Lバンドライナックはナノ秒とサブピコ秒領域のパルスラジオリシスを用いた放射線化学の研究や、FELによる大強度テラヘルツ波の発生と利用に用いられる。昨年度はクライストロンや前段増幅器の交換、半導体スイッチとサイラトロンの切り替えとそれらに伴うビーム調整・特性測定を行った。また冷却水安定までの時間短縮のための冷却水自動運転システムの構築や、冷凍機を用いない新たな冷却水システムの設計を行った。さらに将来的なビーム振り分けシステムの導入に向け、パルス電源の設計・製作を行った。RF電子銃ライナックは、フェムト秒パルスラジオリシスを用いて放射線化学初期過程の解明が進められている。また、格段に時間分解能を向上したアト秒パルスラジオリシスの実現と、集団イオン化等の新奇現象の探索のため、アト秒パルス電子ビーム発生方法・計測手法を開発している。ナノスケールでの構造変化ダイナミクス解明のため、RF電子銃を用いた時間分解MeV電子顕微鏡、時間分解電子線回折装置を開発している。小型短パルス電子線発生装置は、電子線回折装置のみならず、カソードプラグを装備し新規電子銃開発の役割も担う。本発表では当施設の保守管理・開発の状況に関して報告する。 |
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FSP022 p.1340 | UVSORの現状2018 Status of UVSOR-III in 2018 ○藤本 將輝,郭 磊,山崎 潤一郎,林 憲志,手島 史綱,水口 あき,加藤 政博(分子研UVSOR) ○Masaki Fujimoto, Lei Guo, Junichiro Yamazaki, Kenji Hayashi, Fumitsuna Teshima, Aki Minakuchi, Masahiro Katoh (UVSOR, IMS) 分子科学研究所の放射光用蓄積リングUVSOR-IIIの現状と加速器および光源開発状況を報告する。UVSORは2018年でファーストライトから35周年を迎える。2回にわたる高度化改修の後、電子エネルギー750MeV、電流値300mAでのトップアップ運転を行っている。現在UVSORでは6基のアンジュレータを主軸とした計15本のビームラインが稼働しており、高度化に伴いエミッタンスが17nm-radまで抑えられたことにより真空紫外から軟X線領域の高輝度光が供給可能である。2017年度は引き続き100件以上の利用課題が採択されており、ユーザー数は延べ1000人を超える。一方、マシン各部で冷却水漏れを主とした老朽化によるトラブルが多発しており、対策に追われている。光源開発研究は、放射光による光渦発生とその利用法開拓が他研究機関との共同研究のもと活発に行われている。さらに、レーザーコンプトンガンマ線の利用に向けたビームラインの整備および国内で唯一となった蓄積リングでの自由電子レーザーの再稼動を進めている他、名古屋大学やKEKなどと協力して光陰極電子源開発を行っている。 |
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FSP023 p.1343 | 日大LEBRAの電子線形加速器の運転の現状とTHz光源の開発 Status of electron linac operation and THz source development at LEBRA in Nihon University ○野上 杏子,早川 建,田中 俊成,早川 恭史,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,佐藤 勇(日大量科研),清 紀弘,小川 博嗣(産総研),榎本 收志,大澤 哲,福田 茂樹,設楽 哲夫,古川 和朗,道園 真一郎,土屋 公央,吉田 光宏,山本 樹,新冨 孝和(高エネ研) ○Kyoko Nogami, Ken Hayakawa, Toshinari Tanaka, Yasushi Hayakawa, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Isamu Sato (LEBRA, Nihon University), Norihiro Sei, Hiroshi Ogawa (AIST), Atsushi Enomoto, Satoshi Ohsawa, Shigeki Fukuda, Tetsuo Shidara, Kazuro Furukawa, Shinichiro Michizono, Kimichika Tsuchiya, Mitsuhiro Yoshida, Shigeru Yamamoto, Takakazu Shintomi (KEK) 2017年度における日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)の125MeV電子線形加速器の稼働日数は138日、クライストロン通電時間は約1100時間、電子ビーム加速時間は約500時間であった。稼働日数とクライストロン通電時間は、2016年度に比べ減少したが、クライストロン1台を交換し、FELラインで発生するTHz光の輸送ラインを増設したこと、さらにAVR電源および電子銃制御の通信用光コンバータの故障の対応にも時間を費やした。クライストロン交換時にRF出力窓付近の真空排気を強化するためイオンポンプの排気量を増強した。これによりクライストロンRF出力窓での放電頻度が減少し、RFパルス幅20μsでの電子ビーム加速が回復した。2010年より産業技術総合研究所と進めてきたTHz光源の開発において、FELアンジュレータ下流の45°偏向電磁石で発生するコヒーレントエッジ放射を輸送するために新規の輸送ラインを整備した。しかし、予定より工事に時間を費やし、約1ヶ月加速器を停止した。 また、アンジュレータ間隙磁場の測定を行ったところ、アンジュレータ入口から約3分の1までの永久磁石に減磁が認められ、最大で40%程度減磁していることが明らかとなったが、その後もバーストモードビームではFELの発振が可能で、利用実験に提供している。 |
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FSP024 p.1347 | NewSUBARU放射光施設の現状 Present status of the NewSUBARU synchrotron light facility 宮本 修治,庄司 善彦,橋本 智(兵庫県立大),○皆川 康幸,鍛治本 和幸,濱田 洋輔(高輝度光科学研究センター) Shuji Miyamoto, Yoshihiko Shoji, Satoshi Hashimoto (Univ. of Hyogo), ○Yasuyuki Minagawa, Kazuyuki Kajimoto, Yousuke Hamada (JASRI) 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所の運用する、ニュースバル放射光施設加速器の現状を報告する。本施設は、周長118mの電子蓄積リングと9本の放射光ビームラインで構成されている。入射電子ビームはSPing-8線形加速器から供給されており、1GeV/300mA±0.2mAのTopUp 運転、および週に1、2日は1.5GeV/350mAの加速/Decay運転を行なっている。昨年度、逆偏向電磁石用の補助電源が故障により新しい電源に更新されて、加速運転が行われている。加速器の運転で大きなトラブルは無く、利用運転停止時間は例年並みの25時間程度になっている。ニュースバル放射光施設は、建設から約20年たち、他の電源等に対しても順次更新していく予定である。加速器の性能改善として、プロファイルモニタ画像処理システムの開発、CTモニタの整備、ビーム輸送系へのOTRモニタの導入、USBスペアナを用いたチューン計測システムの開発がなされている。今後、減速運転&ガンマ線計測自動化、チューンのフィードバック制御などの改良を行っていく予定である。 |
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FSP025 p.1350 | iBNCT加速器の現状報告 Status report of the iBNCT accelerator ○佐藤 将春,池上 清,帯名 崇,久保田 親,栗原 俊一,小林 仁,柴田 崇統,杉村 高志,高木 昭,高崎 栄一,内藤 富士雄,南茂 今朝雄,方 志高,福井 佑治,福田 将史,二ツ川 健太,本田 洋介,三浦 太一,宮島 司(KEK),熊田 博明,大西 貴博,田中 進,松本 孔貴(筑波大),大場 俊幸,名倉 信明(NAT),大内 利勝,櫻山 久志(ATOX),長谷川 和男(JAEA) ○Masaharu Sato, Kiyoshi Ikegami, Takashi Obina, Chikashi Kubota, Toshikazu Kurihara, Hitoshi Kobayashi, Takanori Shibata, Takashi Sugimura, Akira Takagi, Eiichi Takasaki, Fujio Naito, Kesao Nanmo, Zhigao Fang, Yuji Fukui, Masafumi Fukuda, Kenta Futatsukawa, Yosuke Honda, Taichi Miura, Tsukasa Miyajima (KEK), Hiroaki Kumada, Takahiro Onishi, Susumu Tanaka, Yoshitaka Matsumoto (Univ. of Tsukuba), Toshiyuki Ohba, Nobuaki Nagura (NAT), Toshikatsu Ouchi, Hisashi Sakurayama (ATOX), Kazuo Hasegawa (JAEA) 小型中性子源により粒子線がん治療のひとつであるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の実現を目指すいばらきBNCT(iBNCT)計画ではRFQおよびDTLからなる加速管構成により陽子を8MeVまで加速しベリリウム標的に照射して中性子を生成し治療に利用する。2017年度に平均1mAを超える陽子ビーム強度を実現し、生成熱外中性子強度及び空間分布測定等の中性子ビーム性能の検証を終えた。今年度は平均ビーム電流1.3mAでの第一期治験の開始へ向けてビームコミッショニングを進めている。一方で、将来的には平均ビーム電流値5mA以上の実現に向けた加速器開発を実施する必要がある。その一環として、ビームの繰り返しを現在の50Hzから100Hz以上に増加させるためには、加速空洞の温度上昇、標的近傍におけるガス放出に伴う真空悪化、空洞温度の不安定化を防ぐ必要があり、更なる真空系の改善、加速管冷却水の安定化がiBNCT加速器における不可欠な課題となっている。当該計画ではBNCTを従来行われてきた原子炉などの限定された治療施設で行うのでは無く、装置全体を病院内に設置できる程度にコンパクト化し広く普及させる事を目指している。その目的に向かい、これまでの運転実績やコンディショニング状況に即して最適な装置改修及び運転パラメターの最適化を適宜進めている。本講演ではこれまでのiBNCT加速器の運転状況及び今後の見通しに関して報告する。 |
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FSP026 p.1355 | HIMAC加速器の現状報告 (2018) Present status of HIMAC (2018) ○片桐 健,稲庭 拓,岩田 佳之,早乙女 直也,佐藤 眞二,皿谷 有一,高田 栄一,丹正 亮平,野田 悦夫,原 洋介,古川 卓司,村松 正幸,水島 康太,白井 敏之(量研/放医研),川島 祐洋,勝間田 匡,小林 千広,藤本 哲也,若勇 充司(加速器エンジニアリング株式会社) ○Ken Katagiri, Taku Inaniwa, Toshiyuki Iwata, Naoya Saotome, Shinji Sato, Yuichi Saraya, Eiichi Takada, Ryouhei Tansho, Etsuo Noda, Yousuke Hara, Takuji Furukawa, Masayuki Muramatsu, Kota Mizushima, Toshiyuki Shirai (QST/NIRS), Masahiro Kawashima, Masashi Katsumata, Chihiro Kobayashi, Tetsuya Fujimoto, Mitsuji Wakaisami (AEC) 放射線医学総合研究所でのHIMAC加速器による重粒子線がん治療は、1994年の開始から今年で24年目を迎え、10000人以上もの患者に治療が適用されてきた。これまでの拡大ビーム法による治療に加えて、複雑な腫瘍形状や治療期間中における腫瘍患部の形状/大きさの変化に柔軟な対応が可能となる3次元スキャニング照射法による治療が2011年5月に開始された。さらに、照射のさらなる高精度化を目指して超伝導ガントリーの開発が行われ、昨年度には治療利用が開始された。これらの照射の高精度化を目指した研究開発に加えて、炭素線だけでなくヘリウム線や酸素線を組み合わせて照射を行うことで、正常組織への線量付与を低減し尚かつ腫瘍への治療効果をこれまで以上に高める強度変調マルチイオン照射法、重粒子線治療装置のさらなる小型化のために超伝導小型シンクロトロンと超伝導小型ガントリーから構成される“量子メス”の研究開発も始められている。本発表ではこれらのR&Dの概要を紹介すると共に、運用の現状を報告する。 |
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FSP027 p.1359 | 放医研サイクロトロン(NIRS-930, HM-18)の現状報告 Status report of NIRS-930 and HM-18 cyclotron at QST-NIRS ○北條 悟,涌井 崇志,片桐 健,杉浦 彰則,宮原 信幸,野田 章(量研 放医研),岡田 高典,立川 裕士,青山 功武(加速器エンジニアリング),白井 敏之(量研 放医研) ○Satoru Hojo, Takashi Wakui, Ken Katagiri, Akinori Sugiura, Nobuyuki Miyahara, Akira Noda (QST NIRS), Takanori Okada, Yuji Tachikawa, Isamu Aoyama (AEC), Toshiyuki Shirai (QST NIRS) 量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所(放医研)のサイクロトロン施設は、NIRS-930(K=110 THOMSON CSF製)とHM-18(K=20 住友重機械工業製)の2台のサイクロトロンと、9つのビーム照射ポートによって構成される。 放医研のサイクロトロンは、放射性薬剤の研究開発を主目的としており、9ポートある照射ポートのうち5ポートが放射性薬剤の研究開発用のポートとなっている。NIRS-930の2017年度の総運転時間は1645時間であった。利用目的別の運転時間の割合は、53%が放射性薬剤の製造、物理研究16%、有料ビーム供給13%、ビーム調整等が17%となっている。その中で、機器故障によるビーム供給の遅延時間は、高圧デフレクターや、輸送系マグネットの電源故障、制御PCの故障等によるものがあり、12時間であった。 一方、HM-18の総運転時間は、1550時間で、機器故障等による供給遅延時間は受変電設備の更新工事に伴い発見された電源配線の不具合による3時間があった。 それぞれのサイクロトロンの利用状況、故障等に伴う供給遅延事例や、各機器の改良開発、老朽化対策などの放医研サイクロトロン施設の現状について報告を行う。 |
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FSP028 p.1362 | 神奈川県立がんセンターi-ROCKにおける重粒子線治療の現状 Progress report of carbon therapy in i- ROCK ○竹下 英里,蓑原 伸一,草野 陽介,松崎 有華(神奈川県立がんセンター) ○Eri Takeshita, Shinichi Minohara, Yohsuke Kusano, Yuka Matsuzaki (KCC) 神奈川県立がんセンターの重粒子線治療施設"i-ROCK"では、2015年12月に臨床試験としての治療を開始し、翌2016年2月からは先進医療での重粒子線治療照射を始めた。治療室1〜4の装置コミッショニングは全て無事に終了し、現在は患者件数増加にともなう運用スケジュールの最適化や各種QAの高効率化などについて検討を進めている。肺・肝臓・膵臓などの呼吸性移動をともなう症例については、患者の呼吸波形に同期して照射する、いわゆる呼吸同期照射を用いているが、体外センサーによる呼吸波形監視だけでなく体内にある臓器の動きをリアルタイムにトラッキングする手法についても検証を進めている。呼吸同期照射では、呼吸波形の取得タイミングや、治療計画時にどういったルールで動き量をマージンとして考慮するかなど、さまざまなシステムを含めた総合的なコミッショニングが必要となる。本会では、運用検討の結果を示すとともに施設の現状報告を行う。 |
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FSP029 p.1365 | QST高崎イオン照射研究施設(TIARA)の現状報告 Present status of TIARA at QST ○湯山 貴裕,倉島 俊,千葉 敦也,吉田 健一,山田 圭介,石坂 知久,横山 彰人,平野 貴美,細谷 青児,宮脇 信正,柏木 啓次,百合 庸介,佐藤 隆博,大久保 猛,石堀 郁夫,奥村 進,奈良 孝幸(量研 高崎) ○Takahiro Yuyama, Satoshi Kurashima, Atsuya Chiba, Ken-ich Yoshida, Keisuke Yamada, Tomohisa Ishizaka, Akihito Yokoyama, Yoshimi Hirano, Seiji Hosoya, Nobumasa Miyawaki, Hirotsugu Kashiwagi, Yosuke Yuri, Takahiro Satoh, Takeru Ohkubo, Ikuo Ishibori, Susumu Okumura, Takayuki Nara (QST Takasaki) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射施設(TIARA)では、AVFサイクロトロン(K110)、3MVタンデム加速器、3MVシングルエンド加速器、400kVイオン注入装置の4台の加速器を有し、材料・バイオ技術の研究開発への利用を主として、広範囲のエネルギー及び多様なイオン種のビームを提供している。TIARAのAVFサイクロトロンでは、2016年度に発生したメインコイルの層間短絡に伴い、短絡箇所をバイパスすることでコイルへの更なる損傷を抑えつつコイル通電を可能とした。これにより通電可能なコイルは全体の6割となったが、この範囲において加速できる新ビームを開発し、現在最大129Xe26+ 350MeVのエネルギーで利用運転を継続している。また、3台の静電加速器では例年と同様、順調に利用運転を継続している。装置保守整備の一例として、サイクロトロン共振器内の接点駆動用ベローズに印加する圧縮空気配管接続部から漏れが発生し、加速器運転中に真空低下を生じたため、配管接続部のOリングを全数交換した。その他設備では、2016年度にサイクロトロン照射室(第5重イオン室)の遮蔽扉が動作不可となった件を受け、サイクロトロン及び静電加速器の照射室にある同型の扉に関して整備を実施し、車輪軸等のベアリングを交換した。本発表では、上記内容に加え、2017年度に実施した施設の利用状況、保守・整備及び技術開発について報告する。 |
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FSP030 | RCNPサイクロトロン施設の現状 Present status of the RCNP cyclotron facility ○依田 哲彦,福田 光宏,神田 浩樹,畑中 吉治,斉藤 高嶺,森信 俊平,関 亮一,友野 大,中尾 政夫,鎌倉 恵太,永山 啓一,安田 裕介(阪大RCNP) ○Tetsuhiko Yorita, Mitsuhiro Fukuda, Hiroki Kanda, Kichiji Hatanaka, Takane Saito, Shunpei Morinobu, Ryoichi Seki, Dai Tomono, Masao Nakao, Keita Kamakura, Keiichi Nagayama, Yusuke Yasuda (RCNP, Osaka Univ.) 大阪大学核物理研究センター(RCNP)のサイクロトロン施設は、1973年に完成したK140AVFサイクロトロンと1991年完成のK400リングサイクロトロンにより構成され、素粒子・原子核物理等の基礎科学から、核化学、核医学、材料科学などの応用までの広い研究分野の実験にビームを供給している。長い年月運転してきたこの施設は、現在、老朽化対策及び機能強化を目的とした集中メンテナンス及びアップ グレードを2018年度から2019年度にかけて実施することを計画している。この計画ではビーム強度の増強とエミッタンスの低減、即ち高輝度化を達成することで、ミューオンや中性子など二次粒子ビームの大強度での供給や医療用RIの大量製造を実現することを、一つの目標としている。そのため、AVFサイクロトロンのディー電極、RF、真空システムの改造、及び、イオン源からのサイクロトロン入射ラインの改造による加速ビームの高輝度化高安定化と加速イオン種の拡大を目指した計画を策定している。またこれに先立ち2017年度にはイオン源のアップグレードを実施した。講演では、2017年度のサイクロトロン施設の稼働状況と実績、及び集中メンテナンスとアップグレードの状況に関して報告する。また、近年実施しているRI供給プラットフォームや学内医理核連携プロジェクト、昨年度よりスタートしたQiSS OPERA計画などについても報告する。 |
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FSP031 | 先端オペランド計測技術開発のためのSバンド小型電子リニアック・超短パルスレーザー施設の現状 Present status of S-band compact electron linac and ultra-short pulse laser facility for advanced Operando-measurement technology ○黒田 隆之助(産総研 OPERANDO-OIL),三浦 永祐,田中 真人,大島 永康,豊川 弘之,佐藤 大輔,小川 博嗣,O'Rourke Brian,藤原 健,澁谷 達則(産総研) ○Ryunosuke Kuroda (OPERANDO-OIL, AIST), Eisuke Miura, Masahito Tanaka, Nagayasu Oshima, Hiroyuki Toyokawa, Daisuke Sato, Hiroshi Ogawa, Brian O'rourke, Takeshi Fujiwara, Tatsunori Shibuya (AIST) 産総研では、これまでSバンド小型リニアック施設において、超短パルス電子ビームや超短パルスレーザーによるレーザーコンプトン散乱X線やコヒーレント・テラヘルツ光源、短パルスガンマ線源の開発を行い、医療応用や産業応用等、各種先端計測技術開発に用いたきた。現在は、これら光・量子ビームを水溶液中のタンパク質の挙動計測や、レーザー照射中の材料変化計測など、先端オペランド計測技術の開発へと展開している。本年会では、産総研施設の現状について報告する。※この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」の結果により得られたものです。 |
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FSP032 | 産総研 電子加速器ベース低速陽電子利用施設 AIST electron accelerator based slow positron facility ○大島 永康,滿汐 孝治,オローク ブライアン,小林 慶規,鈴木 良一(産総研) ○Nagayasu Oshima, Koji Michishio, Brian O'rourke, Yoshinori Kobayashi, Ryoichi Suzuki (AIST) 産業技術総合研究所(産総研)の低速陽電子ビーム利用施設では、専用の電子線形加速器(加速エネルギー40 MeV)を利用した低速陽電子ビーム発生技術の開発と、それを利用した微小空隙の評価・分析技術の開発に取り組んでいる。高エネルギー電子ビーム(パルス幅1 μs、繰り返し周期50 Hz)をTa標的に照射し、標的中での制動放射X線発生と追随する電子-陽電子対生成過程によって、高強度の白色陽電子を発生させている。これら陽電子を井桁状に組まれたW箔で減速・単色化し、数eV程度のパルス状低速陽電子ビームを生成している。得られたビームは、リニアストレージと呼ばれる電磁トラップで捕捉後、準直流的に引き出し、短パルス化(100ps)し集束することで、様々な材料の欠陥評価・ナノ空孔分析等に用いられる。近年では、低速陽電子ビームを用いて試料表面の原子空孔分布を数十µmの空間分解能で顕微観察する技術、湿度をコントロールした雰囲気で薄膜等の分析を行う技術を開発し、外部ユーザー専用のビームライン等も備えて外部利用を積極的に受け付けている。 |
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FSP033 | 名古屋大学におけるホウ素中性子捕捉療法用中性子源の状況 Status of accelerator-driven neutron source for BNCT in Nagoya University ○土田 一輝,鬼柳 喜明(名大・産学連携),阿保 圭祐,本田 祥梧,山﨑 淳,渡辺 賢一,吉橋 幸子,瓜谷 章,辻 義之(名大・工学部),市川 豪,広田 克也,北口 雅暁,清水 裕彦(名大・理学部) ○Kazuki Tsuchida, Yoshiaki Kiyanagi, Keisuke Abo, Shogo Honda, Atsushi Yamazaki, Kenichi Watanabe, Sachiko Yoshihashi, Akira Uritani, Yoshiyuki Tsuji, Go Ichikawa, Katsuya Hirota, Masaaki Kitaguchi, Hirohiko Shimizu (Nagoya Univeristy) 名古屋大学では、ボロン中性子捕捉療法用の工学実験を主たる目的とし、理工学実験にも供せる加速器中性子源NUANSの建設を産学連携で進めている。加速器としてIBA社製静電加速器(最大2.8MeV、15mA)を用い、これにリチウム封入ターゲットと中性子減速装置(BSA)を組み合わせ、コンパクトな熱外領域中性子源を開発、これらの工学的成立性を検証することを目的とする。加速器は2015年3月にIBA工場で基本性能を確認後、同年8月に名古屋大学に移送・設置し、2016年1月に2.8MeV,11mAのビーム出力を達成、20度偏向したターゲットビームラインを追設して2017年4月より8か月間安定したビーム(~3mA)を得ている。本年1月より中性子生成試験に必要な補助遮蔽体の建設工事を行い中性子生成試験の準備を進めている。「Li封入ターゲット」の開発では、エンボス構造を持つターゲット基板表面にTiの薄膜を接合し、基板とTi薄膜間に形成されるエンボス空間にLiを封入する構造になっている。これまでに、Ti薄膜をTa基板に接合する技術、陽子ビームの入熱を除去する「高効率除熱技術」を開発し、現在、ターゲット内へのLi注入法の開発を進めている。今後、IAEA TECDOCの条件を満たすノズル付きBSAと組合わせ、実験的に性能を評価して性能向上法を検討する。また、理工学実験用第二ビームラインも設置完了している。 |